情報サービスの高度化と ICT 関連予算削減の両立を目指 して...

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国士舘大学 国士舘大学では、18 歳人口の減少が続く現状を見据え、2010 年に「学生サービ スの向 上 」と「 I C T コスト削 減 」の両 立を目指した先 進 的なプランを検 討 。議 論の 末 、学 生カルテなどの教 育 支 援システムから、入 学 / 教 務 事 務 、財 務 会 計や人 事 給 与 、就 職 支 援 、図 書 館システム ( O P A C ) 、学 術リポジトリ サービス、e ラーニング、 ポータルサイト、メールサービスなど学内のほぼすべてのシステムを "フルクラウド化 " する画 期 的なプランを策 定しました 。そしてプラン 実 現 のために 選 ばれたのが 、 Windows Azure をはじめとする、マイクロソフトのクラウド ソリューションでした。 国士舘大学 情報サービスの高度化と ICT 関連予算削減の両立を目指 して、学内 ICT サービスをフルクラウド化し、大学を取り巻 く環境の変化に対応 ソリューション概要 ○お客様プロファイル 国士舘大学 (http://www.kokushikan.ac.jp/) は、 2017 年に創立 100 周年を迎えます。1917 年、 吉田松陰の精神を範とし、日々の「実践」のなかから心 身の鍛練と人格の陶冶をはかり、国家社会に貢献す る智力と胆力を備えた人材「国士」を養成することを目 標として創立されて以来、「国士」養成を理念として、 学ぶ者みずからが不断の「読書・体験・反省」の三 綱領を実践しつつ、「誠意・勤労・見識・気魄」の四 徳目を涵養 (かんよう) することを教育目標に掲げ、さま ざまな分野で活躍する人材を世に輩出してきました。 ○ソフトウェアとサービス Windows Azure TM Platform -Windows Azure TM -Microsoft ® SQL Azure TM Microsoft ® SharePoint ® Online Microsoft Dynamics ® CRM Online Microsoft ® Live@edu Active Directory ® Microsoft ® Premier サポート ○メリット ・Windows Azure Platform の採用により、システム 開発を大幅に効率化。導入コストを抑えながらパブ リック クラウドへの移行を実現 ・ 従量課金制により、クラウド活用のランニング コスト を低減 ・ SharePoint Online や Microsoft Dynamics CRM Online を活用した各システムのシームレスな 連携により、教員と学生のより親密なコミュニケー ションを実現する「学内 SNS」の構築を可能に ・ データの容量に制約がないパブリック クラウドの特 長を活かして、生涯利用可能なリポジトリ サービスを 提供 ○ユーザーコメント 「学生へのサービスを手厚くして、入学から卒業まで、 そして卒業後も継続してサポートしていくためには、 ICT に投資を行い、情報サービスを高度化することが必要 です。しかし、現実的には 18 歳人口は減る一方で、 大学経営の観点からは支出を極限まで削減せざるをえ ません。この相反する 2 つの事柄を両立させるために は、思い切って学内の ICT 環境をクラウド化によって 統合し、運用・保守にかかる手間を外部に任せるしか ないと考えたのです。」 学校法人国士舘 常任理事・教授 瀬野 隆 氏 導入の背景とねらい 従来の ICT 環境と現代の高度情報化ニーズのギャップを解消し、 先進的 ICT 環境の実現へ 1917 年に吉田松陰の精神を範として創立されて以来、約 100 年の長きにわたり、13 万人 以上 (2011 年 3 月現在)の人材を各界に輩出してきた国士舘大学。その歴史は進取の気質 を以て、さまざまな取り組みを重ねてきた歴史でもあります。たとえば 2000 年度に 4 年制大学 として日本で初めて、救急救命士の国家試験受験資格を取得できる「スポーツ医科学科 」という 学科を設立。国家試験合格率 85% という実績を誇っています。 また、大学として ICT 化への取り組みも早く、1973 年には、電子計算機センター (現・情報科 学センター) を設立。 1979 年には日本で初めて「 情報化キャンパス」を実現するシステムとして、ホストコンピューター を利用して教務事務から財務会計、人事給与までの処理を行うトータル システムを発表していま す。以来、同学の情報科学センターと情報基盤センターという 2 つの組織によって、積極的な ICT 活用を続けてきました。 そして、2010 年、国士舘大学では、「メディア情報構想検討委員会」を設けて、大胆なシステム 刷新プランの検討に入ります。それが、学内の ICT 環境すべてを "クラウド化" する試みでした。 常任理事・教授 瀬野隆氏は、次のように説明します。 「 学生へのサービスを手厚くし、入学から卒業まで、そして卒業後も継続してサポートしていくため には、 ICT への投資を継続することが必要です。 しかし、一方で 18 歳人口は減少し続けます。つまり、大学経営の観点からは支出を削減するし か方法がありませんので、業務の合理化を考えていくと、結局は『 資料を電子媒体化する』、『 連 絡はネットワークを使って効率化する』など、さまざまな面で情報化が関わってきます。つまり、支出 を削 減しようとすると、情 報システムにかかる コストが増えてしまうことになります。 この相反する 2 つの事柄を両立させるため には、思い切って学内の ICT 環境をクラウド 化によって統合し、運用・保守を外部に任せ るしかないと考えたのです。」 そして、国 士 舘 大 学の I C T 環 境クラウド化 のプロジェクトがスタート。 2011 年 5 月か

