訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺...

15
〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所 電話045-651-2431 FAXO45-641-1916 上記原告訴訟代理人 弁謹士 訴状 5 2018年9月26日 5 東京地方裁判所民事部御中 〒100-8977東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 被告 上記代表者法務大臣 原告ら訴訟代理人弁護士 隆太郎 10 10 処分をした行政庁の表示及び送達先 〒100-8959東京都千代田区霞が関三丁目2番2号 文部科学大臣 15 原告 (送達場所) 〒160-0022 行政文書不開示決定処分取消等請求事件 訴訟物の価額 3, 200,000円 貼用印紙額 22,000円 新宿区新宿1-15-9 さわだビル5階 東京共同法律事務所 電話03-3341-3133 FAXO3-3355-0445 上記原告訴訟代理人 弁護士 隆太郎 15 20 請求の趣旨 20 1 文部科学大臣の原告に対する平成29年12月25日付行政文書不開示決定 (29受文科高第1541号。ただし理事長印の印影を除く部分に関する決定を 除く)を取り消す。 25 2/30 1/30

Transcript of 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺...

Page 1: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

メ/

〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17

JPR横浜日本大通ビル8階

横浜合同法律事務所

電話045-651-2431

FAXO45-641-1916

上記原告訴訟代理人

弁謹士 海 渡 双 葉

訴状

5

2018年9月26日

5 東京地方裁判所民事部御中

〒100-8977東京都千代田区霞ヶ関1-1-1

被告 国

上記代表者法務大臣 上

原告ら訴訟代理人弁護士 海

同 中

同 海

同 小

渡 雄 一

川 亮

渡 双 葉

川 隆太郎

10

川 陽 子

10処分をした行政庁の表示及び送達先

〒100-8959東京都千代田区霞が関三丁目2番2号

文部科学大臣 林 芳 正15

原告 福 田 圭 子

(送達場所)

〒160-0022

行政文書不開示決定処分取消等請求事件

訴訟物の価額 3,200,000円

貼用印紙額 22,000円

新宿区新宿1-15-9 さわだビル5階

東京共同法律事務所

電話03-3341-3133

FAXO3-3355-0445

上記原告訴訟代理人

弁護士 海 渡 雄 一

同 中 川 亮

同 小 川 隆太郎

15

20

請求の趣旨

20

1 文部科学大臣の原告に対する平成29年12月25日付行政文書不開示決定

(29受文科高第1541号。ただし理事長印の印影を除く部分に関する決定を

除く)を取り消す。

25

2/301/30

Page 2: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

1

2文部科学大臣の原告に対する平成29年12月4日付行政文書不開示決定(2

9受文科高第1436号)を取り消す。

3文部科学大臣は、原告に対し、学校法人加計学園獣医学部設腫認可申請に係る

補正申請書(図面に係る部分)、学校法人加計学園寄附行為変更許可申請書(図面

に係る部分)、学校法人加計学園寄附行為変更許可申請書(見積書及び契約書等に

係る部分)、審査の過程で入手した校舎等の設計図、ならびに平成29年2月13

日付の愛媛県今治市及び学校法人加計学園を当事者とする「岡山理科大学キャン

パスに関する基本協定書」第13条において規定されている「特定学校法人の理

事会の議決等を要する事項」に関する学校法人加計学園の理事会の全ての議事録

を開示せよ。

4訴訟費用は、被告の負担とする。

との判決を求める。

文書5 平成29年2月13日付の今治市及び学校法人加計学園を当事者とする「岡山理科大学キャンパスに関する基本協定書」第13条において規定されている「特定学校法人の理事会の議決等を要する事項」に関する学校法人加計学園の理事会の全ての議事録

2開示請求に対する不開示処分

原告が行った文書1ないし5についての開示請求に対し、文書1ないし4につ

いての不開示決定が、平成29年10月2日付行政文書不開示決定(以下、「原処

分1」という)及び平成29年12月25日付行政文書不開示決定(甲1.以下、

「原処分2」という)である。

文書5についての開示請求に対する不開示決定が、平成29年12月4日付行

政文書不開示決定(甲2.以下、「原処分3」という)である。

5

5

10

請求の原因

15

3審査請求に対する棄却決定

原告は、原処分1ないし3について審査請求を行ったが、原処分1及び2につ

いては平成30年6月29日付で一部棄却決定(甲3.30受文科高第357号)

がなされ、原処分3についても同日付で却下決定がなされた(甲4.30受文科

高第356号)。

第1本件で問題となる不開示処分等

1 開示請求の対象文書について

原告が、本件で開示を求める文書(以下、「本件対象文書」という)は学校法人

加計学園欧医学部(以下、「本件獣医学部」という)に関する以下の文書である。

10

第2文書1ないし4に関する不開示処分(原処分1及び2)について

1 まず、原処分庁は、文書1ないし4について、行政機関の保有する情報の公開

に関する法律(以下、単に「法」という)第5条5号に該当するとして、不開示

とする原処分1を行った。原処分1は、不開示理由を、以下のとおり述べる。

「・請求文書のうち現在保有している文書については、特定大学に特定学部を

15

3/304/30

原処分1 29受文科高第1133号 文書1,2,3,4

原処分2 29受文科高第1541号 文書1,2,3,4 甲1

原処分3 29受文科高第1436号 文書5 甲2

文書1 本件獣医学部設極認可申請に係る補正申請書(図面に係る部分)

文書2 字校法人加計学園寄附行為変更許可申請書(図面に係る部分)

文書3 字校法人加計学園寄附行為変更許可申請書(見積書及び契約書等に係る部分)

