わかりやすい医療 BSC 運用管理 - 株式会社ぜろばこ...医療BSC...

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わかりやすい医療 BSC 運用管理 朴亨根 http://zerobaco.com/microbsc

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わかりやすい医療 BSC運用管理

朴亨根

http://zerobaco.com/microbsc

わかりやすい医療 BSC運用管理 要旨

BSCを導入してから 4~5年経ってもまだ BSC運用の成果が実感できない病院、これから BSC導入を検

討している病院、BSC導入後の成果が出ている病院、BSC運用管理が人の手で管理が困難になり増え続け

る BSC 関連データ管理(医事・看護・医療・経営等の時系列データ等)は、今後は直面する課題になる

と予想される。その悩みの解消に、医療 BSC運用管理システムは大きな力になると考える。

Key Word : 医療 BSC運用管理システム、PDCAサイクル実施プラットフォーム、バランストスコアカー

ド、戦略実行、経営改善、BSC管理ツール、BSC教育ツール、BSC検証ツール

はじめに

超高齢社会・人口減少が急速に進み、2025年に向け包括ケア制度の施策を行政は舵を切る等、外部環

境が急変する昨今の情勢のなかで、危機感を持ち、経営改善や経営改革をする為に、“BSCを導入はした

が、今は上手く運用していない”、“これから BSC 導入を検討している”、“BSC に興味がある”等々、

BSC などの手法を通した病院マネジメントを必要とする場合が多くなっている。特に戦略を持っていな

い、若しくは戦略を持っていても戦略的経営をしていなかった病院は、戦略実行の重要性を自覚し始め

た。即ち、医療の質、プロセスの改善などを図る手法が良く使われているなかでも、それを統合する為、

或は経営的観点から経営手法を立て直す為に、組織はゴールへの意識とゴールに向う道筋を合わせない

といけない。財務と非財務視点の因果連鎖でプロセスを管理していく BSCが、その戦略実行のベストツ

ールになれるとの認識はまだ変わりはないと思う。

ところが、BSC の導入と共に戦略策定、重要成功要因・尺度・アクションプランを定めても、その実

行と運用は、実践してみて経験がない状態ではとても不安があるはずだ。

どうすればそのネガティブな要素が解消できるだろうか。その為には、BSC が上手く運用できるレデ

ィネスの創出を意識し、情報伝達が共有され円滑に行われる組織風土や運用基盤が大事だ。

BSC運用管理の重要性に対する意識強化

BSCを導入してから数年間運用してみれば BSC 運用が上手くなれる思われるが、実際は長い間努力を

続けても BSC運用をうまく行っているケースは少ないようである。BSC 運用管理を成功させるには、運

用管理イメージを導入前から強く認識した上、BSC 運用方法を事前に定める必要がある。その計画の実

行を行いながら改善を繰り返すことで、まず BSCを運用している実感ができる。ただ、ビジョン達成へ

のベクトルが合わない改善は、組織のトップからみると、とても悩ましいところである。この計画と実

行のギャップを縮める為に重要なのは組織のケイパビリティの向上であり、これは、BSC の学習と成長

の視点に大きくリンクし、いかに病院の無形資産(人的資本、情報資本、組織資本)が揃い上手く活用でき

るかによるものである。即ち、納得した職員の意識、組織の円滑な意思疎通の為の運用管理システム、

戦略に方向付ける組織文化やリーダシップ、チームワークなどの、職員の意識と運用環境と運用体制を

事前に揃えるべきである。

BSC を導入しても継続して運用できなかった理由のなかでは、トップマネジメントの体制が弱いケー

スや、トップマネジメントが出来たとしてもそれがミドルマネジメントにきちんと継承されないことが、

運用管理が上手くいかない大きな原因と考えられる。 BSC 導入が、組織と体制に基づいたトップマネ

ジメントを中心に行われるものだとしたら、BSC 運用は、医療現場(ロワー)の部署から進める実行能

力や改善能力を含む意志、信念、組織文化、ミドルマネジメント、検証、診断、変革などの色んな成功

要因と努力を要するステップである。これを常に認識して、視点・戦略目標から施策までの因果連鎖に

基づいた戦略実行をすることで、病院価値や顧客価値の向上が出来れば、BSC が管理の為の管理ツール

には転落しないはずだ。と言っても実践は簡単ではないので、その運用管理が可視化され、わかり易く

確認できる運用管理基盤を揃えなければならない。

情報システム活用によるわかりやすい BSC運用環境作り

わかりやすいということは、個人若しくは組織が容易に理解することが出来るものであり、その為に

は見える化・共有化になっている状態を指す。その根底には、運用管理を容易にする情報システム活用

に基づいた運用方法や作業手順の実現で上、結果を意識するプロセスの管理が組織内に自然に浸透でき

る環境作りが実現できる。

BSC に連携させる既知のシステムとしては、データウェアハウス(DWH)やデータマイニングなど

による統合管理・分析・加工などのデータ活用を中心に一部使われているが、このようなデータの分析

や活用のみならず、BSC が組織のなかで浸透する為には、導入段階から運用ツールとしての医療 BSC

運用管理システムも一つの解決策として提言したい。 BSCデータの登録管理を含め、PDCAの実施・

診断・データ収集など BSC 運用に特化した運用管理業務のプラットフォームの役割を担う医療 BSC 運

用管理システムを使うことで、短期間で解りやすい BSC運用管理が実現できる。

医療 BSC 運用管理システムは、運用手法としてよく使われている PDCA 実施管理が実現できる機能

を持ち、さらに、ビジョンや戦略という旗と方向を意識する P(Plan)、D(Do)、C(Check)、A(Act)それぞ

れの運用管理が連動して行えるように導いてくれる。 P(Plan)はビジョンと戦略を意識しながら D(Do)

