生徒指導 役割連携 - NIER...21 「 生徒の自己評価から再確認」 42...
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生徒指導の役割連携の推進に向けて
生徒指導主事に求められる具体的な行動中学校編
平成22年3月国立教育政策研究所 生徒指導研究センター
生徒指導の役割連携の推進に向けて 生徒指導主事に求められる具体的な行動中学校編
国立教育政策研究所 生徒指導研究センター
は じ め に
中学校の生徒指導主事は、昭和50年の主任の制度化に伴い、他の主任とともに法令
(学校教育法施行規則 )によって位置付けられています。そして、生徒指導主事の役割に
ついて、「校長の監督を受け、生徒指導に関する事項をつかさどり、当該事項について連
絡調整及び指導、助言に当たる。」ということが、同規則に示されています。
本冊子では、生徒指導主事を中心とした生徒指導の実践サイクルを概念図で示しまし
た。
その特徴は、生徒指導主事が「連絡調整」を行う際に求められる具体的な行動に焦点
を当てて整理した点にあります。
また、「情報」をキーワードにして、「合意形成」を軸とした生徒指導主事の役割につ
いて示しています。
生徒指導はすべての生徒を対象とし、学校生活の全般にわたって行うものであり、偶
発的、無組織的な在り方では、効果を上げることはできません。そのため、すべての教
職員が協力して、生徒指導に当たる必要があります。
こうした考え方をわかりやすく示したものが、この概念図です。
なお、この概念図は健全育成や未然防止の観点を重視して作成したものです。
各学校において、本冊子を生徒指導主事を中心とした生徒指導体制づくりの一助とし
て、活用していただければ幸いです。
最後に、ヒアリング、モニター調査等の御協力及び実践事例の御提供をいただきまし
た学校や教育委員会の関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。
平成22年3月
国立教育政策研究所生徒指導研究センター
目 次
1 生徒指導の実践・評価サイクル ..............................1
・概念図 .......................................................1
・解 説 .......................................................2
2 生徒指導主事の基本的な行動例 ..............................5
掲載内容一覧表 ...............................................5
Ⅰ 実態把握 ..................................................8
A 情報収集 .............................................9
B 情報集約 ............................................15
Ⅱ 方針の明確化 ............................................20
C 校長・教頭への報告 ................................21
D 取組計画の策定 .....................................25
Ⅲ 取 組 ...................................................30
E 周知徹底 ............................................31
F 役割連携 ............................................37
G 点検・検証 ..........................................43
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
□ 合意形成 ...................................................47
構 成分類 基本的な行動例 ヒ ン ト 頁
Ⅰ
実
態
把
握
A 情報収集
【行動 1】生徒の状況を把握する 1 「生徒の小さな変化を見逃さない」 10
2 「きらめきカード」 10
【行動 2】情報交換のシステムをつくる 3 「情報が集まるシステムづくり」 12
【行動 3】学校外からも情報を集める
4 「保護者や地域の方々との
校区内巡回」14
5 「小学校との情報交換」 14
B 情報集約
【行動 4】情報を集約し、分析する 6 「出欠席状況の集約・分析①
-追加情報の収集 -」16
【行動 5】信頼性を確認する
【行動 6】指導の根拠となる資料を作成する 7 「出欠席状況の集約・分析②
-色別分類シートの作成 -」17
Ⅱ
方
針
の
明
確
化
C 校長・教頭への報告
【行動 7】報告・連絡・相談に努める 8 「朝ミーティングへの同席」 22
【行動 8】事実を客観的に伝える 9 「報・連・相シートによる
30秒間説明」23
【行動 9】 実態と重点事項とのずれを示して課題を明確
にする10 「生徒指導チェックリスト」 24
D 取組計画の策定
【行動 10】重点事項の具現化に向けた取組を明確にする 11 「見える行動」 26
【行動 11】指導・対応方針に基づき、具体的な取組計画
を策定する
12 「PDCAサイクルで
学習規律に取り組む」28
【行動 12】取組計画の周知方法を検討する 13 「客観的なデータ提示」 29
Ⅲ
取
組
E 周知徹底
【行動 13】取組の全体像を示し、方針を説明する 14 「10の取組」 32
【行動 14】具体的な指導基準を示す15 「指導基準の模索」 34
16 「取組についての合意形成」 34
【行動 15】周知徹底の工夫をする 17 「無言清掃」 36
F 役割連携
【行動 16】役割連携でチーム力を高める 18 「全教職員が生徒指導部員」 38
【行動 17】関係機関等との連携の必要性を説明する 19 「関係機関マップの作成」 40
【行動 18】対応後の情報収集と集約を行う20 「アンケートの実施」 41
21 「生徒の自己評価から再確認」 42
G 点検・検証
【行動 19】随時、取組を見直す 22 「小グループによる話し合い」 44
【行動 20】取組の効果を検証し、課題を明確にする 23 「朝読書① -登校時刻調査 -」 45
【行動 21】改善策を検討し、指導・対応方法を修正する 24 「朝読書② -環境の充実 -」 46
合 意 形 成 25 「気軽に情報交流できる
雰囲気づくり」48
1
*黒字は生徒指導主事の行動
*このサイクルの概念図は組織的に生徒指導が行われている場合のモデル図である。
* サイクルの速度は決して一定ではなく、案件の軽重等によっても異なるものであり、場合によっては、同時並行や
逆方向に進行し、再度の取組を要することもあり得る。
* 概念図は年間を通した長期的なサイクルとともに、年度途中での短期的なサイクルの両方を視野に入れている。
1 生徒指導の実践・評価サイクル
概念図
地 域保護者 関係機関
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
2
Ⅰ (生徒指導主事を中心とした)実態把握
生徒指導は、学校の教育目標を達成するために重要な機能の一つである (『中学校学習指導
要領解説 総則編』)。このことから、学校では年度当初の教育目標を踏まえて、生徒指導の重
点事項を明確にするとともに、その共通理解を図る必要がある。
また、重点事項に即して一年間の指導を組織的に行うにあたっては、常に生徒の実態を把握
する必要がある。その際、生徒指導主事を中心としつつ、全教職員で家庭や地域など、多方面
