Society 5.0時代に対応するための 新たな学びを“学ぶ”実践と課題

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玉川大学教職大学院 佐藤 修 令和2年度 玉川大学教師教育フォーラム ICTを活用した学び-効果的なICT活用に向けて- 令和元年12月13日 Society 5.0時代に対応するための 新たな学びを“学ぶ”実践と課題

Transcript of Society 5.0時代に対応するための 新たな学びを“学ぶ”実践と課題

玉川大学教職大学院

佐藤 修

令和2年度 玉川大学教師教育フォーラムICTを活用した学び-効果的なICT活用に向けて-

令和元年12月13日

Society 5.0時代に対応するための新たな学びを“学ぶ”実践と課題

佐藤 修

玉川大学大学院教育学研究科教職専攻(教職大学院)教授(専門分野:技術教育、情報教育、学習評価、学校経営、学級経営)「コンピュータと教育」「学校経営の研究と実践」「学級経営の実践と課題」「教科授業技術の研究と実践(中・高)」「情報科学入門」「教育の方法と技術(中・高)」

文部科学省学習指導要領解説技術・家庭科作成協力者(平成20年告示)「教育の情報化に関する手引」作成委員(平成21年3月発行)「情報モラル教育教材」作成委員

国立教育政策研究所評価規準、評価方法等の研究開発に関する検討委員会委員全国的かつ総合的な学力調査の実施に係る研究指定校企画委員会協力者評価規準、評価方法の工夫改善に関する調査研究協力者学習指導要領実施状況調査結果分析委員会委員

相模原市立小山中学校 校長相模原市立中学校技術・家庭科教員

自己紹介

本日の内容

1 大学、教職大学院での学び

2 教職課程受講者大学生のICT活用指導力アンケート結果

3 現職以上のICT活用指導力を身に付けるためには

本日の内容

1 大学、教職大学院での学び

2 教職課程受講者大学生のICT活用指導力アンケート結果

3 現職以上のICT活用指導力を身に付けるためには

中教審の初等中等教育分科会教員養成部会は9月17日、第116回会合をオンラインで開き、教職課程を置く大学に向けて、学生らのICT活用指導力を一層充実させるよう文書を出す方針を示した。委員からは「これから教員を目指す学生には、現職以上にICTを活用する力が必要だ」といった声が相次いだ。

https://www.kyobun.co.jp/news/20200917_01/

中教審初等中等教育分科会教員養成部会

GIGAスクール構想については、一般の方々も意識されている。肝心の先生方が対応できないというのは許されない。教員を目指す大学生にICT活用力を身に付けてほしいのは当然の流れ。

現職以上のICT活用力を 教員養成部会で指摘相次ぐ

引用:文部科学省「GIGAスクール構想」について令和2年7月7日https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200706-mxt_syoto01-000008468-22.pdf

「大学生の学び」

ステップ1に向けての学修例えば…・情報機器の操作・ソフト・アプリコンテンツ等の使用

・ICTの活用場面の理解・すぐにできそうなことは何でも

例えば…・授業づくり・指導方法・指導技術・学習評価・他

ICTを使えば授業が上手くなる訳ではない

ステップ0

最新の動向とその背景を知る

学習者の文脈で学びを体験する

教師の文脈で授業デザイン

(指導計画の立案や模擬授業)

Society 5.0時代を生き抜く子どもたちの資質・能力を育成する

1 大学、教職大学院での学び

大学・教職大学院での学び

○情報機器の操作・PC、タブレット等

○各種ソフトウェア、アプリ等の使用・ワープロソフト、表計算ソフト・プレゼンテーションソフト、・動画作成・編集ソフト、・QRコード作成、教科で活用できる各種ソフト・アプリ・Google for Education(Googleフォーム)・ Mentimeter

