ST PowerStudio パワー・デバイス用動的電気・熱 …...2...

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はじめに ST PowerStudio は、ST 製パワー・デバイス専用の動的電熱シミュレーション・ソフトウェアです。 このソフトウェアは電力と熱の解析を総合的に行いますので、ユーザは、デバイスの性能を予測してソリューション設計を短縮化し、時間 とリソースを節約できます。その上、このツールは、アプリケーションのミッション・プロファイルにふさわしい適切なデバイスの選定に役立 ちます。 内蔵された非常に精密な電気的・熱モデルと反復計算に基づき、ST PowerStudio は、電力損失はもとよりジャンクション温度とケース温 度についても、自己発熱効果を考慮の上で非常に高い精度で推定を行います。 このソフトウェアは、静的負荷 ( 単一セットの入力条件) または動的負荷のミッション・プロファイルをシミュレートできます。動的負荷の場 合は、時間とともに入力条件を変更し、非常に長いシミュレーション・プロファイルを実行することができます。 このソフトウェアは、次のようなさまざまな熱設定入力条件のシミュレーションが可能です。 ケース温度とジャンクション温度の推定によるヒートシンクのないデバイス ジャンクション温度およびヒートシンク R th の推定による固定ケース温度 (ヒートシンクあり) ケース温度およびジャンクション温度の推定による固定ヒートシンク熱抵抗 ケース温度およびジャンクション温度の推定ならびにシステムの熱慣性を考慮した固定ヒートシンク熱抵抗 シミュレーション結果は、時間と電流負荷とスイッチング周波数の関数として、表および専用スコープ画面に表示されます。出力レポート が生成され、そこにはすべての情報と結果がまとめられていますので、保存も簡単です。 現在、ST PowerStudio は、正弦波 PWM 手法による 3 2 レベルのトポロジが可能で、広範囲なパワー・デバイス (SLLIMM™-nanoSLLIMM-nano 2 nd シリーズ、SLLIMMSLLIMM 2 nd シリーズ、ACEPAK™) に対応しており、st.com に接続して専用ドキュメントとリソー スを簡単に入手できます。ST PowerStudio のユーザへの一層のサポートのためにオンライン・フォーラムも用意されています。フォーラム を開くには https://community.st.com/community/st-powerstudio までアクセスしてください。 ST PowerStudio パワー・デバイス用動的電気・熱シミュレーション・ソフトウェア UM2325 ユーザーマニュアル UM2325 - Rev 2 - December 2018 詳細はセールスオフィスへお問い合わせください。 www.st.com

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はじめに

ST PowerStudio は、ST 製パワー・デバイス専用の動的電熱シミュレーション・ソフトウェアです。

このソフトウェアは電力と熱の解析を総合的に行いますので、ユーザは、デバイスの性能を予測してソリューション設計を短縮化し、時間とリソースを節約できます。その上、このツールは、アプリケーションのミッション・プロファイルにふさわしい適切なデバイスの選定に役立ちます。

内蔵された非常に精密な電気的・熱モデルと反復計算に基づき、ST PowerStudio は、電力損失はもとよりジャンクション温度とケース温度についても、自己発熱効果を考慮の上で非常に高い精度で推定を行います。

このソフトウェアは、静的負荷 (単一セットの入力条件) または動的負荷のミッション・プロファイルをシミュレートできます。動的負荷の場合は、時間とともに入力条件を変更し、非常に長いシミュレーション・プロファイルを実行することができます。

このソフトウェアは、次のようなさまざまな熱設定入力条件のシミュレーションが可能です。

• ケース温度とジャンクション温度の推定によるヒートシンクのないデバイス

• ジャンクション温度およびヒートシンク Rth の推定による固定ケース温度 (ヒートシンクあり)• ケース温度およびジャンクション温度の推定による固定ヒートシンク熱抵抗

• ケース温度およびジャンクション温度の推定ならびにシステムの熱慣性を考慮した固定ヒートシンク熱抵抗シミュレーション結果は、時間と電流負荷とスイッチング周波数の関数として、表および専用スコープ画面に表示されます。出力レポートが生成され、そこにはすべての情報と結果がまとめられていますので、保存も簡単です。

現在、ST PowerStudio は、正弦波 PWM 手法による 3 相 2 レベルのトポロジが可能で、広範囲なパワー・デバイス (SLLIMM™-nano、SLLIMM-nano 2nd シリーズ、SLLIMM、SLLIMM 2nd シリーズ、ACEPAK™) に対応しており、st.com に接続して専用ドキュメントとリソースを簡単に入手できます。ST PowerStudio のユーザへの一層のサポートのためにオンライン・フォーラムも用意されています。フォーラムを開くには https://community.st.com/community/st-powerstudio までアクセスしてください。

ST PowerStudio パワー・デバイス用動的電気・熱シミュレーション・ソフトウェア

UM2325

ユーザーマニュアル

UM2325 - Rev 2 - December 2018詳細はセールスオフィスへお問い合わせください。

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1 概要

ST PowerStudio のユーザ・インタフェースは、以下と図 1. ユーザ・インタフェースに示すように、8 つのセクションから構成されています。

1. 製品選択: このセクションから、シミュレーションを行うデバイスの選択と、アプリケーションおよびトポロジの指定が可能です。デバイスの主要な特性とパッケージ構成のリストが含まれています。

2. ミッション・プロファイル: アプリケーションの実際の動作条件と一致させるために、このセクションから静的負荷または動的負荷の選択が可能です。

3. 温度設定: このセクションからシミュレーションの熱条件をイネーブルできます。シミュレーションは、ヒートシンクありでもなしでも実行可能です。

4. ゲート駆動: このセクションから、内部的に固定されていない駆動ネットワークを持つデバイスのゲート抵抗値を設定できます。

5. 入力データ: この表から、アプリケーションの電気的・熱的入力パラメータとシミュレーション時間を設定できます。

6. 出力データ: これらのフィールドには、シミュレーション結果 (デバイスの電力損失、ケース温度とジャンクション温度、ヒートシンクの熱抵抗) が表示されます。

7. グラフ: このセクションには、2 つのグループの主グラフが表示されます。1 つめには、IGBT/MOSFET およびフリーホイーリング・ダイオードの実時間のジャンクション温度とケース温度、2 つめには、相電流とスイッチング周波数の関数としての平均電力損失が表示されます (詳細はセクション 2 ユーザ・インタフェースの説明参照)。

8. コマンド・ボタン: この領域には、シミュレーションを操作して、サポートを受けるために使用する主コマンド・ボタンが含まれています。

図 1. ユーザ・インタフェース

GADG231120171130SA

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UM2325概要

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2 ユーザ・インタフェースの説明

2.1 製品選択

製品選択セクションから、アプリケーションとトポロジに基づいたデバイス選択が可能です。メニューが 4 つあり、フィルタを用いて互いにリンクされています。

• アプリケーション・ドロップダウン・メニューは、シミュレーションを行うアプリケーションの選択に使用します (図 2. アプリケーション選択)。

図 2. アプリケーション選択

GADG231120171147SA

• トポロジ・ドロップダウン・メニューには、シミュレーションのために選択するトポロジがリストアップされます (図 3. トポロジ選択 )。トポロジが選択されると、トポロジ設計フィールドに回路構成が表示されます (図 4. ファミリ選択 )。