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国士舘大学

国士舘大学では、18 歳人口の減少が続く現状を見据え、2010 年に「学生サービスの向上」と「ICT コスト削減」の両立を目指した先進的なプランを検討。議論の末、学生カルテなどの教育支援システムから、入学/教務事務、財務会計や人事給与、就職支援、図書館システム (OPAC)、学術リポジトリ サービス、e ラーニング、ポータルサイト、メールサービスなど学内のほぼすべてのシステムを "フルクラウド化" する画期的なプランを策定しました。そしてプラン実現のために選ばれたのが、Windows Azure をはじめとする、マイクロソフトのクラウド ソリューションでした。

国士舘大学

情報サービスの高度化と ICT 関連予算削減の両立を目指して、学内 ICT サービスをフルクラウド化し、大学を取り巻く環境の変化に対応

ソリューション概要○お客様プロファイル国士舘大学 (http://www.kokushikan.ac.jp/) は、2017 年に創立 100 周年を迎えます。1917 年、吉田松陰の精神を範とし、日々の「実践」のなかから心身の鍛練と人格の陶冶をはかり、国家社会に貢献する智力と胆力を備えた人材「国士」を養成することを目標として創立されて以来、「国士」養成を理念として、学ぶ者みずからが不断の「読書・体験・反省」の三綱領を実践しつつ、「誠意・勤労・見識・気魄」の四徳目を涵養 (かんよう) することを教育目標に掲げ、さまざまな分野で活躍する人材を世に輩出してきました。

○ソフトウェアとサービスWindows AzureTM Platform -Windows AzureTM

-Microsoft® SQL AzureTM

Microsoft® SharePoint® OnlineMicrosoft Dynamics® CRM OnlineMicrosoft® Live@eduActive Directory®

Microsoft® Premier サポート

○メリット・ Windows Azure Platform の採用により、システム開発を大幅に効率化。導入コストを抑えながらパブリック クラウドへの移行を実現・ 従量課金制により、クラウド活用のランニング コストを低減・ SharePoint Online や Microsoft Dynamics CRM Online を活用した各システムのシームレスな連携により、教員と学生のより親密なコミュニケーションを実現する「学内 SNS」の構築を可能に・ データの容量に制約がないパブリック クラウドの特長を活かして、生涯利用可能なリポジトリ サービスを提供