から「A 情報収集」し、適切に「B 情報集約」することで実態を把握することが大切である。
適切な実態把握が課題を明確にし、Ⅱの(校長を中心とした )方針の明確化へとつながる。
生徒指導主事は生徒指導を組織的に行う上で、情報 (収集・集約、整理、発信 )のキーパー
ソンであることを自覚し、校長・教頭及び教職員全員と連携して、実態把握を行うことが大切
である。
Ⅱ (校長を中心とした)方針の明確化
組織の長である校長には、状況を正確に把握し、適切な判断によって方針を明確にすること
が求められている。
そこで、生徒指導主事は、Ⅰの (生徒指導主事を中心とした )実態把握の過程で行った
「A 情報収集」と「B 情報集約」で把握した状況とそれに基づいて明確にした課題をできる
限り正確に校長・教頭へ提供する必要がある。
このことから、生徒指導主事は、「C 校長・教頭への報告」に努めなければならない。
概念図では、「C 校長・教頭への報告」が3つの円に重なっているが、生徒指導主事は、あ
らゆる機会をとらえて、定期的に校長・教頭へ報告・連絡・相談することが大切である。
生徒指導主事は、校長が決定した指導・対応方針を、Ⅲの(教職員全員での )取組のなかで、
実効性のあるものにするため、事前に具体的な「D 取組計画の策定」を行う必要がある。
解 説
左ページの概念図(「生徒指導の実践・評価サイクル」)は、中学校での生徒指導が組織的に行
われるためのサイクルと、その際、求められる生徒指導主事の具体的な行動を表したものである。
概念図の意図は、以下のとおりである。
3
なお、概念図では、「E 周知徹底」が2つの円に重なっているが、生徒指導主事は、
「D 取組計画の策定」を進めつつ、できる限り早い段階から「E 周知徹底」のための検討も
併せて行う必要があることを示している。
Ⅲ (教職員全員での)取組
教職員間で合意形成を図って取り組むには、生徒指導主事は、Ⅱの (校長を中心とした )方
針の明確化において、校長が決定した指導・対応方針の「E 周知徹底」を図ることが重要で
ある。
このことは、生徒指導を進めるにあたっての協力体制の確立と、教職員間の指導の「ぶれ」
の回避につながる。
「E 周知徹底」を図った後は、教職員全員で取組を始める。
生徒指導主事や一部の教職員のみで対応することなく、全教職員で取り組むには役割の分担
が必要である。
この分担された役割が有効に作用するように「F 役割連携」*の意識を醸成することが大切
である。このことは、組織を活性化する上で重要なことである。
より効果的な指導を行うためには、取組を定期的に「G 点検・検証」するなかで、指導の
改善を図ることも組織が活性化するためのポイントである。
また指導の効果を検証することは、より実効性のある指導・対応方法の修正にもつながる。
*役割連携とは、分担された役割を明確にした上で、互いの役割を意識して相互補完的に協力をすることである。
4
合意形成
3つの円の重なりに「合意形成」がある。教職員が互いに協力し補完し合うために最も必要
なことが「合意」であり、「A 情報収集」から「G 点検・検証」までの行動分類を一つずつ
たどっていくことで合意形成が図られる。
合意形成を図るために、生徒指導主事に欠かせないのが「調整力」である。
この「調整力」は、校長・教頭への報告・連絡・相談とともに、関係教職員との日々のコミ
ュニケーションを大切にして、誠実にその役割を果たすことで身に付く「力」である。
さらに、生徒指導を推進するうえで教職員間の指導に「ぶれ」がある場合に、著しい後退を
招くことも明らかになっている。合意形成はこの「ぶれ」を防ぐ働きをしているものでもある。
●保護者・地域・関係機関との連携・協力 3つの円の外側に「保護者」、「地域」、「関係機関」がある。連携・協力をかけ声だけで終わ
らせないためにも、情報の共有が必要である。そのためには、学校は「保護者」、「地域」、「関
係機関」から情報を収集するとともに、積極的に情報を提供することが大切である。
●実践と評価 以上に述べてきたサイクルは、実践を実践のみで終わらせることなく、それぞれの実践を評
価することで、取組を見直すことの必要性を示している。
つまり、評価の視点を持つことは、目標達成への進捗状況について、そのつど分析し評価す
ることが成果と課題を明確にし、その後の効果的な実践を生み出すことにつながる。
このように、実践と評価は常に一体となって繰り返される必要がある。したがって本冊子の
概念図(P1)を「生徒指導の実践・評価サイクル」と表記した。
●その他 概念図の中の黒字(生徒指導主事の行動 )の位置やどの部分に比重を置くべきかについては、
各学校の実情に応じて、臨機応変に変えたり、決定すべきことであるが、生徒指導における役
割連携の推進には、基本的なとらえ方として、概念図に沿った取組を意識的に行うことが必要
である。
*文中の下線部分は、生徒指導主事の行動。
分
類
行動のポイント
基
本
的
な
行
動
例
5
2 生徒指導主事の基本的な行動例
* ここに記載されていることは基本的な行動例の一つである。
* それぞれの項目で記述されている、連携する相手を「自校では、まず誰と連携しているか」を確認し、その都度読み替えて
いただきたい。
* 記載されている役職や名称等が各地域や学校によって異なる場合は、該当する役職等に読み替えていただきたい。
掲載内容一覧表
分
類
行動のポイント
基
本
的
な
行
動
例
6
7
8
*黒字は生徒指導主事の行動
Ⅰ 実態把握
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
地 域保護者 関係機関
9
生徒指導主事の具体的な行動
【行動1】 生徒の状況を把握する
日常的に教職員と積極的にコミュニケーションを取り、また、適宜校内を巡回するなど、自
らの目で生徒の様子を把握することは、生徒指導を実践するうえで重要である。
このような行動は、生徒指導主事一人では、時間と場所に限りがあるため、全教職員で実践
を行うことが望まれる。
(1)生徒同士の行動の様子や会話を注意して見聞きする。
(2)生徒に積極的に声かけをして、寄り添う姿勢を示す。
(3)教職員に積極的に情報提供する。
A 情報収集
留意点
Ⅰ- 実態把握 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
多方面からの情報収集 多方面から情報を収集することは、それだけ正確な実態を把握することになり、
校長の適切な判断につながる。
そのために、生徒指導主事は定例会議や打ち合わせ等以外にも、普段から、誰と
でも積極的にコミュニケーションを取り、情報交換ができる雰囲気をつくることが
大切である。
行動のポイント
10
「生徒の小さな変化を見逃さない」
「きらめきカード」
1 取 組(1)生徒指導主事は、職員会議で次の3点を全教職員に提案した。
①親 近 感 授業終了後、次時が空き時間の場合、教室に残り、生徒とかかわりをもつ。
②会 話 昼休みにはできる限り生徒の近くにいて会話をする。
③声 か け 廊下等でも、生徒への声かけを積極的に行う。
(2)例え生徒の小さな変化でも、担任、各学年の生徒指導係、学年主任等に報告するこ
とにしている。
この取組により得た情報を「生徒指導だより」で全教職員に提供し、情報の共有
化を図った。
2 効 果(1)教職員同士の生徒に関する対話が増加した。
(2)生徒からの相談や授業中の発言が増加した。
(3)いじめや不登校等の対応に役立っている。
1 取 組 生徒指導主事は、生徒のきらっと光る部分を見つける教職員の意識・観察力・記録の
大切さを重視し、生徒のきらめきを記録に残す取組を職員会議で提案した。
具体的な取組は次のとおりである。
(1)各生徒の名前が記されたA4罫紙を台紙(カード )とし、所定の位置に置く。
(2)教職員は常に付箋を携帯し、生徒のきらめきをメモする。
(3)付箋がたまれば各教職員でカードに貼り、適宜台紙を追加する。
(4)カードは学級担任が定期的に点検。懇談や通知表の記入にも活用する。
