16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し...

16
ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。 http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html IT(情報技術)の未曾有の発達は、教育にも大 きな影響を及ぼし、急速な変化を促している。 情報社会が「デジタル技術を基本としたマルチ メディア&ネットワークによるメディア社会」 であるとしても、重要なことは、単にコン ピュータ普及率といった表層上の問題ではな い。ポイントは、「情報社会」をどう認識する か、各種の「活動モデル」の変容をどう先取り するか、である。 本稿では、情報社会が「ビジネス・モデル」を 急速に変容させているのと同様に、「教育モデ ル」を急激に変えていく点を指摘し、新たな 「情報社会型教育モデル」を構築することを提 案する。 I Tによって「教育モデル」が変わる いまだにITが「効率化の道具」という認識の経 営者も多い。この見方の背後には、情報社会を 工業社会の延長線上に捉える世界観があるよう だ。しかし、情報社会は果たして工業社会の延 長なのだろうか? 現在、ITによって既存の枠組みが根底から問 い直されるとともに、新しい「ビジネス・モデ ル」が次々に生まれている。また、ITを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ ジメント・モデル」を生みつつある。要するに、 ITは効率化のツールというより、ビジネスや教 育といった人間の行為や社会の仕組み自体を変 革するものなのだ。つまり、情報社会とは、工 業社会の延長線上にある成長段階ではなく、 違ったフェイズへの発展段階なのである。ちな みに、発展とは、蛹が蝶に、オタマジャクシが 蛙に変化するような、次の形態へのパラダイ ム・シフトを意味する。 ところが、それを見据えている人事教育関 係者はまだ少数のようだ。私は現在、慶應義 塾大学の新しい生涯学習・社会人教育の展開と して、東京駅前に「丸の内シティキャンパス: MCC(2001年4月本開講)」を立ち上げる総責任 者をしている。その関係で人材開発担当者と 話をしていると、彼らの多くは、ビジネス・モ デルの急速な変容やマネジメント・モデルの激 変に危機感を抱いてはいるものの、それらを 先取りしたり、あるいはそれらに対処したり できる人材を育成するための教育のやり方自 体を抜本的に見直すには至っていない。依然 として「講演」、「セミナー」がカリキュラムの 主体である。 つまり、知識のある人に無い人が教わるこ とが教育の基本だと思いこんでいるのである。 「ワークショップ」、ましてや「プロジェクト型 学習」などは想像の外のようだ。異なる背景や 視点を持つ人々のコラボレーションによって 「気づきや学び」、ひいては「知の創発」がなさ れるといった観点はほとんどない。要するに、 根底にあるのは、旧来の教育モデルなのであ る。 これはもちろん生涯学習・社会人教育の関係 者だけの話ではない。学校教育の議論でも同 様である。つまり、従来の教授内容や方法を 前提に、それをITによってどう効率化するか、 という議論が主流なのである。 授業を衛星放送で他大学に配信するとか、 通信教育の教材をマルチメディア化するとか、 統計の演習にパソコンを用いるとか、教育情 報化の議論の多くはこの認識に基づくものだ。 情報社会と工業社会とは異なるものだと認 識するならば、早急に、従来の(工業社会型)教 育モデルとそれを支える教育観を根底から問 い直し、「情報社会型の教育モデル」を構築し なければならない。そうでないと、ビジネスと 同様に、日本は教育の分野でも、さらに欧米諸 国から遅れてしまうだろう。 工業社会型「教育」を脱構築する 情報社会は、「いつ」、「どこで」、「何を使っ て」、「誰に」、「誰が」、「何を」、「どうする」と いった教育のすべての要素を変容させる。詳し くは紙面の都合上割愛するが、要するに、マル チメディア&ネットワークによって、非同所・ 非同期のコミュニケーションやコラボレーショ ンが可能となり、その結果、従来の「教える 人=教員」、「教わる人=就学年齢の学生」とい う構図が根底から崩れるということだ。そこで は、工業社会型の「知識伝授」、つまり「既存の 体系化された知識を、教師から学生へ伝授して いく」という前提が変わる。 では、情報社会での教育コンセプトは何か。 それは「学習者主体のプロジェクト型教育」で ある。メディアとネットワークによる学習環境 の中での、ラーニング・コミュニティ(福沢諭吉 はそれを「塾」と呼んだ)が基本となる。教師の 役目も自分の知識を切り売りする「知識伝授 者」から、「学習指導・支援者」へと変わり、さ らには学習環境自体を創り・運営する「学習プ ロデューサー」へと移っていくだろう。「経営 とは顧客の創造である」というドラッカーに倣 えば、情報社会の教育とは「学習者の創造」で ある。 学校教育関係者も企業内研修担当者も、こう いったコンセプトの急激な変化を先取りできて いるのだろうか。もし、情報社会を先取りでき る人材を育成するのならば、まず我々教育関係 者自身が従来の教育・人材育成モデルを脱構築 せねばならないのである。 「情報社会型教育モデル」の構築を 慶應義塾大学 助教授 知的資産センター 副所長 妹尾 堅一郎◆特集:データウェアハウス (2~4面) コミネ-「営業支援データ分析」 ◆ユーザ事例 エムオー エア システム-イントラネッ ト・システムで情報共有を実現 (5面) 八王子市役所-建築確認支援システム の運用を開始 (6面) マクロメディア社-Web製作ソフトの ダウンロード販売を開始 (14面) ディスコ-就職セミナーの「定員DBシ ステム」を運用 (16面) ◆IT最前線 *「電子申請システム」「地方公共団体向 け総合文書管理システム」 (7面) *コンピテンシーによる人材育成 (8面) UN 特集:情報資産の経営を支えるデータウェアハウス ASP/CSPサービス「ProjectCenter」 (9面) *金融Eビジネス革命 (10面) *「コマースセンター」 (11面) *Windows Data Center(3) (12面) *システム開発技術の動向(6) (13面)

Transcript of 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し...

Page 1: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html

IT(情報技術)の未曾有の発達は、教育にも大きな影響を及ぼし、急速な変化を促している。情報社会が「デジタル技術を基本としたマルチメディア&ネットワークによるメディア社会」であるとしても、重要なことは、単にコンピュータ普及率といった表層上の問題ではない。ポイントは、「情報社会」をどう認識するか、各種の「活動モデル」の変容をどう先取りするか、である。本稿では、情報社会が「ビジネス・モデル」を

急速に変容させているのと同様に、「教育モデル」を急激に変えていく点を指摘し、新たな「情報社会型教育モデル」を構築することを提案する。● ITによって「教育モデル」が変わるいまだにITが「効率化の道具」という認識の経

営者も多い。この見方の背後には、情報社会を工業社会の延長線上に捉える世界観があるようだ。しかし、情報社会は果たして工業社会の延長なのだろうか?現在、ITによって既存の枠組みが根底から問

い直されるとともに、新しい「ビジネス・モデル」が次々に生まれている。また、ITを活用したコミュニケーションとコラボレーション(協働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネジメント・モデル」を生みつつある。要するに、ITは効率化のツールというより、ビジネスや教育といった人間の行為や社会の仕組み自体を変革するものなのだ。つまり、情報社会とは、工業社会の延長線上にある成長段階ではなく、違ったフェイズへの発展段階なのである。ちなみに、発展とは、蛹が蝶に、オタマジャクシが蛙に変化するような、次の形態へのパラダイム・シフトを意味する。

ところが、それを見据えている人事教育関係者はまだ少数のようだ。私は現在、慶應義塾大学の新しい生涯学習・社会人教育の展開として、東京駅前に「丸の内シティキャンパス:MCC(2001年4月本開講)」を立ち上げる総責任者をしている。その関係で人材開発担当者と話をしていると、彼らの多くは、ビジネス・モデルの急速な変容やマネジメント・モデルの激変に危機感を抱いてはいるものの、それらを先取りしたり、あるいはそれらに対処したりできる人材を育成するための教育のやり方自体を抜本的に見直すには至っていない。依然として「講演」、「セミナー」がカリキュラムの主体である。つまり、知識のある人に無い人が教わるこ

とが教育の基本だと思いこんでいるのである。「ワークショップ」、ましてや「プロジェクト型学習」などは想像の外のようだ。異なる背景や視点を持つ人々のコラボレーションによって「気づきや学び」、ひいては「知の創発」がなされるといった観点はほとんどない。要するに、根底にあるのは、旧来の教育モデルなのである。これはもちろん生涯学習・社会人教育の関係

者だけの話ではない。学校教育の議論でも同様である。つまり、従来の教授内容や方法を前提に、それをITによってどう効率化するか、という議論が主流なのである。授業を衛星放送で他大学に配信するとか、

通信教育の教材をマルチメディア化するとか、統計の演習にパソコンを用いるとか、教育情報化の議論の多くはこの認識に基づくものだ。情報社会と工業社会とは異なるものだと認

識するならば、早急に、従来の(工業社会型)教育モデルとそれを支える教育観を根底から問

い直し、「情報社会型の教育モデル」を構築しなければならない。そうでないと、ビジネスと同様に、日本は教育の分野でも、さらに欧米諸国から遅れてしまうだろう。●工業社会型「教育」を脱構築する情報社会は、「いつ」、「どこで」、「何を使っ

て」、「誰に」、「誰が」、「何を」、「どうする」といった教育のすべての要素を変容させる。詳しくは紙面の都合上割愛するが、要するに、マルチメディア&ネットワークによって、非同所・非同期のコミュニケーションやコラボレーションが可能となり、その結果、従来の「教える人=教員」、「教わる人=就学年齢の学生」という構図が根底から崩れるということだ。そこでは、工業社会型の「知識伝授」、つまり「既存の体系化された知識を、教師から学生へ伝授していく」という前提が変わる。では、情報社会での教育コンセプトは何か。

それは「学習者主体のプロジェクト型教育」である。メディアとネットワークによる学習環境の中での、ラーニング・コミュニティ(福沢諭吉はそれを「塾」と呼んだ)が基本となる。教師の役目も自分の知識を切り売りする「知識伝授者」から、「学習指導・支援者」へと変わり、さらには学習環境自体を創り・運営する「学習プロデューサー」へと移っていくだろう。「経営とは顧客の創造である」というドラッカーに倣えば、情報社会の教育とは「学習者の創造」である。学校教育関係者も企業内研修担当者も、こう

いったコンセプトの急激な変化を先取りできているのだろうか。もし、情報社会を先取りできる人材を育成するのならば、まず我々教育関係者自身が従来の教育・人材育成モデルを脱構築せねばならないのである。

「情報社会型教育モデル」の構築を慶應義塾大学助教授知的資産センター副所長 妹尾堅一郎氏

主な記事

◆特集:データウェアハウス (2~4面)*コミネ-「営業支援データ分析」◆ユーザ事例*エムオー エア システム-イントラネット・システムで情報共有を実現 (5面)

*八王子市役所-建築確認支援システムの運用を開始 (6面)

*マクロメディア社-Web製作ソフトのダウンロード販売を開始 (14面)

*ディスコ-就職セミナーの「定員DBシ

ステム」を運用 (16面)◆IT最前線*「電子申請システム」「地方公共団体向け総合文書管理システム」 (7面)*コンピテンシーによる人材育成 (8面)

UN

特集:情報資産の経営を支えるデータウェアハウス

*ASP/CSPサービス「ProjectCenter」 (9面)*金融Eビジネス革命 (10面)*「コマースセンター」 (11面)*Windows Data Center(3) (12面)*システム開発技術の動向(6) (13面)

Page 2: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

2

データウェアハウスをめぐる最近の動向を見ると、①ユーザ層の拡大、②データ量の増大、③ニーズの不定化、④データ源の多様化などの変化が顕著である。こうした変化を反映して、現場からは次のような声を多く聞く。*エンドユーザからは「レスポンスが悪い、欲しいレポートが簡単に作れない」*IT部門からは「ユーザの要件がなかなか決まらない。決まってもすぐに変更されるため、ユーザの要求に対応が追いつかない」、その結果、「バックログが次々に山積みする」こういった課題をもたらす要因、その解決策を整理すると次の3点になる。◆課題解決のポイント①

第一に陥りやすい問題は、ツールの選択ミスとユーザに対するサポート問題である。IT部門が「データとツールを用意したので、どうぞお使い下さい」では失敗に終わるケースが非常に多い。多くのユーザを対象とする場合は、まず、誰がどういった目的で利用するのかをしっかりと分析する必要がある。また、一口にユーザといっても、企画スタッフと現場の営業マンとでは情報の見方、扱い方も違ってくる。予算が許せばそれぞれに適したツールを提供するのが理想的だが、予算が限られている場合は、一つのツールをそれぞれのユーザに適した使い方に限定して提供することがポイントになる。そのためには、IT部門が積極的に使い方の教育を行うことが必須条件となる。これらの課題解決には、利用者の分類と最適ツールの採用、支援体制の確立と活用ノウハウの普及が有効である。◆課題解決のポイント②

次の問題が、レスポンスとユーザ・リクエストへの対応である。この問題に対しては、情報の見方や切り口に応じたデータマートを構築することが最も効果の大きい

解決策である。しかしながら、情報の見方や切り口は市場の動向に従って常に変化するため、迅速な対応が必要となる。したがって、快適な利用環境の提供と利用者ニーズへの迅速な対応が重要であり、このためには生産性の高い構築ツールが必要になってくる。◆課題解決のポイント③

ユーザの要求に都度応えていると、当然リソースはいくらあっても足りなくなる。そこで利用頻度の低いものは切り捨てることも考慮する必要がある。このためには、利用状況の正確な把握と、稼働状況の監視や制御などの運用機能が必要になってくる。以上のような課題を解決して構築した例を下図1に示す。

データウェアハウスはデータの倉庫であり、データマートはデータの店舗といえる。一口に店舗といっても、大企業における各事業部門に特化したものや、管理者向け、企画スタッフ向けなどの利用部門に特化した形態、あるいは売上分析用や生産管理用など種別に応じたデータマートもある。このようにデータマートは、さまざまな用途に応じた情報の格納庫であるといえる。では、こういったデータマートを実際にどう構築していくか、その方法論について以下に紹介する。◆データマート構築の方法論

一つは、基幹業務系のデータから直接必要な情報を取り出して作り出す方法で、必要になったときに都度同じアプローチで作り出していく。いわゆる、「小さく作って大きく育てよ」方式で、低コストで実現できる反面、マートが増えてくれば増えてくるほど、整合性を維持することが難しくなり、管理も複雑になっていくデメリットを含んでいる。

もう一つの方法は、最初にセントラル・ウェアハウスという位置づけで、将来必要となるデータも含めて、明細レベルに近いデータを極力正規化して保持しておくやり方である。一般のデータマートは、すべてこのセントラル・ウェアハウスから作り出していくアプローチである。いわゆる「しっかり作って大きく育てよ」、あるいは「大きな構想を持って小さく始めよ」という考え方である。多少イニシャル・コストがかかったとしても、長い目で見ればコストセーブできる後者のアプローチが柔軟性もあり

得策である。◆データマートの構築手段

データマート構築には、手作りで行う場合と市販のデータマート構築ツールを適用する二つの方法がある。実際には、手作りで開発している企業が多く見受けられるが、そのほとんどの企業が、ユーザの度重なる要求に応えきれず、バックログを常に抱えている。そこで市販の製品を評価することが必要になる

が、そのポイントは、開発の生産性と実行時の性能である。市販の製品は、手作りに比べれば非常に生産性が高いが、実行時の性能の面では効率の悪さが見受けられる。処理性能が出ないということは、夜間の限られたバッチ処理時間帯の中で必要なデータマートを作りきれないということにもなる。こういった現実を考慮した結果、我々は、ある

データベースに特化したツールを自主開発した。◆マート・ビルディング・ツールの開発 (図1の①)

