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平成 30 年度 第 30 回読書感想画岩手県コンクール 小学校高学年自由読書部門 最優秀賞 「いのり」 軽米町立軽米小学校 4年 小林そらさんの作品 岩手県学校図書館協議会

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平成 30 年度

実実践践事事例例集集

第 30 回読書感想画岩手県コンクール

小学校高学年自由読書部門 最優秀賞

「いのり」

軽米町立軽米小学校 4年 小林そらさんの作品

岩手県学校図書館協議会

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実践事例集の発刊にあたって

会 長 細 川 雅 彦

この度は,関係者の皆様の多大なるご尽力をいただき,岩手県学校図書館協

議会の研究活動振興事業の一つである学校図書館の活用に係る実践事例につい

て発刊できますことに,厚く御礼を申し上げます。

さて,今年度も各地区より学校図書館教育についての優れた実践を多数お寄

せ頂きました。「読書指導」「情報活用」「学校図書館運営」の3つの領域で各

校で実践を重ねて頂き,子供たちの読書に対する意識の向上,情報センターと

しての学校図書館の機能の向上,学校図書館の運営の工夫が十分見て取れる素

晴らしい内容となりました。ご指導頂きました先生方,司書の皆様に心より御

礼を申し上げます。お蔭様で,今年度の第64回青少年読書感想文全国コンク

ールでは,応募総数約419万点のうち,最高賞である文部科学大臣賞を含め

た全部で6作品が入賞を果たしました。大きな喜びに包まれているところでご

ざいます。重ねて感謝を申し上げます。

平成32年度から完全実施となる新学習指導要領には,「学校図書館を計画

的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的・対話的で深い学びに向けた

授業改善に生かす~」と明記されました。児童生徒の健全な育成に向けて,学

校図書館の果たすべき役割は益々増大してまいります。児童・生徒の資質・能

力を高める主体的・対話的で深い学びの実現に向けて,本書がその一助となる

ことを切に願っております。

関係各位のご協力に改めて感謝を申し上げ,実践事例集発刊にあたってのご

挨拶とさせていただきます。

平成31年3月吉日

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目次 ◆小学校◆

「読書活動や読書習慣の充実のための取り組み」

久慈地区SLA 久慈市立霜畑小学校… 1

「読書の習慣化を図る取り組みを通して,進んで読書に親しむ子どもを育てる」

二戸地区SLA 軽米町立小軽米小学校… 2

「子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して」

岩手地区SLA 岩手町立一方井小学校… 3

「読書指導の充実を目指して~主体的な読書習慣を身につけるために~」

八幡平地区SLA 八幡平市立田頭小学校… 4

「子どもたちの読書意欲向上を図る取り組みを通して」

盛岡地区SLA 盛岡市立米内小学校… 5

「読書に親しむ子どもを育てるための取り組み」(読書指導領域)

紫波地区SLA 矢巾町立矢巾東小学校… 6

「地域と連携した学校図書館」

花巻地区SLA 花巻市立八重畑小学校… 7

「子どもたちの読書意欲向上を図る取り組み」

北上和賀地区SLA 北上市立鬼柳小学校… 8

「本との出会い:読書活動推進のために」(読書指導)

胆江地区SLA 奥州市立水沢南小学校… 9

「本に親しむ子どもの育成~10分間家庭読書の取組を通して~」

一関地区SLA 一関市立大東小学校…10

「読書への興味を持たせ,よりよい読書習慣の形成を図るために」

陸前高田地区SLA 陸前高田市立広田小学校…11

「豊かな読書活動の展開」

大船渡地区SLA 大船渡市立立根小学校…12

「子ども達の読書への関心を高める取り組みについて」(読書指導領域)

釜石・大槌地区SLA 釜石市立小佐野小学校…13

「児童の主体的な読書活動の充実を目指して」

宮古地区SLA 宮古市立津軽石小学校…14

「読書への興味・関心を高め、読書経験を広げる取り組み」

岩泉地区SLA 岩泉町立二升石小学校…15

「読書意欲を引き出す図書館教育」

遠野地区SLA 遠野市立青笹小学校…16

「本に親しむ子どもをめざして」

雫石地区SLA 雫石町立御明神小学校…18

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◆中学校◆

「様々な教育活動の場として活用される図書室」

久慈地区SLA 久慈市立夏井中学校…19

「本に親しむ環境の活用と整備」

二戸地区SLA 九戸村立九戸中学校…20

「外部業者や地域図書館と連携した読書推進の工夫について」

岩手地区SLA 岩手町立一方井中学校…21

「読書活動の充実を目指して」(読書指導領域)

八幡平地区SLA 八幡平市立松尾中学校…22

「読書の意欲付けにつながる委員会活動の工夫と図書室の環境作り」

盛岡地区SLA 盛岡市立厨川中学校…23

「図書に親しみやすい読書環境づくり」

紫波地区SLA 矢巾町立矢巾中学校…24

「美術科とのコラボで作るポップ」

花巻地区SLA 花巻市立矢沢中学校…25

「読書活動の充実を目指して」

北上和賀地区SLA 北上市立上野中学校…26

「生徒の読書活動を推進するために」

胆江地区SLA 奥州市立江刺第一中学校…27

「読書に親しむ生徒の育成~読書普及員との連携を通して~」

一関地区SLA 一関市立厳美中学校…28

「読書推進を目指す活動の工夫」(読書指導領域)

陸前高田地区SLA 陸前高田市立高田東中学校…29

「読書活動の充実を目指して」

大船渡地区SLA 大船渡市立綾里中学校…30

「学校図書館運営および読書教育について」(管理運営領域)

釜石・大槌地区SLA 大槌町立吉里吉里中学校…31

「読書活動の充実に向けての取り組み」

宮古地区SLA 宮古市立津軽石中学校…32

「読書意欲の向上に向けた取り組み」

岩泉地区SLA 岩泉町立小川中学校…33

「生徒の読書活動を促す図書館づくり」

田野畑地区SLA 田野畑村立田野畑中学校…34

「改装後の図書室の運営とその活用」

岩手地区SLA 雫石町立雫石中学校…35

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1 学校図書館の概要

本校は、全校児童数 14 名 3 学級の小規模校である。図書室は2階東側にあり、児童の憩いの 場となっている。蔵書数は3,500冊となっており、その他に移動図書館「しらかば号」から、

月に1~2度学級毎に本を借りて、子ども達が利用できるようになっている。 2 具体的実践内容

(1)図書委員会の活動の充実 日常活動である昼休みの貸し出し、読み聞かせなど、年間を

通して全校児童の図書館利用が活発になるようアイデアを出し 合い活動をしている。

(2)図書ボランティアによる読み聞かせ 読書ボランティア「どんぐりころころ」さんとの連携を図り、 読書意欲の向上を目指している。学年に合った内容など、本の 選定にも気を配っていただき、児童は訪問を楽しみにしている。

(3)長期休業中の読書の取り組み 夏と冬の長期休業中には、親子で様々な形態で本を読む「親

子読書」を通して親子のコミュニケーションを深めている。 (4)まなびフェストによる年間目標冊数の設定

年間目標冊数を、低学年 105 冊、中学年 85 冊、高学年 55 冊とし、達成できるように図書委員会と取り組みを進めている。 定期的に図書委員会が読書量調査を行い、読書状況を知らせ、 目標を達成した児童には学期ごとに表彰を行っている。

(5)図書室の環境整備 国語の学習で使用する本や各教科の調べ学習に関連した本の

充実のために、計画的に購入を進めている。本を選びやすいよ うに分類し、学年コーナーの設置などを行っている。

3 成果と課題

(1)成果 図書館環境の整備や委員会活動により、図書に親しむ児童が増えてきている。「まなびフェス

ト」に各学年の読書の目標を明記し、学校と家庭の共通理解のもと読書活動を推進していくこ

とで、意欲の向上が見られてきた。 (2)課題

家庭での読書の習慣化が十分とはいえない。今年度、家庭教育学級で読書についての講演を

実施する予定である。家庭の協力を得ながら読書の習慣化を図っていきたい。

読書ボランティアさんの活動

読書活動や読書習慣の充実のための取り組み 久慈地区SLA 久慈市立霜畑小学校

児童によるおすすめの本の紹介

読書量を示す霜畑っこ読書の木

図書委員会による読み聞かせ

1

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「読書の習慣化を図る取り組みを通して,進んで読書に親しむ子どもを育てる」

二戸地区SLA 軽米町立小軽米小学校

1 学校図書館の概要

本校の図書館教育の目標は,「読書を通して思考を深め,豊かな心情を養う」「図書及び図

書館利用の基礎的知識・技能を育てる」である。本年度の重点として,「読書への興味を持た

せ,学校のみでなく家庭でも読書の習慣化を図る」ことに取り組んでいる。

2 具体的実践内容

(1)図書委員会の取り組み

毎年,11月には図書祭りが計画されている。 さらに,今年度は9月の後半に「くじフェスティ バル」を開催した。1回本を借りると,くじを引 くことができ,当たれば「2冊券」「しおり券」 がもらえ,「はずれ」でも3枚集めれば交換でき ることにした。子どもたちはくじを引きたくて, 毎日たくさんの子どもたちが図書館を利用した。

(2)親子読書の取り組み 年2回,軽米町学区で行われる「ノーメディア

の取り組み」に合わせて,親子読書週間を設定し ている。この期間に親子で読書をし,その感想を 交流する取り組みである。

(3) 週末読書の取り組み

学校では,週1回の朝読書の時間やさまざまな場面で読書をする機会は多いものの,家

庭ではあまり読書をしている様子が見られないという家庭からの意見があった。そのため,

昨年度後半から,毎日の課題である音読を週末には読書に代え,家庭でも読書をする習慣

をつけようと試みている。

(4) ボランティアによる読み聞かせ

読み聞かせボランティアの方と連携し,6月~3月までの期間,月1~2回,朝の読み

聞かせに来ていただいている。本校図書室にはない本,年齢や季節・年中行事に合わせた

本,課題図書など子どもが興味をもつような本を選定して行っている。

3 成果と課題

(1) 成果 図書委員会で行った「くじフェスティバル」により,この時期,図書館利用の子が増えた。も

らった2冊券をフェスティバル終了後に使用することにしたので,継続して図書館利用する児童

が増えると思われる。また,読み聞かせによりいろいろな本にふれる機会になっている。

(2)課題 週末読書を推進してはいるが,どの程度行っているかは,家庭の状況にもよる。本校「まなび

フェスト」の点検項目ともなっているので,結果を見て,活動を振り返る必要がある。

2

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1 学校図書館の概要 本校は、児童数 78 名、6 学級の小規模校である。畑作体験活動、21世紀創造事業、ふるさと体験

活動などでは、地域の方々からたくさんの協力をいただき、取り組んでいる。 図書館教育の目標として、「言葉を学び、感性を磨き、想像力を豊かなものにしていく上で重要な読

書活動を通して、心豊かでたくましい子どもの育成をめざす」「図書館利用の基本的知識、技能、態度

の育成を図る」を掲げている。 読書ボランティアの方々による読み聞かせ、図書委員会による図書まつりなどの活動を通し、子ど

もたちの読書活動がより一層充実することをめざしている。 2 具体的実践内容 (1) 学期・年間読書目標冊数の設定と達成者の表彰

低・中・高学年ごとに学期ごとと年間の読書目標冊数を設定 している。(低:150 冊、中:80 冊、高:60 冊)

学期ごとに読書冊数を集計し、達成者を図書館だよりで紹介。 また、達成賞を配付し、読書意欲の向上を図っている。

(2) 読書ボランティアの方による読み聞かせ 毎月数回、金曜日に読書ボランティアの方が子どもたちの発達段 【委員会児童による】

階や興味・関心、学習内容に合わせた本を読んでくださっている。 読み聞かせの様子】 子どもたちは、読み聞かせの日を楽しみにしている。

(3) 毎日の家庭読書、長期休業中の親子読書の取り組み、すきま読書 家庭学習の中に、毎日数十分程度の読書時間を設定し、実施して

いる(家庭学習カードの読書欄に毎日記入)。本は、手提げかばん に入れ、毎日持ち歩いている。また、机にかけている図書バック には常に本を入れておき、いつでも本を読めるようにしている。 長期休業には親子読書に取り組んでいる。児童は感想と絵で本を 紹介し、親には本の内容や読書への取り組みの様子などについて コメントを記入していただいている。