とのバランスを常に確認する。D(Do)は、ビジョン・戦略と共に P(Plan)を意識すると同時に職場の担当

レベルでの C(Check)も行うことができる。その上、組織全体での C(Check)はビジョン・戦略・P・Dを

意識しながら診断し、A(Action)の実施に導いていく。ただ、これを組織内に実践してみると部署毎に個

人毎にレベル差が大きく生じたり、言葉でわかってもなかなか思う通りの運用ができないことも多少あ

ると思われる。これらを解決する方法として、運用が容易に管理できる、プラットフォームがあれば、

病院毎に運用マニュアル化や作業の標準化が図れる。 医療 BSC運用管理システムは、この業務のプラ

ットフォームとして、迅速に院内全体の BSC運用及び管理能力や病院内のコミュニケーション能力の向

上を実現することが可能である。

BSC 運用ができる情報システムも、いくつか製品は出ているが、そのなかで、大手メーカからの導入

費用よりはるかにリーズナブルに導入できる製品として発売されたパッケージ製品(MicroBSC-マイク

ロビーエスシー)がある。

解りやすい BSC運用を続ける為には、人や組織体制、ベクトル合わせの意識、業務の共有などの要素

が揃い、この各要素を繋いで迅速に BSCが実行できるようにする必要がある。それを実現する医療 BSC

運用管理システム(MicroBSC:http://zerobaco.com/microbsc/)について、BSC 運用を効率的に活用でき

るポイントを、具体的な例を通して取り上げてみたい。

医療 BSC運用管理システムの活用例

まず、学習と成長の視点で病院の無形資産(人的資本、組織資本、情報資本)を活用し円滑な運用を

サポートするイメージを取り上げてみる。病院業務ではなく、BSC の運用管理業務に限って取り上げて

みると、人的資本としては、戦略策定や戦略実行及び検証に関わるスキル(人材)を持ち、ストレッチ

目標への達成意識に関わる個々の価値観などを必要とする。組織資本としては、策定したビジョン・戦

略の説得力やそれを共有しあう組織文化、戦略実行に必要なリーダシップ、ビジョン達成に至るベクト

ル合わせの意識保持、BSC 運用上で得られるナレッジ共有の為のチームワークなどを、最短で構築する

必要がある。情報資本としては、戦略実行管理・BSC 運用管理をサポートし、院内の無形資産の活用が

迅速に実現できる情報システムを必要とする。

BSC導入時若しくは BSC 運用途中でも、運用の成功を続ける為には、出来る限りのレディネスを揃う

べきであり、そのなか、図表 1 に示した通り、病院業務のみならず、戦略管理における情報資本として

の運用管理システムは、重要な役割を持つ。次のいくつかの例でどのような活用(画面イメージ:図表

2参照)が出来るか取り上げてみると、

図表1.BSC運用管理業務における無形資産の連携

図表2.医療 BSC運用管理システム(MicroBSC)の画面例

・戦略目標の達成管理を下位部署へ自動カスケードし、管理を一元化することができる。

医療 BSC運用管理システムは、上位部署の戦略目標や指標の目標管理の結果を下位部署に自動連携さ

せ、組織を戦略に方向づけることが出来る。

・院内の言葉の統一を最短で実現するコミュニケーションツールとして活かせる。

医療 BSC運用管理システムは、病院内での職種・部署間連携、部署内連携の為に、運用上の情報やナ

レッジが常に開示できるようにする。また提言・提案・指導などのコメントやそれに対するフィードバ