独自開発したツールは、Oracleに特化したデータマート構築ツールである。その特徴としては、Oracleに特化している分、特に大規模・大容量のデータウェアハウスに対応できるように、さまざまな性能向上策が図られている。バッチ処理時間を短縮させ、できるだけ多くのデータマートを一晩のうちに作り上げるための工夫を施している。◆データマートの構築ポイント

これまでの現場での構築経験から、以下の三つが構築のポイントとして指摘できる。 (図2)

(1)ユーザのニーズに沿ったデータマートの提供特に営業マンなど、末端のユーザまでを対象にしたデータウェアハウスでは、検索レスポンスの速さがその成否を握る。そのために、可能な限りユーザが要求する見方に近い形のデータマートを用意することが成功要因になる。(2)ユーザのニーズに応じたスクラップ&ビルドユーザの要求は変わりやすく、特に情報系では顕著である。そこで、既存のマートを改修するのではなく、陳腐化したマートは思い切って捨てて、新たなニーズに対応したマートをすばやく提供することが成功に導く第二の要因である。

2000年11月1日第475号

事例に見るデータウェアハウス構築の考え方日本ユニシス株式会社

I&Cソリューションサービス部開発一室第一グループシステムマネージャー 笹原広生

特集.情報資産の経営を支えるデータウェアハウス

データウェアハウスの課題と対策

データマートの考え方と構築ツール

………�

………�

データウェアハウス�

セントラル�ウェアハウス�

ポイント&クリックで�データマートを自動生成�⇒開発・保守コストの削減�⇒ユーザニーズに迅速対応�

①マート・

ビルディング・

ツール�

データ�マート��

データ�マート��

②マート・

ブラウジング・

ツール�

Webサーバ�

③マート・ナビゲーション・ツール�

システムの各種運用・管理機能を提供�(統合メニュー、稼働ログ、稼働制御etc.)�⇒各種AP(C/SS、Web)の共通ユーザI/F�

⇒AP・DBの利用分析と評価�⇒APの安定稼働�

Webベースの�定型帳票を容易に作成�⇒ユーザニーズに迅速対応�⇒開発・保守コストの削減�

データの切り口に�応じた目的別DBを設置�⇒レスポンス向上�⇒EUC促進�

Webベースの�メニュー&定型帳票を提供�⇒クライアント維持管理負荷軽減�⇒容易なユーザ拡大�

クライアント�PC

クライアント�PC

Web�レポート�

Web�レポート�

Webメニュー�

ブラウザ�

ブラウザ�

ユーザのニーズに沿った�データマートを提供�

セントラル・ウェアハウスと�データマートの密接な連携�

ユーザのニーズに応じて�スクラップ&ビルド�

●検索レスポンスの向上�●加工・編集操作の軽減�

●DWHの全体最適化�●TCOの削減�

●柔軟で迅速な対応�●メンテナンス負荷の軽減�

セントラル�ウェアハウス� セントラル�

ウェアハウス�

セントラル�ウェアハウス�

データ�マート�

売上日� 金額�

19990101�19990102�:�

19990122

100�200�:�500

当月売上�前月売上� Nカ月前�

1000�1500�:�

2000�2500�:�

3000�3500�:�

…�

セントラル・サーバ�

データウェアハウス・サーバ�

マート・サーバ�

データ�マート�

データ�マート�

データ�マート�

データ�マート�

……�

……�

陳腐化した�ニーズ�

陳腐化した�ニーズ�

新たな�ニーズ�

新たな�ニーズ�

(修正)

(削除) (追加)

図1 データウェアハウスの課題解決事例

図2 データマートの構築ポイント

Page 3: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

3

このためには開発生産性が高く、実行時の性能の高い構築ツールを適用することが必要になってくる。(3)セントラル・ウェアハウスとデータマートの密接な連携本社電算室にセントラル・サーバを置いて、全国の支店サーバに支店ごとのデータマートを分散配置するケースも見受けられるが、運用コストが想像以上にかかる、セントラル・サーバの有効活用ができないというのが一様の悩みになっている。結局は、一極集中型の方が運用コストをセーブできる上に、リソースの配分や追加修正も柔軟かつ効果的に対応できるといえる。

これらのデータマートをどうやってユーザにアクセスさせるか、どういう仕組みでデータをユーザに提供すれば効果的なのかについて考えてみる。◆検索ツールの課題

検索ツールには、レスポンスの問題だけでなく、いくつかの大きな問題が現場では挙がっている。一つは検索ツールのコストが高いために、ユーザ数を増やせないという現実的な問題がある。二つ目は、特に一般ユーザに対する使い勝手の問題。そして三つ目に運用コストが挙げられる。こうした管理負荷を解消するものとして、最近はWeb化に対応したツールが脚光を浴びている。◆Web化ニーズへの対応

ブラウザからデータベースを検索するには、これまでは一つひとつの検索要求に対応した画面を手作りで作成するケースが多かったが、データマートと同様、手作りは、柔軟性はあっても迅速性にかけるため、変化の激しい情報系では致命的な欠点となる。最近になってようやく市販のクライアント・ツールもWeb化に対応されるようになってきたが、市販のWebベースの検索ツールを評価してみると、①シンプルでレスポンスも良いが、機能がかなり限定される、また、②クライアント版と変わらないほど機能が豊富だがレスポンスが非常に悪いというものに大きく分かれている。いずれも帯に短し、たすきに長しという印象を受ける。こういった現状を踏まえて、我々は、この分野においても独自ツールを自主開発した。◆マート・ブラウジング・ツールの開発 (図1の②)

このツールは文字どおりWebブラウザからデータベースを検索できるツールである。市販のツールがあらゆるユーザを対象とし、定型検索はもとより非定型検索・分析も可能であるのに対し、このツールは現場の営業マンなど末端の一般ユーザに的を絞って、定型検索をベースにシンプルかつイージーな操作でレスポンスが良く、必要なデータを取り出せるツールである。さらに、ブラウザの弱点といわ

れる加工と印刷をカバーするために、ワンタッチでExcelやPDFにダウンロードできる機能を持たせている。検索レポートを開発するIT部門

向けには、ウィザードを用意しているため、簡単に検索レポートが作成できる。しかも、簡易言語を採用しているため、複雑な加工・編

集を施して、かなり凝った出力形式にすることも可能である。さらに、異なるレポートを連携させて、ドリリングやスライシングといった擬似的なOLAP分析も可能である。◆データ・アクセスの実現ポイント

今までの現場での構築経験で得たポイントを三つにまとめてみた。一つは、対象とするユーザごとに最適なツールを見極めて適用し、ツールの活用を積極的に普及させることが成功要因になる。あるお客様では、ヘルプデスクに加えて、ITに比較的強いユーザのキーパーソンをセクションごとにアサインして、その人たちを介してニーズの吸い上げ、ノウハウのフィードバックをしているケースもある。また、あるお客様では、まず対象となるユーザごとに情報の見方や活用方法の議論を重ねて、情報活用の手続き、いわばデータ分析メソッドのようなものを固める。続いてその各々の分析ステップに応じたデータの見せ方を決めて、それに応じた定型レポートを作り上げた。ユーザはそれらの定型レポートに順番にアクセスして、問題を発見したり、取るべきアクションを見出したりできるというアプローチである。こういった具体的なアクションにつながる分析手法を確立して、それに応じた定型レポートを充実させることが二つ目の成功要因である。三つ目は、開発の生産性が高く、実行時の性能も高い検索ツールを適用し、スクラップ&ビルドのアプローチで臨むことが成功要因になる。 (図3)

最後に、データウェアハウス全体を効率的に運用するための仕組みについて考えてみる。◆データウェアハウス運用上の課題

支援ツールを活用することによってユーザの要求に迅速に対応できるようになった分、ややもすれば無秩序にデータマートや検索レポートが増大し、これがリソースを圧迫する要因にもなりかねない。また、定型レポートを充実させたために、レポートの数が多くなり、ユーザに混乱をきたすという問題も出てくる。さらに、ユーザの要求に都度応えてはいるが、実際にはどれだけ利用されているのか、特にオープン系のシステムでは把握しにくい。これに関連して、稼働状況の監視や制御といった課題もある。業務系と違って情報系では、ユーザのアクセスにかなり偏

りがあり、特に週明けや月次処理後に検索が集中する傾向があり、これに対する対策を考慮する必要もある。以上のような課題に対する対策については、メインフレーム系のシステムではごく当たり前のように実現されていたことが、オープン系のシステムでは、ミドル基盤が充実していないために、ないがしろにされがちな課題ばかりである。これらの課題に対して、我々はやはり支援ツールを独自開発することで問題を解消している。◆マート・ナビゲーション・ツールの開発 (図1の③)

独自に開発したツールでは、以下のような統合メニュー機能、稼働制御機能、稼働ログ採取機能を備え、前述の課題を解消している。(1)データウェアハウスの統合メニュー数多くの検索レポートや検索アプリケーションを一元管理して、ユーザに分かりやすく選択・起動できるようにするメニュー機能を備えており、さまざまなレポートを、情報別、切り口別といったように階層管理ができる。また、ユーザをグルーピングして、そのグルーピングごとに表示するメニューを変えることも可能にしている。(2)データウェアハウスの稼働制御情報系全体を安定稼働させるために、アクセス・ユーザ数をリアルタイムに監視したり、Maxユーザを抑えてシステムのスローダウンを防ぐための稼働制御機能を備えている。また、ユーザが利用可能な時間帯を設定したり、テストやトラブル対応のための各アプリケーション単位に実行可・不可をセンター側からコントロールする機能を備えている。(3)データウェアハウスの利用状況把握データマートや検索レポートがユーザにどれだけ使われているかの利用状況を把握して分析・評価する稼働ログ機能を備えている。特に情報系は、限りある資源を有効活用するために、利用頻度の低いマートやレポートは積極的に廃棄して、会社の戦略や営業方針に合った新しい切り口や見方を素早く提供する必要がある。こういった改廃や統廃合をするための基礎資料を提供するのが、この機能の役割になる。

以上述べてきたように、一部の企画部門や管理部門に限ったデータウェアハウスではなく、現場の第一線で働く営業マンにも、効果的に使ってもらえるデータウェアハウスの構築を成功に導くポイントは、次の三点に集約できる。*しっかりしたセントラル・ウェアハウスと柔軟なデータマートを構築すること。このためには、開発の生産性が高く、実行効率も良いツールを適用して、ユーザのニーズに応じたデータマートをスクラップ&ビルドしていくことが重要である。

*効果的なデータ・アクセスを実現すること。このためには、情報活用のプロセスを検討した上で、定型レポートを充実させ、さらにユーザに最適なツールを採用して、その活用ノウハウを普及させることが重要である。

*効率的なデータウェアハウスの運用を実現すること。このためには、ユーザの利用状況を正確に把握して、適切な改廃計画を立てて、リソースを有効に活用することが重要になってくる。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

UN

データ・アクセスの考え方とツールの適用/開発

データウェアハウスの効果的な運用のあり方

大規模データウェアハウス構築のポイント

ユーザに応じたツールの適用�と活用ノウハウの普及�

定型レポートの充実化と�分析メソッドの適用�

ユーザのニーズに応じて�スクラップ&ビルド�

●リテラシの向上�●ニーズの吸い上げと� フィードバック�

●アクションに繋がる情報�●一般ユーザ層の情報武装�

●柔軟で迅速な対応�●メンテナンス負荷の軽減�

(一般ユーザ) (管理スタッフ) (企画スタッフ)

ユーザ支援体制�ヘルプ�デスク�

ユーザ�

STEP1

STEP2

STEP3

STEP4IT部門� キー�

パーソン� ユーザ�

自担当の売上サマリ表�

社内でのポジション表�

市場でのポジション表�

問題のある商品/取引先表�

陳腐化した�ニーズ�

陳腐化した�ニーズ�

新たな�ニーズ�

新たな�ニーズ�

(修正)

(削除) (追加)

図3 データ・アクセスの実現ポイント

Page 4: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

4

洋紙卸売業のコミネでは、売上実績や仕入実績、

販売計画データなどを多面的に分析し、的確なデー

タに基づいて営業活動を支援するOLAP(Online

Analytical Processing)による「営業支援データ分析シ

ステム」を構築、活用を開始した。

新システムは、厳しい経営環境下にあって、勝ち

残りをかけた営業戦略の有力なツールとして活用し

ていく考えである。このシステムは、分析エンジン

として、マイクロソフト社のRDB管理システム

「SQL Server7.0/OLAP Services」を採用、日本ユニシ

スが構築に当たった。

「今、製紙業界は再編が加速するなど大きな変革に直面している。これに伴い、流通を担う洋紙卸売業や代理店も系列の見直しや集約化など再編の渦に巻き込まれようとしている。こうした経営環境の変化の中で、競争優位性を確保するには、メーカーのエージェントではなく“お客様の購買代理人にウエイトをシフトする”という経営姿勢が必要になってきた。このビジョン達成のためには、業務改革が必須となり、将来システム構築構想プロジェクトを立ち上げ、全社業務プロセスのあり方とそれを支える情報システムを全面的に見直すことになった」(常務取締役営業管理本部長兼管理本部担当田中英郎氏)と説明される。

その構想策定に先立ち、経営トップからは、①営業力の強化(ナレッジの共有を含め、仕事のロス、無駄を排除し、売りに専念できるようにする)、②物流の強化(物流が企業の死命を制するので、ユーザから高い信頼を得て、収益を高められる仕組みとする)といった改革方針が打ち出された。この方針に則って、情報システムの刷新を図ることになったが、“どのような仕組みにすれば、トップが最優先する営業力強化が図れるシステムを早期

に実現できるか”について、日本ユニシスにコンサルテーションを依頼した。それに対する日本ユニシスの回答が、「OLAPによる営業支援データ分析システムの構築」と、「営業共有文書などの情報共有インフラ整備」の提案であった。「当社には、日々の営業活動で蓄えられた膨大なデータがあるが、これまでそれらを有効活用できる仕組みができていなかった。それらのデータを活用して、多次元での比較分析や販売計画の立案などを行うコンピュータ環境を整えることが強力な営業支援になると考え、営業支援データ分析システムと情報共有の仕組みづくりを全面的に日本ユニシスに依頼した」(田中常務取締役)。

同社は、営業支援データ分析システムの実現目標を次の3点に置いた。①販売実績把握・評価業務系システムに蓄積されている売上実績データを時系列に、得意先別/商品別にさまざまな切り口から分析し、商品の販売傾向を把握可能とする。これにより、データに裏付けられた的確な営業支援活動を実現する。②販売計画管理帳表で管理されていた販売経過予実対比表のデータ管理を行い、その情報を参照できるようにする。これにより、計画の見方の統一化、的確な計画調整指示、計画と実績差異の鮮明な把握、管理者と担当者とのコミュニケーションの向上などを実現する。③達成度把握年初および月次に計画される月別/分類別/得意先別の売上目標に対し、日々の売上データを重ね、その達成度を把握できるようにする。

これらを実現するために構築された営業支援データ分析システムの仕組みは、図に示すとおりである。業務系システム(HMP IX4400-21)から売上実績と仕入実績データ、営業担当者パソコンからExcel2000で作成した販売計画を情報系NTサーバに

集約、それらを組み合わせて、SQL Server7.0に多次元データベースとして格納、OLAP Servicesで利用者が商品、担当者、得意先、期間など、さまざまな切り口から分析可能とするOLAPシステムを実現させた。多次元データベースの構造は、

商品軸(全商品から最小単位の品名まで6階層)、組織軸(全社から担当者/得意先まで6階層)、期間軸(年度から日まで6階層)、計画軸(年度計画から実績まで4階層)の4軸で構成されている。構造自体は、キューブ(多面体)となっており、