(5)気になる内容や付箋が少ない生徒については、学年会議等で共有し、次の1週間、
特に注意する。
2 効 果 生徒を見る観点が広がり理解が深まるとともに、カード記入が少ない生徒への丁寧な
対応を心がける等、教職員の意識も変わった。また、学年を超えて、生徒についての情
報交換が活発になり、全教職員で全生徒を見守る体制になった。
Ⅰ - 実態把握 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
ヒント1
ヒント2
11
【行動 2】 情報交換のシステムをつくる
教職員間での情報交換は、それぞれの行動の質を高め、広がりをもたらすことになる。また、
個々の生徒についての情報を収集することは、生徒理解の推進につながる。
情報収集の基盤をつくるには、教頭、教務・学年主任等と連携し、すべての学年から定期的
に生徒の情報が最終的に生徒指導主事に集まるシステムをつくる必要がある。
(1)定期的に情報交換する機会をつくる。
・生徒指導部会等を定期的に開催する。又は既設の会議内に情報交換ができる
時間を組み入れてもらう
(2)収集すべき情報の規準や内容を明確にする。
・「様子や言動」、「友人関係」、「出欠席状況」、「家庭状況」等、ポイントを絞る
(3)教職員にも生徒の日常の状況を多面的・定期的に集める意識を求める。
・「報告メモ用紙」、「連携ノート」などを活用して、効果をあげているケースもある
(4)収集した記録の扱いに配慮する。
・記録には慎重な扱いが求められるが、工夫して効果をあげているケースは多い
留意点
Ⅰ- 実態把握 / A 情報収集 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
12
「情報が集まるシステムづくり」
1 取 組 生徒指導主事は校長・教頭に既存の会議等の中で、生徒に関する情報が交換できる時
間設定の必要性を進言し、職員会議で確認した。
具体的な取組は次のとおりである。
(1)学年職員朝会 (火・金 )において、各学年の生徒指導係が情報を収集、集約する。
(2)生徒指導部会 (水 )において、各学年の生徒指導係が状況と具体策を報告し、生徒指
導主事を中心に検討する。
(3)生徒指導主事は職員朝会 (木 )において、部会の内容について、生徒指導だより等
により、全教職員に周知するとともに、毎週の重点指導事項等について共通実践を
お願いする。
2 効 果 情報の共有化が図られ、全教職員が当事者意識を持つことができた。そのため、学校
全体で共通実践ができつつある。
Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
ヒント3
13
【行動 3】 学校外からも情報を集める
生徒理解をより深めるために、学校外での生徒の様子を教頭や関係分掌と連携して、保護者、
地域、関係諸機関から集めることが必要である。
なお、個人情報の扱いには十分に配慮する必要がある。
(1)担任や部活動顧問が保護者等から得た生の声を収集する。
・情報収集シート等を活用し効果を上げているケースもある
(2)保護者会や地域の定例会等に積極的に参加する。
・学校評議員、町内会役員、保護司、民生委員・児童委員、警察署(生活安全課、
補導委員 )、児童相談所、及び保護者と信頼関係を築く (参考:【行動17】)
(3)校区内巡回等において、地域の方々とできるだけ接触をする。
・地域の商店(コンビニエンスストア)、交番等にも顔を出して情報を得る
(4)校区内の小学校や他の中学校及び近隣の高等学校とも定期的に情報交換をする。
留意点
Ⅰ- 実態把握 / A 情報収集 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
民生委員・児童委員との懇談会
14
「保護者や地域の方々との校区内巡回」
1 取 組(1)生徒指導主事は通知文や回覧板等で保護者や地域の方々にお願いをして、教職員と
一緒に定期的(月1回 )に校区内巡回を行うようになった。
(2)活動後に意見等を求めている。
2 効 果(1)保護者、地域との信頼関係が強くなり、情報交換が活発になっている。
(2)教職員は学校外での生徒の状況をより詳しく把握できるようになり、生徒や保護
者への対応が適切に行われるようになった。
1 取 組 生徒指導主事は、校区内の小中学校の生徒指導担当者による情報交換会の必要性を所
属校の校長に提案し、校長会を経て実現に至った。
(1)毎月1回、小中学校の生徒指導担当者が集まり情報交換を行う。そこで得た情報は
所属校の全教職員に提供し、共有している。
(2)次年度に1学年担当予定教師が小学校の授業参観を行い、6年生児童と一緒に給食
を食べる機会を設け、その際に中学校の教師から見た6年生児童について、小学校
と意見交換を行う。
(3)小学校の担任を中学校に招いての授業参観を計画し、参観後、小学校の担任との情
報交換を行う。
(4)3学期に中学1年生が書いた中学校生活についての感想を、出身小学校ごとに冊子
にまとめ、各小学校の6年生に配布し、まもなく訪れる中学校生活についてイメー
ジをもたせ、安心して中学校生活を迎えられるようにした。
2 効 果(1)小学校との連携が密になったことで、必要な時に必要な情報を交換しやすくなった。
(2)小学校での生活状況等に興味を持つ教職員が増えた。
(3)中学校入学後 (1年時 )の生徒の学校不適応や問題行動等が減少した。
Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集 Ⅰ - 実態把握 / A 情報収集
「小学校との情報交換」ヒント5
ヒント4
15
生徒指導主事の具体的な行動
【行動4】 情報を集約し、分析する
収集した情報を教頭・学年主任・養護教諭等と連携し、生徒指導部会等において、複数の教
職員で情報の客観性、緊急度などを吟味することが大切である。
(1)情報が、「いつの時点のものか」、「複数方面から確認できる情報か」、「客観性のあるものか、主観性の強いものか」、などを検討する。
(2)情報の重要度と緊急度の2つの視点を意識する。
・例えば、収集した情報を簡単にでも次の4つに整理する
ア 「緊急であり、重要でもある」
イ 「緊急ではないが、重要である」
ウ 「緊急であるが、重要でない」
エ 「緊急ではなく、重要でもない」
イについては、緊急性がないために、対応が後回しになりがちであるが、未
然防止の観点からも取組を継続したい。
B 情報集約
留意点
Ⅰ- 実態把握 Ⅰ - 実態把握 / B 情報集約
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
課題の明確化 課題を明確にすることで、適切に指導・対応することができる。
課題を明確にするために、収集した情報を集約し、必要な情報の追加収集をする。
行動のポイント
16
【行動5】 信頼性を確認する
集約及び分析した情報の背景や関連等を教頭・学年主任・養護教諭等と検討することは、情
報の信頼性を総合的に確認するうえで効果的である。
このことは、憶測が入ることによって生じる不正確な情報の流れを防止することになる。
また、関連情報 (不足している情報等 )が何であるかを検討し、それを収集することで、課
題をより明確にでき、適切に指導・対応することができる。
信頼性の確認及び関連情報の収集は迅速に学校内外の多方面から行う。留意点
Ⅰ- 実態把握 Ⅰ - 実態把握 / B 情報集約
1 取 組 生徒指導主事は次の取組を職員会議で提案した。
(1)各学級担任が週毎・月毎の生徒の出欠席記録を集約し、各学年の生徒指導担当者に
伝える。
(2)各学年の生徒指導担当者が各学級の出欠席状況を分析する(毎週金曜日 )。
*集約・分析する際には、次のようにポイントを絞る
①個々の生徒の遅刻・欠席・早退・保健室利用が連続したものか
②個々の生徒の欠席等が特定の曜日・時間に集中していないか
③欠席が多い生徒の累積的傾向はどうか
