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東京医科歯科大学 国際交流センター紀要・年報 紀 要 5 年 報 平成 23 年度 東京医科歯科大学国際交流センター

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東京医科歯科大学

国際交流センター紀要・年報

紀 要

第 5 号

年 報

平成 23 年度

東京医科歯科大学国際交流センター

目次

第 1 部:国際交流センター紀要 ........................................................................................... 1

近代国民国家の言文一致運動と日本語教材の書き言葉の変遷 ........................................ 2

二漢字語を媒介とした介護専門用語学習の有効性 ―基礎医学術語との比較を通して―

........................................................................................................................................ 14

介護福祉士候補者の国家試験受験に向けた漢字学習順序の提案 .................................. 23

第 2 部:平成 23 年度年報 ................................................................................................. 37

はじめに .......................................................................................................................... 38

沿革 ................................................................................................................................. 39

1. 国際交流推進事業 .................................................................................................... 42

1-1 海外拠点支援事業 ............................................................................................... 42

1-2 国際交流協定関連業務 ........................................................................................ 48

1-3 国際サマープログラム(ISP2011) .................................................................. 53

1-4 来訪者対応 .......................................................................................................... 55

1-5 大学国際ランキング ........................................................................................... 58

1-6 学内文書の英文化作業 ........................................................................................ 59

2. 教育活動 ................................................................................................................... 59

2-1 日本語教育 .......................................................................................................... 59

2-2 英語教育 ............................................................................................................. 63

2-3 相談業務 ............................................................................................................. 64

2-4 留学生チューター教育 ........................................................................................ 66

2-5 日本文化体験イベント ........................................................................................ 66

2-6 キャリア支援 ...................................................................................................... 67

2-7 日本人学生に対する国際化教育 ......................................................................... 69

2-8 大学院 FD (Faculty Development) 活動 .......................................................... 74

3. 地域連携 ................................................................................................................... 75

3-1 防災分野における地域住民と留学生との交流 ................................................... 75

3-2 市川市内の学校との交流 .................................................................................... 78

3-3 文京区との地域連携 ........................................................................................... 80

3-4 文京区との文化活動に関する意見交換 .............................................................. 81

4. 学内連携 ................................................................................................................... 82

4-1 学務部学生支援課 留学生オリエンテーション ................................................ 82

4-2 広報委員会 HP の英語化、Facebook 試行 ...................................................... 82

4-3 スチューデント・センター 就職活動支援 ....................................................... 83

4-4 学務部入試課 ISP 特別選抜 ............................................................................. 83

4-5 JSPS 若手研究者招聘事業シンポジウムへの協力 ............................................. 83

4-6 大学院室 医歯学総合研究科初期研究研修プログラム授業担当 ...................... 84

4-7 学務部教務課 短期来日留学生・研究者サポート、スマートデバイス資材開発・

提供 ..................................................................................................................... 85

5. 教員紹介 ................................................................................................................... 85

資料 ..................................................................................................................................... 92

資料 1 チリ大学医学部との協定書 ............................................................................... 93

資料 2 授業評価 .......................................................................................................... 104

資料 3 GC コーポレート訪問のアンケート調査結果 ................................................. 106

資料 4 国際留学生フォーラム(2011) ..................................................................... 109

資料 5 留学生オリエンテーション .............................................................................. 112

資料 6 JSPS 若手研究者招聘事業シンポジウム ......................................................... 114

第 3 部:各種規定・委員会 ............................................................................................... 117

1

第 1 部: 国際交流センター紀要

2

近代国民国家の言文一致運動と日本語教材の書き言葉の変遷

増田光司(東京医科歯科大学 国際交流センター)

はじめに

明治から、大正、昭和へかけての近代国民国家の形成という文脈の中で、日本語の書

き言葉に現れた最大の変化といえば、従前からの様々な書き言葉文体からの言文一致

体への統一・変換であろう。この書き言葉のダイナミズムの中で、明治 30 年代から本

格化した国内日本語教育はどのように対応したのだろうか。一人の日本語教師の教材

の作成と書き言葉に対する態度の変化を通して、その一端を明らかにするのが本稿の

狙いである。なお、やはり国民国家の形成において話し言葉の教材がいかに標準語の

規範意識に影響を受けたかについては、拙稿 (増田、2011)で分析した(注 1)ので、そ

ちらを参照していただきたい。

本稿では、明治 30 年代から昭和初期にかけての国内日本語教育の第一人者と言える松

本亀次郎(注 2)が著した明治 37(1904)年、大正 3(1914)年、大正 8(1919)年、昭和 9(1934)

年、刊行の 4 教材を中心に置き、それぞれの関わる明治後期、大正期、昭和初期の日

本語、特に書き言葉の状況を普通文と言文一致体の関係を軸に考察していく。

なお、次のように全ての原典の引用を行う。即ち、片仮名に代え平仮名、旧漢字体

に代え現在の漢字体を用いる。しかし、歴史的仮名遣い、送り仮名など原典中の仮名

遣い、句読点、濁点の有無、分かち書き、異字体でなく本来異なる漢字は原典に従う。

また、原典は全て縦書きであるが横書きとする。

キーワード:国語調査委員会、言文一致、普通文、様々な文体、松本亀次郎の書き言

葉観

1. 『言文対照漢訳日本文典』の刊行と明治後期の書き言葉

松本亀次郎著『言文対照漢訳日本文典』(以下、適宜に『日本文典』)は、1904(明治 37)

年に刊行された。さねとう(1970)によれば、40 版を重ねた中国人留学生対象の大ベス

トセラーである(注 3)。なぜ、『日本文典』はかくも洛陽の紙価を高めたのか。また、

どんな日本語・日本語教育が留学生によって求められたのか。『日本文典』の特徴を明

らかにし、当時の日本語の状況の中で如何に留学生のニーズに応えたかを検討する。

1.1. 『言文対照漢訳日本文典』の特徴

この書の特徴は、書題に表されている。文法説明に漢訳を付記した中国語母語話者対

象の日本語文典であるだけでなく、「言」即ち話し言葉である口語と「文」即ち書き言

葉である文語の両方が「対照」されていることである(注 4)。ここで注意すべき 2 点が

ある。第 1 は、現在、文語と言えば中古以来の日本語、すなわち古文を指すが、当時

は書き言葉を意味し、ここでは「普通文」を指す点である (普通文については後述する)。

第 2 は、本書が書き言葉(文語=普通文)の文法解説に主眼を置いたもので、話し言葉(口

語)はその対照として表されている点である。

3

本書の例言第 7 番目(注 5)で、言文一致の説が世に唱道されていることが述べられてい

るが、その状況下で本書が言文二途になる普通文を文語 (書き言葉)に採用していること

に注目したい。

『日本文典』の人気を理解するために、当時の日本語の状況と日本語学習者のニー

ズの両面を考えて、次項に論を進めてゆく。

なお、本稿では、「口語」は当時の話し言葉を意味し、「文語」は、言文一致体を除

く、当時行われていた書き言葉すべてを意味するものとする。現在の通常の用法では、

「文語」は中古以来江戸期までの「古文」を意味するので、注意を要する。

1.2.明治 30 年代の言語状況と国語調査委員会

『日本文典』の刊行の明治 30 年代は、明治維新以来の混沌とした日本語の状況にあっ

て、話し言葉である口語日本語が東京語を中心としてそれなりのまとまりを見せ始め

た時とされる(注 6)。その 1902(明治 35)年 4 月、文部大臣のもとに国語調査委員会が

発足し、近代国民国家の国家語たる日本語(「国語」)の確立のための言語政策実施の第

一歩が、踏み出された。同年 7 月、同委員会の決議事項として以下の 4 方針が公表さ

れた(文化庁、2006)。

一 文字は音韻文字(「フォノグラム」)を採用することとし仮名羅馬字などの特質を調

査すること

二 文章は言文一致体を採用することとし是に関する調査を為すこと

三 国語の音韻組織を調査すること

四 方言を調査して標準語を選定すること

以上の 4 方針で、一が漢字廃止、二が文語文章の廃止を意味することをみれば、委員

会の方針が国字国語改良であることがよくわかるが、これはあくまで方針にすぎず、

一は今日も実現せず、二の実現にも時間を要することになる。委員長の加藤弘之、主

査委員兼主事委員の上田万年に並び、東京高等師範学校長嘉納治亓郎の名がある。嘉

納は加藤らと共に「国字改良会」の発起人であり、宏文学院(注 7)長として松本と深い

関係があるが、当然ながら、それが直ちに松本も国字国語改良論者であることは意味

しない。決議事項の公表は 4 方針のみにとどまらず以下のように続く。

本会は以上四件を以て向後調査すへき主要なる事業とす然れとも普通教育における目

下の急に応せんかために左の事項に就きて別に調査する所あらんとす

一 漢字節減に就きて

二 現行普通文体の整理に就きて

三 書簡文その他日常慣用する特殊の文体に就きて

四 国語仮名遣に就きて

亓 字音仮名遣に就きて

六 外国語の写し方に就きて

この 6 項目は、前述の国字国語改良の前段階として「目下の急に」応ずる経過措置で

あり、二は普通文体あるいは普通文と呼ばれるものが当時行われていたこと、三は書

簡文その他で様々な文体が行われていた状況を物語っている。ここでは国字問題につ

いてふれる余裕はないが、項目二、三の書き言葉の文体に中心を置いて検討する。

4

三の書簡文はいわゆる候文であり、鎌倉時代から書状その他の文書の中で頻繁に用い

られるようになり、明治、大正、昭和まで書簡文として通常の文体であったとされる (注

8)。「その他」の文体は当時行われていた様々な書き言葉の文体、たとえば、漢文訓

読体(漢文直訳体)、欧文直訳体、雅文体 (擬古文体)、俗文体、などであると考えられ

る。

このように、明治維新を契機として、新旧とり混ぜた、様々な文体が行われていたが、

学術・教育・社会活動などの面で近代国民国家にふさわしい学習に難し過ぎず伝達効

率の良い統一された書き言葉が求められるようになった。そこで、明治 20 年代に盛ん

になってきたのが中古以来の文法(現在の古典文法)と漢文訓読体の語彙・表現の基礎の

上に新時代に即応した語彙・表現を採り入れた普通文と呼ばれる新文体であった (注 9)。

明治 30 年代はその完成期とされ、明治期を通して一般に広く用いられた。

一方、近代国民国家によりふさわしい文体として、言文一致の主張があった。これが、

西欧の事例に倣ったことは言うまでもない。西欧では、従来の文語=ラテン語を捨て、

話し言葉にすぎなかった俗語(ドイツ語、フランス語など)を文字言語化し、教育の国民

への普及を基礎に、国民国家の創成・強化を図ったのである。

言文一致体が国民国家の実現・強化のための観念的な理想の文体とするなら、普通文

は新しい現実に即応した自然発生的な文体であった。日本語教師である松本が書き言

葉として、未だ発展途上の言文一致体を選ばず、当時普通に行われていた普通文を選

んだのは、けだし、当然の選択でもあった。また、普通文を中心とはしているが、そ

れに逐一の口語文法、口語文例を付しているのも話し言葉と言文一致体に配慮した日

本語教師らしい配慮と言える。

1.3.『日本文典』と清国人留学生のニーズ

留日学生が話し言葉(注 10)、書き言葉の両方の日本語を求めるのは現代の一般の日本語教

育からすれば自然だが、当時の清国人留学生には以下に述べるような、書き言葉重視の、

文法重視のニーズがあった。

『日本文典』は、40 版を重ねた大ベストセラーとされるが、何故かくも売れたかについて

は、『日本文典』の例言第 1 番目がその事情をよく語っている。要約すれば、日本で学ぶ

学習者(刊行当時は清国人留学生)には 2 タイプがあり、一つは日本に長期滞在し、聞き・

話し・読み・書くの日本語の 4 技能を習得したい者であり、二つ目は短期(8~9 か月)滞在

で日本語の文献が読めるようになればよいという者であった。松本の教える宏文学院では、

前者が普通科の学生、後者が速成師範科の学生であったが、どちらも文法を重視すること

が特徴であった。その理由を学生に言わせれば、日本語と中国語は同文同字であり、文章

の大意は漢字部分をみればわかるが、わからないのは仮名部分で、それを理解するために

是非日本語の文法が必要であるというものであった。つまり、いずれの留学生も普通文の

仮名書き部分を理解するためには文法が第一と考え、よい文典 (文法書)を求めた。しかし、

当時は日本人向けの口語文典が漸く誕生し始めていたときであり (注 11)、清国人留学生向

けの良い文典がなかった。そこに、宏文学院の清国人留学生の教授経験を基にした松本の

『日本文典』が誕生したのである。日本で最初の、充実した内容と漢訳をそなえた、清国

人向けの、書き言葉として最重要の普通文の文典が誕生したのである。これが実に清国人

5

留学生のニーズを満たすものとなったのは自然であり、発売当初から版を重ねた理由であ

る。『日本文典』は留日留学生のみならず日本留学を志す本国の学生にも競って求められた

とされる。

なぜ、当時の清国人留学生の大半が、宏文学院の師範科に限らず、他の留学生教育機関で

も広く法律から警務まで速成科の学生であったか、また、最盛時には 8 千人から 1 万人と

も 2 万人とも言われる(注 12)留学生が日本に滞在していたか、その理由を知るには、当時

の日清間の歴史的背景を把握する必要があるが、ここではこれ以上深入りしない (注 13)。

2. 『漢訳日本口語文法教科書』および『漢訳日本語会話教科書』の刊行と大正期の書き

言葉

大正期は学校教育で標準語化が積極的に進められ、言文一致体が文芸書以外でも広まり、

新聞の社説にも採用されるようになった時期であるが、これに日本語の教材はどのように

対応したのだろう。ここでは、書き言葉である普通文と言文一致体について考察し、書簡

文にも簡単にふれてみたい。

2. 1.『漢訳日本口語文法教科書』の緒言に表れる日本語教材体系

1919(大正 8)年『漢訳日本口語文法教科書』(以下、適宜に『口語文法』)が刊行され

た。この書の刊行が言文一致体の普及と無関係でないのは無論であるが、松本は言文

一致体をどのように認めていたのかを検討したい。

『口語文法』緒言の冒頭で松本は言語教授観を表し、15 歳以上の教育のある者には

男女の別なく、教授の基礎を文法に置いた理論的教授法を用いるのがよいとし、中華

民国留学生が文法を重視することを述べた後、「向(さき)に言文対照漢訳日本文典及び

日本語教科書(語法用例の部)日本語会話教科書(此書専主応用)等を編述せしも、独り口

語文法の一書に至りては、劇務に鞅掌し、未だ世に公にするに遑 (いとま)あらず。」(括

弧の読みは筆者)と述べている。なぜ「独り口語文法の一書」が大幅に遅れたか、につい

ては増田(2011)で検討したが、ここでは松本が日本語教育に必要な教材の体系として、

緒言の順に従えば、文語(普通文)文法典、口語教科書、会話教科書、口語文法典を示し

ていることに注目したい。松本が考える滞日中国人留学生に必要な書き言葉、話し言

葉の領域を教材によって表していると考えらえる。以下では、書簡文の重要度と松本

の言文一致体に対する態度を検討する。

2.2. 『漢訳日本語会話教科書』の付録の書簡文

上項緒言の「日本語会話教科書(此書専主応用)」 (精確には、1914⦅大正 3⦆年刊行の

『漢訳日本語会話教科書』。以下『会話教科書』とする)では、付録の記載部「言文対

照漢訳書簡文語用例」が本文総頁数に対して 1/4 を超えること(付録部分 74 頁)に特色

がある。付録の内容は書簡文体である候文(注 14)の、かなりに詳細な解説と文例であ

る。電話も満足になかった当時に書簡はほぼ唯一の遠隔地間の確実な相互コミュニケ

ーション手段であったことを考えれば、「(此書専主応用)」としたのは、本文の場面シ

ラバスに基づく日常会話例のみならず、書簡文を含めての実用性の高さを指すものと

6

解釈できる。

明治 30 年代は、普通文が文芸書などを除き全盛であったが、言文一致体への支持・変

更が加速したときでもあった(注 15)。そして、大正後期(大正 11 年)には、ほぼ全新聞

が言文一致体に統一された。このような言文一致の潮流に抗して、歴史的に長く書簡

文として定着している候文を、松本は重視し、多くの頁を割いていることになる。そ

の理由は、現実に書簡文として候文が圧倒的に多かったからであろう。ただ、1903(明

治 36)年国定尋常小学読本に言文一致体が採用されて以来、言文一致を教育されてきた

世代が着実に増加していたのも確かであった。この点を松本がどこまで意識していた

かは疑問である。第 2 言語の実用的な教材の作成で、現実に優勢な書簡文体(候文体)

の採用は当然としても、緒言などで、将来の日本語書簡文の在り方についてふれず、

その 6番目で付録について、「亡友舘岡政次郎氏と共に編する所の書簡文大成の一部を、

摘録」したもので「他日世に公にするの機会に達せんことを希ふ」とし、書簡文の将

来を見るよりも亡友との過去の共同作業を重視している感がある。

2.3. 『漢訳日本口語文法教科書』に表れる松本の書き言葉観

『口語文法』緒言に、

四、動詞形容詞助動詞などの語尾変化及び法有る者は文語と同じく六段に排列し、他

日文語文を学ぶ時、読者をして彼此対照し、自ら其の淵源を悟るに便せしむ。

亓、編次は、総説、音韻並に文字、品詞概説、品詞詳説の順序と為し、文章篇は之を

文語文典に譲れり。故に本書を読む者は、切に予が前著言文対照漢訳日本文典を閲せ

られんことを望む。

とあり、松本が、日本語学習を続ける留学生が文語文(普通文)を学ぶようになると考

えていることがわかる。四ではその時のための活用段の工夫、亓に至っては文章論は

普通文に従うと言っている響きがある。『日本文典』では、「文章詳説」は改定増補

版への課題である(例言の第 5 番目)として記載がなく、「文章概説」のみが章立てさ

れている。ここで言う文章論とは、文の成分に関するもので、主語、説明語(述語)、

客語(目的語)などの簡単な説明があり、文例として上段に普通文、下段に口語文が記

載されている(注 4 の写真参照)単純なものである。この程度のものを松本が『口語文

法』中になぜ章立てし、記載しなかったのかは不可解だが、文章論においては普通文

を優先させたことは間違いない。普通文が書き言葉であることを考えれば、言文一致

体を軽視していた、あるいは言文一致が全ての種類の文章には及ばないと考えていた

可能性はある。もしそうであれば、その考えが誤りであったことは、その後の事実が

語るところである。しかし、同時に、この『口語文法』初版が刊行された大正半ばで

は依然として普通文の力が強かったことも物語っている。

2. 4. 普通文と言文一致体

普通文と言文一致体との関係について、山本正秀(1965)は、近代文体の第一要件とし

ての平明性が非言文一致体の上に表れたのが「普通文」の文章運動であり、教科書や

新聞雑誌に採用されたが、普通文以上に通俗でわかりやすい言文一致の口語体に大正

以後、次第に取って代わられたとしている。

7

山本は言文一致運動の時期を 7 期に分けている(注 16)が、第6期「成長・完成前期」は、

明治 43(1910)年~大正 11(1922)年で、松本の『会話教科書』、『口語文法』の刊行がこの時

期にあたる。文芸関係書以外でも口語体を取るものが多くなったが、「しかし未熟な口語文

通有の冗長軟弱性と古い前近代的文章観の残存のために、相手を説伏すべき論説や簡潔荘

重をたっとぶ学術論文や公用文の類には、なお一般には不適当なものとされて認められる

までに至らず、」(p.54)とされている。学術書など留学生が必要とする文章には依然として

普通文の需要が高かったと考えられるが、全体に言文一致体の優位が動かし難くなってき

た時期でもあった。

3. 『訳解日語肯綮大全』の刊行と昭和初期の書き言葉

松本は 1931(昭和 6)年、数え 66 歳の時に東亜高等予備学校の教頭職を退き(注 17)、著述

に集中して、それまでの彼の日本語教育の集大成とも言える (注 18)『訳解日語肯綮大全』

(以下、適宜『肯綮大全』)を 1934(昭和 9)年に刊行した。この書は 5 篇からなるが、その

構成と内容は当時の日本語の状況を表すのみでなく、明治後期より見れば、話し言葉と書

き言葉の日本語とその教育が辿ってきた道程を表しているように思える。

3.1. 『訳解日語肯綮大全』中の普通文

3.1.1.文語文の割合

『肯綮大全』は、「第一篇 仮名と音韻」、「第二篇 語法応用会話」、「第三篇 日本口語

文法大綱」、「第四篇 文語用例一斑」、「第亓篇 外来の新語と時事文」、以上の 5 篇より

なる。それぞれ、篇題の示す通りの内容だが、第一篇と第二篇は口語日本語について

であり、中国語の訳解を付けるなど記述法などは大きく変わるが (注 19)、日本語記述

の内容のほとんどが松本が編集主幹を務めた宏文学院編の『改訂日本語教科書』(注 20)

と同じである。第二篇だけで、本文全 422 頁のうちの 6 割以上(66%)を占め、緒言で

松本自身が「本篇はこの書の根幹である。」と言い切っている。『改訂日本語教科書』

に対応する第一篇と第二篇が、全本文の 7 割以上(71%)を占め、両篇に「第三篇 日本

口語文法大綱」、「第亓篇 外来の新語と時事文」(注 21)を加えれば、『肯綮大全』で取

り扱う内容の殆どが口語および言文一致体であり、普通文などの文語文体は、僅かに

「第四篇 文語用例一斑」の 22 頁、5.2%にすぎない。

3.1.2「第四篇 文語用例一斑」

緒言の「第四篇 文語用例一斑」について、「近頃は、一般に口語が流行で、新聞雑誌

は勿論、教科書まで 口語文で書いた者が、多数であるが、(略) 純粋の口語ばかりで

書いた者は、殆ど無く、多くは口語と文語の混淆文である。」とし、それ故、文語を学

ばなくてはならない、助動詞の例を挙げたのは口語と文語の差異が主として助動詞に

あるからだとしている。助動詞の例とは、文例に傍線を付して「指定」「完了」などの

説明を簡単に付けていることであるが、第四篇の副題「法律文、普通文、漢文直訳体、

中古文、書簡文、証書、届書等一百二十四章」が示すように、様々な文体が列挙され

ている。その中で、普通文はその成立上、漢文訓読体や雅文体との見分けが困難なも

のが多いが、かなり大目に見ても半分の頁量に達しない量 (11.5 頁)である。雅文と見

8

分けがたいものを除けば、普通文は法律文が主体となり、さらにその半分の量 (5.5 頁)

となる。以上は大まかな計算だが、かつて書き言葉の主役であった普通文が、もはや

幾つかの文語文体の一つにすぎなくなっていることを示している。

3.2.口語のための文章編の存在

「第三篇 日本口語文法大綱」で注意すべきは、その下位 2 項目のうち「一、品詞概説」

に続く「二、文章概説」という文章編の存在である。文章編は、『口語文法』では『日

本文典』を見よとして記述されなかったもので、「二、文章概説」の存在自体が松本

の言文一致体の認証であるが、内容も文の成分の記述に止まらず、名詞句、形容詞句な

どの句の分類、単文、複文、重文などの文の構成上の分類、平变文、疑問文などの文の变

述上の分類などが加わり、同時期出版の普通文文典である『日本文典』(改訂 32 版)のレ

ベルを大きく超えている。これら諸点は、松本が、書き言葉として言文一致体を 100%

認めていることを意味している。

3.3. 『訳解日語肯綮大全』刊行時の書き言葉の状況

『肯綮大全』刊行の 1934(昭和 9)年は、山本(1965)の区分によれば(注 16 参照)、第

7 期「成長・完成後期」で、官庁の公用文・法令文・詔書などを除き、「この第 7 期は、

文芸界以外の新聞・雑誌の論文や学術論文また一般の口語体文章の成長・完成期と呼

んでよかろう。」(p.55)とされている期間であるが、『口語文法』刊行の大正中期になお

書き言葉としての文語文を信じていた松本も、ここに至って、中国人留学生向け教材

の集大成とも言うべき書で、言文一致体を主たる書き言葉としてその文章論を記述し、

普通文的な要素には、僅かにふれるに止まらざるを得なくなったわけである。

4. 松本の書き言葉観

以上、明治後期、大正期、昭和初期に刊行された中国人向け 4 教材(大正期は 2 教材)

における松本の書き言葉の取り扱いの変化を見てきた。松本は自ら任じる日本語教師

であり、国字国語についての自分の主張を教材化するようなことはありえず、学生の

ニーズから教材に採用する言語を考えるはずである。だが、現在からみれば、書き言

葉の将来観についてのターニングポイントであったと考えられる大正期 (『会話教科

書』、『口語文法』刊行時)に、松本が的確な書き言葉の将来観を持たなかったことは

これまでの検討から明らかである。何が松本の予測を狂わせたのだろうか。

第一に、言うまでもなく、大正期の書き言葉の混沌とした状況が的確な予測を妨げた

ことが挙げられる。言文一致体が隆盛でも、学術書などでは依然普通文がなお重要で

あり、書簡文では候文がより重要であった。

第二に理由として考えられるのが、松本が国字国語改良に反対であり、それが無意識

に予測を狂わせたというものである。松本が和歌を愛したことは確かだが、明瞭に国

字国語改良に反対した証拠はない。松本が嘉納に認められて宏文学院に聘された原因

となったのが、1902(明治 35)年刊行の佐賀県教育会編纂『佐賀県方言辞典』の執筆(注

22)であるが、これは国語調査委員会の 4 方針(前項 1.2.を参照)の一つの標準語確立の

9

ための方言調査を、先取りして行ったものであり、国語国字改良論者筆頭の上田万年

はこの快挙を知り、辞典作成に関する注意を記した手紙を書き送ったが、それが辞典

に収録されている。また、松本は字音仮名遣いに関しては検討の 4 教材で一貫して音

字一致の表記法を取っている。これらは、間接証拠であり断定には至らないが、松本

がむしろ国語国字改良の協力者である可能性を示唆しこそすれ、否定するものではな

い。字音仮名遣での音字一致の表記法の採用は、松本が、学習者に不必要に言語学習

上の苦労をさせない良識をそなえた日本語教師であることも物語っている。

結局、推察にとどまるが、明治初期の知識人の常としての漢文の高度な教養 (注 23)が

言文一致体の柔弱な表現に馴染まず、务勢になったとはいえ学術書その他で普通文が

使用されている段階で、書き言葉における言文一致体の全分野での普及を信じること

ができず、普通文の学術書等における存続を信じさせたのではないだろうか。自著に

おける漢訳の下書ができるほどの漢文の素養(注 24)が書き言葉の将来を見誤らせたの

ではないだろうかと考える。

おわりに

維新の荒波を経て東京の知識層で使われる話し言葉は、書き言葉に比べれば、明治

20 年代に早くも安定を見せ始め、標準語の母体として期待され、大正期、昭和戦前期、

戦後期を経て、何よりラジオ・テレビの助けを得て、共通語として一定のまとまりと

安定を見せている。明治以来の言語政策が一定の成功を収めたとみることもできる。

一方、書き言葉においては、文体面で、昭和初期にほぼ言文一致体が普及したが、普

通文は、なお、官公庁文書に残り、その終止符が打たれたのは米軍占領期の 1946(昭和

21)年であった。国字問題では、「当用漢字表」および「現代仮名づかい」(共に昭和 21

年)の告示などにより、一応の安定をみた後、仮名遣いは定着したが、漢字制限・廃止

の方針は、その後の 2 度の常用漢字の採用に至って、漢字制限の緩和へと 180 度の転

換を見せている。

話し言葉、書き言葉両者の辿る道筋の違いは、前者が使われていれば言語政策を押し

のけて否が応でも定まっていく人間自然の口頭言語であるのに対して、後者が人間が

作り出した文字に基づく人工の言語(文字言語)であり、意識的学習が必要なために、言

語教育政策の影響をより強く受ける点にあると考えられる。言語教育政策は教育、社

会活動、社会思潮等の要請を受けるものだが、本稿の検討期間 (明治後期~昭和初期)

では国民国家の要請とまとめることができる。本稿では、国民国家の要請に基づく文

字言語(書き言葉)の文体面の変化がどのように日本語教育の教材に現れているかを検

討した。

1. 話し言葉の教材である松本亀次郎の 3 編述書『日本語教科書』、『改訂日本語教科書』、

『漢訳日本口語文法教科書』に表れる日本語(明治後期~大正期)の差異・矛盾点を標

準語への規範意識を基に分析したもの。

2. 松本は、明治 30 年代から第二次大戦前特に昭和 10 年ごろ迄の国内日本語教育の第一

10

人者というべき存在である。1866(慶応2)年、現在の静岡県掛川市に生まれ、静岡師

範学校を卒業、静岡県下で小学校の校長を務めるなどした後、静岡、三重、佐賀の師

範学校で国語の教諭を務めたが、1903(明治 36)年満 37 歳の時、嘉納治亓郎に請われ、

職を辞し上京、嘉納が学院長を務める弘文学院(後、宏文学院と改称)の日本語教授と

なった。1908(明治 41)年、京師法政学堂(於北京)に日本教習として招せられたが、辛

亥革命のため 12 年に帰国、13 年日本語教育を再開、1914(大正 3)年、東亜高等予備

学校を設立し、大震災の被災、経営難など幾多の紆余曲折を経ながらも学校を維持し、

1944(昭和 19)年郷里に疎開するまで、半生を中国人留学生に対する日本語教育に奉じ

た。

3. 筆者は 38 版(1935 年刊行)までを確認した。

4. 以下は『日本文典』第 3 版(1904⦅明治 37⦆年)のレイアウトである(初版も同じ。見開

きの右頁は白紙)。

国立国会図書館・近代デジタルライブラリーより、2012 年 4 月 27 日採録。

http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/863702/24

5. 本書の例言の第 7 番目で、口語表現の複雑さから口語と文語を対照することの難しさ

を述べた後、次のように述べている。

(略) 近来識者言文一致の説を唱道してより、口語は大略二種に区別せらるるが如し。

即対話体と、記述体となり。対話体は、ですありますございますなどの敬語を語末に

添へ、記述体は、特に敬語を要するものを除く外、これを略す。此の書、初めは記述

体と対話体とを並べ挙げ、第三編以下は、独り記述体を用ひて崇敬語を省略せり (略)

ここで、「崇敬語」は「敬語」と同等と考えてよいが、言文一致といっても、話し言葉

と書き言葉の両者の文体・用語が完全に一致することはないという現代では常識とな

っている点も述べられている。

6. 東京語の成立について述べている中村(1948)、松村(1989)などによる。

7. 1896(明治 29)年に嘉納の私塾として始まった清国留学生の教育機関は発展を続けると

もに、1901(明治 34)年に弘文学院、さらに 1905(明治 38)年に宏文学院と改称したが、

11

煩雑になるので本稿では宏文学院で統一する。

8. 平安時代の「候ふ(さぶらふ)」から発して、鎌倉時代以降「候ふ(さうらふ)」として公

的文書にも用いられた。補助動詞として用いられるのが特徴 (佐藤喜代治、1977)。

9. 『日本文典』(初版)の普通文例を挙げる。

日進、春日、両艦回航員、英国人ボイル、ペーンター、リー三氏は、本日参内、天皇

陛下に拝謁仰付けらる。(p.191)

勇武絶倫に渡らせ給ふ大元帥陛下、既に上にあり。されば金枝玉葉の各宮殿下が、夙

に軍国の事に御身を委ね給ふも亦当然なるが、 (略) (p.201)

10. 松本の勤める宏文学院では、1906(明治)39 年に、口語日本語の教科書である『日本語

教科書』3 巻を刊行している。

11. 維新以来、漸くまとまりを見せ始めた口語日本語(東京語が中心)を対象に邦人の文法

典が刊行され始めたのは 1901(明治 34)年からである。松下大三郎『日本俗語文典』、

金五保三『日本俗語文典』などをその嚆矢とする。

12. さねとう(1970)は、教育機関への 2 重登録を考慮し、8 千人としている。

13. 日清戦争後に始まり、日露戦争直後に最も盛んとなった清国からの留学生来日の歴史

的背景には、19 世紀来、欧州列強の侵略を受け、同世紀末にはかつての藩国日本に完

敗した清国政府が、漸く根本的な近代化の必要を認め、費用と効率と政治的配慮から、

西洋文物の導入を、日本を通して始めたという事情がある。1896(明治 29)年の 13 名

の留学生の嘉納治亓郎のもとへの派遣を嚆矢とし、以降留学生は着実に増加し、

1905(明治 38)年には最盛期を迎えたが、その大半は速成科と呼ばれる短期間の様々な

専攻科の学生であった。近代化を急ぐ清国は、当初、速成科留学を認めたが、とりあ

えずの需要が満たされたことと速成科留学生の学力の低さから、1906(明治 39)年速成

科留学生の派遣を中止した。

14. 明治 20 年代以降、候文は漢文訓読調の文体、普通文、言文一致体と並ぶ重要な文体と

して想定されたが、言文一致の普及に伴い、書簡文その他の文書類の中だけに残存す

ることになり、第 2次大戦後はほとんど姿を消すに至ったとされる (林巨樹・池上秋彦、

1979)。

15. 幸徳秋水により新聞文体の、堺利彦(枯川)により書簡文の、言文一致が唱えられてい

る(佐藤喜代治、1977)。つまり、体制派・反体制派を問わず、言文一致を支持する動

きがあった。また、教育面でも言文一致の方針が 1901(明治 34)年に立てられ、口語文

体が小学校教育に採り入れられていく。

16. 山本(1965)は言文一致運動の時期を以下のように7期に分けている (第 1~4 期は省略)。

第 5 期「確立期」1900 (明治 33)年~1909 (42)年:『日本文典』発行の明治 37(1904)