多面体を回転させ、各面を切り出しながら、利用者は目的に応じた視点からの分析を可能にしている。例えば、多次元データベースをドリルダウン

(例:売上実績を年、半期、月、旬へと掘り下げていく手法)することによって、計画実績対比、部別分析、担当者分析などの多面的な分析データを見ることができる。その分析結果を評価して、再度、新しい販売計画に反映させていくという流れになる。

このOLAPシステムは、全社員での活用を目指すが、当面、この10月から役員、管理者、営業担当者での利用が開始された。その期待効果について、田中常務取締役は次のように語っている。「今回のOLAPシステムでは、計画と実績の差異が明確に分かる。したがって、データを細かく掘り下げていけば、どこに問題があったか、その原因が追求でき、有効な対策が立てられるようになる。そこに一番の期待を寄せている。さらに、計画値の精度を高めていくためには、売上実績だけでなく業界や市場の動向などの数字と組み合わせて分析する必要がある。それらの情報を集積して共有するのが、もう一つの情報共有の仕組みである。この情報共有システムとの連動により、需要予測分析も確実なものとし、さらなる営業支援に活かしていきたい。また、商品の小口化、JIT納入などの要求に応えるため、次なる経営課題の物流システムの刷新に取り組む考えである」。

2000年11月1日第475号

UN

“お客様の購買代理人”に徹するための業務改革を推進

営業力強化のための仕組みづくりが最優先課題

営業活動を支援するデータ分析システムの仕組み

販売実績把握・評価/計画管理/達成度把握の多次元分析を目指す

計画/実績差異の原因追求と対策に期待を寄せる

特集.情報資産の経営を支えるデータウェアハウス

コミネ「営業支援データ分析システム」を構築

OLAPを経営戦略ツールとして活用

同社扱いの紙製品

採用のハードウェア/ソフトウェア

■株式会社コミネhttp://www.komine.co.jp/

◆情報関連用紙、商業宣伝用紙、産業用紙、出版用紙など紙製品の卸売、輸出入、商品開発を展開。

◆本社=東京都中央区日本橋本町3-11-11◆代表者=榛澤教行社長◆売上高=402億8,800万円(2000年5月)◆従業員数=115人◆使用機種=ClearPathサーバ「HMP IX4400-21」、

AQUANTA ES5045Rなど

H/W:・DOS/V×80台�S/W:・Windows98�   ・Office2000

ホスト・コンピュータ�ClearPathサーバ「HMP IX4400-21」�

情報系サーバ�

H/W:AQUANTA ES5045R�   ・CPU:PentiumⅢ×4�   ・メモリ:1G�   ・ディスク:20G(RAID10)�S/W:・WindowsNT4.0EE�   ・SQL Server7.0�   ・Exchange Server5.5

PCクライアント�

業務系システム� 情報系NTサーバ�

基幹業務�受注システム�

売上/仕入システム�

仕入実績�データ�

売上実績�データ�

計画�

商品�組織�

時間�

・販売数量�・売上金額�・差益�・平均在庫�・仕入金額�・仕入数量�

担当者別�販売計画�

SQL Server7.0

売上DB

仕入DB計画DB

OLAPServices

実績把握・評価�

販売計画管理�

多次元分析�・計画実績対比�・計画履歴確認�・担当者別分析�・課別分析etc.

PCクライアント�(Web予定)Microsoft�Excel2000

帳票・グラフ作成�

販売計画�

シミュレーション�

営業支援データ分析システム概要図

田中英郎氏

Page 5: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

5

エムオーエアシステムは98年12月複数拠点を統合したネットワークを施設し、全社イントラネット・システムを構築し運用を開始した。今回のシステムを導入する前は、貨物業務と旅行業務のシステムは互いに独立しており、情報共有は基本的に紙ベースで行っていた。イントラネット構築の目的の一つは、情報のやり取りを電子化し業務のスピードアップを図ることであった。新システムは情報共有を実現したほか、それまで電話やファクシミリに頼っていた海外拠点との情報交換をも電子化することで通信料の大幅な削減と業務のスピード向上を達成した。新システムではユーザ数の多い神田と、高速な通信回線を持つ原木の拠点にメールサーバなどのサーバ群を設置し、それぞれを多重化して冗長構成にするなど、システムの信頼性確保に重点を置くとともに、海外拠点からもシステムにアクセスできるようになった。システムは信頼性を重視して、ネットワークに障害が発生した場合、稼働中の回線を自動的に選択して切り替えられる。また、海外拠点からのアクセスのために専用サーバを設置して、国内イントラネットには入り込まない仕組みを作り、セキュリティを確保した。

貨物部門と旅客部門との情報共有の要となるWebサーバには各部門が管理する掲示板のほかに、会議室の予約・確認などを行う会議室管理システムや、サービス料金のタリフあるいは、海外の危険地帯での行動の制限や、大使館の休館日など、各国での業務を円滑にするために不可欠な重要な情報を掲載している。「今回構築したシステムは国内での情報活用の利便性向上だけでなく、海外との通信を大きく変えた。それまで海外の拠点とは電話やファクシミリでの通信が中心だった。特に貨物部門では通関手続きが完了したかどうか、ま

た通関に必要な書類が不足していないか、さらに貨物破損がないか、送り先に正しく到着したかといった確認情報を、逐一海外とやり取りして貨物搬送の安全を確保している。そのため、頻繁に使うファクシミリや電話などの通信費用は膨大なものとなっていた。また海外とは時差があるため、電話での情報のやりとりは社員の負担も大きい。これが電子メール化することで、スムーズに、しかも時間にとらわれずに連絡を取り合えるように変えることができた」(情報システム部長 奥田 英夫氏)。同社では、電子メールやブラウザなどの使い方、OAソフトの使い方などに習熟するために研修センターを作り、全社員に電子メールやソフトの利用を徹底した。インフラの整備とともに、利用者側の環境も整えつつイントラネットの構築を進めたため、非常にスピーディにシステムの利用が広まった。導入をスムーズに進められたのはシステム化への取り組みにも理由がある。同社でもかつては、ワープロでの文書作成が主流であったが、これを禁止して、一斉にパソコンに切り替えるとともに、さまざまな文書をテンプレート化して社員に配布した。「テンプレートは、要望があったも

のや、共用性が高いものから順次作り、現在では約100種類を超えている。社員が拠点間で情報のやり取りを

する際に、一から文書を作るのではなく、テンプレートを使って迅速に情報を伝達できる仕組みは、今回のイントラネットでも活かされ、テンプレートを容易に共有できるようにして、ユーザの利用度を高めている」(同部システム第一グループマネージャー 野口 雄二氏)。

電子メールやイントラネットで基幹業務が遂行されるようになると、システムのダウンは即、業務の滞りとなる。そのため、ネットワークの障害やシステムの障害には十分に対応する必要があった。まずシステム面では負荷分散装置を使ってルータを多重化、オフィス内でのネットワーク障害が発生しても正常なルーティングができるように構成している。国内の各支店を結ぶフレームリレー(FR)網には原木と神田の2拠点をDA1500で接続した。どちらかの回線に障害があるときや、どちらかの拠点のルータなどのネットワーク機器に障害が発生していても自動的にルーティングが切り替わって、正常にアクセスできるようにした。また各支店側の専用線に接続されたネットワーク機器に障害が発生した場合には自動的にINS64に切り替わる仕組みを構築した。ネットワーク上で何か障害が発生しても、システム部門以外の利用者はほとんど気付かずに業務を継続できる仕組みになっている。今回のイントラ構築と並行して、海外の拠点にもWeb閲覧の環境とメール送受信の環境を構築し、海外からシステムへのアクセスも可能にした。しかし、海外から直接国内のイントラネットへのアクセスを許せば、セキュリティに不安が生じることになる。そのため、海外などから自由にアクセスできるサーバをDMZ配下に限定して配置した。海外向けのイントラネット・サーバには、国内向けサーバの内容を毎日コピーして、必要な最新情報を海外からでも閲覧できるようにした。国内向けのシステムはファイヤウォールで保護している。セキュリティについても常に注意を払い、「ファイヤウォールのログ分析は日常的に行っている。構築時に話題になっていた“なりすましメール”に対処するなど、常にセキュリティ情報にも気を付けている」(奥田氏)という。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

UN

業務のスピード化と情報共有化を図る

海外拠点とのネットワークも一挙に充実

システムとネットワークの多重化で耐障害性とセキュリティを確保

エムオーエアシステム

国際航空貨物と海外業務渡航を主力とするエムオーエアシステムは、情報

共有化を進めるためにイントラネットを構築して、システムの統合を図った。

海外拠点との通信を含めて、それまで紙ベースだった両業務の情報のやり取

りが電子化されたことで通信コスト削減、業務の効率化が実現した。

イントラネットの構築には、システムの信頼性とセキュリティ確保に重点

を置き、ネットワーク障害時でも業務を遂行できる仕組みが作られた。

◆輸出入国際航空貨物、混載貨物、空・海・陸複合輸送などの航空関連の物流業と、パッケージツアーの企画・販売、業務渡航手続といった旅行業を営む。

◆所在地=東京都千代田区内神田2-12-5

■エムオー エアシステム株式会社 http://www.moa.co.jp/◆代表者=荻原 典社長◆売上高=422億円(1999年度)◆営業拠点=国内外35拠点◆従業員数=520人

国内・外を結ぶイントラネット・システムで情報共有を実現

ネットワーク・ソリューション

奥田英夫氏

野口雄二氏

社内イントラ�

神田旅客新本社�

DDI FR

Cisco2503

FOUNDRY

FOUNDRY

Cisco3620

Catalyst

Catalyst

Catalyst

Catalyst

Catalyst

Catalyst

Catalyst

DA1500

端末�

端末�

旅客ホスト�業務�プロキシ�Exchange

渡航�ISDN64�バックアップ�

原木貨物本社�インターネット�

192K

IX5600プロキシ・DNS メール�

サーバ�ファイア�ウォール�

Cisco 2503

Cisco 2503 DA1500

ハブ×8

FOUNDRY

FOUNDRY Catalyst

Catalyst

Cisco4500M

DAI1500Cisco3620

DMZ

SMTP 航海�イントラ�

貨物トレース�社外Web

イントラネット構成図

Page 6: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

6 2000年11月1日第475号

建築物を建てる場合には、建物の内容が建築基準法に適合しているかどうか、着工前に建築計画を特定行政庁に確認申請し、建築主事の確認を得なければならない。近年、建築物の工法・材料・設備の多様化・複雑化によって法令も細分化され、確認審査は煩雑で長期間を要するようになっている。こうした状況に対応するため、八王子市では、建設省の外郭団体「財団法人建築行政情報化センター」が管理し、適用・開発をサポートしている「建築確認支援システム」の導入を検討してきた。しかしながら、八王子市では、このシステムだけでは、建築確認支援を中心に、より一層の業務処理の効率化には機能不足と判断し、新機能を付加したシステムの導入を検討してきた。都市整備部建築指導課 庶務係 主事石田 勇次氏は、「昨年5月の法改正に

伴い建築計画概要書の閲覧制度への対応をはじめ、建築物に関する情報化対応力強化が不可欠であり、特に今後のFD申請への対応や建築行政事務の効率化を視野に入れて、建築確認支援システムに付加機能を装備した新システムを構築することとした」と語っている。

同市では、新システム導入に当たって、パートナーに日本ユニシスを選定した。その理由として、以下の点を挙げている。*1992年に北海道庁への導入をはじめとし、東京都、千葉県、川崎市、神戸市、福岡市などの大規模な行政庁から中規模行政庁まで、建築行政事務のOA化を手がけた実績とノウハウ

*(財)建築行政情報化センターの建築確認支援システムのサポート、システム構築・運用・保守のトータルサポート力

*建築確認支援システムでは対応でき

ない付加価値の高いシステム構築力*道路位置指定システム、都市計画システムなど今後予想されるシステムの拡張に対するサポート力日本ユニシスでは、システム構築に当たっては、ハードウェア/ソフトウェアはもとより、システム導入のコンサルティングから効率的な運用のためのサポートサービスまで全面的な協力を行った。

八王子市での建築確認申請件数は年間約3,600件にのぼっている。建築確認業務は、確認申請受理~現場調査~書類審査(意匠、構造、設備)~確認済証交付~中間検査~工事完了申請受理~工事完了検査~検査済証交付からなり、これまではすべて手作業で行ってきた。今回、建築確認支援システムの導入によって、確認申請から審査、最終通知書の作成までの一連の作業をコンピュータで処理し、確認申請手続き事務の的確化・迅速化を実現している。また、今後普及が見込まれるFD申請(八王子では現在約15%)にも対応できる。

八王子市では、建築確認業務の一連の事務処理をシステム化するだけではなく、付加価値の高いシステムに発展させ、将来の建築行政OA化に資するシステムの実現を目指し、日本ユニシスの提供する以下のようなシステムを導入している。(1)地図情報システムの導入

最先端の地図情報システムを導入し、

申請物件の入力、住所、目標物、受付番号などの属性情報からの多角的な検索が可能になっている。これによって、例えば確認番号を入力して属性情報から申請場所の周囲の状況を即座に画面上で確認できる。(2)添付図書・関連資料の画面検索

図面管理システムを導入し、申請書類などの添付図書、関連資料をスキャナで取り込み、イメージデータとして保存し、画面検索を可能にした。この図面管理システムは、建築確認支援システムとリンクして、申請物件の建築概要(建物配置図など)を画面上で確認できる。(3)過去物件のデータベース化

同市では、建築物に対する住民などからの問い合わせへの迅速な回答や今後の施策への活用を目指して、過去物件入力システムを導入した。このシステムは、コピー機能をはじめ、受付番号入力支援や地名地番入力支援などさまざまな入力支援機能を備えており、入力作業の負担を軽減している。またキーボード操作を少なくして、見やすい画面と使いやすいマウス操作で入力操作を容易にしている。(4)多角的な情報検索/統計機能

蓄積された確認申請データの有効活用を目指して統計システムを導入し、データの検索・収集・統計処理を可能にしている。

新システムの運用について、「確認通知書などの発行書類、各種帳票類の作成においては手書き作業や集計作業がかなり削減されており、事務処理効率化の面で効果は大きい。また、住民からの問い合わせや建築計画概要書の閲覧などにも威力を発揮しており、住民サービスの向上においてもシステム化の効果が現れている。今後の課題は、付加価値の高いシステムを使って建築行政にどう活かしていくかにある。また、道路台帳現況図を画面に表示するシステムの導入なども検討したい」(建築指導課)としている。 UN

八王子市役所八王子市では、建築確認申請の受理から審査、結果報告までの一連の事務

処理を行う「建築確認支援システム」を導入するとともに、地図情報システム、

図面管理システムなどを付加した高機能の建築行政OA化システムを構築し、

4月1日より本稼働を開始した。

本システムは、日本ユニシスが、建築確認支援パッケージ「UniCityPlus」を

ベースに開発した。

◆1917年(大正6年)の市制施行から80年を経た現在、先端産業や大学の進出が相次ぎ、産業都市、学園都市として発展を続けている。市政の基本的な施策としては、①地域経済の活性化、②都市基盤の整備、③文化・スポーツ・レクリエーションの振興、④地域医療の充

実と高齢者のための施策の充実、⑤女性の社会活動への参加促進、⑥児童・生徒の健全育成、⑦災害に強い安全な町づくりに重点を置いている。

◆所在地=八王子市元本郷町3-24-1◆市長=黒須ã一氏◆人口=514,741人(2000年1月1日)