UM2325ユーザ・インタフェースの説明

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図 3. トポロジ選択

GADG231120171220SA

• ファミリ・ドロップダウン・メニューには、ST 製品ファミリがリストアップされます (図 4. ファミリ選択)。

UM2325 製品選択

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図 4. ファミリ選択

GADG231120171222SA

• デバイス・メニュー (図 5. デバイス選択) は、デバイス選択の 後となる手順です。ここまでのメニューによるフィルタによる絞り込みの中から、品名を選択できます。

デバイスが選択されると、製品インフォメーション・フィールドには、主要製品データが含まれたインフォメーション・リストが表示されます。このインフォメーションにはパッケージ構成も含まれていますので、アプリケーション要件に も適切なデバイスを初めて選択するのに便利です。

デバイスのウェブ・ページにアクセスするには、ウェブ・ページ・ボタンをクリックしてください。

UM2325 製品選択

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図 5. デバイス選択

GADG231120171225SA

2.2 ミッション・プロファイルST PowerStudio は、静的負荷構成と動的負荷構成の両方をシミュレートして、アプリケーションの実際のミッション・プロファイルに適合させることができます。ユーザは、ミッション・プロファイル・フィールド (図 6. ミッション・プロファイル選択) のシミュレーション・タイプを選択可能です。静的負荷を選択すると単一セットの入力条件が与えられ、電力損失とジャンクション温度を推定結果がすぐに表示されます。動的負荷では 大 10 セットまでの入力条件が有効となり、時間とともにすべての入力パラメータを独立に変化させます。この設定を用いると、非常に短い計算時間で、長いアプリケーション・ミッション・プロファイル・シミュレーションを、精度に影響なく実行することが可能です。

UM2325ミッション・プロファイル

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図 6. ミッション・プロファイル選択

GADG231120171236SA

2.3 温度設定温度設定セクションでは、ユーザは 4 つのさまざまなオプションを選択できます (図 7. 温度設定選択)。• 固定 Tcase (ヒートシンクあり) / 固定 Theatsink: デバイスはヒートシンクとともに使用されることが想定されており、ケー

ス温度またはヒートシンク温度をユーザが決定します。動的ミッション・プロファイルを使用すると、段階的に Tcase を

さまざまな値に決定できます (入力データ・セクションを参照)。• ヒートシンクなし: デバイスはヒートシンクなしで使用可能であり、そのためにケース温度はシミュレーションによって

予測されます。このオプションは、SLLIMM-nano 製品ファミリのみに選択可能です。

• 固定ヒートシンク Rth: ユーザがヒートシンクの熱抵抗を決定します。このヒートシンク Rth の値と予測される電力損失

にしたがって、ST PowerStudio はケース温度の計算も行います。

• Zth ヒートシンク: ユーザがヒートシンクの熱インピーダンスを決定します。ヒートシンクの熱的挙動が、ユーザが挿入

した 大 4 個の R パラメータと t パラメータによって設定される Foster モデルによってシミュレーションされます。このヒートシンク Zth モデルと予測される電力損失にしたがって、ST PowerStudio は時間依存のケース温度の計算も

行います。

UM2325温度設定

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図 7. 温度設定選択

GADG231120171242SA

2.4 ゲート駆動ゲート駆動セクション (下図参照) では、ON と OFF に分けてゲート抵抗値の設定が可能です。このフィールドは、外部ネットワークで駆動されるように設計されているデバイスのみが利用可能です (SLLIMM デバイスには外部ゲート抵抗は必要ではありませんので、このフィールドはダッシュ記号として表示されます)。

UM2325ゲート駆動

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図 8. ゲート駆動セクション

GADG231120171307SA

2.5 入力データ入力データ・セクション (図 9. 静的負荷シミュレーションの入力データ・セクション) には、下記のリストと図 10. 3 相正弦波PWM パラメータに示したような、入力シミュレーション・パラメータが含まれています。この表には、各パラメータに対する有効なデータ範囲も示されています。

• シミュレーション時間 (t_sim): これはシミュレーション中のイベントに対する時間窓です。静的負荷シミュレーションでは、t_sim は定常状態で設定できます。t_sim フィールドには、Tcase から始まったデバイスのジャンクション温度が定

常状態に達するのに十分な時間が自動的に入力されます。

• RMS 相電流 (Iph): これは相電流の RMS 値です (3 相 2 レベルトポロジ)。

• 出力電力 (Pout): これは 3 相 2 レベルトポロジの出力電力です。この値は、ユーザが入力することも、次の式 (1) に従って、他の入力パラメータを用いて自動計算することもできます。Pout = 3 24 Ipℎ ∙ MI ∙ PF ∙ Vdc (1)

• DC リンク電圧 (Vdc): これは DC バス電圧です。

• スイッチング周波数 (fsw): これはデバイスのスイッチング周波数です。

• 出力周波数 (fsine): これは次の式 (2) で与えられる負荷上の電気的周波数です。fSine = rpm ∙ 2p60 (2)

ここで、rpm はロータの毎分回転数であり、2p は極対数です。

• 力率 (PF): これは相電圧 VA と相電流 Iph の間の位相角のコサイン (または cos φ) です。

• 変調指数 (MI): これは次の式 (3) で与えられる 3 相正弦波 PWM の変調指数です。

MI = Vm,  SineVm, tri (3)

UM2325入力データ

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• 環境温度 (Tamb): これはアプリケーション近傍で測定された局所的環境温度です。

• ケース温度 (Tcase) / ヒートシンク (Ths): これはケースまたはヒートシンクの温度であり、温度設定が固定 Tcase (ヒート

シンクあり) / 固定 Theatsink 構成となっているか、それ以外の温度設定構成では、シミュレーションの結果として も

高温のケース位置を表している場合には、ユーザが決定可能です。

図 9. 静的負荷シミュレーションの入力データ・セクション

GADG231120171326SA

図 10. 3 相正弦波 PWM パラメータ

GADG231120171334SA

1/ fsw

1/ fsine

V m,sine V m,tri

VABV dc

-V dc

AB

C

V dcIph

(キャリア) (基準)

UM2325入力データ

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ミッション・プロファイル・メニューが動的負荷に設定されている場合には、それぞれのミッション・プロファイル・ステップ(図 9. 静的負荷シミュレーションの入力データ・セクション) に対して、入力データ・セクションから以下のパラメータを入力できます。

