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  • 健康コーナー

    和之

    先生

    18

    わかりやすい東洋医学講座

    第19回 「心」の生理作用について

    第69回東洋医学の基礎理論⑲

    心の生理作用について

     

    心の生理作用には、1「血脈

    を主る」2「神志を主る」があり

    ます。(図1)

    【血脈を主る】

     

    脾胃の働きによって作られた

    水穀の精微(飲食物の栄養)は、

    営気(各組織を栄養する気)と、

    津液に気化(気が働きかけて変化

    させる)され、さらに心火の作用

    によって血が生成されます。その

    血が心気(血液を循環させる作用

    =推動のパワー)によって血管内

    を流れて全身に栄養を供給しま

    す。これは、西洋医学での心臓と

    血管の働きを示しています。

     

    すなわち心の一つの作用と

    しては、血液の運行を推し進めて

    全身に栄養や酸素を与えます。

    【神志を主る】

     

    心配や安心という用語から

    わかるように、心のもう一つの

    作用は、大脳の活動であり、記憶、

    学習能力、言語機能、睡眠、意識

    状態といった大脳機能を意味し

    ます。そのため、心の働きに異常

    が生じると、記憶障害、不安など

    の精神症状、不眠を来します。

    【心の作用】

     

    心の作用には、心気、心陽、

    心血、心陰の4つの作用があり

    ます。(図2)

     

    心気と心陽は、血液の循環に

    関わります。心気とは、血液を全

    身に巡らせる原動力のことで、心

    陽は、体を温める作用(温煦作用)

    のことで全身の熱源や活動源を

    意味します。

     

    心血と心陰は、精神活動の安定

    に関わります。心血は、精神活動

    を行う上で必要な栄養分となる

    血を云います。心陰とは、過剰に

    興奮しすぎないように落ち着か

    せる作用です。そもそも心は、陽

    の勢いの強い臓器ですので、熱や

    活動力が強く働きやすい傾向に

    あります。その為、そのバランス

    を取るための鎮静作用のある心

    陰や心血が不足しないようにす

    ることが重要です。

    【心の志・液・体・窺】

    ⑴ 

    心の志は「喜」である。

     

    心の機能は、情緒の「喜」と密接

    に関係しています。

     

    一般に「喜」は、人体にとって

    好ましい刺激を持つ感情であり、

    喜ぶことは心の働きにプラスに

    なります。

    ⑵ 

    心の液は、「汗」である。

     

    汗は、陽気の作用で津液が変化

    (*

    化生)したものであり、血も津

    液も汗も源が同じで(血汗同源)、

    汗は、心の液体といわれます。

    *化生:気の作用の一つで(気化作用)、

    人体に必要な物質を摂取した飲食物

    などから作ったり、体内の物質を必要な

    物質に作り変えること。

    ⑶ 

    心の華は、顔にある。

     

    顔面部は、血脈が豊富にある

    ため、心の状態は、顔の色艶に

    現れやすいので、顔を見ることで

    心の状態を知ることができます。

     

    心気が旺盛で血脈が満たされ

    ていたら、顔面は紅く潤いつやが

    あります。もし心気が不足すれ

    ば、顔色が蒼白になります。

    ⑷ 

    心は舌に開竅する。

     

    竅とは、外部への窓口です。舌

    は、心にとって外部環境へ通じる

    窓口のような存在です。

     

    舌の主な機能は、味覚の識別と

    言語の発声に関与します。心の

    機能に異常が現れれば、舌に異常

    が生じ、味覚が障害され、舌が

    こわばり、話しにくくなるなどの

    症状が現れます。

     「霊枢」脈度篇に「心気は舌に通

    じる。心が和めば舌は五味を識別

    できる」と記載されています。

    心の機能が正常であれば、舌は

    紅く潤い動きも滑らかで発語も

    流暢です。

     

    心血不足では舌質が淡白に

    なり、*心火上炎では、舌の先端

    部分が紅くなります。

    *心火上炎:主に激しい怒りや精神的な

    ストレスが慢性的にかかり続けた結果

    として現れる病能です。心火上炎の具体

    しん

    的な症状としてはイライラ感、焦燥感、

    多動、不眠症、のぼせ、顔面紅潮、口の

    渇き、口内炎などが挙げられます。

    心火上炎は心火旺や心火亢盛とも呼ば

    れます。

     

    心の病証については、次回以降

    で説明させていただきます。

    つかさど

    けつみゃく

    けつ

    おんくさよう

    しん

    きょう

  • 19

    医療法人和漢全人会

    花月クリニック

    日本東洋医学会専門医

    医学博士

    辻  

    和 

    昭和26年 北海道江差町に生まれる昭和50年 千葉大学薬学部卒業昭和57年 旭川医科大学卒業平成 4年 医学博士取得平成10年 新十津川で     医療法人和漢全人会花月クリニック開設日本東洋医学会 専門医日本糖尿病学会 専門医日本内科学会  認定医日本内視鏡学会 認定医

