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花 と おじさん - Yuki & Sho - 第9回 『固有値解析と応答解析(その2)』 © 2014 Technostar Co., Ltd. 1

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花 と おじさん- Yuki & Sho -

第9回

『固有値解析と応答解析(その2)』

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Yuki Sho所属:株式会社テクノスター

入社5年目.

何の因果かCAE業界に入ってきた理系女.

主な仕事は,仕様書の作成、ソフトウェアのテストに受託業務も!

専門用語や業界用語にまだまだ四苦八苦している.

固有値解析が人間の性格判断とどう結びつくのか,ちょっと怪しい感じがしてならない.今度,応答解析の話を聞いてみようと思っている.

所属:株式会社テクノスター

以前は,二輪メーカのY社でエンジン設計やCAEを担当したこの道ウン十年のベテラン.

今は技術顧問としてYukiと同じ職場に!

Yukiにとっては何でも相談できる,父親みたいな存在である.

早速,応答解析の予習をしたSho.Yukiからの質問を密かに待っている今日この頃である(例え話の準備もバッチリ).

登場人物

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Yukiは前回のShoの説明で固有値解析については説明を受けたが応答解析についてはまだ話を聞いていない。早速Shoに続きを聞いてみよう。

違いますよー。

固有値解析については説明してもらったのである程度理解できたのですが、

応答解析についてはまた今度ということになったんじゃないですか!

Shoさん、この間の続きのこと覚えていますか?

覚えていますよ。性格分析の話でしょう?

そうでした、そうでした。では、今日は応答解析についてお話ししましょう。

予習ばっちり余裕の笑み

よろしくお願いします。

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まず応答解析と一口にいっても、周波数応答解析と過渡応答解析の2種類があります。

どう違うのですか?

簡単に言うと周波数応答解析は一定の正弦波入力で定常加振するという条件で解析しますが、過渡応答解析は加振力が時間により変化します。

んーっ、良く分かりません。

例えばエンジンがある回転数で回っている時の各部の振動の大きさを求める場合は周波数応答解析を行います。

また、地震の時の建物の揺れを解析するような場合は過渡応答解析を行います。

前回のヨーヨーの加振のような事例では周波数応答解析を行うことになります。

ではどのように解析すれば良いのでしょうか?

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そうですね。

加振力を変えたり、応答点や種類を変えたりなど色々な検討が短時間で可能ですからね。

じゃ早速この間のヨーヨーを使って解析してみましょうよ。

Yukiさんのいうヨーヨーです

解析の手法には直接法とモード法の2種がありますが、周波数応答解析の場合、モード法を使うと楽に解析できるので良く使われます。

それで、今回はモード法について説明する事にしましょう。モード法で解析するにはまず固有値解析を実行します。そして、その結果を使ってTSVのPostで周波数応答解析を実行します。

Postで応答解析ができるなんてとても便利ですね。

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では操作はYukiさんがやってみて下さい。まず、この間実行した固有値解析結果をPostに読み込みましょう。

モードNo. 固有振動数(Hz) 振動モード

1 1.83 1次曲げ

2 1.83 1次曲げNo.1と直角方向

3 9.53 ねじり

4 29.6 2次曲げ

5 29.6 2次曲げNo.4と直角方向

6 42.5 軸方向伸縮モード

モードNo.1 モードNo.3 モードNo.6

Yukiが読み込んだ固有値解析結果

はい。Bar

Weight

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減衰って何ですか?

解析では減衰率の値を入力しますが減衰率が大きいとピークの値は小さくなり、減衰率が小さいとピークの値は大きくなります。

どの程度の減衰率を定義すれば良いかは多くの実験結果と比較して決める事が必要です。

減衰がゼロだと加振力の周波数が固有値と一致したときに応答量が無限大になってしまいます。しかし、実際の物には減衰があるのである程度以上の大きさにはなりません。

固有値解析結果を読み込みましたよ。次に何をすれば良いですか?

