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【2019年8月】               No.113

3

≪INDEX≫

*文部科学省

・地域の活動で子供たちや保護者に関わるみなさまへ

手引き「児童虐待への対応のポイント~見守り・気づき・つなぐために~」について(8月30日)P.3

*厚生労働省

・子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)、平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数及び「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果(8月1日)P.3

<添付資料>

· 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)のポイント(別添1)

· 平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)(別添2)

· 「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果(別添3)

・令和2年度の「児童福祉週間」にふさわしい標語を募集します募集期間:令和元年9月1日(日) ~ 10月20日(日)(8月23日)P.3

*いじめ

・いじめ調査設問、まるで誘導 「さぼりだと聞いたか」(朝日新聞・8月8日)P.3

・全生徒の5分の1「いじめ見た」 中3転落死で第三者委(日経新聞・8月9日)P.5

・いじめ被害者の実名挙げアンケ 文科省の指針反し無断で実施 吹田の小学校(毎日新聞・8月9日)P.5

・いじめ把握へ新手法 目撃者も調査・被害の頻度重視(日経新聞・8月11日)P.6

・不登校調査は学校介さず…来年度数百人聞き取り(読売新聞・8月20日)P.7

・日本語できぬ親への対応は? 就労拡大…教育現場、追い付かず(西日本新聞・8月20日)P.8

・【#しんどい君へ】揺れる「いじめ防止法」…放置した教職員を懲戒すべきなのか(読売新聞オンライン/Yahooニュース・8月20日)P.9

・「いじめ見聞き」、生徒の半数が調査応じる意向(読売新聞・8月21日)P.11

*子ども虐待

・児童虐待、過去最多の15万9000件、28年連続で増加(産経新聞デジタル・8月1日)P.11

・児童虐待相談、過去最多を更新 最多は心理的虐待 厚労省(毎日新聞・8月1日)P.12

・児童虐待、最多を更新 48時間ルール、8%で守られず(朝日新聞・8月1日)P.13

・虐待死、0歳児が半数超=「予期せぬ妊娠」も背景-厚労省専門委(時事通信・8月1日)P.13

・DV避難所支援に3億円 児童虐待根絶へ概算要求で(産経新聞デジタル・8月7日)P.13

・検証委、父に強制力ある指導必要(共同通信・8月6日)P.14

・DV相談、兵庫で過去最多 虐待通報から発覚急増(神戸新聞・8月7日)P.14

・宿直非常勤のみ…虐待被害の子らの一時保護所、課題多く(京都新聞・8月12日)P.15

・元当事者だからわかる…虐待前に「児相に行けない親」と子を救うもの(現代ビジネス・8月22日)P.16

・法律で体罰禁止「しつけの逃げ道ふさいだ」 児童虐待の研究者印刷用画面を開く(京都新聞・8月24日)P.23

・児童虐待「介入大国」から予防へ 米国の転換に何を学ぶ(朝日新聞・8月25日)P.27

・児童虐待の検挙人員・被害児童数が過去最多…警察庁(リセマム・8月30日)P.28

*体罰

・新生保育園の体罰問題 園長らが謝罪 保護者からは支持する声も 下関(毎日新聞・8月9日)P.27

・体罰なくても強くなれる 部活動での暴力根絶するには(神戸新聞・8月25日)P.28

*障がい

・障害者作業所開設から50年 発祥の愛知でシンポジウム(日経新聞・8月18日)P.29

・国の障害者雇用2.31% 6月、4割の機関で基準未達(日経新聞・8月28日)P.30

*子どもの貧困

・日本が「子どもの貧困」の実態を詳しく調査したがらないワケ(ダイアモンドオンライン・8月2日)P.30

・<“子ども食堂”の時代―親と子のSOS―>親の貧困が乳幼児の健康を“直撃”する現実(毎日新聞・8月10日)P.35

・子供の貧困対策に 勉強も教える「寺子屋食堂」(産経新聞デジタル・8月10日)P.37

*性暴力

・家庭内の性被害潜伏 「誰かに言えば迷惑を掛ける」(西日本新聞・8月6日)P.38

・性犯罪者の再犯防止プログラム改定へ 法務省が有識者会議(毎日新聞・8月29日)P.39

*その他

・社説:学力テスト 現場改善に生かせるか(京都新聞・8月6日)P.40

・(社説)10代の自殺 学校のつらさ、検証を(朝日新聞・8月7日)P.41

・こども園の園児が急増、幼稚園児の6割に 文科省が調査(朝日新聞・8月8日)P.42

・授乳の選択肢広がる 厚労省がガイド改定、液体ミルクも(日経新聞・8月11日)P.42