(4) 委員会活動や縦割り班での読み聞かせ 【親子読書カード】 図書まつり(11 月)では、図書クイズやイラストコンクール、読書ビンゴ、しおりのプレゼン

トなど、毎年図書委員会が内容を工夫しながら行っている。図書まつり期間の朝読書の時間に、

職員によるブックトークも行っている。また、児童朝会では図書室利用のきまりを1年生にも分

かるように劇化して紹介している。 縦割り班の4~6年生が、自分の班の1~3年生のために本を選定・練習を行ったうえで、読

み聞かせをしている。 3 成果と課題 <成果> いつも手が届く場所に本があることで、隙間ができればすぐ読書、という習慣が身についてき

ている。また、学期ごとや年間の読書目標を達成する児童も増えてきている。目標冊数の掲示や

放送での委員会児童による呼びかけの効果も出ていると思われる。 <課題>

まだまだ本の好みの偏りがあり、学習漫画や図鑑しか手に取らない児童もいる。読書の幅を広

げ、様々なジャンルの本に興味を持たせる手立てが必要である。

子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して 岩手地区 SLA 岩手町立一方井小学校

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「読書指導の充実を目指して~主体的な読書習慣を身につけるために~」 八幡平地区SLA 八幡平市立田頭小学校

1 学校図書館の概要 本校は、児童数63名の小規模校である。図書室は、2階建て校舎の2階東角に位置し、南に面した教室 である。図書館司書による本の分類表示や、図書ボランティアによる季節毎の掲示の工夫により、児童が利 用しやすい環境を整えている。蔵書数は約6000冊である。 2 具体的実践内容

(1) 全校朝読書 毎週月曜日、木曜日の朝、8時15分からの15分間を全校朝読書の時間としている。集中して落ち

着いて読書に取り組ませるとなっている。また、学級文庫や市立図書館の本を活用することで読書の 幅を広げることもできている。

(2) ボランティアの方による読み聞かせ 月に1、2回木曜日の朝読書の時間に、地域の読み聞かせボランティア の方々が学級に1名ずつ入り、読み聞かせをしてくれている。児童の実態に 合わせた本を選んでくださり、全校児童楽しみにしている時間である。

(3) 読書環境の充実と整備 図書館の季節ごとの掲示は、地域の読書ボランティアと図書館司書が行っている。工夫を凝らした掲

示、新聞を活用した掲示によってとてもよい環境となっている。図書館の本棚整理や新しい本の紹介 は、図書委員会児童が行っている。みんなが来たくなる図書館にしようと声を掛け合い頑張っている。

(4) 読書月間の取り組み 毎年、6月と11月を読書月間と定め、図書委員会による活動により、読書意欲の向上を図っている。

読書ビンゴ(分類番号ビンゴ)、読書クイズなど、様々な本に親しめるような取り組みをしている。達

成者へは、「〇冊借りれる券」等があたるくじびきや、 手作りのしおりのプレゼント等、工夫を凝らした活動で、 全校児童が多く図書館へ足を運ぶきっかけとなっている。 また、図書委員会では、学期ごとに目標冊数を達成した 児童を紹介し、表彰も行っている。

(5) 家庭と協力した読書の取り組み 1年生の入学時に「100冊親子読書」という冊子がPTAから送られる。図書館にも100冊読書 の本が置かれ、親子で一緒に読書に触れる機会をつくっている。また、2年から6年児童は、「読書日

記」を持ち歩き、週末に家庭で読んだ本の感想を書くことで、家庭でも本を読む習慣づくりを進めて いる。

3 成果と課題

(1) 成果 図書委員会による読書月間の取り組み、地域ボランティアの活動、図書館司書の協力等により、様々 な分野の本に触れたり、たくさんの本を読む習慣が身についたりと主体的に読書に親しむ姿が見られ

ている。 (2) 課題

宿題やテレビ、ゲームに時間を割かれるためか、家庭での読書時間が短い傾向がみられる。本を借り

ても最後まで読むことができない児童もいる。今後も家庭での時間の使い方を呼びかけたり、学校で

も読書の時間を確保したりして、じっくりと本に向き合える環境をつくっていきたい。

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1 学校図書館の概要

本校は,児童数130名の小規模校で,自然豊かな環境の中に位置している。 図書室は,低学年が主に利用する2階「絵本の部屋」と中・高学年が利用する3階図書室の2箇所

に分かれている。毎年,PTAや地域の方々が読書ボランティアとして,読み聞かせや図書室の環境

整備,本の修理などの活動をしてくださっている。さらに今年度は,学校司書も配置され,児童の読

書意欲を向上するための環境づくりに力を入れてきた。 2 具体的実践内容

(1) 図書委員会活動を中心にした取り組み

① 「読書カード」の取り組み 6月に,全校児童が図書室を多く利用することをねら

いとし,高学年は5冊,低学年は 10冊読むことができる 「読書カード」に取り組んだ。カードに取り組んだあと, 児童一人一人が「おすすめの本」を紹介した。写真は, 図書委員が作成したTシャツ型カードで紹介されて いる「おすすめの本」である。

② 読書月間の取り組み 11月3週間を読書月間と位置づけ,図書委員を中心に毎年イベントを実施している。平成3

0年度は次の活動に取り組んだ。 ・様々な本を読むことをねらいとし,「読書ビンゴカード」に取り組んだ。図書委員は,ビンゴ

が揃った児童に引いてもらうくじ,引いた後にプレゼントするしおりや本のサービス券,ぬ

りえなどを作成した。

・児童朝会で,図書委員会による本のクイズを行い,読書月間の意識付けや読書への興味の喚起

を行った。

(2) 学校司書・図書ボランティアの取り組み

① 学校司書による取り組み 学校司書が,蔵書整理などの図書室の環

境づくり,児童へのレファレンスサービス などを行った。6月には,児童の「おすす めの本」として紹介された本コーナーを作 成するなど,季節に合った企画をたてて3階図書室で本の紹介を行った。

② 図書ボランティアによる取り組み 低学年は毎週,他学年は隔週で図書ボランティア朝の読み聞かせをする他,月に一度の業間

読み聞かせを行っている。本の修繕も行い,児童の読書環境を整えている。

3 成果と課題

(1)成果

・学校司書,ボランティア,図書委員会と様々な活動の中で,児童が読書に興味をもつ環境づくり

ができている。

(2)課題

・図書室が学習センターとして機能できるよう,事典,図鑑の充実を図っていく必要がある。

「子どもたちの読書意欲向上を図る取り組みを通して」

盛岡地区SLA 盛岡市立米内小学校

【児童の興味を引く形式で掲示したカード】

【学校司書が作成した 「読書カードで紹介された本」コーナー】

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1 学校図書館の概要

本校は,盛岡市の南方に隣接し,児童数477名,18学級の中規模校である。近年は盛岡となん支援

学校・岩手医大の移転・工事に伴い,学校周辺の環境も大きく変化してきている。図書室は,1階の多目

的教室後方にあり,蔵書冊数は約8,000冊である。また,各階に分館があり,学年のおすすめの本を

中心に配置されている。図書館運営にあたっては,長年にわたって継続されている PTA ボランティア「お

はなしぽけっと」と町から派遣されている図書館補助員の支援によるところが大きい。また,教育振興の

実践主題の中にも読書活動の推進が掲げられている。

2 具体的実践内容

(1)学年分館と必読書

各学年に図書室の分館を設置している。国語科の読書単元の図書や関連

図書から約30冊を必読書として配置し,全員が読破できるよう呼びかけ

ている。目標達成ができた学級には,図書室の学級だるまに金・銀・銅・

黒の目が入ることになっており,児童の励みになっている

(2)図書委員会の活動

図書委員会は,日常活動として,図書の貸し出しと図書整理を行ってい る。また,6月の「読書旬間」,11月の「読書まつり」には,ポスター <図書委員会の読み聞かせ>

作り,読み聞かせ,読書クイズ,読書郵便等を行い,全校で楽しく読書が できるように工夫して活動している。

(3)図書ボランティア「おはなしぽけっと」による活動

毎月,朝読書の時間には,2~3学年への読み聞かせをしていただいて

いる。その他,夏には怪談,読書まつりにはお話会,6年生には卒業に当

たって読み聞かせやストリーテリング・ブックトークに取り組んでいただ

いている。現役の PTA の他,卒業生の父母や地域の方もおり,創立当初か

ら継続した活動がなされている。 <読書まつり掲示>

(4)図書館補助員

他校との掛け持ちではあるが,隔週で図書館補助員が配置されている。

専門的な知識を生かして,本の分類や配架,読み聞かせ,時節にあった掲

示物の作成等,魅力ある図書館作りに取り組んでいる。また,昨年からは,

岩手の昔話や方言を使ったお話にも本校職員とともに取り組み児童に郷土

のすばらしさを伝えている。

3 成果と課題

<成果> <おはなしぽけっとによる「怪談」>

・ 図書担当・図書館補助員・ボランティア・図書委員会,それぞれが連携を図りながら様々な読書推

進活動を行うことにより,児童の読書意欲を高め,読書量を増やすことができた。

・ PTA や教育振興運動の中に「家読」「親子ふれあい読書」が,位置づけられており,家庭を巻き込 んだ取り組みがなされている。

・ 必読書を配置し,読書記録カードを使用することにより,学期毎に振り返りながら,学年・個人の

目標達成に向かって努力する児童が増えた。 <課題>

・ 蔵書が分散しているため,管理が難しく,何年か後のデータベース化の困難が予想される。

・ 多目的教室の中にある図書室であるため,活動の制限がある。また,限られたスペースで,蔵書を

増やすことができない。

・ 必読書の見直しと整備が必要であり,数年にわたる綿密な購入計画を立てる必要がある。

・ 学習における図書館の活用を増やしていきたい。そのためにも,各学年担任と図書館補助員の連携

を図る必要がある。

「読書に親しむ子どもを育てるための取り組み」(読書指導領域)

紫波地区SLA 矢巾町立矢巾東小学校

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1 学校図書館の概要 本校は、全校児童93名の学校である。図書室は、校舎の二階にあり、読書や調べ学習の際に児童が利用してい

る。図書室の中には、読書用のソファーが設備されており、開放的な気持ちで読書をすることができる。職員の研

究会等で、図書室を利用することもある。 2 具体的実践内容 (1) 図書ボランティア(アインブーフ)の活動について

① 朝読書での読み聞かせ 金曜日の午前8時10分から午前8時20分までの10分間に、各学年の教室で本の読み聞かせをしてい

ただいている。各教室に一人のボランティアの方が入ることもあれば、児童が低学年・中学年・高学年毎に

まとまった中で読み聞かせをしていただくこともある。 ② 学習発表会での読み聞かせ

毎年、プログラムの中盤に、図書ボランティアの方による読み聞かせをしていただいている。拡大絵本や、

図書ボランティアの方が手作りした絵本を読み聞かせしていただき、児童だけではなく、保護者や地域の方

も楽しむことができる。

(2) 花巻市立図書館の本の特別読書コーナー 花巻市立図書館から何冊か本をお借りして、その年のテーマに合わせた「特別読書コーナー」を設置してい

る。今年度は、日常生活におけるルールやマナーに関する本を設置し、児童が校外学習にいくときの事前指導

等で活用した。短期間の設置ではあるが、児童は普段読むことができない本に興味をもち、進んで読んでいる。

(3) 親子読書の活動について 2週間に一回、親子読書用の本を持ち帰り、お家の人と読書を行っている。夏休みと冬休みには、親子読書

の本を読んだ感想や心に残った場面の絵を描く「親子読書カード」の課題に全校で取り組んでいる。

(4)図書委員会の主な活動について ① 朝業間休み昼休みの図書当番、図書室の整理・整頓 ② おすすめの本の紹介 ③ スタンプラリーの表彰(6月、11月) 3 成果と課題 (1) 成果 ・学校だけで行える読書指導に加えて、地域の方が児童のための読み聞かせ等を通して読書の楽しさを伝えてく