文書4 番査の過程で入手した校舎等の設計図

Page 3: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

16

設瞳するための審査に関する資料として提出されたものであり、現在、審

査中であることから、法5条5号により不開示としました。

・審査に関する資料として提出された文書以外で請求文書に該当する文書に

ついては、保有していないため不開示としました。」

2 これに対して、原告が原処分1の取消しを求めたため、原処分庁は、文書1な

いし4の一部について新たに開示するとし、その余の部分(以下、「不開示維持部

分」という。)は同条2号イ及び6号の理由を追加した上でなお不開示を維持すべ

きとした。

その後、原告が、文書1ないし4について、再度の開示請求を行ったところ、

原処分庁は、その一部について、法5条2号イ及び6号に該当するとして、不開

示とする原処分2を行った。原処分2は、不開示理由を、以下のとおり述べる。

「・平面図については、公にすることにより、当該学校法人の権利、競争上の

地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号イの規

定により、不開示としました。

・見積書及び契約書については、公にすることにより、当該法人の競争上の

地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号イの規

定により、不開示としました。

・審査の過程で任意で提出された文書については、当該学校法人に関する情

報であって、公にすることにより、当該学校法人の権利、競争上の地位、

その他正当な利益を害するおそれがあることから、法第5条第2号イの規

定により、また、公にすることにより、今後の審査事務の適正な遂行に支

障を及ぼすおそれがあることから、法5条第6号に該当するため、不開示

としました。

・上記以外の図面については、所有していないため、不開示としました。」

3 このように原処分1における不開示部分の一部は、その後、原処分2で開示さ

れている。したがって、本件の訴訟物から原処分1は除外することとし、原処分

2の適法性のみを争うこととする。

なお、情報公開・個人情報保護審査会により、原処分1の不開示維持部分と原

処分2における不開示部分は一致していることが確認されている(甲3の決定書

10頁)。

原処分2における不開示部分と不開示理由を表にすると以下のとおりである。

以下、順に論じる。

55

10

第3文書1及び2のうち校舎の平面図(原処分2の不開示部分1)