図 11. 動的負荷シミュレーションの入力データ・セクション

GADG231120171347SA

2.6 出力データ出力データ・セクション (図 12. 静的負荷シミュレーションの出力データ・セクション参照) には、トポロジ設計フィールドで選択された回路構成に従い、以下にリストアップされているシミュレーション結果のセットが含まれています。

• 伝導損 (T1): これは IGBT/MOSFET の伝導電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• 伝導損 (D1): これはフリーホイーリング・ダイオードの伝導電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• スイッチング損 (T1): これは IGBT/MOSFET のスイッチング電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• スイッチング損 (D1): これはフリーホイーリング・ダイオードの逆回復電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• 全損 (T1): これは、伝導損とスイッチング損を加えた、IGBT/MOSFET の全電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• 全損 (D1): これは、伝導損と逆回復損を加えた、フリーホイーリング・ダイオードの全電力損失 (シミュレーション時間t_sim の平均値) です。

• ジャンクション温度(T1, Max): これは解析中のシミュレーション時間の間の IGBT/MOSFET の 高ジャンクション温度です。

• ジャンクション温度(D1, Max): これは解析中のシミュレーション時間の間のフリーホイーリング・ダイオードの 高ジャンクション温度です。

• ジャンクション温度(T1, avg): これは IGBT/MOSFET のジャンクション温度 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• ジャンクション温度(D1, avg): これはフリーホイーリング・ダイオードのジャンクション温度 (シミュレーション時間 t_simの平均値) です。

UM2325出力データ

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• T1+D1 全損失 これは、IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードを加えた、全スイッチング電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• システム全損失: これは、6 個の IGBT/MOSFET と 6 個のフリーホイーリング・ダイオードを加えた、全インバータ電力損失 (シミュレーション時間 t_sim の平均値) です。

• ケース温度(max) / ヒートシンク温度(max): これは解析中のシミュレーション時間の間の 高ケース温度または 高ヒートシンク温度です。

• ヒートシンク+TIM Rth / ヒートシンク Rth: これは、入力条件に合わせるために必要となるヒートシンク・システム (記載

がある場合には熱インタフェース材料を含む) の熱抵抗です。

図 12. 静的負荷シミュレーションの出力データ・セクション

GADG231120171350SA

動的負荷シミュレーションでは、出力データ・セクション (図 13. 動的負荷シミュレーションの出力データ・セクション参照) はn+1 個のタブから構成されています (n はミッション・プロファイルのステップ数)。各ステップに関係する出力結果は t1 ,…,tnのボタンをクリックすると表示可能であり、ove タブには全ステップを考慮して計算された全体的な出力結果が示されています。

UM2325出力データ

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図 13. 動的負荷シミュレーションの出力データ・セクション

GADG231120171354SA

2.7 チャート出力チャート・セクションには、温度と電力損失に対する実時間挙動を示すチャート一式と、相電流またはスイッチング周波数の関数として電力損失が記述されている付加的なチャートが数枚含まれています。静的負荷シミュレーション(図 14. 静的負荷シミュレーションの出力チャート参照) の出力チャートを以下に示します。

• グラフ 1: T1-D1 ジャンクション温度対時間

IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードの両方に対する実時間のジャンクション温度が示されています。

• グラフ 2: T1-D1 電力損失対時間

IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードの両方に対する実時間の全電力損失が示されています。

• グラフ 3: T1 電力損失対電流 RMS

IGBT/MOSFET に対する平均電力損失が RMS 電流の関数として示されています。電力損失は、伝導とスイッチングの 2つの構成要素に分割されており、全電力損失も表示されます。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中の RMS 相電流を示します。

• グラフ 4: T1 電力損失対スイッチング周波数

IGBT/MOSFET に対する平均電力損失がスイッチング周波数の関数として示されています。電力損失は、伝導とスイッチングの 2 つの構成要素に分割されており、全電力損失も表示されます。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中のスイッチング周波数を示します。

• グラフ 5: D1 電力損失対電流 RMS

フリーホイーリング・ダイオードに対する平均電力損失が RMS 電流の関数として示されています。電力損失は、伝導とスイッチングの 2 つの構成要素に分割されており、全電力損失も表示されます。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中の RMS 相電流を示します。

• グラフ 6: D1 電力損失対スイッチング周波数

UM2325チャート

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フリーホイーリング・ダイオードに対する平均電力損失がスイッチング周波数の関数として示されています。電力損失は、伝導とスイッチングの 2 つの構成要素に分割されており、全電力損失も表示されます。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中のスイッチング周波数を示します。

• グラフ 7: インバータ電力損失対 RMS 電流

インバータに対する平均全電力損失が RMS 電流の関数として示されています。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中の RMS 相電流を示します。

• グラフ 8: インバータ電力損失対スイッチング周波数

インバータに対する平均全電力損失がスイッチング周波数の関数として示されています。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中のスイッチング周波数を示します。

• グラフ 9: 電力損失分布対電流 RMS

IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードの両方の伝導とスイッチングのパーセンテージが RMS 電流の関数として示されています。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中のRMS 相電流を示します。

• グラフ 10: 電力損失分布対スイッチング周波数

IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードの両方に対する伝導とスイッチングのパーセンテージがスイッチング周波数の関数として示されています。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中の RMS 相電流を示します。

• グラフ 11: 大許容ケース温度対電流 RMS

このグラフは、ジャンクション温度が RMS 電流の関数としての絶対 大定格を超えないように、デバイスのケース温度が超えてはならない温度を示します。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中の RMS 相電流を示します。

• グラフ 12: 大許容ケース温度対スイッチング周波数

このグラフは、ジャンクション温度がスイッチング周波数の関数としての絶対 大定格を超えないように、デバイスのケース温度が超えてはならない温度を示します。曲線は、ユーザが設定した入力データを用いて計算されます。灰色の垂直線は、入力データの中のスイッチング電流を示します。

UM2325チャート

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図 14. 静的負荷シミュレーションの出力チャート

GADG241120170826SA

動的負荷シミュレーション (図 15. 動的負荷シミュレーションの出力チャート参照) の出力チャートを以下に示します。

• グラフ 1: ジャンクション温度対時間

IGBT/MOSFET に対するケース温度とジャンクション温度が示されています。ジャンクション温度は、平均 Tj、 小 Tj、

大 Tj の 3 本の曲線に分割されています。温度設定が固定 Tcase (ヒートシンクあり) に設定された場合、またはユーザによ

ってヒートシンクが定義された場合 (Zth の Rth を挿入) には、デバイスのケース温度 (灰色線) が表示されます (前者の場

合、この温度はヒートシンクなしのシミュレーションのために計算されます)。• グラフ 2: T1-D1 電力損失 (平均) 対時間

IGBT/MOSFET とフリーホイーリング・ダイオードの両方に対する平均電力損失が示されています。

UM2325チャート

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図 15. 動的負荷シミュレーションの出力チャート

GADG241120170829SA

2.8 コマンド・ボタン図 16. コマンド・ボタン 「図 16: コマンド・ボタン」に ST PowerStudio の主要なコマンド・ボタンを示します。その簡単な説明は以下のとおりです。