ださり、児童が読書に興味をもつことができている。 ・保護者や地域の方と連携することにより、児童の読書の実態を保護者や地域の方にも知ってもらえる。 (2) 課題 ・年々図書ボランティアの方が少なくなっており、人数を確保することが課題である。

「地域と連携した学校図書館」 花巻地区SLA 花巻市立八重畑小学校

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1 学校図書館の概要

本校は、全校児童数269名の中規模校である。「読書指導の充実をめざし、望ましい読書生活の

推進を図る。」「図書委員会の活動を活発かつ工夫あるものにし、図書館利用を推進させる。」を重点

に運営を行っている。蔵書冊数は、7770冊で、学年の要望を取り入れながら各分類のバランスを

とった図書の購入を行い、さまざまなジャンルの図書を子どもたちに提供している。今年度からは、

保護者に加えて地域の方々の図書ボランティア活動もスタートした。

2 具体的実践内容

(1)校内における読書指導

①読書タイムの設定

毎週月曜日の朝活動の時間を「朝読書」として設定している。児童は、集中し

て読書に取り組んでいる。また、6月の読書強化月間には、一週間の期間を設定

して、朝読書活動を行っている。

②図書委員会の活動

日常の活動の他に、6月・11月の読書月間に合わせた活動に取り組んでいる。今年度は、読み

聞かせと、スタンプカードを作成し、目標冊数を達成したら図書委員作成の栞をプレゼントする活

など、児童が楽しみながら読書をする工夫をしている。また、各月の活動として、図書委員による

おすすめの本の紹介、先生方のおすすめの本の紹介なども行い、全校児童が本に親しめるような環

境づくりに取り組んだ。

(2)家庭との連携

土日の週末読書、長期休業を利用しての親子読書の取り組みを行っている。また、年2回の家庭

学習強化週間には、テレビやゲームを消して読書に取り組む等、家庭と連携して読書習慣の育成を

図っている。

(3)図書ボランティアの活動

毎週水曜日の午後に図書ボランティア活動日を設定している。主に、図書館

の環境整備に関わる活動を行っている。月ごとの掲示、新刊図書の紹介等、児

童が利用しやすく親しみやすい図書室づくりをしている。また、地域の方々の

図書ボランティア活動も始まり、月曜日の朝活動時間の読み聞かせ活動を行っ

ている。児童は、図書ボランティアの読み聞かせを楽しみにしており、お話の

世界にひたっていた。

3 成果と課題

<成果>

・環境を整えたり、読書のきっかけをつくったりすることで、読書に親しむ児童が増えてきている。

<課題>

・読書量の個人差や、手に取る本のジャンルの偏りが見られる。読書に興味を持たせる手だてや

さまざまなジャンルに興味を持ち手に取りやすくする環境づくりの工夫が必要である。

「子どもたちの読書意欲向上を図る取り組み」

北上和賀地区SLA 北上市立鬼柳小学校

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「本との出会い:読書活動推進のために」(読書指導)

胆江地区SLA 奥州市立水沢南小学校

1 学校図書館の概要

本校は、児童数661名、学級数22(特支2)の大規模校である。図書室は、北校

舎2階の西端に位置しているが、多くの児童の利用がある。蔵書数は11,244冊で、

その中から、各学級に推薦図書、学級文庫(1・2年50冊、3~6年30冊)を設置

し、身近な図書利用の便を図っている。司書は、常勤で1名配置されている。また、地

域の方の図書ボランティアとして読み聞かせや図書環境整備の支援により、読書をする

環境が整うことで、児童の読書意欲にもつながっている。

2 具体的実践内容

(1)読書冊数宣言書

どんな本を、どれくらい読むという種類や冊数の目標を宣言し、読書を意識した期

間を設定する。目標達成学級に認定書を発行する。

(2)ボランティアによる朝の読み聞かせ(年間)

各学年2回、学級毎に2・3冊の読み聞かせをしている。

児童は、毎回、楽しみにしていて、読み聞かせしてもらった

本に興味をもち、図書室に借りにくる。

(3)図書委員会の活動

① 校内読書週間(6月・11月)

図書委員おすすめの本の紹介、1・2年生への読み聞かせ ② 読書郵便 (7月・10月)

友達や異学年、先生におすすめの本を紹介し、児童間の交流を深め、読書の楽し

さを広げる。

③ 先生へのインタビューランキング

先生おすすめの本を18冊ずつ、年間100冊以上の本を展示し、貸出している。

④ 図書まつり

校内の読書感想文、読書標語、読書郵便の各コンクールの実施と表彰

図書委員の出し物、ボランティアの読み聞かせなど

(4)読書ビンゴ、ジャンルに挑戦(10月~11月)

本は、様々な種類があること、0~9の分類に分かれていることを知ることを目的

とし、1年は、ビンゴカード、2年以上はジャンルカードで挑戦する。児童は、普段

借りない本に出会い、いろんな本を発見する喜びを感じている。達成者には、2冊貸

出券のプレゼントをして、意欲化も図っている。

(5)読書の記録(6月・11月・1月)

読んだ本の中から1冊選び、簡単に感想等を記録したものを

水沢南小ギャラリーに掲示し紹介している。

(6)新着図書展示会 新着図書は、貸出前に図書室に展示し、全児童へ紹介後、貸出

をする。新着図書の展示により、児童の貸出の意欲も増している。 (7)親子読書

本を通して家族が一緒の時間を楽しむことが目的である。 (8)2冊貸出券プレゼント(夏休み後、冬休み後)

3 成果と課題

「本との出会い」を多くの児童に届けるためにいろいろ取り組みを試みている。これま

でに積み重ねてきた実践は、本への興味関心へとつながり、読書意欲向上の効果をあげ

ている。ほとんどの児童は、読破目標を達成している。一人でも多くの児童が、図書室

を身近に感じ、いろんな本と出会い、「自分だけの1冊」を見つけられるよう進めてい

きたい。

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1 学校図書室の概要

大東小学校は、摺沢・渋民・曽慶の3地区にあった摺沢小学校・渋民小学校・曽慶小学校の3小学校が統合し、平成

25年4月1日に誕生した。

校舎は、各地区の概ね中間地点の丘陵にあり、東に室根山、北に蓬莱山、西に束稲山、そして南北を流れる砂鉄川や

曽慶川と「室蓬譲水の里」と呼ばれている地域にふさわしい豊かな自然環境に恵まれた場所に建設された。

蔵書冊数は13,083冊。図書室は1階の児童昇降口付近に位置し、児童や職員が必ず通る恵まれた環境にあり、

読書普及員と図書委員会、そして毎週月曜日に来校する読書ボランティアが中心となって図書室整備にあたっている。

2 具体的実践内容

(1) 家庭読書の取組

ア ねらい

・保育園(幼稚園)で使う出席ノート(10分間読書カード)を活用し

家庭での読書習慣の定着を図る。 【保育園の出席ノートを活用

イ 読書カードの使い方 した10分間家庭読書カード】

・子供は、親(家族)が見ているところで、10分間の家庭読書を行う。

・実施できたら、お家の方は読書カードのカレンダーにシールを張る。

・子供の発達段階により、1年生等は、読めるようになるまでは、10分間の

読み聞かせでも可とする。

・ラッキーシール(けっせきシール、しゅっせきていしシール、きゅうえんシ 【シールに検印する読書普及員】

ール)は、月3枚まで貼ることができる(その3日間は、読まなくても可)。

・全部シールが貼れたら、「ごほうび」のところに、キラキラシールを貼る。

・読書カードは、毎日連絡帳と一緒に連絡袋に入れて持ち運び、必ず担任の

先生に提出する。

・担任は、受け取った読書カードを読書普及員に渡す。

・読書普及員は、受け取った読書カードを点検し、検印を押して担任に戻す。 【季節に応じた装飾】

ウ 結果

・ほぼ全ての子供達が、10分間の家庭読書に取り組めるようになった。

3 成果と課題

(1) 成果 【ボランティアによる作業】

・保育園で使う出席ノートを活用することにより、子供達はシールを貼る活動を楽しみながら、毎日10分間の家

庭読書に取り組むことができるようになり、短い時間ではあるが、家庭読書が習慣化された。

(2) 課題

・家庭読書の習慣化が崩れないように新たな企画を考えながらマンネリ化を防ぎ、徐々に10分間の読書時間を少

しでも長くなるよう工夫したい。

「本に親しむ子どもの育成~10分間家庭読書の取組を通して~」

一関地区SLA 一関市立大東小学校

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「読書への興味を持たせ,よりよい読書習慣の形成を図るために」 陸前高田地区SLA 陸前高田市立広田小学校

1 学校図書館の概容 本校は児童数120名で,沿岸南部の最南端である広田半島に位置している。図書館は,太平洋を

望む2階東端の明るい場所にあり,夏は海からの風が,冬は朝からの日差しが気持ちの良い空間で,

利用する児童で毎日のように賑っている。 2 具体的な実践内容 (1) 昼の読書タイム

昨年度までは,月曜日の朝活動だけが読書の時間であったが,読書の時間を増やそうと日課表の

見直しを行い,今年度から木曜日を除く毎日5校時前の15分間を昼の読書タイムとして設定した。 (2) 読書環境の改善

ブックトラックを活用して,国語の教科書関連の図書を各学年に配架し,いつでも手に取れるよ

うにしている。また,市立図書館の移動図書館車の巡行が再開したことにより,読みたい本を選ん

で毎月借り直すことが出来るようになったことで,読書環境がさらに改善されている。 (3) 記録カードと2冊貸出券

図書館を利用するときの貸出カードには,10冊目の返却印を押すところに2冊貸出券がもらえ

るように表示している。また,移動図書館車用,市立図書館に行っ

て借りた本用と,色を変えて3種類の記録ができるようにしている。 (4) 読み聞かせ

市の図書教育指導員が週に一回来校するので,全学年を対象に学

年ごとに交代しながら読み聞かせを行っている。また,給食時の放

送を利用して,教員が選ぶ本や新聞記事などを毎月1~2名が交代

で紹介している。毎年一回,市内の読み聞かせボランティアの皆さんのご協力を得て,学団ごとに

読み聞かせを継続している。 (5) 11月の校内読書月間と6月・2月の校内読書週間の取組

6月は,読んだ種類に合わせてスタンプを押し1ビンゴ達成する度に2冊貸出券がもらえる「ビ

ンゴカード」,11月は学級全員が読破目標を達成すると完成する「ジグソーパズル」,2月は市全

体で取り組んでいる「おすすめの本(読書プラン)」を読むと市の花である椿の花が咲くように貼っ

ていく「読書の木」の取組を行っている。 11月の読書月間には,上学年と下学年がペアを組んで読み聞かせをしたり一緒に読んだりする

「なかよし読書」を実施している。 新刊図書から図書委員おすすめの本を選んで,昼の放送で話したり掲示したりして紹介している。

また,全児童が一冊「わたしのおすすめの本」をカードに書き,学年ごとにまとめて掲示している。 (6) 「親子読書」と「家読」

週末には家庭読書をするように音読カードに明記して全学年が「家読」に取り組んでいる。長期

休業中には家庭で計画して行い,やってみた感想をカードに書く「親子読書」を毎年継続して行っ

ている。今年度は,11月の読書月間にも取り入れ,家庭と連携を図った読書の取組をしている。 3 成果と課題 学期ごとに表彰している読破目標達成者に贈られる多読賞の受賞者は,昨年度の29%から46%