1原処分庁の理由説明

原処分庁は、原処分2の不開示部分1(文書1及び2のうち校舎の平面図)の

不開示理由について、審査請求手続きにおける理由説明書において、以下のとお

り説明する。

(ア)校舎の平面図は、部屋等の位置関係や使用区分等が詳細に記載されている

外、特定エリア内の人の動線等が詳細に記載されている文書も含まれている

ため、これらを公にした場合、部外者の不法侵入といった犯罪を誘発し、そ

の結果厳密に保管されるべき病原体等が不法に外部流出させられる等、重大

な事故が発生することも否定できず、特定法人の権利、競争上の地位その他

正当な利益を害するおそれがある。

(イ)審査請求人は、民放テレビのニュース番組で設計図と見られる図面が公開

されているため、競争上の地位が害されるおそれはない旨主張するが、当該

図面が真に本物の図面かどうか定かではないし、必ずしも本件対象文書の図

1015

1520

2025

6/305/30

不開示部分 不開示理由

不開示部分1 文書1及び文書2のうち

校舎の平面図

法5条2号イ、5号

不開示部分2 文書3の全部 法5条2号イ、5号

不開示部分3 文書4の全部 法5条2号イ、5号、6号

Page 4: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

面が公開されているとはいえない。

(ウ)審査請求人は、本件対象文書に含まれる施設の図面には特定の施設を設置

する計画になっており、事故が発生した場合には近隣住民の生命及び健康に

重大な被害を生じることが予想される旨主張している。しかしながら、今後

特定の施設の認定を受けるに際しては、感染症法に基づき、特定の病原体等

を所持する場合に厚生労働大臣の許可が必要である上、管理に当たっては病

原体等に応じた施設基準等の遵守が義務付けられ、さらに、病原体等を所持

する施設に対し、各種基準の遵守等、病原体等の管理を適正に行うよう国が

指導監督を行う権限を保有するなどしており、法令で安全性を確保する仕組

みとなっている。

2審査会の判断

審査会は、不開示部分1について以下のとおり判断した。

(ア)当該部分は、特定大学特定学部の校舎の平面図であり、部屋の位置関係及

び使用区分並びに人の動線等が詳細に記載されていることが認められる。

(イ)そうすると、当該部分を公にした場合、校舎内の各部屋に通じる通路等が

明らかとなるので、部外者の不法侵入など犯罪を誘発するだけでなく、厳

密に保管されるべき病原体等が不法に外部流出させられる等、重大な事故

が発生するおそれがあるとする諮問庁の説明は首肯できる。

また、審査請求人は、不開示部分1は法5条2号ただし書きに該当する

旨主張するが、諮問庁の上記(ウ)の説明からすると、人の生命、健康、

生活又は財産を保護するため不開示部分1を公にする必要性があるとは

認めがたい。

したがって、当該部分は、法5条2号イに該当し、同条5号について判

断するまでもなく、不開示とすることが妥当である。

3原告の主張

(1)原処分庁の主張する犯罪誘発等のおそれは客観的な明白性を欠く

法5条2号イの「害するおそれ」とは、単なる確率的な可能性ではなく、法

的保護に値する蓋然性が求められる(総務省行政管理局編「詳解情報公開法]。

57頁、東京地判平成20年11月27日裁判所HP、東京地判平成21年2

月27日判例集未登載)。

しかるに原処分庁の「公にした場合、部外者の不法侵入といった犯罪を誘発

し、その結果厳密に保管されるべき病原体等が不法に外部流出させられる等、

重大な事故が発生することも否定できず」との主張における「犯罪の誘発等の

おそれ」は、以下の理由から、具体的な害悪発生の客観的な明白性に欠けるも

のであって不開示理由とはなりえない。

第一に、部外者の不法侵入などの犯罪や放射性物質の不法な外部流出が発生

すれば、国家レベルの緊急事態になる原子力発電所についてすら、原子力発電

所内の原子炉建屋を含む各施設の各階の平面図及び主要機器(原子炉内部の圧

力容器等含む)の仕様書が原子炉設置(変更)許可申請書の添付書類として国

会図書館で資料として公開されている(甲5)。

第二に、 BSL2施設やBSL3施設を有する京都産業大学の本山キャンパ

ス16号館B1については、ウェプサイト上で研究施設・実験室の概要図が全

世界に向けて公開されており、人の動線こそ無いものの、部屋の位置関係及び

使用区分が詳細に記入されている(甲6)。なお、本件獣医学部には、鳥インフ

ルエンザや口蹄疫などの病原体を取り扱うためにWHOが定めているバイオセ

ーフティー基準(BSL)のうちBSL3の施設が設置されており、京都産業

大学の施設のBSLレベルは本件獣医学部と同等である。

第三に、 P3実験室を有する静岡県立静岡がんセンターについても、ウェブ

サイト上で研究施設・実験室を含むフロアマップが全世界に向けて公開されて

いる(甲7)。人の動線こそ無いものの、部屋の位置関係及び使用区分が詳細に

記入されている。

しかし、これらの原子力発電所や大学、研究施設において、部外者の不法侵

5 5

10 10

15 15

20 20

25 25

7/30 8/30

Page 5: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

入などの犯罪発生や病原体等の不法な外部流出などの事件が発生したことはな

い。これらの諸施設における公開情報と比較しても明らかなように、不開示部

分1を開示しても、犯罪の誘発や病原体等の不法な外部流出などが起きる客観

的な明白性などないのである。

(2)原処分2に至る経緯が信義則違反であること

原処分2の不開示部分1(校舎の平面図)については、平成29年10月2

日付の原処分1でも不開示とされていたが、その際の不開示理由は、「国の機

関・独立行政法人等・地方公共団体および地方独立行政法人の内部又は相互間

における審議、検討または協議に関する情報(法5条5号)」に該当するという

理由だけであった。

その後、同年10月24日、林芳正文科大臣が定例記者会見において本件図

面等については、「獣医学部開学認可後に開示請求されれば法令に基づいて判

断する」と答弁し、然るべき開示がなされることを示唆していた(甲8)。この

ため原告は、昨年11月24日、本件図面等の二度目の開示請求を行ったもの

である。

然るに本件図面等については、再度、不開示とされたばかりではなく(原処

分2)、それまで全く言及のなかった5条2号イが不開示理由として追加されて

いるのである。

このように当初言及のなかった不開示理由を追加してまで、大臣の定例記者

会見における発言に反した不開示処分を行うことは、原告を含む国民の行政へ

の信頼を著しく損なうものであり違法である。

(3)「権利、競争上の地位その他正当な利益」を害するおそれなど存在しない

ア本件不開示理由及び理由説明書における被告の説明からは、平面図、見積書

及び契約書の開示により、本件獣医学部の、如何なる「権利、競争上の地位そ

の他正当な利益」を害するおそれがあるのか、全く不明である。

イ仮に、大学内の研究施設の設計や配瞳などが公になることにより、本件獣医

学部の当該施設を用いた学問研究における自由・競争上の地位が害されるおそ

れがあるとの主張だとすれば、平成29年8月23日の民放テレビのニュース

番組で設計図の図面は公開されていること、および既に本件獣医学部は開設さ

れ第三者でも校舎を見学することが出来ることからすれば、校舎の平面図の開

示自体で、本件獣医学部独自の事業運営上のノウハウ等が明らかになるとは通

常考えられず、不開示部分1を開示することにより本件獣医学部が学問研究の

自由を制約されたり競争上の不利益を被るとは到底認められない。

このことは、上述のとおり、京都産業大学や静岡県立静岡ガンセンターにお

いて詳細な平面図がインターネット上で公開されていることからも明らかであ

る。

ウまた、情報公開法5条2号イの「害するおそれ」には、上述のとおり、具体

的な害悪発生の客観的な明白性が必要であるところ、「害するおそれ」があるか

どうかの判断にあたっては、「法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の

内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の

自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人又は事業を営む個人と行政と

の関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある」(総務省「詳解情報公開

法」・57頁)。

そもそも本件獣医学部は政府により「世界に冠たる先端ライフサイエンス研

究を行う国際教育拠点」との国家戦略に基づき設立が構想され、本件獣医学部

には約100億円にも上る多額の税金が投与されるものであり、岡山理科大学

自体は私立大学ではあるものの教育機関として高い公共性を有することは言う

までもなく、本件獣医学部については、上記の理由から殊更に高い公共性を有

し、行政と同程度の説明責任が課される法人としての性格を有する。

さらに権利内容は、上述のとおり不開示理由からは明らかではないが、仮に

学問研究の自由及び学問研究における競争上の地位にあるとすれば、学問研究

の自由は、自由に支えられた学術の進展こそが、広く社会に健全な発展をもた

5 5

10 10

15 15

20 20

25 25

9/30 10/30

Page 6: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

にWHOが定めているバイオセーフテイー基準(BSL)のうちBSL3の施

設が設置されている。

BSLは、下から順番にBSL1からBSL4まであり、一種病原体である

エボラ出血熱を取り扱うためにはBSL4の施設が必要とされており、日本で

は長崎大学に建設計画がある一つの施設を除けば都内に一つの施設しかない。

また、本件獣医学部に予定されているBSL3の施設には、鳥インフルエンザ

とか口蹄疫に該当する病原体の取扱いが予定されている。