建築行政事務のOA化を推進建築確認支援システムの運用を開始

多様な地図情報を連携し高機能なシステムを実現

社会公共ソリューション

■八王子市役所 http://www.city.hachioji.tokyo.jp/

建築行政事務のOA化を視野に入れ高付加価値のシステム化を目指す

実績とサポート力を評価し日本ユニシスをパートナーに選定

確認申請手続き事務の的確化・迅速化を実現

地図情報、図面情報などを付加し、建築確認支援システムを補完

住民サービス向上にも寄与

PCサーバ�WindowsNT

すべての業務の�基本データベース�

建築確認支援システム�では管理しきれない独自�の情報データベース�

建築確認�台帳�

結合� 付加価値�DB

付加価値サーバ�WindowsNT

地図情報システム�図面管理システム�固定統計システム�任意統計システム�過去物件入力システム�(道路位置指定システム)�(都市計画システム)�(その他独自システム)

PCクライアント�WindowsNT

受付PC�WindowsNT

総合端末PC�WindowsNT

………�総合情報システムの総合端末�・建築確認支援システムの� 事務処理システム�・地図情報システム�・図面管理システム�・固定統計システム�・任意統計システム�・過去物件入力システム�

総合端末PC�WindowsNT

イーサーネット�

建築確認支援システム概要図

石田氏(中央)と建築指導課の導入プロジェクトの方々

地図システム画面例

ソフトウェア��

HP for Unisys�「E60」、「LC3」�

HP for Unisys�「N30」×14台�

建築確認支援システム�地図情報システム�図面管理システム�統計(固定/任意)システム�過去物件入力システム�

サーバ�

クライアント�

システム構成

Page 7: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

7

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

(イントラネ ッ ト 対応):文書目録管理、全文検索ほか

*情報公開モジュール:公開用データベース管理、データベース連携ほか UN

電子政府の象徴とされるワンストップ・サービスの基盤となる電子申請に関しては、実証実験が積み重ねられ、先日その成果が(財)ニューメディア開発協会より「汎用電子申請システム」として公表された。日本ユニシスはそのコンポーネントをベースに、助成金申請システムの実証実験に取り組んでおり、その適用技術を基に電子申請システム向けフレームワークとして「OG-Apps」を製品化して提供する。 (図1)

①汎用電子申請システムの概要

「汎用電子申請システム」のコンポーネントは次の機能を提供している。*システム・イメージ・インターネットにおいて、本人確認や不正な改ざん、すり替え保存などに対応するセキュアな通信技術を開発・電子申請文書の構造や形式に依存しない汎用システムを実現*電子申請文書処理・複数の電子データからなる申請文書へ対応するために、XMLによりパッケージ化し、管理を簡易化・公開鍵暗号方式によるデジタル署名の適用が可能であり、複数の構造レベルへ署名可能・電子申請文書パッケージの作成を支援する機能(パッケージ・テンプレート作成支援機能)や、修正が必要な箇所を電子的に通知する機能(電子付箋機能)などを提供*電子申請通信プロトコル・電子申請のシステム化において必要となる通信プロセスをモデル化(セ

キュア・コンテナ機能、分割送信機能、再送制御機能、送達確認機能他)

・申請に関わるセキュア通信プロセスモデルを単一プロトコルで実現

・上位アプリケーションとの役割分担の明確化とアプリケーション・インタフェースの提供

②OG-Appsの特徴

日本ユニシスは上記コンポーネントを利用しながら、「汎用電子申請システム」の提供するモデルに対し、訂正指示、審査状況確認、認定書送付という審査支援機能を付加し、申請書の作成から認定通知に至る全プロセスのフレームワークを提供している。*電子申請パッケージを、本文、添付文書、署名のみでなく、訂正指示や認定書まで拡張し、かつ状態管理機能を付加することにより、申請審査に関わる全プロセスの整合性を確保している。*利用者側は各段階において提供されるインタフェースを利用することにより、簡易に電子申請システムの実現が可能となる。また、文書管理や認証局との連携が可能なソフトウェア構造となっている。③商品体系

対象とする申請事務に応じて、3種類の製品から選択可能であり、プラットフォームとしては、UNIXとWindowsに対応している。*全機能版:申請文書の作成などの申請支援、電子申請通信管理、申請受付、審査支援などの電子申請に関す

行政サービスの向上を目指した、電子政府の実現に向けての動きが急速に進み

つつある。日本ユニシスではこうした電子政府に向けたソリューションとして、

昨秋ソリューション・コンセプト「OG21」を発表し、官公庁向け文書管理システム

「OG-Docs」を提供してきたが、このたび電子政府の中核となる電子申請向けソリュー

ション「OG-Apps」と、「地方公共団体向け総合文書管理システム」を発表した。

る一連の機能を網羅*簡易版:申請支援機能、電子申請通信管理機能、申請受付機能により電

子申請を簡易に実現する*テンプレート版:電子申請に関する各機能のテンプレートを提供

官公庁向け文書管理システム「OG-Docs」をベースに、(財)岐阜県市町村行政情報センターの文書管理システム研究会(地方公共団体10団体、有識者およびセンターにて構成)における研究成果に基づき開発した製品。柔軟性、拡張性および操作性に優れた標準パッケージで、さまざまな文書管理の仕組みをサポートしている。このため、各団体への適用時におけるカスタマイズが最小限ですむ多機能、かつ経済的なシステムとなっている。 (図2)

①主なシステム機能

*文書事務の効率化を実現すると同時に、庁内における情報の共有化、インターネットを活用した時間・空間に捉われない情報公開や総合行政ネットワークによる文書交換を実現

*組織文書のライフサイクル全般にわたる管理機能の装備

*電子文書および紙文書の一元管理を行うとともに、段階的な文書の電子化(レスペーパ化)を支援する各種機能を実現

*行政事務の中核システムとして、財務会計システムや電子申請システムなど関連するシステムとの連携を可能とする

*基幹システムとしての継続性や、拡張性/運用性に配慮する

②システムの特徴

地方公共団体固有の運用に対応した、多様な保存管理機能や管理権限の多様性へ対応*電子回議/供覧機能を提供するとともに、紙文書による回議供覧への支援機能を提供(鑑の印書機能や決裁/供覧終了時の消込機能)

*紙文書の所在管理やチェックアウト/チェックイン管理の効率化を支

援するバーコード管理機能*文書を構成する文書要素を一まとまりとして管理する複合文書管理機能

*紙文書とイメージ化したファイルや、WordとPDFなど、同一内容で複数形式の文書要素を一元的に扱うマルチデータ管理機能

*文書の保存管理システムから情報公開システムまで、整合性を持ちながら確実に情報を引き渡すデータベース連携機能

*伏せ字処理技術や原本性保証技術の組み込み装備

*人と文書に対してアカウント情報を多段階に設定でき、両者を組み合わせてきめ細かいアクセス制御を実現

*エクスプローラに似たメインウィンドゥを中心にし、分かりやすく柔軟な操作性を実現したことにより、効率的な文書管理環境を実現 (下画面)

③商品構成

商品は次の4つのシステム・モジュールより構成され、サーバはWindows/UNIXに対応し、データベースは「Oracle」を採用している。*文書保存管理システム:文書情報登録、起案・発議、施行、文書保存登録、全文検索他

*電子回議決裁モジュール:回議先登録、追跡管理、履歴管理他

*庁内行政文書ファイル管理システム【申請者側】�

申請者支援機能�

認定書取得�

様式の取得�

申請書作成�

形式チェック�

署名付与�

申請書送付�

訂正指示取得�

訂正・再送付�

審査状況照会�

政府認証基盤�

民間認証局他� ブリッジ認証局� 省庁認証局�

インターネット�申請文書�パッケージ�

申請書/訂正申請書送付・状況照会要求�

文書管理システム�

セキュア通信�暗号化/署名�

受理通知・訂正指示・審査状況・認定書送付�

【審査者側】�

審査者支援機能�

申請者登録�

申請書受付�

形式チェック�

審査�

訂正指示�

訂正指示送付�

審査状況通知�

認定・署名付与�

認定書送付�

審査結果保存�・管理簿より抽出�・伏字済データ�・閲覧交付の履歴� 管理�����

情報公開�

情報公開DB

文書作成�

収受・発議�

文書情報�の登録�

(起案文書の印書)

初期登録�バッチ型登録�

文書管理�D/B

文書検索参照�

文書保存管理�・文書分類管理�・管理担当組織管理�・文書所在管理�・保存期限管理�

・紙文書貸出� 閲覧管理�

文書共有化�(庁内クリアリング)

文書情報より抽出�

行政文書ファ�イル管理簿�

文書検索参照�

施行�

送付�

(他自治体)

回議/供覧�・回議プロセスの定義�・到来表示、内容確認、コメント記入�・追跡管理�・回議供覧履歴管理�

文書交換�・メール機能�・認証機能�・形式変換�

他行政庁�

決済/供覧終了�起案/供覧開始�

電子申請システム「OG-Apps」、「地方公共団体向け総合文書管理システム」

日本ユニシス株式会社ビジネス推進部LOB計画推進室担当課長 川上隆祥

電子申請システム「OG-Apps」

「地方公共団体向け総合文書管理システム」

文書管理システム・メインウィンドゥ

図1 電子申請システムOG-Appsシステム概要図

図2 総合文書管理システム概要図

社会公共ソリューション

Page 8: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

8

個人の果たすべき役割が、情報技術とネットワークの進展により変化し、自己実現志向の高い目標開発型の人材が強く求められている。情報環境の変化は、個人が創造力を発揮し、新しいビジネスや企業の仕組みを創ることを要求している。多くの企業は形だけの成果主義や実力主義を場当たり的に実施しているに過ぎない。このような人

事制度改革の推進は、社員のやる気を失わせ、優秀な人材を流動化させ、企業にとっては大きなマイナスとなる。人事制度改革の成功とは、企業改革と組織・人事戦略の方向性を一致させ、顧客の視点から改革を行い、施策し、社員の行動様式が変化し、企業風土や企業文化が醸成されることをいう。

企業は自社の方向性をビジョンとして掲げる。そのビジョンを経営戦略や情報戦略にブレークダウンするのと同様に人事施策に反映されなければならない。ビジョンを実現する社員は直接顧客とインタフェースする立場にある。顧客に対してどれだけの付加価値を与えられるかで、競合他社に対して競争優位を確立できる。競争優位を保ちながら、新規顧客を開拓し、獲得することが社員に求められる。このような社員を育成することが企業、とりわ

け人事部門には要求される。人事部門は、顧客の視点で、ビジョンをブレーク・ダウンし、職種・職務内容や役割に応じて優れた成果を上げる上で必須となる知識、スキル、行動特性を整理し、基準化しなければならない。より優れたコンピテンシーの発揮は、社員を活性化させ、組織の業績に貢献し、組織力の向上に繋がる。コンピテンシーをノウハウとして明らかにし、共有の知的財産にすることも必要になる。

コンピテンシーは、元来、心理学で「高業績者の成果達成の行動特性である」と定義されていた。この概念を人事の世界に持ち込んで定義すると「職務で高業績をもたらす類型化された行動特性である」といえる。高業績を上げるためには、①動機・使命感、②特性・性格、③信念・価値観(自己概念)、④態度、⑤スキル、⑥知識などを通して成果を達成する行動であると説明されている。①~③をパーソナリティといわれることもある。次に典型的なコンピテンシー項目を

挙げてみると、次のような項目になる。①コミュニケーション、②チームワーク、③顧客志向性、④成果達成志向、⑤革新性/創造性、⑥業務/ビジネス志向、⑦リーダーシップ、⑧自身および他人の能力開発/育成、⑨意思決定、⑩順応性/柔軟性、⑪問題解決力、⑫関係構築力企業戦略、人事戦略、業種、対象、職種などに必要とするコンピテンシー項目を組み合わせてコンピテンシー・モデルを作る。コンピテンシー・モデルは、人材育成計画や人事評価制度、教育コース作成に活用する。

コンピテンシーの要素・項目を設定し、項目ごとにどのような発揮レベルを求めるかを基準として言葉で記述したものをコンピテンシー・モデルという。モデル構築のステップは次のように考える。①ターゲットの決定

人事制度改革の主テーマ・目的を決め、どの人事制度(人材育成、能力開発など)や対象者、役割にコンピテンシーを適応するかを決める。②モデル数の決定

ターゲット、すなわち適応する分野に応じて、コンピテンシーの項目と職種別のモデル数を決める。

例えば、人事部門のマネージャを対象とすれば、個人的属性、リーダーシップ、管理能力をコンピテンシーとして考える。それぞれのコンピテンシーを2から3の項目に落とし込む、個人属性をコミュニケーション(関係構築力)、継続学習力、変化への対応などのように、リーダーシップ、管理能力も同様に落とし込みを行う。③インタビューの実施

ハイパフォーマーの聞き取りインタビューを実施する。注意点は、実際の状況および事例を求める、具体的事実や行動、何をし、何故それをしたか、結果はどうであったかをインタビュー

する。一般的にインタビュー方法が使われるが、ディスカッション方式やアンケート・調査票方式が考えられる。④言葉による基準書の作成

コンピテンシー項目ごとに応じた詳細記述と検証を行う。ここでの注意点は、具体的発揮行動(簡潔明瞭で明確

かつ観察可能)で書かれていることである。例えば、情報収集・分析力というコンピテンシーに対する具体的発揮行動として、「市場調査を行うときは、調査の狙いを明確にし、自分なりの仮説を想定している」のように基準書を作成する。

コンピテンシー導入は、①企業の価値や戦略、文化、ビジョンを的確に社員に示すことができ、社員とのディメンジョンを合わせることで人材競争力の向上になる、②適材適所の人員配置が可能となり、個人も企業も生産性が向上する、③コンピテンシーの評価基準が明確になり、オープンになることで社員の業績向上、満足感の向上に伴い、企業風土や意識の改革が進む、④

コンピテンシーを通じて自分の役割の範囲や必要要件について、共通の理解が得られる、⑤成果達成の行動が基準になり、能力と成果の評価基準も明確になる、⑥上司や仲間と業績や能力開発やキャリア開発を客観的に話し合いができる、⑦社員は強み弱みが判り、能力開発の目標が立てやすい等々のメリットがある。

企業変革の推進者たることを要求される人事部門は、一つ目は企業変革のためのビジネスに関する財務・経営スキル、二つ目が常に変化し、革新するための創造性や問題解決力が要求される。三つ目に迅速かつ柔軟な人材開発や人員配置、組織プランニング、コミュニケーション能力が要求されている。人事部門はトップ・マネジメントとラインを結び、自らが変革の推進者になり、ラインに対してサポートしなければならない。人事管理という今までの考え方は消滅し、今後は経営企画部門的な位置付けになる。人材マネジメントの実務は、それぞれの部門に移管され、その部門に対するコーチ役に

なる。企業全体のコーディネーターとして、企業変革の実施を要求される。人事部門のコア・コンピテンシーとしては、人事のプロとして戦略的行動(リーダーシップ)が挙げられる。具体的発揮行動は、「経営全体に必要なことをハッキリ見据えている(経営戦略)」、「現在や将来のニーズに対応すべく、必要な変化を提言し、改革への障害を取り除く(変化への対応)」、「口頭および書面をはじめ、その他(電子メールやインターネット)コミュニケーション・ツールを使って、意思決定や計画を伝える(コミュニケーション)」ことである。

経営環境が一変した今、これまで多くの日本企業が長期的、計画的に育成しようとしてきた「ゼネラリスト」たる人材は存在価値が薄れ、その一方で、会社の利益に、より直接的に貢献する「企業内起業家」や「プロフェッショナル」と呼ばれるコア人材が求められている。

日本ユニシスでは、人事部門や各部門の教育担当者の方々とご一緒に、顧客の立場・視点から、企業の成長過程に合わせた方向性や目標を作成し、部門ごと、職務内容に応じたコンピテンシー項目の作成から運用までをお手伝いさせていただいている。

2000年11月1日第475号

UN

コンピテンシー・モデルによる人材育成日本ユニシス株式会社関西支社

アドバンストコンサルティンググループシニアコンサルタント 伊東晟喜

サービスアドバンスト・コンサルティング・サービス(33)