に増えた。様々な取組により,読書が児童にとって身近なものとなってきていることは大きな成果と

言える。しかしながら,学年が上がるにつれて図書館への足が離れ,高学年の読書量や時間を増やす

ことが長年の課題となっている。家庭や地域と協力して,よりよい読書習慣の形成を図っていきたい。

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1 学校図書館の概要

本校は,児童数192名,11学級(特別支援学級3学級)の学校である。図書室は2階にあり,オー

プンスペースとなっているため,児童が自由に本を手に取って眺めたり,座って本を読んだりできる環

境にある。図書室に来て静かに本を読んでいる児童も見られ,長期休みには毎日本を借りに来る児童も

多い。

2 具体的実践内容

(1)朝読書 毎週月曜の朝活動の時間帯に実施。低学年は地域の読書ボランティア「こころ」

による読み聞かせを実施している。

(2)読書ノート 本の題名やおすすめ度を記録している。

学年毎に目標冊数(1年 100 冊,2年80冊,

3年70冊,4年60冊,5・6年50冊)を

設定し,目標冊数を超えた児童に多読賞を贈って

いる。また,図書室から借りる目標冊数も設定し,

図書室にも足を運ぶよう工夫している。

(3)読書強化月間 6月と11月の年2回,図書委員会の児童と一緒に取り組みを行っている。

読書量を増やすことと,いろいろな本と出会うため

に,図書委員会の活動として取り組んでいる。

6月・・・図書委員のおすすめの本の紹介や「読書の木」の取り

組みなど,毎年,児童と話し合って活動を進めている。

11月・・・「図書館まつり」の実施。図書委員会中心で進める集会

の部と各学級で行われる読み聞かせの部に分けて実施。

読書ボランティアの「こころ」と「おはなしころりん」

に依頼して,全学級で読み聞かせをしている。また,

図書館まつりの後には,「図書館ビンゴ」を行い,

図書館にある様々な種類の本を読むように呼びかけている。

(4)親子読書 冬休み中,親子で読書をし,カードに感想を書く。普段は親子で読書をする時間のな

い家庭も多いので,貴重な機会となっている。

3 成果と課題

移動図書館や読書ボランティアのおかげで,教室には常時,50冊程度の本が置いてある。そのため,

児童は多くの本を手にする機会があり,読書ノートへの取り組みにも意欲的な児童が多い。また,図書委

員会のおすすめ本の紹介などの取り組みにより,図書室へ足を運ぶ児童も増えてきている。

一方,課題としては,学年が上がるにつれ,読書への関心や読書時間の個人差が大きくなっていること

である。今後も学級担任や地域の読書ボランティアの方々と連携しながら,子ども達が進んで本を読む

ような活動を工夫していきたい。

「豊かな読書活動の展開」

大船渡地区SLA 大船渡市立立根小学校

「こころ」による読み聞かせ」

「図書委員おすすめ本の紹介」

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「子ども達の読書への関心を高める取り組みについて」(読書指導領域) 釜石・大槌地区SLA 釜石市立小佐野小学校

1 学校図書館の概要

本校は、学級数が15、児童数が297名である。小佐野小学校のすぐ近くに、釜石市立図書館があり、

児童は放課後に市立図書館で読書をしたり、調べものをしたりと、学校図書館と市立図書館の両方を上手に

利用している様子がうかがえる。図書室の蔵書冊数は約12,000冊である。各学年のワークスペースに

図書室で廃棄になった本を置くなど、児童が読書に親しめる環境を作っている。 2 具体的実践内容

(1)並行読書の取り組み

国語や総合的な学習、生活科で使える本がそろっている。使いたいときにすぐに使うことができるよう

に、昔話や宮沢賢治など種類ごとにまとめて整理している。また、教科書に載っている図書をすべてそろ

えることで、並行読書をする際に、できるだけ、一人ずつに図書の本がいくようにしている。図書室だけ

に本を置いておくのではなく、各教室のワークスペースに配置することで、その学習に関係する本を児童

がすぐに手にすることができる環境づくりを行い、本に触れる良い機会ともなった。 (2)貸し借りしやすい環境づくり

年度のはじめにカードを配り、借り方や返却の仕方を確認しているの だが、借りた本をもとの場所に返せないという児童が多かった。そこで、 新刊図書に星マークを付け、返す場所を示す環境づくりを行った。分類

番号が分からない低学年の児童やひらがながまだ読めない1年生の児童 など、星マークを頼りに返却する児童が増えた。また、図書委員もそれ までは、図書整理に多くの時間がかかっていたが、素早く整理できるよ うになった。それは、児童が本を探す手掛かりにもなっている。

(3)図書ボランティアによる読み聞かせ 読書に興味をもたせるために、図書ボランティアの「颯2000の会」

さんと協力し、読み聞かせを各学年1回ずつ行った。1時間の中で3冊 から4冊の本を読んでいる。季節にあった本や釜石が舞台の本や昔釜石 であったことなど、様々なジャンルの本を読んでもらうことで、多くの 本と出合うことができた。また、普段読まない分野の本を読んでもらう こともあり、「この本読んでみたい。」など、読書への意欲へとつながっ ていた。児童はじっくりと本と向き合うことができていた。

3 成果と課題

<成果> ・並行読書や図書ボランティアによる読み聞かせにより、普段読むことがない分野の本へも関心が広がった。 ・関連図書は学年のワークスペースに置き、学習が終わってもまとめて置いて、まだ読みたいという児童が

見つけやすくしたことで、読書活動の意欲へとつながった。 ・返却の目印をつけることで、自分から進んで借りた場所に本を戻そうとする児童が増えた。また、分類番

号にも少しずつ興味をもって、返すことができる児童も増えてきた。 <課題> ・進んで本を借りている子がいる一方、読書に興味がなかったり読書の傾向が偏っていたりする子も多い。

特に、高学年の読書冊数が少ないことから、読書に興味をもたせる手だての工夫が必要である。 ・新刊図書の受け入れだけでなく廃棄する本の処理を進め、より借りやすい図書室の環境を整えていく。 ・新刊図書だけでなく、蔵書も返しやすいような工夫をしていく必要がある。

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1 学校図書館の概要 本校は、全校児童が 155 名の小学校である。学級数は、1~5 年生までが 1 学級ずつ、6 年生 2 学級、

特別支援学級 2 学級の合計 9 学級となっている。本校の図書室は 3 階に配置されており、今年からバー

コードを導入して貸し出しを行っている。本校では、まなびフェストの中でも学年に応じた年間の読書目

標を定め、その達成に向けて児童が積極的に読書活動に取り組めるよう、委員会やPTAのボランティア

などの活動も生かしながら読書活動の充実を目指している。 2 具体的実践の内容 (1)まなびフェストの年間読書目標と多読賞の表彰 低学年・・・70 冊 中学年・・・50 冊 高学年・・・35 冊 以上の年間目標を達成するため、学期ごとに到達目標を定め、学期の目標冊数を達成した児童には図

書委員から多読の表彰を行っている。学期ごとに目標を定めることで、児童の読書への取り組み状況を

確認しながら指導することができた。 (2)朝読書の取り組み(月・水 8:00~8:10) 図書室で借りている本や学級文庫、市立図書館の団体貸し出しの本から読みたい本を選び、児童それ

ぞれが読み進めていることが読書の習慣づけとなった。 (3)ボランティアや図書館支援員との連携

(ア)図書ボランティア「お話ポケット」による読み聞かせ 本校の保護者の方を中心に構成された「お話ポケット」に来てい

ただき、数回、各学級に読み聞かせを行った。発達段階に合わせた 本を選んでいただいており、様々な種類の本に触れる機会となった。 (イ)図書館支援員と連携した図書室の環境整備 図書室の配架や掲示等、図書室の環境整備を図書支援員が

担当して行っている。図書室には、季節ごとのおすすめの本や 新刊図書、郷土出身作家の著書をコーナーにして配置してい る。また、毎週金曜日には昼の放送で読み聞かせを担当し、子

どもたちに本を紹介している。 (4)委員会での取り組み 年に 2 回の読書週間を、図書委員が中心となって取り組んでいる。6 月には、図書室の本を使ったク

イズや紙芝居、本の表紙を用いたしおり作りを行い、図書室に足を運んでもらえるよう企画を立てて行

った。 3 成果と課題 ○朝読書や読み聞かせの定期的な開催により、普段から読書活動に親しむことができた。また、まなびフ

ェストを生かし目標をもって読書活動を進めることができた。

●高学年になるにつれて、ゆっくりと読書に取り組める時間が減り、年間目標の達成にも影響している。

並行読書の充実等、読書の幅を広げていきたい。

「児童の主体的な読書活動の充実を目指して」 宮古地区SLA 宮古市立津軽石小学校

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1 学校図書館の概要 本校は、全校児童10人の小規模校である。図書コーナーは1階にあり、全学年が利用しやす

い。蔵書数は、約2000冊である。図書コーナーでは、各教科の授業内容に合わせて並行読書

ができるようブックトラックを活用し、本が児童の身近にある環境づくりを心掛けている。開館

は昼休みのみだが、給食を食べ終わった後に本を借りるという習慣が身についている。

2 具体的実践内容

(1)朝読書の実施

毎週金曜日に朝読書を行っている。この取組が1時間目の心の準備となっており、落ち着

いて取り組むことができている。

(2)教職員による読み聞かせ

毎月第2火曜日に読書朝会を行っている。そこでは、 教職員による読み聞かせを行い、児童の読書意欲の向 上や幅広い種類の本への興味・関心を高めている。

(3)図書委員会による活動 ①ポップ作り

自分のお勧めする本にポップを作り、多様なジャンルの本を読んでもらおうと取り組ん

でいる。図書委員会も本を手にとってもらえるよう、ポップの文章をわかりやすく考えて

書くようになってきた。 ②図書ビンゴ

11月の読書月間を「図書祭り」として、図書ビンゴを行っている。「秋の本」「図書委

員会お勧めの本」「100ページ以上ある本」など、多様な本が読めるよう、各学年に4

×4マスのビンゴカードを配布した。その結果、今まで存在を知らなかった本や新たな本

との出会いを楽しむようになり、読書意欲がさらに増した。

3 成果と課題

成果 子どもが図書館へ行きたくなる取り組みや環境整備が読書を習慣付けることにつなが

り、

多くの本との出合いを楽しむことができた。

課題 家庭での読書習慣が十分に身についていないことが課題として明らかになっている。家

庭と連携を図り、家庭読書の習慣化に努めたい。

「読書への興味・関心を高め、読書経験を広げる取り組み」 岩泉地区SLA 岩泉町立二升石小学校

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1 学校図書館の概要

本校は、全校児童135名の学校である。図書室がなく、各学年

の教室前の廊下の並びに図書コーナーとして本棚が設置されている。

床暖房となっており、椅子等はなく、床に座って読書ができるよう

になっている。また、各学年の発達段階に合わせた本の配列になっ

ており、教室を出れば自分の年齢に合った本が、すぐ手に取れるよ

うになっている。(今後は、十進分類法を基本に並び替えて行く予定。)

2 具体的実践内容

○朝読書 図書コーナー

本校では、木曜日を除いて、毎朝8:15~8:30までの15分間を朝学習の時間としており、月曜日は

音読、水曜日は朝読書、火・金はドリル学習に取り組んでいる。毎週水曜日にある朝読書の時間のうち、第1・

3水曜日は「図書館ボランティア」による読み聞かせの時間となっている。

○「図書館ボランティア」の活動

本校では毎年、地域や図書館関係者中心に、10名前後と1団体に「図書館ボランティア」として登録して

いただき、常時3~4人体制で活動していただいている。主な活動は、次の通りである。

(1)図書表紙のコーティング

(2)背表紙などの修繕

(3)図書コーナーの装飾

(4)図書の修繕と図書館視察研修

(5)学年ごとに「おすすめの本」の紹介(2ヶ月毎更新)