年はこの期に入る。小説の言文一致体採用が、山本の調査によれば、明治 41 年度に

100%に達したが、明治 30 年代 40 年代は他分野では普通文全盛といってよい時であ

った。

第 6 期「成長・完成前期」1910 (明治 43)年~1922 (大正 11)年:文芸関係書以外でも

口語体を取るものが多くなったが、なお、学術論文や公用文の類には認められていな

かった。

第 7 期「成長・完成後期」1923(大正 12)年~1946 (昭和 21)年:官庁の公用文・法令

12

文・詔書などを除き、言文一致体が普及した。

17. 松本は 1925(大正 14)年、東亜高等予備学校を日華学会に譲り渡し、自らは校長を退き

教頭となった。1930(昭和 5)年、4 か月間にわたる中国教育視察旅行を行い、翌年、名

誉教頭となり、第一線を退いた。

18. 同書刊行以後、日本語雑誌『日文研究』の編集に携わるなどしたが、日本語教育書と

言えるまとまった著書がないこと。同書緒言で書名「肯綮」の由来の説明をした後、

中華学生に 30 年余の教授をし、『日本文典』をはじめ多数の著を成し、日本語教育を

「終生の天職とし」、「神技を得たとは言はぬが、日本語教授の真諦と学生の日語を学

ぶに何が進歩を妨げる覆蓋と成って居るかと云うことは、詳悉して遺さぬ積りである。

其処で老後の思い出に、」と語っていること。これらから松本が集大成を意識したのは

明らかと考える。

19. 頁を上下に分け、上段に『改訂日本語教科書』を踏襲した内容、下段に中国語の説明

を新たに設けているのが最も大きな記述法の変化である。

20. 初版は宏文学院編纂 1906(明治 39)年刊行の『日本語教科書』。9 版で大改訂がなされ、

「改訂」の字句を冠するようになった。

21. 第亓篇は全体で 19 頁にすぎず、ラジオの聴解と、新聞の読解を意識したものと思われ

るが、言文一致体で書かれている。

22. 佐賀師範在任中に佐賀県教育会長から命じられ、佐賀中教諭清水平一郎と共に執筆し

たもの。日本最初の方言辞典とされる。

23. 松本は寺子屋宗源庵に通い始めたとき 1873(明治 6)年の学制の施行を受けるが、当時

は依然漢文中心の授業であった。また、松本自身漢文の習得には熱心で、個人指導を

受けたり、遠地の漢学塾に通ったりしている(平野、1982。武田、1995) 。

24. 『会話教科書』の例をあげれば、緒言に、北京にいたとき、同書の漢訳では中国語の

教師と共に「参酌して」あたったと述べている。参酌とは照らし合わせて参考にする

ことであるが、この一事からも松本の漢文の読み書き能力が推し量られる。蛇足にな

るが、生地での筆者の調査時に中国語会話はほとんどできなかったと聞いたことがあ

る。

参考文献

1. 宏文学院編、1927(初版 1906)、改訂日本語教科書(改訂 9 版)、金港堂書籍

2. 国語学会篇、1980、国語学大辞典、東京堂出版

3. 佐賀県教育会編、1902、佐賀県方言辞典

4. 佐藤喜代治編、1977、国語学研究事典、明治書院

5. さねとう けいしゅう、1970、中国人日本留学史増補第1版、くろしお出版

6. 塩沢和子、1991、明治期口語文典の語法、森岡健二:近代語の成立-文体編、明治書院

7. 武田勝彦、1995、松本亀次郎の生涯 ―周恩来・魯迅の師、早稲田大学出版会

8. 中村通夫、1948、東京語の性格、川田書房

9. 林巨樹・池上秋彦編、1979、国語史辞典、東京堂出版

10. 平野日出雄、1982、日中教育のかけ橋 松本亀次郎伝、静岡教育出版社

11. 文化庁、2006、国語施策百年史、ぎょうせい

13

12. 増田光司、2011、大正期の標準語への規範意識と口語日本語教材、日本語教育史論考

第二輯、冬至書房

13. 松村明、1989、増補江戸語・東京語の研究、東京堂出版

14. 松本亀次郎、1904、言文対照漢訳日本文典(初版)、中外図書局

15. 松本亀次郎、1926、言文対照漢訳日本文典(訂 32 版)、富山房

16. 松本亀次郎、1914、漢訳日本語会話教科書、光栄館書店

17. 松本亀次郎、1919、漢訳日本口語文法教科書、笹川書店

18. 松本亀次郎、1934、訳解日語肯綮大全、有隣書屋

19. 安田敏明、1999、<国語>と<方言>のあいだ―言語構築の政治学、人文書院

20. 山本正秀、1965、近代文体発生の史的研究、岩波書店

14

二漢字語を媒介とした介護専門用語学習の有効性

―基礎医学術語との比較を通して―

中川健司(常磐大学専任講師・本センター非常勤講師)

要旨

EPA(経済連携協定)に基づき来日した介護福祉士候補者は、国家試験に合格しなければなら

ない。候補者の国家試験受験に関しては、一般的な意味での日本語力の育成だけでなく、いか

に介護分野の専門知識を習得するかが重要である。本研究では、先行研究で用いられた二漢字

語(専門用語の構成要素となっている漢字二字からなる熟語)を媒介にした専門用語学習とい

うアプローチが介護専門用語についても有効ではないかという考えから、介護教科書の巻末の

索引で取り上げられている見出し語を対象に、そこに含まれる二漢字語の調査を行い、医学分

野の専門用語との比較を行った。

キーワード:介護福祉士国家試験、漢字学習、二漢字語

1.はじめに

2008~2011年度にEPA(経済連携協定)に基づきインドネシア、フィリピン両国から来日した

介護福祉士候補者(以下候補者)の数は751名に上る(フィリピンからはこの他37名の候補者

を就学コースに受け入れた)。現行の制度では、各候補者は4年以内に国家試験に合格できな

い場合、滞在を延長できず帰国しなければならない。国家試験の受験資格として3年以上の介

護実務経験が必要であるため、現時点では候補者は滞在期間中に1回の受験機会しか与えられ

ていない。候補者の国家試験受験に関しては、試験で用いられる日本語の難しさに注目が集ま

りがちであるが、3年以上の介護実務経験、または福祉系高等学校卒業という受験資格を満た

している受験者の合格率が例年50%程度であることを考えると、日本人受験者にとっても決し

て簡単な試験ではなく、一般的な意味での日本語力が高ければ、それで合格できるというもの

ではないことがうかがえる。実際、EPAに関わる日本語教育関係者の中には、候補者は早い段

階から専門的な内容を学ぶべきだという声が尐なくない(1)。

2.候補者の日本語について

候補者は非漢字圏のインドネシア、フィリピン出身であり、日本語学習歴が短い者が尐なくな

い。登里他(2009)によると、2008 年に国際交流基金関西国際センターが受け入れた介護福祉

士候補者 56 名の来日時の日本語学習歴の内訳は、ゼロが 20 名、3 か月以下 28 名、6 か月以下

8 名であった。また、辻他(2010)によると、2009 年度にヒューマンリソシアが日本語研修を

行った EPA 候補者 368 名の研修前の日本語レベルはゼロビギナー289 名、4 級、3 級相当がそれ

ぞれ 53 名、17 名であった。このように、日本語学習歴が短い者が多い介護福祉士候補者が国

家試験に対応できるような日本語力、漢字力を習得するためには、一定期間の系統だった日

本語学習が必要となるが、2008~2010 年度来日の候補者については、組織的な日本語教育は

実質的にはじめの半年間に行われる日本語研修のみである(2)。しかし、国家試験を受験する

ために求められる日本語力を考えると、半年間という時間は決して十分ではない(3)。

15

また、現行の制度では、施設配置後の日本語教育については、国家試験対策を含めて施設に

一任されているが、山崎(2010)や齊藤(2011)が指摘するように施設毎の日本語教育の取

り組みのばらつきが大きいため、必ずしも日本語学習の環境が整っているとは言えない。そ

のため、候補者の日本語力が一定のレベルに達するには、候補者が施設に配置され、国家試

験を受験するまでの3年間のうちのかなりの時間が必要になると推測される。しかし、日本

語力が一定のレベルになる段階まで、専門学習の開始を遅らせる時間的な余裕はないため、

候補者は漢字学習と専門的内容の学習を並行して行う必要がある。ただ、同時に日本語力が

十分でない候補者にとって専門学習の負担は大きく、専門学習の効率性を高めるような学習

支援が必要となってくる。

3.二漢字語を介した専門用語学習について

専門用語の習得は専門分野の学習の基礎をなすが、後述のように介護の専門用語は漢字を含

むものが非常に多いことから、専門分野の内容を学習するためには一定レベルの漢字知識の

習得が不可欠である。そのため、一定レベルの漢字知識を前提とした専門用語学習が必要と

なってくる。

『留学生のための二漢字に基づく基礎医学術語学習辞典(以下学習辞典)』は、医歯学分野の

基礎術語(以下基礎医学術語)を対象とした学習辞典であるが、二漢字語を学ぶことによって

より効率的な専門語学習ができるという考えに基づいて作成されている。ここで鍵になってい

るのが二漢字語という概念である。たとえば、「急性血行性骨髄炎」という語は意味のまとま

りから「急性/血行性/骨髄炎」と区切ることができるが、ここで言う二漢字語とは、この中

の「急性」「血行」「骨髄」のように、一つのまとまりの中で構成要素となっている漢字二字か

らなる熟語を意味する。同辞典では基礎医学術語中の出現頻度が4以上の二漢字語を扱ってい

るが、隈五他(2007)によると、同辞典中の基礎医学術語 7073 語のうち漢字を含むものに限

ると、尐なくとも1語の二漢字語を含む基礎医学術語の割合は約7割に達し、二漢字語を学

ぶことにより、基礎医学術語の習得の効率化がある程度望めることを示唆している。また、佐

野(2011)のように、同学習辞典を実際に EPA 看護師候補者の専門用語学習に活用している例も

報告されている(4)。

本研究では、介護専門用語についても同様のアプローチが有効ではないかと考え、介護教科書

『新版・介護福祉士養成講座』シリーズ(中央法規出版、全 15 巻)の巻末の索引で取り上げ

られている見出し語を対象に調査を行った。その上で、学習辞典の基礎医学術語中の二漢字語

の出現傾向を分析した隈五他(2007)、出現漢字についての分析を行った中川(2010)との比較

を通し、二漢字語を媒介とした介護専門用語学習の有効性を検討する。

4.介護専門用語中の二漢字語について

本章では、二漢字語の抽出方法の手順、介護見出し語中の二漢字語の出現頻度と傾向、二漢

字語を含む見出し語の割合、二漢字語中の単漢字の出現傾向について述べる。なお、4.2 の基

礎医学術語中の二漢字語のデータは隈五他(2007)より、4.3 の基礎医学術語中の単漢字のデ

ータは中川(2010)よりそれぞれ引用した。

4.1. 介護教科書索引の見出し語について

前述の介護教科書の索引の見出し語は全部で 7071 語あるが、複数科目に共通するものが尐な

16

くないため、異なりでは 5369 語となる。本研究はこの 5369 語(以下介護見出し語)を調査対

象とする。そのうち漢字を含む語が 4779 語と全体の 89.0%を占めている。隈五他(2007)による

と、学習辞典の見出し語 7073 語のうち漢字を含む語は 6322 語(89.4%)であり、ほぼ同等の値

であると言える。

4.2. 介護専門用語中の二漢字語の抽出

本研究では、上記の介護見出し語 5369 語から二漢字を抽出するために次の手順を踏んだ。①

前述の見出し語を形態素解析ソフト「chasen Ver2.3.3」と形態素解析辞書「Uni.DocVer.1.38」

により解析、②そのアウトプット結果を目視により確認、修正した。

本研究では増田他(2006)に倣い、以下のものを二漢字語と見なした。

A.漢字2字の熟語で教科書の索引の見出し語となっているもの

B.漢字2字の熟語で他の構成要素と結びついた形で見出し語として索引に複数回出現したも

A の条件を満たしている二漢字語の例として、「介護」「福祉」「連携」「反復」といったもの

が挙げられる。この中の「介護」は、単独で見出し語としても挙げられている一方で「介護給

付」「介護内容」のように他の構成要素と結びついて 335 回出現している。これに対して「反

復」は見出し語にはなっているが、他の構成要素と結びついて出現することはない。そのため、

造語力のある二漢字語とは言えず、これを覚えてもそこから語彙の幅を広げられるとは考えに

くい。しかし、見出し語となっているため、学習上無視できず、便宜上二漢字語として選定し

た。

B の条件を満たしている例として「児童」「計画」「審査」「心肺」といったものが挙げられ

る。これらの語はそれ自体は見出し語になっていないが、他の構成要素と結びつくことにより、

見出し語を形成している。例えば、「児童」は「児童委員」「児童福祉法」など他の構成要素と

結びつくことにより、見出し語中に 21 回出現している。

漢字二字からなる熟語の中には見出し語中の出現回数は多くても、常に一定の形でしか出現し

ないものがある。例えば、「糖尿」という2字の漢字語は見出し語中に全部で 12 回出現してい

るが、その全てが「糖尿病」という形である。そのため、「糖尿」という形では造語力がある

とは考えられず、二漢字語とは見なさなかった。これは「糖尿」という形で学習しても、学習

の効率化に貢献しないと考えたからである。このように、常に一定の形でしか出現しないもの

はいくら出現回数が多くとも、二漢字語とはしなかった。

4.2.1.二漢字語の出現頻度と傾向

上記の抽出作業の結果、延べ 9220 語、異なり 1183 語の二漢字語が抽出された。二漢字語の旧

日本語能力試験の級別割合を表 1 に示す。これを見ると、級外に分類される語彙が全体の半分

近くを占めている。前述のとおり、学習辞典では出現頻度4以上の二漢字語を扱っているが、

これに倣い、介護教科書に見出し語中の出現頻度4以上のものに限定すると、級外のものの割

合は大幅に減り、2、3 級のものの割合が高くなっている。ここから、級外レベルの二漢字語は

出現頻度が低いものが中心であることがうかがえる。また本研究で抽出した介護見出し語中の

二漢字語と基礎医学術語中のそれを比較すると、基礎医学術語では級外のものが 7 割以上を占

めているのに対し、介護見出し語では 3 割以下にとどまっていることがわかる。旧日本語能力

試験の出題範囲の級が、そのまま候補者にとっての学びやすさにつながっていると単純に考え

ることはできないが、この結果から介護見出し語では基礎医学術語ほど難解な語が用いられて

17

いるわけではないと考えられる。

表1 二漢字語の旧日本語能力試験級別割合

対象 介護見出し語 基礎医学術語

全体 割合 頻度 4

以上 割合

頻度 4

以上 割合

級外 538 45.5% 156 29.8% 385 72.0%

1 級 214 18.1% 115 21.9% 54 10.1%

2 級 351 29.7% 203 38.7% 85 15.9%

3 級 73 6.2% 48 9.2% 9 1.7%

4 級 7 0.6% 2 0.4% 2 0.4%

1183 100.0% 524 100.0% 535 100.0%

4.2.2.出現頻度の高い二漢字語

表2は見出し語中の出現頻度の高い二漢字語上位 20 位までのものである。全二漢字語の1%

未満にすぎないこれら 20 語で、二漢字語全体の延べ出現回数の 27%を占める。ここから一定の

二漢字語が繰り返し出現している様子がうかがえる。中村他(2010)で第 14-21 回の介護福祉士

国家試験中の出現頻度が高い語を抽出しているが、表3はその中で二漢字語となる可能性のあ

る、名詞、サ変名詞、ナ形容詞の3つの品詞の高頻度語上位 10 語を示したものである。表2

の*印は中村他(2010)で第 14-21 回の介護福祉士国家試験中の出現頻度が高い名詞、サ変名詞

上位 10 位に入っているものである。ナ形容詞には該当するものがなかった。表3を見ると、

高頻度語の中には国家試験の出題文で主に用いられているもの(「組み合わせ」、「問題」、「記

述」)が入っているが、これらの語の中で、介護見出し語に含まれているものは「問題」のみ

であり、その頻度も3にとどまる。

表2 介護見出し語中の出現頻度上位 20 位までの二漢字語

*は中村他(2010)で上位 10 位に入っているもの

語 級 頻度 語 級 頻度

1 障害* 2 495 11 施設* 1 83

2 介護* 1 335 12 支援* 外 75

3 福祉* 1 215 13 老人 2 67

4 生活* 3 186 14 地域 2 65

5 高齢* 外 159 15 食品 2 62

6 機能 2 142 16 医療 2 58

7 社会* 3 141 17 制度 2 57

8 援助* 2 121 18 計画 3 56

9 事業* 1 108 19 活動 2 53

10 精神 2 105 20 施設 1 83

18

表3 介護国家試験中の高頻度語絶対頻度上位 10 語

*中村他(2010)より

名詞 サ変名詞 ナ形容詞

1 組み合わせ 介護 知的

2 問題 記述 特別

3 障害 生活 大切

4 福祉 利用 有効

5 高齢 援助 十分

6 社会 活動 公的

7 法 サービス 新た

8 保険 支援 明らか

9 身体 施設 円滑

10 事業 訪問 穏やか

4.2.3.二漢字語を含む見出し語の割合

介護見出し語 5369 語のうち、尐なくとも一つの二漢字語を含む語が 4280 語(79.7%)あった。

漢字を含む見出し語 4779 語に限定すると、二漢字語を含む語は 89.6%と約9割を占めている。

学習辞典と同様に出現頻度4以上の二漢字語 524 語に限った場合でも、これらの二漢字語のう

ち尐なくとも一つを含む見出し語が 3730 語(69.4%)あった。隈五他(2007)によると、学習辞

典においては二漢字語のうち尐なくとも一つを含む見出し語の割合は 61.8%であるため、介護

見出し語においても、基礎医学術語と同程度またはそれを上回る学習の効率化が可能であると

考えられる。

また、複数の二漢字語を含むものが、基礎医学術語では 1637 語(23.1%)にとどまったのに対

し、介護見出し語では、頻度4以上の二漢字語に着目すると、2295 語(二漢字語全体の 42.2%)

あった。このように、どの程度理解の手がかりが得られるかという観点で見ると、介護見出

し語の方が基礎医学術語よりも、二漢字語を学ぶメリットは大きいと考えられる。

表4 介護見出し語と基礎医学術語の二漢字語含有状況

介護見出し語 基礎医学術語

含有数 二漢字

語全体 割合

頻度4

以上 割合

頻度4

以上 割合

1 1590 29.61% 1435 26.73% 2732 38.63%

2 1409 26.24% 1175 21.88% 1306 18.46%

3 713 13.28% 619 11.53% 295 4.17%

4 316 5.89% 284 5.29% 31 0.44%

5 155 2.89% 140 2.61% 4 0.06%

6 66 1.23% 50 0.93% 1 0.01%

7 19 0.35% 17 0.32% 0 0.00%

8 5 0.09% 4 0.07% 0 0.00%

19

9 6 0.11% 5 0.09% 0 0.00%

10 0 0.00% 1 0.02% 0 0.00%

11 1 0.02% 0 0.00% 0 0.00%

合計 4280 79.72% 3730 69.47% 4369 61.77%

4.3.二漢字語中の単漢字の出現傾向

これら介護見出し語から抽出した二漢字語 1183語中の出現漢字は延べで 2365字、異なりで 939

字である。その旧日本語能力試験のレベル別割合を表4に示す。2 級以上の漢字の割合が延べ

で 71.4%、異なりで 82.0%に上り、出現頻度4以上の二漢字語 524 語では、2 級以上の漢字の割

合が延べで 69.3%、異なりで 77.9%となっている。ここからも、二漢字語を介して介護見出し

語を学ぶ場合、一定レベルの漢字知識が必要であることがわかる。中川(2010a)によると、

学習辞典の二漢字語の場合、2 級以上の漢字の割合が延べで 78.4%、異なりで 81.8%となって

いる。学習辞典で取り上げた二漢字語は頻度4以上のものなので、同条件のもの同士を比較す

ると、介護見出し語から抽出した二漢字語で用いられる漢字は学習辞典中の二漢字語よりも旧

日本語能力試験 2 級レベル以上の漢字の割外が若干低い。このように、4.2.1 で見た語彙の場

合ほどの違いはないが、漢字の場合も基礎医学術語と比べると低い級のものが使われる傾向に

あることがわかる。

表5 二漢字語中の漢字の旧日本語能力試験級別割合

合計 級外 1 級 2 級 3 級 4 級

二漢字語

全体

延べ 字数 2365 92 468 1129 444 232

割合 100.0% 3.9% 19.8% 47.7% 18.8% 9.8%

異なり 字数 939 78 263 429 117 52

割合 100.0% 8.3% 28.0% 45.7% 12.5% 5.5%

頻度4以

上のもの

延べ 字数 1048 20 196 510 220 102

割合 100.0% 1.9% 18.7% 48.7% 21.0% 9.7%

異なり 字数 567 20 132 290 91 34

割合 100.0% 3.5% 23.3% 51.1% 16.0% 6.0%

基礎医学

術語

延べ 字数 1070 95 297 446 130 102

割合 100.0% 8.8% 25.6% 41.7% 12.1% 9.5%

異なり 字数 538 75 153 212 62 36

割合 100.0% 13.8% 27.0% 39.4% 11.5% 6.7%

では、これら二漢字語中に含まれる単漢字を学ぶことにより実際の国家試験で用いられる漢字

のどの程度がカバーできるのであろうか。頻度4以上の二漢字語に含まれる 567 字(異なり)

で第 14-22 回国家試験全体の延べ漢字の 80.6%、二漢字語全体に含まれる 939 字で 92.3%をカ

バーしている(5)。ここから、二漢字語を学ぶことは国家試験中で用いられる漢字を理解する上

でも有効だと考えられる。

20

5.まとめ

ここまで、二漢字語という観点から介護見出し語と基礎医学術語の比較を試みたが、次の4つ

の傾向が明らかになった。

1)学習辞典と同様に出現頻度4以上の二漢字語 524 語に限った場合、二漢字語のうち尐なく

とも一つを含む介護見出し語が 3730 語(69.4%)あるが、これは基礎医学術語の 61.8%を上回

る。

2)介護見出し語の二漢字語は、基礎医学術語のそれと比べて旧日本語能力試験の低い級の語

彙の割合が高い。

3)複数の二漢字語を含む介護見出し語の割合は、基礎医学術語のそれと比べて高い。

4)介護見出し語中の二漢字語で用いられる漢字は、基礎医学術語のそれと比べて、旧日本語

能力試験の低い級のものの割合が高い。

以上より、介護見出し語については基礎医学術語よりも、二漢字語を媒介にすることによる学

習の効率化が期待できると考えられる。

6.候補者に対する漢字学習支援について

5.でみたように、介護専門用語においても二漢字語を媒介とすれば、学習の効率化がある程

度望めると考えられる。しかし、これはあくまでも医学分野の術語との比較に限った話であり、

候補者が国家試験に向けて一定レベル以上の漢字、語彙知識を要求されているという現実に違

いはない。また、4.3.で見たように二漢字語中には難度が高い漢字が尐なくなく、候補者

には専門用語学習に向けた漢字学習支援が必要である。

現在、著者の研究グループでは、国家試験対応の漢字学習ウェブサイト『介護の漢字サポータ

ー』の開発を計画している。このサイトによって、候補者が国家試験受験に向けて二漢字語を

媒介とした介護用語学習ができるよう支援したいと考えている (6)。(プロジェクトに関する情

報提供サイト:http://kaigokanji.jimdo.com )

付記:本稿は、2011 年度常磐大学課題研究(共同研究)助成研究「社会福祉士国家試験受験

者に対する情報提供を目的とした介護福祉士国家試験データベースの作成とその活用」による

研究成果の一部で、第37回日本語教育方法研究会(2011年9月10日・京都外国語大学)での発

表内容に加筆し、修正を加えたものある。

(1)例えば、第 30 回 JSL 漢字学習研究会(2010 年 9 月 17 日)における口頭発表「EPA インドネ

シア看護師候補生に対する国家試験対策授業の漢字指導(発表者:池田敦史)」後の質疑応答

では、候補者は早い段階から専門用語を学ぶべきだという意見が EPA関係者から複数出された。

(2) 候補者に対する日本語教育を含めた研修制度は当初のものから変更されており、2011 年度

は導入研修の間に母国における3か月程度の予備教育が行われた。また、2012 年度については、

予備教育の期間は 6 か月に延長される。

(3) NPO 法人 AHP ネットワークは現地で 12 カ月の来日前教育 (日本語教育 1680 時間、看護・

介護専門教育 300 時間)、ガルーダサポーターズは現地で 6 か月間の日本語基礎教育及び来日

後1年間の日本語継続教育及び介護教育を行うことを提言している。

(4) 佐野(2011)で学習支援の様子が報告された候補者は 2011 年度(第 24 回)国家試験に合格

21

した。合格を報じる新聞記事で基礎医学術語学習辞典のことが次のように取り上げられている。

「同年4月、看護師試験に対応した語学研修が同医院で始まった。国際教養大・佐野ひろみ教

授らによる月1回の授業のほか、週5回のペーパーテスト。さらに、535ページの学術用語

辞典で7073語の基礎医学術語を覚え、1011ページもある試験問題集を2回こなした。」

朝日新聞デジタル・マイタウン・秋田 2012 年 03 月 27 日

http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000001203270004(2012/3/27 閲覧)

(5) 介護福祉士国家試験の延べ漢字のカバー率の算出には前述のプロジェクトに関する情報

提供サイト(http://kaigokanji.jimdo.com)で公開されている介護福祉士国家試験の漢字カ

バー率ツールを用いた。なお、同サイトでは以下の3種類のツールが公開されている。

①漢字のリストを入力すると、その漢字で国家試験の延べ漢字をどの程度カバーできるか提

示されるツール(第 14-22 回国家試験各回のカバー率)

②漢字のリストを入力すると、その漢字で国家試験の延べ漢字をどの程度カバーできるか提

示されるツール(第 14-22 回国家試験各科目のカバー率)

③単漢字を入力すると、その漢字の第 14-22 回国家試験中の出現頻度と出現漢字 1591 字中の

順位が提示されるツール

(6) 介護福祉士国家試験は、EPA(経済連携協定)候補者が最初に受験する第 24 回(2011 年度)

試験より新カリキュラムに基づくものになる。本稿では旧カリキュラム準拠の介護分野の教科

書の索引の見出し語を調査対象としたが、『介護の漢字サポーター』では、新カリキュラム準

拠のデータを基にしている。

参考文献

(1)隈五正三・中川健司・増田光司(2007)「専門分野の日本語学習辞典の設計―『留学生の

ための二漢字語に基づく基礎医学術語学習辞典』の場合」『2007 年度日本語教育学会春季大会

予稿集』pp.261-262.

(2)齊藤真美・飯島有美子・越山泰子(2011)「EPA による外国人介護福祉士候補者の言語、非言

語的背景―国家試験対策に向けての「学習者オートノミー」育成のため―」『関西国際大学コ

ミュニケーション研究所 コミュニケーション研究叢績』第 9 号 pp.3-15.

(3)佐野ひろみ(2011)「インドネシア人看護師候補生の目的別日本語教育コース―事例報告―」

『第 13 回専門日本語教育学会研究討論会誌』pp.15-16.

(4)辻 和子・小島美奈子・高田 薫(2010)「2009 年度日本・インドネシア経済連携協定に基づ

く看護師・介護福祉士候補者に対する事前研修における日本語研修実施報告―看護・介護の職

場に立つ人材に必要なコミュニケーション力構築の試み―」『日本語教育方法研究会誌』Vol.17

No.2 pp.4-5.

(5)中川健司(2010a)「基礎医学術語を学ぶ上で優先的に学習すべき漢字の選定の試み―二漢

字語及び基礎医学術語中の出現漢字傾向調査を基に―『日本語教育』145 号 pp.62-70.

(6)中村愛・秋本瞳・李在鎬「介護福祉士候補者向け国家試験対策のためのコーパス調査」『2009

年度日本語教育学会春季大会予稿集』pp.300-305

(7)登里民子・栗原幸則・今五寿枝・石五容子(2009)「インドネシア介護福祉士候補者を対象

とする初級からの専門日本語教育研修プログラム」『2009 年度日本語教育学会春季大会予稿集』

pp.176-181.

22

(8)増田光司・佐藤千史・中川健司・隈五正三(2006)『留学生のための二漢字語に基づく基礎

医学術語学習辞典』凡人社

(9)山崎イチ子(2010) 「ポスト EPA の展望と日本語教育~インドネシア人介護福祉士の受け入

れ条項と今後の課題~」『2010 年度日本語教育学会春季大会予稿集』pp.19-22.

23

介護福祉士候補者の国家試験受験に向けた漢字学習順序の提案

中川健司(常磐大学専任講師・本センター非常勤講師)

中村英三(常磐大学准教授)

角南北斗(ウェブデザイナー)

齊藤真美(関西国際大学非常勤講師)

要旨

現行の EPA では介護福祉士候補者は国家試験に合格しなければならないが,その上で漢字

が大きな障壁となっている。候補者は国家試験の全 13 科目を個別に学んでいくため,各科目

の内容に焦点をあてた漢字学習支援が有効だと考えられるが,漢字の出現傾向は科目毎に異

なるため,国家試験受験に向けた漢字学習は 13 科目の学習順と強い関わりがある。そこで,

本研究では,EPA 候補者が国家試験に向けて専門科目を学ぶ場合の適切な漢字学習順序を提案

することを目的に以下の手順を踏んだ。まず,1)介護福祉の専門家を対象とした各科目の内容

的位置づけに関する調査を基にポジショニングマップを作成し,2)候補者が国家試験受験の準

備をする上で 13 科目をどの順番で学ぶべきかを考察した。そして,3)本研究で選定した科目

順に従った場合,各科目学習時にどの程度の漢字を学ぶ必要があるか,過去9回の国家試験の

各科目出現漢字のデータを基に試算した。

キーワード:介護福祉士国家試験,漢字学習,科目学習順

1.はじめに

現行の EPA(経済連携協定)の枞組みでは,就学コースを除く介護福祉士候補者(以下 EPA

候補者)は介護福祉士国家試験(以下国家試験)に合格することを求められている (1)。登里他

(2009:177,181)や辻他(2010:4-5)の報告でも明らかなように,EPA 候補者の中には日本語学習

歴が短い者が多い上,組織的な日本語学習の機会は,2008~10 年度来日の EPA 候補者の場合,

半年間の導入研修に限られている(2)。それらを考えると,EPA 候補者が国家試験を受験し,合

格できるだけの日本語力を習得するのは決して容易なことではない。特に非漢字圏のインドネ

シア及びフィリピン出身の EPA 候補者にとっては,国家試験受験の上で漢字が大きな障壁の一

つとなると考えられる。

武田(2005)は,留学生に対してその留学目的に合った具体的な数の必須漢字を提示すること

が,学習意欲を維持する上で重要であるとしているが,具体的な数を目安として示すことが重

要な意味を持つのは,EPA 候補者の場合も同様である。本研究では,国家試験の専門科目の学

習順序を工夫し,それに沿って新出漢字を提示することによって,専門科目学習に向けたより

効率的な漢字学習が期待できることを示す。

2.先行研究及び既存の介護分野の日本語教材

国家試験で用いられる漢字に関する先行研究には,中村(2010)や中川(2010b)のように,13

科目全体を対象としたものに加え,中川(2010a)のように「医学一般」及び介護3科目を対象

24

表1 国家試験出題科目名(出題順)

科目名

①社会福祉概論

②老人福祉論

③障害者福祉論

④リハビリテーション論

⑤社会福祉援助技術

⑥レクリエーション活動援助法

⑦老人・障害者の心理

⑧家政学概論

⑨医学一般

⑩精神保健

⑪介護概論

⑫介護技術

⑬形態別介護技術

としたものがある。後述するように科目毎に出現漢字の傾向に違いがあるため,科目別の漢字

学習が有効だと考えられるが,個別の科目を学習する際にどの漢字を学ぶべきで,そのような

方法をとった場合,全体としてどの程度の漢字数を学ぶ必要があるかという視点での研究は,

中川他(2012)がある程度でまだ十分ではない。

近年,介護に特化した日本語教材が複数作成されており,その中には介護分野の漢字を扱っ

ているものもあるが,介護現場に着目したものが中心で,中川(2010b)で検証されたように,

国家試験に出現する漢字には必ずしも対応していない。国家試験を見据えた漢字教材としては

『介護の言葉と漢字 国家試験対策 ウォーミングアップ』があり,国家試験に頻出する漢字

や語句を扱っているが,13 科目全体を対象としており,科目毎の対応はなされていない。

3.国家試験の概要と出現漢字について

3.1.国家試験の概要

本研究の調査対象である介護福祉士国家

試験は,1989 年より年1回実施されている。

「社会福祉概論」をはじめとする 13 科目(表

1参照)から成り,問題数は全部で 120 問(1

問1点で 120 点満点),解答形式は5択の選

択式であり,記述式の問題はない (3)。合格す

るためには,前述の 13 科目を 12 に分けた科

目群全てで得点をあげ,なおかつ全体で 60%

程度の得点が必要である。全科目群で得点が

必要であるということは,仮に不得意な科目

があっても 1 問は正解しなくてはならず,EPA

候補者は全科目を学ばねばならないことを

意味している。国家試験の受験資格は 3 年以

上の介護実務経験,または福祉系高等学校卒

業であるが,合格率は例年 50%程度で,日本

人受験者にとっても決して簡単な試験ではないことがわかる。すなわち,一般的な意味での日

本語力が高ければ合格できるという性質のものでないため,通常の日本語学習に加えて国家試

験に向けた専門内容の学習が必須であると考えられる。

3.2.国家試験に出現する漢字

中川他(2012)によると,第 14-22 回の9回の試験に出現した漢字(異なり)1591 字の旧日本語

能力試験のレベル別の割合は,級外 9.1%,1級 35.1%,2級 41.0%,3級 10.1%,4級 4.7%と

2 級以上の漢字の割合が異なりで 85.2%(延べで 65.7%)を占めているため,受験者は高いレベ

ルの漢字知識を要求される。

25

図2 第 14-22 回試験に出現した 1591 字の出現科目数

*中川他(2012)より

図1 第 14-22 回国家試験各科目の出現漢字数

*中川他(2012)より

また,中川他(2012)では,国家試験中

に出現した漢字が国家試験のいくつの

科目で用いられたかを調査しているが,

各科目の出現漢字数(異なり)は,最も

尐ない「精神保健」の 460 字と最も多い

「形態別介護技術」の 952 字を比べると

2倍以上の開きがある(図1)。また,

図2にあるように,13 科目全てに出現し

た漢字は 154 字と全体の 1 割未満であり,

単独の科目にしか出現しない漢字が 328

字と2割強を占めている(図2)。このよ

うに,科目の出現漢字数や漢字の出現科

目数にかなりのばらつきがあるという

結果は,科目毎に漢字の出現傾向に違いがあ

ることを示しており,科目毎の漢字学習が有

効であることを示唆している。

4.調査方法

本研究では EPA 候補者が国家試験受験に向

けて専門科目を学ぶ場合の適切な漢字学習

順序を提案することを目的として以下の調

査を行った。まず,国家試験対策のテキスト

(いとう総研資格取得支援センター 2010)