○ユーザーコメント 「学生へのサービスを手厚くして、入学から卒業まで、そして卒業後も継続してサポートしていくためには、ICT に投資を行い、情報サービスを高度化することが必要です。しかし、現実的には 18 歳人口は減る一方で、大学経営の観点からは支出を極限まで削減せざるをえません。この相反する 2 つの事柄を両立させるためには、思い切って学内の ICT 環境をクラウド化によって統合し、運用・保守にかかる手間を外部に任せるしかないと考えたのです。」

学校法人国士舘 常任理事・教授瀬野 隆 氏

導入の背景とねらい

従来の ICT 環境と現代の高度情報化ニーズのギャップを解消し、先進的 ICT 環境の実現へ

1917 年に吉田松陰の精神を範として創立されて以来、約 100 年の長きにわたり、13 万人

以上 (2011 年 3 月現在)の人材を各界に輩出してきた国士舘大学。その歴史は進取の気質

を以て、さまざまな取り組みを重ねてきた歴史でもあります。たとえば 2000 年度に 4 年制大学

として日本で初めて、救急救命士の国家試験受験資格を取得できる「スポーツ医科学科」という

学科を設立。国家試験合格率 85% という実績を誇っています。

また、大学として ICT 化への取り組みも早く、1973 年には、電子計算機センター (現・情報科

学センター) を設立。

1979 年には日本で初めて「情報化キャンパス」を実現するシステムとして、ホストコンピューター

を利用して教務事務から財務会計、人事給与までの処理を行うトータル システムを発表していま

す。以来、同学の情報科学センターと情報基盤センターという 2 つの組織によって、積極的な

ICT 活用を続けてきました。

そして、2010 年、国士舘大学では、「メディア情報構想検討委員会」を設けて、大胆なシステム

刷新プランの検討に入ります。それが、学内の ICT 環境すべてを "クラウド化" する試みでした。

常任理事・教授 瀬野隆氏は、次のように説明します。

「学生へのサービスを手厚くし、入学から卒業まで、そして卒業後も継続してサポートしていくため

には、ICT への投資を継続することが必要です。

しかし、一方で 18 歳人口は減少し続けます。つまり、大学経営の観点からは支出を削減するし

か方法がありませんので、業務の合理化を考えていくと、結局は『資料を電子媒体化する』、『連

絡はネットワークを使って効率化する』など、さまざまな面で情報化が関わってきます。つまり、支出

を削減しようとすると、情報システムにかかる

コストが増えてしまうことになります。

この相反する 2 つの事柄を両立させるため

には、思い切って学内の ICT 環境をクラウド

化によって統合し、運用・保守を外部に任せ

るしかないと考えたのです。」

そして、国士舘大学の ICT 環境クラウド化

のプロジェクトがスタート。2011 年 5 月か

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システム概念図

学校法人国士舘 常任理事・教授 瀬野 隆 氏 (中央)学校法人国士舘 総務部 人事課 課長 福本 正幸 氏 (右)国士舘大学附属図書館 事務部長 植田 英範 氏 (左)