・赤ちゃん「泣いてもいいよ」ステッカー広がる 親のマナーに苦言も(産経新聞デジタル・8月11日)P.44

・子どもの吃音に理解を 学校現場の対応指南本が出版(日経新聞・8月16日)P.46

・都教委、公立中高に部活指針 「学業とのバランス」柱(産経新聞/Yahooニュース・8月15日)P.46

・「言えないことは身体が語る」 夏休み明け前後に増える自殺の要注意サイン(BuzzFeedJAPAN・8月19日)P.47

・引きこもり支援が辿り着いた「恥を感じさせない社会」という当然の指針(平もんどオンライン・8月22日)P.52

・埼玉県、子どもの権利侵害の相談件数は3,188件(リセマム・8月21日)P.55

・登下校の道中もICタグで見守り 奈良市が全校導入を検討(毎日新聞・8月26日)P.56

・アンガーマネジメントが虐待防止に役立つ理由(Web論座・8月27日)P.57

・増える10代の自殺。「指導死」はなぜ起こる?(現代ビジネス・8月27日)P.60

・公立学校の半数、避難所での利用計画策定せず(読売新聞・8月28日)P.66

・児童見守り4000人態勢 文科省、自治体補助拡充へ(日経新聞・8月29日)P.67

・不登校の子の実態調査へ 理由や環境把握、交通費支援も(朝日新聞・8月28日)P.67

*文部科学省

・地域の活動で子供たちや保護者に関わるみなさまへ

手引き「児童虐待への対応のポイント~見守り・気づき・つなぐために~」について(8月30日)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/__icsFiles/afieldfile/2019/08/30/1420751_001_1.pdf

*厚生労働省

・子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)、平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数及び「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果(8月1日)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190801_00001.html

<添付資料>

· 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)のポイント(別添1)

https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000533885.pdf

· 平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)(別添2)

https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000533886.pdf

· 「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果(別添3)

https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000533887.pdf

・令和2年度の「児童福祉週間」にふさわしい標語を募集します募集期間:令和元年9月1日(日) ~ 10月20日(日)(8月23日)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175261_00007.html

*いじめ

・いじめ調査設問、まるで誘導 「さぼりだと聞いたか」(朝日新聞・8月8日)

 大阪府吹田市の小学校が昨年、当時小学6年生の男児に対するいじめを巡り、男児の実名を挙げて「長く休んでいるのは受験勉強のため、と誰かから聞いたか」などと問うアンケートをクラス全員に実施していたことがわかった。男児や保護者には無断だった。小学校と市教委は「配慮に欠けた」として保護者に謝罪した。

 関係者によると、男児は昨年5月以降、同級生から仲間外れにされ、10月から学校を欠席した。欠席が長期に及んだことから市教委は11月、いじめを「重大事態」と判断。保護者は、市教委に第三者委員会による調査を要請した。

 しかし、市教委は学校主体の調査にとどめ、学校が七つの設問からなるアンケートを作成。男児の名を挙げ、「長く休んでいる理由を『受験勉強のために休んでいる』と誰かから聞いたか」「長く休んでいることを『さぼりだ』と聞いたか」などと尋ねた。市教委も内容を事前に確認していたという。アンケート当時は男児は中学受験するかどうかは決めていなかった。

 文部科学省のガイドラインは、いじめで年間30日の欠席を重大事態と規定。調査する場合、学校はアンケートの様式、聞き取り方法、手順を児童と保護者にあらかじめ説明し、調査結果を提供することを求めている。しかし、市教委は保護者に事前に説明せず、現在も調査結果を開示していない。