を参考に 13 科目を内容的関連性が高い科目

群に分類した。次に国家試験各科目の内容的

位置づけを明らかにするため,EPA 候補者と

関わりのある介護分野の専門家に対して,各

科目の内容に関する調査を行い,それを基に各科目の内容的な位置づけを示すポジショニング

マップを作成した。そして,科目間の内容の関連性とポジショニングマップに基づき,効果的

な学習が期待できる科目学習順の選定を行った。そして,中川他(2012)で抽出した科目別学習

漢字を,本研究で選定した科目学習順で学んだ場合,どの段階で 13 科目全ての内容理解に役

立つだけの漢字知識が得られるかを試算した。どの程度のカバー率があれば内容理解の助けに

なるかという基準については詳細な検証が必要だが,本研究では,暫定的に各科目中の出現漢

字(延べ)を 90%カバーするという目標を設定した。

5.効果的な学習が期待できる科目学習順の選定

5.1.科目学習順選定の重要性

まず,なぜ EPA 候補者のために別途科目学習順を選定する必要があるかについて述べたい。

EPA 候補者は国家試験対策を施設配置後早い段階で始める必要があるため,内容理解に十分な

レベルの日本語力を習得してから国家試験の準備に入るという時間的な余裕はなく,限られた

26

日本語力を前提に専門内容の学習計画を立てる必要がある。また,候補者は国家試験で出題さ

れる 13 科目の内容を個別に学んでいくが,日本人の受験者の場合,試験の出題順にしたがい,

1 科目目の「社会福祉概論」から学ぶことが多い。介護福祉士の業務の基盤となっている日

本の社会福祉の歴史や制度についてまず学ぶというのは理にかなっていると言えるが,日本

の社会制度になじみがなく,抽象的な概念を学ぶには日本語力が十分でない候補者が同科目

から学ぶことは非常に困難である(4)。表 1 の科目名からもわかるように,各科目がカバーす

る内容も非常に多岐に渡っており,どの順番で各科目を学ぶかが,候補者の内容理解の上で

重要だと言える。

5.2.科目学習順選定の基準について

本研究では,全体として,候補者にとって学習の負担が小さいと考えられる科目から始め,

そうでない科目を後の段階で学ぶように配慮した。このような配慮を行うのは,登里他(2009),

辻他(2010)の報告でも明らかなように,候補者には日本語学習歴の短い者が多数いるため,国

家試験の準備を始める段階では,日本語力が十分でない者が尐なくなく,尐しでも学習の負担

が尐ない科目から学び始めるのが妥当だと考えられるからである。ここでは,EPA 候補者が国

家試験受験の準備をする上で 13 科目をどの順番で学ぶと効果的に学習できるかを,A.科目

間の内容の関連性,B.科目内容の介護現場への近さ,C.科目内容の具体性という観点から

考察する。

まず,科目学習順を選定した際に用いた基準について述べたい。A.科目間の内容の関連性

を考慮したのは,扱う用語や領域などの内容的な重なりが大きい科目を続けて学んだ方が効率

的な学習ができ,候補者にとって有益だと考えられるからである(5)。本研究ではいとう総研資

格取得支援センター(2010)における科目の分類を基に次の3つの科目群を設定した (6)(各科目

の丸数字は国家試験中の出題順を示す)。

ア)制度系科目群:①社会福祉概論/②老人福祉論/③障害者福祉論

イ)医学系科目群:④リハビリテーション論/⑦老人・障害者の心理/⑨医学一般/⑩精神保

ウ)介護系科目群:⑪介護概論/⑫介護技術/⑬形態別介護技術

また,以下の科目はいずれの科目群にも属さないこととした。

⑤社会援助福祉技術/⑥レクリエーション活動援助法/⑧家政学概論

ア)~ウ)の科目群内の科目は続けて学習するのが望ましいため,学習順が連続すべきだと

考えられる。

また,その科目の内容的な位置づけを明らかにするために,B.科目内容の介護現場への近

さ,C.科目内容の具体性という基準を用いた。Bの基準を採用したのは,中川(2010b:75,77)

によると,「出題科目の中には,介護実務に直結するものと必ずしもそうでないものがある」

ため,「これらの分野の用語については日常的に接する機会が限られるので,介護業務を通し

て学ぶことは期待できず,国家試験受験に向けて別途学習が必要」なことから,科目内容と介

護現場との距離を知る必要があったからである。介護現場と近い科目は,介護現場での日常業

務である程度基礎知識が得られる一方,内容的に介護現場と距離がある科目は理解にも時間が

かかり,学習の負担が大きいと考えられる。また,Cの基準を採用したのは,一般に内容の具

体性の高いものは理解しやすく,抽象性が高くなるにつれて,理解が困難になると考えられる

からである(7)。

27

なお,これらの基準については EPA 候補者と関わりのある介護分野の専門家 15 名を対象に

以下のような調査を行った。調査内容は,国家試験の各科目について,前述のB,Cの 2 つの

尺度から,7点から1点まで 0.5 点刻みで得点をつけてもらうというもので,Bについては内

容が介護現場に非常に近いものを7点とし,介護現場から非常に遠いもの1点とした。Cにつ

いては内容の具体性が非常に高いものを7点とし,抽象性が非常に高いものを1点とした。標

準はいずれも4点である。その調査結果を表2に示す。

表2 国家試験内容の位置づけに関する調査の結果

科目名 現場への近さ 具体性

最頻値 平均値 最頻値 平均値

①社会福祉概論 3.0 2.9 4.0 3.3

②老人福祉論 3.0 4.2 5.0 3.9

③障害者福祉論 5.0 3.7 5.0 3.7

④リハビリテーション論 5.0 4.6 5.0 4.9

⑤社会福祉援助技術 6.0 4.6 4.0 4.6

⑥レクリエーション活動援助

法 5.0 5.4 6.0 5.4

⑦老人・障害者の心理 6.0 5.7 5.0 4.8

⑧家政学概論 6.0 4.2 6.0 4.8

⑨医学一般 6.0 5.6 5.0 5.5

⑩精神保健 5.0 4.4 5.0 4.9

⑪介護概論 5.0 5.4 6.0 5.4

⑫介護技術 7.0 7.0 7.0 6.7

⑬形態別介護技術 7.0 6.8 7.0 6.4

図3-1は,介護分野の専門家からの回答を基に国家試験の 13 科目を位置づけたポジショニ

ングマップである。サンプル数が多くないことを考慮して,15 名の回答の最頻値を代表と考え,

(x,y)としてマップ上に記した。なお,ポジショニングマップ作成時には,標準となる(4.0,4.0)

がマップの中心にくるよう各科目の得点から4を引いた数値を用いた。例えば,「⑫介護

技術」のA,B両項目の得点はそれぞれ 7.0 と 7.0 であったが,座標はそれから4を

引いた( 3.0,3.0)となる。横軸は内容の介護現場との距離を表し,数値が大きいほ

ど科目内容が介護現場に近いものであることを示す。縦軸は内容の具体性を表し,数

値が大きいほど内容の具体性が高いことを示す。図中の丸数字はその科目の国家試験

出題順を表す(表1参照)。

28

図3-1 国家試験各科目のポジショニングマップ

*⑫と⑬,⑥と⑪,⑦と⑨,③と④と⑩はそれぞれ同座標

図3-2 ポジショニングマップ上の各科目群の位置

図3-1のポジショニン

グマップの右方向,上方向にあ

る科目ほど「介護現場に近く」

「内容が具体的な」学習の負担

が小さい科目だと考えられる。

その代表的な科目が「⑫介護技

術」や「⑬形態別介護技術」(図

3-1の実線の円)である。逆

に図3の左方向,下方向にある

科目ほど「介護現場から遠く」

「内容が抽象的な」学びにくい

科目だと考えられる。その意味

で「①社会福祉概論」(図3-

1の破線の円)は 13 科目中最

も学習の負担が大きい科目だ

と考えられる。

5.3.科目順選定の具体的な

手順について

次に5.2.で述べた基準を

科目学習順選定の際にどのよ

うに反映させたかについて述

べる。全体としては,前述のポ

ジショニングマップに基づい

て,学習の負担が小さいと考え

られる科目を先に学び,学習の

負担が大きい科目を後の段階

で学ぶように配慮した。ただし,

Aの基準から内容的な重なり

が大きい科目群に属する科目

を科目群に属さない科目に優

先し,科目群内の科目について

は連続して学ぶことした。図3

-2はポジショニングマップ

での各科目群の位置を示したものである。ポジショニングマップ上で右方向,上方向に位置す

る科目ほど学習の負担が小さいと考えられるので,科目群の中で,ウ)介護系科目群(図3-

2の実線で囲まれた科目)が最も学習の負担が小さく,次にイ)医学系科目群(破線で囲まれ

た科目),そして,ア)制度系科目群(二重線で囲まれた科目)が最も学習の負担が大きいと考

えられる。これらの科目群を「学習の負担小→大」の順番で並べると,ウ)→イ)→ア)とな

り,さらにそれぞれの科目群内の科目を「学習の負担小→大」の順番で並び替えると以下のよ

うになる。

29

表3 本研究で選定した国家試験科目学習順

学習順 科目名(丸数字は出題順)

1) ⑫介護技術

2) ⑬形態別介護技術

3) ⑪介護概論

4) ⑨医学一般

5) ⑦老人・障害者の心理

6) ④リハビリテーション論

7) ⑩精神保健

8) ③障害者福祉論

9) ②老人福祉論

10) ①社会福祉概論

11) ⑧家政学概論

12) ⑥レクリエーション活動援助法

13) ⑤社会援助福祉技術

ウ)介護系科目群:⑫介護技術→⑬形態別

介護技術→⑪介護概論

イ)医学系科目群:⑨医学一般→⑦老人・

障害者の心理→④リハビリテーション論

→⑩精神保健

ア)制度系科目群:②老人福祉論→③障害

者福祉論→①社会福祉概論

なお,ポジショニングマップの座標が同じ

場合には,調査の平均値(表2参照)を基

に学習順を決定した。

また,科目群に属さない科目について同

様にポジショニングマップを基に「学習の

負担小→大」の順番で配置すると以下のよ

うになる。

⑧家政学概論→⑥レクリエーション活

動援助法→⑤社会援助福祉技術

以上のような手順を踏んで選定した科目学習順が表3である。

5.4.本研究で科目学習順選定に用いた基準の妥当性

本研究で科目学習順選定の際に用いた基準の妥当性を検証するため,5.2の調査に回答し

た介護分野の専門家にA.科目間の内容の関連性,B.科目内容の介護現場への近さ,C.科

目内容の具体性の各基準について,5 点満点(5:妥当性が非常に高い,1:妥当性が非常に低

い)で評価を依頼した(回答者 12 名)。その結果,各基準への評価は,A(最頻値:3.0,平

均値:3.8),B(最頻値:4.0,平均値:3.8),C(最頻値:4.0,平均値:3.7)であった。

また,標準偏差は最も大きいC.の項目で 0.77 であり,回答者の各項目の回答に大きなバラ

つきはなかった。これらの評価から本研究で用いた基準は介護分野の専門家から見て概ね妥当

なものであったと考えられる(8)。

6.学習漢字数の試算

6.1.科目別学習漢字について

中川(2010b)は,過去8回の国家試験のデータから,国家試験の出現漢字(延べ)の約 90%

がカバーされる出現頻度 29 回以上の漢字 497 字を頻出漢字とし,優先的に学習すべきだとし

た。ここで言う 90%とは,13 科目全体に対するカバー率であり,個別の科目では必ずしも 90%

カバーできていない(9)。中川他(2012)では,過去9回の国家試験の各科目について,カバー

率 90%程度を目安に,各科目学習時に優先的に学ぶべき漢字(以下科目別学習漢字)の選定を行

った。科目別学習漢字は全部で 923 字あり,旧日本語能力試験のレベル別割合は,級外 31 字

(3.4%),1級 204 字(22.1%),2級 443 字(48.0%),3級 165 字(17.9%),4級 80 字(8.7%)であ

る。

6.2.本研究で選定した科目学習順で学んだ場合の漢字数の試算

候補者は施設配置前の日本語研修で漢字を学んでいるが,登里他(2009)や辻他(2010)による

と,研修担当機関により学習する漢字数は異なる。また,施設に配置後,国家試験の準備を始

30

める時期についても一律ではないため,候補者全員にあてはまる既習漢字数を想定するのは難

しい。ここでは便宜的に旧日本語能力試験3,4級(245 字)の漢字知識のある候補者が国家

試験の準備をする場合を想定する。

各科目学習時の学習漢字数の推移及び 13 科目全体のカバー率を表4に示す。まず,1科目

目の「⑫介護技術」であるが,同科目の科目別学習漢字 412 字のうち 149 字は既習の3,4級

の漢字であるため,この段階では残りの 263 字を新出漢字として学ぶ。この時点では3,4級

の漢字 245 字(この時点の既習漢字)+263 字(同科目の新出漢字)=508 字の漢字知識を持

つことになる。この時点で最もカバー率が高い「⑫介護技術」は 91.3%(表4下線部),最も低

い「⑨医学一般」は 75.7%(波線下線部),13 科目全体では 82.8%(二重下線部)となっている。

その後同様に漢字を学んだ場合,漢字知識が増えるに伴い,13 科目全体の延べ漢字に対するカ

バー率も高くなっていくのがわかる。科目別学習漢字は複数の科目で重複するものが多いため,

個別の科目のカバー率も次第に高くなり,全ての科目のカバー率が 80%を超えるのは2科目目

(学習漢字数 593 字)で,85%を超えるのは 4 科目目(学習漢字数 731 字)である。そして,

8科目目の「③障害者福祉論(表4の網掛けの列)」の時点の学習漢字数 827 字(3,4級の

漢字 245 字+科目別学習漢字 582 字)で全ての科目のカバー率が 90%以上となり,本研究で設

定した目標を達成することになる(各科目学習時の新出漢字については表5を参照のこと)。

このように,本研究で設定した全ての科目の延べ漢字の 90%をカバーするという目標であれ

ば,前述の科目別学習漢字の総数 923 字を全て学ぶ必要はなく,より尐ない数の漢字で内容理

解の助けになる漢字知識が得ることができると考えられる。言い換えると,9科目目以降は,

追加で多くの漢字を学ばずとも,それまでの漢字知識で科目内容に何とか対応できる可能性が

高い。本稿の1.で学習者に対して必須漢字を具体的な数で提示する重要性について述べたが,

本研究では,8科目目までの科目別学習漢字のうち2級レベル以上の 582 字(計 827 字)が,

3,4級の漢字知識がある EPA 候補者が国家試験各科目の学習に向けて学ぶべき漢字数の目安

だと考える。

7.おわりに

本研究では,国家試験の専門科目の学習順序に沿った形で新出漢字を提示することによって,

専門科目学習に向けたより効率的な漢字学習が期待できることを示すことを目的として,以下

の調査を行った。まず,介護分野の専門家への調査を国家試験科目学習順を選定し,それに沿

って,先行研究で示された各科目に頻出する漢字を学んだ場合の学習漢字数の試算を行った。

その結果,全ての科目の延べ漢字の 90%をカバーするという目標であれば,8 科目目の時点の

学習漢字数 827 字(3,4級の漢字 245 字+科目別学習漢字 582 字)で達成できることが明ら

かになった。

近年,EPA 候補者を対象とした介護,看護分野の日本語教育に関する知見が蓄積されつつあ

る。当初は来日前の導入研修の段階における日本語教育の課題が中心であったが,佐野(2011)

や嶋(2011)のように施設配置後の日本語及び専門内容学習の実践の経験が共有されはじめ,

この段階での日本語学習の課題が明らかになってきている。また,先行研究として取り上げた

もののように,当初は漢字や語彙に関するものが中心であったが,介護場面の日本語能力の測

定(宮崎他 2011)や自律的学習能力育成の試み(布尾 2011)など他の技能,能力にも目が向

けられるようになってきている。すなわち,介護現場に入った候補者が,現場での実務や国家

31

表4 各科目学習時の学習漢字数の推移及び 13 科目カバー率

*科目の行の丸数字は出題順を表す

学習順

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

漢字総数 245 508 593 653 731 767 783 810 827 839 855 896 913 923

新出漢字数

263 85 60 78 36 16 27 17 12 16 41 17 10

科目

3,4

⑫ ⑬ ⑪ ⑨ ⑦ ④ ⑩ ③ ② ① ⑧ ⑥ ⑤

各科目学習時カバー率

全 13 科目

35.

3

82.

8

87.

3

90.

4

92.

7

93.

9

94.

4

95.

2

95.

7

96.

1

96.

3

96.

9

97.

1

97.

2

①社会福祉

概論

33.

3

78.

2

81.

2

86.

0

88.

4

89.

7

91.

1

93.

3

94.

8

95.

8

97.

5

97.

7

97.

9

97.

9

②老人福祉

33.

5

81.

1

85.

5

89.

8

91.

9

92.

9

93.

7

95.

5

96.

5

97.

4

97.

7

97.

9

98.

0

98.

1

③障害者

福祉論

34.

9

81.

4

84.

2

88.

3

90.

8

92.

2

93.

3

94.

5

97.

7

97.

9

98.

0

98.

2

98.

3

98.

3

④リハビリテー

ション論

32.

8

85.

0

89.

5

93.

3

95.

0

95.

8

97.

2

97.

4

97.

7

97.

7

97.

8

97.

9

98.

0

98.

0

⑤社会福祉

援助技術

35.

0

83.

6

89.

0

92.

1

93.

0

94.

2

95.

0

95.

2

95.

5

95.

6

95.

8

96.

0

96.

4

97.

8

⑥レクリエーション

活動援助法

40.

1

83.

6

88.

8

91.

9

93.

4

94.

4

94.

7

95.

1

95.

4

95.

6

95.

7

96.

0

98.

0

98.

1

⑦老人・障

害者の心理

36.

9

78.

1

85.

4

89.

3

90.

3

95.

1

95.

4

95.

8

95.

9

96.

0

96.

1

96.

3

96.

7

96.

9

⑧家政学

概論

33.

9

76.

6

81.

0

83.

5

87.

4

88.

6

89.

3

89.

5

90.

5

91.

0

91.

3

96.

3

96.

4

96.

5

⑨医学一般

29.

5

75.

7

80.

9

82.

9

94.

0

94.

7

95.

0

95.

4

95.

5

95.

6

95.

8

96.

3

96.

3

96.

3

⑩精神保健

38.

6

79.

3

83.

3

86.

0

89.

1

91.

5

91.

9

96.

6

96.

8

96.

9

97.

0

97.

2

97.

3

97.

3

⑪介護概論

38.

8

84.

0

88.

6

94.

6

95.

3

95.

9

96.

2

96.

5

96.

7

96.

9

97.

0

97.

4

97.

4

97.

5

⑫介護技術

35.

0

91.

3

93.

5

94.

9

95.

7

96.

2

96.

3

96.

5

96.

7

96.

8

96.

9

97.

3

97.

5

97.

5

⑬形態別

介護技術

38.

7

86.

4

93.

1

94.

3

95.

3

95.

9

96.

0

96.

4

96.

5

96.

7

96.

8

97.

1

97.

3

97.

4

32

表5 各科目学習時の新出漢字

*科目名の括弧内の数字はその科目学習時の新出漢字数

⑫介護技術(263) ⑬形態別介護

技術(85)

⑪介護概

論(60)

⑨医学一

般(78)

⑦老人・障

害者の心

理(36)

④リハビ

リテーション

論(16)

⑩精神

保健

(27)

泄臥痺嚥拭褥瘡腔膀

呆杖徘徊 溺鹸 梗 塞 腺 脊

腿 咽 椎 瘍

膵 潰 萎 踵

1 級

護従障祉援症保態健

士応尿排勧施脱環肢

慮摂睡看潔及促握基

把姿康養節染剤訴整

端爪傷誘膝筋診炎維

避緊離頻控陰

聴視痴素酸提

秘虐激肺励腸

縮膜張眼拘髄

厳興槽

衛 義 価 又

携 己 修 評

善 為 継 故

密 倫 案 統

択 漏 吐 咳

疾 脈 糖 我

徴 菌 蓋 伴

肝 泌 喉 房

腎 策 併 腫

網 甲 核 肥

粘 栓 推 該

慢 抗 索 免

冠 垂 公 句

欄 拡 肪 胞

憶 影 操 響

創 摘 抑 唱

陥 訂 遺 孤

償華

標 廃 擁

展織抽

妄 請 幻

挙 措 条

繰遇酵

2 級

合介適選記関利次述

助組要的活状害福部

齢対定支身感神性精

法取眠内位具能防必

側座情夫期衣設機療

便所浴最換置居常予

移温妻宅回報薬寝相

片認務患観量圧録指

況痛清険実低向洗境

断失減頭血面負交覚

察望好乗湯誤確増判

師談腰替数効果軽化

当解配床等受変個連

器可成制全欲息倒勢

乾燥職因付含

臓装伝他検結

無形練緒守殺

訓静暮忘接流

処様復損門極

液由疲落働過

帯識階苦準両

順亡途路昇耳

娘査歳参専営

構熱単傾葉返

固速将布散命

労 決 改 老

規 毒 域 種

頼 肩 児 供

区 課 末 象

与 治 反 厚

値 信 客 民

団 収 類 資

式 造 役 短

背 庭 触 石

硬 第 胃 率

球 候 群 狭

胸 脂 乳 細

費 折 副 比

産 黄 汗 約

都 各 閉 章

若軟緑卒

達 格 存 積

想 刺 割 満

依 易 簡 違

層 互 否 景

被 独 再 歴

投谷

権 則 降

努 総 育

律 非 包

任 酒 恐

市 村 申

初 府 県

件 快 疑

迷 官 像

盗講

③障害者福祉論(17) ②老人福祉論

(12)

① 社 会 福

祉 概 論

(16)

⑧ 家 政 学

概論(41)

⑥レクリエーショ

ン活動援助

法(17)

⑤ 社 会

援 助 福

祉 技 術

(10)

1 級

帳盲礎宣系宜企

括契就審酬

昭 扶 益 源

監綱

繊 漂 浄 务

融 射 較 購

剰 微 汁 煮

鶏 異 丈 臭

趣 暇 振 鑑

鈴 佐 丁

隣践

2 級

級雇念給未童省責更

協倍済額委超

和 政 号 占

貧 寄 払 募

戦登

塩 卵 商 製

税 蒸 濯 油

販 溶 湿 照

偶 綿 砂 菜

鉄 毛 婚 婦

針光線暴

余 算 賞 踊

編 仲 勝 芸

希菓演戻

了 抱 席

33

試験が,現場での実務や国家試験に向けていかに日本語を学んでいくのかが大きな課題になっ

ているのである。その流れの中で考えると,本研究の調査結果は,国家試験の各科目学習時に

学ぶべき漢字が具体的な数で示されているという意味で,施設配置後,国家試験の対策にこれ

から入るという段階の候補者の漢字学習において有用であると考えられる。しかし,本研究は,

あくまでも旧カリキュラムの国家試験のデータに基づくもので,2011 年度から実施されている

新カリキュラムの国家試験に完全に対応したものではない(10)。また,科目別学習漢字選定の際,

カバー率 90%を基準としたが,国家試験の内容理解にはこの程度のカバー率でよいのかについ

ては,更なる研究が必要である。

謝辞

本報告は第 13 回専門日本語教育学会研究討論会での発表内容に加筆し、修正を加えたもので

ある。本研究中の国家試験の内容に関する調査には、青嵐荘特別養護老人ホーム及び上田福祉

敬愛学院の方々のご協力を得た。ここに記して感謝する次第である。

(1)2012 年 3 月 28 日、第 24 回介護福祉士国家試験の合格者が発表され、EPA 候補者の受験者

95 名(インドネシア 94 名、フィリピン 1 名)のうち 36 名(インドネシア 35 名、フィリピン

1 名)が合格した。合格率は 37.9%であり、当初の予想を上回った。しかし、同試験の全体の

合格率が 63.9%だったことを考えると、候補者にとってこの国家試験は依然大きな壁となって

いると考えられる。

EPA 候補者の第 24 回国家試験の詳細については以下を参照のこと。

厚生労働省報道発表資料「第 24 回介護福祉士国家試験に EPA 介護福祉士候補者36名が合格

しました」<http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000026ivy.html >

(2012/3/ 30 閲覧)

(2)候補者に対する日本語教育を含めた研修制度は当初のものから変更されており,2011 年度

は導入研修の前に母国において3か月程度の予備教育が行われた。また,2012 年度については,

予備教育の期間は 6 か月に延長される。

(3)介護福祉士国家試験は,2011 年度(第 24 回)から新しいカリキュラムに基づくものになる

が,本研究では実際の国家試験のデータを利用することを優先したため,旧カリキュラムの国

家試験を調査対象とした。新カリキュラムに関しては,内容が刷新されるわけではなく,出題

内容に関する切り口が異なるだけなので,いくつか新しい項目が挙げられているとしても,試

験対策をする上で過去の国家試験問題も十分活用可能だと考えられる。過去の問題を活用する

ためにも,旧カリキュラムの内容に関して,基本及び重要項目を押さえることは大切である。

また,これまでの旧カリキュラムに基づく学習方法,指導方法の蓄積を生かすためにも旧カリ

キュラムの科目での学習順序を考えることは有用である。

(4)2010 年 12 月に AOTS(財団法人海外技術者研修協会)が行った EPA 候補者対象の研修では,

「社会福祉概論」,「老人福祉論」といった科目に登場する社会保障制度に関する文章や語彙が

扱われた。研修内容は厚生労働省からの依頼により編成されたものだが,これらの科目につい

ては,以前から,内容が介護の実践から遠く,制度の変更も尐なくないためわかりにくく,指

導が難しいという声が EPA 候補者の所属する施設の指導者から上がっていた。

34

(5)例えば,本研究で設定した介護系科目群について言うと,介護教科書『新版・介護福祉士

養成講座』(中央法規出版)の「介護概論」「介護技術」「形態別介護技術」各巻の索引の見出

し語はそれぞれ 430 語,546 語,653 語あるが,このうち 2 科目に共通するものが 164 語,3

科目に共通するものが 42 語ある。

(6)いとう総研資格取得支援センター(2010:18-19)では国家試験13科目を次のように分類して

いる(各科目の丸数字は国家試験中の出題順を示す)。

・制度系科目:①社会福祉概論/②老人福祉論/③障害者福祉論

・一般教養系科目:⑤社会福祉援助技術/⑥レクリエーション活動援助法/⑦老人・障害者の心

理/⑧家政学概論

・医学・介護系科目: ④リハビリテーション論/⑨医学一般/⑩精神保健/⑪介護概論/⑫介護技

術/⑬形態別介護技術

本研究で設定した科目群は,上記の分類に3点の変更を加えたものである。

まず,医学・介護系科目についてであるが,いとう総研資格取得支援センター(前掲: 19)は

同科目について「病気を発症し治療する→リハビリを実施する→介護をするという一般的な流

れがあります」と述べ,護これらの科目の中でも段階があるとしていることから,本研究では

介護の前段階と実施段階ということで医学系科目群(リハビリテーション論/老人・障害者の

心理/医学一般/精神保健)と介護系科目群(介護概論/介護技術/形態別介護技術)とに分割し

た。

次に,一般教養系科目については,いとう総研資格取得支援センター(前掲: 19)でも「それ

ぞれが独立した内容となっている傾向があり」としているように,同科目群内の科目を続けて

学習することによって利益が得られる可能性は低いと判断し,本研究では一般教養系科目とい

う枞組みは採用しなかった。

また,「⑦老人・障害者の心理」については,内容的に老人や障害者の心理的特徴や対応内

容などが出題されており,「⑩精神保健」における精神障害や認知症疾患に関する内容,また

「⑨医学一般」における加齢,老化に関する内容及び精神的疾患も含む内容と重複が多く見ら

れるため,語彙的関連性も考慮し,連続して学習することによる効果があるものと考え,本研

究では医学系科目群に分類した。

(7)デール(1957:61,133-139)は物事の抽象性に応じた「経験の円錐」を図示し,抽象化の過程

について説明しているが,その円錐の下の具体性の高いものの方が理解が容易であるとしてい

る。

(8)Aの最頻値は標準である3.0とさほど高くないが,この基準に基づく分類は前述の国家試験

対策のテキストでも用いられていること,平均値が他の2つの基準と同等であることから科目

学習順を選定する基準として採用して問題ないと判断した。

(9)この497字の各科目に対するカバー率は幅があり,最もカバー率の低い「⑨医学一般」では

83.2%であった。

(10) 2011年度から新カリキュラムの国家試験が実施されるが,注2でも述べたように,旧カ

リキュラムとは出題内容に関する切り口が異なるだけで,いくつか新しい項目が挙げられてい

るとしても,内容が大きく変更されるというわけではない。本研究で選定した旧カリキュラム

の科目学習順のように,介護系科目→医学系科目→制度系科目→それ以外の科目という順番で

学ぶとすると,一案として以下のようなものが考えられる。

35

学習順 科目名(丸数字は出題順)

1) ⑧介護の基本

2) ⑨コミュニケーション技術

3) ⑩生活支援技術

4) ⑪介護過程

5) ⑤認知症の理解

6) ④発達と老化の理解

7) ⑦こころとからだのしくみ

8) ⑥障害の理解

9) ①人間の尊厳と自立

10) ②人間関係とコミュニケーション

11) ③社会の理解

12) ⑫総合問題

しかし,これについては更に詳細な検討が必要である。

参考文献

(1) いとう総研資格取得支援センター(2010)『見て覚える!介護福祉士国試ナビ 2011』中央

法規出版

(2)佐野ひろみ(2011)「インドネシア人看護師候補生の目的別日本語教育コース-事例報告-」

『第 13 回専門日本語教育学会研究討論会誌』,15-16

(3)嶋ちはる(2011)「EPA 外国人看護師候補生の国家試験学習プロセスに関する縦断的研究」

『2011 年度日本語教育学会春季大会予稿集』, 135-140

(4)武田明子(2005)「研究留学生に対する科学技術専門書読解のための漢字記述語の分析―化

学工学における漢字を含む語―」『東京国際大学論叢 経済学部編』第 33 号,97-112

(5)辻和子・小島美奈子・高田薫(2010)「2009 年度日本・インドネシア経済連携協定に基づく

看護師・介護福祉士候補者に対する事前研修における日本語研修実施報告―看護・介護の職

場に立つ人材に必要なコミュニケーション力構築の試み―」『日本語教育方法研究会誌』,

Vol.17, No.2,4-5

(6)デール,エドガー(1957)『デールの視聴覚教育』西本三十二訳,日本放送協会

(7)中川健司(2010a)「介護福祉士国家試験の介護関連3科目及び「医学一般」中に出現する

漢字の頻度と傾向」『東京医科歯科大学国際交流センター紀要』第3号,2-20

(8)中川健司(2010b)「介護福祉士候補者が国家試験を受験する上で必要な漢字知識の検証」

『日本語教育』147 号,79-92

(9)中川健司・中村英三・角南北斗・齊藤真美(2012)「介護福祉士国家試験科目別出現漢字に

関する調査」『JSL 漢字学習研究会会誌』4号,19-28

(10)中村愛・秋本瞳・李在鎬(2010)「介護福祉士候補者向け国家試験対策のためのコーパス

調査」『2010 年度日本語教育学会春季大会予稿集』,300-305

(11)布尾勝一郎(2011)「インドネシア人 EPA 看護師・介護福祉士候補者日本語研修の取り組

み―バンドンにおける研修を中心に―」『2011 年度日本語教育学会春季大会予稿集』,

297-298

(12)登里民子・栗原幸則・今五寿枝・石五容子(2009)「インドネシア介護福祉士候補者を対

36

象とする初級からの専門日本語教育研修プログラム」『2009 年度日本語教育学会春季大会予

稿集』,176-181

(13)宮崎里司・中野玲子・早川直子(2011)「外国人介護従事者の日本語能力測定のバンドス

ケールの開発について」『2011 年度日本語教育学会春季大会予稿集』,293-294

資料

(1)社会福祉振興・試験センター(2009)『社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 国家試

験 出題基準・合格基準』社会福祉振興・試験センター

(2)社会福祉振興・試験センターホームページ

<http://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html>(2010 年 8 月 23 日閲覧)

(3)日本語指導グループ‘Y’(2010)『介護の言葉と漢字 国家試験対策 ウォーミングアップ』

社団法人 国際厚生事業団

37

第 2 部:平成 23 年度年報

38

はじめに

国際交流センター長 森尾郁子

平成 21 年 4 月に「留学生センター」から「国際交流センター」となり、3 年目とな

った平成 23 年度は、新たに加わったミッションの遂行がようやく形になってきた年で

あったと思う。

まず第 1 は、海外の教育研究機関との協定締結に関する基盤整備である。それまで

学部間協定は部局単位で行い、報告のみが大学本部にされていた状況から、大学間の

みならず学部間協定についても、提案から締結、さらに交流実績の定期的な報告、協

定更新に至る全学的に共通なプロセスを経るようにしたものである。これは平成 21 年

度からワーキンググループを立ち上げて検討し、試行を重ねた結果であり、今後本学

の国際交流活動をさらに高める基盤となるものと期待している。

第 2 は、3 回目を迎えた国際サマープログラム 2011(ISP2011)が新たな展開を遂

げたことである。国際サマープログラムは、本学の研究面、教育面での魅力を海外に

広くアピールするとともに、優秀な若い人材を特にアジアから引きつけることを目的

として開始されたものであり、すでに本プログラムで招聘した方が本学大学院に入学

している。ISP2011 では招聘者を対象として、入試課との連携のもとに大学院博士課

程特別選抜を実施することができた。また、本学をアピールする点では、平成 21 年度

から引き続き、世界大学ランキングに関する情報収集、データ提出などの役割を果た

している。

第 3 点目として、本学がもつ 3 つの海外拠点(ガーナ、チリ、タイ)の事業支援が

あげられる。企画・国際交流担当理事の下に、各拠点には運営管理者が置かれるよう

になり、運営管理者に指名された先生方と国際交流センター教員が緊密に連携しなが

ら、事業が推進されるような形が整いつつある。

以上のように新たに加わったミッションを遂行するとともに、留学生センターの時

代より実施している語学プログラム(6 か月の集中日本語研修コース、選択日本語・英

語コース)や、異文化体験のイベント(留学生対象の日本文化体験や留学生によるお

国紹介、語学講座等)を企画・提供している。

大学の国際化に向け、国際交流センターが担う役割はますます重要になることを、

国際交流センターの各教員が自覚し、学内外の関係部署と連携しながら、職務を遂行

したいと考えている。引き続き、ご指導、ご鞭撻をお願いしたい。

39

沿革

本学は、平成12年4月1日に国立大学としては32番目、医歯学系大学として初

めて「留学生センター」を発足させ、平成21年4月1日にこれまでの留学生センタ

ーを改組し、新たに「国際交流センター」をスタートさせた。これまでも、多くの学

術・学生交流協定が締結されてきたが、それらは各部局単位で実施されていたためト

ータルな情報把握が充分ではない点もあり、国際交流センターでは、本学の国際交流

を一括して管理することを始めた。

本学へ理解があり、母国の医療界で活躍している留学生との繋がりは、本学にとっ

て貴重な財産である。しかし、残念ながら帰国留学生との連絡が途絶えているケース

があるため、留学生に関するデータを一括管理し、彼らとの交流を継続させることに

よって、彼らを本学の国際化推進のサポーターと位置づけ、彼らから本学の教育研究

における課題を学び、教育研究のさらなる向上を図ることとした。

さらに、これからは留学生が来るのを待つだけではなく、世界中から優秀な人材を

積極的に獲得することも必要である。そのために新たな試みとして、平成21年より

国際サマープログラムを開催している。留学前に十分な情報を与えられ留学してきた

学生の満足度は高く、国際交流センターでは、事前の情報提供や適切な受入分野への

橋渡し、留学中の相談サービス、留学後のフォローとさらに一貫した支援システムの

構築を目指している。

平成22年12月には駿河台研究棟から1号館西4階に移転し、新たな挑戦をする

「国際交流センター」に学内外から大きな期待が寄せられている。

40

学 長

役員会

企画・国際交流戦略会議

国際交流推進本部

国際交流を推進する新体制(平成23年度)