ら入試管理・履修管理システム、学術リポジトリ サービスなどがパブリッ

ク クラウド上に展開されてサービスインしています。その後も、図書館シ

ステム、人事給与システム、財務会計システム、そして学内のポータルサ

イトなど複数のシステムが夏から秋にかけてサービスインする予定です。

国士舘大学のクラウド ICT 環境がすべて完成すると、IC カードを使った

学生証でアクセスしたデータとも連携して出席管理はもちろん、図書館の

利用状況、メールやポータルを利用した教授とのコミュニケーションなど、

学生のキャンパスライフに関する情報がすべて連携し、より効果的な教

育・学習支援が図れるようになると、総務部 人事課 課長 福本正幸氏

は説明します。

「本学の基本方針として、学生サービスをいかに向上させるかということが

あります。そこで、学生のキャンパスライフをサポートするために、各学年

に学生係という管理者を配し、履修状況から成績まですべてに目をとおし

ています。今後これをさらに効率化することが大切です。たとえば、従来

の履修システムでは、前期の履修科目の登録情報を教員に渡せるのが、

夏休み直前になってしまうようなこともありました。こうした課題を 1 つ 1

つ解決して、さらに未だかつてどこの大学でも実現していなかったような、

情報共有環境を築いて活用していくことが、今回のプロジェクトの最大の

目的になります。」

そして、この理想的環境を実現するために選ばれたのが、Windows

Azure Platform をはじめとするマイクロソフトのクラウド ソリューションで

した。

導入の経緯

圧倒的なコスト パフォーマンスと開発生産性の高さで Windows Azure を採用

国士舘大学の学内システムには、Wi n d ow s A z u r e P l a t f o r m

(Windows Azure、SQL Azure) を基盤として、ポータルサイトの構築

に Microsoft SharePoint Online、CRM (Customer Relationship

Management) システムとして Microsoft Dynamics CRM Online、

そして卒業後も一貫して利用できるメールシステムとして Mic roso f t

Live@edu など、さまざまなサービスが活用されています。

しかし、Windows Azure 採用に至るまでの経緯は、「決して平坦ではな

かった。」と、国士舘大学附属図書館 事務部長 植田英範氏は振り返り

ます。

検討を開始した当初から、大学にとって最大の資産である "学生" の面

倒見を良くするために、CRM システムを重視していました。そして実は

この方針に沿って 2010 年初夏まで比較検討を行った結果、一旦は

salesforce.com の採用を決定していたのです。

「私たちとしては、コストを削減するために組織そのものを変革する考えで

いました。今まで、学内のシステムすべてを情報科学センターと情報基

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フルクラウドのフレームワーク

株式会社タイムインターメディア最高技術責任者小宮山 峰史氏

盤センターで運用・管理してきたもの、すべ

てを外部に委託するつもりでした。ですから

求めていたのは IaaS (Infrastructure as a

Service) ではなく、既存の学内システムに代

わるものを SaaS (Software as a Service)