(3)分析した結果を翌週の生徒指導部会で検討する。
(4)特定の傾向 (特定の曜日に欠席がある。特定の時間に保健室に行くなど )が見られる
生徒の追加情報を集約する計画を検討する (誰が、何を、どのように、いつまでに
収集するのか等)。
(5)分析結果に応じて、ケース会議などを開き、関係する教職員と対応の方法について
十分に協議をする。
「出欠席状況の集約・分析① - 追加情報の収集 -」* ヒント7に続くヒント6
17
【行動6】 指導の根拠となる資料を作成する
明確にした課題を教職員にフィードバックする。その際、必要に応じて、取組の必要性や期
待される効果など、指導の根拠を示す資料を教頭・学年主任・養護教諭等と連携して作成する。
このことは、教職員の問題意識を喚起することにもなる。
このような資料の蓄積は、生徒指導の取組の継続にもつながる。
(1)教職員に意図が伝わるように、簡潔でポイントを絞った資料を作成する。
(2)情緒的な内容にならないよう、具体的な指導の根拠を示す。
(参考:【行動12】)
(3)これまでに発せられた関係通知及び法令などにも目を通しておく。
留意点
1 取 組(1)生徒指導主事はヒント6の結果を定期的(毎週・毎月 )に全教職員に示す。
(2)結果は、生徒の出欠席状況に応じて色別で分類したシートを作成し、生徒の一週間
の変化を一目で把握できるように工夫した。
2 効 果(1)生徒の心身の状況を把握することができ、いじめ、不登校などへの早期対応・早期
解決に結びつき、大きな問題もなく、不登校の新規率が激減した。
(2)全教職員が生徒の出欠席状況に敏感になり、生徒への声かけが活発になった。
(3)学級担任による家庭連絡や家庭訪問等が活発になり、保護者との関係も良好になっている。
「出欠席状況の集約・分析② - 色別分類シートの作成 -」
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
ヒント7
Ⅰ- 実態把握 / B 情報集約 Ⅰ - 実態把握 / B 情報集約
18
生徒の様子 2009/ 11/ 13現在
★第1学年 ※ 赤:(学校全体での)早急な対応 緑:(学年での)継続的な指導 青:(学級での)具体的対応 黒:解決済み
第 2 学年 学級の様子 2009/ 11/ 13現在
☆学級の様子(担任より)
※ 赤:(学校全体での)早急な対応 緑:(学年での)継続的な指導 青:(学級での)具体的対応 黒:解決済み
組 氏 名 9/11 9/18 10/2 10/9 10/16 10/23 10/30 11/6 11/13 生徒の傾向等 担任・学年の指導等
1 A 対人関係のトラブル 経過観察
1 B 先輩とのトラブル 2学年と同一歩調での指導
1 C 対人関係のトラブル 経過観察
1 D M君とトラブル 経過観察
2 E 遅刻しても出席 経過観察
2 F 長欠傾向 継続指導
2 G 人間関係で悩み 継続指導
2 H 長欠傾向 経過観察
2 I 精神的に不安定 継続指導
2 J Nさんとの関係 全教職員で守る
2 K Nさんとの関係、頭痛 全教職員で守る
2 L 骨折 入院先でも配慮をする
3 M D君とトラブル 経過観察
3 N 友人関係トラブル 全教職員で指導
3 O 女子に嫌がる発言 経過観察
3 P 時間を守らない 経過観察
3 Q KN君への対応 経過観察
3 R KN君への対応 経過観察
3 S 生活がルーズ 経過観察
3 T 生活がルーズ 経過観察
3 U 頭痛欠席 経過観察
3 V UT君との関係、被害者 経過観察
3 W SNさんとけんか 経過観察
組 クラスの様子 具体的な指導等
●Sさん:11/11欠席 ●保護者と病院のことで話す。 ●T君:11/6、11/11欠席 ●父親とは話をすることができた。 1 ●O君・M君:服装の着方が悪い。 ●家庭へ連絡済み。 ●MU君:遅刻が多い。 ●継続指導
●EMさん:全欠席 ●家庭連絡を密にしている。 ●Fさん:全欠席 ●家庭連絡を密にしている。 2 ●K君:欠席が目立つ。 ●生徒と面談 ●KGさん:精神的に不安定な所あり。 ●スクールカウンセラーとの面談 ●I君:縮毛矯正をした。 ●家庭連絡等
副担任の先生から 生徒指導担当から
●服装・時間厳守等の指導をしていきます。 生活委員も徐々にですが、呼びかけをする ようになってきました。
現状や指導(学年主任) 今後の課題(学年主任)
●時間を守る生徒が増えてきましたが、授業担当 の先生方も、引き続き、声をかけて下さい。
組 氏 名 9/11 9/18 10/2 10/9 10/16 10/23 10/30 11/6 11/13 生徒の傾向等 担任・学年の指導等
1 A 対人関係のトラブル 経過観察
1 B 先輩とのトラブル 2学年と同一歩調での指導
1 C 対人関係のトラブル 経過観察
1 D M君とトラブル 経過観察
2 E 遅刻しても出席 経過観察
2 F 長欠傾向 継続指導
2 G 人間関係で悩み 継続指導
2 H 長欠傾向 経過観察
2 I 精神的に不安定 継続指導
2 J Nさんとの関係 全教職員で守る
2 K Nさんとの関係、頭痛 全教職員で守る
2 L 骨折 入院先でも配慮をする
3 M D君とトラブル 経過観察
3 N 友人関係トラブル 全教職員で指導
3 O 女子に嫌がる発言 経過観察
3 P 時間を守らない 経過観察
3 Q KN君への対応 経過観察
3 R KN君への対応 経過観察
3 S 生活がルーズ 経過観察
3 T 生活がルーズ 経過観察
3 U 頭痛欠席 経過観察
3 V UT君との関係、被害者 経過観察
3 W SNさんとけんか 経過観察
組 クラスの様子 具体的な指導等
●Sさん:11/11欠席 ●保護者と病院のことで話す。 ●T君:11/6、11/11欠席 ●父親とは話をすることができた。 1 ●O君・M君:服装の着方が悪い。 ●家庭へ連絡済み。 ●MU君:遅刻が多い。 ●継続指導
●EMさん:全欠席 ●家庭連絡を密にしている。 ●Fさん:全欠席 ●家庭連絡を密にしている。 2 ●K君:欠席が目立つ。 ●生徒と面談 ●KGさん:精神的に不安定な所あり。 ●スクールカウンセラーとの面談 ●I君:縮毛矯正をした。 ●家庭連絡等
副担任の先生から 生徒指導担当から
●服装・時間厳守等の指導をしていきます。 生活委員も徐々にですが、呼びかけをする ようになってきました。
現状や指導(学年主任) 今後の課題(学年主任)
●時間を守る生徒が増えてきましたが、授業担当 の先生方も、引き続き、声をかけて下さい。
Ⅰ- 実態把握 / B 情報集約 Ⅰ - 実態把握 / B 情報集約
「色別分類シート」
19
20
*黒字は生徒指導主事の行動
Ⅱ 方針の明確化
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
地 域保護者 関係機関
21
生徒指導主事の具体的な行動
【行動7】 報告・連絡・相談に努める
集約した情報が急を要しない場合には、校長・教頭への報告が後回しになる傾向がある。また、
場合により、その報告を怠るケースも散見される。
そのような状況を回避するためにも、日頃から校長・教頭へ報告・連絡・相談する機会をつ
くることが大切である。このことは、校長・教頭の持っている情報や考えを正しく教職員へ伝
達できることにもつながる。
(1)報告・連絡・相談の際にはメモを活用する。
(2)校長・教頭のスケジュールを事前に把握しておく。
(3)生徒指導に関する情報伝達の要として、積極的に行動する。
C 校長・教頭への報告
留意点
Ⅱ- 方針の明確化 Ⅱ - 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
状況の報告・連絡・相談 情報は私見や憶測を交えず、客観的な事実と課題を速やかに校長・教頭に報告・
連絡・相談する。
なお、情報は緊急を要する場合以外においても、定期的に報告・連絡・相談する
機会と姿勢を持つことが大切である。
行動のポイント