国際交流センター

国際交流に関する統括的業務の実施

国際交流センター運営委員会

国際交流推進部会

研究・教育の国際化推進対策

国際医療ネットワークの構築

留学生の確保対策海外への情報発信

協定校との国際交流推進

国際交流関連情報の管理等

国際教育部会

日本語教育、相談業務

英語教育、海外留学の支援

奨学金、チューター制度等

大学院医学部 歯学部 教養部 難治研

生材研

各部局の国際交流委員会

産学連携

海外の学術交流協定校

グローバルCOE

○ガーナ野口研究所○チリクリニカ・ラス・コンデス○タイチュラロンコン大学

国際交流センター事務部

ISPWG 英語版ホームページWG

国際化に関する大学の中期目標・中期計画(平成22年度~27年度)

国際化に関する目標○国際化に関する基本方針・国際化を推進するために学内環境の整備を行うとともに、教育、研究、医療を通じた国際貢献への取組を推進する。

国際化に関する目標を達成するための措置○国際化に関する計画・国際交流センターを中心とした国際化を支援する学内体制を強化する。・優秀な留学生確保のための活動を推進するとともに、秋季入学を拡充し、学習支援、経済的支援を充実する。・国際教育研究拠点網を構築し、リカレント教育や共同研究の実施など国際貢献を推進する。・医療の国際ネットワークを構築し、支援システムを整備するなど国際貢献を推進する。

学生支援課留学生掛

41

企画・国際交流戦略会議

国際交流推進本部

国際化推進対策、国際教育

国際交流推進部会

太田伸生(部会長)

森山啓司

丸 光惠

伊藤暢聡

中島ひかる

宮原祐二

西村栄美

大北葉子

烏山 一

吉田 丘(センタ-事務部長)

森尾郁子

竹本佳弘

国際教育部会

江石義信(部会長)

森山啓司

松浦雅人

伊藤暢聡

杉本久美子

畔柳和代

高久田和夫

樗木俊聡

泉谷双蔵

川口陽子

吉田 丘(センタ-事務部長)

森尾郁子

大野喜久郎(理事)

谷本雅男(理事)

烏山 一(副理事)

川口陽子(学長特別補佐)

中島ひかる 木村彰方(副学長)

高瀬浩造(副学長)

高谷節雄(副学長)

森尾郁子(センター長)

大野喜久郎(本部長)

湯浅保仁(医学部長) 井上智子(保健衛生学研究科長)

影近弘之(生命情報科学教育部長)

影近弘之(疾患生命科学研究部長)

田上順次(医歯学総合研究科長 ・歯学部長)

千葉 司(教養部長)

塙 隆夫(生体材料工学研究所長)

北嶋繁孝(難治疾患研究所長)

谷本雅男(事務局長)

森尾郁子(センター長)

国際化に向けた戦略構築

国際化推進のための企画立案

国際交流センター

国際交流センター運営委員会

森尾郁子(センター長)

吉田 丘 大北葉子 泉谷双蔵 増田光司 ケビン・クレアリー 竹本佳弘

森尾郁子(センター長)

太田伸生(部会長)

江石義信(部会長)

大北葉子 横関博雄 川口陽子

佐々木明子 伊藤暢聡 中島ひかる 宮原祐二 小川佳弘

国際交流センターの組織・運営

平成23年4月1日

42

1. 国際交流推進事業

1-1 海外拠点支援事業

1-1-1 ガーナ

H22 年度に引き続き、文部科学省の主導により 8 大学・2 研究機関が連携した「感

染症研究国際ネットワーク推進プログラム」(J-GRID)の下、本学ガーナ拠点では年度

実施計画に従い、各研究課題の研究活動が実施された。国際交流センターでは、現地

との連絡調整を密にして、発生した課題や問題に対して早急に対応できる体制を整備

し、派遣中の教員の諸手続及び研究費執行面でのサポートを行い、派遣教員が現地で

円滑に活動できるよう支援を行った。拠点活動の広報の一環として、H23 年 10 月にニ

ュースレターを発行し、学内の教職員に活動の周知を図り、ガーナ拠点の研究活動理

解と広報に努めた。また、当センターにおいては、本学医学部 4 年生のプロジェクト

セメスターでガーナ拠点に派遣された学生への渡航前サポートとして、危険情報の提

供や在日ガーナ大使館への表敬訪問に同行するなどの支援を行った。

H24 年 2 月に吉田特任教授及び国際交流課の山本掛長がガーナ拠点に出張し、同じ

くガーナで実施されている地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)の合

同会議へ出席するとともに現地研究施設の視察を行った。また、同時期に実施された

文部科学省と科学技術振興機構(JST)による現地調査の対応を行った。

(報告者 山本哲也)

1-1-2 チリ

平成 23 年 8 月チリ及びエクアドル派遣チーム報告

1. 出張期間 平成 23 年 8 月 13 日から 25 日まで

14 日にサンチャゴ着 15 日から 19 日までサンチャゴにて活動、20 日にサンチャ

ゴからエクアドルのキトに移動、キトでの調査・活動は実質的に 22 日のみ。23

日にキト発。

2. 出張先 チリ及びエクアドル

3. 出張者

江石義信教授(人体病理学)ミッション総括

中村恭一名誉教授(人体病理学)

杉原健一教授(大腸外科学)

河野辰幸教授(食道胃外科学)

43

深町博史准教授(分子生物学)

長堀正和助教(消化器内科学)

吉田丘特任教授(海外協力担当)

(エクアドルのみ CLC からの参加)

伊藤崇助教(人体病理学)

西蔭徹郎講師(食道胃外科学)

Dr. Francisco Lopez(大腸外科学)

4. 報告事項

(1) 出張目的

2010 年 4 月、本学は中南米における研究拠点としてクリニカ・ラス・コンデス病

院(チリ国サンティアゴ, 以下「CLC」と称す)内に、中南米教育研究拠点・略称

LACRC(以下「LACRC」と称す)を開設した。LACRC において本学は、チリ政

府保健省及びチリ大学医学部からの支援を受けて CLC との連携を核に、チリ国の大

腸癌スクリーニング・プロジェクトに取組んでいる。2011 年 8 月現在、本学教員 2

名(人体病理学 伊藤崇助教/食道・一般外科学分野 西蔭徹郎講師)が LACRC

に赴任し活動を開始している。

本出張は、チリ側と共同で実施する二日間の消化器病研修コース (シンポジウム)

を主催することを目的とする他、本学の LACRC を拠点とした国際教育・国際研究・

国際貢献活動を実質的に起動すると共にこれまでの活動に対する振り返りを行い且

つ今後の計画(短期・長期を含め)を CLC 及びチリ側関係と協議を行い、今後の円

滑なプロジェクトの実施に資するためのものである。

また、2010 年度においては本学医学部 4 年生 6 名が、本学教育カリキュラムであ

るプロジェクトセメスターにおいて CLC にて 5 カ月間の研究活動を行ったが、2011

年度についても昨年度同様の規模で予定していることに鑑み、CLC(LACRC)のみな

らずチリ大学医学部でも研究活動の実施を予定していることから、チリ大学医学部

関係者と担当教員の確認と研究活動の内容の確認を行う。

エクアドルに関しては、かねてよりチリ LACRC での活動との関連で、大腸癌ス

クリーニングに対応するプロジェクトの実施について本学に支援を要請されている

ことから、当該分野におけるプロジェクトの実施の可能性についての調査を行う。

(2) チリにおける報告

・CLC・TMDU 主催消化器病研修コースの実施

CLC 及び TMDU にて共同で主催・実施をした消化器病研修コースは、CLC の管

理棟にある講堂にて、8 月 18 日と 19 日の二日間で行われたが、この二日間で全体

では延約 200 名以上が参加をし、同研修コースは盛大に実施をされた。プログラム

は別添のとおりであるが、講師としては出張をした本学の教授 6 名と CLC の医師・

研究者及びその他にアメリカやブラジルから関連分野での研究者及び大学関係者が

務めた。また、本研修コースにおいては、当該消化器病の疾患についての日頃の研

44

究成果が発表された他、それぞれの講義者に対して活発な質問がなされ、LACRC

における国際研修会二回目として成功裏の内に研修コースを開催することが出来た。

・LACRC における今後の活動方針についての協議・検討

プロジェクトのカギを握っていた FONDEF 2010 年の取得が困難になったこと

から、今後の円滑な大腸癌集団研修プロジェクトの実施について若干の不安を持た

ざるえ終えない状況が続いていたが、19 日 17 時 30 分から、CLC の本件担当であ

る Dr. Francisco Lopez を伴い、保健大臣 Dr. Manalich と協議を持つことが出来た

が、同大臣より 2011 年 11 月 1 日より保健省としてサンボルハ病院の強化について

約 40,000 千円の予算を付ける旨表明があった。右については、今後とも同病院の強

化特に内視鏡訓練センターの充実を急ぐ必要があり、注目をしていかなければなら

ないが、同病院における関連施設が強化されることにより、本大腸癌集団検診プロ

ジェクトが大きく一歩前に前進することになると考えられる。

また、CLC との打ち合わせの中で、今年度分子生物学分野の科学技術研究員が仮

採択になり、来年度から TMDU から派遣される専門家は 3 名となる旨確認を行う

と共に、本科学技術研究員の正式採択に向けての手続き等について当方より説明を

すると共協力を求めたところ、CLC 側からは『本プロジェクトにとって重要な事柄

に一つなので協力したい。』旨の発言を得ることが出来た。科学技術研究員の新たな

派遣との関連で、従来 LACRC の中には LACRC 専用ラボがなく上記プロジェクト

の進捗にも影響が出る可能性があり、なるべく早期に本科学技術研究員のラボにつ

いて設置されるべきである旨示したところ、CLC 側からは、LACRC 専用ラボにつ

いては既に計画策定が進んでいるのみならず、CLC の敷地内に現存する CLC 病院

専用ラボの隣にスペースが確保されている旨返答があった。現時点では工事中であ

るが、遅くても本年 12 月までには工事が終了し、LACRC の専用ラボが完成する予

定の由であった。

・チリ大学医学部と本学医学部 4 年生のプロジェクトセメスター中の研究活動の確認

チリ大学医学部との協議では、先般の協定書に署名をした学部長は参加できなか

ったが、副学部長が参加をし、TMDU の学生が今年度初めてチリ大学医学部におい

て受け入れることに関して歓迎の意を表した。今般 10 月からのチリ大学医学部の受

け入れは、本学医学部学生 6 名のうち 3 名ということになっているが、その担当指

導教官とも面会をすることが出来、同上学生の研究活動について適宜確認をするこ

とが出来た。

・日本大使館と JICA 支所に対しての LACRC の活動についての説明

日本大使館では、林大使に対して TMDU が行ってきた大腸がんプロジェクトの

進捗状況と TMDU の今後の計画についてブリーフしたところ、実際に目に見えて

実績を残していただいているこのようなプロジェクトの存在意義は大きく、今後と

も日本大使館として協力・支援をしていく旨表明がなされた。また、チリ国の人々

にもさらに広報をしていくという観点から、積極的に支援を惜しまない旨の言葉を

45

いただいた。JICA 事務所においては、科学技術研究員の今後の手続きについて説

明をすると共に、今後の課題として本科学技術研究員の C/P の研修について来年度

の要望調査に含めていただくようにお願いをしたところ、状況について理解をして

いただき JICA 事務所限りではあるが、来年度の要望調査に同専門家の C/P として

の研修員を加えていただくことを確認することができた。

その後、JICA 事務所からは今年度の要望調査には手続きが間に合わない旨 (締切

が 8 月 26 日)連絡があったが、C/P 研修の重要性には基本的に変わりはないことか

ら、CLC とも相談をしながらタイミングを見て計画を策定ししかるべき時期に

JICA の行う要望調査に載せていくこととする。

(3) エクアドルにおける報告

今般のエクアドルでの本派遣団の日程について、実質的に活動できたのが二日間

とかなり厳しかったこともあり、エクアドルにおける大腸癌に関する情報は、

TMDU 派遣団がエクアドル滞在中は十分に得ることが出来ず、今後更に情報収集を

していく必要性を感じた。ただし、今井日本大使館大使と高井 JICA 支所長の同席

の下、エクアドル保健省副大臣と面会をすることが出来、その席上で同副大臣は、

チリでの大腸癌スクリーニング・プロジェクトに関心を強く示すのみならず、エク

アドルにおいても出来る限り早いタイミングで同プロジェクトを実施したいのでど

のような支援・協力も日本側(TMDU)に対して惜しまない旨の発言があった。今

井大使及び髙井支所長からは、TMDU のチリでのプロジェクト実施に高い評価をし

ていただいた上で、現時点における ODA 予算配分の重点国・地域及び重点分野と

は若干ずれている側面もあること、チリとエクアドルの状況は全く違うこと、エク

アドル政府からの日本の援助に対する評価が高いということとは別にあらゆる面に

おいて同政府内での手続きの遅さに起因するプロジェクト実施上の困難性も考慮に

入れる必要がある旨アドバイスがなされた。

平成 24 年 1 月チリ派遣チーム報告

1. 出張期間 平成 24 年 1 月 7 日から 16 日まで

8 日にサンチャゴ着 9 日から 14 日までサンチャゴにて活動、14 日にサンチャゴ

発。

2. 出張先 チリ

3. 出張者

江石義信教授(人体病理学)ミッション総括 (JSPS 予算で出張)

吉田丘特任教授(海外協力担当)

本出張は、現在 JICA において仮採択がなされている分子生物学分野の科学技術研

究員派遣について、本採択に資するための事前調査を行い、JSPS 外部コーディネータ

46

ーとして本プロジェクトの本学責任者である江石教授が JSPS の予算で派遣されたが、

その支援を行うこと、また、本学の LACRC を拠点として行われている大腸癌スクリ

ーニング・プロジェクトの実施を更に強化し展開していくために、これまでの活動に

対する振り返りを行いかつ今後の新しい計画を形成する (JICA 予算にて今年度中に受

入れる予定の研修員の来日計画策定と草の根技術協力事業への参入のための準備 )準

備を行うことが主な目的である。また、2011 年度においては 2010 年度に引き続いて

本学医学部 4 年生 6 名が、本学教育カリキュラムであるプロジェクトセメスターにお

いて、CLC とチリ大学においてそれぞれ 5 カ月間の研究活動を行っているが、右研究

活動の様子をモニタリングすると共に必要に応じてアドバイスを行った。

主な出張目的は以下の通り。

本チームの目的

・科学技術研究員の本採択に向けての資料収集と準備

・CLC 及びチリ大学医学部と本学医学部 4 年生のプロジェクトセメスター中の研究活

動の確認

・JICA の草の根技術協力事業の提案に伴う準備と関係方面への根回し

・今年度中に受入予定の研修員の来日計画のための準備

・日本大使館と JICA 支所に対し、これまでの実績と今後の計画についての説明

報告

・科学技術研究委員の本採択に向けて

江石教授と共に CLC 関係者と競技をした結果、平成23年度科学技術研究員派遣事業

にかかる申請書を作成した。特に、チリ CLC 側は本科学技術研究員ために日本側がチ

リ川と共同で研究をするためのラボ新設のための工事に着手をしており準備状況も万

全と思われた。

・草の根技術協力事業も含めた新規案件の発掘について

[第三国研修について]

本チームは、活動日の初日である9日(月曜日)に在サンチャゴ日本大使館及び JICA チ

リ支所を訪問し、これまでの TMDU の活動を説明すると共に今後の活動に関して支援

と協力を仰いだが、特に日本大使館からは、これまでの TMDU の活動に対し評価をし

ていただくと共に敬意を持って接して頂いた他、大腸癌スクリーニング・プロジェク

トについては、『南々協力』のひとつの良い案件のひとつに成り得るとのアドバイスを

受けた。このような状況を受けて別件でチリ外務省に表敬訪問をした際に、大腸癌ス

クリーニング・プロジェクトにかかる第三国研修事業に関し説明を行い、今後の計画、

実施に向けて確認をしたところ、極めて良い印象を持って対応をいただくと共に今後

の実現に向けて協力をしていただくことになった。

[(JICA の行う草の根技術協力事業について]

同チームから草の根技術協力事業の制度について CLC 関係者に説明をすると共に、現

47

在実施中の大腸癌集団研修プロジェクトと関連付けた健康診断強化プロジェクトを草

の根技術協力事業として JICA に対して提案を行うことについて確認を行うことがで

きた。チリ側 CLC からは、原則は了解をいただいたが、対象地域や実際の行動計画に

関して色々な意見が出された。今後ともチリ側 CLC の意見を集約しつつ、適切な調整

を行った後に、草の根技術協力事業としての提案書の作成に着手していきたいと考え

る。

・今年度中に受入予定の研修員の来日計画のための準備

「今年度中に受入予定の研修員の来日計画のための準備」に関しては、本チームの訪

チ以前に、JICA との交渉の中では、今年度内の実施は種々事由から困難との感触を得

ていたため、チリ側 CLC 関係者に対しては日本側の検討結果を伝えると共に、今後の

計画を考える上でも、実質的には、まず科学技術研究員派遣事業のステージが現時点

での『仮採択』から『本採択』とすることを確認した。また、今後新しい課題として

大腸癌集団検診プロジェクトをひとつの軸とした第三国研修事業を形成して行くこと、

その形成過程において CLC 幹部に本邦研修をさせることについて新しい第三国研修

事業の枠組みに含めることを検討することを確認できた。

(報告者 吉田 丘)

1-1-3 タイ

TV 会議システム導入

本学は、チュラロンコーン大学と 20 年以上に及ぶ教育・研究分野における協力関係

がある。その活動のさらなる進展のために 2010 年に国際交流センターとチュラロンコ

ーン大学歯学部が中心となり、チュラロンコーン大学内にチュラロンコーン大学-東

京医科歯科大学研究教育協力センター(CU-TMDU 研究教育協力センター)を開設し

た。本年度は、両校における交流をよりスムーズに展開するために、CU-TMDU 研究

教育協力センター内と本学の講義室・国際交流センター留学生ラウンジ等に高解像度

ビデオ会議システムを設置した。現在、両校間でセミナー、シンポジウム、研究の打

ち合わせなど様々な目的で本システムを利用している。今後は、高解像度である利点

を生かして様々な臨床研究への応用や講義の共有化などを検討しており、本システム

を介してより実質的な研究・教育へ利用していきたい。

JSPS ポスター発表

CU-TMDU 研究教育協力センターでは、2011 年 10 月 15 日(土)にバンコク (Siam

City Hotel, Bangkok) において開催された JSPS-NRCT セミナーにおいてポスター発

表を行った。このセミナーは日本学術振興会(JSPS)と National Research Council of

Thailand(NRCT) が主催するセミナーで、Study and research opportunities in

Japan and perspective of Thailand by Japanese social scientists をテーマにバンコ

クで開催された。本セミナーの主な目的は、タイの学生・研究者を対象としてタイに

拠点を置く日本の大学のタイにおける活動の紹介と、日本へ留学を考えている学生へ

日本で学ぶ良さや、タイに拠点を置く大学における留学・研究の機会を紹介すること

48

である。本学を含めてバンコクに拠点を置く日本の大

学から 14 大学 17 機関の参加し、拠点紹介とポスター

展示を行なった。本学もポスターに加えて、大学概要

や大学ニュースなど各種の資料を用意し、本学の紹介

を行った。

ニュースレター

CU-TMDU 研究教育センターにおける活動を広報する目的で、ニュースレターの発

行を予定している。2011 年度は発刊の準備を行い、いつくかの試作を行った。内容は

本センターのニュース、タイで活躍する同窓生のニュース、タイ在住日本人の皆さん

への情報提供等、様々な検討を行っている。2012 年度から正式に発行する予定である。

(報告者 竹本佳弘)

1-2 国際交流協定関連業務

1-2-1 新規協定締結・更新支援 チリ大学との協定新規締結

本学の海外拠点の一つであるラテンアメリカ協力研究センター(LACRC)は、チリ

国サンチャゴ市にある有力な私立病院の一つであるクリニカ・ラス・コンデス (CLC)

に設置されているが、その開所式出席及び大腸癌スクリーニング・プロジェクトに直

接に関連する大腸癌関連シンポジウム参加のために平成 10 年 2010 年 8 月に学長を含

む 8 名の教員が出張したが、その際にチリ大学医学部より本学との教員・研究者・学

生交流のための協定の締結について提案があり、この提案に対応したのがチリ大学医

学部との協定新規締結である。

2010 年 10 月より本学からチリ大学医学部の医学教育病院の一つである CLC に 6 名

の本学医学部学生(4 年生)がプロジェクトセメスターの一環として5カ月間派遣され

た実績があるが、平成 23 年度にも同様にプロジェクトセメスターの一環として 6 名が

派遣され、右派遣は本学術交流協定に基づいた初めてのケースである。今後、本協定

に基づいて、チリ大学からの留学生受け入れや LACRC を中心にしてチリ大学医学部

との共同研究の推進が期待できる。また、平成 22 年度から開始されている LACRC 内

で実施されている大腸癌関連シンポジウムからの成果を共有することにより当該分野

での人的交流の促進を図ることが出来る。(資料 1 チリ大学医学部との協定書)

(報告者 吉田 丘)

49

1-2-2 協定校との交流実績

No. 系統 国・地域 協定先機関 種類 授業 料 不徴

収の有無

1 医学系 チリ クリニカラスコンデス病院と

チリ国保健省

学術 ×

2 医学系 イギリス インペリアル・カレッジ医学部 学術 ×

3 医学系 タイ チュラロンコーン大学医学部 学術 ×

4 医学系 ガーナ ガーナ大学野口医学研究所 学術 ×

5 医学系 チリ チリ大学医学部 学術 ○

6 医学系 イギリス シェフィールド大学看護・助産学

学術 ×

7 医学系 フ ィ ン ラ

ンド

セイナヨキ応用科学大学 学術 ○

8 医学系 フ ィ ン ラ

ンド

タンペレ大学看護学科 学術 ○

9 医学系 アメリカ ワシントン大学看護学部 学術 ×

10 医学系 アメリカ コロラド大学デンバー校看護学

学術 ×

11 医学系 台湾 国立陽明大学 学術 ×

12 歯学系 大韓民国 ソウル大学校歯科大学 学術 ×

13 歯学系 大韓民国 慶北大学校歯科大学 学術 ×

14 歯学系 大韓民国 慶北大学校歯科大学 学生 ○

15 歯学系 大韓民国 全南大学校歯学部 学術 ×

16 歯学系 大韓民国 全南大学校歯学部 学生 ○

17 歯学系 タイ チュラロンコーン大学歯学部 学術 ×

18 歯学系 タイ チュラロンコーン大学歯学部 学生 ○

19 歯学系 タイ マヒドン大学歯学部 学術 ×

50

20 歯学系 タイ マヒドン大学歯学部 学生 ○

21 歯学系 タイ チェンマイ大学歯学部 学術 ―

22 歯学系 タイ チェンマイ大学歯学部 学生 ○

23 歯学系 タイ ソンクラ王子大学歯学部 学術 ×

24 歯学系 タイ コンケン大学歯学部 学術 ×

25 歯学系 タイ ナレスワン大学歯学部 学術 ×

26 歯学系 タイ シーナカリンウィロット大学歯

学部

学術 ×

27 歯学系 中 華 人 民

共和国

吉林大学口腔医学院 学術 ×

28 歯学系 中 華 人 民

共和国

大連医科大学口腔医学院 学術 ×

29 歯学系 中 華 人 民

共和国

北京大学口腔医学院 学術 ×

30 歯学系 中 華 人 民

共和国

首都医科大学歯学部 学術 ×

31 歯学系 中 華 人 民

共和国

首都医科大学歯学部 学生 ○

32 歯学系 中 華 人 民

共和国

同済大学口腔医学院 学術 ×

33 歯学系 中 華 人 民

共和国

同済大学口腔医学院 学生 ○

34 歯学系 中 華 人 民

共和国

内蒙古医学院 学術 ×

35 歯学系 中 華 人 民

共和国

内蒙古医学院 学生 ○

36 歯学系 台湾 台北医学大学口腔医学院 学術 ×

37 歯学系 台湾 国立台湾大学医学部歯学科 学術 ×

38 歯学系 台湾 高雄医学大学口腔医学院 学術 ×

39 歯学系 イ ン ド ネ

シア

インドネシア大学歯学部 学術 ×

51

40 歯学系 シ ン ガ ポ

ール

シンガポール大学歯学部 学術 ×

41 歯学系 マ レ ー シ

マラヤ大学歯学部 学術 ×

42 歯学系 マ レ ー シ

マラヤ大学歯学部 学生 ○

43 歯学系 デ ン マ ー

コペンハーゲン大学健康科学部

歯学科

学術 ×

44 歯学系 ミ ャ ン マ

ヤンゴン歯科大学 学術 ×

45 歯学系 ミ ャ ン マ

ヤンゴン歯科大学 学生 ○

46 歯学系 ベトナム ホーチミン医科薬科大学歯学部 学術 ×

47 歯学系 ベトナム ハノイ歯科大学 学術 ×

48 歯学系 モンゴル モンゴル健康科学大学歯学部 学術 ×

49 歯学系 モンゴル モンゴル健康科学大学歯学部 学生 ○

50 歯学系 ス リ ラ ン

ペラデニヤ大学歯学部 学術 ×

51 歯学系 カ ン ボ ジ

カンボジア健康科学大学歯学部 学術 ×

52 歯学系 ラオス ラオス国立大学医科学部歯学科 学術 ×

53 歯学系 イギリス キングスカレッジロンドン歯学

学術 ×

54 歯学系 イギリス キングスカレッジロンドン歯学

学生 ○

55 歯学系 チェコ マサリク大学医学部口腔科学科 学術 ×

56 歯学系 チェコ マサリク大学医学部口腔科学科 学生 ○

57 歯学系 アメリカ ペンシルベニア大学歯学部 学術 ×

58 歯学系 アメリカ ハーバード大学歯学部 学術 ×

59 歯学系 アメリカ ノースキャロライナ大学歯学部 学術 ×

52

60 歯学系 アメリカ ノースキャロライナ大学歯学部 学生 ×

61 歯学系 アメリカ カリフォルニア大学サンフラン

シスコ校歯学部

学術 ×

62 歯学系 カナダ マギル大学歯学部 学術 ×

63 歯学系 オ ー ス ト

ラリア

メルボルン大学健康科学部歯学

学術 ×

64 生材研 イギリス ストラスクライド大学バイオエ

ンジニアリングユニット

学術 ×

65 生材研 イギリス ロンドン大学クイーンメアリ

ー・アンド・ウエストフィールド

校生体医用材料総合研究センタ

学術 ×

66 生材研 ス ウ ェ ー

デン

リンシェピン大学医用生体工学

学術 ×

67 生材研 ポ ー ラ ン

ポーランド科学アカデミーバイ

オサイバネティクス・生体工学研

究所ならびにバイオサイバネテ

ィクス国際センター

学術 ×

68 生材研 大韓民国 慶北大学校生体材料研究所 学術 ×

69 生材研 中 華 人 民

共和国

北京大学口腔医学院 学術 ×

70 難研 シ ン ガ ポ

ール

国立シンガポール大学腫瘍研究

学術 ×

71 難研 タイ チュラロンコーン大学歯学部 学術 ×

72 難研 フランス リヨン高等師範学校 学術 ×

73 難研 大韓民国 ソウル国立大学分子生物学・遺伝

学研究所

学術 ×

74 疾 患 生

命・難研

ポ ー ラ ン

グダニスク医科大学 学術 ×

75 疾 患 生

命・難研

ドイツ ドイツリウマチ疾患研究センタ

学術 ×

76 疾 患 生

命・難研

中 華 人 民

共和国

中国医科大学 学術 ×

77 疾 患 生

命・難研

中 華 人 民

共和国

北京協和医学院 学術 ×

53

78 疾 患 生

命・難研

ベトナム ハノイ医科大学 学術 ×

79 疾 患 生

命・難研

ベトナム ハノイ医科大学 学生 ○

80 疾 患 生

命・難研

イギリス ダンディー大学 学術 ×

81 疾 患 生

命・難研

ドイツ ハイデルベルグ大学生命情報学

学術 ×

82 疾 患 生

命・難研

ドイツ ハイデルベルグ大学生命情報学

学生 ○

83 疾 患 生

ドイツ フンボルト大学 学術 ×

84 疾 患 生

ドイツ フライブルグ大学 学術 ×

85 疾 患 生

イギリス グラスゴー大学大学院生命医科

学研究科

学術 ×

86 疾 患 生

命・生命

情報

中 華 人 民

共和国

上海センター 学術 ×

1-3 国際サマープログラム(ISP2011)

1-3-1 実施趣旨

本プログラムを通して、本学を広く世界にアピールするとともに、優秀な外国人留

学生確保に資する。

1-3-2 実施体制

企画・国際交流戦略会議―国際サマープログラム企画 WG―国際交流センター事務部

国際交流課

国際サマープログラム企画 WG 名簿

*委員

烏山 一教授(企画・国際交流戦略会議)

木村彰方教授(企画・国際交流戦略会議)

水島 昇教授(医歯学総合研究科・医学系) 副座長

関矢一郎教授(医歯学総合研究科・医学系)

和泉雄一教授(医歯学総合研究科・歯学系)

山口 朗教授(医歯学総合研究科・歯学系) 招聘講師紹介者(Dr. Jing)

西村栄美教授(難治疾患研究所・研究部・教育部)

田賀哲也教授(難治疾患研究所・研究部・教育部) 座長

54

安田賢二教授(生体材料工学研究所) 招聘講師紹介者(Dr. Hyllner)

森尾郁子教授(国際交流センター)

*オブザーバー

竹本佳弘特任教授、吉田丘特任教授、大北葉子准教授、泉谷双蔵准教授、ケビン・ク

レアリー准教授、増田光司准教授(以上、国際交流センター)

石橋秀昭学務部長、増田当洋教務課長、木川政夫入試課長、後藤嘉信国際交流課長

会議開催状況

平成 22 年 10 月 19 日 ISP2011 準備の会

平成 22 年 12 月 27 日 第 1 回企画 WG

平成 23 年 1 月 21 日 第 2 回企画 WG

平成 23 年 2 月 16 日 第 3 回企画 WG

平成 23 年 3 月 29 日 第 4 回企画 WG

平成 23 年 4 月 25 日 招聘参加者選考委員会

平成 23 年 4 月 26 日 第 5 回企画 WG(持ち回り審議)

平成 23 年 5 月 16 日 第 6 回企画 WG

平成 23 年 6 月 27 日 第 7 回企画 WG

平成 23 年 9 月 27 日 第 8 回(最終)企画 WG

ISP2011 開催期間

平成 23 年 8 月 28 日~31 日

1-3-3 招聘参加者募集・選考状況

アジア諸国 16 カ国・地域(ベトナム、中国、バングラデシュ、タイ、ネパール、マ

レーシア、スリランカ、インド、モンゴル、韓国、カンボジア、パキスタン、ミャン

マー、インドネシア、タジキスタン、香港)、69 名の応募者から、本学への留学の可

能性、出身国、男女のバランス等を考慮して、14 カ国・地域(ベトナム、中国、バン

グラデシュ、タイ、ネパール、マレーシア、スリランカ、インド、モンゴル、韓国、

カンボジア、パキスタン、ミャンマー、インドネシア)、23 名を選考した。

1-3-4 ISP2010 の反省点を踏まえた ISP2011 プログラムの特徴

1) 招聘参加者に配慮した内容(難易度を考慮し、特にレクチャーコースでは、専門

的になりすぎず、テーマ「臓器再生の基礎と臨床」の導入・概要を提示する方向性を

講師間で共有)

2) 招聘参加者と講師、招聘参加者と本学教員・学生とのより密度の高い相互交流

・国際的に活躍する本学出身の講師の招聘(留学を希望する参加者にとってのロール

モデルとしての役割)

・個別研究室訪問(将来の留学先として具体的なイメージを膨らませる。指導教授と

の面談の機会を提供する。参加者から好評だったため時間を増やした。)

・ポスターセッション(WG 委員をファシリテーターとし、本学留学生も加わる。交

55

流の場とする)

・昨年度に引き続き、本学留学生をアルバイトとして起用(双方向の情報伝達)

1-3-5 次年度以降の検討事項

1) 実施目的

アウトリーチ、ブランドネームを宣伝する方法としてプログラムを用いることとし

ながらも、より多くの優秀な留学生を確保することも目的とする二面性を持たせる方

向とする。

2) テーマ・プログラム構成

引き続き、学術プログラムを中心に構成し、神経系に関連するテーマを選択。本学

出身の講師を招聘する。

3) ISP 大学院特別選抜との連動

通常 9 月末に実施されている医歯学総合研究科博士課程入学試験を、ISP 開催期間

前後に別途開催することが必要となる。また、募集要項・願書等の英文化も必須とな

る。

〈参加者アンケート結果〉

研究室訪問については、仮に ISP を入試と連動させるならば研究室訪問に充てる時

間を増やすこと、シンポジウムに関しては、参加者が尐ないとの意見があり、来年度

については、周知方法について考える必要があることが確認された。全体をとおして、

スケジュールにあまりゆとりがないとの意見が多かったが、それ以外のアンケート結

果は概ね良好であった。

1-4 来訪者対応

1-4-1 5 月 サウジアラビア・アルジョーフ大学長

5 月 30 日(月)の午後、サウジアラビアのアルジョーフ大学から学長以下3名が、本

学を訪問し、大山喬史学長を表敬訪問したのち、歯学部において歯学教育、研究に関

する情報交換と今後の協力の在り方について、田上歯学部長等と協議を行った。

H. E. Prof. Dr. Mohammad Omar R. Budair, Rector of Al-Jouf University

56

Dr. Momtaz Mohamed Yehya Hegab, HR Consultant, Al-Jouf University

Dr. Eng. Essam Bukhary, Cultural Attache of Royal Embassy of Saudi

Arabia-Cultural Office in Japan

1-4-2 6 月 在ガーナ日本大使

6 月 8 日(水)の午後、片上慶一大使に代わり、ガーナに着任する二階尚人大使が大

山喬史学長を訪れた。

1-4-3 10 月 ガーナ大学長

10 月 15 日(土)にガーナ大学学長、Professor Ernest Aryeetey が本学を訪問し、大

山喬史学長、大野喜久郎企画・国際交流担当理事、ガーナ拠点の責任者である太田伸

生教授と懇談したのち、短時間ではあったが、学内見学(木下淳博図書館情報メディ

ア機構長による図書館見学、谷口尚副学長による顎顔面補綴外来見学等)を行った。

野口研からの留学生である Dr. Francis Dennis Ekow、同研究所への派遣予定である

魚田博士や前年度にプロジェクトセメスターでガーナを訪れた医学科生にも会われた。

57

1-4-4 10 月 チュラロンコーン大学歯学部長

10 月 6 日(木)開催のシンポジウムに参加するために訪問したタイ王国・チュラロン

コーン大学歯学部長の Dr. Wacharaporn Tasachan と夫君の Mr. Anak Tasachan、Dr.