仮に本件獣医学部のBSL3の施設に暇疵等があり、病原体がたとえ微量で

も外部に漏洩するような事故が発生した場合には、近隣住民らの生命及び健康

に対する重大な侵害を生じさせることが予想される。しかも、本件獣医学部に

おいては、下記の施設状況から、そのような漏洩事故が発生する可能性は低く

ない。

第一に、加計学園の立地上の問題がある。本件獣医学部の建設地近くには、

西方に断層が縦横に存在(今治市・地震防災マップにはいこいの丘北側に震度

6強を示す赤い帯がある)し、その丘に建つ獣医学部棟の5階にBSL3の施

設は存在する(甲9、甲10)。したがって、自然災害による事故のリスクも考

えられ、それらの事故により、病原菌などが漏れ出て風に乗った場合の飛散範

囲の甚大さは想像に難くない。

第二に、実験設備の仕様上の問題がある。一般的にBSL3の実験室は当然

ながら、きちんとほかのスペースと隔離されていなければならない。通常BS

L3でウイルスが漏れた場合は、閉鎖の上、劇物のホルマリンなどで施設ごと

殺菌消毒を行わなければならないからである。

しかし、先述のとおり既にテレビ等によって公開されている設計図面によれ

ば、本件獣医学部のBSL実験室は、研究生が学ぶ共用スペースの隣にあるな

ど構造上の問題がある。すなわち、BSL3実験室が教職員の研究室が並ぶ、

廊下のそばに髄かれており、日常的に常駐する教職員や学生の感染を防げない。

らすという趣旨に基づき憲法23条により保障されている権利であって、元来、

公的側面の強い性格を有するものであり、公益的観点からの情報公開との関係

では保護の必要性は必ずしも高いとはいえない。

校舎の平面図の開示により、本件獣医学部の学問研究の自由や学問研究にお

ける競争上の地位が害される可能性がどの程度存在するのかも全く不明であり、

まさに単なる確率的な可能性を指摘しているに過ぎず、法的保護に値する蓋然

性などは全く認められない。

したがって、不開示理由は「害されるおそれ」に該当しないのであるから、

情報公開法5条2号イの不開示事由には当たらない。

仮に当該研究施設に関連して、校舎の平面図の開示により本件獣医学部が一

定のデメリットを受けるとしても、当該研究施設と密接に関連する部分のみ不

開示とするべきであり、全ての施設を不開示としてはならない(情報公開法6

条1項)。

(4)法5条2号ただし書該当性

法5条2号ただし書は「ただし、人の生命、健康、生活、又は財産を保護す

るため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」と規定している。

同ただし書は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等

の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人

の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るとき

には、当該情報を開示しなければならないとするものである。現実に人の生命、

健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が

高い場合も含まれ、法人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明

確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の

発生が予想される場合もあり得る(総務省行政管理局編「詳解情報公開法」5

6頁)。

本件獣医学部には、鳥インフルエンザや口蹄疫などの病原体を取り扱うため

55

1010

1515

2020

2525

12/3011ノ30

Page 7: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

また、当該設計図面では、獣医学棟の5階にワンランク下のBSL2実験設

備を広い部屋として用意し、その一角にプレハブの簡素なBSL3実験室を設

腫する予定であることが読み取れる。すなわち、全くほかのスペースと隔離さ

れていないのである。加計学園の設計ではBSL3と同居するBSL2のフロ

ア全体も封鎖・殺菌消毒をしなければならないので、ウイルスが漏れた場合、

封鎖範囲が通常のBSL3よりはるかに広くなり、感染事故の拡大が防げない。

さらに、本件獣医学部棟全体のどこにも、ウイルス実験で必要な法的規制を

受ける、液体窒素の保管場所、毒劇物の保管場所、有機溶媒、等々の保管場所

も確認出来ていない。なお、解剖学・病理学が組織標本作製に使用する、「ホル

マリン」、「有機溶媒」の作業場所も確認出来なかった。これでは、解剖実習、

病理研究などがまともに出来ない。

第三に、実験室の配置上の問題もある。ビルの5階にそのような実験室を配

瞳すると、ウイルスが漏れた場合、容易に階下の学生や教職員に感染した空気

や廃液が流れ落ち、甚大な感染を引き起こすことになる。これは、高度なウイ

ルスなどの研究や実験に必要な設備を最初から考慮していないと考えざるをな

い。

このように本件獣医学部において、 BSL3の施設に暇疵等があり病原体が

たとえ微量でも外部に漏洩するような事故が発生した場合には、近隣住民らの

生命及び健康に対する重大な侵害を生じさせることが予想されるのである。校

舎の平面図を開示して、その安全性について様々な外部専門家により多角的な

検証を行うことで、安全性を確保する仕組みの正しさを検証する必要性は極め

て高い。

一方で、校舎の平面図を開示しないことにより保護される本件獣医学部の権

利利益は漠然としたものであって、仮に学問研究の自由だとしても、上述のと

おり既に同平面図等がテレビ等マスメディアによって公開されており、既に同

学部が開設され第三者が校舎を見学可能である現状にも鑑みれば、その保護の

必要性は低い。

したがって、情報公開法5条2号ただし書の規定により、原処分2の本件不

開示部分1の校舎の平面図については開示されなければならない。

(5)法5条5号について

法5条5号は、「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政

法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公

にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が損なわれる

おそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益

を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」を不開示とすることとして

いる。

法5条5号の趣旨は、行政文書には、行政機関としての最終的な意思決定前

の事項に関する情報が含まれうるが、こうした情報が開示されることによって、

行政機関としての適正な意思決定が損なわれる可能性があることから、行政運

営の公開性の向上と説明責任の確保という情報公開法の目的も考慮したうえ、

個別具体的に、開示することによる不利益等を考慮して不開示とする情報の範

囲を画することとしたものである(総務省行政管理局「詳解情報公開法」71

~72頁)。

法5条5号の定める「審議、検討又は協議に関する情報」とは、「事務及び事

業において意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程において、

例えば、具体的な意思決定の前段階としての制作等の選択肢に関する自由討議

のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打ち

合わせ、決済を前提とした説明や検討、審議会又は行政機関が開催する有識者、

関係法人等を交えた研究会における審議や説明など、様々な審議、検討及び協

議が行われており、これら各段階において行われる審議、検討又は協議に関連

して作成され、又は取得された情報」(総務省行政管理局「詳解情報公開法」7

2頁)をいうとされており、具体例として、地方法務局出張書に関する登記適

55

10 10

1515

20 20

25 25

13ノ30 14ノ30

Page 8: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

正配置折衝最記録、国立病院の再編成協議会の議事録、最高裁判所裁判官会議、

司法試験委員会の議事内容の録音内容等が挙げられる。

宇賀克也は、『新・情報公開法の逐条解説』(第5版2013年有斐閣)は、

法5条5号の趣旨について、次のように述べている。

「デンマーク、オーストラリアの情報公開法のように、審議、検討又

は協議に関する不開示情報の規定は、事実に関する情報については適

用しないことを明文で定めている例もあるし、アメリカの場合は、判

例法上、政策情報と事実情報を区別し、後者には原則として審議過程

特権に関する不開示規定を適用しないこととしている(字賀情報公開

法二五二頁以下参照)。わが国においても、安威川ダム訴訟において大

・ 阪高判平成六年六月二九日(判タ八九○号八五頁)が、専門家が調査し

た自然界の客観的、科学的な事実、およびこれについての客観的、科

学的な分析の情報自体が、調査研究、企画などを遂行するうえで誤解

を生じさせるものではないと判示している(最判平成七年四月二七日

判例集不登載は上告棄却)。

大阪府交野市情報公開条例も、審議、協議等に関する不開示情報の

規定は、事実に関する情報には適用されないことを明記している。杢

く、建物の建築が既成事実を固めるために、建築工事が遂行され完成している。

行政機関としての適正な意思決定が損なわれることを防ぐために当該情報を

不開示とする法5条5号の立法趣旨に照らしても、およそ、「審議、検討又は協

議に関する情報」に該当しない。

よって、本件不開示部分1は、法5条5号の対象情報たる「審議、検討又は

協議に関する情報」に、そもそもあたらない。

5 5

第4文書3の見積書及び契約書(原処分2の不開示部分2)