人事制度改革の現状と今後

人事制度改革は顧客の視点から

コンピテンシーの定義と構造

コンピテンシー・モデル構築方法

コンピテンシー導入のメリット

人事部門に求められるコアスキルと役割の変化

日本ユニシスの対応

具体的発揮行動記述�

リーダーシップ�

行動�

出典:アメリカを救った人事革命コンピテンシー�

経営戦略�経営に必要なことを�常に見据えている�

□ビジネス・チャンスとリスクを予測する�□人的資源を競争優位に活用する�□経営分析より人事戦略を考え、実行に移す�

変化マネジメント�必要な変化を提言し、�改革への障害を取り�除く�

□経営の現状と将来を見据え、改革を提言する�□改革を進める戦略をつくる�□顧客にプロセス改善のメリットを伝える�

コミュニケーション�意思決定や計画を確実�にコミュニケーション�できる�

□人々の関心に応じて反応する�□問題点を客観的にメンバーに伝える�□状況に応じて戦略や駆引きをする�

コア・コンピテンシーモデルの例

Page 9: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

9

建設プロジェクトは、発注者、設計者、ゼネコン、下請け業者、部材メーカーなど多数の関係者が参画して進められる。関係者間では、設計から施工、保守に至る各フェーズで各種設計図や帳表、報告書など多種多様なドキュメントがやり取りされる。また、昨今ISO9000/14000が浸透し、ドキュメント類は、ますます増加傾向にある。そのため、建設現場の担当者は、①マニュアルや帳表の作成と改訂、配布、②ドキュメントの作成と提出・受理、保管、③会議と議事録の作成、配布などの業務に追われている。こうしたドキュメント類の電子化

は、建設省の「建設CALS/EC」の推進もあって業界内で進展しているものの、関係各社の環境には相当のバラツキが見られる。建設プロジェクトを進める上で、本業のコスト削減と業務の合理化を図るためには、①分散した多種多様な情報の統一的な管理、②関係各社の環境下での効率的な業務分担が必要とされる。しかし、工期に限りのある建設現場において、各プロジェクトごとに本格的なコンピュータ・システムを導入することは、システムを構築する資金やそれに携わるシステム運用技術者の人的負担の面からも効率的とはいえず敬遠されてきた。

その打開策の一つとして、日本ユニシスは、米国においてインターネットを使った建設プロジェクト情報管理のホステッド・サービスとして多数の実績を持つBricsNet社と技術提携し、同社製の「ProjectCenter」を日本化し、建設業に特化したASPサービスを日本国内で初めて立ち上げた。これは、建設業界において中立的な立場にある日本ユニシスがASPとして、建設プロジェクトにおける関係者間のさまざまな情報共有や、指示・確

認・報告などのコミュニケーション業務をインターネットを使って効率化し、コスト・ダウンを実現させるサービスである。このサービスにより、建設プロジェクトの関係者は、独自の情報管理システムを構築することなく、プロジェクトの情報管理が行える環境を短期間に立ち上げることができる。

日本ユニシスは、『asaban.com』の名称のもとにASP(アプリケーション・サービ

ス・プロバイダ)関連事業を展開しているが、その1メニューとして建設業界に特化

した建設プロジェクト情報管理ASPサービス「ProjectCenter(プロジェクト・セン

ター)」の提供を開始した。また、東北電力(株)、東北コンピュータ・サービス(株)も

ASP事業の一環として日本ユニシスと業務提携し、「ProjectCenter」サービスを開

始した。

ここでは、(株)大林組のプロジェクトでの利用が決定するなど建設業界で脚光を

浴びているASPサービス「ProjectCenter」について紹介する。

それは「ProjectCenter」が次のような機能を提供するからである。①建設プロジェクトで発生する関連ドキュメント(文書、品質管理記録、CAD図面、写真など)をビューアを介して分類・登録・共有するテンプレートを提供。標準テンプレートのほかに、土木用および建築用テンプレートが用意されている。 (画面1)

②プロジェクト・メンバー(発注者、設計者、施工者、その他協力者など)間のワークフローとコミュニケーションを支援。つまり、Webを通じて、質問・確認の即時回答、使用材料の変更通知・確認、設計変更の指示・回答、検査記録・通知、メンバー間の連絡などの電子的なやりとりを実現する。 (図1)

③CADソフトを持たなくても送信されてきたCAD図面を参照・共有できる。また、CAD図面に赤線や、コメントを挿入して相手に返信できる。(画面2)

④ フ ォ ルダーに登録されたドキュメント類を誰が検索し、いつダ ウ ンロードしたかなどアクセス履歴管理ができる。

⑤登録されたドキュメントのアクセス権限・編集権限の設定ができる。各プロジェクトごとに設定されるプロジェクト管理者が、プロジェクトメンバー各々の表示権、ダウンロード権、上書き権などのアクセス権限を設定できる。

利用に際しては、インターネットに接続されたパソコンさえあれば、このASPサービス「ProjectCenter」を利用できる。特別なソフトウェアのダウンロードやインストレーション作業、システム構築やシステム運用管理は一切不要であり、プロジェクト管理者による簡単な登録作業だけで、早期に使用できる。料金は、初期登録費用として10万

円/1プロジェクト、月額使用料は10万円/月、または1万円/月×ユーザ数で、プロジェクトごとにシステムを構築するよりも低コストですむ。

本サービスを利用することで、各メンバーは次のようなメリットを享受できる。◆発注者=一つの情報源に注目するこ

とでプロジェクトの進捗状況を把握できる。

◆設計事務所=図面、仕様書などの設計図書を容易に配布でき、変更指示を徹底できる。

◆施工者=自主管理体制を強化できる。

◆建設会社(ゼネコン)=業務手続や文書管理の時間を削減することで、現場の施工管理に集中できる。さらに、プロジェクト全体としては、出張会議、緊急郵便など報告・連絡・相談などのコスト軽減により、プロジェクト全体の管理コストを削減できる。また、プロジェクト管理の効率性向上により、連絡ミス、指示の不徹底などに起因する歩留まりや工期延長を防止できる。

大林組では、すでにある民間企業発注の土木工事に「ProjectCenter」の利用を決定、施主とJV(ジョイント・ベンチャー)間の情報共有を予定している。その採用理由は、「利用者側のシステム構築が不要で、必要なのはインターネットにつながっているPCとブラウザのみ。しかも、プロジェクトが動いている期間だけ利用できる。施主と設計者、施工現場が距離的に離れているプロジェクトの場合、サーバを購入したり、LANを敷設するよりもはるかに割安になる」としている。

◇日本ユニシスは、今後、Project

Centerによるプロジェクト情報管理から、政府・自治体電子申請、行政ワンストップ・サービス、プレプロジェクト・プランニング、施設管理、電子調達まで、インターネットを通じて電子化と効率化が図れる建設ポータルへと拡大させ、建設業の総合的なASPサービスを提供していく予定である。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

UN

建設業界で脚光を浴びる建設プロジェクトASPサービス「ProjectCenter」

日本ユニシス株式会社asaban.com事業部ビジネス開発室担当課長 竹田幸博

IT最前線

ASP/CSPサービス「asaban.com」(2)

建設プロジェクトでは情報の共有化と効果的活用が不可欠

ASPサービス「ProjectCenter」が活路を開く

最新情報をどこからでも参照し加筆・コメントも可能

必要なのはインターネットに接続したPCのみ

建設プロジェクト全体の管理コスト削減が可能

大林組が土木工事プロジェクトに利用を決定

発注者�

設計事務所�

監督者�

下請・協力会社�元請業者�

質問・確認回答�使用材料の(変更)通知・承認�設計変更・不具合修正指示・回答�検査記録・通知�

図1 プロジェクト・メンバー間のワークフローとコミュニケーション機能

画面1 関連図書の分類・登録と共有テンプレート 画面2 CAD図面を共有し赤線やコメントの挿入が可能

Page 10: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

10 2000年11月1日第475号

日本の金融業界にもネット革命の嵐がやってきた。金融ビッグバンに続く次の嵐である。99年10月の株式取引手数料解禁に

よって、日本の金融Eビジネスの革命が本格的に火がついた。証券界で始まったネット革命は、銀行へ、その融合業態へ、さらに、新しい金融ビジネス・モデルへと進化しつつある。

では、ネット革命は金融市場に何をもたらすのか。(1)金流・物流・情報流の囲い込み合戦が

始まる

ネット革命の時代には、これまで別々の産業によって司られていた情報流と物流と金流が、横串にして一つにまとめられる。いわば、情報流革命と物流革命、そして金流革命が同時に進行していく。その結果、まったく新しいビジネス・モデルが成立する時代である。そしてそうしたビジネス・モデルを成立させる企業が市場を制するといえる。(2)金融業は、もはや異業種提携抜きに

は語れない

日本型のEビジネスの展開には、3万6,000店を超えるコンビニエンスストアの拠点網と6,000万人を超える携帯電話の利用者数を抜きにしては語れない。日本の金融業も、今後こうしたコンビニや携帯電話との連携を深めつつ、異業種提携による金融Eビジネス革命に取り組むべき時代を迎えている。(3)ネット革命は業界の再編スピードを

加速

ネット革命は、ドッグイヤーの早さで進むインターネットのスピードを金融業にも持ちこむであろう。今後、ネット革命が本格化する日本の金融業はこのことを十分に認識しておくことが必要である。

ネット革命は、情報流、物流、金流というものを取り込みながら、資本主義の進化を促す。その結果、“知識や智恵”が最高の経営資源となり、最高の商品やサービスとなる「智融業の時代」を招く。また、“顧客ニーズ”を中心に深く結び付けられた商品・サービスが求められ、「バイヤー・セントリック・マーケット(顧客中心市場)」の出現を促す。

この顧客中心市場においては、“ニューミドルマン”(新しい中間業者)を創出することが市場の中で非常に優位なポジションを確保する決め手となる。ニューミドルマンは、いわゆ

る購買支援というコンセプトである。その条件は、①フルラインのプロダクトラインの提供、②投資家、消費者の最適な商品・サービスの選択支援を図るフルラインのナレッジ・サービスの提供、③購買活動プロセスを一カ所で行えるワンストップ・サービスの実現にある。これは、情報流、物流、金流の三つを束ねていく戦略がないと実現できない。

では、どのようなビジネス・モデルで、これを実現していくのか、証券分野、銀行分野、流通小売業と異業種融合の三つの分野におけるモデルを米国の金融ニューミドルマンを例に考察してみよう。(1)第一の戦略:「インターネット金融

ポータル」戦略

証券業がインターネットを活用して顧客コミュニティを創出する戦略である。米国のオンライン・ブローカー市場は、取引口座数が1,000万を超え、ネット・トレーダー予備軍は1,630万人、オンライン・ブローカーの数は100社を超え、個人の株式取引のオンライン取引シェアは4割を突破するなど拡大の一途にある。このようにオンライン・ブローカーが急増している理由は、①手数料の価格破壊、②1日24時間いつでも手軽な証券売買仲介、③インターネットの普及による迅速かつ多量の情報提供にある。◆ケース1:手数料をゼロにした「AEFA社」AEFA社は、99年11月、「無料で株式売買」(預かり資産10万ドル以上の顧客のみ)を売り文句に登場した。全米に1万人のフィナンシャル・アドバイザーを抱え、税務、資産運用、証券取引融資にも対応している。◆ケース2:金融ポータルによる差別化を目指す「Eトレード社」同社は無店舗、営業マンなし、アナリストゼロによる徹底した効率経営を推進し、大きな成果を挙げている。その金融ポータル戦略は、①徹底した「ホリゾンタル・ポータル戦略(水平統合型ポータル)」の推進によるインターネット顧客の開拓、②ディスカウ

ント中心の戦略からナレッジ・サービス中心の戦略への転換による「バーティカル・ポータル戦略(垂直統合型ポータル)」の推進にある。 (図1)

(2)第二の戦略:「第二世代インター

ネット・バンキング」戦略

一方、銀行業においては、インターネット・バンキングが本格化し、ネット革命の嵐は証券業から銀行業へ押し寄せている。米銀のインターネット・バンキングは第一世代の24時間/低料金を戦略とした「取引サービス」から、第二世代の証券・保険等関連金融サービスを取り込んだ資産運用支援や流通小売業などとの提携による生活全般のショッピング支援サービスなどを提供する「ナレッジ・サービス」の提供へとシフトしつつある。 (図2)

(3)第三の戦略:「パーソナル・フィナン

シャル・アドバイザー」戦略

資産運用ナレッジ・サービスでパーソナル・バンキングを提供する戦略である。◆ケース3:401k利用者にアドバイスを提供(フィナンシャルエンジンズ社)同社は、米国の確定拠出型年金制度「401k」の利用者にアドバイスを提供している。利用者はWebを通じて401kプランのミューチュアル・ファンド選定のポートフォリオ決定のアドバイスを入手できる。 (図3)

(4)第四の戦略:「インフォメーション・

ゲートウェイ」戦略

金融ワンストップ・サービスを実現し、顧客のマネーライフを支援する戦略である。◆ケース4:ローン仲介の金融ニューミドルマン「クレジットランド社」同社は、ロー

ンやクレジットカードなどフル

ラインの金融商品を仲介する金融ニューミドルマンで、98年設立のネットベンチャーである。クレジット・カード、住宅ローン、自動車ローン、パーソナルローンなどを販売している。◆ケース5:クレジットの与信情報の提供(フェアアイザック社)同社は、クレジットのスコアリン

グ・モデル(与信判断モデル)で有名な企業で、全米の銀行の8割が同社のモデルを利用している。(5)第五の戦略:「ショッピングライフ・

ナビゲータ」戦略

生活関連商品の購買ナビゲーションでテーマ・ショッピングを支援する戦略である。◆ケース6:バンクワンが提携するネット自動車ディーラ「カーズダイレクト社」同社は昨年5月開業、オートバイテルと異なり自動車販売を実施し年間売上高約4億ドル、単独のディーラとして全米一の売上を達成している。バンクワンと合弁で自動車ローン、リース、保険のサービス専門会社を設立、バンクワンは、同社経由でローン、リースを半年で10億ドルの販売実績を達成している。

◇このように、金融ニューミドルマンの創出は、金融Eビジネスの成否を握るものであり、これからの金融機関にとって、また、あらゆる業種、業態の企業にとっての大きなビジネス・チャンスになるのである。Eメール=[email protected]

UN

金融Eビジネス革命日本型金融ニューミドルマンの創出を目指して

デロイトトーマツコンサルティング株式会社パートナー(執行役員) 鴨志田晃氏

IT最前線金融Eビジネス・セミナー講演録

加速するネット革命の嵐

ネット革命が変えるビジネス・ルール

ネット革命で出現する“ニューミドルマン”