Sutas Tantrajak が大山喬史学長を表敬した。

1-4-5 10 月 チリ大学副医学部長

10 月 24 日(月)にチリ大学副医学部長の Vivaldi 教授が本学を訪問した。

12:00

12:30頃

12:50

13:00

14:30

15:00頃

16:30

江石教授 東京ドームホテルにお迎え

本学到着

学長室にて懇談(20分程度):写真撮影

大山学長

湯浅医学部長

江石教授

宮崎准教授

(大野理事は手術のため欠席)

本学からタクシー出発(2台)

帝国ホテル東京(東京都千代田区内幸町1-1-1)へ

帝国ホテル東京にてご会食

Vivaldi教授(チリ大学副医学部長)

本学大山学長

湯浅医学部長、江石教授、宮崎准教授

会食後 タクシーで本学へ(往路と同じ2台)

本学到着

学内見学

M&Dタワー

3階図書館→2階鈴木章夫記念講堂(施設部長会議開催中)→

26階ファカルティーラウンジ(施設部長会議懇親会準備中)

医病地下1階救急外来

内線5803、62012(工藤)

本学からタクシー出発

東京ドームホテル

1-4-6 3 月(2012 年) フィンランド・セイナヨキ市長、セイナヨキ応用科学大学理事長

日時:2012 年 3 月 8 日(木)

訪問者:Jorma Rasinmaki セイナヨキ市長、Timo Paavola セイナヨキ応用科学大学

理事長、Helli Kitinoja セイナヨキ応用科学大学国際マネジャー、他

対応者:国際交流センター竹本佳弘特任教授、大学院保健衛生学研究科・佐々木明子

教授、国際交流センター職員

58

セイナヨキ応用科学大学は本学保健衛生学

研究科と提携関係にある。3 月 8 日、セイ

ナヨキ市長、セイナヨキ応用科学大学理事

長他セイナヨキ関係者及び千葉大学国際交

流センターの担当者の訪問を受けた。セイ

ナヨキ市は仙台にリエゾンオフィスを構え

ており、今回あらたに千葉大学内に設けた

セイナヨキ応用科学大学国際交流センター

の開所式への参加のために市長、理事長を

はじめ多くの関係者が来日され、千葉大学に引き続き本学を表敬訪問された。セイナ

ヨキ応用科学大学の本学国際交流センターへの訪問は今回で 2 度目であり、参加者の

多くは竹本特任教授と面識があったため、終始和やかな雰囲気で表敬訪問が行われた。

セイナヨキ市が日本との地域連携に興味を持たれているとのことであったので、竹本

特任教授より専門分野である日本のバイオ産業クラスター政策を中心とした情報提供

を行い、本学を含めた広い視点での国際連携に関する意見交換を行った。

(報告者 竹本佳弘)

1-5 大学国際ランキング

本学では 2010 年より世界大学ランキングに取り組んでいる。世界大学ランキング指

標の中でも、代表的なものとして世界の大学でよく利用されている Times Higher

Education World University Rankings(以下 THE と略)、QS World University

Rankings(以下、QS と略)のそれぞれの調査機関への情報提供を通して学内情報収

集の整備を進めてきた。本年度は、本学のさらなる国際的な認知度向上をはかるため

に、単に情報提供を行うことにとどまらず、調査機関と交流する場を積極的に設け意

見交換を行うこととした。

方法と結果:THE の本拠地は英国にあるため、英国の教育機関であるブリティシュカ

ウンシルと意見交換を行い、THE が来日する際にブリティッシュカウンシルにおいて

ワークショップの機会を設けて頂き積極的な意見交換を行った。本学のような医歯学

系大学では、総合大学と比較して論文引用数などの点で不利であり大きな課題がある。

また論文引用数の数値そのものが持つ課題も THE と議論し、本学ならびに日本の大学

が評価されるように提案を行った。2011 年度は、THE では世界ランキング 284 位(昨

年度 217 位)、国内ランキング 10 位(昨年度 7 位)であった。一方 QS では、世界ラ

ンキング 282 位(昨年度 300 位)、アジアランキング 83 位(昨年度 68 位)、研究の質

を示す指標のひとつである論文当たりの被引用数では、昨年度と同様にアジアで 1 位

と高く評価された。

考察:昨年度と比較して THE のランキングが後退した点に関して調査機関に問い合わ

せたところ、ランキングの対象となる大学数を増加させたために、母数が増加したこ

59

とによる後退であるとのことであった。指標改善に関しては、積極的に評価手法の改

善を提案した。一方、昨年度と同様に研究関連指標で本学が高く評価されたことによ

り、世界の留学候補生に本学の強みをアピールする上でひとつの方向性を見いだすこ

とができた。今後は、大学の WEB サイト

や SNS(ソーシャルネットワークサービス)

を用いて国際社会への本学の広報活動を積

極的に推進することが優秀な留学生を獲得

に重要である。また調査機関への指標改善

のための提案も継続的に実施していきたい。

(写真手前右端 THE Phil 氏、ブリティッ

シュカウンシル、キングスカレッジ他の皆

さんと。写真後方中央左竹本特任教授)

(報告者 竹本佳弘)

1-6 学内文書の英文化作業

国際化を推進するために学内の環境の整備を行う一つとして、他部局から要請のあ

った学内の通知文及び各種マニュアル等の英文化をおこなった。

学内文書の内容 担当教員等

学長略歴 森 尾

2011 年度英語版概要学長メッセージ 泉 谷

2011 年度英語版概要沿革等 竹 本

危機管理携行カード(英語版) 吉 田

M&D タワーパンフレット 竹 本

テニュアトラック教員の募集 森 尾

「大規模地震ポケットマニュアル」の作成及び「安否確認システ

ム」の周知 大 北

「大規模地震ポケットマニュアル」の作成及び「安否確認システ

ム」の導入についての通知文 事務部

2. 教育活動

2-1 日本語教育

2-1-1 日本語研修コース

国費の研究留学生(大使館推薦)で文部科学省から本学を予備教育機関として指定

60

された者(研修生)および本学研究留学生に対して、大学院での勉学と日本での社会

生活を送る上で必要な基礎的日本語能力とともに、日本文化、地理、防災などの教育

を行っている。日本社会に親しむため、課外授業として施設訪問(博物館、公園)、小

学校訪問、施設見学旅行(一泊二日 箱根)も行っている。研究活動を行っていく上

で必要となる基礎的医歯学用語や臨床現場で必要な簡単な医療会話の能力の習得も目

指している。平成 23 年度前期は 5 人、平成 23 年度後期は 5 人を受け入れた。

2-1-1-1 学生

1. 前期 (第 21 期)医学系 1 人(タイ 1 人)歯学系 4 人(フィリピン 1 人、インド

ネシア 1 人、ミャンマー1 人、カンボジア 1 人)

2. 後期 (第 22 期)歯学系 5 人(モンゴル 1 人、タイ 2 人、フィリピン 1 人、ベト

ナム 1 人)

平成 23 年度前期閉講式 平成 23 年度後期閉講式

平成 23 年 9 月 22 日 平成 24 年 3 月 2 日

2-1-1-2 使用教科書

初級日本語 げんき I,II (The Japan Times)

2-1-1-3 時間割と担当教員

月 火 水 木 金

9:00 文法 1

大北葉子

会話

三輪充子

読解漢字 2

増田光司

ドリル 2

大北葉子

読解漢字 2

大北葉子

10:40 ドリル 1

中川健司

読解漢字 1

三輪充子

文法 1

増田光司

会話

泉谷双藏

テスト

大北葉子

13:10 聴解

中川健司

演習

泉谷双藏

ドリル 1

三輪充子

読解漢字 1

鶴見千津子

14:50 ドリル 2

中川健司

聴解

三輪充子

演習

鶴見千津子

2-1-1-4 課外授業

平成 23 年度前期

61

習字 七夕 施設見学旅行(箱根)

平成 23 年度後期

国立科学博物館 書き初め 施設見学旅行(かまぼこ作り)

2-1-2 日本語補講クラス

本学の留学生が、医歯学系学生にとって必要な日本語を継続的に学習し、教育、研

究、あるいは臨床活動に積極的に参加できるようになることを目的として、夕方の時

間帯に開講している。

2-1-2-1 日本語補講クラスレベル一覧

総合 会話 目的別 医療

初級 1 B1

初級 2 B2

初級復習 BR

初中級 総合初中級 会話初中級 漢字 医療用語 1

中級 総合中級 時事日本語 能力試験 医療用語 2

上級 総合上級 能力試験

2-1-2-2 時間割と担当教員

平成 23 年度前期

曜日 教室 16:30-18:00 18:10-19:40

#1

#2 B1:平形 B2:平形

視聴覚 初中会話 鶴見 医療用語 2:大北

センター長室 BR:増田 時事日本語:増田

火 #1 漢字 1:泉谷

#2 B1:増田 B2:増田

62

水 #1

#2 総合初中級:有馬 総合中級:有馬

#1 漢字 2:鶴見 医療用語 1:大北

#2 B1:有馬 B2:有馬

視聴覚 能力試験対策:平形 総合上級:平形

平成 23 年度後期

曜日 教室 13:10-14:40 16:30-18:00 18:10-19:40

#1 医療用語 2:大北

#2 B1:平形 B2:平形

視聴覚 初中会話 鶴見

ラウンジ BR:増田

#1 漢字 1:泉谷

#2 B1:増田 B2:増田

ラウンジ

水 #1

#2 総合初中級:有馬 総合中級:有馬

#1 漢字 2:鶴見 医療用語 1:大北

#2 B1:有馬 B2:有馬

視聴覚 能力試験対策:平形 総合上級:平形

2-1-2-3 クラス別登録者数

クラス名 略名 前期 後期 クラス名 略名 前期 後期

初級 1 B1 6 17 会話初中級 SPIL 10 5

初級 2 B2 6 11 時事日本語討論 JIJI 3

初級復習 BR 1 8 能力試験受験対策 JLPT 7 18

総合初中級 IL 9 5 漢字 1 Kanji1 5 12

総合中級 I 9 6 漢字 2 Kanji2 5 7

総合上級 AD 8 15 医療用語 1 MT1 5 9

医療用語 2 MT2 4 9

* 以上の国際交流センターでの教育のほかに、センター所属教員が、教養部 (学部 1、

2 年生)において日本語・日本事情教育、セミナー教育(いずれも単位取得科目となって

いる)を行っている。

2-1-3 留学生による「お国紹介」

外国人留学生と日本人との国際理解の推進のため、毎月第四木曜日の昼休みに留学

生による母国の紹介を行った。留学生の日本語学習の成果を披露する機会でもあり、

63

留学生は日本語で母国についてプレゼンテーションを行った。平成 23 年度に行われた

お国紹介は次の通りである。

月日 国 プレゼンター

1 平成 23 年 5 月 26 日 ガーナ フランシス・デニス・エコ

2 平成 23 年 6 月 23 日 バングラデシュ シャリカ・シャリーン

3 平成 23 年 7 月 28 日 パキスタン ザイード・アリ・ザイディ

4 平成 23 年 9 月 29 日 スリランカ ラジャカルナ・ガマララゲ・アモディニ

5 平成 23 年 10 月 27 日 インドネシア マシタ・マンダサリ

6 平成 23 年 12 月 8 日 ミャンマー ゼヤー・リン

7 平成 24 年 1 月 26 日 ネパール ババ・ビスタ

8 平成 24 年 3 月 15 日 タイ ママニー・ティーラポン

ナンタヤーノン・クンティダー

(報告者 大北葉子)

2-2 英語教育

2-2-1 英語補講クラス

英語補講クラスは本学の大学院の留学生及び日本人学生を対象に、英語初級(月曜

日)と英語中級(火曜日)のクラスを前期と後期に、それぞれ 1 コマずつ開講した。

英語初級は重要と思われる文法事項を復習し、簡単な科学・自然・医歯学分野の読み

物を教材にした。英語中級はディスカッション(会話)を中心に、一般的な科学分野

や医歯学分野からのトピックについて英語で討論した。

平成 23 年度 前期・後期

曜日 教室 16:30-18:00

月 #1 英語初級:泉谷

火 #1 英語中級:クレアリー

2-2-2 特別英語クラス

毎月第四水曜日の午後 4 時 30 分から午後 7 時 40 分まで、本学大学院の留学生及び

日本人学生を対象に、英語による学会発表と論文執筆の支援として特別英語クラスを

開講している。大北葉子准教授とケビン・クレアリー准教授が担当している。「英語

による学会発表準備クラス」では 1 人 10 分プレゼンテーションを行い、文法、語彙、

発音などのフィードバックを与えている。「英語で論文を書くための初級クラス」で

は英語でのパラグラフの構造やパラフレーズの仕方を講義したのち、各学生が選んだ

論文を 1 文で要約させ、英語をクレアリー准教授が添削している。

偶数月 「英語による学会発表準備クラス」

奇数月 「英語で論文を書くための初級クラス」

受講者数

64

平成 23 年 平成 24 年

合計

4 月 5 月 6 月 7 月 9 月 10 月 11 月 1 月 2 月

発表 論文 発表 論文 論文 発表 論文 論文 発表

2 8 3 5 4 3 4 5 1 35

(報告者 大北葉子)

2-2-3 英語短期コース

効果的な自己プレゼンテーション教育手法を検討するために、本学留学生・大学院

生を対象に英語を用いた効果的な自己表現の演習コースを開設した。コース内容は、

留学を想定し留学希望先へ連絡するためのメール、CV の作り方、プレゼンテーション

資料の作り方と手法の演習、作成資料の添削並びに評価を組み合わせる手法を取るこ

とで実践的な演習を実施した。コースは、5 回の講義・演習を 3 コース日程をずらし

て夜間に実施することで、多くの学生が参加できるように配慮した。参加者は毎回 5

名程度で、留学生、大学院生、臨床医まで様々な人々が参加した。参加者にアンケー

トを実施したところ、すべての参加者から本コースが有益であったことと、特にビデ

オ撮影によるフィードバックと参加者同士の評価が自分を知る上でとても参考になっ

たとの意見が多く寄せられた。課題としては、本学の多くの学生が本コース開設を知

らないので積極的な学内広報の必要性が指摘された。今後は、本コースの開設を広く

広報することで、本学の国際化教育の一助となるよう進めていきたい。

(報告者 竹本佳弘)

2-2-4 TOEFL-iBTセミナー

TOEFL-iBTセミナーを平成23年11月25日(金)に行った。登録者12人で出席は10

人だった。

(報告者 大北葉子)

2-3 相談業務

留学生の相談業務は国際交流センター(1 号館西 4 階)の相談室で日本語教員(1 名)

が相談業務を兼任している。相談日時は毎週の月曜日と木曜日(午後 1 時 30 分から 4

時 30 分まで)に加え、金曜日は終日、電話やメールでの事前の予約での相談を受け付

けている。

平成 23 年度の相談件数は 35 件で、国費留学生からの相談が 7 件、私費留学生の相

談が 19 件、不明 9 件で、私費留学生が占める割合が 54%になっている(表 1 参照)。

私費留学生の相談内容のほとんどが奨学金関係の相談であった。男女別では、女性の

相談が 38%で、男性の相談が 51%、不明 11%(海外からのメールでの問い合わせ)

で、男性の相談の方が女性のより多くなっている(表 2 参照)。相談方法別では、個別

の面談形式 74%で、Eメールによる相談が 26%になった。(表 3 参照)今年度は電話

による相談はなかった。また、相談を学年別に見ると、博士課程の学生からの相談が

35 件中 20 件(57 %)と、6 割弱を占めた。(表 4 参照)。表の「N/A」(Not Applicable)

65

は本学以外からの学部生や大学院生からの入学に関する問い合わせである。

表 1:国費・私費別 表 2:男女別

国費 7 20% 女性 13 38%

私費 19 54% 男性 18 51%

不明 9 26% 不明 4 11%

合計 35 100% 合計 35 100%

表 3:相談方法別 表 4:学年別

個別面談 26 74% 博士課程(2 年) 10 28%

E メール 9 26% 博士課程(3 年) 9 26%

合計 35 100% 博士課程(4 年) 1 3%

日本語研修生 5 14%

不明 1 3%

N/A 9 26%

合計 35 100%

表 5:相談内容

相談の種類 内容 件数

修学関係 入学問い合わせ 6 20%

博士号取得・博士論文等について 1

奨学金関係

申請書の書き方指導 1 51%

面接の練習等 16

経済問題 1

学外諸手続 入国管理局(家族呼び寄せ) 1 3%

健康関係 病院での手続き等 5 14%

人間関係 研究室等での対人関係 1 3%

その他 海外からの訪問、デジタル放送へ

の切り替え等

3 9%

合計

35 100%

相談内容としては、修学関係と奨学金関係が全体の 7 割(71%)を占めた(表 5 参

照)。尚、ここには、相談室に来た相談で、大まかな相談のみを計上してあるが、例え

ば、5 分から 10 分以内で終わった小さな相談等は計上していない。また、相談室の教

員以外に、留学生は個別に他のセンター教員や留学生掛の事務職員やスチューデント

センターにも行っているため、それらを合わせた相談件数はもう尐し多くなると思わ

れる。

(報告者 泉谷双藏)

66

2-4 留学生チューター教育

本学の留学生は日本での日常生活や研究生活が円滑にできるように、(留学生の支援

活動の一環としての)チューター制度の下で渡日からの1年間、チューター(日本人

学生)から生活面・研究活動の面等での支援を受けており、留学生はその支援に対し

て感謝と伴に大いなる期待を寄せている。国際交流センターでは、チューター学生が

留学生とよい関係を持ちながらチューターとしての仕事が更に効果的に円滑にできる

よう、留学生とチューターの合同研修会を定期的に開催している。

今年度は 2011 年 4 月 12 日(前期)と 2012 年 1 月 20 日(後期)の 2 回開催した。

この研修会では、本年度の各学期(前期 4 月と後期 10 月)から新しく本学の学生とな

る留学生を手助けするチューター学生に、チューターの意義と仕事内容等を説明し、

既にチューターについている留学生とチューター双方からの体験談等を報告してもら

うことにより、チューター学生にはチューターの意義と仕事についてより深い理解を

養ってもらった。

(報告者 泉谷双藏)

2-5 日本文化体験イベント

国際交流センターでは留学生の日本文化体験のため伝統的な年中行事を催した。

(1) 餅つき 平成 24 年 2 月 7 日(火)

本学より大山喬史学長、大野喜久郎理事、留学生 47 人、順天堂大学より木南英

紀学長、新井一医学部長、富野康日己国際交流センター長代行ほか留学生 20 人も

参加して行われた。餅つきに先立って、本学留学生 28 人と順天堂大学留学生 11

人が 4 グループに分かれ、各グループにセンター教員がファシリテーターとして

入り交流を行った。

(2) 年中行事一覧

平成 23 年 4 月 7 日

花見(神田明神)

平成 23 年 4 月 28 日

端午の節句

平成 23 年 7 月 7 日

七夕

67

平成 23 年 9 月 9 日

月見

平成 24 年 1 月 5 日

雑煮

平成 24 年 2 月 3 日

節分

平成 24 年 3 月 2 日

ひな祭り

(報告者 大北葉子)

2-6 キャリア支援

R&D インターンシップ

本学国際交流センターでは、留学生が専門講義を通して日本の研究・開発の場を学べ

る機会(R&D Internship)・日本社会を学ぶ場を設けている。大学院・生命情報科学

教育部で実施している講義のひとつオミックス創薬特論(担当:竹本佳弘特任教授)

は、創薬科学・産業(製薬産業は日本の基幹産業のひとつ)を分子の世界から臨床・

社会問題まで総合的に学ぶ専門科目である。講義の一環として、講義後に日本の大手

製薬企業の研究所を直接訪問する機会を作り、訪問先の会社の研究者や開発担当者か

ら企業における研究・開発の現状を直接学ぶ機会を創出している。講義だけでは具体

的に創薬や社会との関わりをイメージすることは難しいが、実際の企業を見学するイ

ンターンシップにより講義を補填することで、創薬科学の全体像を学ぶに止まらず将

来の創薬産業におけるキャリアパスや、開発途上国における協業も具体的にイメージ

できるように講義をデザインしている。

多くの留学生は、初めて見る日本の企業の研究所の施設の美しさと研究レベルの高

さに驚く。留学生の中には、将来日本の企

業への就職を検討している学生や、将来帰

国した際に医療の現場で日本の企業との連

携を考えている留学生もいるために、質疑

応答の際に熱心に質問する学生も多い。こ

の講義では日本人大学院生の参加も認めて

いるため、留学生と日本人大学院生が一緒

に学べる機会でもある。留学生と日本人大

学院生を合わせると、毎年 30-40 名近くの

68

学生(うち留学生は 5-7 名程度)が企業見学に参加している。本年度は大手製薬企業

2社の研究所を見学した。留学生の日本企業へのキャリアパスへの要望、日本人大学

院生の国際的なキャリアパスの必要性、日本の企業の国際化などの社会的な背景を考

慮すると、このような学問と社会を結ぶスタイルの講義はますます重要になってくる

ものと思われる。今後もこのような機会を積極的に設けることで、留学生と日本人大

学院生がお互いに刺激し合いながら日本の実社会・国際化社会におけるキャリアパス

を学べるコースを継続していきたいと考えている。

(写真:大手製薬企業見学。引率写真後方中央 竹本特任教授)

キャリアフェア

その他、留学生を含む大学院生へのキャリア支援としてキャリアフェアを開催した。

このキャリアフェアは 2005 年から実施している活動で、日本企業への就職を考えてい

る留学生や日本人大学院生を対象としている。当初は本学大学院・疾患生命研究部の

教員を中心に企画されてきたものである。本年度も、大学院生が研究者としてのキャ

リアを考える際に、広い視野で考えられるように、製薬産業、化学・化粧品産業・コ

ンサルティングなどライフサイエンスの専門知識を活用して社会で活躍できる分野を

紹介することを目的に実施した。当日は、現場で活躍している社会人講師から社会で

求められる人材に関して様々な発言があり、参加した大学院生・留学生は日本の社会

や今後の国際化の動向を学び、将来のキャリア構築を行うよい機会となった。

内容:キャリアを考えるセミナー

日時:2011 年 9 月 29 日(木)13:00-17:00

企画・司会:竹本佳弘特任教授

主催:スチューデントセンター、学生支援課

参加企業:グラクソスミスクライン社、富士

フィルム、三菱総合研究所

参加者:大学院生・留学生

(報告者 竹本佳弘)

GC 見学

8 月 23 日(火)に留学生(11 人)を連れて株式会社ジーシー(GC コーポレーショ

ン、以下 GC)を訪問した。GC は歯科材料及び関連機械・器具の製造販売を国内外に

展開している会社で、本学の歯学部大学院生等、歯学に関係する学生には大いに興味

を引いたようである。訪問の際の日程は以下の通り。訪問後のアンケートの結果を巻

末(資料 3)に掲載する。

<スケジュール>

13:30 GC 到着、挨拶(5F)

13:40 会社案内 DVD 英語版(5F)

14:00 各フロア見学(6,7F)

69

14:30 体験見学(6F)

14:30-15:00 ブラッシング指導 30 分(元尾氏)

15:00-15:20 セメント溶解試験(山口氏、伏島課長)

15:20-15:45 CAD/CAM 体験など(岩永氏)

15:45 質疑応答(5F)

16:00 記念写真(1F)、出発

(報告者 泉谷双藏)

2-7 日本人学生に対する国際化教育

2-7-1 海外研修奨励制度による派遣学生対象説明会

海外研修奨励制度による派遣学生を対象として、国際交流センターの吉田より以下

の項目に沿って説明を行った。

(1) 危険な場所には近づかない。⇔『虎穴に入らずんば虎子を得ず』という言葉も

あるが、自分をコントロールすることも重要。夜間の外出や一人歩き (特に女性の一

人歩き)は絶対に避ける。

(2) 多額の現金や貴重品は持ち歩かない。外出する際にはホテルのセーフティ・ボ

ックスに預ける等して危険の度合いを最小化する。ただし、ホテルのセーフティ・

ボックスと言えども『絶対(100%)大丈夫』ということは必ずしも言えない。

(3) 万が一犯罪にあったら生命の安全を第一に考える。抵抗の仕方にもよるが、相

手をいらだたせてしまい凶器を使用するなど被害が拡大することも考えられるので、

その場の空気を良く考えて行動をする。

(4) 見知らぬ人を安易に信用しない。

(5) 特にクレジットカードでの買い物では、必ず署名をする前に金額や通貨の単位

等を確認する。場合によっては店のスタッフに説明をさせることも重要。

安易に署名をすることは『多くの危険をはらんでいる』と言うことが出来る。

(6) ホテルの中でも安心しない。ドアを一歩出たら外の世界、ホテルへ戻ってホテ

ルを自分の家のように考えることも危険。格安のホテルは『安い』というだけで全

てに注意を払うこと、中級から高級のホテルでも従業員を装って犯行に及ぶ場合も

散見される。ドアの防犯チェーンは必ず掛ける。ノックされても不用意にドアを開

けることはしない。

(7) 海外であること、つまり日本ではないということを認識することの重要性が大

切である渡航先の十分な知識をもって意識を常に海外モードにしておく必要がある。

一般的に日本国内は言葉も民族も同一であるために風俗習慣の違いについては理解

度が低くなってしまう傾向にある。旅行する国や地域の人種構成、民族構成、宗教、

言語、文化等々については基本的な知識でも構わないので渡航前に学習しておくこ

とを勧めたい。

(8) 渡航先の特に治安の情勢を把握しておくことは大切である。当該滞在国、地域

の治安情勢が把握できていれば、重点的に注意をすべき事項が明確になり易く必要

以上に心配をすることも尐なくなる。旅行中の若干の余裕も大切である。

(9) 連絡の周知徹底が重要である。学会参加、研修旅行、本学の拠点関連での業務

への参加及び協定書に基づく各種交流等、色々な海外渡航が考えられるが、自分自

70

身が上記の危機に陥った時または陥りそうになった時に、自分以外の留守家族や本

学関係者に連絡をする必要が出てくるので、旅行日程、緊急時の連絡先、携帯電話

番号を事前に知らせておくと共に、旅行先からは出来る限り定期的に留守家族等に

連絡を行う。(絵ハガキを家族や友人に送るということを勧めたい)

(10) パスポートについては、コピーの携帯を認められている国もあるので、それら

の国ではパスポートを持ち歩かないようにすることも必要。また、パスポートは決

して失くしたり盗まれたりしないようにしなければならないが、万が一のためにパ

スポート用の写真を予備で持っておくことも重要。パスポートは失くさないように

充分の注意を払うことは必要であるが、万が一に失くしてしまった時のことをかん

がえて想定してシミュレーションをしておくことも重要。日本大使館の連絡先等の

確認を事前に行っておく。

(11) 健康・医療事情については、渡航前から当該国の状況について外務省「海外安

全ホームページ」(http://www.anzen.mofa.go.jp/)や JICA からの情報の他、イン

ターネットでも情報収集できるので適宜情報収集をしておくことは大切である。ま

た、情報収集の他に、常備薬や下痢止め等の身近で準備できる薬類は自分で携行し

て行くことも重要。

(12) 海外旅行保険の加入については、海外で事故や事件に巻き込まれる他、あらゆ

る種類の病気になる可能性も充分に考えられることから、出来る限り充実した海外

旅行保険に加入することが重要。海外旅行保険との関連で緊急輸送が必要な事態に

なった時は、然るべき緊急輸送の対応が取れる緊急輸送アシスタント会社と渡航前

に契約をしておく必要がある。右については、渡航の時期、渡航期間の長さ、渡航

先、緊急輸送される時の輸送先からの距離等々で色々な変化が考えられるので、海

外旅行保険の中に含まれているかいないのか渡航前に確認をしておく必要がある。

海外での病気やけが等への対応に関しては色々なケースが考えられるが、特に治

療・救援者費用と賠償責任に係る補償額について注意を払う必要がある。

(報告者 吉田 丘)

2-7-2 医学科4年プロジェクトセメスターにより海外拠点に派遣される学生対象説

明会、事故、災害対策など

特にガーナへ派遣される学生に対しては、アクラの治安が尐しずつ注意を要する状

況になって来ていたので上述の他に、次の点について周囲を喚起した。

[ガーナ滞在のための基本ルール]

日本とは異なった社会環境にあるガーナでは日本での生活からは想起できないトラ

ブルに巻き込まれることがある。途上国では警察組織も十分に機能していないことが

多く、ガーナ滞在中は自らトラブルを未然に回避する行動をとることが求められる。

近年の情勢として首都アクラの急速な発展に伴って窃盗、スリなどの軽犯罪に加え

て、周辺国の政治的混乱による流入人口の増加が社会の安定を崩す影響も見られ、タ

クシー強盗やバイク強盗、レイプなどの事件発生も以前よりも増加傾向にある。

本学としては、学生諸君のガーナ滞在中の安全確保に日本の在外公館の協力を得な

がらも、最終的には学生個々の自己責任によることを認識して、以下の基本ルールを

定めるので渡航までに十分な理解を学生個々に求めるものとする。

71

・アクラ市内の移動について

(1) 学生だけによる夜間の外出は絶対にしないこと

(2) 外出など研究所外に出る場合の移動手段としては以下のいずれかを使用すること

① 拠点用自動車の使用

空港到着時または帰国時の空港への移動

Weekday の日中時間帯で拠点教員の許可が得られる場合

② 信頼できるドライバーのタクシーの利用

拠点自動車が利用できない時間帯(週末など)の移動手段として、安全なタク

シーを予め指定しておいて、ドライバーを電話連絡によって呼び出して利用す

る。流しのタクシーは利用しないこと。

③ 上記①②が使えない場合で協力が得られる状況ならば拠点教員の自動車を利用

(3) 日中、夜間を問わず、単独での外出はしないこと

日中や午前中でもバイク強盗事件の発生があり、単独の行動では被害に遭うことが

あるので、外出は必ず 2 人以上で行動すること。

(4) 常に周囲の状況に神経を配ること

歩行しながら携帯電話で通話する、同行者との会話に熱中するなどの行動はせず、

周囲の状況に神経を使うことを常に怠らないこと。

・事件に巻き込まれた時

(1) 自分の生命を第一に考え、金品を要求された場合は抵抗せずに犯人の要求に従う

こと。

(2) 被害にあってもさほど困らない程度の現金所持を普段からしておき、犯人からの

要求にはその程度の額を持たせる。

(3) 警察に通報しても警察官が直ちに対応することは期待できないことは承知してお

くこと。

(4) 被害証明書の発行にも時間がかかることが多いので、日本大使館の安全担当領事

と連絡を取って指示を仰ぐこと。

・宿舎滞在中の注意点

(1) 現金社会なので、貴重品の保管には注意する必要がある。ホテルであればセーフ

ティ・ボックス、ドミトリーの場合は現地で拠点教員の指示に従う。

(2) ガーナ大学キャンパス内も 100%安全ではないので、貴重品やパソコンなどは室

内でも放置せずに鍵がかかる鞄やケースなどに保管すること

(3) キャンパス内でも日没以降は犯罪事件が発生するので、ドミトリーに滞在する場

合も日没以降は学生だけでの外出をしないこと。

・その他

滞在中は携帯電話を貸与するので、緊急時の連絡に用いること。

毎日生活・行動状況について東京及び拠点教員(井戸先生、鈴木先生)にメール連絡

すること

72

東京: 太田携帯電話→+81-90-4252-5349, e-mail:[email protected]

国際環境寄生虫病学分野→+81-3-5803-5193

山岡携帯電話→+81-80-2043-0602, e-mail:[email protected]

ウイルス制御学分野→+81-3-5803-5181

ガーナ: 井戸先生携帯電話→ e-mail:[email protected]

鈴木先生携帯電話→0244-079787 e-mail:[email protected]

緊急時の日本大使館(安全担当・葛西領事)→0302-765060

(報告者 吉田 丘)

2-7-3 大学院国際化関連教育(医歯学総合研究科、生命情報科学教育部)

科目:大学院・初期研究研修プログラム「研究発表・論文作成」

日時:2011 年 4 月 14 日(木)

対象:医歯学総合研究科・大学院生(約 150 名)

担当:竹本佳弘特任教授

医歯学総合研究科の新入生を対象に、効果的なプレゼンテーションと論文作成にお

けるポイントを概説するガイダンス的な講義を実施した。講義後アンケートを実施し

たところ、多くの参加者からわかりやすく有益な講義であったとのコメントがあり、

研究を始めるにあたりこのプログラムが大学院生にとって有益であったことが明らか

となった。また講義の最後に、本学大学院と国際交流センターで実施している研究者

のための様々な英語教育コースを紹介したところ、学生から多くの質問が寄せられた

ことから、研究者の立場に立った各種の英語教育コースのさらなる充実の必要性を認

識した。

科目:大学院・専門科目「オミックス創薬特論」(2 単位)

実施時期:2011 年 4 月~6 月

対象:大学院・生命情報科学教育部(約 40 名)

担当:竹本佳弘特任教授

本専門科目では、分子からマーケットまで創薬・育薬ならびにレギュラトリーサイ

エンスを中心にオミックスを用いた個の医療の世界的な潮流を伝えている。本講義の

特徴は、鳥瞰的な視点の獲得と実際に業務に携わっている外部の講師陣による実践的

な講義を提供する点にある。また講義のまとめとして学生参加型で発表会を実施する

など、学生が主体的に学べるように様々な工夫を凝らしている。大学院生の出席率は

ほぼ 100%であり、大学院教務掛実施のアンケートによると本科目は 2 年連続履修して

よかった講義 No.1 に選ばれていることから、本科目への学生の関心が高いことがわか

る。また学生のコメントによると、本講義を通して国際社会における各種の課題を学

んでいることから、サイエンスと社会をつなぐ講義として本科目が位置づけられてい

ることがわかる。

なお本科目は、学際生命科学東京コンソーシアム(本学、お茶の水女子大学、北里

73

大学、学習院大学の 4 大学からなるコンソーシアム)により、2011 年度「学生の評価

の高い講義」に選ばれ、4 大学から 13 名の教授陣が FD (Faculty Development) とし

て講義参観にこられた。参加教員のアンケートによると、ほとんどの教授から参考に

なる斬新な講義として評価を頂くことができ、大学院教育における本科目のような講

義の必要性・講義手法の有効性が再認識された。

科目:大学院・英語コミュニケーション科目「英語ディベート演習」(2 単位)

実施時期:2011 年 4 月〜6 月

対象:大学院・生命情報科学教育部(約 20 名)

担当:ケビン・クリアリー准教授、竹本佳弘特任教授

英語による交渉の必要性は、海外との共同研究、海外留学、学会発表準備、国内外

での就職活動などに見られるように日々高まりつつある。このコースでは、初めて交

渉について学ぶ学生を対象に、英語による交渉とディベートの基礎技術の習得を目指

す。具体的にはアクティブリスニングや、各種のビジネス交渉術を取り上げ、ディベ

ートによる議論も加えて、交渉に関する基本的な知識・技術を広く習得する。

本科目は、学際生命科学東京コンソーシアム(本学、お茶の水女子大学、北里大学、

学習院大学の 4 大学からなるコンソーシアム)の連携講義となっており、本学の大学

院生・留学生のほか、他学の学生が一緒に学ぶことができるユニークなコースでもあ

る。本年度は外部の大学からは、お茶の水女子大学と北里大学から計 3 名が受講した。

本学も他学の大学院生もほとんど出席率が 100%であり、大学院教務掛実施のアンケー

トによると本科目は履修してよかった講義トップ 3 に 3 年連続選ばれている(2011 年

度は上記「オミックス創薬特論」と同率 1 位)。本他学の学生も交えて、本科目を通し

て英語によるコミュニケーション力を鍛錬する場となっている。

科目:大学院・英語コミュニケーション科目「国際データプレゼンテーション演習」

(2 単位)

実施時期:2011 年 6 月~10 月

対象:大学院・生命情報科学教育部(約 10 名)

担当:ケビン・クリアリー准教授、竹本佳弘特任教授

海外で研究発表の機会が増える中、研究内容を相手にわかりやすく伝える技術の習

得が研究者の能力の一つとして必要となってきている。国際学会での発表、留学、国

際企業への就職するケースを想定し、必要となる英語によるプレゼンテーションの基

礎を幅広く習得することを目的としている。この科目では、必要となる各種の英語に

よるプレゼンテーション基礎技術を、次の 3 つの方法を通して習得させている。1.講

義と演習を組み合わせたインタラクティブな講義、2.学生同士による相互評価、3.