1. クローズ: ST PowerStudio をクローズできます。

2. 開始: ユーザが開始ボタンをクリックするとシミュレーションが開始します。

3. 停止: 停止ボタンをクリックするといつでもシミュレーションを停止できます。ひとたびシミュレーションが停止すると、計算はリセットされます。

4. レポート: レポート・セクションを開くためにシミュレーションの 後に有効となります。

5. このソフトウェアについて: 「このソフトウェアについて」ウィンドウが開き、ST PowerStudio の簡単な説明の表示と、ウェブページ、ライセンス契約書、ST ウェブページへのリンクの提供が行われます。

6. マニュアル: ユーザ・マニュアルが開きます。

7. フォーラム: フォーラム・ページ (https://community.st.com/community/st-powerstudio) が開きます。

UM2325コマンド・ボタン

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図 16. コマンド・ボタン

GADG241120170831SA

1 42 3 5 6 7

UM2325コマンド・ボタン

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3 シミュレーション・レポート

シミュレーションの 後に有効となる「レポート」ボタン (図 1. ユーザ・インタフェースの中の特にセクション 8 を参照) をクリックすると、ST PowerStudio はシミュレーション結果をシミュレーション・レポートにまとめることができます。

シミュレーション・レポートには、以下および図 17. シミュレーション・レポート、ページ 1 と図 18. シミュレーション・レポート、ページ 2 に示した 7 つのセクションが記載されています。

1. 製品説明: このセクションには、製品名とともに、その主な電気的仕様とパッケージ写真が示されています。また、アプリケーションとシミュレーションされるトポロジも示されています。完全な製品説明は、ST の製品ページへのリンクの QR コードから参照可能です。

2. ミッション・プロファイル: シミュレーション種別が指定されています (静的負荷または動的負荷)。3. ゲート駆動: このセクションには、ゲート駆動ネットワークのゲート抵抗値が ON と OFF に分けて記載されています。

このインフォメーションは、デバイスのゲート駆動ネットワークがユーザによって定義されている場合にのみレポートされます。

4. 温度設定: シミュレーションのために選択された温度設定が示されています。

5. 入力データ: このセクションにはシミュレーション入力データの表が表示されます。

6. 出力データ: このセクションにはシミュレーション結果の表が表示されます。動的負荷シミュレーションでは、この表にはすべてのミッション・プロファイル・ステップのデータが含まれています。

7. チャート: このセクションにはすべての出力チャートが含まれます。

図 17. シミュレーション・レポート、ページ 1

GADG011220170957SA

5 6

34

2

1

UM2325シミュレーション・レポート

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図 18. シミュレーション・レポート、ページ 2

GADG301120171310SA

7

レポートがひとたび生成されれば、PDF ボタンをクリックして.pdf フォーマット (図 19. レポート・ウィンドウ参照) にエクスポート可能であり、その後に保存と印刷を行うことができます。

UM2325シミュレーション・レポート

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図 19. レポート・ウィンドウ

GADG241120171210SA

UM2325シミュレーション・レポート

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4 電気的モデリングと熱モデリング

パワー半導体はその動作中に電力損失を発生しますが、この電力損失はジャンクション温度を上昇させる熱という形で放散されます。また、パワー半導体には熱的な限界があるため、適切な熱設計が信頼性の高いシステムのキーポイントとなります。したがって、熱設計によってデバイスの電力損失から高精度な方法で 高ジャンクション温度を求めることが不可欠となります。

ST PowerStudio によって、電力損失の予測とパワー半導体のジャンクション温度を高い精度で求めることができます。これは、各デバイスの電気的パラメータと熱パラメータの非常に精密な内蔵モデリング、ならびに、自己発熱効果を考慮に入れた高度な反復計算によるものです。

4.1 電気的モデルと熱モデル

電力損失の主な発生源は、伝導損失とスイッチング損失によって与えられます。伝導損失 (Pcond) は、伝導相の間の ON状態損失であり、トランジスタの ON 状態電圧降下 (IGBT では VCE(sat)、MOSFET では VDS(on)) またはダイオードの両

端の順方向降下 Vf に依存します。

スイッチング損失 (Psw) は、転流の間に生じる動的損失です。トランジスタの中では、スイッチング損失は主としてターンオン過渡現象とターンオフ過渡現象の間に発生しますが、ダイオードでは、これらの損失は主として逆回復によるものです。

トランジスタの電圧降下とダイオードの順方向降下は、電流とジャンクション温度の関数として表すことができる一方で、スイッチング・エネルギーは、電流、電圧、ジャンクション温度、駆動ネットワーク (ゲート抵抗) の関数として表すことができます。

これらの電気的パラメータ (VCE(sat)/VDS(on)、Vf、Eon、Eoff、Err) はすべて (動的測定のための) 標準誘導性負荷における

特性データに由来するものであり、経験的モデルを用いて概算されています。電力損失の予測で 高の精度を得るために、ST PowerStudio は、以下の n 次ラグランジュ補間多項式に基づいています。ここで、上記パラメータそれぞれの中で

も精密なフィッティングとなるために n が も高精度となります。pn x = a0xn+ a1xn − 1 +⋯an − 1x+ an                        i = 0,1,⋯,n (4)

図 20. VCE(sat) フィッティング曲線の例 「図 20. VCE(sat) フィッティング曲線の例」に特性データ (実線) と比較された補間デ

ータ (点線) を示します。

図 20. VCE(sat) フィッティング曲線の例

GADG241120171213SA

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

0 5 10 15 20 25

V CE(

sat)

(V)

電流 (A)

特性データ 補間データ

UM2325電気的モデリングと熱モデリング

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ジャンクション温度は、これらのパラメータのそれぞれに対して影響を与える重要な要素であり、このシミュレーション・ツールでは、既知の 2 点の間の線形補間として適切に考慮されています。

温度変動がパワー半導体にストレスを与えるため、平均ジャンクション温度に加えて、半導体の温度リップルを計算する必要があります。

半導体の温度モデルは、熱-電気アナロジーを用いて、電気的に等価な RC ネットワークによって表現可能です。RC 部分の段数によってモデルがより詳細となります。 後に、図 21. フォスター RC 等価回路に示すように、過渡熱抵抗 Zth(t)は、フォスター・ネットワークに基づき、4 次のモデルで表現されます。

図 21. フォスター RC 等価回路

GADG241120171256SA

R1 R2 R3 R4Tj

Ptot (t)C1 C2 C3 C4

TcaseZth(t)

熱モデルへの入力は、半導体内部の電力損失です。それに加えて、Zth(j-c) (ACEPACK 製品では Zth(j-h)) は、次式を用い

て解析的に表すことができます。 Ztℎ j − c t = ∑i = 1n Ri 1− e−t/τi (5)