生徒指導主事を中核とする生徒指導に関する情報伝達の流れ
校長・教頭 ⬅➡ 生徒指導主事 ⬅➡ 教 職 員
22
「朝ミーティングへの同席」 * ヒント9に続く
1 取 組(1)生徒指導主事は毎朝の職員朝会前に行われているミーティング(校長・教頭・教務主
任等 )への同席を校長に要望した。
(2)打ち合わせの内容は必ずメモを取り、必要事項を各学年の生徒指導担当者に伝達し
ている。
2 効 果(1)毎朝、校内の1日の流れを確認することにより、一貫した生徒指導ができるように
なった。
(2)各学年の生徒指導担当者への伝達により、学年間での指導差が見られなくなってき
ている。
(3)校長・教頭・教務主任等との距離感が狭まり、小さなことでも報告・連絡・相談がで
きるようになった。
Ⅱ - 方針の明確化 Ⅱ - 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告
朝ミーティング
ヒント8
23
【行動8】 事実を客観的に伝える
校長・教頭へ事実を客観的に伝えることは、組織の長である校長が的確な判断によって方針
を決定するうえで重要である。
そのためにも、できる限り正確な情報を客観的に提供できるよう努める必要がある。
(1)私見や憶測を交えずに事実を伝える。
(2)報告する際には、5W1Hを意識する。
・誰が(who)、何を(what)、いつ(when)、どこで(where)、なぜ(why)、
どのように(how)
(3)感想や意見を求められた場合のために、常に自分の考えを用意しておく。
留意点
1 取 組(1)ヒント8の生徒指導主事は、常に自作の「報・連・相」シートを活用している。
(2)報告等の内容は30秒間限定で簡潔に説明する。
2 効 果(1)報告等のミスが無くなるとともに、30秒間限定により、短時間で事実を客観的に報告
できるようになった。
(2)校長・教頭の迅速で適切な指示を仰ぐことにつながっている。
(3)自分の考えを事前に整理でき、簡潔に記入するため、負担も減少した。
(4)校長・教頭へ報告・連絡・相談できる時間帯が拡大した。
「報・連・相シートによる30秒間説明」 * ヒント10に続く
Ⅱ - 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告 Ⅱ - 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
ヒント9
24
【行動9】 実態と重点事項とのずれを示して課題を明確にする
実態と生徒指導の重点事項とのずれを示して課題を明確にすることは、学校全体としての教育活
動が正しく行われるために必要である。
また、客観的な根拠をもとに、校長・教頭に具体的な対応策を複数用意し、予想される効果とリスクを
説明できるようにしておくことは、校長が方針を決定する上で、より的確な判断に結びつく可能性を高める。
(1)常に生徒指導の重点事項を意識し、教頭・学年主任等と連携して、日々の教育活動を点検する。
・ずれの拡大防止のために、小さなずれをあいまいにしないことが必要である
(2)教職員との対話等を基にして、「ずれが生じる理由」や「地域・保護者の意識」などについても報告する。(参考:【行動3】)
(3)校長が対策の必要性に関する判断を行えるよう、実態と生徒指導の重点事項とのずれを示す客観的な資料を提示する。(参考:【行動8】)
留意点
1 取 組(1)生徒指導主事は生徒指導の重点事項に関するチェックリストを作成した。
具体的な内容は次のとおりである。
①生活面 ②学習環境面 ③マナー面 ④安全面 ⑤教職員間連携
⑥家庭との連携 等 (各項目について、それぞれ3~4のチェック項目を設定)
(2)定期的 (月1回 )に全教職員で点検し、生徒指導部で集約・分析・報告をしている。
2 効 果 現状をチェックシートにそって分析することが、実態と生徒指導の重点事項とのずれ
を示す一つの手立てとなっている。
「生徒指導チェックリスト」
Ⅱ- 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告 Ⅱ - 方針の明確化 / C 校長・教頭への報告
ヒント10
「報・連・相シート」
( )月( )日( )
現 状 対 応 案
い つ ( / )
どこで ( )
誰 が ( )
何 を ( )
どのように ( )
な ぜ ( )
・
・
・
25
生徒指導主事の具体的な行動
【行動 10】 重点事項の具現化に向けた取組を明確にする
取組の方向性が明確であれば、教職員間での指導・対応にぶれが生じることが少なくなる。
取組の方針が実効性のあるものとなるように、教頭、教務・学年主任等と連携し、生徒指導の
重点事項と指導・対応方針との関係を明確にすることが大切である。
(1)生徒の実態、保護者や地域の学校に寄せる期待、要望等も把握する。
(参考:【行動3】)
(2)生徒のどのような資質・能力の向上を願った取組なのかを明確にする。
D 取組計画の策定
留意点
Ⅱ- 方針の明確化 Ⅱ - 方針の明確化 / D 取組計画の策定
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
方針の具体化 校長が決定した指導・対応方針について、教職員が共通に取り組める体制をつく
るという視点を強く持つことが大切である。
そのためには、事前に取組計画や周知方法についての見通しを立て、その上で
素案を作成することが大切である。その際、取組が説明責任に耐えうるものかどう
かを十分に検討することは特に重要である。
行動のポイント
26
Ⅱ- 方針の明確化 Ⅱ - 方針の明確化 / D 取組計画の策定
1 取 組 生徒指導主事は自校の教育目標と生徒指導の重点事項及び生徒の実態を踏まえて、教職員の
指導・対応における「行動」をより具体的な形にした取組計画の素案を以下のように作成した。
(1)自校の教育目標: 「基本的生活習慣の確立」
↓
(2)生徒指導の重点事項: 「時間を守れる生徒の育成」
↓
(3)教職員の具体的な指導・対応:① 「自ら5分前行動をする」
② 「生徒にチャイム着席を徹底する」
③ 「授業は時間どおりに終わらせる」
・
・
・ など
2 効 果 教職員の取るべき行動をシンプルかつ具体的に提示したところ、理解が得やすかった。また、
生徒・保護者から「教職員に同じように指導・対応してもらっている」という声が聞かれるよ
うになった。
「見える行動」ヒント11
27
【行動 11】 指導・対応方針に基づき、具体的な取組計画を策定する
指導・対応方針に従って、教職員が全員で取り組むために、教頭・学年主任等と連携し、具
体的な取組計画を策定する。
(1)「教職員全員が必ずしなければいけないこと」を再確認する。
(参考:【行動13、14】)
(2)取組の期間と目標を明確にする。
(参考:【行動13】)
(3)関係機関等との連携の必要性がある場合は、校長へ相談し指示を仰ぐ。
留意点
Ⅱ- 方針の明確化 / D 取組計画の策定 Ⅱ - 方針の明確化 / D 取組計画の策定
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
28
Ⅱ- 方針の明確化 / D 取組計画の策定 Ⅱ - 方針の明確化 / D 取組計画の策定
1 取 組 生徒指導主事は校区内の課題 (生活規律・対人関係能力が身に付いていないなど )の解
決に向けて、小学校・中学校で連携して継続的に指導を行うために策定された「学習規
律ジョイントプラン」をもとに、「めざす具体的な生徒の姿」を明確にした。そして、そ
れを達成するための手立てとして、以下の取組計画を策定した。
取組内容 生徒指導主事の行動
Plan
・学習規律部会の設置・年間計画の作成
・アンケート結果の分析
・具体的な取組の提案
・指導項目の合意形成
・会議の定例化の推進
・実態把握(学習規律アンケート実施 )
・指導共通実践事項の作成
Do
・学習規律重視型授業の研修会実施 ・教職員への周知
