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for Bangladesh カマによる刈り取り作業を“手押し稲刈り機”により効率化 01 バングラデシュの稲作 02 手押し稲刈り機の開発 現地パートナーと協働 Bangladesh Rice Research Institute(国立稲研究所、 以下BRRI)との協力体制を 構築した。BRRIは、コメの生 産技術を研究する機関で、 現地での製作にも協力して いただいた。 既存製品を応用 既存製品「かりとりくん」を参 考に、製品開発を行った。 かりとりくんをもとに、現地の 材料・技術で製作し、さらに 改良を加えて完成を目指 す。 「稲刈り」の選択 刈り取り作業は、カマを用 いた手作業のため、長時 間腰を屈めて行われ、時 間的・肉体的負担が大き い。そこで、作業を効率化 する製品の開発によって 問題改善を図る。 03 カマとの速度比較実験 方法 カマ・かりとりくん・BRRI-OU Harvesterの性能比較実 験を行った。二人組でそ れぞれ同じ面積を刈り取り、 単位面積当たりの刈り取り 時間を計測した。 刃詰まり 結束作業ロス 考察 1. 切断力が弱いため、 刈った稲が刃の間に詰 まり、連続して刈れない 2. 刃詰まりを除去する際 にロスが発生 3. 結束作業のロスにより 効率が低下 活動理念 開発途上国の人々が自らの潜在能力をいかんなく発揮し、 活躍できる社会を創造する。 生田圭佑 小林篤功 釣本聖太 中井諒 脇田城次 川井淳史 小峯茂嗣 大村悦二 メンバー 指導教員 04 今後の課題 製品改良 切断力向上のため、刃の 取り付け方を工夫し、刃詰 りしづらい機構を考える。 片方の壁を取り外し、刈っ た稲が自動的に片方に倒 れていくようにすることで、 結束作業ロスを削減する。 商業化 製品の図面を、製造会社 に渡し、生産を委託する。 製造会社が製造した部材 を各村の職人に提供、村 の職人が組み立て、農家 に販売・メンテナンスするビ ジネスモデルを構築する。 協力体制の強化 改良・実験・普及のために、 パートナーとの協力体制を 強化していく。改良に関して は、かりとりくん製作者との 連携を図り、実験・普及に 関しては現地パートナーで あるBRRIの協力を仰ぐ。 寸法 W 235×D 1363×H 611 mm 重量 2.30 kg 費用 5,000 円(人件費、材料費等) 材料 亜鉛メッキ鋼・高速度鋼 コンセプト 仕様 非動力のためコン バインより安価に 入手できる。 数株を一気に刈り 取ることで労働時 間を短縮できる。 腰をかがめることが ないので肉体的負 担を軽減できる。 安い 速い ラク 効果 作業を効率化し 余剰時間を創出 副業・余暇の時間が 生まれ、生活環境 改善や貧困削減に つながる。 刈り取り口を稲の根元に定める 低収入に苦しむ農家 バングラデシュは、「アジア 最貧国」といわれる後発開 発途上国である。約1.5億 人の人口のうち、半数以 上の世帯が農業(主に稲 作)に従事している。 進まない機械化 貧困やインフラ未整備に よって、大型機械はほとん ど普及していない。そのため 多くの稲作作業が人力で行 われており、繁忙期には労 働力不足に陥っている。 そのほとんどが零細・小規 模農家である。彼らの多くは、 年間3,000ドル以下の収入 で暮らしており、貯蓄のない その日暮らしの生活を送っ ている。 結果 BRRI-OUでの刈り取りは、 カマよりも約4倍の時間が かかる。 作業量 農家の状況 Bangladesh Japan 全世帯 当たり 農業機械の普及率 勢いをつけて前方に強く押し出す 柄を掴んで稲を持ち上げる あぜまで稲を持ち運ぶ BEBA 開発 製造会社 生産 村の職人 販売 農家 消費 26.0 sec/m 2 カマ 47.6 sec/m 2 かりとりくん BRRI-OU 103.5 sec/m 2 図面 部材 製品 お金 お金 お金