○授業で活用できるコンテンツ、サイト・NHK for School、Officeテンプレート等

Mentimeter Googleフォーム

大学・教職大学院での学び

目標・目的 プログラミング教育の目標・目的

内容 問題解決や様々な活動の手順と、アルゴリズムとの関係※プログラミングに関する学習活動の分類に対応した演習等(※小学校プログラミング教育の手引)

Scratch、viscuit、Lego Wedo2.0Lego SPIKE、EV3、Sphero、micro:bit等

学習指導と 教科の授業に対応したプログラミング教育の評価 授業例(学習指導案)の作成と模擬授業の検

教育課程編成 プログラミング教育と教科指導との関連や、教育課程におけるプログラミング教育の位置付けの検討

大学・教職大学院での学び プログラミング教育

○学習効果の検証• 取り扱ったソフトだけでなく、新たな技術への関心と適切な活用ができるのか

• カリキュラム・マネジメント

○情報活用能力(デジタル読解力)の育成指導• 情報を批判的に読み解く力• 伝える力を身に付けさせるための「指導法」

○先端技術の教育利用に関する実証的研究

教職大学院での学び

引用:文部科学省「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/24/1418387_01.pdf

新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)

1人1台タブレットを使った協働学習

1.科目名:「授業技術の研究と実践」

2.ICT活用の方法と目的• 教科書の構造と工夫を理解する。• 単元を通した発問を考える。など• “ロイロノート”や“Googleスプレッドシート”上で分析の共有、意見交換、蓄積

・本日の授業のように、自らの考えや感想を交流する手段として、スプレッドシートやロイロノートを活用することは有効だと感じた。

・書くことが苦手な児童に、文章の書き換えや並び替えをさせたり、他の児童の作品を参考にさせるなどの使い方ができる。

・休んだ児童の助けになる(復習や連絡など)・(今日の授業は)賛成派はピンク、反対派は青で投稿するような指示を出せば、視覚的にもわかりやすい。また、教師は児童の考えを見取り展開できる。出された意見を分類分けして使いたい。

・体育の時間などで、チームでの作戦を考える際に使いたい。

教科書分析の共有・意見交換

1.科目名:「授業技術の研究と実践」

2.ICT活用の方法と目的• 授業の振り返り(授業のポイントや感想),相互コメント

• Googleスプレッドシートの活用

・スプレッドシートについてだが、他の人からの意見を聞ける(見れる)のは、嬉しい。いろんな人の意見を聞けるのは、自分のためになると考えるからである。また、データとして残せるのもいいと考える。

・他の人のリフレクションは読む機会がなかなかないので、よかった。・考えをコメントすることで、もう一度前回の講義を振り返ることにもなるので、記憶を想起するいい機会になった。

・家庭とも共有できるとよい。・振り返りがポートフォリオされるので、単元の最後に全体を振り返ることができる。

授業のリフレクション(閲覧と相互評価:Googleスプレッドシート)

1.科目名:「コンピュータと教育」

2.ICT活用の方法と目的• 学習成果のまとめをおこなう。

• 同時に編集することで,時短,対話(オンライン・オフライン)の活性化

グループ毎メンバー全員で、同時に編集ができる協働学習支援ソフトウェア(コラボノート)を活用している。・感想(寄せ書き)・新聞作成これらの学習者体験を手がかりに、授業デザインを検討している。

・コラボノートを使うと、グループ全員で同時に同じ用紙に書き込みができるので、とても便利だった。自分の分担記事を書くだけで、同時に編集作業ができ簡単に新聞を作ることができたので今後も活用してみたい。

・グループ別の作業が同時にできることから、これを応用すると学校間交流にも使えるので便利である。・例えば、(道徳の授業では)肯定な意見は青、否定的な意見はピンクなど投稿する時の立場の違いによる色指定の指示を出せば、視覚的にもわかりやすい。また、教師は児童生徒の考えを見取り展開できる。

・新聞、自由記述の縦、横など人数に合わせた各種様式があるので、授業内容によって選択することができる。・書き込みをした時間と書き込んだ人の氏名がわかるので、情報モラルの学習につながるものである。