ックを通した課題発見・改善へのコミュニケーション機能も持っている。さらに、医療 BSC運用管理を

ワークフローとして解りやすくした上、コメントを交わすようにし、情報が正確に伝わるようにする。

こういった様々のコミュニケーションに対する履歴までも確認できるので、部署間でベンチマークもで

き、業務や時間管理の効率が上がると期待できる。

・導入時には学習と共に教育ツールとし、運用時にはすぐ慣れることができる運用ツールになる。

医療 BSC運用管理システムは、業務担当者がワークフローに沿って登録作業を行い、メニュー・数値・

色・線などで登録後の確認や診断が出来る。

・医療 BSC運用による全体状況の俯瞰や詳細情報の確認が、ウェブブラウザから確認できる。

医療BSC運用管理システムでは、全体状況の俯瞰や詳細情報の確認・原因の追跡が容易に行えるので、

病院内の迅速な情報確認に基づいて意思決定が速くなる。

ここまでの活用例の通り、学習と成長の視点での戦略目標が上手く達成できる運用基盤を揃えること

が、とても重要なポイントである。

次は、四つの視点の連携がビジョン達成に向かっているのか迅速に俯瞰・診断する為の活用例を含め

て、業務管理面での活用ポイントを取り上げてみたい。簡単に言えば、BSC 運用管理業務に関わる全て

の作業内容の標準化が病院毎に出来るようになる。また、組織変革における改善活動の進捗状況が迅速

に把握・診断・対応できる、運用管理業務のプラットフォームとして使える。その詳細の例を取り上げ

てみると、

・戦略目標間の因果関係の整合性検証が全部署で常に確認できるようにする。

即ち医療 BSC運用管理システムは、検証ツールとしても使われる。(画面例:図表3参照)

図表3.戦略目標間の因果関係の状態表示例(MicroBSC)

・BSC実行ワークフローシステムとして、BSC 運用業務が解りやすくなる。

BSC 業務に対する病院内の業務標準化ができ、該当業務遂行に関わる担当のレベル平準化や後任者へ

の引継ぎ作業が容易となる。

・現行システムと実績データの連携が出来る。

実績データは手入力で管理するだけでなく、電子カルテや医療情報システムなどの現行システムと実

績データを自動連携して表示したり、連携したデータを加工して表示したり、下位部署の実績データを

自動集計して表示したりすることができる。(現行システムのセキュリティポリシー上で直接データを連

携させることが難しい際は、Excelデータに落として自動連携することも可能。図表4参照)

図表4.実績データ登録の流れ(MicroBSC)

・BSC運用体制が最短で定着できる。

BSC導入時また運用中に、医療 BSC運用管理システムを導入することで、運用までのイメージが分か

りやすくなり、その運用体制が早く定着できる。

・戦略実行の進捗状況が戦略テーマ毎に俯瞰できる

色、数値、因果関係に基づいて、戦略テーマ別に進み具合の確認をしたり、特定戦略テーマに該当す

る戦略目標の進捗結果などの情報が常に確認できる。 図表5に表示されている通り、図表5の左の図が、

戦略テーマ別に手書きで書いた戦略マップであり、それをシステム上に実現させたのが右の図だ。右の

図は特定戦略テーマに該当する戦略目標を色別に選別できるようにし、戦略テーマ毎に色や数値を通し

て進捗具合や因果関係が確認できるようにしたものだ。

図表5.戦略テーマを色別に分け、システム上に表示する例(MicroBSC)