ここで、R はフォスター・ネットワークで示される抵抗値であり、t は時定数値 (R*C) です。

図 22. 過渡熱抵抗フィッティング曲線 「図 22. 過度熱抵抗フィッティング曲線」に、解析的数式 (点線) と測定データ (実線)を用いたフィッティング曲線を示します。

図 22. 過渡熱抵抗フィッティング曲線

GADG241120171303SA

0

0.5

1

1.5

2

2.5

Zth

˚C/W

時間 (s)測定データ 補間データ

UM2325電気的モデルと熱モデル

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5 電力損失とジャンクション温度の計算

ST PowerStudio は、出力電流の離散化を精度よく行う、高度な計算フローに基づいています。これによって、時間の関数としての電力損失とジャンクション温度の予測の精度が向上しています。

アプリケーション、トポロジ、変調技術タイプ (現在のバージョンでは 3 相正弦波 PWM を使用) に応じて、単一の離散化ステップそれぞれに対して、前述の電気的モデルと熱モデルを考慮して、次のように時間依存電力損失の計算が行われます。

ステップ 1: トランジスタの伝導損失

パワー MOSFET の場合: Pcond Tr i,Tj = i ∙ VDS on i,Tj ∙ δ (6)

パワー IGBT の場合: Pcond Tr i,Tj = i ∙ VCE sat i,Tj ∙ δ (7)

ステップ 2: トランジスタのスイッチング損失Psw Tr i,V,  Rg,  Tj,VDC = Eon i,V,  Rg on ,Tj,  VDC + Eoff i,V,Rg off ,Tj,VDC∙ fsw (8)

ステップ 3: ダイオードの伝導損失 Pcon Di i,Tj = i ∙ Vf i,Tj ∙ 1− δ (9)

ステップ 4: ダイオードのスイッチング損失Psw Di i,V,Rg,Tj,  VDC = Erec i,V,Rg on ,Tj,VDC ∙ fsw (10)

ST PowerStudio は、自己発熱ストラテジーに基づいており、実時間で電力損失を予測可能です。ジャンクション温度自体から動的に影響を受けて予測を行います。。

時間依存ジャンクション温度は、次の式に示すように、過渡熱抵抗を用いてすべてのパワー・チップに対して推定が行われ、図 23. 一般的熱ダイヤグラムに示す一般的熱ダイヤグラムに基づいて計算されます。Tj t = Ztℎ j − c t ∙ Pcond t + Psw t + Tcase (11)

または Tj t = Ztℎ j − ℎ t ∙ Pcond t + Psw t + Tヒートシンク (12)

図 23. 一般的熱ダイヤグラム

GADG271120171000SA

チップ

TIM

ヒートシンク

大6スイッチまで

Rth(j-c)(IGBT) Rth(j-c)(Diode)

Rth(c-h)

Rth(h-a)

P (IGBT) P (Diode)

P (Total inverter)

Tj(Diode)Tj(IGBT)

Th

Tc

Tamb

計算方法を図 24. 計算フローチャートに示します。ここでは、電力損失推定ならびにジャンクション温度に対する自己発熱効果が強調されています。このループは、シミュレーションの終了まで段階的に繰り返されます。

UM2325電力損失とジャンクション温度の計算

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図 24. 計算フローチャート

GADG271120171017SA

電力損失計算、f(Tj)

電気的モデリング、f(Tj)

Tjcalculation

t=tsim

いいえ

はい

Tj (t)

入力データ

出力データ自己発熱効果

図 25. 離散化プロセス 「図 25. 離散化プロセス」には、出力電流ならびにこのシミュレーションに使用された電力損失とジャンクション温度に適用された離散化プロセスの詳細がいくつか示されています。

インバータのアプリケーションでは、IGBT または MOSFET のぞれぞれと各ダイオードは、正弦波出力のサイクル時間の半分で電気を伝えます。電力損失はある半分の周期時間で現れます。一方で、その半周期には、反対側のインバータ位置の IGBT/MOSFET またはダイオードはアクティブになりません。したがって、ジャンクション温度は出力周波数で振動します。

離散化プロセスにより、デバイスの中の時間依存電力損失は出力電流の正弦波の形にならいます。その結果として、時間依存ジャンクション温度は電力損失の変動にも密接に追従しますので、リップルとピーク・ジャンクション温度のより精密な予測が可能となります。

図 25. 離散化プロセス

GADG271120171020SA

相電流

IGBT電力損失

IGBTジャンクション温度

時間 (s)

UM2325電力損失とジャンクション温度の計算

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以下に留意:MOSFET デバイスでは、電力損失とジャンクション温度のリップルには、両方の半周期の中で本体ダイオードも考慮されています。

UM2325電力損失とジャンクション温度の計算

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A 付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約

重要 - よくお読みください: この ST マテリアルのための限定ライセンス契約 (LLA) は、お客様自身を代表し、お客様が雇用されているか参加しているかする組織を代表するお客様 (この LLA では総称して「お客様」または「ライセンシー」と呼びます) と、オランダ法に基づいて法人化された会社であり、39, Chemin du Champ des Filles, 1228 Plan-les-Ouates,Geneva, Switzerland に位置するそのスイス支店を介してこの LLA の目的のために業務を行う STMicroelectronicsinternational NV (以後「ST」と呼びます) との間で取り交わされるものです。関係会社とは、このような所有権が存在する限りにおいて、直接的または間接的に、ST を所有するか、所有されるか、共通の所有権のもとにあるかするあらゆる会社、パートナーシップ、またはその他の組織を意味します。前述の目的において、「所有する」、「所有される」または「所有権」とは、取締役または同等な理事会の選挙への議決権を持つ株式かその他持ち分の 50%を超える所有権を意味するものとします。

この LLA のもとに許諾を受ける ST マテリアルとは、ソフトウェアもしくはあらゆるハードウェア・マテリアル、またはその両方の形態において付属する、またはその他の ST によって用意されるマテリアルおよび、あるいは、関係会社によって提供されるこの LLA に合意したマテリアルを意味します。これには、あらゆる関連媒体や文書を含みます(総称して「ライセンス対象マテリアル」と呼びます) 。ここでいう「文書」とは、印刷されているか電子的形態であるかによらず、あらゆる補足説明、注釈、手順説明、マニュアル、またはその他の資料が含まれるものとし、LLA のもとで提供されるあらゆるソフトウェアやあらゆるハードウェア・マテリアルに関係する、インストール・マニュアルとユーザー・ガイドとプログラマ・ガイドを含みます。ライセンス対象マテリアルには、ソフトウェアの更新分、またはハードウェア製品や ST または関連会社が提供する製品、または、ライセンシーがマテリアルを入手後に何らかの手段で入手したマテリアルにおいて、個別のライセンスや使用許諾によるもの以外のものを含みます。