1原処分庁の理由説明

原処分庁は、原処分2の不開示部分2(見積書及び契約書)の不開示理由につ

いて、審査請求手続きにおける理由説明書において、以下のとおり説明する。

見積書及び契約書は、特定法人が建設業者等に工事等を発注する際に交わした

法人の取引情報及び内部情報であり、一般に秘匿されるべき情報である。

見積書及び契約書は、建設業者等が材料や製品の仕入れ先と価格交渉を行った

結果等によるものである工事に係る費用の内訳書が含まれており、当該内訳書は、

建設業者等の材料等の調達に関するノウハウであり、建設業者等の権利、競争上

の地位その他正当な利益を害するおそれがある。

2審査会の判断

審査会は、不開示部分2について以下のとおり判断した。

(ア)当該部分は、特定大学特定学部の校舎等の工事等を発注するための見積書

及び契約書であり、工事に係る費用の詳細な内訳等が記載されていることが

認められる。

(イ)そこで、当審査会事務局職員をして諮問庁に対し、当該見積書及び契約書

の公表の有無を確認させたところ、当該見積書及び契約書は、文部科学省、

特定法人及び契約相手方である建設業者等において公表していないとのこと

である。

10 10

15 15

る燗報 ; 」としている。

すなわち、事実に関する情報は、審査途中であっても、公開することが情報

公開法の趣旨なのである。

しかるに本件不開示部分1の校舎の平面図は客観的な資料であり、審議、検

討、協議の内容が記載されたものではない。愛媛県今治市に建設予定(当時)

の加計学園獣医学部に関連するすべての建物についての図面一式であって、審

議に向けて提出された客観的な資料に過ぎず、審議、検討、協議の内容が記載

されたものではない。しかも、今治市においては、国の最終判断を待つことな

20 20

25 25

15/30 16/30

Page 9: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

つことなく、建物の建築が既成事実を固めるために、建築工事が遂行され完成

している。

行政機関としての適花な意思決定が損なわれることを防ぐために当該情報を

不開示とする法5条5号の立法趣旨に照らしても、およそ、「審議、検討又は協

議に関する情報」に該当しない。

よって、本件不開示部分2は、法5条5号の対象情報たる「審議、検討又は

協議に関する情報」に、そもそもあたらない。

そうすると、当該部分は、特定法人と建設業者等との内部情報であるので、

公にした場合、建設業者等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する

おそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。

また、審査請求人は、不開示部分2は法5条2号ただし書に該当する旨主

張するが、諮問庁の上記(1)ア(ウ)の説明からすると、人の生命、健康、

生活又は財産を保護するため不開示部分2を公にする必要があるとは認め難

い。

したがって、当該部分は、法5条2号イに該当し、同条5号について判断

するまでもなく、不開示とすることが妥当である。

3原告の主張

(1)法5条2号イについて

法5条2号イについては、上記第3(3)と同様であって、公にすることに

より侵害される本件獣医学部の権利や地位の内容が不明であることに加え、「害

するおそれ」は客観的な明白性を欠き、法的保護に値する蓋然性に至っている

とは到底評価しえず、更に近隣住民の生命健康の保護の必要性に鑑みて同法た

だし書の規定も適用されることから、不開示事由となりえない。

(2)法5条5号について

法5条5号の定める「審議、検討又は協議に関する情報」については、上述

のとおり、政策、意見に関する情報と事実に関する情報を区別して考える必要

があり、事実に関する情報は、審査途中であっても、開示されなくてはならな

い。

しかるに本件不開示部分2の見積書及び契約書は客観的な資料であり、審議、

検討、協議の内容が記載されたものではない。愛媛県今治市に建設予定(当時)

の加計学園獣医学部に関連するすべての建物についての見積書及び契約書であ

って、審議に向けて提出された客観的な資料に過ぎず、審議、検討、協議の内

容が記載されたものではない。しかも、今治市においては、国の最終判断を待

5 5

第5文書4の設計図(原処分2の不開示部分3)