メンバー全員が同時に作成、編集、発表

AR・VRの授業活用

1.科目名:「フォローアップ研修」

2.ICT活用の方法と目的• 先端技術の教育への利活用がイメージできる。

• 月の満ち欠けのAR教材、地域環境を学ぶVR教材を体験する。

・これがあれば、理科を苦手にならなかった。・子供にとって、空間を理解するのは難しいことがわかった。・ポケモンでARは知っていたが、教育への利用も可能なことがわかった。・校外学習などででARアプリがあると便利だと思う。・VRコンテンツを学校で作ることができれば,町探検などいろいろ使える。・他にも教育用AR・VRアプリはあるのだろうか?

2D上に3Dをイメージする理科教材

センシング技術を利用した授業支援

マイクロホンアレイを用いた話し合い

グループの中央に1台マイクロホンアレイを設置し、発言者の音声を録音した。

話し合いの内容は、座席位置で個人を特定する。

今回の授業テーマは「学級経営の実践と課題」

マイクロホンアレイ(ハイラブル社製):複数のマイクをもつ録音装置。インターネットを介した遠隔操作で話し合いと同時に録音を開始する。録音データは逐次分析サーバにアップロードされ、録音終了後定量化処理される。

話し合いの定量化分析で、話し合いを可視化する

「私はもっと発言していたような気がする」など定量化分析による発言量のグラフの結果と参加者の実感は異なっていることもわかった。グループでの話し合いの状況が把握できた。

本日の内容

1 大学、教職大学院での学び

2 教職課程受講者大学生のICT活用指導力アンケート結果

3 現職以上のICT活用指導力を身に付けるためには

「教育の方法と技術(中・高)」受講生アンケート調査 Google フォーム 令和2年11月20日~28日実施(3年生52名、4年生30名)81名回答(回収率98.8%)

これらの情報機器、教材等を用いた授業実践が必要。

令和元年度学校における教育の情報化の実態に関する調査結果(概要)[確定値]

引用:文部科学省令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)〔確定値〕https://www.mext.go.jp/content/20201026-mxt_jogai01-00009573_1.pdf

大学生用リストには、今後活用が進むであろう機器を追加した。例えば、タブレット電子黒板など。

教員のICT活用指導力チェックリストをもとに作成した教職課程受講大学生ICT活用指導力チェックリスト

引用:文部科学省令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)〔確定値〕https://www.mext.go.jp/content/20201026-mxt_jogai01-00009573_1.pdf

項目A平均77.9%

項目B平均80.2%

項目C平均79.2%

項目D平均83.4%

A 教材研究・指導の準備・評価・校務などにICTを活用する能力B 授業にICTを活用して指導する能力C 児童生徒のICT活用を指導する能力D 情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力※改定された教員のICT活用指導力チェックリストをもとにして作成された教職課程受講大学生ICT活用指導力を調査したもの

ICT活用授業について、現職のICT活用指導力チェックリストの解説を含め、ICT活用授業の演習等を2回実施した後に同じアンケート調査を行った。実際のICT活用授業について具体的なイメージがつかめたため、調査結果が向上し

たと考えられる。

教員のICT活用指導力と教職課程受講大学生ICT活用指導力の比較

「教育の方法と技術(中・高)」受講生アンケート調査 Google フォーム1回目令和2年11月20日~28日(3年生52名、4年生30名)62名回答(回収率75.6%)2回目令和2年12月8日実施(3年生52名、4年生30名)78名回答(回収率95.1%)

教員のICT活用指導力 教職課程受講大学生ICT活用指導力

「教育の方法と技術(中・高)」受講生アンケート調査 Google フォーム2回目令和2年12月8日実施(3年生52名、4年生30名)78名回答(回収率95.1%)