ビデオ撮影による客観的な評価。本科目は、学際生命科学東京コンソーシアム(本学、

お茶の水女子大学、北里大学、学習院大学の 4 大学からなるコンソーシアム)の連携

講義となっており、本学の大学院生・留学生のほか、他学の学生も選択できるコース

である。大学院教務掛実施のアンケートによると、メール、CV、プレゼンテーション

資料へのネイティブチェックに加えて、プレゼンテーションを何度も練習する場とな

74

ったことが有益であったとの意見が多く見られた。本科目を通して、大学院生が実践

的なプレゼンテーション演習を行う場となっている。

以上、国際交流センターで提供している大学院における専門科目・英語コミュニケ

ーション科目は、一部は学際生命科学東京コンソーシアムとの連携講義にもなってお

り、本学の大学院生・留学生のほか、他学の学生が一緒に学ぶことができるユニーク

なコースである。これらの講義・演習を通して個の医療に向けた世界的な動向を理解

し、国際社会において活躍できるようなコミュニケーション能力の高い人材育成を目

指して、大学院における教育活動をサポートしている。

(報告者 竹本佳弘)

2-7-4 世界のことば教室

留学生は多くの日本人学生や事務スタッフにとって尐し離れた存在であり、留学生に

とっても日本人との交流を望むものの交流の場が尐ないのが現実である。そこで、有

志の大学院生・留学生と国際交流センターで協力し、世界のことば教室を開設するこ

とで留学生と日本人が気軽に交流できる場を設けることとした。講師には本学で学ぶ

留学生を、学生には本学で学ぶすべての学生・教職員とし、ランチタイムを利用でき

るように、12:10-12:50 に実施することで多くの人々が参加できるように配慮した。4

回の講義を 1 コースとして、2011 年度はタイ語 2 コース、中国語 1 コースの全 3 コー

ス実施した。教室開設の当初は、大山学長と谷本理事にもご参加頂き、多くの留学生、

学生、教職員が交流できる場となった。今後の課題は、他の言語への展開と地域の区

民の参画である。

本教室は、大学院生とともに SNS サイトとしてフェイスブックサイトを準備したと

ころ、参加者の把握や参加者からの講義へのフィードバックを共有できるなど、フェ

イスブックには様々な優れた点があることがわかった。一方、課題としては、フェイ

スブックの利用が一部の人々に限られるこ

とがあげられる。今後は、より適切な情報

共有の仕組みも検討していく必要がある。

また区民への参加を検討する際に、受け入

れ体制などの整備も必要である。今後は、

このような課題も検討しながら、地域社会

への貢献のひとつとして本教室を位置づけ

ていきたい。

(写真、世界のことば教室の様子。講師:

タイの留学生)

(報告者 竹本佳弘)

2-8 大学院 FD (Faculty Development) 活動

実施時期:2011 年 6 月 24 日(金)16:20-17:50

実施場所:東京医科歯科大学 M&D Tower 21F 大学院講義室1

75

対象科目:大学院講義・専門科目「オミックス創薬特論」

教員:国際交流センター竹本佳弘特任教授

参加者:学際生命科学東京コンソーシアム教授陣(本学 4 名、お茶の水女子大学 4 名、

北里大学 1 名、学習院大学 4 名)

学際生命科学東京コンソーシアムでは、

FD (Faculty Development) として学生か

ら評判が高い講義の講義参観を実施してい

る。2011 年度は、国際交流センター竹本佳

弘特任教授の「オミックス創薬特論」が学

生の評価の高い講義として取り上げられ、

コンソーシアムに所属されている 4 大学の

教授陣による講義参観が行われた。

(写真:FD 時の講義の様子)

平成 23 年度第 1 回 FD セミナー報告書によると、参考になったと答えた教員は 11 名

/12 名で特に学生参加型授業に対する関心と評価が高く、講義スタイルが斬新であり自

分の講義に取り入れていきたい等多くの意見が寄せられた。教授陣による大学院講義

の評価は通常実施されないため、FD を介した講義の評価は講義を改善する上で教員に

とって有益である。報告書のコメントの中に、「同じ大学の教員同士の評価には抵抗が

感じられるが、他学の講義はそのような精神的なバリアが低くなるので、今後もこの

ような FD を実施して欲しい」との意見もあり、外部の意見を取り入れることで教育

内容の改善につながるものと思われる。

参考:H23 年度第 1 回 FD セミナー報告書(学際生命科学東京コンソーシアム)

お茶の水女子大学ニュース http://cib.cf.ocha.ac.jp/CONS/jpn/news/news_35.html

(報告者:竹本佳弘)

3. 地域連携

3-1 防災分野における地域住民と留学生との交流 (国際留学生フォーラム)

本フォーラムは、2011 年 11 月 17 日に、過去に中越大地震を経験した新潟県長岡市

で行った。同フォーラムの実施は新潟県長岡市と兵庫県の協力を得て行ったが、進行

は本学国際交流センターと長岡国際交流協会及び中越防災安全推進機構が協力をして

行い、兵庫県または兵庫県国際交流協会からの支援を仰いだ。同フォーラムの参加者

は、本学留学生を含む外国人留学生 28 名、地域住民の方々が 25 名、その他長岡近隣

の大学関係者 15 名の計 68 名が参加をした。

東京医科歯科大学からの本事業の開催挨拶の中で今般の防災分野における地域住民

76

と留学生の交流推進事業の実施の経緯の説明が参加者になされたのに始まり、14 時 30

分から 30 分の間、現兵庫県国際交流センター理事長であり元兵庫県副知事・防災監で

あった齋藤理事長からの基調講演をしていただいた。内容としては、阪神大震災→中

越沖地震→中越地震→中国四川大地震→東日本大地震という流れの中で経験に基づく

『知恵のリレー』が上手になされ減災に繋がって行った歴史は大変に貴重であること、

またそのためにも日頃からの防災教育は必要であること、また平時からのネットワー

ク作りの重要性が極めて重要であること等が語られた。また、兵庫県の経験がどのよ

うに昨今の減災に役立って来ているのか、また平時からのネットワーク作りが如何に

大切か、災害に対してはいつもやってくるということを考えて心の準備をしておく必

要があること等、本学から参加をした留学生や長岡地域に在住の留学生にはほとんど

が初めて耳にすることばかりで大変に勉強になったと思われた。齋藤理事長からは、

もう一つの視点として、日本の災害時での災害弱者である在住外国人・高齢者・女性、

特に外国人支援との関連で TMDU の留学生や長岡地域に在住の留学生がどのように

関わることが出来るのか考えていただき、留学生のそれぞれの本国の家族や友人に対

して、日本の災害の状況やそれに対してしっかりと対応している状況を伝えていただ

きたい旨のコメントがあった。

齋藤理事長の基調講演が終了後、長岡市で防災に関連して色々な活動を実践してい

る留学生や大学生グループから発表がなされ、参加者全員で長岡における種々活動に

ついて共有することが出来た。それに対して齋藤理事長や羽賀長岡市国際交流センタ

ー長(以後『センター長』)からアドバイスまたはコメントがなされた。

引き続いて参加者全員が参加をするワークショップが行われた。このワークショッ

プは、1 グループ 8 名から 10 名を基本として構成し、その中に本学からの留学生や長

岡地域の留学生が均等に配置された。各グループはグループ・リーダーと発表者を選

び、主催者側からファシリテーターが各グループに 1 名配置された。本ワークショッ

プの実施も含めてほとんどの場合で言語は主に日本語が使用された。ワークショップ

のテーマは、主催者が予め設定をし、テーマ①として『今住んでいるところで災害が

起こったら困ることは?』、テーマ②として『東日本大震災で日本人が凄かったこと

は?』とした。右にテーマに関連しては、グループ毎に色々な意見が挙げられその意

見について日本語にて討論がなされた。各グループの発表の後に、それぞれ齋藤理事

長及び羽賀センター長から適宜コメント及びアドバイスをいただいた。

グループ討論の具体的な内容としては、テーマ①としては母国の家族と連絡が取れな

くて困ったこと、全ての情報が日本語であったこと、海外メディアとの情報の違いに

戸惑ったこと、フェイスブック等による誤った情報があったこと等があげられる。そ

のような状況にどのように対応したかについてであるが、全てを直ぐに解決すること

は不可能であるが普段からの地域の日本社会の人々とのネットワーク、友人とのネッ

トワークが重要であることが再認識された。テーマ②としては、TMDU の留学生も長

岡地域の留学生も共通して感心したことに一つに災害直後の安定した市場価格が挙げ

られた。一般的に『買占め』等で物不足になれば需要と供給の関係で生活物資等の値

77

段が高騰するが、今回の東日本大震災の後に限られた商品は確かに不足をしたが、値

段まで上がったことは確認できなかった。また日本人の冷静さやお互いを思いやる気

持ちについても関心を示された。これも偏に普段からの防災教育の賜物ではないかと

いうことを参加者全員で確認をすることが出来た。

最後に、本フォーラムを長岡市まちなかキャンパスで実施をしたことから、同キャ

ンパスの学長でもある羽賀センター長からまとめの講評をいただいた。全体を通じて

言えることは、このフォーラムの開催を通して参加をした本学の留学生と長岡地域の

留学生が繋がることが出来たこと、また双方の留学生が長岡地域住民の方々ともネッ

トワークを持つことが出来たこと、右を踏まえて日本国内外で災害が発生した際には、

このネットワークを活用して情報収集や実際の支援活動が行われる可能性が考えられ

る。

本フォーラム実施の翌日、信濃川の下流域にある大河津分水とその資料館を見学す

ることが出来たが、新潟県信濃川流域の農家の人々が田んぼの水はけが悪い関係から、

古くから浮稲の様な稲を栽培し、腰まで水につかりながら稲栽培をしていた状況を具

にし、また大河津分水が出来てから以降の新潟県信濃川流域の発展等の歴史を確認す

ることができたことは、本学の留学生にとって大変に勉強になったと思われる。

今般実施をした防災分野における地域住民と留学生の交流推進事業は、国際留学生

フォーラム 2011 として、長岡市と兵庫県国際交流センター及び中越防災安全推進機構

の全面的な協力の下、自らが中越地震で被災経験のある長岡市の長岡まちなかキャン

パスで開催・実施をすることができたが、結果として長岡市の地域住民の方々や同地

域に在住をする海外からの留学生と交流できたという意味で、大変に意義のあるイベ

ントであったと考えられる。特に、本フォーラムの終了後、中越地震で最も被害の大

きかった旧山古志村(市町村合併により現長岡市)の宿泊施設を利用することが出来

たことで、本学からの参加者である留学生 15 名及び引率者が、震災のあった現場を視

察することが出来たうえ、山古志村の住民と交流する場を設けることが出来たことは、

留学生にとって、色々な意味で貴重な体験をすることが出来たと考えられる。

本学の留学生の大部分は、御茶ノ水に在る本学と自身の住むアパート等の間を往復

するのみであることが多く、講義・研究・実験・実習等で本来の目的を全うするだけ

の傾向にあり、数年日本に滞在はするが比較的狭い範囲の中で生活し帰国するという

形が一般的であるが、今般のように土曜日と日曜日を利用することにより、日本の東

京以外の生活や文化を学ぶことができ、東京と地方を比較して考えることができる良

いきっかけになったことが一つの成果と考えられる。特に、長岡市山古志地域は古く

から錦鯉の産地であるだけではなく、普段食している食材は新鮮でかつ繊維質も多く

極めて健康的な食品が多く、食品そのものまたは調理方法も含めて留学生にはとても

参考になり帰国してからもそれぞれの国地域の参考になるものと思われる。また、山

古志地域は先の中越地震から復興を遂げ(現時点で復興の途中という意見も多いが)、

78

山古志の地域住民の方々が、どのように復旧から復興に移行し今の生活に戻ってこら

れたかということを肌で体験できたことは、本学の留学生にとってとても大きな成果

ではなかったかと考える。

フォーラム参加の翌日、信濃川の下流域にある大河津分水とその資料館を見学する

ことが出来たが、新潟県信濃川流域の農家の人々が田んぼの水はけが悪い関係から、

古くから浮稲の様な稲を栽培し、腰まで水につかりながら稲栽培をしていた状況を具

にし、また大河津分水が出来てから以降の新潟県信濃川流域の発展等の歴史を確認す

ることができたことは大変に勉強になったと思われる。

また、今回参加をしていただいた地域住民の方々の中には、国際協力機構が 40 数年

実施している海外青年協力隊の新潟県 OB 会の方も入っておられたが、ご自分の派遣

されていた国の本学の留学生を見つけ久しぶりに繋がりを確認したり、高校生のグル

ープが国際協力を考えるプレゼンテーションのためのヒントを得ようと本学の留学生

と積極的に交流をしていたが、その様子を垣間見ると、留学生が地域に貢献すること

の一つとして『地域の国際化のつなぎ役』になることが出来るということである。

このように今般の防災分野における地域住民と留学生の交流推進事業としての国際

留学生フォーラム 2011 は、留学生が更に日本を良く理解し好きになってもらうという

ことについて有効であるだけでなく、グローバルな意味で将来日本の応援団になって

いただく最良の人々ではないかということ、また地域の住民の方々にとっても、広く

外国を意識することができ、本来の地域の国際化に充分貢献する存在であることが確

認できた。また、今回は本交流事業の終了後、本事業の一環として、本件に積極的に

協力をいただいた長岡市、長岡市国際交流協会及び中越防災安全推進機構のスタッフ

の方々との間で、本事業の振り返りと反省会を現地で実施することができたが、右に

ついては、今後のより一層効率の良い事業運営に資することができたと思われる。将

来の展望としては、防災分野という切り口で、このようなイベントを定期的に同じ地

域で行っていくことが、地域の国際化にも繋がるし、真の意味での我が国の国際交流

推進に資するものと思われる。そのような意味から、今回の中島財団からの助成を受

けて実施をした交流事業を土台として次に続く国際交流事業を志向して行きたいと考

える。

(資料 4)留学生フォーラムのポスターと同フォーラム実施時の写真

(報告者 吉田 丘)

3-2 市川市内の学校との交流

市川市は、本学国府台キャンパスがあり、教養部で学ぶ 1 年次および 2 年次の学生

が通学する地であると同時に、キャンパス内に国際交流会館、国際女子学生宿舎、里

見寮を持つ。また、尐なからぬ留学生が市川市に住むなど、本学および本学留学生と

関係の深い地である。市川市への地域貢献活動の一環として、以下のような概要の活

動を行った。

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(1) 一中フェスタ参加

目的:一中フェスタの市民講師として留学生が中学生に自国について講義する

日時:平成 23 年 10 月 8 日(土)

場所:市川市立第一中学校

参加者:大学院生 3 名(パキスタン、バングラデシュ、インドネシア:各 1 名)

医学部医学科 1 名(中国)

引率:大北葉子准教授

活動内容:本学の留学生 4 人(パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、中国)

が講師として参加し、自国の文化等の紹介を、パワー・ポイント等を使って行なった。

この「一中フェスタ」は、市川市立第一中学校の学生の父母や近隣の住民が自分の話

したいこと・伝えたいことや趣味や特技(生け花や楽器演奏等)について講座を開講

し、講師として中学生達に伝える催し(教室の講義形式)で、講師は 1 つの講座で約

60 分間講演する。各講師が指定された学年のクラスに行き、講演を行なう。中学生達

は講演を聴講したり、講演の後に質疑応答したりすることを通して、相互理解を深め、

見聞を広めることを目的としている。本学の留学生 4 人は 2 つのグループに分かれ、

各グループで 2 人の留学生が自国の文化や習慣等をパワー・ポイントや写真等を使っ

て紹介した。尚、この「一中フェスタ」は教養部(水野哲也教授)との合同で地域交

流活動を行なっており、水野教授には市川第一中学校との連絡や講座の振り分け等で

協力をいただいた。国際交流センターからは大北葉子准教授が留学生 4人を引率した。

(報告者 大北葉子)

(2) 昭和学院小学校への訪問授業

昨年度から市川市の私立昭和学院小学校の希望により交流を開始したが、本年度よ

り、留学生による昭和学院訪問授業を前期に行うこととなった。かつて、恒例化して

いた市川市立真間小学校の訪問授業に代わるものでもある。

目的:本学の教養部キャンパスおよび学生宿舎がある市川市内の昭和学院小学校にお

いて、留学生が講師として自国について紹介し、地域貢献活動をすること。活

動を通して、日本の小学生の学校生活を知り、小学生と親睦を図り、日本につ

いての理解・親しみを深めること。また、小学生が外国人留学生と交流の体験を

持つこと。

日時:平成 23 年 7 月 8 日(金)11:00 ~ 14:30

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場所:昭和学院小学校 市川市 東菅野 2-17-1

参加者:2011 年度前期国際交流センター研修生 5 名

引率:大北葉子准教授、増田光司准教授

活動内容:昭和学院小学校 5 年生 2 クラスにて、午前・午後の 2 時限において、留学

生が講義を行うなどの活動をした。

11:00-12:25 ホールで小学生に対面、留学生 3 名が自国の地理・文化・言語など

のプレゼンテーション。質疑応答。

12:30-13:10 留学生は 2 クラスに分かれ、小学生と一緒にゲーム等の活動。そ

の後、小学生の案内で新築の校舎を見学。休憩。

13:35-13:55 二つのグループに分かれて、留学生が自国の遊びを紹介し、ホー

ルで一緒に遊ぶ。

14:30 ホールで小学生から歌を贈られた後、解散。

(報告者 増田光司)

3-3 文京区との地域連携

国際交流フェスタ 2012 への留学生の参加活動

メインキャンパスを文京区に置く本学は、文京区役所主催の「国際交流フェスタ」

に昨年(平成 22 年)度に続き参加した。国際交流フェスタは、外国人と日本人の文化を

通じた交流を目的としている。本学は学際生命科学東京コンソーシアム(お茶の水女子

大学、学習院大学、北里大学および本学による相互補完連携組織)の一員として同フェ

スタに参加し、各校の留学生がプレゼンテーションおよび区民との交流活動を以下の

通り行った。

目的:文京区民との交流をはかり、相互の親睦・理解を深めるために、地域貢献活動

を行う。

日時:平成 24(2012)年 2 月 18 日

場所:Bunkyo Antenna Spot, Bunkyo Civic Center(文京区役所併設) 1F

参加者:お茶の水女子大学:留学生 3 名(中国 2 名、フィンランド 1 名)、北里大学:

留学生 2 名(中国 2 名) 、本学:留学生 5 名(バングラデシュ、パキスタン、インドネ

シア、中国、ガーナ各 1 名)

本学引率者:森尾郁子教授(国際交流センター長)、大北葉子准教授、増田光司准教授

活動:13:00 ~16:00

1. 参加する各大学からの留学生が自国の紹介などを日本語で行い、その後フロアと

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質疑応答した。(約 2 時間)

2. 次に、会場(アンテナスポット)にてフロアと留学生、また参加者同士の 交流を

行った。(約1時間)

総括:前年に続き 2 回目の参加であり、諸事潤滑に進んだ。本学は留学生数、引率教

員数も多く前年同様に中心的役割を果たした。今回の会場はほぼ満員の盛況であった。

前年度の反省を踏まえ、各校が自校の国際交流活動紹介よりも留学生による自国関連

のプレゼンテーションに重心を移したことも好評の因と評価できる。

(報告者 増田光司)

3-4 文京区との文化活動に関する意見交換

日時:2011 年 8 月 26 日(金)

場所:文京区役所

面会相手:文京区アカデミー推進部白神靖夫氏

本学参加者:森尾郁子国際交流センター長、後藤嘉信国際交流課課長、竹本佳弘特任

教授

地域貢献は大学における重要な役割のひとつであり、これまで国際交流センターは

文京区国際交流フェスタなどの活動で地域に貢献している。今後のさらなる交流の可

能性を検討することを目的に文京区を訪問し意見交換を実施することとした。意見交

換のポイントは以下の 2 点である。

1.文京区・本学国際交流センターで実施している語学教育プログラムの共有化

2.国際交流センターフェイスブックを利用した英語による文京区施設の国内外への

紹介

訪問により、文京区では多くのボランティア組織が日本語を含む語学教育の場を提

供しており、本学留学生も利用する機会があることを知ることができた。また本学で

語学教室を実施する際には、文京区を通して広報することも可能であることがわかっ

た。次に国際交流センターフェイスブックを利用した英語による文京区施設の国内外

への紹介に関して、

本学教員が留学生と文京区の施設を引率した際に、フェイスブックや Web サイトに写

真を掲載ともに文京区の施設の簡単な英語による紹介を実施した事例を紹介した。こ

れが多くの留学生が文京区を知る機会となっている旨を伝えたところ、文京区も英語

による広報活動をパンフレットなどを介して推進しており、大学からの情報発信も歓

迎したいとの意見であった。文京区からは、各施設に事前に了承を取った上で施設紹

介を実施すると、スムーズに進むとのアドバイスを頂いた。今後は必要に応じて文京

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区の施設側とも交渉し、本学における留学生の地域貢献の姿や文京区散策スポット英

語版、など積極的に情報発信する仕組み作りを検討していきたい。

(報告者:竹本佳弘)

4. 学内連携

4-1 学務部学生支援課 留学生オリエンテーション

新規に渡日する留学生に対して前期(5 月 13 日、20 人)と後期(10 月 21 日、26 人)

に、オリエンテーションを開催した。今年度のオリエンテーションでは、3 月 11 日の東日

本大震災を受けて地震等に関する情報を提供することにより、留学生の注意を喚起した。

本年度のオリエンテーションの内容は巻末(資料 5)に掲載する。

4-2 広報委員会 HP の英語化、Facebook 試行

大学関連情報を積極的に海外へ発信し本学の国際的な認知度の向上ならびに留学生の

本学へのアクセスを高めることを目的に、月次で広報委員会と国際交流センターで会

議を設け英語による情報公開の課題の抽出と具体的な翻訳活動を推進している。会議

メンバーは、高谷副学長、高久田学長特別補佐、森尾国際交流センター長、竹本特任

教授、クレアリー准教授、加藤国際交流課課長補佐、酒井広報担当他。具体的な実施

内容は、英語 Web サイト(課題の抽出・記載項目内容の検討・日本語 Web の英語翻

訳・英語 Web バナー作成による情報へのアクセス改善)、大学概要の英語化サポート、

大学機関誌(Bloom)、各部門の英語による紹介等の英語サイトの充実およびそのサポー

トである。英語翻訳に当たっては、各部門・国際交流センター教員による一次翻訳の

後に、エディターとして豊富な経験を有するクレアリー准教授のネイティブチェック

を入れることで翻訳に一貫性を持たせるように配慮している。また本年度は SNS

(Social Network Service) のフェイスブック (FB) にも取組み、大学情報を積極的に

情報公開することで、海外から大学への情報アクセスが容易になるように改善した。

国際交流センターフェイスブック試験運用

本年度は試験的にフェイスブック(FB)を用いた情報発信を検討した。WEB サイトに

よる情報発信はフォーマルな静的な情報発信であり、学生や将来の留学候補生との意

見交換・情報交換が難しい。一方、SNS の中でも米国生まれの FB は、WEB サイトに

比較するとニュース性が高く、本学のイベントをそのまま写真を映像を通して発信で

きる。特に本学の留学生向け教育イベントである International Summer Program

(ISP2011)の前後では、FB サイトが ISP 招待海外学生の情報交換・情報発信の場とし

て効果を示した。ISP 参加者の多くが本学の FB サイトに意見を述べ、ISP 終了後も参

加者同士が本サイトを介して情報交換する場として機能している。来年度の ISP2012

の広報活動も単に FB に掲載するにとどまらず、ISP2011 の参加者を通してより多く

の人々に ISP2012 の情報が発信されることとなった。このような情報を拡散させる仕

組みは、国際的な認知度が課題である日本の大学の場合、うまく活用することで国際

認知度向上を図るための有力な手段となるものと思われる。FB 運用上の課題は、掲載

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するコンテンツの品質と、誰でも書き込みできる

ことから FB が誹謗中傷の場となるリスクをはら

んでいることがあげられる。コンテンツの品質に

関しては、本委員会で毎月掲載内容を検討するこ

とで質の担保を確保した。一方、誹謗中傷に関し

ては、FB が実名で登録することが前提となって

いるためか誹謗中傷のコメントが掲載されたケー

スは全く見られなかった。実際の運用上の負担も

心配されたが、WEB に掲載する情報を先に掲載

するスタイルを取ったため、特に大きな負担とな

ることはなかった。今後は、FB を利用した国際

的な認知度の向上、ISP のような国際イベント紹

介の戦略的な活用、あるいは意見交換の場として

活用していきたい(現在の FB は、試験運用期間

が終わったため、2012 年 3 月で閉鎖)。

(写真:フェイスブックサイト、ISP2011 など多くの写真が参加者の間で共有されて

いる)

(報告者 竹本佳弘)

4-3 スチューデントセンター 就職活動支援

スチューデントセンター、学生支援課主催で、2011 年 9 月 29 日(木)13:00-17:00 に

キャリアを考えるセミナーを実施。企画・司会は竹本佳弘特任教授(2-6.キャリア支援

参照)。

(報告者 竹本佳弘)

4-4 学務部入試課 ISP 特別選抜

国際サマープログラム(International Summer Program, ISP)は、2009 年に本学

を世界に広くアピールすることを目指し、また、アジアの優秀な外国人留学生の確保

及び留学生の受験機会拡大を図るために開始された。2011 年度には新たな試みとして、

本学大学院医歯学総合研究科(博士課程)の特別選抜入試を学務部入試課と連携の下、

実施した。本入試の対象者は、本プログラムに招聘された者で、医学領域・歯学領域・

生命理学領域・生体工学領域に関する高度な学識および実務能力を持ち、さらなる関

心と研究への強い意欲を有している者として選抜を実施し、参加者 23 名のうち入学を

希望する 7 名から出願があり、3 名が合格した。

4-5 JSPS 若手研究者招聘事業シンポジウムへの協力

本学大学院医歯学総合研究科で採択された日本学術振興会「若手研究者招聘事業―東

アジア首脳会議参加国からの招聘―」平成 23 年度 医歯学領域の若手研究者育成事業

-東南アジア国際医療ネットワークの構築-(3)により、平成 23 年 10 月 6 日に、

学内においてシンポジウム「アジアにおける国際歯科医療ネットワークの構築を目指し

84

て」Symposium “Toward networking dental professionals in Asia”が開催された。国

際交流センターは同シンポジウムの運営面で協力した。

シンポジウムには、上記事業による招聘者に加えて、帰国後 6 年以上を経過した元留

学生計 10 名を本学資金により招聘した。7 カ国(マレーシア、ベトナム、韓国、イン

ドネシア、モンゴル、中国、タイ)からの 29 名の歯科医師・研究者を含め、100 名以

上が参加した。基調講演、元留学生をパネリストとしたパネルディスカッション、研究

発表(ポスター発表)が行われ、これまでの本学の留学生教育を振り返りながら、今後

の国際医療ネットワーク構築に向けての課題について、率直な意見交換を行った。

パネルディスカッションの様子

(報告者 森尾郁子)

4-6 大学院室 医歯学総合研究科初期研究研修プログラム授業担当

2011 年 4 月 17 日(水)に、初期研究研修プログラム「研究発表・論文作成」の講

85

義を実施(詳細は 2-6 参照)。医歯学総合研究科の大学院生約 150 名が参加した。講義

後のアンケートによると、多くの参加者からわかりやすく有益な講義であったとのコ

メントがあり、また継続的な学習の機会へのリクエストも多く、今後は研究者を対象

とした英語プログラムの充実が課題である。

(報告者 竹本佳弘)

4-7 学務部教務課 短期来日留学生・研究者サポート、スマートデバイス資材開発・

提供

短期来日の留学生への日常生活のサポー

トは、滞在時間も限られていることからサ

ポート範囲が限定される。そこでスマート

デバイスを用いて、短期滞在の留学生の日

常生活サポートの可能性を検討した。

対象:英国インペリアルカレッジ医学部生、

英国キングスカレッジ歯学部生、タイチュ

ラロンコーン大学大学院生・研究者

提供コンテンツ:お茶の水周辺情報(食事、

銀行・貨幣)、危機管理、地図(駅から宿舎までの道案内付き)、日本文化紹介(食事、

ひらがな練習帳、雅楽器)、英語ニュース、大学概要英語版、スカイプ他)

学生のアンケート結果によると、すべての学生・研究者から食事、銀行、危機管理、

英語ニュース、日本文化紹介などのコンテンツは非常に有益であったが、地図は表示

が日本語であったために使用範囲が限られたとの指摘があった。またネットにつなぐ

ことができる範囲が限られており(国際交流センター留学生ラウンジ、図書館、コン

ビニエンスストアなど)、使用範囲が限られてしまうことも課題としてあげられた。今

後はコンテンツの改善と学内におけるネット環境の整備が課題である。

(報告者 竹本佳弘)

5. 教員紹介

●竹本佳弘(特任教授 理学博士)

1.専門分野

・科学と社会のコミュニケーション

創薬科学:分子生物学から臨床研究(分子から社会へ)

オミックス関連サイエンスの社会啓蒙(社会人教育・大学院教育)

・人材育成

Fundamental Skills (Transferable Skills) in Higher Education

2.国際交流センターでの担当業務

1) 大学国際ブランディング

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世界大学ランキング機関 THE と QS への日本の大学ランキングに関する提言

本学ブランドのための提言・情報提供

2) 大学・大学院紹介・広報

- 海外訪問者対応

・フィンランド・セイナヨキ市長、セイナヨキ応用科学大学理事長他

- 留学生オリエンテーション(5 月、10 月大学院紹介)

- 大学間協定サポート

- 海外情報発信

・英語 WEB コンテンツ構築・情報発信

・フェイスブックを利用した大学情報の世界発信

・海外 JSPS 留学フェア出展

・ISP2011 への本学紹介ポスター展示

・JENESYS への本学紹介ポスター展示

- ISP2011 用広報資材ノベルティ開発(夏の暑さ対策:医科歯科団扇)

- 年報作成 2010 年度年報最終校閲

3) 留学生・学生・卒業生・職員のネットワーキング

- フェイスブックを利用した留学生・留学候補生への大学情報提供並びにネットワ

ーキング

- 「世界のことば教室」主催し留学生・日本人学生・教職員をネットワーキング

- 短期留学生へのスマートデバイス教育教材開発

・インペリアルカレッジ・キングスカレッジの医学部・歯学部学生、チュラロン

コーン大学歯学部大学院生他にスマートデバイスを提供

・コンテンツ:本学・大学周辺生活情報・日本情報提供(文京区危機管理情報な

ど)

・国際交流留学生センターへのワイヤレスネットワーク環境の構築

3.授業担当(国際化教育)

1) 国際交流センター講義:英語プレゼンテーション・論文作成(3 コース)

2) 大学院国際関連講義

(生命情報教育部の講義はすべて時間外活動:講義は 18:00-21:10)

- 医歯学総合研究科・初期研究研修プログラム

(英語プレゼンテーション・ライティング)

- 生命情報科学教育部・オミックス創薬特論(2 単位)

- 生命情報科学教育部・英語ディベート演習(2 単位)

- 生命情報科学教育部・国際データプレゼンテーション演習(2 単位)

4. 学生指導

1) R&D インターンシップ:プランニング・実施、留学生・大学院生約 30-40 名で 2

企業訪問(大学院講義と連動させて実施)

2) キャリアフェア:企画・実施、留学生・大学院生約 40 名

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(スチューデントセンター・学生支援課との共同プロジェクト)

3) 大学院生向け研究室選択相談・就職相談・情報提供・エントリーシート作成指導な

ど随時アドバス。春と秋冬は頻繁にキャリア相談依頼

5. 学内運営

1) 企画・国際交流戦略会議

2) 国際交流センター連絡会議

3) 国際交流推進部会

4) 協定書小委員会

5) 国際サマープログラム ISP2011 ワーキンググループ

(ISP 2011 の主賓として、クローン羊の生みの親・iPS 細胞の祖父である Prof. Ian

Wilmut を招聘(University of Edinburgh))

6) 国際サマープログラム ISP2012 ワーキンググループ

7) 広報委員会・国際交流センター英語 Web 委員会

8) 医学部附属病院治験等審査委員会(2009 年より医学部附属病院サポート。勤務時

間外活動)

6.研究

1) 創薬・育薬科学の「個の医療」への応用方法の研究・教育手法の研究

2) Fundamental Skills (Transferable Skills) in Higher Education

3) ブランディング

7.学外運営(勤務時間外活動)

1) 文部科学省・地域イノベーションクラスタープログラム全体評価委員

2) 文部科学省・地域イノベーション戦略支援プログラム全体評価委員

3) 北海道知的クラスター’Bio-S’ 研究評価委員(文部科学省プロジェクト)

4) オミックス医療研究会・理事

8.学外教育(勤務時間外活動)

1) 筑波大学大学院フロンティア医科学専攻・非常勤講師(2009 年度より)

Translational Research Management(橋渡し研究マネージメント・英語講義)

9.著作・報告書等

1) 「東日本大震災」復興と学び応援プロジェクト

「Change をとらえて Chance を見いだす。それこそ理系」竹本佳弘

http://www.wakuwaku-catch.jp/ouen_pj/message/1162.html

2) 文部科学省「地域イノベーション シンポジウム 2011 in 福島:地域発ライフイノ

ベーションの創出に向けて」

3) 文部科学省「都市エリア産学官連携促進事業の事後評価に関する報告書」

4) Alumni networking Web albumーYoung Researchers' Project in Medicine and

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Dentistry: Establishing a Network of Health Care Professionals in Southeast Asia

http://www.tmd.ac.jp/english/events/jenesys/index.html

5) 「地域イノベーション創出に向けた地域間連携促進事業の実施とその深化のための

事業実施のあり方に関する調査」平成 23 年度地域科学技術振興調整費委託事業・三菱

総合研究所(2012 年 3 月)

10.講演会等

1) ISP2011 ポスター発表。東京医科歯科大学紹介(2011 年 8 月 28 日)

2) JSPS-NRCT シンポジウム・ポスター発表。 JSPS and NRCT jointly hold a

seminar “Study and research opportunities in Japan andperspective of Thailand

by Japanese social scientists” (2011 年 10 月 15 日 Siam City Hotel, Bangkok.)