(6)読み聞かせと昔語り

(7)図書まつりでの図書委員会との合同活動

・「読み聞かせ」

毎年5月~2月までの、第1水曜日と第3水曜日に「読み聞かせ」

を行っている。基本的に、低学年、中学年、高学年の3つに分かれ、

常時3~4人のボランティアが読み聞かせを行っている。 多目的ホールでの読み聞かせ

・「図書修繕講習会」

今年度、図書を大切にする心を育てるために、保護者にも呼びかけて「図書修繕講習会」を実施した。

参加人数は多くなかったが、学校の図書のみならず、家庭での本も修繕できる技術を身につけられること

から、今後も根気強く呼びかけて行きたいと考えている。その後、図書委員会でも講習会を実施し、児童

自らが本を修繕する技術を学んだ。

「保護者への修繕講習会」 「図書委員会での修繕講習」 「図書委員会での修繕講習」

「読書意欲を引き出す図書館教育」 遠野地区SLA 遠野市立青笹小学校

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・「図書まつり」

毎年11月に、図書館ボランティアと図書委員会が合同で、「図書まつり」を行っている。今年度のテ

ーマは「ことばをおくる・こころをおくる・おもいをおくる図書まつり」として実施された。

主な内容は、図書員会による「本を大切にすることについての話」と、副校長による「紙芝居」、「スタ

ンプラリー」の3つであった。1時間という短い時間ではあるが、全

校で楽しむことのできる活動となっている。図書ボランティアと担当

者の話し合いにより少しずつ内容が変化してきている。今は「お祭り」

というよりは、いかに「いい言葉」にふれさせるかを重点に「図書ま

つり」が行われている。

○「読書週間」

図書委員会の取り組みとして、11月~12月にかけての2週間「読 「ピックアップ本コーナー」

書週間」が設定されている。重点的な取組は次の4点である。

(1)「お気に入りの本を見つけよう!読書週間」

・予め期間の目標冊数を決め、達成したら多目的ホールにある本

棚(読書目標冊数達成ボード)に貼る。

(2)「ぼく、わたしの、ベストブック」

・自分でいいなと思った本や家の人に読んでほしいと思った本を

読み、その中から1冊選んで感想を書く。家の人からコメント

をもらう。 「読書目標冊数達成ボード」

(3)「お気に入りはどれ?ブックランキング」

・図書委員会が選んだ本の中から1冊選んで投票する。投票は「図書まつり」の時間帯。結果は、児

童朝会で発表する。

(4)「ことばをおくる・こころをおくる・おもいをおくる」図書まつり

3 その他の取組

本校では、「週末の親子読書」「読書カードの記録」等の活動も行っている。特に週末(土日)のどちらかに読

書をすることを目標に、6月と11月と2月の3回記録し集計を取っている。ちなみに、6月と11月の取組期

間中の土日のどちらかで読書をした児童のパーセンテージは次の通りであった。

月 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 全体

6月 79% 67% 89% 70% 88% 69% 77%

11月 75% 90% 75% 70% 90% 90% 82%

11月の集計では、全校児童の約8割が週末読書をしているという結果がでた。今後も取組を続けていきたい。

4 成果と課題

成 果

・図書に関わる様々な活動を展開することで、読書に興味を持ち、進んで読書をする態度が身についてき

ている。また、読書を通してお互いのコミュニケ-ションが図られるようになってきた。

課 題

・図書コーナーをどのように魅力的にし、利用しやすいようにするかを更に考えていく必要がある。

・読書の「量」から「質」への転換も図っていく必要がある。授業と密接に関わる図書コーナーを創り出

す必要がある。

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1 学校図書館の概要 本校は、北に岩手山、西に秋田駒ヶ岳をのぞみ、校庭の目の前を秋田新幹線こまちが通るなど、景

観に勝れた場所にある、全校児童87名の小規模校である。今年度より、橋場小学校と御明神小学校

が統合し、新たに御明神小学校としてスタートした。 学校図書館は校舎の2階にあり、保護者や地域の方による読み

聞かせボランティア「みかん」が季節に応じた装飾を行い、児童

の興味・関心を喚起しながら図書に親しめるようにしている。 2 具体的実践活動 ① 読み聞かせ活動

保護者や地域の方による読み聞かせボランティア「みかん」が、月に1回程度、朝読書の時間に読

み聞かせを行っている。現在4名の方が所属しており、季節や

学年に応じた本を読んでくださるので、児童も毎回楽しみにし

ている。

また、町の読書ボランティア「おはなしの雫」に年に5回の読

み聞かせをお願いしており、各学年に1回ずつ(1、2年は合同

で)読み聞かせをしていただいている。

② 朝読書と家読の継続

朝活動として、週に3回、担任と共に朝読書を行っている。読んだ本は、「本となかよしカード」に

記入し、読書の記録としている。

家読を家庭学習に位置づけ、本の題名や読んだ時間を記入している。

③ 図書委員会の活動

6月に読書祭りとして「読み聞かせ」「読書クイズ」を行った。

低学年向け、高学年向けと分けて行い、全校児童が楽しんだ。年

間目標読書冊数を決め、学期ごとに目標達成者には多読賞を配

付している。11月の読書月間には、図書委員のおすすめ図書を

紹介した。

3 成果と課題

朝読書や家読の取り組みが定着し、本が身近にいつもある環境が整ってきている。1学期の目標冊

数達成は100%で、意欲的に読書活動に取り組むことができている。統合した橋場小学校からの蔵

書の受け入れ整備を行い、児童が興味をもって様々なジャンルの本を手に取り読めるように、学校図

書館をより充実させていきたい。

「本に親しむ子どもをめざして」 雫石地区SLA 雫石町立御明神小学校

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1.学校図書館の概要 本校は、久慈市の北に位置し全校生徒58名の小規模校である。学校の特色としては、地域に伝わる神楽の

伝承活動や、体力向上を目指した生徒会中心の体力アップ活動に積極的に取り組んでいる。夏井川が流れるの

どかな田園地帯の中で、地域の方々に見守られ、生徒たちは素直に伸び伸びと学習や行事に励んでいる。本校

の図書室は、二階の南西の角に位置し、生徒たちがよく使用する階段のすぐ横にあるため利用しやすい環境で

ある。そのため、様々な集会活動や行事の活動場所、教育相談や面談にも利用されたり、合唱練習のためのピ

アノが置かれてあるなど図書室以外の機能を果たしている側面も大きい。 2.具体的実践内容 (1)本に親しみやすい図書室の環境と整備 毎朝8:25~8:35まで朝読書を実施している。本を読むことへの抵抗は見られないが、内容につい

ては「いわ100」や国語などの授業を通して考えていくことが必要である。読む本は、主に自分の本であ

るが、久慈市の巡回図書を活用する生徒も増えてきた。 昼休みは、13:05~13:35であるが、前後が給食と清掃に挟まれているため実質15分程度であ

る。様々な活動や、体育館で過ごす生徒が多いため、図書室を利用する生徒は少ない現状である。 新刊図書の選定は、図書の管理の仕事をしている学習委員会の生徒に任せている。自分たちの選んだ本が

図書室に配架されることを楽しみにしている。選定した新刊図書は、特設コーナーを設置しカウンターの前

に平積みをすることで誰もが手に取りやすい工夫をしている。 (2)生徒の活動を中心に据えた多目的ホールとしての図書室 全校朝会や学年・全校集会等の集会活動、体育祭・文化祭・生徒総会など行事の時の活動場所として使用

されている。室内にピアノが設置されており、合唱活動ができる環境になっている。また、暗幕も常備され

ており、全校生徒を対象として講演会も頻繁に実施している。 (3)授業や教育相談の場としての活用 各教科の調べ学習や読書単元等の中で活用している。また、室内はパーテーションで仕切られる構造とな

っており、教育相談期間には生徒の相談の場としても活用している。 3.成果と課題

<成果> ・生徒が自ら新刊図書を選定したことで、図書室や読書への関心が高まったと思われる。昼休みに新しい本

を読むために図書室にくる生徒が増えた。 ・様々な活動に図書室が活用されていることで、生徒にも気軽に活用する雰囲気が浸透し、活動の待ち時間 等に図書室で読書をする姿が増えた。

<課題> ・使用の目的により、テーブルや椅子などの配置を変えるため、読書空間としては落ち着かい環境である。

今後は学校の中の図書室の在り方を検討していかなければならない。 ・図書室の環境整備については、現状では十分な時間が取れない。小規模校のため、生徒も教師も複数の役

割を担って図書室経営に手が回らない実態である。図書ボランティアや専任の司書教諭の配置が望まれる。 ・年間の教育活動や教科経営において、十分な読書時間を保障するのが困難である。家での読書が期待でき

ない家庭も多く、今後は学校で「読書の時間」を設定するなどの手立ても考えていく必要がある。

「様々な教育活動の場として活用される図書室」 久慈地区SLA 久慈市立夏井中学校

19

Page 24: 岩手県SLA - 平成30年度 実践事例集iwate-sla.jp › H30jissennjireisyuu.pdf久慈地区SLA 久慈市立夏井中学校…19 「本に親しむ環境の活用と整備」

1 学校図書館の概要

本校は生徒 151 名からなる学校である。学校図書館は教室のある棟の1階にあり、書架は壁に沿って作

られているので、比較的入りやすい空間となっている。年間を通じて朝読書を実施しており、新聞・図書

委員会の生徒が朝読書用の本を学級文庫として選定し、各学級に設置している。これらは月毎に入れ替え

を行っている。蔵書は、今年度教科書関連図書を中心に購入したが、絵本から話題の本まで幅広い年齢に

対応したものを取り入れている。貸し出しは昼休みに行い、新聞・図書委員会が当番を決めて行っている。

本校には村から読書普及員が月に1回程度派遣されており、蔵書管理・整理や廃棄の補助の他、読み聞か

せ等も行っている。また、地域の図書ボランティアも入り、ブックコートかけや掲示装飾等の補助をお願

いしている。

2 具体的実践内容

(1)読書センターとしての機能の充実

生徒が興味・関心を持つような本を面を出して置き、ポップをつけて

紹介している。季節や行事、時事問題、話題になっている本などの特集

スペースを設け、読書の意欲の喚起を図っている。「いわ 100」にある

本や教科書関連図書のコーナ-を独立書架として設置し、授業で紹介し

たり図書だよりで紹介したりしている。

(2)学習・情報センターとしての機能の充実

国語でビブリオバトルの場として利用したり、社会で新聞スクラップ

を作る場として利用したりするなど、授業での積極的活用を図っている。

また、総合の時間等にも活用できるよう、例えば職場体験に向けた職業

関連の図書や、地域に関わる図書等の充実を図っている。授業の資料と

しての戦争に関わる本、岩手の文学に関わる本等も、スペースを設けて

いる。

(3)配架・掲示の工夫

おすすめ本の紹介コーナーの他、地域のボランティアによる登場人物

等の切り絵装飾を行っている。季節を表す言葉や月の異名、二十四節気

の言葉の紹介をし、言葉の豊かさや美しさを感じられるよう工夫を行っ

ている。また、面出し配架をし、生徒が手に取り易い環境づくりに努め

ている。

(4)読書普及員によるサポート

主に蔵書管理・整理や廃棄の補助をお願いしているが、季節や行事に因んだ配架のサポートや読み聞

かせ等も行っている。また、地域ボランティアとの連携の橋渡しも行っている。

3 成果と課題

(1)成果…授業での利用・紹介等により、生徒が興味をもった本を探しにくることが増えた。面出しによ

り、その本に興味を持つ生徒が増え、面出しの本から先に借りられるようになった。配架の工夫

により、生徒自身が探している本が見つけやすくなった。

(2)課題…昼休みしか貸し出し時間が設定できないので、本を借りたいと思っても借りに来られない生

徒がいる。貸し出しの時間を工夫する必要がある。また、特定の生徒が借りることが多いので、

より多くの生徒に興味を持たせるよう、魅力的な本を購入整備するなど、より一層の工夫を行

う必要がある。

「本に親しむ環境の活用と整備」

二戸地区SLA 九戸村立九戸中学校

20

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1 学校図書館の概要 全校生徒45名の本校は、いわて沼宮内駅より西方5kmの地点に位置し、標高430

mの高山(たかやま)の麓、一方井地区を一望する高台にある。読書傾向としては、「小

学生の頃から図書室が好きだった」とか、「移動図書館

(おおぞら号)の巡回貸し出しを楽しみにしていた」と

いう生徒が多く、本好きの生徒が多い。しかし、中学入

学とともに短くなった昼休みや様々な活動等によって

徐々に図書室離れの傾向にある。そのことを改善するた

めに、本校図書館教育では「全校生徒の教育活動に必要

な資料や図書を収集し、生徒の学習効率を高めるととも

に、読書の経験を深め、豊かな人間性を養う」という目

標を掲げ、多くの本に触れさせる読書活動を工夫した。 2 具体的実践内容 (1)業者との連携(全校生徒による「選書」) 新年度に外部業者を通して学校図書を購入しているのだが、昨年に引き続き今年度も「1