 保護者によると、男児はアンケートの後も精神的苦痛から登校できず、音楽会やマラソン大会、卒業式を欠席したという。

 今年6月、学校と市教委の対応を調べる第三者委の設置が決まった。市教委は「第三者委に調査を委ねる」として取材に答えていない。

 ログイン前の続き市教委の指導を担当する府教育庁はアンケートについて「中学受験の設問はプライバシー情報の漏出にあたり、『さぼりだ』と中傷する文言も使っている。学校と市教委が被害児童に『二次被害』を加えるものだ」と批判。国のガイドラインに違反しているとして、近く市教委から詳しい経緯を聞くことを決めた。

 吹田市をめぐっては6月、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された女児のいじめを1年半放置していた問題が発覚。第三者委が市教委と学校の対応が不適切と非難している。(室矢英樹)

一般社団法人「ここから未来」理事で教育評論家の武田さち子さんの話

 アンケートは被害にあった児童に寄り添い、いじめを解消することが本来の目的。今回のアンケートは、逆に「中学受験で学校をさぼっている」ことがあたかも真実であるように同級生に誘導するもので、児童にまったく寄り添えていない対応だ。市教委はプライバシーに配慮したうえで、誤った対応を公表すべきだ。公表なしに再発防止はない。隠そうとすればするほど、被害はより深刻化することを理解すべきだ。

大阪府吹田市の小学校が作成したアンケート(抜粋)

 ・~くんが受験をするというような話を聞いたことがあるか

 ・長く休んでいる理由を「受験勉強のために休んでいるのだ」と誰かから聞いたか

 ・長く休んでいる理由を「○○ではないか」という話をしたり、聞いたりしたことがあるか

 ・長く休んでいることを「さぼりだ」といった言葉を聞いたか

相談窓口

24時間こどもSOSダイヤル

0120-0-78310 なやみ言おう

こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)

http://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

https://digital.asahi.com/articles/ASM855SXMM85PPTB00K.html?_requesturl=articles%2FASM855SXMM85PPTB00K.html&rm=677

・全生徒の5分の1「いじめ見た」 中3転落死で第三者委(日経新聞・8月9日)

岐阜市立中3年の男子生徒(14)がマンションから転落死し、自宅からいじめを受けたことを示唆するメモが見つかった問題で、いじめの実態などを調べる第三者委員会が8日、3回目の会合を開き、第三者委が全校生徒に実施したアンケートで全生徒の5分の1に当たる約100人の生徒が「いじめを見た」と回答していたと報告された。

委員会は非公開で開かれた。日本自殺予防学会理事の橋本治委員長は終了後、いじめを見たと回答した生徒約100人に対し、保護者の同意を得て、今月下旬から9月にかけて聞き取り調査をすると明らかにした。

アンケートでは、いじめを見たという生徒とは別に、うわさを聞いたという生徒が約150人いたとし、「いじめといっても程度はいろいろあると思う。直接聞き取って、詳細な状況を知りたい」と説明した。

第三者委のアンケートは7月中旬に実施。当初3年生全員と男子生徒が所属する部活の部員を対象としていたが、全校生徒約500人に広げた。第三者委は年内にも報告書をとりまとめる予定。

男子生徒は7月3日、市内のマンション駐車場で転落死した。5月下旬には、同級生が男子生徒へのいじめを訴えるメモを担任に渡したが、学校の管理職まで情報が共有されていなかったことがこれまでに判明している。男子生徒は担任の聞き取りに「いじめはない」と答えていたが、死亡した後、学校側に「つばや口に含んだ飲み物を吹きかけられていた」「金銭を要求されていた」など、いじめを見聞きしたという証言が複数寄せられていた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48398320Z00C19A8000000/

・いじめ被害者の実名挙げアンケ 文科省の指針反し無断で実施 吹田の小学校(毎日新聞・8月9日)

 大阪府吹田市立小学校で昨年度に起きた男児へのいじめを巡り、学校が文科省のガイドラインに反し男児や保護者に無断でアンケートを実施していたことが8日、分かった。男児の実名を挙げてクラス全員に配られており、同小と市教委は「配慮を欠いた」と保護者に謝罪した。

 市教委は「調査を巡り学校側に不適切な対応があった。市教委も指導が十分でなかった」とするが、いじめの内容やアンケートの実施方法については「第三者委員会に調査を委ねる」として取材への回答を拒否している。