智融業の時代:米国における金融ニューミドルマン五つの戦略

モーニング�スター�

テレバンク�

ヤフー!�AOL

ネットスケープ� Eトレード�

ウォールストリート�ジャーナル�

Eローン�

インスウェブ�

ストリート�ドットコム�

ホリゾンタル・�ポータル�

バーティカル・ポータル� 【異業種同士のアライアンス】�

(1)差別化されないために必要な銀行取引サービス�

【銀行単独】�

(2)銀行、証券、保険の提携が必要な�         金融ワンストップ・サービス�

【金融業同士のアライアンス】�

(3)顧客のマネーライフ、カーライフなどの�       支援を目指すナレッジ・サービス�

消費者メリット�①401kで高度なアドバイス� 入手�②ネットで手軽に情報入手�③サービスは無料/低価格�

金融関連�情報の収集�

ダウ・�ジョーンズ�

投資信託�運用会社�

金融機関/事業会社/�個人からのサービス�手数料が主な収益源�

フィナンシャルエンジンズ�401kプランのポートフォリオ�

決定のアドバイス�

金融機関へ�のOEM 職域サービス�Webダイレクト�サービス�

消費者�

図3 フィナンシャルエンジンズ社のビジネス・モデル

図1 Eトレード社におけるポータル戦略の展開イメージ 図2 第二世代インターネット・バンキングでの銀行機能

Page 11: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

11

今日、インターネットの普及とともに、電子商取引が急増している。特に個人向けの電子商取引(B to C EC)よりも伸びているのが、企業間電子商取引(B to B EC)であり、「2003年には68兆円の市場に成長する」という通産省の調査発表も、B to Bを語る際に、必ずといってよいほど出てくるフレーズとなっている。企業間電子商取引は、企業の業務の効率化、取引先の拡大、売上の増加、新しい市場の創造、業界の発展など、広い範囲での可能性を秘めている。例えば、現在、企業の購買部門で事務用品や電子機器の購入をする際に、取引先に電話やFAX、もしくはオンラインで発注を行う場合、「取引先ごとに違う注文書を作成しなくてはならない」、「社内のシステムと連携していないために、伝票の記入や入力を何度も

繰り返している」などの問題がある。これは、あくまで一例にすぎないが、このような汎用機システムやクライアント/サーバ・システムでは実現できない問題を解決するのが、(株)コマースセンターのB to B EC対応パッケージ「Commerce Center」(以降コマースセンターと表記)である。コマースセンターは、一言で言うと、購買システム、販売システム、そしてn対nの電子市場を構築するために必要な一般的な商流(カタログ検索、見積もり、受発注、価格交渉など)のすべてをサポートするアプリケーション・パッケージである。コマースセンターを利用したサイトはワールドワイドに多 数 存 在 す る が 、 日 本 で も 、kouzai.com、MAART、flashtrade.net、eBuySell.co.jpなど、すでに約30サイトが立ち上がっている。

企業間電子商取引を実現させようと考えた場合、一から開発を行う方法と、アプリケーション・パッケージを適用する方法が考えられるが、開発を行う方法を選択した場合、膨大な工数と時間がかかり、当初狙っていたメリットを上回るコストがかかってしまう場合が多く見受けられる。一方、アプリケー

ション・パッケージを利用する場合は、パッケージが持っている機能を評価し、FitGap分析を行うことで、開発に必要な要件定義にかかる工数を削減できる。つまり、パッケージに不足している機能だけを加えれば、的確な機能を持ったシステムを早期に立ち上げることが可能なのである。

現在、企業間電子商取引の市場で考えられるカテゴリは、大きく四つのサイトモデルに分類できる。コマースセンターでは、次に挙げるすべてのモデルをカバーしている。■ 購買型サイト:一般購買品、部品や原

材料などを効率よく調達したい企業

*一度に複数の業者からの合見積が可能なため、最適な条件で商品を購入

できる*買い条件の一覧を見ることができるため、カタログの取り寄せやカタログによる比較の手間が省ける

*購入者への与信設定により、安全なセルフサービスの発注が可能なため、各部門での購入要求の取りまとめの必要がない

*購入内容がデータベースに登録され

るため、ペーパーレスで効率的な処理が可能

■ 販売型サイト:在庫品や余剰品を

無駄なく売りたい企業

*取引の少ない買い手に対してもパスワードの発行のみで受発注が可能*多くの買い手に対し商材を販売できるため、今まで世に出ることのなかった余剰品や中古品、傷物などの販売が可能*販売、買付け、それぞれのデータベースを共有することで、より効率的な商取引が可能

■ バーティカル・マーケット[注]:複数

の売り手と買い手を集め、ネット

上のマーケットを開きたい企業

*パスワードの発行のみで、新しい供給者を即時にマーケット上に参加させることが可能なため、新しい商材をスピーディに取り入れるビジネスが可能

*インターネット上のシステムの特性を活かした、24時間のインタラク

ティブな複数者間の商談が可能*買い手が、複数の売り手に対して要求が出せ、最適な条件での商品購入が可能

■ASP事業:企業間取引の場をASP事

業として提供したい

*パスワードの発行のみで、運営者、買い手、売り手、どのプレーヤーとしても市場に参加できるため、資金力のない中小企業でも企業間取引市場に参加できる

*権限設定により、複数業種の売買が可能

*金流、物流、セキュリティを共有した運営が可能なため、運営費が安くなるコマースセンターでは、利用するオペレータの役割を、個々に割り当て運営を行う。そのため、上記の四つのモデルを別々に提供する他の製品とは異なり、一つのパッケージですべてを提供できる、唯一のアプリケーション・パッケージとなっている。

コマースセンターでは、さまざまなサイトモデルの運営をサポートするための次の特徴を備えている。◆ユーザの階層構造設定や権限設定

*コマースセンターを利用するオペレータ一人ひとりに対し、「承認者」、「売り手」、「買い手」、「売り/買い手」、「管理者」の五つの役割を適用することにより、マーケット上での職務の設定が可能。

*五つの役割に加え、さらに約80項目の権限の設定をGUIベースで即時に行え、ユーザの階層的な管理をスムーズに行える。[例1]:同じ「売り手」の役割を持つオペレータでも、①見積もりはできるが、受諾はできない、②見積もりも受諾もできる、③カタログの更新のみできる。[例2]:ある企業に対して、Aカテゴリの商品は見せるが、Bカテゴリの商品は見せない。[例3]:一般企業に対しては定価の5%引きの価格を提示するが、得意先企業には10%引きの価格を提示する。

◆与信枠の設定に基づくワークフロー

の設定

*マーケット参加者の与信枠と承認のワークフローを設定することにより、与信枠を超えた発注は自動的にワークフローに乗り、必要な承認を受けてからの発注となる。

*ワークフローは、GUIベースでのオペレーションのみで設定可能。

◆ポータル運営のための課金機能

*ポータル運営に必要な約40種類の課金方法、種類の設定が可能。

[例]:「カタログ登録1件につき、xxx円」「取引金額のx%」など。◆クライアントはWebブラウザのみで

稼働

*Javaアプレットの採用により、インターネット環境と、Webブラウザが動作すれば、クライアント側のプログラムは必要がない。

◆システム基盤としてBEA WebLogic

Serverを採用

*アプリケーション・サーバに、高速性/高可用性でワールドワイドに名高いBEA WebLogic Serverを採用することにより、システムの性能、信頼性を向上。

◇日本ユニシスは、(株)コマースセンターとマーケティング・パートナー契約を締結し、8月よりコマースセンター6.3 の販売を開始している。コマースセンターのワールドワイド

な実績に、日本ユニシスの電子商取引ソリューションに関するノウハウを加えた企業間電子商取引市場が、これから続々と立ち上がっていく。*[注] 従来、商社が行っていたようなビジネスを、電子市場で実現する業界別のマーケット。業界全体の活性化を図る意味でも注目されている。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

UN

B to Bをサポートする「コマースセンター」

早期立ち上げのポイント

コマースセンターで実現されるサイトモデル

コマースセンターの特徴

企業間電子商取引を実現するアプリケーション・パッケージ「コマースセンター」

日本ユニシス株式会社Eマーケティング部Eソリューション企画室主任 宇田川美和

IT最前線

(資料提供:Commerce Center,Inc.)

生産管理、�在庫管理システム�

売り手�

各種セキュリティ・�システム�

情報提供� 情報提供�

売情報�

受注リスト�

出荷情報� 出荷情報�

受領情報� 受領情報�

Commerce Center

商品情報�価格情報�在庫情報�

電子市場�

価格納期ネゴシエーション�

仮成約(商談成立)�

オンライン発注�

受発注リスト�

出荷、受領情報�

支払状況照会�

EDI、XML、ERP、経理システム�

買い手�

買情報�

発注リスト�

各種セキュリティ・システム�

ワークフロー�

物流トラッキング・システム�

コマースセンターで実現される機能

Page 12: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

12

現在あらゆるビジネス・シーンでIT(情報技術)とEビジネスが話題に上っている。新聞や雑誌のみならずCMにもその言葉が出てきており、それだけ広く使われている言葉となっている。ところが、いざ実践するとなると、さまざまな困難が表面化してきている。Eビジネス変化のスピードは目をみはるものがある。技術面はいうまでもなく、コンテンツの重要性が高まっており、ビジネスを行うために、2~3カ月ごとに大幅にホームページを更新する必要性に迫られる程である。このように変化の早いEビジネスをこれから始めるに際して、さまざまなジレンマが生じてきている。・これからITの勉強を始めても変化のスピードについていけるのか。・実装技術を習得してもすぐに変わってしまうのではないか。といったようなことである。このような環境下で多くのユーザから強く望まれたのが、雛型をベースとしたプロトタイピング手法を用いた構築である。完成度の高いプロトタイプ

る。ビルディングブロック・アーキテクチャとは、アプリケーション・レベルの粒度を持つ部品・サービス群(ビジネス・ブロック)を組み合わせて、Eビジ ネ ス ・ ソ

Bizactionの特徴はテンプレートによるプログラムの生成にあり、テンプレートはWebアプリケーションを生成するものである。テンプレート・ブラウザより任意のテンプレートを指定して生成を開始すると、専用のウィザード(質疑応答)が開始される。ユーザは、アプリケーションID、使用するデータベース、認証方法、表示項目など、ウィザード画面に対して答えていくだけで、Webアプリケーショ

ンを生成することができる。基本テンプレート・グループの場合、マイクロソフトのASP(Active ServerPages)プログラム、およびその関連ファイルという、まったく標準的な技術で構成されたWebアプリケーションが生成される。Bizactionのテンプレートを使用することによりユーザは、Webアプリケーションのプログラミング工程の多くを節約することができ、高い開発生産性を実現している。

Bizactionは、ビルディングブロック・アーキテクチャに基づき提供され

リューションを作り上げる手法である。

Bizactionは、ユニシス・プラットフォームとマイクロソフト・テクノロジの融合環境において提供される。ハードウェア・プラットフォームはUnisys e-@ction Enterprise ServerES7000/ES5000/ES2000。オペレーティング・システムは、Microsof tWindows NT Server /Windows 2000Server。データベースはMicrosoft SQL

Server、その他にMicrosoft ExchangeServer、Microsoft Biztalk Serverの活用も計画中であり、ミドルウェアは、すべてマイクロソフト・テクノロジを

採用している。従来メインフレーム環境では、ハードウェアからオペレーティング・システム、そしてミドルウェアまで一つのメーカーが提供してきたが、オープン化が進むにつれ、さまざまなベンダの商品を採用し、繋ぎ合わせること(インテグレーション)が行われた結果、各ソフトウェア間の相互接続性(またはレベル間の互換性)問題が大きくクローズアップされている。Bizactionではマイクロソフト・テクノロジを全面的に採用することにより、非互換の解消を実現している。

Bizactionは「サービス・マネージャ」、「テンプレート」、「サービス・オプション」の三つの要素から構成される。 (図2)

◆サービス・マネージャ

テンプレートの管理やウィザードの起動を行う。◆テンプレート

Bizactionの中核を担うものであり、ビジネス・パターン(ビジネス・フロー)を包含しており、次のテンプレートが今年度提供される予定。*基本*ポータル*情報共有*文書管理*ナレッジ・マネジメント*ワークフロー

*営業支援*WebEDI◆サービス・オプション

テンプレートより生成されたWebアプリケーションに対して組み込むことにより、機能の追加や管理機能などの提供を行う。次のサービス・オプションが今年度提供される予定。*権限管理*Webプリント*Web監査*Webグラフィック機能これらのテンプレート、並びにサービスを一つずつのビジネス・ブロックとみなし、それらを組み合わせることによって、最適なビジネス・モデルの構築を行うことが可能となる。

Bizactionの今後のポイントとしては、まずテンプレートとサービス・オプションの充実である。これはつまりユーザが選択できるビジネス・ブロックを増やすということに他ならない。

今後Bizactionのラインナップとして*基幹システムとの連携サービス*マーケット・プレイス対応などの提供を予定している。

2000年11月1日第475号

UN

Unisys e-@ctionビルディングブロック・ソリューション「Bizaction」

日本ユニシス株式会社ESビジネス推進部プログラム開発室主任 大平正幸

IT最前線Windows Data Centerの実現に向けて(3)

Eビジネスの構築のための第一歩~「Bizaction」の発表

ビルディングブロック・アーキテクチャ

プログラムの開発からテンプレートによる生成へ

今後の流れ

Bizactionのラインナップ

テンプレートおよびサービス(=ビルディングブロック)を組み合わせてニーズに合ったシステムを構築�

サービス�オプション�

テンプレートに�組み込み�

グレードアップ�

権限管理�個人権限管理�組織権限管理�パーソナライズ�管理者機能�

Webプリント�印書COM�外字支援�実績管理�管理機能�

Web監査�ロギング機構�分析機能�

8秒ルールチェッカ�

デリバリー�コンテンツ登録�購読管理�配布管理�管理者機能�

グラフィック�グラフィック連携�

ストリーミング�ストリーミング連携�(Medla Service)

EAIサーバ連携�MQ連携�

基本�情報提供�

アンケート��マスタメンテ�

ポータル�ナゲット�新着ニュース�FAQ会員登録�

情報共有�メール�掲示板�

スケジュール�施設予約�回覧�

ナレッジ�ナレッジ�

文書管理�文書管理�

ワークフロー�汎用申請�

SFA/営業支援�コンタクト管理�

日報�

データ集計�

顧客名簿�

営業会議室�

WebEDI商品検索�

見積依頼・回答�

購買�

請求照合�

ダウンロード�

商品登録�

クレーム�

ヘルプデスク�

オプション�iモード対応�

WAP対応�

レガシー連携�

バナー�

テンプレート・マネージャ� テンプレート・ブラウザ�サービス�マネージャ�

テンプレート�

Bizactionを支えるプラットフォーム

必要なビルディングブロック(テンプレート等)を組み合わせることにより、�ネット・ビジネスの構築を支援する、ソリューション製品群。�

対 企業�(Business to Business)

連携サービス�

ポータル�

企業内�

(in Business)

対 顧客�(Business to Customer)

ポータル�

ポータル�

Bizaction

フロント・システム�情報共有�

文書管理�ナレッジ�マネジメント�

ワークフロー�

基本テンプレート�で生成したWeb�アプリケーション�

WebEDI

営業支援�

基幹システム�

図1 Bizactionとは?