00%全校生徒による選書」を実施した。業者の協力により、中学生にお勧めの本や新刊図

書を実際にもってきてもらい、約300冊の中から「図書室にあったらいいな」「これはぜひ

読んでみたい」と思う本を選び、購入する。時間はひと学年1時間ずつ、読書指導の領域で

国語の時間を割り当てた。生徒らは、「1時間では足り ない」と言う声が上がるほど本選びに熱心に取り組んだ。

(2)地域図書館との連携(移動図書館の利用) 「多くの本に触れさせたい」と願う本校校長の発案で、

移動図書館バス「おおぞら号」の利用が実現化された。た だ、小学校の時に利用したように、昼休みに外に出て本を じっくり選んで借りるということは、中学校の時間割では 厳しい。そこで、町立図書館の司書の方が、中学生の年代 や好み、最近話題の本などを考慮して選書し、巡回学級文庫として毎月10冊ずつバスで届

けてくださるシステムになった。図書館に職場体験に行った生徒の手作りポップを付けて届

けて下さったり、月ごとに目新しい本が学級に届いたりすることから、生徒達は徐々に興味

をもって本を手に取り読むようになった。最近では、ビブリオバトルに使用する本や、「いわ

100」からみつけた本をリクエストするなど、地域図書館との交流を図ることもできた。 3 成果と課題 <成果>

・生徒自身が選書する取り組みは生徒の本に対する興味・関心を引き出し、読書推進のきっ

かけとなった。また、自分達が選んだ本が図書室に入荷するという楽しみが、図書室を利

用増加のきっかけにもなった。 ・移動図書館による巡回学級文庫は、本に興味を示し、自ら本を求める行動につながってい

ったことから、生徒達の読書活動推進に大変効果的であったと言える。今後もぜひ継続し

ていきたい。 <課題>

・地域図書館との交流を増やし運営の仕方を参考にしながら、学校図書館の充実を図ってい

くこと、双方の利用者を増やし更に生徒の読書活動を推進しすることが今後の課題である。

「外部業者や地域図書館と連携した読書推進の工夫について」 岩手地区SLA 岩手町立一方井中学校

【岩手町立図書館 移動図書おおぞら号】

【移動図書から借りた学級文庫】

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「読書活動の充実を目指して」(読書指導領域)

八幡平地区SLA 八幡平市立松尾中学校

1 学校図書館の概要

本校は、1、3年2クラス、2年1クラス、特別支援学級2クラスの計7クラスである。

図書室は特別教室棟の2階の奥に位置している。図書室を利用する生徒があまり多くない

のが現状である。以前から、生徒が利用しにくい場所との指摘を受けている。

本校の図書館教育の目標は、以下の通りである。

・学校司書と連携を図り、読書活動の啓蒙と図書館利用の活発化を図る。

・幅広く良書を選択し、設置することで図書室にある図

書の利用が増えるように努め る。

・図書室の整理を進める

2 具体的実践内容

(1)朝読書の実施

全校朝会やテスト期間などを除き、毎朝8:15~8:25の10分間、朝読書を

行っている。自分が選んだ本を静かに読むことで、落ち着いた雰囲気でのスタートに

つながっている。

(2)教科学習との連携

2年生では、国語の授業の中で、職業に関するプレゼンテーションを行った。その

際、図書館の本を活用して調査活動をした。

(国語2年 単元名「魅力的な提案をしよう プレゼンテーションをする」)

(3)専門委員会との連携

全校生徒の読書活動、図書室の利用促進のために、委員会活動として図書当番、新

刊図書の紹介、図書だよりの発行、読書推進標語の作成、図書室の本から学級文庫(移

動図書)用の本を選書し、各学級への設置などの活動を行っている。

(4)学校図書館司書との連携

週に1回、学校図書館司書が来校している。季節や用途に応じたおすすめ本コーナ

ーの設置やポスターの作成などの図書室の環境整備、購入図書のアドバイスをしてい

ただいている。

3 成果と課題

〈 成 果 〉

・ 朝読書は、わずかな時間ではあ る

が、部活動等で忙しい生徒や普 段は

本を読む習慣がない生徒にとっては貴重な読書時間になっている。今後も継続して いき

たい。

・ 学校図書館司書との連携により図書室が少しずつ整備改善されてきている。魅力ある

図書室づくりを工夫していきたい。

〈 課 題 〉

・ 昼休みの開館時間での利用をもっと促したい。

・ 各教科と連携し、調べ学習等での図書室の積極的活用を呼びかけたい。

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「読書の意欲付けにつながる委員会活動の工夫と図書室の環境作り」

盛岡地区SLA 盛岡市立厨川中学校

1 学校図書館の概要

① 生徒数635名 学級数23(1~3年各6クラス 特別支援学級5クラス)

② 教職員数 56名

③ 学校図書館担当者 司書教諭免許保有者 1名、図書委員会担当者 3名

2 具体的実践内容

① 1学期

・図書室の会館準備、学級文庫の貸し出し、図書室オリエンテーション

・図書購入計画の作成、課題図書の紹介

・新購入図書の受付、利用の呼びかけ(図書委員会通信「シロヤナギ )」

・図書委員おすすめのブックトークを図書室前に掲示する。

( お薦めの一冊のあらすじや感想を記入し、掲示して紹介する )。

② 2学期

・読書標語の募集、審査、応募(委員会活動として募集)

・図書貸し出し強化週間の企画と実施

( 、 、 )放送での利用呼びかけ 図書委員会通信 学級文庫

・新購入図書の紹介(廊下掲示)

③ 3学期

・岩手の読書週間の取り組み

Ⅰ(右 )図書室前の掲示・図書館利用状況の調査

Ⅱ 新刊書コーナー Ⅲ 昼休みの利用風景 Ⅳ 昼休みの利用風景

3 成果と課題

(1) 成果

・図書室の利用強化週間では、連日 名ほどの利用者が2週間に渡って利用し、盛50会であった。マナーや貸出期限も守るように呼びかけるいい機会であった。

・朝読書の取り組みが読書の意欲付けにつながっている。朝読書の時間を利用して

1 学 期に 一 度、 読書 ボ ラン ティ ア によ る 読み 聞か せ を行 うこ と がで きた ( 1学。

期―1年、2学期―3年、3学期―2年)

(2) 課題

、 。・授業の中で生徒が多様な図書資料に触れることができるように 整備をすること

・図書室の利用者増につながる選書と情報の提供。

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1 学校図書館の概要

本校は、生徒数 352 名で、蔵書冊数は 9,400 冊、全蔵書がデータベー

ス化され、貸し出しや返却作業などバーコードで管理している。図書館は

壁や扉のないオープンスペースのため、いつでも本を手に取ることができ

る。図書補助職員が隔週で勤務しており、在室時はいつでも貸し出し可能

だが、不在時は図書委員が昼休みのみ、貸し出し作業を行っている。図書

の返却は、カウンター返却のほか、ブックポストへの返却も可能なため、図

書の延滞は少ない。図書館に、図書ラウンジを併設しており、休憩時間

の読書や、朝や放課後の自習などに自由に利用されている。

2 具体的実践内容

(1)朝読書の実施

全校朝会や学年朝会のない月・水・木曜日の朝 10分間に朝読書を行っている。学校図書館の本に

限らず、自分の読みたい本を持参し、黙読するが、感想等は求めず、自分のペースで読書に親しむこ

とを目的としている。

(2)国語科との連携

全校生徒を対象に、「矢中生に読んでほしい100選」(フィクション

50冊、ノンフィクション50冊)を提示している。3年生においては、

国語科と連携し、この中から各自、年間20冊を選び、あらすじレポート

を書く取り組みを行っている。また、特に感銘を受けた図書1冊について

は、本を紹介するPOPを自由に作らせ、図書室内に掲示している。

(3)季節ごとのディスプレイやテーマを決めたピックアップ図書

新刊図書だけでなく、各種検定の前には、過去問やテキストを目立つ場

所に移動したり、夏休み前には各種コンクールの課題図書をコンクール

ごとに展示したりするなど、月ごとにテーマを変えてディスプレイと図書のピックアップを行ってい

る。震災関連図書、受験生応援図書、ハロウィンやクリスマスなど行事に関わる物語図書などをポッ

プとともに展示している。

3 成果と課題

(1)成果

昼休みの図書館・図書ラウンジは、ほぼ満席になるく

らい、生徒たちが集まってきて本を読んでいる。朝読書

の時間は、どの生徒たちも静かに読書しているほか、休

み時間やわずかな時間でも本を開いている生徒が増え

てきている。図書館に足を運び、本を手にとってもらう

手立ての一つとして、絵本など、わずかな時間で読める本や、数人で眺めて楽しめる本を増やしたこ

とも、効果的だった。

(2)課題

朝読書は、読書に親しむことを目的としていたが、今後は生徒の実態に合わせた本の選定が必要で

ある。ライトノベルに偏りがちな自由読書であるが、さまざまなジャンルの文章に触れさせる工夫を

していきたい。

「図書に親しみやすい読書環境づくり」

紫波地区SLA 矢巾町立矢巾中学校

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1 学校図書館の概要 本校は生徒数246名で、学区には「宮沢賢治記念館」や「新渡戸稲造記念館」など文化施設

を有する学校である。校舎は築40年以上であり、図書館の設備も老朽化しており、書架も古い

タイプである。現段階では図書館のボランティア等の協力は得ていない。図書館担当は教員1名

である。 2 具体的実践内容

<美術科とのコラボによる読書推進活動> 図書委員会の活動の中では、本のポップを作る時間的な余裕がない。また、レイアウトやイラ

ストを苦手とする生徒も多い。そこで、3年生の美術科担当に相談し、美術科の協力のもと授業

の一環として2学期にポップ作りを3年生全員で取り組むことにした。ポップを作るために本を

読む必要があるので、3年生にとっても読書活動の推進につながった。 (1)夏休み前から、本のポップを作ることを予告しておく。ポップの見本を提示したりポップの

説明を行ったりした。 (2)夏休みから2学期にかけて、ポップを意識した本を選んで読書活動を行った。 (3)文化祭後の美術の時間に、自分の読んだ本のポップを作成する。その際、読んだ本を持参し

て、イメージづくりに役立てた。 (4)挿絵の指導は美術担当に協力を依頼した。 (5)完成したポップは、署名をして図書室の作成した本の近くに置いた。

3 成果と課題

3年生は72名であり、72枚のポップができあがる。この作品の中から何点か図書室に掲示し

た。自分で作成したポップが図書室に掲示され、卒業後も飾られることになるため、生徒の作成意

欲にもつながった。本年度は美術担当教師がポップ作りを得意としており、参考資料作りや授業で の作成に積極的に取り組んだが、今後も同じように取り組めるかは未定である。図書館運営と他教