1 原処分の理由説明

原処分庁は、原処分2の不開示部分3(設計図)の不開示理由について、審

査請求手続きにおける理由説明書において、以下のとおり説明する。

(ア)審査の過程で任意に提出された文書(文書4)とは、分科会の審査の過程

において任意で提供を依頼して取得した校舎等の設計図である。

(イ)当該設計図は、建築主からの依頼により、建築士事務所が相当の報酬を得

て知識と技能を駆使し、工夫を凝らして独自に作成したものであり、設計図

の内容を公にした場合、そのアイディアやノウハウ等が公になり、当該建築

士事務所の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。

(ウ)分科会の行う審査業務は、審査基準に照らして専門的・学術的見地から判

断し答申するため、学校法人の管理運営状況や事務処理状況、財政計画等学

校法人の運営に係る広範な事項を審査しており、申請者は文部科学省との信

頼関係により秘匿性の高い資料を提供している。このような任意で提供され

た文書を公にした場合、今後、申請者から協力が得られなくなり、その結果、

将来にわたり、申請者である学校法人の実情を踏まえた適正な審査が行われ

なくなるなど、分科会が行う審査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが

ある。

10 10

15 15

20 20

25 25

18/3017ノ30

Page 10: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

2審査会の判断

審査会は、不開示部分3について以下のとおり判断した。

(ア)当該部分は、特定大学特定学部の校舎等の設計図であることが認められる。

(イ)そうすると、当該部分を公にした場合、当該設計図を作成した建築士事務

所のアイディアやノウハウが明らかとなるので、当該建築士事務所の権利、

競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとする諮問庁の説明は

首肯できる。

また、審査請求人は、不開示部分3は法5条2項ただし書に該当する旨主

張するが、諮問庁の上記(1)ア(ウ)の説明からすると、人の生命、健康、

生活又は財産を保護するため不開示部分3を公にする必要性があるとは認め

難い。

したがって、当該部分は、法5条2号イに該当し、同条5号及び6号につ

いて判断するまでもなく、不開示とすることが妥当である。

3原告の主張

(1)法5条2号イについて

本件学部の校舎について、設計図から明らかになる建物構造や具体的仕様に

関して、特に他の校舎と比べて特殊なアイディアやノウハウが用いられている

わけではない。本件学部は既に開校されており、現在は事実上誰でも校舎内に

立ち入ることができるのであって、設備や意匠などは公開されている。開示し

たところで、当該設計図を作成した建築事務所のアイディアやノウハウが新た

に明らかになるわけでない。

(2)法5条5号について

法5条5号の定める「審議、検討又は協議に関する情報」については、上述

のとおり、政策、意見に関する情報と事実に関する情報を区別して考える必要

があり、事実に関する情報は、審査途中であっても、開示されなくてはならな

しかるに本件不開示部分3の設計図は客観的な資料であり、審議、検討、協

議の内容が記載されたものではない。愛媛県今治市に建設予定(当時)の加計

学園獣医学部に関連するすべての建物についての設計図であって、審議に向け

て提出された客観的な資料に過ぎず、審議、検討、協議の内容が記載されたも

のではない。しかも、今治市においては、国の最終判断を待つことなく、建物

の建築が既成事実を固めるために、建築工事が遂行され完成している。

行政機関としての適正な意思決定が損なわれることを防ぐために当該情報を

不開示とする法5条5号の立法趣旨に照らしても、およそ、「審議、検討又は協

議に関する情報」に該当しない。

よって、本件不開示部分3は、法5条5号の対象情報たる「審議、検討又は

協議に関する情報」に、そもそもあたらない。

(3)法5条6号について

法5条6号の「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは、行政機関の長に広

範な裁量権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的に判断す

る必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照らし、公

益的な開示の必要性等の種々の利益を衡撞した上での「適正な遂行」といえる

ものであることが求められる(総務省行政管理局編「詳解情報公開法」・78頁)。

また、「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「お

それ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要

求される。

本件獣医学部は政府により「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究を行う

国際教育拠点」との国家戦略に基づき設立が構想され、本件獣医学部には約1

00億円にも上る多額の税金が投与されるものであり、岡山理科大学自体は私

立大学ではあるものの、本件獣医学部に限っては、高い公共性を有し、行政と

同程度の説明責任が課される法人としての性格を有する。また、本件獣医学部

では、上記のとおり、鳥インフルエンザや口蹄疫などの病原体を取り扱うため

55

1010

1515

20 20

25 25

い。

19/30 20/30

Page 11: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

4

にWHOが定めているバイオセーブテイー基準(BSL)のうちBSL3の施

設を設置する計画になっている。将来、 BSL3の施設に暇疵等があり病原体

がたとえ微量でも外部に漏洩するような事故が発生した場合には、近隣住民ら

の生命及び健康に対する重大な侵害を生じさせることが予想されるのである。

幅広い資料を開示して、その安全性及び財政面について様々な外部専門家に

より多角的な検証を行うことで、近隣住民らの生命及び健康を保護し、また、

税金が適正に使用されているかどうかを検討するため、公益的な開示の必要性

は極めて高い。

また、本件獣医学部には約100億円にも上る多額の税金が投与されており、

その使途が適正かどうかを確認するという見地からも公益的な開示の必要性は

高いといえる。

一方で、文書4の開示により実質的な支障が、法的保護に値する蓋然性をも

って発生するとはいえない。この点、原処分庁は、任意で提供された文書を公

にした場合、今後、申請者から協力が得られなくなり、その結果、将来にわた

り、申請者である学校法人の実情を踏まえた適正な審査が行われなくなるなど

と主張する。しかし、審査基準に照らして専門的・学術的見地から審査に必要

な文書を、その必要性を説明しても申請者がなお提出しないのであれば、必要

な文書が欠如しており審査不能であることを理由に申請を不許可にすればよい

だけであるし、逆に審査に必要のない文書なのであれば、そもそも被告が申請

者に対して提出を求めること自体が誤りというに過ぎず、当該文書が提出され

なくとも、将来にわたり、申請者である学校法人の実情を踏まえた適正な審査

が行われなくなるなどということはない。

したがって、上記公益的な開示の必要性と衡量した場合に、情報公開法5条

6号の不開示事由に該当しないことは明らかである。

1原処分庁の理由説明

原処分庁は、原処分2の不開示部分3(設計図)の不開示理由について、審査

請求手続きにおける理由説明書等において、以下のとおり説明する。

ア本件対象文書は、分科会において必要な審査を行うために、審査の過程にお

いて、特定学校法人に任意で提供を依頼し、取得した理事会の議事録である。

イ理事会は学校法人としての意思決定機関であり、その議事録には学校法人の

運営上の意思決定の形成過程や経営戦略などが記録されているので、公にした

場合、他の学校法人等に知られたくない特定学校法人の内部情報等が明らかと

なり、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。

ウ審査請求人は、特定大学特定学部の事業活動は近隣住民の生命及び健康に直

結するとして、開示されなければならないと主張しているが、本件対象文書は、

近隣住民の生命及び健康に直結する内容が記載される性格のものでないことは、

開示されている基本協定書から明らかである。

2審査会の判断

審査会は、不開示部分3について以下のとおり判断した。

ア本件対象文書は、特定学校法人の理事会の議事録であり、特定学校法人と特

定市が基本協定書を締結することについての審議の情報が記録されていること

が認められる。

イ当該審議情報は、特定学校法人の意思決定の形成過程や経営戦略など他の学

校法人等には知られたくない内部情報等であるため、本件対象文書を公にした

場合、このような特定学校法人の内部情報等が明らかとなり、当該法人の権利、

競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとする諮問庁の説明は首

肯できる。

また、審査請求人は、法5条2号ただし書に該当する旨主張するが、本件対

象文書には、諮問庁が上記(1)ウで説明するとおり、近隣住民の生命及び健

康に直結する内容が記載されているとは認められないので、人の生命、健康、

55

1010

1515

2020

2525

第6文書5の理事会議事録(原処分3)