その前に少し説明しましょう。周波数応答解析を行うには次の解析条件を入力する必要があります。1.加振力の方向、大きさと加振点の定義2.応答点の選択と応答種類の設定。応答種類には変位、速度、加速度、応力などがあります。

3.減衰の定義の三つです。

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じゃぁ正確な計算には正確な荷重条件定義と同時に正確な減衰率の定義が不可欠なんですね。 その通りです。

ですから、共振してもピークが規定値以下になるように設計するということは簡単ではありません。できれば共振を避けることが大切です。

しかし、エンジンのように加振周波数の範囲が広く、また加振力がエンジン回転数、つまり周波数により異なるようなときにはちゃんとした周波数応答解析を行う必要がでてきます。・・・言うのは簡単、実行は難しい・・・ ですが。

では実際に周波数応答計算をしてみましょうよ。

そうですね、まず加振力を定義しましょうか.今回は各周波数で加振力が10N一定という条件で、Weight下面中央の点を上下方向加振してみましょう。

周波数(Hz)

力(N)

10

加振力

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えーとっ、マニュアル通りに設定すると。「Tool」から「Frequency Analysis RLOAD2」のダイアログをだして、まず、加振入力点をWeight下面中央の点で選択し①、加振方向をYのみにチェックね②。それからAmplitudeのところに、加振力10Nを設定③して「Done」ボタンをクリックと。

①②

加振入力点を選択

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設定しましたよ。

それでは次に応答点の選択と応答の種類を入力しましょう。

今回は加振点と同じ点の上下方向、つまりY方向の変位を出力してみましょう。それから同じパネルで減衰率も入力出来ますから0.01を入力して下さい。最後に計算する周波数範囲を指定しますが、今回は0~100Hzにしましょう。

はい。

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そうすると、今度は「Tool」から「Frequency Displacement Analysis」のダイアログをだして、減衰率(Damping Factor)を0.01に設定①。計算する周波数範囲の最後の値(Analysis End)に100Hzを入力ね②。次に、さっきと同じ加振入力点(Weight下面中央の点)を選択して③、Direction SelectをY方向にチェック④したらOKと。

③④

同じ加振入力点を選択

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Shoさん、入力しました。

では、計算しますよ。はい。それじゃ「OK」ボタンをクリックしてください。

応答出力のグラフが出ますよ。

やったー!グラフが出ましたよ。

おおーっ!

一応共振点でグラフはピークになっているのに。

あれ―っ!グラフの線にギザギザがー。。。

今回設定した加振点がWeightのちょうど真ん中でなかったため、曲げの力が若干働きその応答も計算されたということです。

間違いじゃないですよ。

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へーっ!

振動の解析では色々考慮することが多くて評価も大変ですね。

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そうですね。奥が深い分やりがいもあるということでしょうかね?

ですから振動の分野には専門、専任の方が多く活躍されていますよ。

その方たちをサポートする解析システムも大切ということですね。私ももっと頑張らなくっちゃ!

でも、それだけじゃ楽しくないですから、やっぱり一緒に楽しく飲みたいですよねぇ。それには周りも協力して、限度以上にお酒を飲ませないようにする。つまり加振力を限度以上にしない。とか、うまく話を聞いてあげて怒りがおさまる様な話が出来る人を隣に置く。つまり減衰を大きくする。皆で楽しく飲むには、このような工夫が必要ですね。

これでYukiさんも大分理解が深まりましたねぇ。 お酒を飲んだら怒る人や乱暴になる人はお酒を飲まないのが一番。

つまり共振を避けるのが一番。

うーん。勉強になるなぁ。

お酒

+ =

Shoさん 共振

お酒の量で “ぐだぐだモード” が変わっていく

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Yukiさん。そろそろお腹が空いて来ましたからランチに行きましょうか。

そうですね。今日はどこに行きましょうか?

海老と豆腐の煮込み坦々麺定食

To be continued

と言うわけで二人は会社近くの赤坂4丁目にある上海家庭料理 『食楽』に行って中華ランチを食べた。食楽は自宅の食堂を改造したようなとても家庭的な雰囲気のお店です。

坦々麺と共振したみたいですね。Shoさん!

ふーっ、ふーっ

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次回も、お楽しみに!

次回のテーマは「静定と不静定」です。