ライセンス対象マテリアルは、この LLA のすべての諸条件をお客様が承諾するという条件のもとにお客様に許諾されます。「承諾」ボタンをクリックするか、ライセンス対象マテリアルをインストール、コピー、ダウンロード、アクセスするか、使用することによって、お客様はこの LLA の条件が課せられることに合意することになります。本 LLA のいずれかの条件に合意しない場合には、ライセンス対象マテリアルのインストールもアクセスも使用も行わないでください。

1. 限定ライセンス -本 LLA の諸条件および該当するオープン・ソース条件 (以下に定義) に従うことを条件とし、また本 LLA の有効期限において、ST は以下のライセンスを許諾します。本ライセンスは、ST およびその関連会社が所有する知的財産権または、ST およびその関連会社がライセンスを許諾する権利を保持する知的財産権に基づき、サブライセンス権のない、全世界を対象とする非独占的で譲渡不可なロイヤルティー・フリーのライセンスです。ライセンス対象マテリアルは、内部でのみ使用することができます。ST チップセットまたは ST 集積回路 (ST チップセットと総称します)を使い、ソフトウェア/ハードウェア・アプリケーションの評価、シミュレーション、試験および開発の実施、ならびに、STチップセットを用いた、当該ライセンシーのソフトウェア/ハードウェア・アプリケーションの非商業的デモンストレーションを実施する目的 (「限定ライセンス目的」) で使用可能です。

ライセンス対象マテリアルがお客様にソース・コードの形で提供された場合、この LLA の諸条件に従うことを条件に、ST はここに、ST およびその関係会社が所有するか、ST およびその関係会社がライセンスを許諾する権利を有するかする知的財産権のもと、この LLA の期間の間、限定ライセンス目的のみのために、ライセンス対象マテリアルのソース・コード形式を使用、複製および修正し、そのように修正されたソース・コードを新たなオブジェクト・コードにコンパイルする、サブライセンス権のない、全世界を対象とする非独占的でロイヤルティー・フリーの譲渡不可なライセンスを、お客様に許諾します。

この LLA の諸条件に従うことを条件に、ST はここに、ST およびその関係会社が所有するか、ST およびその関係会社がライセンスを許諾する権利を有するかする知的財産権のもと、限定ライセンス目的を支援するために限り、この LLA のもとで ST によって提供された文書を内部的に使用し、合理的な数の複写を作成する、サブライセンス権のない、全世界を対象とする非独占的で譲渡不可なロイヤルティー・フリーのライセンスを、お客様に許諾します。

ここに記載されたすべての制限事項に従うことを条件に、お客様は、第三者の請負業者にお客様のため、またはお客様の代わりとして、上に規定されたライセンス権を実施させる権限があります。

お客様は、お客様の受託業者のあらゆる行為または遺漏に関して、ST に対する全面的な責任があり、お客様の受託業者のあらゆる違反は、本契約に従って、お客様による違反と見なされるものとします。

お客様は、ライセンス対象マテリアルは、お客様個別の要求事項を満たすために特別に設計されてはおらず、ライセンス対象マテリアルがお客様の要求事項を満たすか否か、そしてお客様が意図する使用方法やアプリケーションに適していることを評価するために必要なすべての情報を保有していることを了承するものとします。したがって、ライセンス対象マテリアルは、ライセンシーに提供された時点で受け入れられたと見なすものとします。お客様は、ライセンス対象マテリアルと、このような使用により得られたあらゆる成果を、お客様自分のリスクで使用するものとします。お客様は、ST およびその関係会社は、ライセンス対象マテリアルおよびライセンス対象マテリアルのこのような使用によって生まれたあらゆる成果の使用により生じた結果に、いかなる形でも、責任を取りえないことを了承するものとします。

お客様は、限定ライセンスのもとでライセンス対象マテリアルを受領しており、ライセンス対象マテリアルの購入者としてではないことを了承するものとします。

2. 制限事項 -

UM2325付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約

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別途第1条に明示的に規定されていない限り、お客様は以下のことを行っても、いかなる第三者に許諾してもなりません。(i) ライセンス対象マテリアルをコピー、複製、または複写すること、(ii) 変換、修正、改作、逆コンパイル、逆アセンブルまたはリバース・エンジニアリングしてライセンス対象マテリアル (のあらゆる部分) の派生品を作成すること、(iii) いかなる理由であっても、ライセンス対象マテリアル (のあらゆる部分) の賃貸、開示、出版、販売、委託、リース、貸与、サブライセンス、上市、譲渡、配布、またはそれへのアクセスを第三者に提供すること、 (iv) ライセンス対象マテリアルのあらゆるオブジェクトコード部分のソース・コード、アルゴリズムの性質、または構造を引き出そうとすること、(v) ライセンス対象マテリアルを使用して、ライセンス対象マテリアルまたは ST チップセットと競合するあらゆる製品を作成すること、(vi) ライセンス対象マテリアルまたは ST チップセットのあらゆる保護技術またはその他制限技術を除去したり回避すること、(vii) ライセンス対象マテリアルの実行結果をあらゆる第三者に開示すること、(viii) あるいは、この LLA で明示的に認められていない何らかの方法で、ライセンス対象マテリアルのあらゆる部分を使用すること。

この第 1 条のもとでお客様に許諾された限定的表現のライセンスを除いては、(i) このようなライセンス対象マテリアルまたはその他秘密情報を、1 つ以上のそれ以外の品目 (ST やその関係会社から入手した品目を含む) と組み合わせるためのもの (このような品目がこの組み合わせの一部として以外の実質的な使用方法を持たない場合であったとしても) と、(ii) ST やその関係会社のあらゆる商標、商品名やブランド名、ドメイン名、会社名、あるいはその他の名称やマーク、またはそれらについての短縮形や模擬に関するものと、(iii) 標準規格作成団体により規定されたいずれかの規格とデファクト規格いずれかを対象とする知的財産権のもとであるものを含めて、ライセンス対象マテリアルの中に存在するものであれ、ST とその関係会社から提供されたその他の秘密情報の中に存在するものであれ、ST やその関係会社のあらゆる知的財産権のもとでも、第三者の何らかの知的財産のもとでも、それ以外の権利またはライセンスは、許諾も、禁反言ないしは他の方法による含意もされていません。

ライセンス対象マテリアルを、商用目的や販売のために使用することも、有償で譲渡することも禁止されています。商用目的には、ライセンス対象マテリアルを、単独型の商品として使用することも製品の中で使用することも、配布や上市させることも、あるいは販売や無期限に貸与することも含まれます。誤解を避けるために付言すると、ライセンシーのソフトウェア/ハードウェア・アプリケーションが、いかなるライセンス対象マテリアルもその一部も含んでいないか、ここに定めたライセンス対象マテリアルの全体か一部の使用を結果として生じないものであることを条件に、ライセンシーは、ライセンシーのソフトウェア/ハードウェア・アプリケーションのいずれかを配布することを妨げられないものとします。