21/30 22/30

Page 12: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

のとし、地域住民に対してこれを積極的に開放し、地域の発展と活性化に貢献

するものとする。」ともある。

したがって、今治市の住民の生命や健康、財産が保護されず、新河岸あれる

可能性があるところには、「関連産業の誘致を促進」しても、関連産業が定着す

るはずもなく、また「若年人口の地元定着を図る」ことなどはあり得ない。こ

のように、理事会議事録の不開示を内容とする原処分3は、同基本協定書の第

1条の目的とは相いれないものであるばかりか、同6条の精神にも倖るもので

ある。

(2)法5条2号イについて

ア不開示理由からは文書5の開示により、本件獣医学部の如何なる「権利、競

争上の地位その他正当な利益」を害するおそれがあるのか全く不明である。

イ仮に、理事会議事録が開示されることにより、特定学校法人の意思決定の形

成過程や経営戦略など他の学校法人等には知られたくない内部情報が公になり、

本件獣医学部の当該施設を用いた学問研究における競争上の地位が害されるお

それがあるとの主張だとすれば、理事会議事録の開示自体で、本件獣医学部独

自の事業経営におけるノウハウ等が明らかになるとは考えられない。

2017年11月14日は、文科大臣によって本件獣医学部の開学認可がな

されており、この期に及んで、いかなる法人の競争上の地位が害されることが

あるのか、想定し難い。

ウまた、情報公開法5条2号イの「害するおそれ」には、上述のとおり、具体

的な害悪発生の客観的な明白性が必要であるところ、「害するおそれ」があるか

どうかの判断にあたっては、「法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の

内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の

自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人又は事業を営む個人と行政と

の関係等を十分考感して適切に判断する必要がある」(総務省「詳解情報公開

法」・57頁)。

生活又は財産を保護するため本件対象文書を公にする必要性があるとは認めら

れない。

したがって、本件対象文書は、法5条2号イに該当し、同条6号について判

断するまでもなく、不開示とすることが妥当である。

3原告の主張

(1)文書5の位憧づけ

平成29年2月13日付の今治市及び学校法人加計学園を当事者とする「岡

山理科大学キャンパスに関する基本協定書」の第13条には、「この基本協定

中、甲(今治市のこと)の議会又は乙(学校法人加計学園のこと)の理事会の

議決等を要する事項については、それぞれの議決等がなされたときに効力が生

じるものとする」と規定し、同基本協定書に記載された事項について、理事会

の議決書及び議事録の内容及び存在が効力の発生要件となっているものであ

る。そして、その「議会または理事会の議決を要する事項」には、同基本協定

書の第4条、第5条に記載された土地の無償譲渡及び補助金が含まれることが

明らかになっている。土地及び補助金であわせて123億7500万円ともい

われる公費が投入された事案において、その効力の発生、すなわち文部科学省

における開学までのプロセスが正当かつ合法になされたかを主権者である国

民が確認する上で必要不可欠かつ重要な文書なのである。

さらに同基本協定書の第1条は、「この基本手協定書は、甲(今治市)と乙(家

計学園)が相互に協力し、本市に国際水準の教育カリキュラムを備えた獣医学

部を核とする今治キャンパスの開設及び運営を円滑に行うとともに、今治キャ

ンパスの魅力を一層向上させることによって、全国からの新たな人の流れを生

み出し、また関連産業の誘致を促進することにより、若年人口の地元定着を図

ることによって、地域の発展と活性化による地方創生に大きく寄与することを

目的とする。」と定める。

また、同第6条は、「乙(家計学園)は、今治キャンパスを社会に開かれたも

55

1010

1515

2020

2525

24/3023/30

Page 13: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

そもそも本件獣医学部は政府により「世界に冠たる先端ライフサイエンス研

究を行う国際教育拠点」との国家戦略に基づき設立が構想され、本件獣医学部

には約100億円にも上る多額の税金が投与されるものであり、岡山理科大学

自体は私立大学ではあるものの、本件獣医学部に限っては、高い公共性を有し、

行政と同程度の説明責任が課される法人としての性格を有する。

さらに権利内容は、上述のとおり不開示理由からは明らかではないが、仮に

学問研究の自由及び学問研究における競争上の地位にあるとすれば、学問研究

の自由は、自由に支えられた学術の進展こそが、広く社会に健全な発展をもた

らすという趣旨に基づき憲法23条により保障されている権利であって、元来、

公的側面の強い性格を有するものであり、公益的観点からの情報公開との関係

では保護の必要性は必ずしも高いとはいえない。

理事会議事録の開示により、本件獣医学部の学問研究の自由や学問研究にお

ける競争上の地位が害されるとは通常考えられず、単なる確率的な可能性を指

摘しているに過ぎないのであって、害悪発生について客観的な明白性を欠き、

法的保護に値する蓋然性などは全く認められない。

エしたがって、不開示理由は「害されるおそれ」に該当しないのであるから、

情報公開法5条2号イの不開示事由には当たらない。

仮に理事会議事録の開示により本件獣医学部の権利、競争上の地位その他正

当な利益が一定程度害されるとしても、意思決定の形成過程や経営戦略など他

の学校法人等には知られたくない当該内部情報と密接に関連する部分のみ不開

示とするべきであり、全ての議事録を不開示としてはならない(情報公開法6

条1項)。

したがって、不開示理由は「害されるおそれ」に該当しないのであるから、

情報公開法5条2号イの不開示事由には当たらない。

(3)法5条2号ただし書該当性

法5条2号ただし書は「ただし、人の生命、健康、生活、又は財産を保護す

るため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」と規定している。

同ただし書は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の

利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の

権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときに

は、当該情報を開示しなければならないとするものである。現実に人の生命、

健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が

高い場合も含まれ、法人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明

確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の

発生が予想される場合もあり得る(総務省行政管理局編「詳解情報公開法」5

6頁)。

本件獣医学部には、鳥インフルエンザや口蹄疫などの病原体を取り扱うため

にWHOが定めているバイオセーフテイー基準(BSL)のうちBSL3の施

設を設置する計画になっている。なお、 BSLは、下から順番にBSL1から

BSL4まであり、一種病原体であるエボラ出血熱を取り扱うためにはBSL

4の施設が必要とされており、日本では長崎大学に建設計画がある一つの施設

を除けば国内に一つの施設しかない。

また、本件獣医学部に予定されているBSL3の施設には、鳥インフルエン

ザとか口蹄疫に該当する病原体の取扱いが予定されている。

また、このBSL3の実験室は当然ながら、ほかのスペースと隔離されてい

なければならないところ、研究生が学ぶ共用スペースの隣にあるなど構造上の

問題があるともいわれている。

このように本件獣医学部において、 BSL3の施設に暇疵等があり病原体が

たとえ微量でも外部に漏洩するような事故が発生した場合には、近隣住民らの

生命及び健康に対する重大な侵害を生じさせることが予想されるのである。

しかもそのような漏洩事故が発生する可能性は低くない。なぜならば、本件

