MONTHLY NEWS LETTERがら経済活動を行う必要があるのだ。...

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世界的に都市封鎖などの厳しい措置から、経済活動を 考慮した緩やかな措置へとシフトが進む中、先行してい る国々の対応に注目が集まっている。その大きな理由は、 言うまでもなく感染症対策が終わらないことにある。 ウイルスが死滅したわけでも、特効薬ができたわけでも ない。この先も再び大きな流行が生じないよう、警戒しな 日本では緊急事態宣言が延長されたが、感染症をある 程度抑え込んだ国々では、経済活動も正常化に向かって 進みつつある。中国や韓国、ベトナムなどのアジア諸国だ けではなく、大きな被害があった欧州でも、経済活動再開 の動きが出ているのだ。感染症対策で先んじているドイ ツは、4月20日に小規模商店の営業を認めたのに続き、国 内の全商店の営業やプロサッカー「ブンデスリーガ」の 再開を認める活動規制の緩和策を5月6日に発表した。 ͲมΘΔʁ ։ ޙͷ׆ࡁܦ維持される、社会的距離 都市封鎖などの新型コロナウイルス感染拡大への厳しい対策措置を経て、活動再開に向けて動き出した 世界経済だが、完全に元通りとはいかないようだ。再開後の企業活動の変化を考えてみたい。 MONTHLY NEWS LETTER ビジネスと投資に役立つマンスリーニューズレター BIBLE OF INVESTMENT 投資のバイブル 投資で一番大切な20の教え MONEY FOR PRESIDENT 高橋FPの社長が知りたいお金の話 緊急経済対策のポイント 社会的距離を明示したフランスの駅。写真:ロイター/アフロ MONEY CLIP マネークリップ CB 投資の魅力 検温、距離の確保 新たな設備が必要な職場 June | 2020

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 世界的に都市封鎖などの厳しい措置から、経済活動を考慮した緩やかな措置へとシフトが進む中、先行している国々の対応に注目が集まっている。その大きな理由は、言うまでもなく感染症対策が終わらないことにある。ウイルスが死滅したわけでも、特効薬ができたわけでもない。この先も再び大きな流行が生じないよう、警戒しな

 日本では緊急事態宣言が延長されたが、感染症をある程度抑え込んだ国々では、経済活動も正常化に向かって進みつつある。中国や韓国、ベトナムなどのアジア諸国だけではなく、大きな被害があった欧州でも、経済活動再開の動きが出ているのだ。感染症対策で先んじているドイツは、4月20日に小規模商店の営業を認めたのに続き、国内の全商店の営業やプロサッカー「ブンデスリーガ」の再開を認める活動規制の緩和策を5月6日に発表した。

どう変わる? 再開後の経済活動維持される、社会的距離

都市封鎖などの新型コロナウイルス感染拡大への厳しい対策措置を経て、活動再開に向けて動き出した世界経済だが、完全に元通りとはいかないようだ。再開後の企業活動の変化を考えてみたい。

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緊急経済対策のポイント

社会的距離を明示したフランスの駅。写真:ロイター/アフロ

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検温、距離の確保− 新たな設備が必要な職場

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がら経済活動を行う必要があるのだ。 生産活動を再開させた中国など、多くの国の工場で検温が習慣化。始業前に作業員の体温を測定し、作業時には十分に距離を取っている。サービス業では利用客同士での感染を防ぐ工夫が求められる。座席の間隔をあけたり、間仕切りを設けているのだ。 また多くの企業にとって課題となるのが、従業員の健康や接触状況の管理だ。従業員全員を対象に抗体検査を行うといったわかりやすいものから、ビルへの入館時に体温を自動測定するシステムや、オフィス内の人の動きから従業員間の接触状況をモニターするしくみなどの少し近未来感のあるものまで、さまざまな対策措置が検討されていることが報じられている。 これらの機器等を提供する企業にとっては新しいニーズともいえるが、導入する多くの企業にとっては感染症対策のコスト負担が増えるということになりそうだ。

社会的距離をあけて作業を行う仏ルノーの工場。

告が主力の前出の2社と同様にやや苦戦しているが、中国では改善基調に転じた。その他の地域も4月後半から持ち直しがみられ、株主還元も継続するという。ビッグ5の残る2社は本業も好調だ。マイクロソフトはクラウド関連がけん引し、市場予想を超える増収。アマゾンは対応コストの増加が利益を抑制するとしながらも、E コマースを中心に取引を拡大させている。 ウイルスがもたらした大きな打撃から立ち直るべく、動き出した世界。しかし、感染症対策は長期戦になりそうだ。経済活動の変化を捉えることは、投資家にとって重要だといえるだろう。

注目された企業決算

この工場では、作業開始前に社員の体温を測るようにしている(イタリア)。

ガラスによる間仕切りを設けたオランダのレストラン。

 さて、4月後半から5月にかけては決算シーズン。特に3月期決算の多い日本では年度の決算時期ということもあり、企業が感染症の影響をどのように捉えているか、その発表内容が注目を集めていた。しかし、東証1部上場企業のうち167社が決算発表の延期を公表する事態(4月24日時点)となっている。 米国はどうだろうか。同じ時期に1-3月の四半期決算が行われているが、目立ったのがやはりテクノロジー関連の強さ。例えば、各企業の DTC(直販)事業の支援を手掛けるショッピファイは、新規出店が前年同期比で6割増えたと発表。巣ごもりの影響も大きい。ゲームを手掛けるアクティビジョン・ブリザードは、増収増益に転じた。コミュニケーションツールを提供するトゥイリオは、コールセンターや遠隔医療の分野での利用が急増、ライドシェア向けの売上などの落ち込みをカバーし、売上高や利益の4-6月期見通しが市場予想を上回った。旅行やイベントなどの需要減の影響があった決済関連でも、ペイパルは4月の新規利用顧客数が740万人と過去最高を記録したことなどから、先行きに楽観的な見通しを示した。同じようにこれらの需要減による影響を大きく受けるとみられたデジタル広告の分野において、アルファベットやフェイスブックの担当者からは、4月からの回復傾向を示唆するコメントが出された。楽観は禁物だが、影響の大きさを考えると健闘しているといえそうだ。 この危機で、ビッグ5に代表される超大手の IT 企業が優位性を高めるとの見方も浮上している。危機を乗り越えるために必要な強固な財務体質、優秀な経営陣、そして市場に対する支配力を備えているためだ。アップルは広

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