 市教委の指導を担当する府教委によると、同小では昨年5月以降、当時小学6年の男児が同級生から仲間外れにされるいじめを受け、10月から学校を欠席。欠席が長期に渡ったため、11月に市教委がいじめを「重大事態」と判断。保護者は市教委に第三者委の調査を要請したという。

 しかし、市教委は学校主体の調査にとどめ、学校が保護者から事前に得ていた情報などをもとにアンケートを作成。男児の実名を挙げ「長期欠席は『受験勉強のため』とか『さぼり』だと、誰かから聞いたか」などと尋ねた。男児は学校への不信感を高めるなどし、その後も欠席が続いた。市教委が第三者委の設置を決めたのは、男児が同小を卒業した後の今年6月だった。

 府教委はアンケートについて「個人情報を記した上で被害者側に無断で実施したのは不適切。男児が学校に通えない状況を助長させた」とし、近く市教委から経緯を聞くという。

https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/010000c

・いじめ把握へ新手法 目撃者も調査・被害の頻度重視(日経新聞・8月11日)

「ふざけあい」とらえやすく

子どもの発達科学研究所(大阪市)などの研究グループは、いじめの実態を把握する新たな調査方法を開発した。被害者に加え、目撃者も調査対象とした点が特徴で「不均衡な力関係」などをいじめの定義に盛り込んだ。文部科学省のいじめの定義に比べ、国際的な定義に近く、海外の調査結果との比較や新たな対策の導入などに役立つという。

教育委員会や研究者らが利用できるよう、調査手法は8月中にも研究所のホームページで公開する。

開発したのは同研究所の大須賀優子主任研究員らと浜松医科大子どものこころの発達研究センターの共同研究グループ。研究成果は6月に日本精神神経学会の英文誌に掲載された。

調査は「言葉のいじめ」「仲間外し」「嫌なことの強制」など9類型のいじめについて、被害と目撃の有無や頻度を問う。いじめの種類にかかわらず、いじめた経験があるかも尋ねる。回答は児童生徒本人が無記名で行う。

日本の従来のいじめ調査の多くは、文科省が定義した「児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」を基準としていた。欧米では被害者の主観に加え、互いの関係性や加害側の意図、被害の頻度を重視するのが主流だ。新たな調査手法はこうした要素を調査項目に加えたことで、従来の調査では見えづらかった「集団でのからかい」「ふざけあい」なども捕捉できるという。

研究グループが開発した調査方法を使い、小学4年~中学3年の2234人にアンケートを行ったところ、36%の児童生徒が3カ月以内に何らかのいじめを受けていた。9類型の中では「言葉のいじめ」(19.5%)が最も多く、「うそ・うその噂」(12.7%)、「身体的いじめ」(12.0%)が続いた。

大須賀氏によると、ノルウェーでは同様の調査で2003年に32%のいじめ被害があったが、15年には13%に減った。大須賀氏は「ノルウェーはいじめ対策の先進国で対策が効果を上げたのかもしれない。日本でも参考にして取り入れていく余地がある」と指摘。「この調査方法を使うことで対策の効果が検証でき、多くの人が納得して対策を実践できる」と話している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48482460R10C19A8CR8000/

・不登校調査は学校介さず…来年度数百人聞き取り(読売新聞・8月20日)

 不登校の原因や背景を詳細に把握するため、文部科学省は来年度、欠席が続く小中学生から学校などを介さずに、聞き取り調査を行う方針を固めた。不登校の児童生徒が5年連続で増加し、過去最多の14万人を超えている中、いじめや家庭状況などの背景を多面的に探ることで今後の対策につなげる。

いじめとの関連検証

 学校などを通さずに、文科省が児童生徒から実態を聞くのは初めて。民間の調査機関に委託して実施する。対象は数百人で、関連費用を概算要求に盛り込む。

 背景にあるのは、いじめの認知件数が過去最多となっているのに対し、学校側が挙げる不登校の理由では、「いじめ」の割合が極めて低い状況にあることだ。

 文科省では毎年、「問題行動・不登校調査」を行っており、不登校の要因は、「学業不振」「進路に係る不安」「いじめ」などの調査票に示された区分から、学校側が選択し、教育委員会経由で文科省に報告している。ただし、要因を児童生徒から聞き取っているケースは少ないという。