科とのコラボも今後とも、積極的に続けていきたい。

「美術科とのコラボで作るポップ」

花巻地区SLA 花巻市立矢沢中学校

1学期に、美術担当が参考資

料として作成したポップ。色

鉛筆を使用して、本の内容を

象徴するようなデザインとな

っている。

生徒が作成した

ポップ。本の特

徴を捉えた絵柄

になっていて、

読書喚起につな

がる。

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1 学校図書館の概要

本校は各学年4クラス、特別支援学級2クラスの全校生徒397名の中規模校で

ある。図書館教育では図書館教育の充実により、豊かな人間性を培うことを目指し

ている。

図書委員が昼休みに開館し、図書の貸し出しや書架の整理整頓を行っている。

また、月に1度、保護者や地域の方々(卒業生の保護者)が図書ボランティアと

して、 図書館内の季節ごとの装飾や、図書館前におすすめの本のコーナーの設置

などを行ってくださっている。

2 具体的実践内容

(1) 朝読書の取組

朝の短学活の前に全校で10分間の朝読書の時間を設定し、全校で朝読書を

行っている。

(2) 学級文庫、学年文庫の設置

図書委員が選んだ本を教室内に、図書ボランティアの選んだ本を各学年等の

廊下の移動書架に設置し、図書館の本に触れる機会を増やすようにしている。

(3)お薦めの本の紹介

① 図書委員が図書館内からお薦めの本を選び、紹介カードを

作成し、本と共に教室内に設置している。

② 図書ボランティアがテーマを決めてお薦めの本を選んだ

り、新しく購入した本の中からお薦めの本を選んだりして、

図書館前に並べ紹介している。

③ 今まで読んだ本の中で「心を動かされた本」を互いに紹介することにより、

中学生が読むにふさわしい本を考えさせる機会を設定している。

3 成果と課題

<成果>

なかなか読書の時間をもつことができない中学生だが、朝読書の時間を設定する

ことにより、休憩時間にも読書を続ける生徒が少しずつ増えてきている。また、図

書館に足を運ばない生徒にも、学級・学年文庫の設置や本の紹介により図書館の本

に興味をもたせることができた。

<課題>

自分で購入した本を読んでいる生徒は同じジャンルの本ばかり読んでいる傾向

にあるので、多くのジャンルの本に興味をもたせるために、今後もいろいろな方法で

本を紹介にする場面を設定し、心を耕すことのできる本に触れさせていきたい。

「読書活動の充実を目指して」

北上和賀地区SLA 北上市立上野中学校

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1、概要

本校は奥州市の江刺岩谷堂地区に位置し、今年度の全校生徒数は 504 人、学級数は 20 クラス(特別支援学

級数4)である。図書室は校舎2階北側にあり、蔵書冊数は 1 万 980 冊、開館は朝、昼休み、放課後に貸し

出しを行っている。

2、具体的実践

(1) 読み聞かせ

朝読書の時間を利用し、「奥州市子どもの読書推進事業」による読

み聞かせと一中読書ボランティアによる読み聞かせを実施している。

生徒たちは読み聞かせを日常の読書活動の一つと捉え、夢中になって楽しんでいる様子が見受けられる。ま

た、ボランティアを受け入れる準備を意識して行動し、学校全体が落ち着いた雰囲気で生活している。

(2) 図書委員会との連携

図書委員会は、各学級から2名選出され、朝読書の呼びかけ、貸し

出しや返却などを担当する図書当番、「図書室の本を読もう」週間で

の活動をしている。「図書室の本を読もう」週間は、朝読書の時間に

図書室の本を読んでもらい、期間中に本を借りた生徒には、本の貸し

出し冊数に合わせて、生徒たちが描いたオリジナルの栞をプレゼント

という流れである。また前期には全校生徒及び全教職員への購入図書

希望アンケートを実施、後期は「先生方オススメの本」として全教職員から本を1冊紹介してもらい、ブッ

クリストとして印刷し全校生徒へ配布している。

(3) 学校行事・授業・教職員への働きかけ

学校司書が学校行事に合わせた特集コーナーの設置や、その行事に関連する資料や情報を先生方に提供、

図書館の利用状況などの告知を行っている。特集は話題や人気のある

本も紹介するが、生徒たちがあまり知らない作品や、ぜひ読んで欲し

い作品を意図的に紹介している。また、国語科で行うビブリオバトル

の選書相談や、授業に使えそうな新聞記事の紹介などを行っている。

図書館だよりは月に一度発行し、読み聞かせの様子の写真や貸し出し

冊数状況のお知らせを掲示している。

3.成果と課題

(1) 成果

様々な取り組みにより日常的に読書に親しむ姿がよく見られ、図書室への来館者数も年々増えてきてい

る。読み聞かせを通じて、絵本もごく普通の読書の一つと捉え、自然に手に取って借りていく。

(2) 課題

読書習慣が身についている生徒と身についていない生徒の差が広がっているように感じる。読書の幅を広

げられるような、環境整備や読書指導を考えていく必要がある。

「生徒の読書活動を推進するために」

胆江地区SLA 奥州市立江刺第一中学校

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「読書に親しむ生徒の育成~読書普及員との連携を通して~」

一関地区SLA 一関市立厳美中学校 1 本校の読書指導の概要

本年度、本校は、本寺地区の生徒を新たにお迎えし新生厳美中学校としてスタートした。学習、部

活動の両面において統合効果が見られ、生徒は落ち着いて生活している。生徒数は97名、学級数は

4(3年が2学級、特別支援学級なし)である。

本校の読書指導の要は 8 時20分から30分までの朝読書と図書館

活用である。本校の一日は、朝読書から静かに始まる。図書館は、廊

下を挟み、教室、オープンスペース、特別教室に囲まれるように配置

され、生徒は毎日、本を身近に感じながら生活している。

本校の読書指導の特徴の一つが読書普及員との連携である。以下、本

校の読書指導の大きな力となっている読書普及員との連携について紹

介する。

2 読書普及員との連携例

(1)図書委員会活動との連携

①毎日の図書の貸し出し

②学級文庫の設置・巡回

学期に一度、図書委員会が読書普及員の

力をかりながら学校図書館の学級文庫リス

トを作成し、文庫を設置・巡回している。

③「ポップコンテスト」の実施

(2)特設コーナーの設置

年間を通して、スポーツと栄養、防災、

夢などをテーマにした特設コーナーを2

階廊下に設置している。

本校の蔵書に加え、市立図書館から借り

た本を紹介することで、コーナーの充実も図っている。

生徒は、コーナー横に設置してある貸し出し簿に記入するだけで、気にいった本を簡単に借りる

ことができる。普段、あまり、図書室に足を運ばない生徒でも、教室移動時や休憩時間に特設コー

ナーの前で足を止め、本を手に取っている場面が多く見られ、そのまま記帳し借りることも多い。

(3)図書館の管理・運営

①図書館の環境整備、本の修理、掲示物・レイアウトの工夫(多読者紹介、特集本の設置等)

②蔵書の整理(新刊書の購入、新刊書の生徒への紹介コーナーの設置、定期的な廃棄作業)

②学校統合における役割(本寺中図書の廃棄計画、厳美中図書館への移送計画の立案等々)

3 成果と課題

読書普及員との連携により生徒が本に触れる機会が増えており、諸調査からも、図書館の利用率が

高くなっていることが分かる。放課後の連携も希望したいが、勤務時間に制限があるのが残念である。

〔一日が静かに始まる朝読書〕

〔ポップコンテスト入賞作〕 〔生徒と読書普及員〕

〔廊下を利用した図書紹介の特設コーナー〕

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1 学校図書館の概要 本校は、震災後、米崎・小友・広田中学校の3校が統合し創立された学校である。一昨年、新校舎が完

成し、生徒達は元気に学習や部活動に励んでいる。図書館は校舎2階のオープンスペースにあり、生徒は

自由に本に触れることができる環境となっている。図書館運営は主に図書委員会が行っており、意欲的な

活動を行っている。また、図書館教育支援員が配置されており、図書館業務(選書のアドバイスや受け入

れ、配架など)を行ってくれている。 2 具体的実践内容

(1) 図書館の整備 図書委員が月1回、「季節に合った本」というテーマでのディスプレイを行ったり、毎日の図書当番の

際、書架の整理を行ったりと、利用者が使いやすい図書館・魅力ある図書館作りに務めた。 (2)朝読書の充実

本校では、朝読書の時間を 8:20~8:30 の 10 分間と位置づけている。各学級の図書委員が運営して

おり、2 分前には着席や本の準備を促し、落ち着いた環境の中で読書に親しんでいる。また、「陸前高田

市のおすすめの本」(中学生に読んでほしい本)を読む期間を設け、幅広いジャンルの本を手にする機会

を設けている。 (3)積極的な図書紹介

今年度は、図書紹介に力を入れて活動した。まず「先生方のおすすめの本」コーナーを設け、POP や

掲示物を工夫しながら紹介した。また、話題の「映画やドラマの原作本」コーナーや、「おすすめ作家の

図書紹介」コーナーを設置し、より多くの生徒に興味をもってもらえるように努めた。さらに、報道委

員会と連携を図り、昼の放送を活用し、読書感想文コンクール入賞作品紹介を行った。 (4)学級文庫の活用 今年度は、教科書関連図書を学級文庫として各学年の多目的スペースに置き、授業内での紹介を含め

ながら、朝読書の時間に手に取ってもらえるようにした。学級での管理は図書委員会が行っている。 3 成果と課題 〈成果〉 図書委員と図書館教育支援員さんとの連携を図りながら、図書館運営に当たることで、様々な角度

から読書活動にアプローチすることが出来た。また、図書紹介の掲示物や展示コーナーを設けること

で、本を身近なものとして親しんでもらうのに効果的であった。 朝読書は定着が図られており、全学級が静かに読書に取り組む雰囲気が出来ている。10 分間と短い

時間ではあるが、集中して本を読む力が培われている。 〈課題〉 図書館がオープンスペースということもあり、いつでも気軽に本を手に取れるという利点がある一

方、落ち着いてじっくり本を選ぶという雰囲気に欠ける部分があるため、図書館の利用時間(昼休み)

のありかたについて、検討を重ねていきたい。また、授業での積極的な図書の活用を促すなど、様々

な本に触れる機会を作ることが必要であると考える。

「読書推進を目指す活動の工夫」(読書指導領域) 陸前高田地区SLA 陸前高田市立高田東中学校

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「読書活動の充実を目指して」

大船渡地区SLA 大船渡市立綾里中学校

1. 学校図書館の概要 本校は、生徒59名、5クラス(うち特別支援学級2)の学校である。図書

室は校舎の3階にあり、蔵書冊数は約4千冊である。 本校の読書指導の目標は次の通りである。 (1) 読書指導を推進することによって、生徒の語彙力及び文章読解能力の向上

を図るとともに、本校の教育目標の達成に寄与する。 (2) 読書によって情操を高め、円満な人格形成を目指すとともに、豊かな社会

生活を営む能力を培う。 2. 具体的実践内容 ○朝読書の取り組み 4 月から7月まで、全校体制で朝読書を実施している。週に 1 冊読むことを目

途にし、読書記録カードに書名、著者名に加えて、感想を記入する。 (前期目標20冊以上、後期は目標数を設けない) ○委員会活動の充実 広報委員による掲示物の整備、読書だよりの発行を通して、全校生徒への啓

発活動を行う。 ○市立図書館の巡回移動図書館「かもしか号」の利用の推進 かもしか号が来校したときに、広報委員が学級文庫として各学級に設置する

本を選定する。 ○ビブリオバトルの実施 9月27日に「校内ビブリオバトル2018」を開催した。各学級の選考会

で選ばれた12名が、全校生徒の前で自分のお薦めの本の紹介を行い、様々な

種類やジャンルの本が紹介された。12名の発表者は、途中までのあらすじを

説明したり、本の一部を読み上げたりして、その本の良さを伝える工夫をして

発表した。それを聞いて、自分が読みたいと思った発表に全校生徒で投票し、

グランドチャンプ本、準チャンプ本、優秀賞を選考した。 3. 成果と課題 ○ビブリオバトルへ全校体制で取り組むことにより、全校生徒の読書への関心

を高めるとともに、発表力の育成にもつながったと思われる。今後も継続し

ていきたい。 ○学校図書館の整備を行い、利用しやすい環境を維持する。 ○学校の読書活動の他に、家庭での読書活動を啓発し、読書量を増やすように

努める。

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学校図書館運営および読書教育について(管理運営領域)