ライセンス対象マテリアルへのアクセスと使用は、お客様ならびに、お客様に雇用されており、限定ライセンス目的のためにライセンス対象マテリアルにアクセスする必要のある人々(ただし、当該個人がこの LLA の規定を遵守することにつき、お客様が保証することを条件とします)に限定するものとし、第 1 条のもとに明示的に許可されている場合か、そうではない場合には ST によって明示的に書面で合意されている場合を除いて、お客様はいかなる第三者にもライセンス対象マテリアルを使用させてはなりません。お客様は ST に対して、このような第三者がこの LLAの規定を遵守しなかったことに起因する、あらゆる損害に関する責任を負うものとします。

ST とその関係会社は、ライセンス対象マテリアルに対して保守、技術的サポートまたは更新をお客様に提供する義務を負いません。

3. 所有権、著作権、商標 -ライセンス対象マテリアルが使用される国の法律に基づいて、特別な承認や有効化が行われていようがいなかろうが、ライセンス対象マテリアルは、ST もしくはその関係会社、またはそのライセンサーの独占的財産であり、かつそれが継続します。お客様は、ST およびその関係会社、またはそのライセンサーの財産権を侵害する行動を起こしたり、第 1 条に規定されている限定された権利を除いて、ライセンス対象マテリアルに含まれる何らかの権利を取得したりしないものとします。

ライセンス対象マテリアルのすべての権利、財産的権利および所有権は、ST もしくはその関係会社、またはそのライセンサーの所有であるか、そこからライセンスを受けるものです。お客様は、ライセンス対象マテリアル全体または一部のあらゆる複写物において、ST もしくはその関係会社、またはライセンサーの著作権と商標の通知およびその他を含めて、すべての通知が複製されることを保証するものとします。お客様は、ライセンス対象マテリアルのどの部分からも、ST もしくはその関係会社、またはライセンサーの著作権または商標の通知を削除、修正、改変しないものとします。

4. 秘密保持 -秘密情報には、ライセンス対象マテリアルとともに提供された、(a) 「confidential」、「proprietary」または類似の注意書きで指定されているか、(b) それ自身の性質または種類から合理的に秘密であると見なされるか、(c) ソース・コードであるすべての情報 (「秘密情報」) が含まれるものとします。お客様は、限定ライセンス目的のみのために秘密情報を使用してもよく、同様な性質のお客様自身の秘密情報を保護するために使用するものと同程度 (ただし合理的な程度の注意以下ではないこと) の、その不正な使用、配布、出版を防止するための注意を払うことにより、このLLA のもとに ST とその関係会社によって提供される秘密情報の秘密を守るものとします。

お客様は ST に対して、ライセンス対象マテリアルや秘密情報にアクセス可能ないずれかの従業員が、この LLA の規定を遵守しなかったことによって発生する、あらゆる損害に関する責任を負うものとします。ライセンス対象マテリアルや秘密情報、またはその一部のあらゆる不正な使用または開示、不正アクセス、盗難や紛失があってそれに気づいた場合には、お客様は直ちに ST に通知を行うものとします。

UM2325付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約

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この秘密保持義務は、文書による証拠を示すことが可能である、以下の秘密情報には適用されないものとします。(i) ライセンシーの過失なくパブリック・ドメインとなったもの、(ii) ST とその関係会社から受け取る前にライセンシーに既知であったもの、(iii) 開示する権利を有している第三者からライセンシーが開示をうけたもの、(iv) ライセンス対象マテリアルまたは秘密情報を使用せずにライセンシーによって独立に開発されたもの (独立性の証明はライセンシーの責務)。これらの秘密保持義務は、理由の如何を問わず、LLA が解除または失効により終了しても、存続するものとします。

5. 保証の免責 -お客様は、ライセンス対象マテリアルおよびその一部が「現状のまま」提供されることを了承するものとします。ST とその関係会社は、特定目的に対する商品性および適合性の黙示的な保証およびその他を含めて、明示的か暗黙的か法的かを問わず、ライセンス対象マテリアルとその一部に関するいかなる表明も保証も行いません。特に、上記の一般原則には限らず、ST とその関係会社は、 (i) ライセンス対象マテリアルまたはその一部を使用した場合に、中断されることもエラーが発生することもなく、 (ii) ライセンス対象マテリアルまたはその一部をどのように使用した場合にも、他の機器の中に組み込まれるか否かを問わず、いかなる第三者の知的財産権を侵害していないことに関して、いかなる表明も保証も行いません。第三者の特許およびその他の知的財産権のもとでのライセンス取得に関して必要となるこのような判断は、お客様のみの責任であるものとします。その結果として、このような使用が第三者の知的財産権を侵害している場合にも、ST とその関係会社はあらゆる責任を否認します。それに加えて、STとその関係会社は、お客様またはお客様の顧客によって作成されたかそのために作成されたあらゆる開発成果に対するあらゆる保証と責任は、それがどのようなものであってもここに否認します。お客様は、この LLA の明示的な保証以外のいかなる保証にも依拠しておらず、法によって認められる場合には常に、ST やその関係会社によって保証が行われることも、法によって保証が与えられることもないことを了承するものとします。

6. オープン・ソース -ライセンス対象マテリアルの一部には、このような部分それぞれに適用可能であり、ライセンス対象マテリアルの中に詳細が規定されているオープン・ソース条件 (下記) に従うことを条件とする、オープン・ソース・ソフトウェアが含まれていることがあります。このようなオープン・ソース・ソフトウェアは、適用可能なオープン・ソース条件のもとでお客様に提供されており、この LLA の諸条件が適用可能なオープン・ソース条件と相反している場合には、この LLA の諸条件に従うことを条件とはしておりません。

オープン・ソース・ソフトウェアを除いては、お客様はこの LLA のもとで権利を持っておらず、いかなることがあっても、何らかのオープン・ソース条件に適合することが条件となるやり方で、ライセンス対象マテリアルまたはその一部を使用してはなりません。これらの行いには、組み込みやリンクなどの手段によるライセンス対象マテリアルの組み合わせが含まれますが、それには限られません。

この LLA の目的において、「オープン・ソース条件」とは、ソフトウェアのディストリビューションの一部として、このようなソフトウェアのソース・コードを一緒に配布することを要求しているあらゆるオープン・ソース・ライセンス、ならびに、www.opensource.org に規定されているオープン・ソースの定義と、たとえば GNU general public license (GPL)、Eclipse public license (EPL)、Apache software license、BSD license、MIT license などの、その他の同等なオープン・ソース・ライセンスに適合するその他のあらゆるオープン・ソース・ライセンスを意味するものとします。「オープン・ソース・ソフトウェア」とは、ライセンス対象マテリアルに指定されているオープン・ソース条件のもとで、ライセンスまたは配布が行われるソフトウェアを意味するものとします。