と PaaS (Platform as a Service) の組み

合わせで、すべて大学の外のサービスに切り

替えることを基本に据えました。そういう意味で

Google Apps も Amazon EC2 も選択肢か

ら外しました。Windows Azure については、

従量課金だったために、当時はランニングコス

トを明確に試算することができませんでした。そこで、ユーザー課金でコス

トが可視化できた salesforce.com の採用に至ったわけです。」

こうして 2010 年 6 月、プロジェクトは進められますが「コストが問題に

なった。」と植田氏は続けます。

「まず、salesforce での構築に際しては、ストレージを新たに用意する必

要がありました。そして Salesforce CRM とは別立てのデータベースも

運用しなければならない、さらに既存システム資源がすべて無駄になっ

てしまうということで、開発費の見積金額が非常に高額になってしまっ

ていました。そうして困っているときに、マイクロソフトさんが、株式会社

タイムインターメディア (以下、タイムインターメディア) さんとともに再度

Windows Azure の提案に来られたのです。」

しかし当時はまだ Windows Azure の導入実績が乏しく、大学側として

は不安も感じていたと言います。しかし、その「不安」は構築を請負ったタ

イムインターメディアとの親密なコミュニケーションを通じて解消されてい

きました。

「2010 年夏の時点では Windows Azu re の事例がまだ少なかっ

たとはいえ、ASP.NET の開発ノウハウを活かせる上に、Mic roso f t

Dynamics CRM Online などの SaaS も提供されていたため構築も

容易であるとタイムインターメディアさんも自信を持たれていました。そこ

で、1 ~ 2 週間の検討時間をもらいました。」と植田氏が言うと、福本

氏も「最初にお会いした時に、当時抱えていた問題点を次々と問いかけ

ますと、どれも非常に素早く回答が得られました。このスピード感こそ、

私たちがクラウドに期待していたものだと感じました。」と、当時を振り返

ります。

こうした検討を経て 2010 年 12 月、すでに開発が進んでいた

salesforce.com の導入を中止し、 Windows Azure をはじめとするマ

イクロソフト クラウド ソリューションに切り替えることを決定して、開発プロ

ジェクトが再スタート。2011 年 5 月から段階的にサービスインを果たし

ています。

システム導入効果

各システムが連携するメリットを活かし学生を生涯サポートする「学内 SNS」実現へ

Windows Azure 採用によるコストメリットは「際立っていた。」と、瀬野

氏たちは声を揃えます。

「すでに salesforce による開発が進んでいたところもあったのですが、

Windows Azure による詳細な提案を受けてみると、システムの開発費

に関して言えば、まず金額の桁が違いました。さらに利用料を試算してみ

たところ、ランニングコストを約 5 分の 1 にまで抑えられるという試算も出

ました。もう、違いが極端すぎて『本当に大丈夫なのか?』と、何度も確認

しました。結果、ここまでコストが違うのであればシステム開発をやり直す

ことが最善と判断し、理事長に頭を下げてプロジェクトを仕切り直す承諾

をいただきました。」(植田氏)

そして、計画途中からの変更にもかかわらず、当初計画に遅れることなく

開発が進んだ理由について、タイムインターメディア 最高技術責任者

小宮山峰史氏は次のように説明します。

「当社はソフトウェア開発を専業にしているため、これまでホストからの移

行に際しては、お客様と同じハードウェア環境をどうやって確保するかが

ネックになることが多かったのですが、今回は Windows Azure を採用

することで、ハードウェアの問題がいきなり解決されてしまいました。

それから、当社には、ASP.NET の開発で培ってきたノウハウを活かした

『DODAI』というフレームワークがありまして、これをほんの少し変更するだ

けで、Windows Azure Platform での開発に適用することができました。

またホストコンピューターというものは、基本的に複雑な画面はなく、デー

タ構造も単純ですから、データをほぼそのまま移行させることができまし

た。容量やバックアップに関しても一切気にしなくていいですから、自ずと

開発スピードも上がります。非常にやりやすかったですね。」

こうして実現した国士舘大学のクラウド ICT 環境の最大のメリットが、「各

システムが連携して学生データを管理できること

にある。」と瀬野氏が話すと、植田氏は次のように

説明を続けます。

「学生サービスを手厚くする上では、各システム

が連携することが欠かせません。たとえば今回

のシステム刷新では、Microsof t Dynamics

CRM Online 上に学生のデータベースを構築

して、SharePoint Online による学内の各種

サービス システムと連携しています。履修管理

システムなど、学内の他のシステムとも連携して

います。やはり、このような『学生の ID を入れれ

ば、学部学科情報から、出席状況、図書館利

用、成績まで一連の学修状況が把握できる』と

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学内 SNS イメージ

導入についてのお問い合わせ

5117-WI1

国士舘大学

本ケーススタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/japan/showcase/本ケーススタディに記載された情報は製作当時(2011 年 6 月)のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケーススタディは、情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■ インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/japan/■ マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:30 ~ 12:00、13:00 ~ 19:00 土日祝日、弊社指定休業日を除く)※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。Microsoft、Active Directory、Microsoft Dynamics、SharePoint、SQL Azure、Windows Azure、Server ロゴ、Microsoft Dynamics ロゴ、Windows ロゴ は米国 Microsoft Corporation および、またはその関連会社の商標です。その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。