獣医学部の建設地近くには、西方に断層が縦横に存在(今治市・地震防災マツ

5 5

1010

15 15

2020

2525

25/30 26ノ30

Page 14: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

プにはいこいの丘北側に震度6強を示す赤い帯がある)し、その丘に建つ獣医

学部棟の5階にBSL3の施設は存在する。したがって、人的原因のみならず

自然災害による事故のリスクも考えられ、それらの事故により、病原菌などが

漏れ出て風に乗った場合の飛散範囲の甚大さは想像に難くない。

以上のことから、本件獣医学部開学後のBSL3施設の稼働は様々な災害や

人災を原因とする事故に見舞われる現実的リスクを有しており、本件獣医学部

の事業活動は、近隣住民の生命及び健康に直結している。

基本協定書は、このような事業活動を行う加計学園と今治市とが「相互に協

力し、獣医学部を核とする今治キャンパスの開設及び運営を円滑に行う」こと

などを定めた契約書であり、理事会議事録はその核となる議決内容が記載され

ている重要書類である。

さらに理事会議事録は、市民の財産である土地の無償譲渡と補助金の交付に

関する契約書の一部をなす重要な書類としての側面も持つ。

一方で、本件文書を開示しないことにより保護される本件獣医学部の権利利

益は上述したとおり漠然としたものであり、その保護の必要性は極めて低い。

したがって、情報公開法5条2号ただし書の規定により、本件文書は開示さ

れなければならない。

(4)法5条6号該当性

情報公開法5条6号の「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」とは、行政機関

の長に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的

に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照

らし、公益的な開示の必要性等の種々の利益を衡量した上での「適正な遂行」

といえるものであることが求められる(総務省行政管理局編「詳解情報公開法」

78頁)。また、「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求

され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋

然性が要求される。

本件獣医学部は政府により「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究を行う

国際教育拠点」との国家戦略に基づき設立が構想され、本件獣医学部には約1

00億円にも上る多額の税金が投与されるものであり、岡山理科大学自体は私

立大学ではあるものの、本件獣医学部に限っては、高い公共性を有し、行政と

同程度の説明責任が課される法人としての性格を有する。また、本件獣医学部

では、上記のとおり、鳥インフルエンザや口蹄疫などの病原体を取り扱うため

にWHOが定めているバイオセーフテイー基準(BSL)のうちBSL3の施

設を設置する計画になっている。将来、BSL3の施設に暇疵等があり病原体

がたとえ微量でも外部に漏洩するような事故が発生した場合には、近隣住民ら

の生命及び健康に対する重大な侵害を生じさせることが予想されるのである。

そして上述のとおり、本件獣医学部の建設地近くには、西方に断層が縦横に存

在(今治市・地震防災マップにはいこいの丘北側に震度6強を示す赤い裕があ

る)し、その丘に建つ獣医学部棟の5階にBSL3の施設は存在する。したが

って、人的原因のみならず自然災害による事故のリスクも考えられ、それらの

事故により、病原菌などが漏れ出て風に乗った場合の飛散範囲の甚大さは想像

に難くない。

本件文書を開示して、理事会においてその安全性及び財政面について十分な

検討がなされたのかどうかを様々な外部専門家により多角的に検証することが

可能となる。そして近隣住民らの生命及び健康を保護し、また、税金が適正に

使用されているかどうかを検討することが出来るようにもなるのであって、公

益的な開示の必要性は極めて高い。

一方で、理事会議事録の開示により実質的な支障が、法的保護に値する蓋然

性をもって発生するとはいえない。原処分庁が、分科会において必要な審査を

行うために、審査の過程において、加計学園に任意で提供を依頼し、取得した

理事会の議事録であると述べているとおり、理事会議事録は審査に必要な書類

であったから加計学園が提出したものである。今後、審査に必要な文書を、そ

5 5

10 10

15 15

20 20

25 25

27/30 28/30

Page 15: 訴状kake.main.jp/wp-content/uploads/2018/10/訴状.pdfメ / 勺 〒231-0021神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル8階 横浜合同法律事務所

r

の必要性を説明しても申請者がなお提出しないのであれば、必要な文書が欠如

しており審査不能であることを理由に申請を不許可にすればよいだけであるし、

逆に審査に必要のない文書なのであれば、そもそも被告が申請者に対して提出

を求めること自体が誤りというに過ぎず、当該文書が提出されなくとも、将来

にわたり、申請者である学校法人の実情を踏まえた適正な審査が行われなくな

るなどということはない。

したがって、上記公益的な開示の必要性と衡量した場合に、情報公開法5条

6号の不開示事由に該当しないことは明らかである。

(5)少なくとも人事情報以外については部分開示されるべきである

法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を「害するおそれ」があるかど

うかの判断にあたっては、「法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内

容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上の権利(信教の自

由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人又は事業を営む個人と行政との

関係等を十分考懲して適切に判断する必要がある」(総務省行政管理局編「詳解

情報公開法」57頁)。判例においても、行政文書の開示を原則とする本法の趣

旨・目的を考慮すると、「形式的に営業上、経営上又は財務上の秘密に属する情

報に当たれば、そのすべてが非公開とされると解するには相当ではなく、当該

情報の性質、内容、公にされている情報との関連性、これらを取り巻く具体的

情勢などの要素を総合考慮した上..….その充足性を判断するのが相当であ

る」(名古屋地判平成13年12月13日判タ1083号310頁)とされている。しか

も「おそれ」の有無の判断にあたっては、単なる確率的な可能性ではなく、法

的保護に値する蓋然性が必要である。

人事情報ならまだしも、それ以外の情報については法人の権利、競争上の地

位その他正当な利益を害することがおよそ想定できないし、仮に想定されると

しても単なる確率的な可能性としての「おそれ」に過ぎず法的保護に値する蓋

然性は存在しない。

この点、理事会議事録については、2017年12月末、開示請求後、不開

示決定がなされる前に原告が文部科学省担当者(大臣官房総務課文書情報管理

室情報公開係係長の大田将志氏)と電話で話をした際に、同担当者は、原告に

対して、「理事会の議事録は保持している。量が多いので精査するのに時間がか

かっている。人事など公開できない部分もある。特定学部に関する部分だけな

ら先に出せる」と説明しており、人事情報以外の情報が理事会議事録には含ま

れていること及び人事情報以外の情報については法人の権利、競争上の地位そ

の他正当な利益を害するおそれがないことを同担当者も自認しているのである。

5 5

第7結鎗

以上のとおり、原処分2及び原処分3は、いずれも法の定める不開示事由に該当

しないことから理由がなく取り消されるべきであり、原告は請求の趣旨記載の判決

を求めて本訴を提起した。

10 10

証拠方法

証拠説明書記載のとおり

15 15

附属書類

1 訴状副本

2 甲号証写し

3証拠説明書

4訴訟委任状

通通通通

1221

各20 20

以上

25

29ノ30 30/30