 2017年度の同調査(複数回答)では「家庭状況」が36・5%と最多で、「友人関係」(26・0%)、「学業不振」(19・9%)が続き、「いじめ」はわずか0・5%で、723人だった。

 これに対して、いじめの認知件数は同年度、小中学校で約39万8000件と過去最多を記録。「不登校の要因として挙げている数字と実態に大きな乖離かいりがある可能性がある」(文科省幹部)として、学校や教委を介さずに、児童生徒から聞き取ることを決めた。具体的な質問方法や項目は今後詰めていくが、学校や部活動での状況、教員や親との関係などについて選択式で尋ねることを検討している。

 文科省では「不登校になった原因の本質を浮かび上がらせ、いじめの実態についても検証したい。いじめに伴う自殺という最悪の事態となることも防ぎたい」としている。

 ◆不登校=文部科学省は年間30日以上の欠席と定義するが、病気などの理由は除いている。同省の「問題行動・不登校調査」によると、2017年度は小中学校で14万4031人で、統計開始の1998年度以降で最多。中学生では31人に1人が不登校。

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/stop01/feature/20190820-OYT1T50078/

・日本語できぬ親への対応は? 就労拡大…教育現場、追い付かず(西日本新聞・8月20日)

 「子どもの同級生の親は日本語ができない。学校が配布するプリントは読めず、配慮が足りないのでは」。福岡県久留米市の女性(53)から、特命取材班にそんな声が寄せられた。改正入管難民法が4月に施行され、外国人の就労拡大が見込まれる。家族を呼び寄せたり、日本で子どもをもうけたりするケースは今後さらに増える見通しだが、教育現場の環境整備は進んでいるのか。

 女性には小学3年の子どもがおり、昨秋、クラスにフィリピンから男児が転校してきた。今春、クラスのPTA役員決めの際、男児の母親が何も話せず困っているのに気付いた。「大事なことはきちんと伝えないと」と思い、母親と無料通信アプリLINE(ライン)の連絡先を交換した。

 5月の金曜日。母親からLINEを通じて「子どもが明日学校があると言っている。本当か」と英語で聞かれた。土曜日は授業参観の予定で、プリントで案内されていたが母親は内容を理解していなかった。以後、女性は学校から配られるお知らせをスマートフォンの翻訳アプリで英訳し、LINEで母親に知らせるようになった。

 女性は「先生たちは忙しく、これ以上負担を増やすのは難しい」と理解を示しつつ、「振り仮名を付けるだけでは配慮になっていない。理解できていないという現状を学校現場は理解してほしい」と願う。

      ■

 文部科学省によると、日本語の指導が必要な児童生徒数は2016年5月の調査で4万3947人。前回14年調査から約6800人増えた。うち福岡県は小学生415人、中学生142人、高校生ゼロだった。

 女性が住む久留米市の教育委員会に聞くと、8月14日現在、28小中学校に149人が在籍。10校に日本語指導担当教員13人を、地域で外国語を話せる人にサポートしてもらう非常勤の外国人児童等授業介助員も28校に配置している。

 一方、日本語を話せない保護者への対応は追い付いていない。ようやく本年度から日本語指導担当教員がいる学校に翻訳機を導入し、家庭訪問の際に担任が持参している。

      ■

 法務省によると、18年末時点の在留外国人数は過去最多の約273万1千人。日本語指導が必要な外国人の数はかなりの規模に上るとみられる。

 吸収力の高い成長期の子どもに比べ、大人の方が語学習得に苦労しがち。保護者も含め、日本語を話せない人をどう受け入れ、意思疎通をしていくかが教育現場の課題になりつつある。

 今年6月、外国人への日本語教育の推進を国や自治体などの責務と位置付ける日本語教育推進法が成立した。国は今後、基本方針を取りまとめるが、本格的な検討はこれからという。

 福岡県内の教育委員会関係者は言う。「都市部に比べ、地方ほど予算がなく、態勢が整わずに困惑している。外国人受け入れを国策として打ち出す以上、国が重点的に予算や人材を確保することが必要だ」