図2 Bizactionラインアップ(順次提供予定)

を生成し、それに対してコンテンツの充実を図りながらテストし、短期間でシステムを構築していくことであり、さらに、必要に応じてスクラップ&ビルドでシステムを更新していく仕組みの提供である。このニーズに応えるため、ビルディングブロック・ソリューション「Bizaction」を提供することにした。Bizactionは、ビルディングブロッ

ク・アーキテクチャに基づき提供されるEビジネスのためのソリューション群の総称である。その対象は、企業内(in Business)、対企業(Business toBusiness)、 対 顧 客 (Business toCustomer)であり、ポータル機構を通じて各シーンに対してコミュニケーションを図るためのWebアプリケーションをスピーディに構築することが可能となる。 (図1)

このBizactionの名前の由来は、Businessを表す『Biz』と『Action』の造語で、ビジネスへのスピーディな行動を支援するソリューションという意味である。

Page 13: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

13

Eビジネスを勝ち抜くために、ソフトウェア開発の現場ではアプリケーション・フレームワーク、コンポーネントベース開発、パターン化など、さまざまな試みが始まっている。いずれも、ソフトウェアを速く作るか、あるいはなるべく作らずに、ビジネス要求に合致したシステムを迅速に構築し変化に対応させる技術である。これらの技術が浸透するにつれて、開発者の役割は設計・実装・組み立てのような専門分野ごとに分業化されていく傾向がある。開発者は高生産性ツー

ルを活用して、与えられた役割の中で自らの力をフルに発揮することに努め、プロジェクトは、彼らが本来の仕事に専念できる環境を提供しプロセスを適切にコントロールする。また、従来の機能分割による構造的開発手法に加えてアーキテクチャ主導の開発プロセスになるため、実行環境や言語の違いによる多様な成果物が作り出される。システムのライフサイクルを通じて、これら成果物のインタフェースと品質を維持し一元管理する構成管理の重要性が増す。

プロジェクトを構成する「人、モノ、金、情報」のうち、モノと情報の観点から組織を円滑に運営し、プロジェクトの総合力を最大に引き出す仕組みが開発運用モデルである。

(右図)

開発運用モデルでは、一定規模以上の企業システムに求められる品質、コスト、納期を達成するために、開発運用チーム主導のもと、成果物管理、工程管理、変更管理、並行開発、情報共有および標準化のプロセスを規定する。例えば、プログラムの

レビューや検査、承認、

変更追跡などのプロセスを標準化し、プロセスと成果物を関連付けることで要求への適切な対応と成果物の品質維持を可能にするのである。

開発運用モデルのコンセプトに基づいて提供される開発運用ツール「TIGA(Team Implementation with GroupAssistance)」[注1]の特徴的な機能を以下に紹介する。(1)成果物管理-ソフトウェア構造と

ファイルのバージョン管理

TIGAの成果物管理機能は、一般のバージョン管理製品が持っているファイルのバージョン管理に加えて、ソフトウェア構造(システム、サブシステム、コンポーネント、フォルダ)も同時に管理する。これにより、開発の進展に応じてコンポーネントの追加や削除を自由に行うことができるので、コンポーネント単位の分業開発が容易になる。また、反復型の開発では、初期段階に最小限のファイルや設計ドキュメントなどを格納した構造を作っておき、徐々にコンポーネントを追加して開発を進め、段階的にシステムを成長させながら完成することができる。

ソフトウェア構造をバージョン管理するもう一つのメリットは、Javaのパッケージ階層の変化にも柔軟に対応できることが挙げられる。(2)ライン管理-並行開発の支援

開発、改造、計画保守、緊急保守のような複数の作業が並行して発生することがある。また、コンポーネント指向が徹底されていたり、モジュール間の関係が疎になるように設計されている場合は可能性が少ないが、同じファイルを複数の人間が同時に変更したいことが起こり得る。このようなとき、一般のバージョン管理ツールでは、ファイルごとにリビジョンの分岐を人がコントロールし、変更が衝突しないように気を配る必要がある。そして、分岐地点を起点に二つの変更の差分を取ってマージしなければならない。TIGAは、並行作業ごとに独立した領域(ラインと呼ぶ)を、開発者または

チームに割り当てて、分岐やマージを自動的に行う機能を持っている。工場における生産ラインをイメージしていただきたい。開発者は、自分に与えられた権限と作業領域だけを意識して開発することができる。(3)プロセス管理-品質の後戻りは許さ

ない

ソフトウェアが柔軟で壊れやすいのは昔も今も変わりない。一度作ったアプリケーションに手を加えるのは、初期開発時よりも慎重に行う必要がある。しかし今日の情報システムへのニーズは落ち着いた変更を待ってはくれない。短期間で慎重に変更を加えるためには、品質を保証するベースラインを定めて、それ以降は「誰が/いつ/何のために/何を変更したか」を確実に記録し、問題が発生したときには素早くトラッキングして原因を突き止める仕組みを確立する必要がある。TIGAでは、例えば実装工程の「プログラミング」→「コード・レビュー」→「承認」→「インテグレーション」…と続く各プロセスにおいて、あらかじめ決められている役割を持った人に作業依頼を電子メールなどで通知し、プロセスを確認しながら変更作業を行う。これによって、ベースラインからの品質の低下を防ぐことができる。(4)ツール連携機能

“モノづくり”に使うツールは、開発者がメリットを直接得やすいので比較的容易に導入できる。これは工場における工具に相当し、開発技法と一緒に選択されるものである。ところが、品質評価ツールや文書化ツールなどは開発者が直接メリットを感じるどころか、逆に負担に思うことが多いので開発者からは敬遠されがちである。折角有効なツールであっても、操作を習得して使いこなすまでに長い時間がかかり、コスト対効果が得られないこともある。TIGAは、開発者がツールを使わされると感じないようにツールの使い方や運用を隠蔽して標準化する仕組みを提供する。例えば、ソースプログラムを解析してプログラム仕様書を作成する文書化ツールをTIGAから半自動的に呼び出

し開発者の負担にならないようにサーバ上で作成されたドキュメントはソースコードと同期して成果物管理の決められた場所に格納される。開発者は常に最新のドキュメントが手元にあることを当然と思うようになるであろう。(5)WebWorker連携-新鮮な情報を

Webで公開

プロジェクト内外で共有すべきドキュメントは、進捗状況、週報など、たくさんある。これらを複数の関係者に電子メールで送付するのはディスクと回線の無駄遣いである。グループウェアで情報共有することもできるが、一番手っ取り早いのはWebである。しかし、Webサーバにファイルを転送してコンテンツのリンクを張るのは、これもまた煩わしい作業である。TIGAは、WebWorker[注2]と連携している。TIGAに保存してあるファイルにWebWorkerの登録先URLを設定しておくだけで、以降はボタン一つでTIGAがWebWorkerにドキュメントを自動登録する。原本をTIGAで保管し、写しをWebから参照する運用を手軽に実現することができる。(6)プラットフォームやソフトウェア・

アーキテクチャの違いに依存しない

一元管理

アプリケーションが稼働するプラットフォームやソフトウェア・アーキテクチャ、開発言語などの違いから成果物が多様化していることは前述した。すべてをJavaで構築できれば開発環境を統一できるが、現実は複雑である。とはいっても、プログラム・ソースやドキュメントだけでも共通の基盤で管理することで次のような効果が得られる。*開発対象プラットフォームの違いに依らず構成管理プロセスを統一

*異なるアプリケーション間でプログラム・ロジックの共通化と再利用が可能

*Windowsの安価で高機能な開発ツールを活用できる

*プラットフォームごとの操作性の違いを吸収でき開発要員確保が容易TIGA自体はWindowsで作動するが、Windowsのプログラムだけでなく、UNIXやメインフレームのプログラム資産も管理できる予定である。

Eビジネスにおける開発では、迅速な開発のために実装工程のツール活用や生産性向上策に目を奪われがちであるが、短期間で開発を行うときにこそプロセスを明確に定め、開発運用ツール

を使用した手順の標準化で品質の手戻りが発生しない仕組みが重要である。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

UN

Eビジネスにおける開発の変化

開発運用モデルとは

開発運用ツール「TIGA」

短期開発にこそ開発運用モデルが重要

開発プロジェクトの総合力を引き出す開発運用モデルとツール「TIGA」

日本ユニシス株式会社Eビジネス技術部コンポーネント技術室グループマネージャ 宮本道夫

IT最前線システム開発技術の動向(6)

技法�

プロセス�スペシャリスト�

分析� 設計� 実装� テスト� 保守�

ツール�

ツール�

ツール� ツール� ツール� ツール�

ドライブ�開発運用モデル�

プロセス�

プロジェクト�

部門・企業�

情報・知識の蓄積と利用�

要員管理・経費管理...など�

ドライブ� フィードバック/情報公開�

成果物管理�

並行開発管理�

工程管理�

変更管理�

標準化�

情報共有�

開発運用モデルの位置付け

*[注1] TIGAは仮称。製品名は変更されることがあります。

*[注2] Webを使った情報共有を支援する製品。

Page 14: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

14

Web製作ツールの業界No.1企業であるマクロメディア社(Macromedia Inc.本社:米国)では、代理店を通じた製品販売に加えて、ESD(ソフトウェアの電子流通)を活用したダウンロード販売を行ってきた。米国では、Eビジネスの拡大でESDによるソフトウェア販売が拡大しつつ

ある。マクロメディア株式会社では、日本市場でも同様のビジネスを展開するため、日本ユニシス情報システム(略称UIS)が運営・提供しているESD機能を搭載したU-net電子宅配サービスのアウトソーシング・サービスを活用して、ダウンロード販売を10月16日から開始した。

インターネットによる新・産業革命が進む中、巨大化するB to C市場のニーズに応えるため、魅力的なWeb体験を提供しながら戦略的なマーケティングのためのWebサイトをデザイン構築する必要性が高まっている。マクロメディア(株) e-ビジネスソリューション シニアマネージャー佐藤 正氏は、「今後のWebサイト・デザインは、Web開発プロジェクトとして、ダイナミックなビジュアル効果とともに、データベースを基礎とするサーバ・エンドの構造をつなぐための包括的な効率のよいグループワークが

必要となる時代を迎えている。マクロメディア社は、この時代のニーズをいち早くキャッチし、Web製作ソフトウェアを開発販売するツールベンダから、現在は、Eビジネスをクリエイティブな側面も含めバックエンドから支援し、米国インターネット業界の最先端技術とソリューションを提供する会社へ変革している」と語っている。

既存の流通チャネルは、図1の点線で示した部分である。ここでは、代理店を通したパッケージ販売(物品販売)を行っている。これに加えて今回開始したサービスは、図1の実線で示した部分で、UISが運営するU-net電子宅配サービスを活用してマクロメディア・ショップによるESD販売システムである。

各プレイヤーの役割は以下のとおりである。*製品開発、発売元である米国マクロメディア社は、UISが運営するマクロメディア・ショップに製品を供給する。

*UISでは、U-net電子宅配サービス上でマクロメディア・ショップを構築・

運営し、お客様にマクロメディア製品をダウンロード販売する。ダウンロード販売に関するヘルプデスク対応も行う。

*マクロメディア(株)=日本法人は、マーケティングや各種プロモーション、製品サポートを行う。お客様からの技術質問などへの問い合わせ対応も行う。

U-net電子宅配サービスは、物品販売に加え、PCソフトウェアの電子流通を実現するサービスを提供している(図2)。当サービスでは、ESD対応ソフトウェアとして業界No.1のZipLock[注]

を採用しており、安全なダウンロード・サービスを提供できる。

当サービスでは、ダウンロード販売のモデルとして、①製品をダウンロードして試用後ライセンス購入する(TryBefore You Buy)、②試用ナシで即購入(Purchase First)があるが、ここでは試用後購入のモデルの仕組みについて紹介する。

(1)まず初めに、オンライン販売対象のPCソフトウェアをソフト的にラッピング・暗号化する。この時オタメシ条件(オタメシは、利用者が購入する前に、試用・評価してもらうためであり、その利用回数や期限などの条件)などを設定する。

(2)この暗号化されたPCソフトウェアを販売者側でサーバにアップロードし販売条件等を設定する。同時にストアフロントとリンクをとり、利用者からダウンロードが可能となる。

(3)以降は図2で示すように、利用者は①から③の手順により、商品を手元のPCにダウンロードして試用できる。

(4)利用者がこのPCソフトウェアを購入したい場合、購入ボタンを押して決済(支払い)を済ませた後、ライセンスを有効にするためのアンロックキーを入手する。 (図2の④⑤)

(5)最後に手元のPCでライセンスを有効化し、以降製品版として利用可能となる。 (図2の⑥⑦)

*在庫コストの削減ネットワークを通したオンライン・ダウンロード販売となるため、物理的在庫を持つ必要がなく、在庫コストが激減される。*新たな流通チャネルこれまでの物品販売に加えてネットワークを通した販売チャネルが加わり、店舗に左右される商圏もネットワークのユーザへと拡大される。

*流通コストの削減製品のダウンロードから決済まですべてネットワーク上で完結でき、在庫コスト削減と合わせ大幅に流通コスト削減が可能となる。*ライセンス・キーの管理認証・セキュリティ技術の利用で利用者を特定してライセンス発行、配送が行われ、不正利用防止も実現されている。

これまでデジタル・コンテンツの多くは、回線事情(回線速度、通信料金など)や安全に配信する仕組みがなかったことから、ネットワーク上での取引は一部を除き行われてこなかった。しかしアクセス回線も技術の進展によりADSLやCATV、衛星経由、さらに光ケーブルなどの高速化対応および定額料金制への移行などが、電子商取引を加速させる原動力となっており、ESD販売にとっても同様である。これらのインフラの進展と相俟っ

て、U-net電子宅配サービスを利用するベンダ側のメリットは、アウトソーシング・サービスとして利用できることであり、ESD機能を持った自前サーバを持つことなく最新IT技術を利用でき、ベンダは本来のコアビジネスに傾注できることである。日本においては、ESDによるオンライン販売は開始されたばかりであるが、こうした背景をもとに、今後大きく拡大していくものと期待

している。

[注] ZipLock:米国Preview Systems社ESD対応製品

2000年11月1日第475号

UN

マクロメディア社Web製作ソフトのダウンロード販売開始日本ユニシス情報システム株式会社

IS事業部マーケティング部マネージャ 片岡 陽

IT最前線ネットワーク・ソリューション(6):U-net電子宅配サービス適用事例

本格化するESD(ソフトウェアの電子流通)に照準

魅力的なWebサイト・デザイン構築のニーズに応える

ESD機能を実現したマクロメディア・ショップを開設

ESD機能を搭載したU-net電子宅配サービスの概要

ESD販売の特徴

通信インフラの進展がESD販売を加速

ESD*対応システム:ZipLockの採用�

利用者�物品販売�オフライン配送�

U-net電子宅配�サービス�

金融機関� 製品登録�

UniShop

ZipLock

ソフトウェア・ベンダ�

Vbox Builder�(パッキング、暗号化)

パッキング�されたS/W

販売情報�登録�

S/W�販売会社�

ZipLock GatewayU-net電子宅配サービス�

①�

④⑤�

②�

③⑥⑦�

*ESD:Electronic Software Distribution

ダウンロード、�販売に関する�問い合わせ対応��

マクロメディア(株)

マーケティング�製品サポート�

Macromedia, Inc.