釜石・大槌地区SLA 大槌町立吉里吉里中学校

1 学校図書館の概要

本校は、生徒数40名の小規模学校である。小規模であるが、昼休みは生徒会活動や学年の集会なども

多い。また、図書館は3階の端に位置しており、昼休みのみの開放となっている。そのため、休み時間に

足を運ぶ生徒は少ない。そこで図書委員や教職員の協力のもと、学校図書に触れてもらう機会を少しでも

多く生徒に提供しようと次のような実践を行っている。 2 具体的実践内容

(1)全校での朝読書取り組み 本校では全校を挙げて朝読書に取り組んでいる。朝8時10分から10分間の読書時間ではあるが、ど

の学年も落ち着いた雰囲気のなか読書をしている。また、朝読書に、各学級に配置された学級文庫を読ん

でいる生徒も多くいる。 (2)学級文庫の配置 図書館に足を運ぶ生徒は限られているが、それは時間がないためであり、読書を好む生徒は多い。朝読

書にも全校で取り組めているので、学級文庫として学校図書を教室に配置している。何を選ぶかは各学級

の図書委員が行っている。常に同じ本が置かれて、学級の生徒が飽きてしまうことがないように、定期的

に図書を入れ替えている。 (3)校内への図書の配置 生徒が委員会や係の仕事で訪れることが多い、多目的ホールや、職員室前に学校図書を配置している。

現在は置くだけにとどまっているが、今後は行事や季節に合わせて図書の入れ替えを行なっていきたいと

思う。 (4)先生方への「中学生に読んでほしい本」のアンケート 昨年度は生徒達が読みたい本を「リクエスト BOOK」という形でアンケートをとり、図書を購入した

が、今年度は様々なジャンルの本に触れる機会を持たせるために、先生方に「中学生に読んでほしい本」

のアンケートをとることを計画している。後期生徒会の委員会と連携し、進めていきたいと考えている。 3 成果と課題

(1)成果 ・図書室を訪れなくても、学級やホールなどに配置している学校図書を手にしている生徒が多くなった。 ・学校図書を生徒の目が届くところに配置しているので、入れ替わった際に話題になることがあった。読 書への関心は高まったと思う。 (2)課題 ・生徒達自身が休み時間に活動することが多く、生徒も減少傾向にあるため図書館自体の活用が少ない。

よって、学校図書自体に触れる機会は多いが、一冊の本を借りて落ち着いて読書を楽しむという読書活

動には至っていない。

職員室前への学校図書の配置 各学級に配置された学級文庫

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1 学校図書館の概要

本校は生徒数111名、1学年 1 学級、2学年2学級、3学年2学級に特別支援1学級の学校

である。各教室前廊下の本棚に出前図書を配架し、生徒がいつでも気軽に本を手に取れるよ

うにしている。また、朝読書にも役立てている。

毎年200冊を超える新刊を購入し、現在の蔵書数は8,268冊になる。学習に役立つ図書も

積極的に購入を進めている。また、広い図書室を利用し、課題研究などの授業において、図

書館活用授業を実施している。

2 具体的実践内容

(1) 朝読書(8:20~8:30)

① 各自本を選び、テスト前と全校朝会、

行事以外の日は毎日取り組んでいる。

② 担任も一緒に朝読書に取り組む。

(2) 図書委員会活動

① 図書の整理をはじめ、気軽に本に

親しめるよう環境を整えている。

② リクエストボックスを設置し、リクエスト

に沿うよう努力している。

(3) 学校図書館支援員との連携

① 週1回の来校。本の受付、掲示物作

成、装飾、管内環境整備、本の紹介

など、読書に親しみを持ち読書量増

加につなげるよう工夫している。

② 「いわ100」改定に伴い、新たに購入

した本を加え、「いわ100コーナー」の

設置を進めている。

3 成果と課題

〇本に関心が持てるような図書室の環境が整い、蔵書が充実してきている。生徒が新刊の

図書に関心をもって手に取っている姿が見られる。

●本校の図書室は3階の一番奥にあり、生徒の動線から外れた場所に位置しているため、

来館者を増やすための工夫が必要である。

「読書活動の充実に向けての取り組み」

宮古地区 SLA 宮古市立津軽石中学校

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「読書意欲の向上に向けた取り組み」 岩泉地区SLA 岩泉町立小川中学校

1 学校図書館の概要 本校は、全校生徒数42名の小規模校である。 図書室はあるが、台風被害による破損で使用できていない。そのため、各階に特設の本棚を設

置し、誰でも本を借りて読めるようにしている。 蔵書冊数は訳8000冊で、寄贈本の他、毎年計画的に購入している。今年度は、部活動に関

わる本を中心に中学生に読んでもらいたい本、また、英語の授業で活用できるような本を購入し

た。

2 具体的実践内容 ①朝読書 本校では、8:15~8:30の15分間を朝活動の時間と位置づけている。月曜日は全校朝

会、金曜日は脳トレーニング(音読や計算)、火曜日~木曜日は読書をしている。朝の短い時間

ではあるが、各々が興味を持った本に落ち着いた環境の中、向き合うことができている。 ②読書の木 委員会活動の一環として、「読書の木」という取り組みを行

っている。これは、生徒が1冊本を読み終えるごとに緑のコメ

ントカードに記入し、委員会が作成した木に貼り付け、どんど

ん木を成長させていこうという活動である。ただ本を読むので

はなく、内容や感想、印象に残った場面を書くことによって、

頭の中を整理してアウトプットすることによって、より力を高

めていくことが目的である。また、木を全校で作るという作業

を通して、本を読んだ冊数も可視化され、意欲的に取り組みに

向かう生徒が増えた。 ③岩泉町立図書館との連携 町立図書館から支援員が来校し、書架整理や図書の受入を行っていただいている。また、毎月

一度学校に来る巡回自動車図書「かもしか号」に依頼し、学級文庫を作っている。学級ごとにお

すすめの本を選んでいただき、毎月異なった本を教室に配置している。学校にない様々な種類の

本を手に取ることができる機会なので、有効活用している。他には、読書マラソン(4ヶ月間で

10冊を目標に読書に取り組む)に参加し、外部と連携して読書に関心をもてるようにしている。

3 成果と課題 ①成果 ・委員会活動を通して、生徒主体の読書推進活動ができた。 ・外部の機関と連携することによって、生徒が様々な本と出会う機会ができ、読書意欲の向上に

つなげることができた。 ②課題 ・学校の読書活動以外で、読書に取り組む生徒が少ない。また、読んでいる本の内容、冊数にも

個人差がある。家庭や外部の機関との連携をさらに強め、読書が習慣化されるようにしていき

たい。

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「生徒の読書活動を促す図書館づくり」

田野畑地区SLA 田野畑村立田野畑中学校

1 学校図書館の概要

本校は、生徒数73名、各学年1学級の小規模校である。田野畑村は岩手県沿岸に位置

し、宮古・久慈には車で1時間、盛岡には車で2時間半という場所にある。村に書店はな

く、生徒たちが本と触れ合うことができるのは村立図書館と学校の図書館のみという環境

である。

本校の図書館は、多目的ホールの一角に「図書コーナー」として設置している。今年度

のスタート時はコーナーにテーブルと椅子がなく、生徒たちが本を手に取り広げる空間と

しては不十分だった。また、蔵書の中にはかなり古い本もたくさんあるなど、読書活動を

推進するうえで改善しなければならない点が明らかになっていた。

2 具体的実践内容

今年度の図書館運営の重点を「本に親しむ環境づくり」に置き、以下の取り組みを行っ

てきた。

(1)開放的な環境づくり

従来の図書コーナーの空間を広げ、テーブルと椅子

を配置した。また、本棚の場所を移動することで、明

るく開放的な空間づくりを行った。さらに、テーブル

にクロスをかけたり、季節の飾りや麦茶を置いたりと、

心が癒されるような空間づくりを行った。

(2)古い本の整理と配置の工夫

岩手県立図書館の職員からアドバイスをいただき、

本の配置をリニューアルした。生徒の興味関心が高そ

うなジャンルや新刊、話題の本などを目立つところに

配置したり、調べ学習に使える本をまとめたりするな

ど配置換えを行った。また、古い本を処分し、空いた

空間のディスプレイを工夫した。

3 成果と課題

(1)成果

・昼休み時間に、図書コーナーで本を広げる生徒が増えた。

・定期的に図書を借りる生徒が増えた。

・図書コーナーで一緒に読書をする教職員の姿が見られるようになり、微笑ましい空

間になっている。

(2)課題

・新刊の選定と購入に時間がかかったので、教職員にお勧めの本の推薦をしてもらう

等、より一層の工夫が必要である。

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「改装後の図書室の運営とその活用」

岩手地区SLA 雫石町立雫石中学校 1 学校図書館の概要 本校の図書室は平成29年度に校舎改築に伴う改装工事を行い新装した。クラスルームに近く、

生徒達の生活動線上に位置するよう、元の図書室の位置から校舎の中央部分に移転、扉のない図書室

で、気軽にアクセスしやすい空間設計となっている。広さ 184 ㎡、蔵書可能冊数は 16,953 冊。現在、

約 12,000 冊の蔵書数を保有する。施設の特徴は以下の点である。 ・壁面、床、書架、家具類全て木材を利用した、明るく温かみのあるデザイン。居心地のよい空間に設

計されている。 ・楽しく本を読むエリアと学習活動を行うエリアを分けている。読書エリアには書架横に可動式のソ

ファ・椅子、木製ベンチを設置、手に取った本を近くで腰掛けて読める。窓際にはカフェテリアウィ

ンドウ式の閲覧スペースもある。学習スペースは可動式の6人掛テーブル机6基を備え、共同で学習

する場として活用。空調設備も整っている。 ・書架は3種類、壁全面に天井高の固定式の書架、フロア部分は低型書架及び円形書架を使用した見通

しの良い館内。 ・オープンスペースもあり、常時は1・3年校舎と2年生校舎を結ぶ生徒の通行路。通路面は全面展示

用ショーケースを設置。1日あたりの平均利用者数は 50 名。(1日の最多利用者数は 90 名) ・学校図書館司書教諭2名、専属の図書館司書1名がいる。

2 具体的実践内容 (1) 図書室を活用した授業の実施

総合的な学習における製作と発表活動の協同学習の場や国語の学習における辞書、書籍など複 数の資料を使用する調べ学習で活用。共同で学習する場、関連図書を複数利用する場合の学習活動

の場として活用。授業で使用する関連図書なども集団利用可能なように1学級分揃えている。 (2)「朝読書」と「朝の読み聞かせ」の取組み 朝学習の時間 20 分間を年間を通して読書時間にあてている。 朝学習時、年に3回、全教職員と読み聞かせボランティアによる

読み聞かせ活動を実施、良書に触れる機会としている。 (3) 館内の配架の工夫と展示

ア 館内の配架 配架は NDC が基本だが、学習に活用しやすい分類表示及び配架となっている。

イ 通路に面した展示用ショーケースの活用 図書館司書や図書委員会によって特集展示や新館図書の案内が行われている。生徒は1日に数

回は通路を通過しながら、本の情報を目にしている。 3 成果と課題

・改装後の生徒の利用者は倍増しており、昼休みに読書にふける生徒の姿が増えている。 ・図書室前を通過しながら、展示内容を目にし、常に新しい情報に触れる場となっている。 ・仲間と協働的に学ぶスペースとして有効に利用できる。今後も活用を増やす。

月1で更新される展示ショ 国語での調べ学習 ーケース

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平成 30 年度 実践事例集 岩手県学校図書館協議会