・研修会の準備・実施
・教職員の役割分担と調整
・生徒会活動への指導・助言
・各教職員の授業実践
・月間目標の提案・啓発
Check
・授業参観等による取組の改善・改善点の明確な指摘と指導
・活動結果の分析
・取組効果の検証
・実態と変容把握(学習規律アンケート )
・保護者・地域の方々へのアンケート
(学校公開時 )
Act ・次学期における重点指導項目の検討と改善・今学期の取組成果と課題の
整理
参考:「学習規律ジョイントプラン」(小・中連携継続指導項目 )
○ 授業中のあいさつができる
○ 相手の話を静かに聞くことができる
○ 自分の意見を相手に伝えることができる
○ ルールを守ることができる
2 効 果 (1)教職員の指導が統一され、落ち着いた学習環境になっている。
(2)生徒の学習意欲が向上している。
(3)保護者・地域の方々が学校に対して協力的になった。
「PDCAサイクルで学習規律に取り組む」ヒント12
29
【行動 12】 取組計画の周知方法を検討する
策定した具体的な取組計画が確実に実行に移されるように、教頭・学年主任・養護教諭等と
十分に検討したうえで、校長に提案する。
また、方針や取組を実効性のあるものとするため、教職員への周知、生徒への指導の徹底、
保護者や地域への明示方法・協力依頼等についての方策も検討する。
(1)取組計画についての詳細を根拠に基づいて校長に説明する。(参考:【行動6】)
(2)教職員や保護者にとって妥当性と説得力のある内容を検討する。(参考:【行動6】)
(3)教職員へ周知できる方法と時期を検討する。
(4)生徒、保護者、地域等への啓発方法や時期等についても検討する。
留意点
1 取 組(1)生徒指導主事は環境整備部と連携し、生徒指導部員とともに生徒の清掃状況を一定期間調査した。
(2)調査結果 (清掃の意味が分からず遊んでいる生徒が多い様子や清掃後にもかかわら
ずゴミが落ちている様子など)を踏まえて、校長・教頭に清掃活動の充実を進言した。
(3)職員会議で他県のある中学校での「無言清掃」の取組をスライドで見た。その後、
自校でも、その取組を行うことについて合意形成を図った。
2 効 果(1)具体的な根拠を示したことが、マナー面及び校内美化に対する教職員の意識高揚に
つながった。
(2)教職員はスライドで具体的な取組のイメージを抱くことができたため、自校の取組
に対する建設的な意見が多く出された。
「客観的なデータ提示」 * ヒント17に続く
Ⅱ - 方針の明確化 / D 取組計画の策定
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
ヒント13
30
*黒字は生徒指導主事の行動
Ⅲ 取 組
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
地 域保護者 関係機関
31
生徒指導主事の具体的な行動
【行動 13】 取組の全体像を示し、方針を説明する
決定した指導・対応方針が実践と結びつくために、教頭・学年主任等と連携し、教職員に対
して、取組の全体像をイメージできるような説明を繰り返し行う必要がある。
(1)教職員の立場に立った説明をする。
(2)「みんなでかかわること」を全教職員で再確認する。
(3)取組の大枠を説明する。
・「何を達成すれば終了するのか」と「終了までの段階的な取組手順」を明確にする
・「予想される結果とそれに伴うリスク」も事前に共有しておく
(4)短期、中・長期の指導目標を示す。
・取組の期間を決め、めりはりをつける等、教職員の負担にも配慮する
E 周知徹底
留意点
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
取組方法の提案 指導・対応方針及び取組方法についての合意形成を図ることは、ぶれない生徒指
導体制を築くことにつながる。
そのため、具体的でわかりやすい説明をするとともに、取組についての意見を常
に求めようとすることが、教職員の参画意識につながる。
行動のポイント
32
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
1 取 組(1)全教職員が同一歩調で指導に当たれるよう、生徒指導主事が「10の取組」を策定
した。
①朝、教室で生徒を迎える
②授業時間を遵守する
③授業のはじめ、終わりのあいさつをきちんとさせる
④給食当番の身支度を整えさせる指導を徹底する
⑤授業の様子、清掃活動の様子、部活動の様子など、生徒の情報を担任に伝える
⑥空き時間、昼休みの巡視活動を徹底する
⑦年間指導計画に基づいて、道徳の授業を充実させる
⑧帰りの会終了後、昇降口まで生徒を見送る
⑨放課後の部活動に関する指示や欠席の確認をする
⑩学級や学年で活動する際には、必ず学級委員や生徒会、係などの活動内容を確認し、
事前に指示をして責任を持たせる
(2)「10の取組」を教職員が共通実践するにあたり、生徒指導主事は短期・中期・
長期にわたって、予想される成果と具体的な対応の在り方について示し、取組の全
体像を示した。
具体的対応 予想される成果
短期
・取組の推進
・教育相談の充実
・個別援助・支援
・同一歩調で共通実践できる
・生徒間のトラブルが減少する
・教師の指示が生徒全員に伝わる
中期
・計画に沿った対応
・生徒理解
・継続的な教育相談
(キャリア教育 )
・生徒が目標を持って活動することができる
・生徒への個別指導が充実する
・保護者との連携がさらに図られる
長期・集団生活に対する意識高揚
・学習支援
・生徒が学級の中で安心して生活できる
・生徒が進路に関する具体的な目標を持つこと
ができる
2 効 果 全教職員が行うべき具体的な取組を教職員全員で協議したことにより、教職員の生徒
指導に対する意識が高まった。このことにより、自らが時間を厳守するなど、教職員の
行動にも変化が見られるようになった。
「10の取組」ヒント14
33
【行動 14】 具体的な指導基準を示す
誰にでもわかりやすい統一した指導基準があると、教職員は自信を持って指導できる。した
がって、学校の実態に応じて、「具体的な指導基準」を教頭・学年主任等と連携して示し、教職
員全員で十分に検討することが必要である。
(1)事前に教職員との対話などから、「教職員全員が指導できる基準」を再確認する。(参考:【行動2、11】)
(2)できる限り保護者や地域の声も取り入れる。
(3)他校での実践の成果と課題を収集し、自校の指導基準の参考とする。
・国や都道府県等が公表している事例集やインターネット等から得られる情報
にも敏感でありたい。
(4)「基準」について、校内研修会等を企画する。
留意点
Ⅲ- 取組 / E 周知徹底 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
34
Ⅲ- 取組 / E 周知徹底 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
1 取 組 生徒指導主事は、年度当初の4月に全教職員と1対1で話をする機会をつくり、「どこ
までなら指導ができそうか」、「現状でどこまで指導できるのか」、「理想はどこまでの指
導か」などを、折衷案を探しながら指導基準を模索した。そして、教職員全員が足並み
をそろえて自信を持ってできる指導基準を示し、合意形成を図った。
2 効 果 全教職員が足並みをそろえて指導をすることで、生徒にとっても自校の統一ラインが
理解しやすくなり、効果があがった。
1 取 組 生徒指導主事は、月1回の職員会議で次の観点を踏まえて、全教職員に「○月の生徒
指導」として提示した。
(1)学校の現状はどうなのか?
(2)何が問題点なのか?
(3)今後、どのような方向を目指すのか?
(4)今、何ができるのか?
(5)今、何が困難なのか?
(6)今後、どこから手をつけていくのか?
(7)具体的な方策は?
(8)具体的に留意しなければならないことは?
(9)何がどうなったら次のステップへ進むのか?