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Page 1: for Bangladesh - Osaka Universityfor Bangladesh カマによる刈り取り作業を“手押し稲刈り機”により効率化 01 バングラデシュの稲作 02 手押し稲刈り機の開発

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カマによる刈り取り作業を“手押し稲刈り機”により効率化 01 バングラデシュの稲作 02 手押し稲刈り機の開発

現地パートナーと協働 Bangladesh Rice Research Institute(国立稲研究所、以下BRRI)との協力体制を構築した。BRRIは、コメの生産技術を研究する機関で、現地での製作にも協力していただいた。

既存製品を応用 既存製品「かりとりくん」を参考に、製品開発を行った。かりとりくんをもとに、現地の材料・技術で製作し、さらに改良を加えて完成を目指す。

「稲刈り」の選択 刈り取り作業は、カマを用いた手作業のため、長時間腰を屈めて行われ、時間的・肉体的負担が大きい。そこで、作業を効率化する製品の開発によって問題改善を図る。

03 カマとの速度比較実験 方法 カマ・かりとりくん・BRRI-OU Harvesterの性能比較実験を行った。二人組でそれぞれ同じ面積を刈り取り、単位面積当たりの刈り取り時間を計測した。

刃詰まり 結束作業ロス

考察 1. 切断力が弱いため、刈った稲が刃の間に詰まり、連続して刈れない

2. 刃詰まりを除去する際にロスが発生

3. 結束作業のロスにより効率が低下

活動理念 開発途上国の人々が自らの潜在能力をいかんなく発揮し、

活躍できる社会を創造する。

生田圭佑 小林篤功 釣本聖太 中井諒 脇田城次 川井淳史 小峯茂嗣 大村悦二 メンバー 指導教員

04 今後の課題 製品改良 切断力向上のため、刃の取り付け方を工夫し、刃詰りしづらい機構を考える。片方の壁を取り外し、刈った稲が自動的に片方に倒れていくようにすることで、結束作業ロスを削減する。

商業化 製品の図面を、製造会社に渡し、生産を委託する。製造会社が製造した部材を各村の職人に提供、村の職人が組み立て、農家に販売・メンテナンスするビジネスモデルを構築する。

協力体制の強化 改良・実験・普及のために、パートナーとの協力体制を強化していく。改良に関しては、かりとりくん製作者との連携を図り、実験・普及に関しては現地パートナーであるBRRIの協力を仰ぐ。

寸法 W 235×D 1363×H 611 mm 重量 2.30 kg 費用 5,000 円(人件費、材料費等) 材料 亜鉛メッキ鋼・高速度鋼

コンセプト

仕様

非動力のためコンバインより安価に入手できる。

数株を一気に刈り取ることで労働時間を短縮できる。

腰をかがめることがないので肉体的負担を軽減できる。

安い 速い ラク

効果

作業を効率化し 余剰時間を創出

副業・余暇の時間が生まれ、生活環境改善や貧困削減につながる。

刈り取り口を稲の根元に定める

低収入に苦しむ農家 バングラデシュは、「アジア最貧国」といわれる後発開発途上国である。約1.5億人の人口のうち、半数以上の世帯が農業(主に稲作)に従事している。

進まない機械化 貧困やインフラ未整備によって、大型機械はほとんど普及していない。そのため多くの稲作作業が人力で行われており、繁忙期には労働力不足に陥っている。

そのほとんどが零細・小規模農家である。彼らの多くは、年間3,000ドル以下の収入で暮らしており、貯蓄のないその日暮らしの生活を送っている。

結果 BRRI-OUでの刈り取りは、カマよりも約4倍の時間がかかる。

耕うん 田植え 除草 刈り取り 脱穀

20%

0%

30%

0%0%

作業量

農家の状況

Bangladesh

Japan

全世帯 当たり

農業機械の普及率

勢いをつけて前方に強く押し出す 柄を掴んで稲を持ち上げる あぜまで稲を持ち運ぶ

BEBA

開発

製造会社

生産

村の職人

販売

農家

消費

26.0 sec/m2

カマ

47.6 sec/m2

かりとりくん BRRI-OU

103.5 sec/m2

図面 部材 製品

お金 お金 お金