・計画修正に迅速に対応できる、PDCA 実施作業のプラットフォーム。

計画と実行にギャップが生じた際に、計画修正を検討する上、迅速に対応できるようにしなければな

らない。すぐ対応せず年度末まで結果を待つと、プロセス管理をして改善したいとの組織全体の意識が

組織のビジョンと共に“絵に描いた餅”になってしまう。改善や変革に向かう意識を組織文化として円

滑につなげるためには、PDCA サイクルが実施できる作業プラットフォームとしての機能を求め、活用

すべきである。

BSC運用時の作業流れのなか、医療 BSC運用管理システムが BSC運用において、PDCA実施作業の

プラットフォームとしての活用範囲は、図表6に示す通りだ。ビジョンと戦略策定後、具体的に作成し

た戦略マップやスコアカードについて、PDCA サイクルに沿って運用管理作業が出来るように実現した

ものである。

図表6.BSC運用において PDCA 実施プラットフォームとしての活用範囲

PDCA 実施における事前意識

このように、組織活性化の重要性とそれをサポートする運用管理システムとしての活用ポイントを中

心に取り上げてみたが、いかに優秀なシステムを入れても、そもそも BSC 運用が成功する為に、BSC

データ管理という観点に限って必ず揃えないといけないものは三つあると考えられる。一つ目は、ビジ

ョン達成に向かう為の正しい計画データを作成することだ。即ちうまく実施してもビジョン達成に向か

ないと BSC運用に対するそもそも論の問題になってしまう。二つ目は、BSC 作成が適切だったのかを検

証する為にも、実行時には常に戦略を意識する上達成できない時の原因や対策を考える認識を持つこと

だ。三つ目がBSCの検証が著しくできる情報システム環境を揃うことだ。この三つは全て連動している。

使うと共に検証する意識に導いてくれる情報システム付の運用環境を持つことで、職場で実施した実績

情報が計画情報や戦略にどのような結果をもたらすのか、また連動している戦略目標との因果関係への

影響はあるのかを検証し、最終的にはビジョンに向かう適切な BSC データに改善していくものになる。

この一連の作業の流れが、運用方法を具体化した PDCA実施そのものになる。

PDCA 実施において、計画に対する作業を実行する職場の担当は、具体的にどのような意識を持って

行えばよいのかは、図表7に示すように、いくつかポイントを理解しなければならない。図表7には、「目

標に対する結果のみならず、プロセスと結果をワンセットとし、その連動について検証を常に行う」、「目

標達成は、各個別戦略目標の達成に限らず、戦略目標間連動して達成する」、「計画に沿って実行すると

の意識のみならず、検証と実行を繰り返して、計画とのギャップを埋める」、「実行結果の確認・診断・

評価のみならず、結果情報間の動的チェックを通し全体で改善していく」などいくつかの理解すべきポ

イントが示されている。これらをしっかり意識して運用すれば、効果的な PDCA実施の根幹になり、毎

年の BSCの進化に繋がる。

図表7.BSC運用時の実績管理に意識すべきポイント

PDCA 実施のワークフロー

その意識をしっかり持った上、次は運用の効率化を図る為の作業環境の基盤を作る。PDCA に沿って

運用業務の標準化を構築する為に、どのようなワークフローで進めたほうがよいのかは、医療 BSC運用

管理システム(MicroBSC)上の作業手順の一部を取り上げた図表8から参考できる。

まず、ビジョン・戦略を策定し、BSC を作成したら、運用の効率化の為に全てデータ化して管理する

必要がある。それを簡単に作業手順として纏めると次のようになる。

大きな作業の流れは、「事前準備(ビジョンと戦略の策定、BSC作成)」→「BSC及び属性情報の登録

(計画登録)」→「実績収集」→「計画・実績情報に基づいたモニタリング」→「改善案策定及び反映」

→「年度締め処理」のようになる。 まず、「事前準備」作業の例としては、BSC 推進体制が揃った上、

ビジョンや戦略テーマ策定及び戦略マップやスコアカードの作成をする。このステップでの登録作業と

しては、BSC に関わるユーザーや部署の登録、戦略テーマ・視点・戦略目標及び重要成功要因に関連す

る各指標など基本情報を事前に登録しておく。

次の「計画登録」作業としては、トップの BSC 情報の登録に加えて、下位部署ではそれぞれカスケー

ドをし、下位部署の BSCを登録するか、目標管理として部署の目標値やアクションプランなどを登録す

る。BSC 運用中に改善案を反映する場合以外、このステップは、年度初に行う作業である。部署内でき

ちんと検討及び合意をし、納得した計画を立てなければならないので、情報システムを使うと、承認や

フィードバックなどワークフロー機能も容易に使える。計画が確定されたら、次は、その計画を実行し、

その実行結果情報を登録する「実績収集」ステップに入る。計画と実績を比較しながら、年度末に計画