・
・
・ などを明確に示した。
2 効 果 現状と課題を教職員全員で共有でき、具体的な取組について、合意形成を図ることが
できたため、教職員間での指導のぶれがなくなった。
「指導基準の模索」
「取組についての合意形成」ヒント16
ヒント15
35
【行動 15】 周知徹底の工夫をする
学校の特色や校風は継続的な取組によって作りあげられていくものである。
取組を定着させるためには、教頭・学年主任等と連携し、あらゆる機会や方法で、指導・対応
方針を周知することが大切である。
(1)掲示物、学校(学年)通信又は集会等で、生徒・保護者・地域へ積極的に周知することは、教職員等へ間接的に周知を繰り返すことにもなる。
(2)標語(スローガン)を掲げる。
・標語は教職員が同じ方向に向かって取り組むためのものであり、また、生徒
や保護者にも、みんなでルールを守る意識の醸成につながる。なお、標語の
作成については、生徒会等にも働きかけたい。
留意点
Ⅲ- 取組 / E 周知徹底 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
求められる周知徹底とは、全教職員が知っている状態を作ることである。
例え、少人数であっても、「そんなことは聞いていない」となれば、それは、周知徹底したこ
とにはならないばかりか、その後の指導に負の影響をもたらすことにつながる。
「全員に伝えた」という意識が、単なる「思い込み」からくる自己満足や勘違いで終わらない
よう十分に注意したい。
36
Ⅲ- 取組 / E 周知徹底 Ⅲ - 取組 / E 周知徹底
1 取 組 生徒指導主事はヒント13により、生徒の集中力や学校への愛着(愛校心・帰属意識・感
謝の心 )を身に付けてもらいたいと願い、教頭及び学年主任等と相談して、以下のよう
に「無言清掃」の取組を働きかけた。
(1)年度当初に学校教育目標と連結した生徒指導のスローガンを提示した。
「誇りを持てる学校の創造」
~『私たちを見て下さい』と全員が自信を持って言える学校に~
(2)本校の目指す「無言清掃」の姿を教職員で共通理解し、その後各クラスで取り組んだ。
(3)生徒の意識を高めるために、生徒会美化委員会に働きかけて「美化コンクール」を
実施してもらった。
(4)年度末にアンケート (教職員・生徒・保護者 )を実施し、「無言清掃」の取組の改善を
図り、「新無言清掃」を職員会議で提案し、現在の新たな「形」を作りあげた。
翌年度の1学期末に、学校長が、無言清掃を「特色ある取組」として認定した。
2 効 果(1)「誇りを持てる学校」の創造に関わっているとともに、感謝の心を持つ生徒が増えて
きたため、全体としてとても落ち着いた学校になってきた。
(2)生徒や保護者の声を反映させ、さらにバージョンアップした「無言清掃」を全教職
員で作りあげていったため、自校に対して誇りを持つ教職員が増えた。
(3)多くの保護者からも、取組に対する共感を得られている。
「無言清掃」ヒント17
37
生徒指導主事の具体的な行動
【行動 16】 役割連携でチーム力を高める
教頭・学年主任等と連携して、各教職員の力をプラスの方向に向けて束ねることで、学校と
しての生徒指導力を高めることを考える。
各教職員の力を生かすことは、一部の教職員に負担が偏ることを防ぐとともに、チームでの
適切な対応につながる。
(1)日頃から教職員と対話をすることで、指導に対する考え方や意欲等の方向性などを把握しておくことが大切である。
(参考:【行動2】)
(2)生徒指導主事のみで仕事をこなせる場合であっても、後継者の育成や学校としての継続的な取組を重視するためにも、仕事を分担することが必要である
F 役割連携
留意点
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
相互補完 生徒指導主事として、やらなければならない仕事は非常に多い。すべてを一人で
やろうとするとできていないことや、不十分なところが生じたりしてしまう。
取組を偏りなく充実させるためには、相互補完の考え方が大切である。
行動のポイント
38
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
1 取 組 生徒指導主事の「全教職員による生徒指導」という考え方のもと、一人一人の教
職員がやれることをやるというスタンスをとっている。このことは、個々の教職員
が自由気ままに生徒に接するということではなく、役割を連携した取組により相乗
効果を高めている。
(1)取組の確認事項は、「全教職員で決めたことは必ず守る」である。具体的には、「生
徒がワイシャツをズボンから出して、だらしない恰好をしていたら、必ず注意
をする」と確認された場合には、全教職員で必ず声をかけることを徹底する。
その際のポイントは「きめ細かく、粘り強く声かけをする。」ということである。
(2)「生徒のチャイム着席」ではなく、「教職員がチャイムを教室で聞く」を合言葉
にしている。
2 効 果 全教職員が生徒指導部員であるという考えのもと、生徒に「当たり前のことを
当たり前にできるようにしよう」と伝えているが、教職員もそれを実践している
ため、学校全体は非常に落ち着いており、積極的な教育活動が展開されるように
なった。
「全教職員が生徒指導部員」ヒント18
39
【行動 17】 関係機関等との連携の必要性を説明する
学校の状況や課題の内容によって、関係機関等との役割連携が必要な場合がある。
そのため、関係機関との連携方法等について、校長の同意を得たうえで、教頭・学年主任等
と連携して、事前に教職員と合意形成を図る必要がある。
(1)地域社会にどのような関係機関があるのかを確認する。
(2)関係機関等との連携で、学校との役割分担について事前に調整する。
(3)関係機関等と連携をする際の具体的手順と校内での窓口を教職員へ明示しておく。
(4)関係機関等と日頃から連携をとり、担当者と人間関係を築いておく。
(参考:【行動3】)
留意点
Ⅲ- 取組 / F 役割連携 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
40
Ⅲ- 取組 / F 役割連携 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
1 取 組 生徒指導主事は、校内研修会で「関係機関マップ」を全教職員で作成することで、関
係機関との連携の必要性を教職員へ説明することにした。
校内研修会での具体的な進め方は次の通りである。
(1)グループ別 (4名1組 )作業
○地域で考えられる関係機関を出し合い、付箋紙に記入する
○ 付箋紙に記入したそれぞれの関係機関を、分野別(教育関係、福祉関係、司法・警
察関係等)に分類し、模造紙に貼り付けて一覧表を作成する
(2)全体作業
○(1)の作業結果をグループ別に発表する
○ 各グループでの発表を踏まえて、学校としての関係機関マップを作成する
(3)全体協議
○作成した関係機関マップを用いて、連携についての合意形成を図る
・現状と課題を全教職員で共有→外部専門家の力を借りることの必要性を提案する
・どの分野の専門家や機関の力が必要なのかを検討する
・専門家や関係機関との連携をする際の校内体制を検討する
2 効 果(1)多くの教職員が関係機関等についての基礎知識を持つようになった。
(2)教職員が積極的に生徒の状況(友人関係、出欠席、家庭状況等)把握に努めるようになった。
(3)教職員間で、生徒に関する情報を交換する機会が増えた。
「関係機関マップの作成」ヒント19
「関係機関マップ」(作成例 )
関 係 機 関 所在・連絡先 担当者職名氏名 特 徴
教育センター
市役所
△△警察署
児童相談所
△△公園△△小学校
△△幼稚園
家 庭裁判所
△△駅
交番
●教育
教育センター相談部
市適応指導教室
△△小学校
△△幼稚園
●福祉
子ども家庭センター
市福祉事務所
△△児童相談所
地区民生委員・児童委員
●司法・警察
△△警察署
△△交番(駐在所 )
△△家庭裁判所
41
【行動 18】 対応後の情報収集と集約を行う
教頭・学年主任等と連携して、それぞれの役割ごとの取組状況や成果と課題を集約することで、
その後に取り組むべき課題が明確になる。
また、集約した情報を校長・教頭及び関係職員に報告することや、記録の蓄積と活用の観点
を持つことが大切である。
(1)教職員が実際に対応した状況を集約するための伝達方法を明確にする。
(2)より正確に、かつ、速やかに伝達できる方法を提示する。
参考:情報収集(【行動1】~【行動3】)、情報集約(【行動4】~【行動6】)
(3)記録を蓄積するために、集約した情報を常に整理する必要がある。
参考:同上
留意点
Ⅲ- 取組 / F 役割連携 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
1 取 組 毎月末に生徒対象の「生活調査アンケート」と教職員対象の「生徒指導アンケート」
を実施している。
(1)生徒対象の「生活調査アンケート」について
・朝の会で実施されたアンケートは、まず担任が目を通した後で、学年の生徒指導
担当者に報告する
・各学年の生徒指導担当者はアンケートを集約し、生徒指導主事に報告する
(2)教職員対象の「生徒指導アンケート」について
・アンケートは、生徒指導部会(教頭・生徒指導主事・学年主任・学年生徒指導担当者)
で集約する
「アンケートの実施」ヒント20
42
3131 1
朝の会の時に全員が席に着くようにする。
給食の片付けが良かった。
18 1 22
Y・K
4550
1 1 18 1 223
Y・K△○○○○○○○○OKOKOK特に無し
朝練の人たちの着替えを早くしよう!