製造�発売元�製品供給�

製品供給�

製品サポート�顧客サポート�既存�

流通�チャネル�

エンドユーザ�

販売支援�商品情報�

キャンペーン�

J-store�MACROMEDIA

U-net電子宅配�サービス(ZipLock)

決済機関�U-netアウトソーシングセンター�

http://www.macromedia.com/jp/

図1 マクロメディア・ショップ・システム概要

佐藤 正氏

図2 U-net電子宅配サービスによるPCソフトウェアのオンライン販売

■Macromedia Inc.http://www.macromedia.com/

◆エンターテイメント、ビジネス、教育の分野において、インターネット上のビジネス・ポテンシャルを掘り下げ、Webプロフェッショナルに必要なツールとソリューションを提供するとともに、マルチメディアと呼ばれる情報デジタル・コンテンツをネット上で汎用的に配信することのできるMacromediaFlash Player, Shockwave Playerを無償提供している。現在2億4,800万人以上のユーザを持つ世界標準化したマーケット・シェアに成長。

◆本社=600 Townsend StreetSan Francisco, CA 94103

◆代表者=Rob Burgess(Chairman and Chief Executive Officer)

◆社員数:1,200人

■マクロメディア株式会社http://www.macromedia.com/jp/

◆日本市場におけるセールス&マーケティングおよび製品サポートを行う。

◆本社=東京都港区赤坂2-17-22◆代表者=手嶋雅夫社長

Page 15: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

15

日本ユニシスは、エンタープライズ・

コンピューティングに最適な「Unisys e-

@ction Enterprise Server ES5000/

ES2000」シリーズに、最新のIntel社

製 Pentium Ⅲ Xeonプ ロセッサ

700MHzを搭載したラックマウント型

サーバ3機種16モデルを追加、販売を

開始した。

今回追加したのは、Pentium Ⅲ

Xeonプロセッサ700MHzを、最大

4CPUまで搭載可能な、高さ4U(7イン

チ:約18cm)サイズの薄型ラックマウ

ント・サーバ「ES5044L」、および

「ES2044L」の2機種12モデルと、最

大8CPUまで搭載可能なラックマウン

ト・サーバ「ES5085R」に、同プロセッ

サを搭載した1機種4モデル。

各機種の概要と特徴は以下のとおり。

◆「Unisys e-@ction Enterprise

Server ES5044L」

最大4CPUまで搭載可能という高ス

ペック・モデルでありながら、わずか4U

という薄型のラックマウントタイプ・

サーバ。限られた設置スペースに高パ

フォーマンス・サーバを高密度に集積するこ

とを求める通信業界、ISP(Internet

Service Provider)/ASP(Application

Service Provider)、 な ら び に

IDC(Internet Data Center)などの

ニーズを満たす。Windows 2000

Advanced Serverプリインストール・

モデル、Windows 2000 Serverプリ

インストール・モデル、Windows NT

Server 4.0プリインストール・モデルを

設定。さらに、システムの可用性を高め

る付加機能「ess」を搭載し、性能管理、

サーバ管理、障害追求をサポートする。

業界最新のServer Works社のチップ

セットを採用し、さらに現在業界最速で

ある毎分1万回転の最新のUltra 160

Wide対応ハードディスクを採用してい

る。サーバの稼働状況を遠隔自動監視し、

異常をシステム管理者へ通知する、

LANDesk Server Manager/

SMC(Server Management Card)を

標準搭載。基幹業務システムに使用され

るWindows2000/NTサーバに対して、

ハードウェアとソフトウェアを統合して

高可用性を支援するサポート・サービス

と組み合わせることにより、サーバの設

置場所に出向くことなく遠隔操作での解

析/復旧作業が可能。

◆「Unisys e-@ction Enterprise

Server ES2044L」

「ES5044L」同様、最大4CPUまで

搭載可能という高スペック・モデルであ

りながら、わずか4Uという薄型のラッ

クマウントタイプ・サーバ。

「ES5044L」から「ess」などの管理系

のツールをカットすることにより販売価

格を抑えた機種として、より柔軟に活用

可能な機種。Windows 2000 Server

プリインストール・モデル、Windows

NT Server 4.0プリインストール・モデ

ルを設定。

◆「Unisys e-@ction Enterprise

Server ES5085R」追加4モデル

「Unisys e-@ction Enterprise

Server ES5000」シリーズ最高峰の最

大8CPUまで搭載可能なラックマウント

タイプの機種に、今回、新たに業界最新

のIntel社製Pentium Ⅲ Xeonプロセッ

サ700MHzを搭載するモデルを追加し

た。Windows 2000 Advanced

Se rve rプリインストール・モデル、

Windows NT Server 4.0 Enterprise

Editionプリインストール・モデルを設

定。

「Unisys e-@ction Enterprise

Server ES5044L」の本体価格は、

268万円から。「同 ES2044L」は、

131万円から。また、「Unisys e-@ction

Enterprise Server ES5085R」の追加4モ

デルの本体価格は、786万円から。

日本ユニシスは、日本ゴルフツアー機

構(東京都港区)のオフィシャル・スポン

サーとなり、ゴルフ・トーナメントのス

コア処理システムである「ジャパンゴル

フツアー・スコアリング・システム(JGT

スコアリングシステム)」のさらなる機能

「Unisys e-@ction Enterprise Server ES5000/ES2000」シリーズに新機種追加

拡張に向け、システム開発をスタートした。

日本ゴルフツアー機構は、日本ユニシ

スからの支援を基に、2000年度は、

1984年から1991年までの8年間361

試合(ツアー・チャレンジ)のスコアデー

タ入力を、2001年度は、興味深いデー

タの提供を目的に各種分析プログラム

の開発を、2002年度には、テレビ放

送素材としてデータ活用できるシステ

ム作りを行い、「データから楽しむこと

のできるトーナメント」をテーマに、

トーナメントの活性化を図る予定。

日本ユニシスは、11月15日(木)から

19日(日)までの5日間、神奈川県 葉山

マリーナをメイン会場に相模湾葉山沖で

開催される、「ピザーラ ニッポンカップ

2000 国際ヨットマッチレース」に協賛

する。

ニッポンカップは、2艇の同型艇によ

り世界の強豪が一対一で腕を競うヨット

レース。葉山マリーナヨットクラブ

ニッポンカップ大会実行委員会が主催、

財団法人日本セーリング連盟が主管する。

今回は、アメリカスカップのニッポン

チャレンジのメンバーでもあるオースト

ラ リ ア の

P e t e r

Gilmour、

イタリア・

チーム プ

ラダチャレンジのFranchesco de

Angelis など、世界のヨットレースで

活躍する名だたるヨットマンが来日、

5日間の熾烈なレースを展開する。日

本ユニシスとしてはスポーツ・イベント

への協賛の一環と位置付けている。

レースの様子は、後日NHKの衛星放

送BS1で放送される予定。

日本ユニシス情報システムは、日本初

の高精度静止画像機能をもった動画情報

提供サービスをはじめ、ライブ情報の配

信など一連のインターネットを介する

「ストリーミング・ビデオ・サービス」を開

始した。

今回開始する「高機能ストリーミング・

ビデオ・サービス」は、米国SeeItFirst.com

社(本社=米国カリフォルニア州フリモ

ント)との提携により、日本で初めて本

格的サービスを提供するもので、従来の

ストリーミング・ビデオ・サービスと比

較し、

①オンライン画像転送中に、一時停止、

コマ戻し、コマ送りといった対話形式

でのコマ操作が可能

②必要なコマを高精度な静止画像として

取り出せ(クリップアウト)、拡大、照

度調整、保存、印書などが可能で、他

アプリケーションへの転用など2次利

用が可能

③動画の授受において回線速度に依存し

ない

などの優れた特徴を持っている。

この「高機能ストリーミング・ビデオ・

サービス」の適用は、インターネットを

介した遠隔教育、広告、営業・販売、顧

客サポート、商品企画開発、市場調査な

ど幅の広い分野での活用が期待される。

一方、今回ビデオカメラからのライブ

画像情報をWebから配信する「インター

ネット・ライブ・ホスティング・サービス」

とビデオ情報をインターネットで配信す

る「ビデオ・オン・デマンド・サービス」も

合わせて提供を開始した。

「インターネット・ライブ・ホスティン

グ・サービス」は、ビデオカメラから画像

情報を入手し、ライブ情報としてWeb

から配信するもの。さらに「ビデオ・オン・

デマンド・サービス」は、マイクロソフト

社のWindows Media Technologiesを使

い、ビデオ情報をサーバに預かり、イン

ターネット経由で配信するストリーミン

グ・ビデオ・サービス。

日本ユニシス情報システムでは、これ

ら一連の「ストリーミング・ビデオ・サー

ビス」開始のため、東京IDC(インター

ネット・データ・センター)内に「動画配信

センター」を開設する。同センターには、

SeeltFirst.com社のビデオ・エンコード

用サーバおよびビデオ・サーバを設置、

従来、米国内で処理していたエンコード

処理およびホスティングを、世界ではじ

めて米国外で処理する体制を確立するな

ど、同マーケットへの積極的な展開を開

始する。

「高機能ストリーミング・ビデオ・サー

ビス」の利用料金は、30秒のストリーミ

ング・ビデオのホスティングを行う場合、

エンコード料金が10万円、ホスティン

グ料金月額4万8千円。

ユニシス・ニュース

2000年11月1日第475号

「ピザーラニッポンカップ2000国際ヨットマッチレース」に協賛

日本ユニシス情報システム日本初の高精度静止画像機能をもった動画情報提供サービス開始

日本ゴルフツアー機構のオフィシャルスポンサーにスコアリング・システムの機能拡張を目指す

 ユニシス・ニュースに関する�ご意見・ご感想をお寄せください。�また、送付先の変更などのご連絡�お問い合わせにもご利用ください。�Eメール [email protected]

Unisys e-@ction Enterprise Server ES5044L

Page 16: 16-01 (Page 1) - Unisys · また、itを活用し たコミュニケーションとコラボレーション(協 働作業)は、営業・生産から人事・組織まで、従 来の仕事のやり方をくつがえし、新しい「マネ

16

企業にとっての優秀な人材確保には、訴求対象に的確な情報を発信し、レスポンスをキャッチし、解析し、効果的な双方向コミュニケーションを図ることがその成否を握るといわれている。しかし、このためには高度なノウハウと膨大なマンパワーが必要であり、システム構築も不可欠となる。こうしたニーズに応えるため、ディスコでは独自のデータベースをもとに、優れた処理能力を持つアウトソーシング・サービスを提供し、採用広報・教育広報にまつわる広範なデータ処理業務を代行している。(1)データ集計・加工サービス同社のアウトソーシング・サービスの核となるのが「DDPS(ディスコ・データプロセッシング・サービス)」である。これは学生から企業に送られた資料請求ハガキのデータを集約し、企業に対して、学校、専攻、地域など希望のパラメータで解析し、結果を提供するとともに、次の情報発信ステップに結びつけていくもので現在のユーザ数は約450社にのぼる。(2)採用情報のWeb対応サービスDDPSやホームページからのデータを同社のサーバ内に置き、企業の採用担当者がインターネットを利用してブラウザ上で採用に関する情報を検索・

閲覧できるシステム「D-Ware」も運用しており、そのユーザ数は約800社に及ぶ。(3)企業セミナー受付・予約サービス企業ごとの就職セミナー(会社説明会)への申し込み受付業務の代行サービスである。これは、電話の自動音声による24時間受付可能な音声応答サービス、およびWebでの受付に対応するサービスで、ユーザ数は約250社に達している。

企業の人材採用活動は、春先の就職セミナーの開催に始まる。セミナーの定員管理の巧拙がその後の選考活動の

適切・迅速な対策を講じることができる。この定員DBシステムは、昨年11月から約250社のユーザを対象に運用を開始した。ピーク時期に同時並行して受け付けた企業数は約130社で、ピーク時1時間で約1万件(電話約5,000件、Web約1,000件、併用約4,000件)、そのための電話回線は200回線を確保している。

日本ユニシスでは、この定員DBシステムの構築、Webサーバとの接続などを担った。システム構築に当たって次のような対応を行っている。*ミッション・クリティカル業務に対応できるよう、クラスタ・サーバ構成の採用によるホットスタンバイ技術を導入。

*アクセスの集中化に対するレスポンスに留意し、ハードウェアのメモリ容量の確保、排他制御の効率化、音声回線の確保(200回線)などに加え、事前テストによる検証を行って対応した。

*ネットワーク監視には、ユニアデックスが提供する運用管理サービス「NetMAN」を活用し、障害の自動検知と通知、障害切り分けなどに対応するリモート監視システムを導入。

情報システム事業部 開発グループマネージャー 谷口 典史氏は、「定員DBシステムの運用によるセミナー受付情報の一元管理ができた点はユーザから好評を得ている。特に電話、Web両方の申し込み状況が自社のPCで正確・迅速に閲覧でき採用活動の次の方策を的確にとれる。また、告知方法や受付媒体の選択など採用戦略に大いに役立っているとの声が多い。今後は、セミナー会場の設営から採用事務局の開設、定員DBを活用した学生とのコミュニケーション強化、さらに昨年開設したコールセンター機能を活かしたセミナー案内から採用試験の合否通知、各種問い合わせまで、ITを活用した企業の採用戦略のさらなる支援強化に取り組みたい」と語っている。

発行日本ユニシス株式会社広報部広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人山下宗久 編集人武井 浩 制作ピー・アールセブン 発行日 2000年11月1日 ISSN 0915-051X

2000年11月1日 第475号*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各社の登録商標または商標です。*掲載記事の無断転載を禁じます。

ディスコ企業の各種採用業務を支援するディスコでは、学生からの就職セミナー参

加受付を電話とWeb両方で同時に対応する「定員DBシステム」を構築、昨年

11月より運用を開始した。

このシステムにより、定員管理が効率的に行え、また委託企業は自社のパ

ソコンで申し込み状況がリアルタイムに把握でき、適切なセミナー開催計画

に反映できると好評を博している。

◆「日経就職ガイド」、「日経進学ガイド」シリーズの企画・プロモーション、人材採用のための入社案内、ダイレクトメール、企業ホームページなどの企画編集、人材広告の取り扱い、国内・海外での合同企業説明会の開催、適性テ

■株式会社ディスコ http://web.disc.co.jp/スト、人材採用に関わるアウトソーシング業務を展開している。

◆所在地=東京都新宿区下宮比町2-12◆代表者=加藤 宏社長◆売上高=137億526万円(99年9月期)◆従業員数=287人(2000年2月現在)

就職セミナー受付状況を電話/Web同時に管理する「定員DBシステム」を運用企業の採用業務を強力に支援

Webソリューション

UN

成否を握るともいわれる。同社では、企業ごとの就職セミナー受付業務も一手に引き受けている。企業セミナーの案内は、新聞雑誌

(日本経済新聞、日経就職ガイド、その他各種媒体)、Web版の日経就職ナビ、学生への電子メール配信、ダイレクトメール発送などによって行われる。ディスコでは、学生から各企業へのセミナー予約・受付業務を代行する、企業セミナー受付・予約サービスを提供している。このサービスは、電話、あるいは

Webで予約を受け付け、随時定員管理を行い、その結果を企業に報告するもので、これまでは別々のシステムで対応してきた。このため、定員管理を電話とWebそれぞれからの申し込み数を予測しながら行うなど的確な管理がしにくい状況であった。特に人気の高い企業の説明会には受付開始日と同時に応募が集中するため、定員の管理には多くの労力も必要とされていた。そこで、同社では電話、Web両方からの申し込みを1つのシステムに統合する「定員DBシステム」を構築、昨年11月からの新年度採用活動開始時期に合わせて運用を開始した。

定員DBシステムは、各企業のセミナー開催時期、定員、会場などをデータベースに設定し、電話およびWebからの同一セミナー申し込み受付を可能にしたシステムである。電話とWebからの申し込みを同一

データベース内でリアルタイムに更新するため、定員オーバーの有無が即時に判断できる。定員オーバーの場合は、締め切ってお断りの回答や、次のセミナー開催案内などを発信する。企業は受付状況を、電話、Webの種類別に、集計情報はリアルタイムに、明細情報は受付翌日、Webによる情報

管理システム「D-Wareシステム」で確認できる仕組みである。これによって、受付を一元管理でき、各企業の採用担当者は、自社のセミナーへの申し込み状況をWebで検索・閲覧したり、自社のPCにダウンロードし、申し込み状況を見ながら、セミナー会場の増減の手配や定員設定、次回のセミナー開催計画など

ITを活用し企業の採用業務を支援

「定員DBシステム」で的確な定員管理を実現

日本ユニシスが全面的に構築支援

申し込み状況をリアルタイムに把握

採用戦略の支援強化を目指す

ユニアデックス�

INS 監視�

NetMAN

公衆�

音声サーバ�

新S/W HUB

セミナーDBサーバ�AQUANTA ES5045R

セミナーWebサーバ�HP LC3

インターネット�AT&T

3.0M

Cisco2501

DMZ

100M ファイアウォール�USモデル�U220×2

100M

既設S/W HUB

RX7000 ×4・日経NAVIデータ処理� 適性、人事、給与、経理�・DDPS�・販売管理�

「定員DBシステム」全体構成図

谷口典史氏

セミナーDBサーバ�

セミナーWebサーバ�

ファイアウォール・サーバ�

データ処理サーバ�

AQUANTA ES5045R�

HP LC3×4�

USモデル220×2�

RX7000×4

ハードウェア構成表