した目標が達成できる為には、毎月若しくは数か月毎に実績を測定する必要がある。この測定周期が、

計画と実績のギャップをどれだけ埋めるかを最短で実行する期間になる。BSC 運用に早目に慣れるよう

にする為には、この実績結果を登録するステップが最も重要である。なぜなら、職場の担当(実績情報

の登録者)は、計画と実績のギャップをこのステップで気づき、その原因や対策が分かる訳である。結

果に対するプロセス管理という概念を、職場の担当に無理やりに伝えるよりは、情報システム上での承

認やコミュニケーション機能を通し、自然にその意識がつけられるようにすることが出来る。実績登録

が終わったら、計画に対する達成度がすぐ確認できる。これは全て数値化され、次の「モニタリング」

ステップでは、BSC情報が解りやすく確認できるようになる。「モニタリング」ステップでは、現状把握、

計画と実績の比較、過去と現在の比較、将来の予測などが常に把握できるようしなければならない。情

報システムではこれに導くように過去データや実績根拠情報を蓄積し、モニタリングする担当者に纏ま

った情報を提供する。そこで見つかった課題については、次のステップである「改善案策定及び反映」

で、組織内での十分な提案やフィードバックなどのコミュニケーションを通し、適切な改善案を反映さ

せ、計画修正を行うことになる。修正をかけた計画に対する実行結果も、年度内に診断できるようにす

る必要がある。尺度(指標)の目標値は、年 1 回しか測定できない尺度を除いて、殆どは 1 ヶ月~6 ヶ

月間で測定し、診断や改善の見込みを早めに考えた上、リスクヘッジや改善を同時に繰り返して運用し

なければならない。即ち PDCAサイクルをいかに効果的に回せるかにより、戦略やビジョン達成にたど

り着くことになる。最終的には、ビジョンという明確な到達点にたどり着く為の戦略実行や検証する作

業を組織全体が行えるようになれば、その組織には変革という実が結ばれるはずだ。医療 BSC運用管理

システム上では、このように PDCA に沿って BSC 運用が実現できるようにしたものであり、運用途中

で発生し得るデータ登録のミスや調整に関わる問題についても対応出来るようにし、最後は「年度締め

処理」を通して 1年間の BSCデータを確定することになる。

図表8.医療 BSC運用管理業務のワークフロー(MicroBSC)

BSC 作成・戦略を意識した実行結果の分析・課題導出・改善案策定などは、システムによって自動化

できるものではないので、確かに組織のケイパビリティが求められるものではあるが、BSC 運用作業の

一連の流れは、情報システムを活かすことで、解りやすく標準化することができるので、BSC が継続し

て効果的に運用できるようになる。継続という言葉には、改善を続けるという意味合いがあるとしたら、

確かに情報システム導入は欠かせない選択肢になる。さらに、組織のケイパビリティを向上する為にも、

医療 BSC運用管理システムの導入は、その組織にとって賢い選択肢になるに違いない。

まとめ

継続して円滑に BSC 運用を定着させるためには、学習と成長の視点でいかに BSC 運用が上手くでき

る土台が作られたかが、とても重要なポイントである。組織変革に向かう組織活性化の為に、医療 BSC

運用管理システムを活用し、BSC 情報の管理体制やプロセス及び結果を同時に共有化・見えるかするこ

とが実現できれば、解りやすい BSC運用と共に、効率的で効果的に戦略が実行され、より良い方向に向

う BSCとして最短で定着できる。

データウェアハウス(DWH)やデータマイニングのごとくデータの統合分析・加工・解析する IT技術と

は違い、PDCA実施プラットフォームとしての医療 BSC運用管理システムは、結果データの活用のみな

らず、BSC導入時でも運用途中でも BSC情報を一元化して管理できる運用ツールなので、戦略実行に関

わる運用管理作業を体系的に標準化・簡易化し、実行や運用のみならず計画作成まで円滑に行える環境

を整え、組織の変革に導いていく基盤になる。

BSC を導入すれば組織の変革や経営改善が出来るものかをずっと悩むよりは、どのように運用すべき

なのかを悩んで明確に定義し、必要なレディネスを揃えるべきである。医療制度の見直しや医療経営の

劇的な環境変化について、病院が変革できるチャンスとして発想を変えると同時に、BSC 運用管理シス

テムを活用した医療 BSCが、患者側にも病院側にも、さらに国にもより良い状況への起爆剤になれるよ

うに、続けて努力していきたい。

参考文献

1)高橋淑郎編著(2011)『医療バランスト・スコアカード研究 経営編』生産性出版

2)櫻井通晴外2名監訳(2014)『STRATEGY MAPS(Rober S.Kaplan&David P.Norton)、「戦略マップ」復刻版』東

洋経済新報社