朝の会の時に全員が席に着いていなかった。
Ⅲ- 取組 / F 役割連携 Ⅲ - 取組 / F 役割連携
1 取 組 生徒指導の重点事項を達成しつつあるかどうかを生徒の自己評価から再確認している。
(1)毎年行われているあいさつ運動を生徒会執行部指導のもと、曜日ごと各委員会が責
任を持って行うこととした。取組状況を放送や生徒会掲示、学級担任の呼びかけで
自己評価できるようにした。
(2)チャイム着席と服装についても、クラスごとの自己評価票を毎週掲示し、それを生
活委員会が評価する形とした。
2 効 果 時間やあいさつ、服装などについて、生徒同士の声のかけ合いも見られるようになった。
また、問題のある生徒も決して見放さず、仲間として声をかけ続けるという学校全体の
雰囲気が強くなったため、生徒指導上の諸問題も改善されている事例が出てきている。
(3)2つのアンケート結果は円グラフにして全教職員に配布している。
2 効 果 2つのアンケートから、取組の成果と課題が明確になった。教職員にとっては、日々
の指導が必ずしも生徒の内面までには伝わっていないということが確認でき、これまで
以上に、生徒を理解することの重要性を共有している。
「生徒の自己評価から再確認」ヒント21
43
生徒指導主事の具体的な行動
【行動 19】 随時、取組を見直す
状況の変化に伴い、分担者の増減を図るなど、柔軟に対応する必要がある。
方針はぶれないが、方策は状況に応じて変えるという姿勢を示すことが取組の活性化につな
がる。
教頭・学年主任等と連携し、随時、取組を見直し、微調整をすることが大切である。
(1)取組の状況について、教職員の声を集約する。(参考:【行動2】)
(2)学校外からの声を集める。(参考:【行動3】)
(3)校長・教頭へ状況報告をする。
(参考:校長・教頭への報告【行動7】~【行動9】)
(4)全体の状況を全教職員に伝え、課題を共有する。
G 点検・検証
留意点
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / G 点検・検証
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
振り返り 教職員が定期的に意見を交換できる場を設定し、取組についての振り返りをする。
そして、随時、取組を見直すことで、より適切な取組を目指すことが大切である。
また、日常の状況を数値で表したり、生徒、保護者及び地域住民からの声を集約
することで、取組の効果をより客観的に検証できる。
行動のポイント
44
Ⅲ- 取組 Ⅲ - 取組 / G 点検・検証
1 取 組(1)生徒指導主事の提案により、毎月1回、職員会議の後半の時間帯を「生徒指導の意
見交換会」とした。
(2)交換会で学年を解体し、小グループに分かれ、生徒の現状や生徒指導面で困ってい
ることなどについて、話し合いをしている。
(3)話し合いの内容によっては、別途時間を取り、校内生徒指導研修会で学習会を行っ
ている。
2 効 果(1)話し合いにより、全教職員で課題を共有することができるようになった。
(2)各教職員が生徒指導面について、一人で抱え込むことがなくなった。
(3)意見交換会以外でも、教職員同士で相談しあえる雰囲気ができた。
「小グループによる話し合い」
小グループでの話し合い
ヒント22
45
【行動 20】 取組の効果を検証し、課題を明確にする
指導の改善には、定期的な取組の検証は欠かせない。例え、検証結果が良くなくても、真摯
に結果を受け止めることが次の有効な手だてを生み出すもとになると考えたい。
説明責任を果たすためにも、教頭・学年主任等と連携し、生徒指導部員とともに検証に力を
入れる必要がある。
(1)設定した目標に対する達成状況や達成に向けた取組状況を確認する。
(2)教職員のみの視点ではなく、生徒、保護者、地域の関係者等の声も反映させる。(参考:【行動3】)
(3)日常の状況変化を数値で表せるようデータを収集する。
(参考:【行動6】、【行動12】)
留意点
Ⅲ- 取組 / G 点検・検証 Ⅲ - 取組 / G 点検・検証
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成
Ⅲ 教職員全員での取 組
合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
1 取 組(1)生徒指導主事は、朝読書開始 (8:05入室完了 )を徹底させるために、8時に生徒
玄関通過という基準で一定期間(2週間 )調査を実施した。
(2)生徒、保護者へも朝読書に関するアンケートを実施した。
2 効 果(1)全教職員で現状と課題を共有できた。
(2)生徒・保護者へのアンケートを実施したことによって、学校の指導目標を再度啓発する
ことができた。
(3)職員会議で今後の指導の在り方について、建設的な意見が多く出されるようになった。
「朝読書① - 登校時刻調査 -」 * ヒント24に続くヒント23
46
Ⅲ- 取組 / G 点検・検証 Ⅲ - 取組 / G 点検・検証
1 取 組(1)ヒント23の調査結果を生徒・保護者に公表した。
(2)生徒指導主事が保護者や地域の方々へ、古本の提供依頼をするなど、朝読書の環境
充実を提案した。
(3)国語科主任教諭の提案により、校内読書感想文コンクールを年2回開催することになった。
(4)多くの保護者の要望により、継続してデータを取ることとした。
2 効 果(1)教職員全員で指導方針の合意形成が図られた。
(2)生徒の月毎の遅刻・欠席数が前年度比、約30%減少した。
(3)学習環境が落ち着き、教職員と生徒・保護者との関係が良好になった。
(4)地域の方々がこれまで以上に学校に関心を向けてくれるようになった。
「朝読書② - 環境の充実 -」
【行動 21】 改善策を検討し、指導・対応方法を修正する
教頭・学年主任等と連携し、生徒指導部員とともに指導の改善策を十分に検討し、指導・対
応方法を修正する。このことは、学校の実態に合った指導を可能にし、教職員の意識を高める。
また、検証結果を積極的に公表することは、生徒や保護者の理解及び地域の関係者等の理解
につながる。
(1)検討する時期を重視する。
(2)検討するための資料(取組状況のデータ等)を用意する。
(参考:【行動6】、【行動12】)
留意点
ヒント24
47
合意形成
A 情報収集
B 情報集約
C 校長・教頭への報告
G 点検・検証
F 役割連携E 周知徹底
D 取組計画の策定
合意形成合意形成合意形成
Ⅰ生徒指導主事を中心とした実 態 把 握
Ⅱ 校長を中心とした方針の明確化
Ⅲ 教職員全員での取 組
地 域保護者 関係機関
48
・生徒指導主事には合意形成のための「調整力」が求められていることを常に意識
して行動することが大切である。
・「調整力」を発揮するために、日頃から教職員とコミュニケーションを図ることが
大切である。
行動のポイント
1 取 組 生徒指導主事は日頃から教職員が気軽に情報交流できる雰囲気づくりに努めている。
特に教職員のモチベーションを高めるために、次の4点を重視している。
(1)日頃から生徒指導主事が教職員に積極的に話しかける。
(2)生徒のプラス情報を積極的に提供する。
(3)教職員の話をしっかり聞く態度を示す。
(4)専門用語やむずかしい言葉を使わない。
2 効 果(1)職員室等で、生徒に関する教職員間の会話が増えた。
(2)任意の活動(下校指導など)に協力する教職員が増えた。
(3)職員会議等で建設的な意見が多く出るようになった。
結果的に学校全体での生徒指導に結び付いている。このことは、生徒・保護者から
の信頼感を得ることにつながっている。
「気軽に情報交流できる雰囲気づくり」
情報交流
ヒント25
合意形成
49
<職名は平成22年3月末日現在>
荒 木 康 子 東京都北区立梅木小学校長
岡 田 正 治 東京都立篠崎高等学校長
酒 井 徹 神奈川県横浜市立錦台中学校長
多 田 元 樹 千葉県木更津市立祇園小学校長
田 中 靖 人 福岡県立博多青松高等学校長
中 野 澄 大阪府教育委員会児童生徒支援課 主任指導主事
氷 海 正 行 千葉県立八千代高等学校長
松 田 素 行 昭和学院短期大学教授
柳 田 伸 二 栃木県教育委員会学校教育課 副主幹
山 田 健 一 さいたま市教育委員会学校教育部 指導2課長
○ 若 井 彌 一 上越教育大学長
(五十音順:敬称略)
○ 主査
生徒指導の役割連携の推進に向けて 生徒指導主事に求められる具体的な行動(中学校編)
作成協力者(生徒指導に関する機能向上のための調査研究協力者)
生徒指導の役割連携の推進に向けて
生徒指導主事に求められる具体的な行動中学校編
平成22年3月国立教育政策研究所 生徒指導研究センター
生徒指導の役割連携の推進に向けて 生徒指導主事に求められる具体的な行動中学校編
国立教育政策研究所 生徒指導研究センター