3) Young Researchers' Project in Medicine and Dentistry: Establishing a Network

of Health Care Professionals in Southeast Asia ポスター発表(2011 年 10 月 6 日東

京医科歯科大学)

4) 文部科学省「地域イノベーション シンポジウム 2011 in 福島:地域発ライフイノ

ベーションの創出に向けて」座長担当

地域発イノベーションのための事業マネジメントについて(知的財産戦略など)

(2012 年 2 月 13 日福島県)

●吉田 丘(特任教授)

専門分野:ガーナ海外拠点における『ガーナ由来植物による抗ウイルス及び抗寄生虫

活性候補物質の研究プロジェクト』、チリ海外拠点における『大腸がんスク

リーニング・プロジェクト』及びタイ海外拠点における関連プロジェクトに

係るプロジェクト運営管理・指導。

国際交流センター業務:国際交流センター事務部長を兼務。

●増田光司(准教授)

専門分野:日本語、日本語教育、日本語教育史

国際交流センターでの教育:研修コースおよび補講での日本語教育

教養部での教育:日本語・日本事情教育、異文化間交流教育

現在の研究分野:明治~昭和初期の国内日本語教育史

●泉谷双藏(准教授 言語学博士)

専門分野:日本語・英語の構文論(統語論)と音韻論

国際交流センターでの業務:日本語教育、相談業務

研究:日本語、英語及び言語一般に関する統語論と音韻論

担当授業:日本語研修コース、日本語補講クラス、英語補講クラス

●大北葉子(准教授)

専門分野:日本語教育、認知神経科学、e ラーニング

89

国際交流センターでの担当業務:

ランゲージコーディネーター、Web マスター(ホームページ更新、留学生メーリン

グリスト名簿管理とメールの送信)

授業担当:

学部教育:日本語 IIb, d

留学生日本語プログラム: 日本語研修コース、補講(医療用語1、医療用語2)

英語特別コース、TOEFL-iBT セミナー

お国紹介(学生募集、プレゼンテーション支援、司会)、年中行事 (七夕、お月見、

雑煮、節分、ひな祭り)の説明

研究:漢字認知過程の研究と漢字練習 Web サイトの開発(2011年度科学研究費補助

学内運営:国際交流センター運営委員会、国際交流推進部会

外部資金:科学研究費補助金 B 19320074

期間:平成 22 年度 ― 平成 24 年度

研究題目:留学生の日本語学習に伴う脳機能変化の経年的研究と医療系日本語学習

教材への応用研究

研究代表者:大北葉子 研究分担者:太田克也 松島英介

研究業績

口頭発表

大北葉子(2011) Individual differences in Kanji recognition: Comparison between

Japanese, Chinese, Taiwanese and Korean 日本認知心理学会 第 9 回大会 学習

院大学 2011 年 5 月 30 日

その他

日本学術振興会:特別研究員等審査会専門委員及び国際事業委員会(二国間交流)

書面査員(複合新領域)

●Cleary Kevin(Associate Professor)

1.専門分野 / Specialty

Literature in an English as a Foreign Language context; adaptation of texts;

materials production; editing; law; accounting

2.国際交流センター業務 / International Exchange Activities

• English version websites for TMDU and IEC

• Support data collection and presentation for university ranking purposes

• Revision (content and language) of documents for international exchange

purposes, such as agreements, communications, pamphlets, posters, speeches

et alia.

3.授業担当 / Lecture

(1) 国際交流センター講義 / International Exchange Center:

90

• Intermediate English

• Special English Class (Writing / Presentations in alternate months)

(2) 大学院国際関連科目 / Graduate school

・Introduction to Scientific Writing in English(生命情報科学論文作成演習)

(2 credits)

・English Debate(英語ディベート演習)(2 credits)

・Biomedical Information Data Presentation Practice(生命情報科学国際データ

プレゼンテーション演習) (2 credits)

(3) その他 / Other

• Writing in English, Faculty of Dentistry

• English on demand class at the Medical Research Institute

4.学生指導 / Student advising

• Informal advice on career issues

5.学内運営 / University operation

• International Exchange Center management meeting(国際交流センター連絡

会議)

• College of Liberal Arts Faculty Meeting(教養部教授会)

• Public Relations / IEC English version website Working Group(広報・国際交

流センター英語 Web 委員会)

• International Summer Program 2011 Working Group (observer)(国際サマー

スクール ISP2011 ワーキンググループ)

6.研究 / Research

• Adaptation of scientific texts for general audience

• Adaptation of texts for cinematic purposes

7.学外運営(勤務時間外活動) / Outside Activities

• President, Japan Association for Language Teaching

• Secretary, IEEE Professional Communication Society, Japan

• Membership Secretary, Society of Writers, Editors and Translators (from

8/2011)

8.学外教育(勤務時間外活動) / Outside Teaching

• "English through Cinema" at Sophia University Community College

• English III, IV; Financial Accounting / Financial Regulation at Meiji

University Graduate School of Accountancy

91

9.著作・報告書等 / Papers, books etc.

Textbooks:

• Science in Focus (Seibido, January, 2012)

• Science Fair (Nan'un Do, January, 2012)

10.講演会等 / Symposiums, lectures etc.

• "Creating a Lifelong Learning Community" Presentation at the Asian

Conference on Language Learning, Osaka, Japan (11 July 2011)

• "How Can a Language Teaching Association Best Serve Its Members "

Presentation at the English Teachers' Association of the Republic of China

conference in Taipei, Taiwan (12 November, 2011)

• "The Role of World Englishes in East Asian ELT" Presentation, as a speaker

in the International Forum, at the English Teachers' Association of the

Republic of China conference in Taipei, Taiwan (12 November, 2011)

92

資料

93

資料 1 チリ大学医学部との協定書

94

95

96

97

98

99

100

101

チリ大学医学部と東京医科歯科大学との間に締結される一般協定

チリ大学医学部(所在地:チリ国サンチャゴ)と東京医科歯科大学は、科学・医学・工学

の多岐に渡り共通利益を有することを表明する。

第一: 医学に関する学術プログラム・研究活動・その他の適切な活動への参加を希望す

る教員、研究職員、学生のために交流活動ならびに両機関の学究的交流を強化促進してい

くこととする。

上記の目的実現するためには、いかなる場合も、教員や学生各々の自主性ならびに機関代

表者の自主性に基づくものとする。

第二: 本コラボレーションの具体的内容は以下の通りである。

a) 医学共同・協調プログラム

b) 共通利益を有する他機関や個々の科学者と共に、両機関の教員と研究職員との間で実

施される共同・協調プログラムの研究開発

c) 国際セミナーや学会の共同開催、教育における学術・運営面の議論

d) 学術的論文等の交換

e) 両機関における一般的あるいは特有の共通利益である学術的活動の助長促進

第三: 学術交流

交流の形は以下の通りとする。

a) 教員派遣

資金の許す範囲内において、両機関に属する教員は他の機関の訪問教員として招聘されう

る。派遣される教員は受入先機関の要求に応じた指導や研究に従事するものとする。

b) 研究者派遣

受入先機関で実施される特別研修や特定な研究を遂行するため、機関から推薦された研究

者は、受入先機関による受入承認を条件に、派遣研究者として適切な学術的分野に所属す

るものとする。派遣研究者の滞在に必要とする生活費や交通費の支払いは、派遣機関が責

任を持つこととする。

c) 学生派遣

各機関で選考された学生は派遣学生として受入先機関で受入れられ、派遣学生は受入先で

指定された科目を履修する。派遣機関の推薦と受入先機関の承認により(受入先機関の規

則や受入を承認する委員会のもと)派遣学生は、受入先機関での単位を取得する対象とな

りうる。

102

翌年度の派遣学生の人数は、相互の同意の下に決定される。派遣人数はプログラムに必要

な人数、各機関が適用できる資金と適切な応募者数によって定められる。

交流する派遣学生の人数は両機関とも同数になることが好ましいが、本交換プログラムの

初期の段階において、必ずしも同数にする必要はない。

派遣学生の授業料ならびにその他の申請手続きを含めた諸手数料については、受入先機関

は、請求をしない。

派遣学生は、受入先機関において、以下の権利及び義務を有する。

a) 勉学上の必要条件および規則に関する情報の提供を受ける。

b) 受入先機関の規則を遵守する。

c) 合意に基づく学業に必要な全ての施設の利用許可を受ける。

d) 受入先機関の学生と同等の権利を有する。

e) 受入先機関での宿舎確保のための助力を受ける。

本協定書の下、当事者の義務は当該派遣学生に対しのみ効力があるものとし、その配偶者

や同伴家族には効力は発生しない。派遣学生の配偶者や同伴家族に伴い生じる費用は、当

該個人で賄われる。

全ての派遣学生は自身で滞在中の保険について然るべく確保するよう指導されるべきであ

る。

第四: プログラムの運営

各機関は、関連するカリキュラムと研究プログラムの説明(解説)を相手先機関に与える

ものとする。教員や学生に必要とされる学術論文・レポートそしてその他の適切な情報を

提供する。

各機関の医学部長がコラボレーション・交流プログラムの連絡係(責任者)を任命するも

のとする。各機関の責任者は責務として本交流参加者の学歴・業績・関心等を受先入機関

に情報として提供しなくてはならない。各機関は優秀なものだけを派遣学生として任命し

なくてはならない。交流の招聘は受入先機関の承認を得るものとする。

翌年の交流計画は各年の春・秋に準備・再検討される。各機関の二名の連絡係(責任者)

は派遣者・受入者を支援するため得られるソースにそって派遣・受入期間に必要とされる

条件と特定の要件に関する情報を交換する。

103

年度ごとに実施される交流計画は、各機関の了解を取るため、毎年 3 月 1 日までに相手先

機関に提出されるものとする。

必要な修正を行うため、交流プログラムの内容は 3 年ごとに再検討されるものとする。

協定の細部に至る場合、サブユニットは一般協定の枠組みの範囲内で、補足として付け加

えられる。

本協定書に署名する当事者は4部の協定書に署名する(英語とスペイン語で標記)。内 2

部は各々で保存するものとする。

本協定は、両当事者によって署名された日から6年間有効とする。 3 年経過後、協力継続

のための条件は、当事者双方が評価しなければならない。異議が唱えられなかった場合、

本協定の効力は次の期限まで継続される。

104

資料 2 授業評価

研修 回答数 10

評価スケール

Strongly disagree Strongly agree

1 2 3 4 5

評価内容

内容 平均 SD

1 The course was carefully planned. 5.0 0

2 The textbook was appropriate. 4.4 0.52

3 The pace of progress was appropriate. 4.2 0.83

4 Handouts and audio-visual materials were appropriate. 4.7 0.50

ß5 The activities in the course were satisfactory. 4.9 0.33

6 The instructor(s)’ explanations were usually clear. 4.7 0.50

7 The instructors encouraged us to learn and participate actively in

classes.

5.0 0

8 Overall, I rate the instructor(s) as: 5.0 0

9 Overall, I rate this course as: 4.6 0.51

補講:回答数 24

評価スケール

Strongly disagree Strongly agree

1 2 3 4 5

評価内容

内容 平均 SD

1 The course was carefully planned. 4.6 0.56

2 The textbook was appropriate. 4.7 0.42

3 The pace of progress was appropriate. 4.5 0.58

4 Handouts and audio-visual materials were appropriate. 4.3 0.85

5 The activities in the course were satisfactory. 4.3 0.81

6 The instructor(s)’ explanations were usually clear. 4.7 0.55

7 The instructors encouraged us to learn and participate

actively in classes.

4.7 0.46

8 I would recommend this class to other students. 4.6 0.58

9 I rate my performance in this course as: 3.6 0.65

10 Overall, I rate the instructor(s) as: 4.8 0.38

11 Overall, I rate this course as: 4.6 0.57

105

特別英語: 回答数 32 平均 4.5 SD 0.71

評価スケール

Dissatisfied Satisfied

1 2 3 4 5

TOEFl iBT セミナー: 回答数 9 平均 4.2 SD 0.67

評価スケール

Dissatisfied Satisfied

1 2 3 4 5

106

資料 3

GCコーポレート訪問のアンケート調査結果

訪問日 :2011 年 8 月 23 日(火)

調査実施期間 :2011 年 8 月 29 日(月)~9 月 2 日(金)

対象者数 :11

回答者数 : 8

回収率 :72.7%

Q1: Is the time enough? Is it too short, too long, or adequate?

A1: ・Adequate

・Yes, I think the time is enough.

・Adequate

・For me, I thinks adequate time.

・The time was not enough. It would have been better if we could have seen

more and know more.

・Adequate

・I think the time is enough

・The time is a little short, and if we have a chance to see more demonstrations,

that would be very nice for all of us.

Q2: What do you think about the scheduling (Video-seeing, Brushing experience,

Cement experiment, and CAD/CAM demonstration)?

A2: ・In video-seeing we could know about the company in brief. The rest of the

demonstrations was good.

・I think they are arranged in a good order. I appreciate that.

・It is good.

・The wonderful schedule because we learn about demonstration, brushing

experience, and observation new design dental units.

・Excellent. Specifically CAD/CAM demonstration and Cement experience were

just great.

・I felt all were good. Specifically, I enjoyed the CAD/CAM demonstration.

・It good to see these experience.

・That was great for us to learn the different techniques; but, as I mentioned

above, it would be great to learn more.

Q3: Do you want to visit again? (Circle one) Yes No

Do you want to recommend this event to your friends? (Circle one) Yes No

A3:

Yes 8

No 0

107

Yes 8

No 0

Q4: How were you satisfied with the tour? (Circle one)

Very much OK Not very much Not

at all

A4:

Very much 5

OK 3

Not very much 0

Not at all 0

Q5: Any comments, suggestions, and questions that you want to share with them

(GC) or with us (IEC)?

A5: ・Thank you for giving the opportunity.

・I would like to see more videos about the research laboratories of CG.

・Everything is good, thanks!

・We want to know the way of thinking new products and about the test or

research for new products.

・Is it possible to make a tour again like this one? The newest braces of

Zirconium Bracket for the orthodontics and CBCT machines can be seen from

GC?

・I want to see the demonstration of the occlusal pressure measuring machine,

new products and machines.

・If possible, all products of the company should be introduced.

・This kind of tour is very nice for the foreign students, especially from the

developing countries like, ASEAN. I really appreciate to the IEC and also the

GC company for conducting such an amazing tour for us.

Q6: What kind of tours or events do you want IEC to plan in the future?

A6: ・If possible, I want to visit the laboratories and factories of CG.

・More activities like the GC tour

・Japanese culture and advanced technology

・Tours like this (e.g. GC tour), Japanese cultural events and research lab visit

can be planned. If IEC makes plan it is easy for us to join as we get

permission from our department professor easily.

・IEC may arrange a tour to another dental/medical products manufacturing

company. IEC also can make outside tour on different Japanese cultural

events.

・Not only GC tour but also another dental company visit is good for dental

108

student.

・Please kindly schedule this kind of tour to many dental companies. But,

please also arrange to be able to see their demonstrations, practical works,

and experiments.

109

資料 4 国際留学生フォーラム 2011

110

111

112

資料 5 留学生オリエンテーション

前期オリエンテーション

オリエンテーション

Orientation

平成23年5月13日(金) 13:30 ~

May 13, 2011(Friday)

1号館 9階 特別講堂

Auditorium, No.1 Building, 9F

1.本学大学院紹介 Introduction to Graduate School

2.国際交流センター紹介 Information of International Exchange Center

3.大学生活に必要な諸手続き

Required procedures for new international students

about everyday life in Japan

(休 憩)

(Break)

施設見学

Campus Tour

15:20 図書館情報メディア機構図書館

Institute for Library and Media information technology-Library

16:00 医学部附属病院又は歯学部附属病院 Medical or Dental hospital

113

後期オリエンテーション

オリエンテーション

Orientation

平成23年10月21日(金) 1:30 p.m.~

October 21, 2011(Friday)

1号館 9階 特別講堂

Auditorium, Building No.1, 9F

1.健康管理について Health Care

2.本学大学院紹介 Introduction to Graduate School

3.国際交流センター紹介 Information of International Exchange Center

地震と津波について Earthquake and Tsunami

4.大学生活に必要な諸手続き

Required procedures for new international

students about everyday life in Japan

(休 憩)

(Break)

施設見学

Campus Tour

3:20 p.m. 図書館情報メディア機構図書館

Institute for Library and Media information technology-Library

4:00 p.m. 医学部附属病院又は歯学部附属病院 Medical or Dental hospital

懇談会

Welcome Party

5:15 – 6:30 p.m. グリルセインツ(1号館9階)

Grill SAINT(Building No.1, 9F)

114

資料 6 JSPS 若手研究者招聘事業シンポジウム

115

116

117

第 3 部:各種規定・委員会

国立大学法人東京医科歯科大学国際交流推進本部規則

平成21年3月27日

規 則 第 1 3 号

(設置)

第1条 本学に、国際交流推進本部(以下「本部」という。)を置く。

(目的)

第2条 本部は、本学における国際交流を推進するため、本部会議(以下「会議」という。)

を運営する。

(組織)

第3条 本部は、次に掲げる部員をもって組織する。

(1) 企画・国際交流担当理事

(2) 各大学院研究科長、教育部長及び研究部長

(3) 各学部長及び教養部長

(4) 各附置研究所長

(5) 国際交流センター長

(6) 事務局長

(7) その他学長が必要と認めた者

2 前項第7号の部員は、学長が委嘱する。

3 第1項第7号の部員の任期の末日は、当該部員を委嘱する学長の任期の末日以前とす

る。

(本部長)

第4条 本部に、本部長を置き、前条第1号の部員をもって充てる。

2 本部長は、会議を招集し、その議長となる。

3 本部長に事故があるときは、あらかじめ本部長の指名する部員がその職務を代行する。

(会議)

第5条 会議は、部員の3分の2以上の出席がなければ、会議を開き、議決することがで

きない。

2 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するとこ

ろによる。

(審議事項)

第6条 会議は、次の各号に掲げる事項を審議する。

(1) 全学的な国際交流の推進に関する企画立案

(2) 国際交流センター長候補者の推薦に関する事項

(3) 国際交流センターの組織及び運営に関する重要事項

(4) その他国際交流に関する重要事項

2 第3条第5号に掲げる部員は、前項第2号に掲げる事項の審議には加わらないものと

する。

118

3 第3条第6号に掲げる部員は、国際交流センターの教員人事に関する事項の審議には

加わらないものとする。

(部員以外の者の出席)

第7条 本部長は、必要があると認めるときは、部員以外の者の出席を求め、説明または

意見を聴くことができる。

(事務)

第8条 本部の事務は、関係部局の協力を得て、国際交流センター事務部において処理す

る。

(雑則)

第9条 この規則に定まるもののほか、本部の運営に関し必要な事項は、別に定める。

附 則

1 この規則は、平成21年4月1日から施行する。

2 本規則の施行により、国立大学法人東京医科歯科大学国際交流委員会規則(平成16

年4月1日規則第91号)及び国立大学法人東京医科歯科大学留学生専門委員会規則

(平成16年4月1日規則第92号)並びに国立大学法人東京医科歯科大学国際交流専

門委員会規則(平成16年4月1日第93号)は廃止する。

附 則(平成22年3月23日規則第30号)

この規則は、平成22年4月1日から施行する。

附 則(平成23年3月23日規則第23号)

この規則は、平成23年4月1日から施行する。

附 則(平成23年4月15日規則第53号)

この規則は、平成23年4月15日から施行し、平成23年4月1日から適用する。

119

国立大学法人東京医科歯科大学国際交流センター規則

平 成21年3月27日

規 則 第 1 4 号

(趣旨)

第1条 この規則は、国立大学法人東京医科歯科大学組織運営規程(平成16年規則第1

号。以下「組織運営規程」という。)第27条の規定に基づき、東京医科歯科大学国際

交流センター(以下「センター」という。)の組織及び運営に関し必要な事項を定める

ものとする。

(目的)

第2条 センターは、国際交流に関する統括的な業務を実施し、本学の国際交流を推進す

ることにより、教育研究の質の向上に寄与することを目的とする。

(業務)

第3条 センターは、次に掲げる業務を行う。

(1) 教育、研究及び医療に関する国際化推進対策

(2) 海外拠点の形成・強化及び海外拠点を活用するプロジェクト(プログラム)の支援

(3) 外国人留学生の確保対策

(4) 外国人留学生に対する日本語教育

(5) 外国人留学生及び海外留学を希望する学生並びに教職員に対する修学上及び生活上

の指導助言

(6) 学生及び教職員に対する国際化教育及び海外留学支援

(7) 留学生教育に係る調査研究

(8) 国際交流に関する各種事業の企画立案及び情報収集並びに提供等

(9) 海外への情報発信

(10) その他センターの目的を達成するために必要な業務

(運営組織)

第4条 センターの運営に関する事項を審議するため、国際交流センター運営委員会(以

下「委員会」という。)を置き、委員会の下に、次の部会を置く。

(1) 国際交流推進部会

(2) 国際教育部会

(委員)

第5条 委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) センター長

(2) センターの専任教授又は准教授 1名

(3) 前条第1号及び第2号の部会長

(4) 大学院医歯学総合研究科(医学系)の教授 1名

(5) 大学院医歯学総合研究科(歯学系)の教授 1名

(6) 大学院保健衛生学研究科の教授 1名

120

(7) 大学院疾患生命科学研究部の教授 1名

(8) 教養部の教授 1名

(9) 各附置研究所の教授 各1名

(10) その他学長が必要と認めた者

2 第1項第4号から第9号までの委員は、学長が委嘱する。

3 前項の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前

任者の残任期間とする。

4 第1項第4号から第9号の委員の任期の末日は、当該委員を委嘱する学長の任期の末

日以前とする。

(委員長)

第6条 委員会に、委員長を置き、センター長をもって充てる。

2 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。

3 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名した委員がその職務を代行する。

(委員会)

第7条 委員会は、委員の3分の2以上の出席がなければ、委員会を開き、議決すること

ができない。

2 議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによ

る。

(審議事項)

第8条 委員会は、国際交流センターに関する次の各号に掲げる事項を審議する。

(1) 組織及び運営に関すること

(2) 業務内容に関すること

(3) その他委員長が必要と認めた事項

(国際交流推進部会)

第9条 国際交流推進部会においては、次に掲げる事項を審議する。

(1) 教育研究の国際化推進対策に関すること

(2) 国際医療ネットワークの構築に関すること

(3) 外国人留学生の確保対策、海外への情報発信に関すること

(4) 海外の学術協定校との交流推進に関すること

(5) 国際交流関連情報の管理等に関すること

(6) その他委員長が必要と認めた事項

2 国際交流推進部会について必要な事項は別に定める。

(国際教育部会)

第10条 国際教育部会においては、次に掲げる事項を審議する。

(1) 外国人留学生を対象とした日本語教育に関すること

(2) 外国人留学生及び海外留学を希望する学生並びに教職員に対する相談業務に関する

こと

(3) 学生及び教職員を対象とした英語教育、ファカルティ・ディベロップメント、海外

留学への支援に関すること

(4) 国際交流関連の奨学金、チューター制度等に関すること

121

(5) その他委員長が必要と認めた事項

2 国際教育部会について必要な事項は別に定める。

(職員)

第12条 センターに、組織運営規程第23条第2項に定めるセンター長のほか、次の各

号に掲げる職員を置く。

(1) 専任教員

(2) その他必要な職員

(センター長の職務)

第13条 センター長は、センターの業務を掌理する。

(教員の選考)

第14条 教員の選考は、委員会の推薦に基づき、国際交流推進本部会議の議を経て、学

長が行う。

(事務)

第15条 センターの事務は、国際交流センター事務部において処理する。

(雑則)

第16条 この規則に定めるもののほか、センターの組織及び運営に関し必要な事項は、

委員会の議を経て、センター長が別に定める。

附 則

1 この規則は、平成21年4月1日から施行する。

2 この規則施行の際のセンターの専任教員の選考については、第8条の規定にかかわら

ず、センター長が選考する。

3 本規則の施行により、国立大学法人東京医科歯科大学留学生センター規則(平成16

年4月1日規則第152号)及び国立大学法人東京医科歯科大学留学生センター協議会

規則(平成16年4月1日規則第153号)並びに国立大学法人東京医科歯科大学留学

生センター運営委員会規則(平成16年4月1日第154号)は廃止する。

附 則(平成22年3月23日規則第30号)

この規則は、平成22年4月1日から施行する。

附 則(平成23年4月15日規則第53号)

この規則は、平成23年4月15日から施行し、平成23年4月1日から適用する。

附 則(平成24年3月1日規則第28号)

この規則は、平成24年3月1日から施行する。

122

国立大学法人東京医科歯科大学国際交流センター 運営委員会国際交流推進部会規則

平 成21年3月27日

規 則 第 1 5 号

(趣旨) 第1条 この規則は、国立大学法人東京医科歯科大学国際交流センター規則(平成21年

規則第14号)第9条第2項の規定に基づき、国際交流推進部会(以下「部会」という。)

に関し必要な事項を定めるものとする。

(組織) 第2条 部会は、次に掲げる委員をもって組織する。 (1) 大学院医歯学総合研究科の教授 2名 (2) 大学院保健衛生学研究科の教授 1名 (3) 大学院生命情報科学教育部・疾患生命科学研究部の教授 1名 (4) 教養部の教授 1名 (5) 各附置研究所の教授 各1名 (6) センターの専任教授又は准教授 1名 (7) 企画・国際交流戦略会議が推薦する者 (8) 学術国際部長

(9) その他センター長が必要と認めた者 2 前項第1号から第5号までの委員は、各教授会から選出するものとする。 3 委員は、センター長が委嘱する。 4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の

残任期間とする。 5 第1項第6号及び第9号の委員の任期の末日は、当該委員を委嘱するセンター長の任

期の末日以前とする。

(部会長) 第3条 部会に、部会長を置き、部会長は前条の委員の互選により決定する。 2 部会長は、部会を招集し、これを主宰する。 3 部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名した委員がその職務を代行する。

(審議事項) 第4条 部会は、次に掲げる事項を審議する。 (1) 教育研究の国際化推進対策に関すること。 (2) 国際医療ネットワークの構築に関すること。 (3) 外国人留学生の確保対策、海外への情報発信に関すること。 (4) 海外の学術協定校との交流推進に関すること。 (5) 国際交流関連情報の管理等に関すること。 (6) その他国際交流センター運営委員会委員長が必要と認めた事項

(議事)

123

第5条 部会は、委員の3分の2以上の出席がなければ、会議を開き、議決することがで

きない。 2 議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、部会長の決するところに

よる。 (委員以外の者の出席)

第6条 部会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、説明又は意見

を聴くことができる。 (庶務)

第7条 部会の庶務は、学術国際部国際課において処理する。 (雑則)

第8条 この規則に定めるもののほか、会議に関し必要な事項は、部会長が別に定める。

附 則 この規則は、平成21年4月1日から施行する。 附 則(平成22年3月23日規則第30号) この規則は、平成22年4月1日から施行する。

124

125

126

国立大学法人東京医科歯科大学国際交流センター 日本語研修コース規則

平成16年 4月 1日

規 則 第 2 3 8 号

(趣旨)

第1条 この規則は、国立大学法人東京医科歯科大学国際交流センター規則(平成2

1年規則第14号)第3条第4号の規定に基づき、東京医科歯科大学国際交流セン

ター日本語研修コース(以下「日本語研修コース」という。)の実施に関し、必要な

事項を定める。

(研修資格)

第2条 日本語研修コースの研修生(以下「日本語研修生」という。)となることがで

きる者は、次の各号の一に該当する者とする。

(1) 国費外国人留学生制度実施要項(昭和29年3月31日文部大臣裁定)の規定

に基づき、大学院等への入学に先立ち日本語及び日本事情教育を受ける研究留学

(2) 前号に掲げる者のほか、外国人留学生で国際交流センター長(以下「センター

長」という。)が適当と認めた者

(受入れ人員)

第3条 日本語研修生の受入れ人員は15人とする。

(研修期間及び開始時期)

第4条 日本語研修コースの研修期間は6か月とし、その開始時期は、4月及び10

月とする。

(選考等)

第5条 日本語研修生の選考は、東京医科歯科大学国際交流センター運営委員会(以

下「委員会」という。)の議を経てセンター長が行う。

2 学長は、前項の規定により選考された者で、所定の手続きを完了した者に、研修

を許可する。

(教育課程等)

第6条 日本語研修コースの教育課程及び履修方法は、委員会の議を経て、センター

長が別に定める。

(研修の中止)

第7条 日本語研修生が研修を中止しようとするときは、その理由を付し、センター

127

長に願い出なければならない。

2 前項の願い出があったときは、委員会の議を経て、センター長がこれを許可する。

3 センター長は、日本語研修生が研修を継続することが適当でないと認めたときは、

委員会の議を経て、研修を中止させることができる。

(修了証書の授与)

第8条 センター長は、日本語研修コースの教育課程を修了した者に対して、修了証

書を授与する。

(授業料等)

第9条 日本語研修生に係る授業料、入学料及び検定料(以下「授業料等」という。)

の額は、次に掲げる額のとおりとする。ただし、100円未満の端数が生じる場合

には、その端数を切り捨てた額とする。

授業料 入学料 検定料

187,100円 44,400円 10,200円

2 授業料等の徴収時期は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1)検定料 日本語研修生を志願するとき。

(2)入学料及び授業料 入学手続のとき。

3 前2項の規定にかかわらず、第2条第1号に該当する者及び第2号に該当する者

で本学に在籍するものについては、授業料等を徴収しない。

4 日本語研修生が前研修期間に引き続き研修する場合は、検定料及び入学料を徴収

しない。

5 既納の検定料、入学料及び授業料は、返還しない。

(準用)

第10条 日本語研修生については、この規則に定めるもののほか東京医科歯科大学

学則(平成16年規程第4号)その他学生に関する諸規則を準用する。

(雑則)

第11条 この規則に定めるもののほか、日本語研修コースに関し必要な事項は、委

員会の議を経て、センター長が別に定める。

附 則

この規則は、平成16年4月1日から施行する。

附 則(平成21年3月27日規則第19号)

この規則は、平成21年4月1日から施行する。

附 則(平成22年3月23日規則第30号)

この規則は、平成22年4月1日から施行する。

128

附 則(平成23年10月3日規則第91号)

この規則は、平成23年10月3日から施行する。

附 則(平成24年3月1日規則第30号)