教員のICT活用指導力と教職課程受講大学生ICT活用指導力の比較

本日の内容

1 大学、教職大学院での学び

2 教職課程受講者大学生のICT活用指導力アンケート結果

3 現職以上のICT活用指導力を身に付けるためには

引用:文部科学省 GIGAスクール構想の実現へ https://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_1.pdf

1人1台端末の意味

パソコン室での利用と何も変わらないのではないかなどと考えてしまっていないか。

引用:文部科学省 GIGAスクール構想の実現へhttps://www.mext.go.jp/content/20200625-mxt_syoto01-000003278_1.pdf

1人1台の意味:1人が学校生活の中で同じ端末を使い続けられる。クラウド環境が整う。端末へのインストールをせずに使える。

子供に応じたコンテンツ配信

子供の意見、考えの可視化

子供同士の交流新たな気づき、考えが広がる、深まる

引用:文部科学省 中央教育審議会 初等中等教育分科会 教員養成部会(第117回)会議資料

教育課程における教師のICT活用指導力充実に向けた取組について

(2)教師の ICT 活用指導力の向上方策○ 既に,教員養成段階においては,平成 28(2016)年 11 月の教育職員免許法の改正及び平成 29(2017)年 11 月の教育職員免許法施行規則の改正により,各教科の指導法に情報機器及び教材の活用が新しく追加されることとなり,平成31(2019)年4月から当該内容が盛り込まれた教職課程が始まっている。

○ こうした教職課程の各教科の指導法などの授業において,学生が ICT 活用指導力を確実に身に付けることができるように,教員養成部会においては,例えば,国において作成された,学校における ICT を活用した学習場面や各教科等の指導における ICT 活用に係る動画コンテンツを,大学が授業等において活用するよう促している。また,各大学が,例えば,現職の全ての教師に求められるICT 活用に係る基本的な資質・能力を示した「教員の ICT 活用指導力チェックリスト」等を活用して,大学の個々の授業科目のどの部分でこれらの資質・能力が身に付けられるのかを自主的に検証することを促している。

引用:文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申素案)https://www.mext.go.jp/content/20201113-mxt_syoto02-000011041_7.pdf

○実際にICTを活用した授業を行うために・学校におけるICTを活用した学習場面

・ICTを効果的に活用した学習活動の10の分類例

・各教科等の指導におけるICTの効果的な活用

引用:文部科学省 各教科等の指導におけるICTの活用について【概要】

引用:NITS独立行政法人教職員支援機構 校内研修シリーズ学校におけるICTを活用した学習場面https://www.youtube.com/channel/UCX8totUxdq5No6r9pw_4tiA

これからの大学での学び

引用:文部科学省「教育の情報化の手引」https://www.mext.go.jp/content/20200701-mxt_jogai01-000003284_005pdf.pdf

遠隔授業が実践できる教員を養成する。

現在の遠隔授業の体験が生きる。

より良い遠隔授業を実施する必要がある。

コロナ禍 遠隔授業ができる教員の養成も

引用:文部科学省 GIGAスクール構想の実現のロードマップ

2024年デジタル教科書無償化へ

○情報機器の操作・PC、タブレット、実物投影機、電子黒板・デジタル教科書等

○各種ソフトウェア、アプリ等の使用・ワープロソフト、表計算ソフト・プレゼンテーションソフト、・動画作成・編集ソフト、・QRコード作成・教科で活用できる各種ソフト・アプリ・Google for Education(Googleフォーム)・ Mentimeter

○授業で活用できるサイト等の紹介・NHK for School、Officeテンプレート等

結論:現職以上のICT活用能力を身に付けるために

○よりよい授業づくり

◎情報活用能力の育成を図る

○ICT活用が、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現に

結論:現職以上のICT活用能力を身に付けるために

Society5.0時代に対応するための新たな学びを“学び”、教員としてのICT活用指導力を身に付けるようにします。

令和2年度 玉川大学教師教育フォーラム

ICTを活用した学び-効果的なICT活用に向けて-