    医療法人社団和漢全人会花月クリニック

    【図2】

    血液循環に関わる

    精神活動の安定に関わる

    心気(血液を送り出す推動作用)

    心陽(体内を巡って体を温める温煦作用)

    心血(精神活動を行う上で栄養分となる血)

    心陰(精神を落ち着かせる作用)

    心の作用

    【図1】 心は、精神活動を(神明)をつかさどる心は、西洋医学でいう大脳の機能に当たる精神活動や思考活動も担っており、これを「心は神明をつかさどる」と表現する。

    心は、血液循環をつかさどる心には血を全身に巡らせる働きがあり、これを「心は血脈をつかさどる」と表す。西洋医学でいう心臓のポンプ作機能の他に血を血管内をくまなく巡らせる働きや各器官に栄養や潤いを届ける働きも含まれている。♥心

    東洋医学の基礎理論⑲

    心の生理作用について

     

    心の生理作用には、1「血脈

    を主る」2「神志を主る」があり

    ます。(図1)

    【血脈を主る】

     

    脾胃の働きによって作られた

    水穀の精微(飲食物の栄養)は、

    営気(各組織を栄養する気)と、

    津液に気化(気が働きかけて変化

    させる)され、さらに心火の作用

    によって血が生成されます。その

    血が心気(血液を循環させる作用

    =推動のパワー)によって血管内

    を流れて全身に栄養を供給しま

    す。これは、西洋医学での心臓と

    血管の働きを示しています。

     

    すなわち心の一つの作用と

    しては、血液の運行を推し進めて

    全身に栄養や酸素を与えます。

    【神志を主る】

     

    心配や安心という用語から

    わかるように、心のもう一つの

    作用は、大脳の活動であり、記憶、

    学習能力、言語機能、睡眠、意識

    状態といった大脳機能を意味し

    ます。そのため、心の働きに異常

    が生じると、記憶障害、不安など

    の精神症状、不眠を来します。

    【心の作用】

     

    心の作用には、心気、心陽、

    心血、心陰の4つの作用があり

    ます。(図2)

     

    心気と心陽は、血液の循環に

    関わります。心気とは、血液を全

    身に巡らせる原動力のことで、心

    陽は、体を温める作用(温煦作用)

    のことで全身の熱源や活動源を

    意味します。

     

    心血と心陰は、精神活動の安定

    に関わります。心血は、精神活動

    を行う上で必要な栄養分となる

    血を云います。心陰とは、過剰に

    興奮しすぎないように落ち着か

    せる作用です。そもそも心は、陽

    の勢いの強い臓器ですので、熱や

    活動力が強く働きやすい傾向に

    あります。その為、そのバランス

    を取るための鎮静作用のある心

    陰や心血が不足しないようにす

    ることが重要です。

    【心の志・液・体・窺】

    ⑴ 

    心の志は「喜」である。

     

    心の機能は、情緒の「喜」と密接

    に関係しています。

     

    一般に「喜」は、人体にとって

    好ましい刺激を持つ感情であり、

    喜ぶことは心の働きにプラスに

    なります。

    ⑵ 

    心の液は、「汗」である。

     

    汗は、陽気の作用で津液が変化

    (*

    化生)したものであり、血も津

    液も汗も源が同じで(血汗同源)、

    汗は、心の液体といわれます。

    *化生:気の作用の一つで(気化作用)、

    人体に必要な物質を摂取した飲食物

    などから作ったり、体内の物質を必要な

    物質に作り変えること。

    ⑶ 

    心の華は、顔にある。

     

    顔面部は、血脈が豊富にある

    ため、心の状態は、顔の色艶に

    現れやすいので、顔を見ることで

    心の状態を知ることができます。

     

    心気が旺盛で血脈が満たされ

    ていたら、顔面は紅く潤いつやが

    あります。もし心気が不足すれ

    ば、顔色が蒼白になります。

    ⑷ 

    心は舌に開竅する。

     

    竅とは、外部への窓口です。舌

    は、心にとって外部環境へ通じる

    窓口のような存在です。

     

    舌の主な機能は、味覚の識別と

    言語の発声に関与します。心の

    機能に異常が現れれば、舌に異常

    が生じ、味覚が障害され、舌が

    こわばり、話しにくくなるなどの

    症状が現れます。

     「霊枢」脈度篇に「心気は舌に通

    じる。心が和めば舌は五味を識別

    できる」と記載されています。

    心の機能が正常であれば、舌は

    紅く潤い動きも滑らかで発語も

    流暢です。

     

    心血不足では舌質が淡白に

    なり、*心火上炎では、舌の先端

    部分が紅くなります。

    *心火上炎:主に激しい怒りや精神的な

    ストレスが慢性的にかかり続けた結果

    として現れる病能です。心火上炎の具体

    かいきょう

    的な症状としてはイライラ感、焦燥感、

    多動、不眠症、のぼせ、顔面紅潮、口の

    渇き、口内炎などが挙げられます。

    心火上炎は心火旺や心火亢盛とも呼ば

    れます。

     

    心の病証については、次回以降

    で説明させていただきます。

    しんかおう

    しんかこうせい