〒108-0075 東京都港区港南 2 丁目 16 番 3 号 品川グランドセントラルタワー

いう仕組みが、これからは必須になります。学生の側も、こうした情報化に

とても反応が早いですし。」

こうした学生たちの変化と、最新の ICT 環境の実現を受けて、国士舘

大学では独自の学術リポジトリ システムの活用が進んでいます。これは、

「学生各自が学習した教材や、作成した資料などをすべてクラウド上に

保管し、いつでも、それこそ卒業後も自由にアクセスして取り出すことので

きるリポジトリ サービスの実現であり、大学と学生を密接につなぐコミュニ

ケーション ツールでもあります。」と、植田氏は説明します。

「学生にとっては授業で使ったドキュメントの数々や、自分で作成したレ

ポートなどを卒業後、社会で働く中で改めて読み直したり、活用したくなる

場面もあるでしょう。学生時代に自分が学んだ資料にアクセスして引き出

すことのできるリポジトリ サービスは、学生にとって大きな価値があると思

います。学生全員の資料をアーカイブして、生涯にわたって保存・運用

するというサービスは、ストレージの容量を気にする必要もないクラウド環

境を活用すればこそ、実現できることです。」

また瀬野氏は、最近の学生のコミュニケーションのスタイルについて、次

のように指摘します。

「最近の学生とのコミュニケーションは、口頭での質疑応答や電話での

連絡よりも、メールの方が多いくらいです。講義の最中に手を挙げる学生

はいなくても、メールではさまざまな質問が送られてきますからね。メールを

使った指導に関しては、学生たちも非常に積極的です。『このレポートの

ここがおかしい』と返信すると、すぐに修正して送られてきますから。」

植田氏が続けます。

「そこで学内 SNS ともいえる新しいサービスを提供して、教員と学生、あ

るいは学生同士のコミュニケーションを活性化させることも計画していま

す。学内 SNS には、学生証用にデータベースに収められている各自の

顔写真も表示されますので、教員にとっては学生の顔と名前を一致させ

た状態で指導が行えるようになります。SNS を通じたコミュニケーション

の履歴を、自動的に蓄積、分析できれば、よりよいサービスの提供や教

育内容の充実に役立てることができると思います。」

今後の展望

大学間の学術情報ネットワーク構築など「社会貢献」にも向けた、さらなる取り組みを

国士舘大学では、今後、Microsoft® Off ice 365 の採用も視野に入

れ、学内の PC をすべてシンクライアント化していくことも検討。学内で

活用するソフトウェア、システム、そしてデータのすべてを "パブリック" と

"プライベート" の 2 種類のクラウド サービスを用途に合わせて使い分け

るハイブリッド クラウ

ド環境に預けて、場

所と時間を選ばずに

アクセスできる、より

高度な ICT 活用を

目指して、今後ます

ます進化・発展させ

ていく予定であると

言います。

他に先駆けて、先進

的なクラウド活用に

踏み切った決断について福本氏は、「大学の発展に貢献することを考え

れば、『まだ誰もやっていないからやる』というパイオニア精神が必要。」と

話します。

「たとえば、スポーツ医科学科を設立して救急救命士の育成を始めたとき

も反対の声がありました。前例がありませんからね。しかし今、東京消防

庁の救急救命士は、本学の卒業生が一番多いのです。ほかの学校が同

じような学科を設立する中、国士舘がアドバンテージを保てるのは、やは

りパイオニアであったことが大きいでしょう。

学内の ICT 環境も同じです。より高度なサービスを提供することが大学

の発展のために大事なことであり、なおかつ ICT にかかるコストを抑えて

いくことが大学経営に必須である以上、クラウドの可能性に賭けるのは

必然でしょう。」

また、クラウドの活用は国士舘大学内だけに留まらず、「世田谷 6 大学

コンソーシアム」(参加校 : 国士舘大学、駒澤大学、昭和女子大学、成

城大学、東京農業大学、東京都市大学) において、クラウド上のデータ

ベースを活用して、互いの教材を共有するなど、新しい学術情報のネット

ワークを構築していこうというプランも検討されていると言います。

最後に、瀬野氏は次のように締めくくります。

「すべての教育機関の『役割』というものは、学生たちが社会に出て以

降、それこそ何十年もかかって評価されていくものです。従って、学生たち

が卒業後、どのように社会で生きていくのかということが大変重要になり

ます。情報化が進む現代社会の中で学生たちが活躍し、周りから評価さ

れるためには、教職員や教材などだけではなく、広い意味での教育環境

を向上していく必要があると感じています。

そのためには、たとえ『実験だ』と言われても最新の技術を積極的に活用

することに意義があるでしょう。クラウドを取り入れることで『教育環境の

充実』と『経費の削減』、そして『社会貢献』にもつなげていくことができれ

ば、これほどいいことはないと思っています。」