 教育現場だけでなく、地域社会にとっても無視できない問題だ。近年、外国人の定住者が増えたという長野市の50代女性会社員は「子どもたちは仲良くしていても、周りの大人が外国人と距離を置く。外国人の保護者と会話をしただけで、白い目で見られた」と特命取材班に憤りの声を寄せ、こう訴えた。「これからもっと外国人は増える。閉鎖的な“ムラ意識”は改めないといけないのでは」

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/536299/

・【#しんどい君へ】揺れる「いじめ防止法」…放置した教職員を懲戒すべきなのか(読売新聞オンライン/Yahooニュース・8月20日)

 滋賀県大津市で2011年、中学2年の男子生徒が自殺し、その際の学校と教育委員会の対応が不適切だったことをきっかけに、13年に「いじめ防止対策推進法」が成立した。その後も、いじめによる自殺や学校のずさんな対応は絶えないため、現在、超党派の国会議員の勉強会(座長=馳浩・元文部科学相)が改正を目指しているが、いじめを放置、助長した教職員を懲戒処分とする規定などをめぐり、取りまとめは難航している。

 「いじめ自殺は後を絶たず、学校ではいじめの放置や隠蔽(いんぺい)が繰り返されている。法律に具体的対応策を定め、実効性を高める必要がある」

 21年前、神奈川県立高校の1年生だった一人娘が同級生からいじめを受け、自殺した小森新一郎さん、美登里さん夫妻は、取材に対してそう話した。

 小森さん夫妻は娘を失った後、いじめ防止に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」を設立し、活動してきた。

 昨年12月には改正案の素案が公表され、いじめを許さない環境を作る計画の策定や教職員への懲戒など具体的な規定が盛り込まれた。2人は今年3月に議員の勉強会に呼ばれた際には、こうした内容を維持するよう要望した。

 だが、全国の校長会など教育関係団体からは反対の声があがった。特に、公立校教員の懲戒規定は地方公務員法にあるため、「新たに定める必要はない」という声が強かった。

 文部科学省も17年3月には、学校などの具体的な対応策を示した「いじめ防止基本方針」を改定。その中で、「けんかやふざけ合いでもいじめの有無を確認する」ことを追加し、学校現場では、積極的にいじめを確認するようになっている。

 教育関係団体からの反対を受け、今年4月に示された改正案の「座長試案」では、教職員の懲戒規定など新しい内容の多くが削除された。

 日本の教員は極めて多忙で、経済協力開発機構(OECD)が6月に公表した調査結果では、日本の小中学校教員の勤務時間が加盟国・地域などの中で最も長いことが明らかになっている。

実際、教育現場からも、「教員の負担が増す」という声のほか、「懲戒規定は教職員のモチベーションの低下を招くので反対だ」「懲戒規定を設けると、いじめを隠す方向に傾いてしまうおそれがある」「現場の萎縮(いしゅく)を招く」との反対意見が出ていた。

 一方、いじめ被害者の遺族からは、「規定があれば教職員が緊張感を持って対処してくれるはずだ」「いじめの問題を情報共有して組織として対応してくれれば、懲戒となるような問題は生じないのではないか」との指摘も出た。

 4月22日に開かれたいじめ被害者の遺族らの記者会見では、同席した教育評論家の尾木直樹さんも、「教員らに子どもの命と安全を預かっている自覚と緊張感を持ってもらうためにも明記すべきだ」と強調した。

 いじめ防止法が制定された際、参院議員の政策秘書として関わった金子春菜弁護士は、「法改正の議論の中で、教師が萎縮するとか学校の負担が増えるとかいった指摘があるが、そもそも、子どもたちの命と尊厳を守るための法律だということを忘れないでほしい」と話す。

 議員勉強会のメンバーからも、「(昨年12月公表の)素案に示した具体的な規定の多くは、すでに国の基本方針に明記されており、現場に新たな負担を求めるものではない。これに対して、4月に示された座長試案には具体策がなく、子どもの命は守れない」との反発の声があがる。