この規則は、平成24年3月1日から施行し、平成23年10月1日から適用する。

129

平 成 2 1 年 8 月 1 9 日

平成21年度第2回国際教育部会了承

国費外国人留学生(国内採用)候補者選考基準等に関する申し合わせ

1.選考基準

国内採用による国費外国人留学生候補者の選考は、文部科学省からの募集要項に記載されてい

る応募者の資格及び条件に基づき以下の点に留意して行う。

(1)人物・学業とも優秀である私費留学生から選考されること。

(2)特定国・特定専攻分野に偏らないこと。

2.選考委員会

・東京医科歯科大学国際交流センター運営委員会国際教育部会は、国内採用による国費外国人留

学生の選考のための小委員会を組織する。

・小委員会は、上記選考基準を確認し、書類審査及び面接を実施し、文部科学省へ推薦する候補

者を選考する。

3.小委員会の構成と委員の選出

・小委員会は、原則として国際教育部会の各部局の教授1名をもって充てる。

・教授が出席できない場合は、代理出席を認める。

・委員長は、国際教育部会長とする。

4.候補者の選考人数

・小委員会は、文部科学省からの募集要項に基づき、前年度の「学部留学生」、「研究留学生」の

採用人数を確認し、その人数を基準にして選考人数を確定する。

5.評価方法及び候補者の推薦順位の決定

(1)各部局からの推薦は、1名とする。

(2)小委員会における面接評価点の算出方法(5点)

・研究内容、将来性、経済状況及び人物等について、国費留学生に相応しいかを面接し、申

請書類によって総合的に評価し、各委員の評価点をつける。

・委員の評価は、以下の5段階評価とする。

5:是非推薦したい。

4:推薦したい。

3:推薦しても良い。

2:推薦には消極的である。

1:推薦しない。

・各委員の評価点の平均点を、小数点第1位(小数点以下第2位を四捨五入)まで求めて小

委員会の評価点とする。

(3)候補者の推薦順位の決定

・上記5.(2)の高得点順に順位を付した後、小委員会において総合的に判断し文部科学

省への推薦候補者とその推薦順位を決定する。なお、同点の場合は委員長が決する。

附則

この申し合わせは、平成21年8月19日より施行する。

附則(平成23年度第5回国際交流センター運営委員会国際教育部会了承)

この申し合わせは、平成23年9月13日より施行する。

130

国立大学法人東京医科歯科大学国際交流協定に関する要項

平成23年8月1日

制 定

(趣旨)

第1条 この要項は、国立大学法人東京医科歯科大学(以下「本学」という。)が、外国の

大学・教育研究機関等(以下「外国の大学等」という。)との間の交流を組織的に推進

することにより、当該外国の大学等との相互理解と信頼を深め、本学が国際的に開かれ

た大学として発展し、また本学の教育研究の質の向上及び国際的な貢献に資することを

目的として、外国の大学等との間に交流協定を締結する場合に関し必要な事項を定める

ものとする。

(協定の種類)

第2条 この要項において、協定とは次に掲げる大学間協定及び部局間協定の2種類とし、

原則として交流の大綱を定め、締結の証として国際交流協定書(以下「協定書」という。)

を取り交わすものとする。

(1) 大学間協定 全学レベルの交流で、本学と外国の大学等の間で、相互の学長名によ

り締結するもの。ただし、次に掲げる場合で、企画・国際交流戦略会議(以下、「戦

略会議」という。)が適当と認めたものは、大学間協定とすることができる。

① 特定の部局(国立大学法人東京医科歯科大学組織運営規程(平成16年規程第1号)

別表に規定する部局をいう。以下同じ。)にかかわるものであって、将来他の部局に

も交流の発展が見込まれるもの

② 特定の部局にかかわるものであるが、外国の大学等から特に要請のあるもの

③ その他学長が必要と認めるもの

(2) 部局間協定 本学の特定部局と外国の大学等との間で、原則として相互の部局長名

により締結するもの

2 具体的な交流プロジェクト及び学生交流等の実施方法等に関する詳細については、必

要に応じ別途覚書を取り交わすことができる。

(協定の締結手続き)

第3条 大学間協定及び授業料等の不徴収に関する事項が含まれる部局間協定(以下「大

学間協定等」という。)を締結しようとするときは、次の各号によるものとする。

(1) 協定の締結を提案しようとする部局(以下「締結提案部局」という。)の長は、当

該協定の責任者(以下「部局責任者」という。)を定め、学長及び企画・国際交流担

当理事(以下「担当理事」という。)の方針を確認し、国際交流協定締結提案書(別

紙様式1)及び協定書文案(覚書文案を含む。以下「協定案」という。)を作成し、

該当する部局教授会の議を経てから、別紙様式2に添えて、国際交流センター運営委

員会国際交流推進部会(以下「推進部会」という。)に諮るものとする。

(2) 推進部会は、審議の依頼があった協定案に基づき、当該協定の締結の妥当性等につ

いて検討し、その結果を戦略会議に諮るものとする。

(3) 戦略会議は、推進部会から審議の依頼があった協定案に基づき、当該協定の締結の

可否について審議し、その結果について、教育研究評議会及び役員会へ報告する。

(4) 学長は、第1号から前号までの結果に基づき、当該協定の締結についての可否を決

定し、別紙様式3により当該部局の長に通知する。

131

2 部局間協定(授業料等の不徴収に関する事項が含まれる場合を除く。以下この項及び

第8条第2項において同じ。)を締結しようとするときは、次の各号によるものとする。

(1) 協定の締結提案部局の長は、部局責任者を定め、学長及び担当理事の方針を確認し、

国際交流協定締結提案書(別紙様式1)及び協定案を作成し、該当する部局教授会の

議を経てから、別紙様式4に添えて、推進部会に報告する。

(2) 推進部会は、報告のあった協定案について、意見等がある場合は当該意見を付して、

戦略会議に報告する。

(3) 戦略会議は、推進部会から報告のあった協定案について、意見等がある場合は当該

意見を付して、教育研究評議会及び役員会へ報告する。

(4) 学長は、前号での結果報告を受けて、別紙様式5により意見等がある場合には当該

意見を付して、当該部局の長に通知する。

(協定の有効期限)

第4条 協定書及び覚書には、原則として有効期限を付すものとする。ただし、特に必要

があると認める場合には、自動更新の条項を付した協定を締結することができるものと

する。

2 前項ただし書きの場合を除き、有効期限を過ぎた協定は失効するものとする。

(協定書の署名者等)

第5条 協定書は、原則として、英語により作成する。ただし、これによりがたい場合は、

相手大学等との協議に基づいて定めるものとする。

2 協定書の署名者は次のとおりとする。

(1) 大学間協定 学長が署名するものとする。

(2) 部局間協定 部局長が署名するものとする。ただし、特に必要があると認める場合

は、学長が署名すること又は学長と部局長の連名で署名することができるものとする。

3 前項により作成された協定書は、次のとおり取り扱うものとする。

(1) 大学間協定 正本の一つは国際交流センター事務部国際交流課(以下「国際交流課」

という。)において保管する。

(2) 部局間協定 正本の一つは締結提案部局において保管し、その写しを国際交流課に

おいて保管する。

(協定の更新手続き)

第6条 協定を同一の内容で更新する場合の手続きは、協定の締結手続きに準ずる

(協定の変更手続き)

第7条 協定を変更する場合の手続きは、協定の締結手続きに準ずる。

(協定の終結手続き)

第8条 大学間協定等をやむを得ず有効期限内に終結しようとするときは、次の各号によ

るものとする。

(1) 協定を終結しようとする部局の長は、学長及び担当理事の方針を確認し、国際交流

協定終結提案書(別紙様式6)を作成し、該当する部局教授会の議を経てから、別紙

様式7に添えて、推進部会に諮るものとする。

(2) 推進部会は、審議の依頼があった協定終結案に基づき、当該協定の終結の妥当性等

について検討し、その結果を戦略会議に諮るものとする。

(3) 戦略会議は、推進部会から審議の依頼があった協定終結案に基づき、当該協定の終

132

結の可否について審議し、その結果について、教育研究評議会及び役員会へ報告する。

(4) 学長は、前号までの結果に基づき、当該協定の終結についての可否を決定し、別紙

様式8により当該部局の長に通知する。

2 部局間協定を有効期限内に終結しようとするときは、次の各号によるものとする。

(1) 協定を終結しようとする部局の長は、学長及び担当理事の方針を確認し、国際交流

協定終結提案書(別紙様式6)を作成し、該当する部局教授会の議を経てから、別紙

様式9に添えて、推進部会に報告する。

(2) 推進部会は、報告のあった協定終結案について、意見等がある場合にあっては当該

意見を付して戦略会議に報告する。

(3) 戦略会議は、推進部会から報告のあった協定終結案について、意見等がある場合に

あっては当該意見を付して、教育研究評議会及び役員会へ報告する。

(4) 学長は、前号での結果報告を受けて、別紙様式10により意見等がある場合には当

該意見を付して、当該部局の長に通知する。

(交流活動状況の報告)

第9条 この要項による協定を締結した場合には、締結提案部局の長は、別紙様式11に

より交流活動状況について作成し、学長に報告する。

2 前項の報告は毎年度の3月31日を基準として6月末までに行うものとする。

(庶務)

第10条 国際交流協定に関する事務は、締結提案部局の庶務担当部署とともに、国際交

流課で処理する。

(その他)

第11条 この要項の実施に関し必要な事項は、戦略会議において別に定める。

附 則

1 この要項は、平成23年8月1日から施行する。

2 この要項の施行日前に行われた協定の締結については、この要項に基づき行われたも

のとみなす。

133

別紙様式1(第3条関係)

国際交流協定締結提案書

【□大学間協定・□部局間協定】

【□新規締結 ・□更新 ・□変更】 提案提出日:平成 年 月 日

提案者部局

責任者

氏名 職名(役職) 所属名

協定書の名称

相手機関に関する事項

名 称 英 文 表 記:

日本語表記:

所在地

(市・国名)

担当者・

連絡先

協定締結提案に至るまでの経緯

協定締結によって期待される効果・提案理由等

協定書に関する基本情報

有効期間 □期限付き:( )年 自動更新の有無:(□有・□無)

署名者 相手側(氏名・役職):

本学側(氏名・役職):

原本の表記 言語:□英語・□その他( 語)

授業料等不徴収条項の有無:(□有・□無)

連携学位等の学位に関する取り決め:(□有・□無)

過去の交流実績

※大学概要等資料、協定書(案)その他関連資料を添付する。

134

別紙様式2(第3条関係)

平成 年 月 日

国際交流センター運営委員会

国際交流推進部会長 殿

(部局名)長

○ ○ ○ ○

国際交流協定の締結(新規・更新・変更)について(依頼)

標記のことについて,平成○年○月○日開催の○○教授会において,下記の大学(機関)

と国際交流協定を締結(新規・更新・変更)することについて承認されましたので,関係

書類を添えて提出いたします。

つきましては、協定の締結について、審議方、よろしくお願いいたします。

○○○○大学○○○○学部(○○○○国)

(添付書類)

1 協定書文案(英語1部、日本語訳1部)

2 国際交流協定締結提案書(別紙様式1)

3 ○○大学(機関)の概要等

135

別紙様式3(第3条関係)

平成 年 月 日

(部 局 名) 長 殿

学 長

国際交流協定の締結(新規・更新・変更)の審議結果について(通知)

平成○年○月○日付けで審議の依頼がありました○○大学との国際交流協定の締結(新

規・更新・変更)について、下記のとおり通知します。

□国際交流協定の締結は適当と認められますので、

交流協定を締結して交流を推進してください。(□指摘事項なし)

(□指摘事項あり)

□国際交流協定の締結は適当と認められません。

(理由 )

136

別紙様式4(第3条関係)

平成 年 月 日

国際交流センター運営委員会

国際交流推進部会長 殿

(部局名)長

○ ○ ○ ○

国際交流協定の締結(新規・更新・変更)について(報告)

標記のことについて,平成○年○月○日開催の○○教授会において,下記の大学(機関)

と国際交流協定を締結(新規・更新・変更)することについて承認されましたので,関係

書類を添えて報告いたします。

○○○○大学○○○○学部(○○○○国)

(添付書類)

1 協定書文案(英語1部、日本語訳1部)

2 国際交流協定締結提案書(別紙様式1)

3 ○○大学(機関)の概要等

137

別紙様式5(第3条関係)

平成 年 月 日

(部 局 名) 長 殿

学 長

国際交流協定の締結(新規・更新・変更)の審議結果について(通知)

平成○年○月○日付けで審議の依頼がありました○○大学との国際交流協定の締結(新

規・更新・変更)について、下記のとおり通知します。

□国際交流協定を締結して交流を推進してください。

(□指摘事項なし)

(□指摘事項あり)

138

別紙様式6(第8条関係)

国際交流協定終結提案書

【□大学間協定・□部局間協定】 提案提出日:平成 年 月 日

提案者部局

責任者

氏名 職名(役職) 所属名

協定書の名称

相手機関に関する事項

名 称 英 文 表 記:

日本語表記:

所在地

(市・国名)

担当者・

連絡先

協定書に関する基本情報

有効期間 □期限付き:( )年 自動更新の有無:(□有・□無)

署名者 相手側(氏名・役職):

本学側(氏名・役職):

原本の表記 言語:□英語・□その他( 語)

授業料等不徴収条項の有無:(□有・□無)

連携学位等の学位に関する取り決め:(□有・□無)

協定締結の経緯

交流実績

協定終結の理由等

※協定終結書(案)その他関連資料を添付する。

139

別紙様式7(第8条関係)

平成 年 月 日

国際交流センター運営委員会

国際交流推進部会長 殿

(部局名)長

○ ○ ○ ○

国際交流協定の終結について(依頼)

標記のことについて,平成○年○月○日開催の○○教授会において,下記の大学(機関)

との国際交流協定を終結することについて承認されましたので,関係書類を添えて提出い

たします。

つきましては、協定の終結について、審議方、よろしくお願いいたします。

○○○○大学○○○○学部(○○○○国)

(添付書類)

1 協定書文案(英語1部、日本語訳1部)

2 国際交流協定終結提案書(別紙様式6)

3 ○○大学(機関)の概要等

140

別紙様式8(第8条関係)

平成 年 月 日

部 局 長 殿

学 長

国際交流協定の終結の審議結果について(通知)

平成○年○月○日付けで依頼のありました○○大学との国際交流協定の終結について、

標記のことについて,下記のとおり通知します。

□当該協定の終結を適当と認めます。

(□指摘事項なし)

(□指摘事項あり)

□当該協定の終結を適当と認めません。

(理由 )

141

別紙様式9(第8条関係)

平成 年 月 日

国際交流センター運営委員会

国際交流推進部会長 殿

部 局 長

○ ○ ○ ○

国際交流協定の終結について(報告)

標記のことについて,平成○年○月○日開催の○○教授会において,下記の大学(機関)

との国際交流協定を終結することについて承認されましたので,関係書類を添えて報告い

たします。

○○○○大学○○○○学部(○○○○国)

(添付書類)

1 協定書文案(英語1部、日本語訳1部)

2 国際交流終結提案書(別紙様式6)

3 ○○大学(機関)の概要等

142

別紙様式10(第8条関係)

平成 年 月 日

部 局 長 殿

学 長

国際交流協定の終結の審議結果について(通知)

平成○年○月○日付けで報告のありました○○大学との国際交流協定の終結について、

標記のことについて,下記のとおり通知します。

□当該協定を終結してください。

(□指摘事項なし)

(□指摘事項あり)

143

別紙様式11(第9条関係)

外国の大学等との交流活動状況報告書

【□大学間協定・□部局間協定】 提出日:平成 年 月 日

部局責任者 氏名 職名(役職) 所属名

協定書の名称

相手機関に関する事項 協定締結日 年 月 日

名 称 英 文 表 記:

日本語表記:

所在地

(市・国名)

担当者・

連絡先

交流実績( 年度)

人 的 交 流

研究者 学 生 その他 合 計

受入 派遣 受入 派遣 受入 派遣 受入 派遣

人 人 人 人 人 人 人 人

・共同研究

・国際シンポジウム・セミナー

・講義・実習等

・その他

次年度計画等

担当者・

連絡先

※その他関連資料を必要に応じて添付する。

144

国立大学法人東京医科歯科大学海外拠点要項

平成24年1月5日

制 定

(趣旨)

第1条 この要項は、国立大学法人東京医科歯科大学組織運営規程(平成16年規程第1

号)第23条の2第2項に基づき、東京医科歯科大学海外拠点(以下「海外拠点」とい

う。)に関し必要な事項を定めるものとする。

(目的)

第2条 海外拠点は、国立大学法人東京医科歯科大学(以下「本学」という。)の海外にお

ける教育、研究及び国際貢献活動の推進を目的とする。

(名称等)

第3条 海外拠点の名称、所在地及び業務内容については、別表のとおりとする。

(海外拠点統括責任者)

第4条 海外拠点の管理運営に関する業務を統括させるため、海外拠点統括責任者を置き、

企画・国際交流担当理事をもって充てる。

(海外拠点運営管理者)

第5条 海外拠点の適切な運営を図るために、海外拠点ごとに海外拠点運営管理者を置く。

2 海外拠点運営管理者は、本学の職員のうちから、海外拠点統括責任者の推薦に基づき、

企画・国際交流戦略会議の議を経て、学長が指名する。

3 海外拠点運営管理者は、当該海外拠点における次の各号に掲げる業務を行うものとす

る。

(1) 事業計画の策定及び実施に向けての調整に関すること。

(2) 事業の実施状況の管理に関すること。

(3) その他運営に関し必要な事項

4 海外拠点運営管理者は、年度ごとの事業計画及び事業経過を海外拠点統括責任者に報

告しなければならない。

(海外拠点の要員)

第6条 海外拠点における諸活動の実施及び円滑な事業推進のため、海外拠点に職員を置

くことができる。

2 前項の職員は、海外拠点運営管理者の命を受け、当該海外拠点の業務に従事する。

(業務の支援)

第7条 海外拠点の連絡調整及び業務支援は、関係部局の協力の下、国際交流センターで

行う。

(雑則)

第8条 この要項に定めるもののほか、海外拠点に関し必要な事項は海外拠点統括責任者

145

が別に定める。

附 則

この要項は、平成24年1月5日から施行し、平成23年4月1日から適用する。

146

別表(第3条関係)

名 称 所在地 業務内容

東京医科歯科大学-ガーナ大

学・野口記念医学研究所共同

研究センター

ガーナ共和国ア

クラ市ガーナ大

学野口記念医学

研究所内

・新興・再興感染症の国際共同研究の推進、新興・

再興感染症対策に資する基礎的知見の集積及び

有効な疾病対策システムの構築に関すること。

・その他ガーナ共和国・西アフリカ地域における

教育、研究及び社会貢献に係る国際活動の推進に

関すること。

東京医科歯科大学ラテンアメ

リカ共同研究センター

チリ共和国サン

チアゴ市クリニ

カ・ラス・コンデ

ス内

・チリ共和国大腸癌診断国家プログラムにおける

早期大腸癌診断と治療に対する指導、教育及び研

究支援に関すること。

・その他チリ共和国・中南米諸国における教育、

研究及び社会貢献に係る国際活動の推進に関す

ること。

チュラロンコーン大学-東京

医科歯科大学研究教育協力セ

ンター

タイ王国バンコ

ク市チュラロン

コーン大学内

・タイ王国の大学及び企業等との共同研究又は共

同事業の推進に関すること。

・本学留学希望者への留学情報の提供、タイ在住

の本学同窓生へのサポート及びタイ在住の日本

人への医療関連情報の提供に関すること。

・その他タイ王国・東南アジア諸国における教育、

研究及び社会貢献に係る国際活動の推進に関す

ること。

147

国立大学法人東京医科歯科大学新興・再興感染症

研究拠点形成プログラム推進委員会要項

平成19年10月1日

制 定

(設置)

第1条 本学に、新興・再興感染症研究拠点形成プログラム「西アフリカ地域の研究拠点

を核とした感染症研究の戦略的展開」(以下「プログラム」という。)を推進するため、

新興・再興感染症研究拠点形成プログラム推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(任務)

第2条 委員会は、次の各号に掲げる事項を処理する。

(1) 研究実施計画の作成に関すること。

(2) 研究の実施状況を把握し、助言又は指導を行うこと。

(3) 研究実施に伴う知的財産に関し助言又は指導を行うこと。

(4) プログラム予算の作成及び管理に関すること。

(5) 野口記念医学研究所に派遣する職員の選考、任免及び服務管理並びに派遣計画等に

関すること。

(6) 事業報告のとりまとめを行うこと。

(7) その他プログラムの実施に関すること。

(組織)

第3条 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。

(1) 企画・国際交流担当理事

(2) プログラムの責任機関代表者である大学院医歯学総合研究科長又は副研究科長

(3) プログラムの研究代表者である教員

(4) 大学院医歯学総合研究科又は保健衛生学研究科の教員のうちから委員長の指名する

(5) 国際交流センター事務部国際交流課長

(6) 総務部人事課長

(7) 財務課資金課長

(8) 財務部契約課長

(9) その他委員長の指名する者

2 前項第4号及び第9号の委員の任期は5年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委

員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委員長等)

第4条 委員会に委員長を置き、前条第1項第2号の委員をもって充てる。

2 委員長は委員会を招集し、その議長となる。

3 委員長に事故あるときは、委員長があらかじめ指名する委員が、その職務を代行する。

4 委員会に副委員長を置き、前条第1項第4号の委員をもって充てる。

5 委員会に顧問を置き、前条第1項第1号の委員をもって充てる。

148

(意見の聴取)

第5条 委員会が必要と認めた場合には、委員以外の者を会議に出席させ、意見を聴くこ

とができる。

(専門委員会)

第6条 委員会に、専門的な事項を調査するため、専門委員会を置くことができる。

(庶務)

第7条 委員会の庶務は、国際交流センター事務部国際交流課において処理する。

附 則

この要項は、平成19年10月1日から施行する。

附 則(平成20年7月9日制定)

この要項は、平成20年7月9日から施行し、平成20年4月1日から適用する。

附 則(平成20年9月29日制定)

この要項は、平成20年10月1日から施行する。

附 則(平成21年3月30日制定)

この要項は、平成21年4月1日から施行する。

附 則(平成22年3月23日制定)

この要項は、平成22年4月1日から施行する。

附 則(平成23年4月15日制定)

この要項は、平成23年4月15日から施行し、平成23年4月1日から適用する。

149

150

国際交流推進本部

〈目的〉

本学における国際交流を推進するため

〈審議事項〉

・全学的な国際交流の推薦に関する企画立案

・国際交流センター長候補者の推薦

・国際交流センターの組織及び運営に関する重要事項

・その他国際交流に関する重要事項

〈組織〉

大野 喜久郎 企画・国際交流担当理事

田上 順次 大学院医歯学総合研究科長

井上 智子 大学院保健衛生学研究科長

影近 弘之 大学院生命情報科学教育部長

(影近 弘之)大学院疾患生命科学研究部長

湯浅 保仁 医学部長

(田上 順次)歯学部長

千葉 司 教養部長

塙 隆夫 生体材料工学研究所長

北嶋 繁孝 難治疾患研究所長

森尾 郁子 国際交流センター長

谷本 雅男 事務局長(平成23年4月1日~平成23年12月31日)

伊藤 勲 事務局長(平成24年1月1日~平成24年3月31日)

〈会議開催状況〉

平成23年6月30日 第1回国際交流推進本部会議

平成23年8月19日 第2回国際交流推進本部会議

平成23年11月18日 第3回国際交流推進本部会議

平成24年2月14日 第4回国際交流推進本部会議

平成24年2月20日 第5回国際交流推進本部会議

平成24年2月27日 第6回国際交流推進本部会議

151

国際交流センター運営委員会

〈目的〉

国際交流センターの運営に関する事項を審議するため

〈審議事項〉

・組織及び運営

・業務内容

・その他

〈組織〉

森尾 郁子 国際交流センター長

大北 葉子 国際交流センター

太田 伸生 国際交流センター運営委員会国際交流推進部会長

江石 義信 国際交流センター運営委員会国際教育部会長

横関 博雄 大学院医歯学総合研究科(医学系)

川口 陽子 大学院医歯学総合研究科(歯学系)

佐々木明子 大学院保健衛生学研究科

伊藤 暢聡 大学院疾患生命科学研究部

中島ひかる 教養部

宮原 裕二 生体材料工学研究所

小川 佳宏 難治疾患研究所(平成23年4月1日~平成23年11月30日)

樗木 俊聡 難治疾患研究所(平成23年12月1日~平成24年3月31日)

〈会議開催状況〉

平成23年8月4日 第1回国際交流センター運営委員会

平成23年9月15日 第2回国際交流センター運営委員会

平成23年10月7日 第3回国際交流センター運営委員会

平成23年10月13日 第4回国際交流センター運営委員会

平成23年11月30日 第5回国際交流センター運営委員会

平成24年1月30日 第6回国際交流センター運営委員会

平成24年2月20日 第7回国際交流センター運営委員会

152

国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

〈目的〉

国際交流センター運営委員会の下に組織され、運営に関する事項を審議

(審議事項)

・教育研究の国際化推進対策

・国際医療ネットワークの構築

・外国人留学生の確保対策、海外への情報発信

・海外の学術交流協定校との交流推進

・国際交流関連情報の管理等

〈組織〉

太田 伸生 国際交流センター運営委員会国際交流推進部会長

森山 啓司 大学院医歯学総合研究科

丸 光惠 大学院保健衛生学研究科

伊藤 暢聡 大学院生命情報学教育部・疾患生命科学研究部

中島 ひかる 教養部

宮原 裕二 生体材料工学研究所

西村 栄美 難治疾患研究所

大北 葉子 国際交流センター

烏山 一 企画・国際交流戦略会議

吉田 丘 国際交流センター事務部長

森尾 郁子 国際交流センター長

竹本 佳弘 国際交流センター

〈会議開催状況〉

平成23年4月27日 第1回国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

平成23年5月31日 第2回国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

平成23年6月21日 第3回国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

平成23年11月15日 第4回国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

平成24年2月28日 第5回国際交流センター運営委員会国際交流推進部会

153

国際交流センター運営委員会国際教育部会

〈目的〉

国際交流センター運営委員会の下に組織され、運営に関する事項を審議

〈審議事項〉

・日本語教育・相談業務

・英語教育・海外留学の支援

・奨学金・チューター制度等

〈組織〉

江石 義信 国際交流センター運営委員会国際教育部会長

森山 啓司 大学院医歯学総合研究科

松浦 雅人 大学院保健衛生学研究科

伊藤 暢聡 大学院生命情報学教育部・疾患生命科学研究部

杉本 久美子 歯学部口腔保健学科

畔柳 和代 教養部

高久田 和夫 生体材料工学研究所

樗木 俊聡 難治疾患研究所

泉谷 双蔵 国際交流センター

川口 陽子 企画・国際交流戦略会議

吉田 丘 国際交流センター事務部長

森尾 郁子 国際交流センター長

〈会議開催状況〉

平成23年4月27日 第1回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成23年5月18日 第2回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成23年7月6日 第3回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成23年8月9日 第4回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成23年9月13日 第5回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成23年11月29日 第6回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成24年1月27日 第7回国際交流センター運営委員会国際教育部会

平成24年3月28日 第8回国際交流センター運営委員会国際教育部会

154

国際交流センター運営委員会国際教育部会小委員会

〈目的〉

国際交流センター運営委員会国際教育部会の下に組織され、国内採用による国費外国人

留学生の選考をする

〈審議事項〉

・文部科学省への候補者推薦のための書類審査及び面接の実施

〈組織〉

江石 義信 国際交流センター運営委員会国際教育部会長

森山 啓司 大学院医歯学総合研究科

松浦 雅人 大学院保健衛生学研究科

伊藤 暢聡 大学院生命情報学教育部・疾患生命科学研究部

杉本 久美子 歯学部口腔保健学科

畔柳 和代 教養部

高久田 和夫 生体材料工学研究所

樗木 俊聡 難治疾患研究所

泉谷 双蔵 国際交流センター

〈会議開催状況〉

平成23年11月29日 国際交流センター運営委員会国際教育部会小委員会

155

国際交流センター運営委員会国際教育部会民間奨学金小委員会

〈目的〉

国際交流センター運営委員会国際教育部会の下に組織され、民間奨学金応募の推薦者を

選考する

〈審議事項〉

・民間奨学金応募者の審査及び本学推薦者の選考

〈組織〉

森山 啓司 大学院医歯学総合研究科

伊藤 暢聡 大学院生命情報学教育部・疾患生命科学研究部

樗木 俊聡 難治疾患研究所

泉谷 双蔵 国際交流センター

〈会議開催状況〉

平成23年4月28日 第1回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成23年8月19日 第2回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成23年10月4日 第3回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成23年11月14日 第4回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成23年12月13日 第5回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成24年1月13日 第6回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成24年2月17日 第7回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

平成24年3月5日 第8回国際交流センター運営委員会国際教育部会

民間奨学金小委員会

156

新興・再興感染症研究拠点形成プログラム推進委員会

〈目的〉

新興・再興感染症研究拠点形成プログラム「西アフリカ地域の研究拠点を核とした感染

証研究の戦略的展開」の効率的な推進を図る

〈審議事項〉

・研究実施計画策定

・研究助言・指導

・研究計画審査

・他の拠点との連携・推進

・知的財産権等にかかる諸調整

・人事管理

・予算作成及び執行管理、物品等の発注・管理等

・プロジェクト運営調整

・文部科学省、科学技術振興機構及び参画期間等との連絡調整

〈組織〉

大野 喜久郎 企画・国際交流担当理事

湯浅 保仁 大学院医歯学総合研究科副研究科長

太田 伸生 大学院医歯学総合研究科

山岡 昇司 大学院医歯学総合研究科

高野 健人 大学院医歯学総合研究科

渡邊 守 大学院医歯学総合研究科

神奈木 真理 大学院医歯学総合研究科

岡村 登 大学院保健衛生学研究科

中川 一路 大学院医歯学総合研究科

森尾 郁子 国際交流センター長

後藤 嘉信 国際交流センター国際交流課長

遠藤 弘行 総務部人事課長

広瀬 一郎 財務部資金課長

本多 伸次 財部部契約課長

〈会議開催状況〉

平成24年2月10日 第1回新興・再興感染症研究拠点形成プログラム推進委員会

157

国際サマープログラム2011企画ワーキング

〈目的〉

本学を広く世界へアピールするとともに、海外から優秀な留学生を確保することを目的

として国際サマープログラム2011を企画・実施する

〈組織〉

烏山 一 企画・国際交流戦略会議

木村 彰方 企画・国際交流戦略会議

水島 昇 大学院医歯学総合研究科(医学系)

関矢 一郎 大学院医歯学総合研究科(医学系)

和泉 雄一 大学院医歯学総合研究科(歯学系)

山口 朗 大学院医歯学総合研究科(歯学系)

西村 栄美 大学院疾患生命科学研究部

田賀 哲也 大学院疾患生命科学研究部

安田 賢二 生体材料工学研究所

森尾 郁子 国際交流センター長

〈会議開催状況〉

平成22年10月19日 ISP2011準備の会

平成22年12月27日 第1回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年1月21日 第2回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年2月16日 第3回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年3月29日 第4回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年4月25日 招へい参加者選考委員会

平成23年4月26日 第5回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年5月16日 第6回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年6月27日 第7回国際サマープログラム2011企画ワーキング

平成23年9月27日 第8回国際サマープログラム2011企画ワーキング

158

国際サマープログラム2012ワーキング

〈目的〉

本学を広く世界へアピールするとともに、海外から優秀な留学生を確保することを目的

として国際サマープログラム2012を企画・実施する

〈組織〉

烏山 一 企画・国際交流戦略会議

木村 彰方 企画・国際交流戦略会議

水澤 英洋 大学院医歯学総合研究科(医学系)

渡瀬 啓 大学院医歯学総合研究科(医学系)

味岡 逸樹 大学院医歯学総合研究科(医学系)

秦羅 雅登 大学院医歯学総合研究科(歯学系)

小野 卓史 大学院医歯学総合研究科(歯学系)

田中 光一 大学院疾患生命科学研究部

岡澤 均 難治疾患研究所

高久田 和夫 生体材料工学研究所

森尾 郁子 国際交流センター長

〈会議開催状況〉

平成23年10月17日 国際サマープログラム準備の会

平成23年11月10日 第1回国際サマープログラム2012ワーキング

平成23年12月15日 第2回国際サマープログラム2012ワーキング

平成24年1月25日 第3回国際サマープログラム2012ワーキング

平成24年2月17日 第4回国際サマープログラム2012ワーキング

平成24年3月29日 第5回国際サマープログラム2012ワーキング

159

英語版ホームページワーキング

〈目的〉

広報室とタイアップし、HP 等のメディアを利用して広く海外に本学の情報を発信する

ための英語版ホームページの構築

〈組織〉

高久田 和夫 生体材料工学研究所

高谷 節夫 広報室長

森尾 郁子 国際交流センター長

Cleary Kevin 国際交流センター

竹本 佳弘 国際交流センター

〈会議開催状況〉

平成23年4月12日 第1回英語版ホームページワーキング

平成23年5月9日 第2回英語版ホームページワーキング

平成23年6月6日 第3回英語版ホームページワーキング

平成23年7月4日 第4回英語版ホームページワーキング

平成23年9月5日 第5回英語版ホームページワーキング

平成23年10月3日 第6回英語版ホームページワーキング

平成23年11月7日 第7回英語版ホームページワーキング

平成23年12月5日 第8回英語版ホームページワーキング

平成24年1月16日 第9回英語版ホームページワーキング

平成24年2月6日 第10回英語版ホームページワーキング

平成24年3月6日 第11回英語版ホームページワーキング

160

国際交流センター連絡会

〈目的〉

国際交流センター業務運営

〈組織〉

森尾 郁子 国際交流センター長

大北 葉子 国際交流センター

泉谷 双蔵 国際交流センター

増田 光司 国際交流センター

Cleary Kevin 国際交流センター

竹本 佳弘 国際交流センター

吉田 丘 国際交流センター

〈会議開催状況〉

平成23年4月6日 第1回国際交流センター連絡会議

平成23年5月11日 第2回国際交流センター連絡会議

平成23年6月8日 第3回国際交流センター連絡会議

平成23年7月13日 第4回国際交流センター連絡会議

平成23年9月14日 第5回国際交流センター連絡会議

平成24年10月12日 第6回国際交流センター連絡会議

平成23年11月9日 第7回国際交流センター連絡会議

平成23年12月14日 第8回国際交流センター連絡会議

平成24年1月11日 第9回国際交流センター連絡会議

平成24年2月8日 第10回国際交流センター連絡会議

平成24年3月14日 第11回国際交流センター連絡会議

東京医科歯科大学 国際交流センター

紀要 第 5 号

年報 平成 23 年度(2011 年度)

2012 年 8 月 発行

発行者 東京医科歯科大学国際交流センター

〒113-8510 東京都文京区湯島 1-5-45