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左から時計回りに、山村理仁さん、入江晃志朗さん、

藤井巳加さん、中瀬卓さん、香田将英さん、鳥越さん

くまもとドクター通信 その1 鳥越俊太郎リポート 3/4

REPORT3 地域医療を志す医学生

地域の人たちが安心して健康に暮らせるように

地域の人に一番身近 都会にもあてはまる「地域医療」

「地域医療を学ぶ学生の声を聞きたい」。鳥越さんは、熊本大学医学部附属病院・地域医療システム学寄附講座

での勉強会に参加する学生に話を聞きました。

集まったのは、5年の香田将英さん、4年の中瀬卓さん、藤井巳加さん、入江晃志朗さん、3年の山村理仁さんの5人です。(学年は平成25年3月現在)

鳥越  地域医療と聞いて、最初どんなイメージを持ちましたか。また、地域医療に魅力を

感じますか。

入江  最初のイメージとしては、やはり地方で医療をやっている、というものでした。

中瀬  へき地の診療所で、お医者さん一人でやっている…というのをはじめはイメージし

ましたね。

山村  例えば「高度先進医療」といった言葉と比べると、ちょっと見劣りするようなイメ

ージは確かにありました。でも地域医療について学び、実習でいろいろな所へ行ってみて、

「地域の人に一番身近なところで働く医師」というものに、とても魅力を感じるようになり

ました。

入江  自分が医師になって何をやりたいかというところを考えると、自分の目指す医療

は、地域医療のほうに近いと感じています。そういう意味で、地域医療にとても魅力を感じ

ています。

藤井  私は将来、自分が今までお世話になってきたような町のお医者さん、かかりつけ医

になりたいなと思っています。ですから、やりたいものは地域医療に近いのかなと考えてい

ます。

香田  地域医療と一言で言っても、例えば、熊本市内の中心部にも地域医療があり、山村

のへき地や離島にも地域医療があると思うんです。そこで、その地域ならではの地域基盤型

の医療ができる。地域住民の方々が健康に過ごしていただけるように、寄り添った医療がで

きるという点がすごく魅力的だなと思います。

中瀬  いろいろ学ぶにつれて、地域医療は「地域がフィールドでやる医療」ということ

で、都会でもあてはまるのではないかなという認識に変わりました。

鳥越  なるほど。皆さん、当初はへき地医療のイメージが強かったが、それだけが地域医

療ではないということを学んだということですね。都会も、都会という地域なんですよね、

ある意味で。それは全くその通りです。

地域の安心の土台となる「地域から信頼される医師」に

鳥越  これからの医師のあり方、自分の医

師としての未来像を聞かせてください。

入江  僕は小さいころ、母親が働いている

特別養護老人ホームによく遊びに行っていた

のですが、「あのお医者さんでは安心できな

い」というようなうわさ話を聞き、「じゃあ

自分がやって、安心してもらいたい」と思っ

たのです。だから、地域の人たちが安心して

暮らせる、その地域にいることが安心の土台

になるような、そういう存在の医師になれたらと思っています。

鳥越  それは素晴らしい。まさに地域医療ですね。

藤井  私は、バリバリの専門医というよりは、ある程度オールマイティーに診ることがで

きる医師になりたいと思っています。たとえば飛行機の中で人が倒れた時に、自信を持って

受け止め、対処できるお医者さんになりたいと思っています。

香田  座右の銘というか、キーワードがあるんですが、それが「鬼手仏心」。もともと外

科医の先生が使っていた言葉で、鬼のような腕を持って、手術のときにはバッと切るが、普

段は仏の心という…。僕は専門医になるか、総合医にいくか、まだ決めていないのですが、

「医者である前に一社会人として

ちゃんとしていることで、人の協力も

得られるようになる」と鳥越さん

例えば総合医の内科系に行ったとしたら、鬼手というのは、診断の能力やしっかり治療でき

る能力。そして、その患者さんと、人としてコミュニケーションがしっかり取れ、信頼関係

を築ける。そこからまた地域とも信頼関係が築け、地域からも信頼されるような医師になれ

たらという思いがあります。すごい理想ですけど。

山村  僕はまだ3年なので、最近専門の授業が始まったところです。その中で、一つを極め

るのもいいけど、幅広くできるのもいいかなと感じているところです。

鳥越  実際の医療の現場で必要とされるのは、必ずしも専門医だけではありませんしね。

中瀬  患者さんの人生に寄り添って、患者さんが気軽にいつでも相談できるようなお医者

さんになりたいです。診療所や、地域に根付いたクリニックなどを想像しています。

鳥越  今日、湯島へき地診療所に行き、前田先生の往診に同行してきたんだよね。前田先

生は、95歳のおばあちゃんに本当に慕われていました。患者さんに寄り添って、自然の笑顔

で温かく接している様子を見て、「これはなかなかできないな。ああ、こういう先生は必要

だな」と心から思いました。これは単に医師としての技術とか技量だけじゃなくて、人間性

が必要とされると感じました。

医師だけが担うのではなく地域の人と医療を作る

鳥越  もし自分がへき地診療所に1人の医師だったら、どうで

しょう。

入江  へき地では、できることできないことが当然存在して、

それを見分ける能力が重要だと思います。一方で、「ああ、この

人だったら許せるな」と思ってもらえるような信頼を築くことを

まずやりたいです。もちろん、へき地だけで信頼が必要とされる

ということではないのですが、一人だけで全部やることは不可能

なわけですから、地域の人の協力を得て、医療も進めていかなけ

ればいけないと思うんですよ。だから、医師だけが医療を全部担

っているという考えではなくて、地域の人と一緒に医療を作って

いく中心になる、そういう考え方でやっていく。そのために信頼

を築くことをやりたいと思います。

鳥越  医療って、医療関係者だけがやるんじゃないんだよね。

もっと具体的に言えば、一人一人の人間、患者さんや住民が、自

分たちの健康や命、人生について考えて、まず自分で健康に役立つようなことをする。そし

て、自分ではできないところをお医者さんに頼む。医者とその患者さんとの関係は、一方的

ではなく、相互関係だと僕は思う。あなたの答えはその点ピタリだった。満点!(笑)。