7. 法令遵守 -お客様は、いかなる法律、法令、条例などの法規にも、お客様が拘束されている義務にも違反して、ライセンス対象マテリアルを使用しないことを承諾するものとします。お客様は、ライセンス対象マテリアルの使用に関して適用されるすべての法律と規則を遵守することを承諾するものとします。特に、上記の一般原則には限らず、お客様は、ライセンス対象マテリアルが輸出管理規制を受けることを了承し、欧州輸出規則および米国の同様な規則を遵守することと、ライセンス対象マテリアルを輸出または再輸出する前には、必要な輸出承認書その他の必要な文書を取得することを承諾するものとします。

ライセンス対象マテリアルの中には、(i) ライセンス対象マテリアルの使用または実装を対象とした知的財産権を主張する第三者からのライセンスを必要としたり、(ii) 産業界で認知されている標準規格または産業界で認知されている標準化団体が発行するソフトウェア・プログラムに基づいていたりするものもあり、ある第三者がそれらの標準規格の実装または使用を対象とした知的財産権を主張することがあります。お客様は、ST によってここでお客様に許諾されたライセンス権を行使する前に、このような第三者から必要なライセンスを取得することを承諾するものとします。

8. 損害の免責 -いかなる場合も、ST とその関係会社は、この LLA から、もしくはそれとの関係で生じた、いかなる間接的、付随的、懲罰的、特別もしくは派生的な損害賠償、逸失利益もしくはコスト節減の機会喪失、取引もしくは機会の損失、専門家の報酬もしくは費用、事業の中断、収益もしくは売上の喪失、製品もしくは装置もしくは設備への損害、代替となる製品、設備もしくはサービスのコスト、手直し料金、中断時間に関連するコスト、信用の喪失、データの喪失、または、保証もしくは知的財産侵害請求に関連するいかなる損害賠償、コストもしくは費用については、予見できるか否かを問わず、そしてこのような損害賠償が保証、契約その他の法的理論に基づいていようとなかろうと、たとえライセ

UM2325付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約

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ンシーがこのような損害賠償の可能性について知らされていたか、知っていた場合であっても、ライセンシーとその顧客に対する責任を負いません。この LLA のもとでのライセンシーに対する ST とその関係会社の合計の累積責任額は、100 米ドルを超えないものとします。この第 8 条に規定された上記の制限は、適用される法律によって可能とされる 大範囲にのみ適用されるものとします。

9. 期間と解除 -この LLA は、お客様がこの LLA を承諾した日から 初の 1 年間有効であるものとし、その後は、1 ヵ月前の書面による通知によって、ST またはライセンシーのいずれかによって解除されるまでの無制限の期間だけ、自動更新されるものとします。上記にも関わらず、マテリアル、文書その他の秘密情報を廃棄するか、それらを ST に返却することにより、ライセンシーはこの LLA を随時解除できます。(i) お客様がこの LLA の諸条件を遵守しなかった場合、(ii) お客様が ST またはその関係会社に対して訴訟を起こした場合、(iii) ライセンス対象マテリアルもしくはお客様によるライセンス対象マテリアルの使用が、いずれかの第三者の知的財産権を侵害していると申し立てている主張、訴訟、法的手続きの通知を、ST またはその関係会社が受け取った場合、(iv) 法律が認める範囲で、自発的もしくは非自発的な倒産もしくは整理解散の申立書がライセンシーに対して提出された場合、債務超過もしくは破産の何らかの法的手続きがライセンシーに対して開始された場合、ライセンシーに対して管財人もしくは保全管理人が選任された場合、またはライセンシーの債権者の利益のために何らかの委託が行われた場合には、ST はこの LLA を随時解除できます。解除時には、お客様は、保有するすべてのライセンス対象マテリアルを削除するか破棄するか STに返却し、いかなる目的であろうともライセンス対象マテリアルの使用を中止するものとします。第 2 条から第 11 条の権利と義務は、この LLA が解除または失効により終了しても、存続するものとします。

10. 雑則 -管轄権のある裁判所あるいは機関がこの LLA のいずれかの条項を無効、違法、または何らかの理由で執行できないものとした場合には、この LLA の残り部分は有効かつ執行可能であるものとし、お客様と ST は、この LLA を締結した当事者の意図に も近い、有効で執行可能な代わりの条項を誠実に協議するものとします。

ST がこの LLA の何らかの条項を守らせなかったり、それに関する権利を行使しなかったりしたことが、それに関する ST の権利の放棄を構成するものと解釈してはならないものとします。

この LLA に基づいて、代理店、ジョイント・ベンチャー、パートナーシップその他のビジネス組織が作られたり、作られつつあるものと解釈されたりしないものとします。お客様は、どのような性質の義務であろうとも ST およびその関係会社の代理として引き受けたり作り出したりする権利も権限も、どのような点であろうとも ST およびその関係会社を拘束したりする権利も権限も持っていませんし、そのようなことを行ってはなりません。お客様と ST は独立した当事者です。この LLA のいずれの部分も、お客様を ST の従業員、代理店、または法律上の代表者するものと解釈されてはならないものとします。

この LLA には、この LLA の主題に関するお客様と ST の間の完全かつ唯一の合意内容が含まれていて、お客様と ST もしくはその関係会社との間で以前に行われたすべての表明、請負業務、合意に取って代わるものであり、この LLA の主題に関して、お客様からのいずれかの文書にて規定されている諸条件に優先するものとします。このLLA に対する修正は、書面よる合意に対して、お客様と ST によってしかるべく署名が行われるか、ST から提案されたフォーマットにお客様のみによって署名か合意が行われるものとし、この LLA に対する参照がなされるものとします。

11. 準拠法 -この LLA はスイス法に準拠します。ただし、抵触法の規定は適用を除外します。この LLA からもしくはこれに関係して発生するすべての紛争もしくは問題は、スイス国ジュネーブの所轄裁判所によって 終的に解決するものとします。上記にも関わらず、この LLA のいかなる条項も、管轄権のある裁判所による、暫定的あるいは 終的な差止命令による救済もしくは衡平法上の救済を ST が求めることを妨げるものではありません。

UM2325付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約

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改版履歴

表 1. 文書改版履歴

日付 版 変更内容

2017 年 12 月 21 日 1 初版発行

2018 年 3 月 1 日 2この文書に ACEPACK パッケージを追加

それに応じて文書を更新、テキストの小変更

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目次

1 Overview . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2

2 ユーザ・インタフェースの説明 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

2.1 製品選択 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

2.2 ミッション・プロファイル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

2.3 温度設定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

2.4 ゲート駆動 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8

2.5 入力データ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9

2.6 出力データ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11

2.7 チャート. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

2.8 コマンド・ボタン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16

3 シミュレーション・レポート . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18

4 電気的モデリングと熱モデリング . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21

4.1 電気的モデルと熱モデル . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21

5 電力損失とジャンクション温度の計算 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 23

A 付録 ST マテリアル評価のための限定ライセンス契約 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26

改版履歴 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 30

UM2325目次

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