 今後、勉強会が法改正を目指すには、遺族や教育関係団体それぞれの主張の妥協点を見いだし、意見調整をすることが欠かせないと言えそうだ。

認知件数 上昇中

 文部科学省のまとめによると、国公私立の小中高校などで、いじめの認知件数は年々上昇し、2017年度は41万件を突破した。

 13年に施行されたいじめ防止対策推進法では、いじめを「心理的・物理的な影響を与える行為で、児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義。いじめを受ける子どもの視点を重視するようになった。

 しかし、その後も被害者の安全が脅かされる「重大事態」に発展したいじめは後を絶たない。

「非公表」26自治体

 悲劇を二度と繰り返さないよう、起きてしまったいじめ事例の調査は重要だ。だが、調査結果の公表について様々な考えがあることがわかってきた。

 読売新聞は昨年11、12月、政令市、県庁所在市、中核市、東京23区に公表状況を質問し、全105自治体から回答を得た。2015~17年度、重大事態の発生を認めたのは47自治体で、少なくとも143件あった。

 重大事態があった47自治体のうち、調査結果を公表したのは、3割の15自治体。いずれも教職員研修などで結果を活用していた。「非公表」は26自治体で、理由は「個人や事案が特定される」「被害者感情や児童生徒の将来を考慮」など。このうち6自治体は研修などにも活用していなかった。

この記事は読売新聞社とYahoo!ニュースの連携企画です。読売新聞社が記事を執筆しています。未成年の自殺死亡率は人口10万人あたり2・8人と統計開始以来、最悪となりました。夏休み明けを前に、未成年の自殺を減らすために何ができるのかを探ります。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190820-00010002-yomt-soci

・「いじめ見聞き」、生徒の半数が調査応じる意向(読売新聞・8月21日)

 岐阜市立中学3年の男子生徒(14)がいじめを苦に自殺したとみられる問題で、いじめを直接見聞きした在校生約100人のうち少なくとも五十数人が、市教育委員会の第三者組織「いじめ問題対策委員会」の聞き取り調査に応じる意向を示していることが、20日の委員会で報告された。夏休みが明ける今月末にも生徒への聞き取りを始め、9月中に終えるとしている。

 会合は非公開で行われ、終了後に橋本治委員長(元岐阜大教授)が報道陣に明らかにした。

 男子生徒へのいじめについては、第三者委の校内アンケートで、全校生徒の2割に当たる約100人が直接見聞きしたと回答した。第三者委はこの約100人の保護者に調査への協力依頼書を郵送。20日現在で約8割から返信があり、その8割程度が応じると回答したという。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190821-OYT1T50139/

*子ども虐待

・児童虐待、過去最多の15万9000件、28年連続で増加(産経新聞デジタル・8月1日)

 全国の児童相談所(児相)が平成30年度に対応した児童虐待の件数は15万9850件(速報値)で、前年度より2万6072件(19・5%)増え、過去最多を更新したことが1日、厚生労働省のまとめで分かった。調査を開始した2年度から28年連続で増加。29年度中に虐待で死亡した子供が65人いたとの死亡事例(心中の13人含む)の検証結果も公表された。

 来年4月には、親による子供への体罰を禁止する改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行される。厚労省の担当者は「痛ましい事件が続き、国民の児童虐待に関する意識が高まっており、警察などからの通告も増加している。児童虐待防止対策の強化を着実に実施し、子供の命を守る社会づくりを進めていきたい」としている。

 全国210カ所の児相に寄せられた通報や相談、警察からの通告のうち、児相が虐待の疑いが強いと判断し、親への指導や施設入所などの対応を取ったケースを集計した。

 内容別では「面前DV」や他のきょうだいと差別的扱いをするなど心理的虐待が8万8389件(前年度比1万6192件増)と最多で、全体の55%を占めた。次いで身体的虐待が4万256件(同7033件増)、ネグレクト(育児放棄)が2万9474件(同2653件増)。性的虐待も1731件(同194件増)あった。

 都道府県別では大阪が2万694件(同2282件増)で最多。神奈川1万7272件(同3344件増)、東京1万6967件(同3260件増)と続き、最少は鳥取の80件(同4件増)。児相に寄せられる情報は警察からの通告が7万9150件で最も多く、全体の50%を占めた。虐待児童本人からは1414件で全体の1%だった。

https://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/190801/evt19080115250012-n1.html

・児童虐待相談、過去最多を更新 最多は心理的虐待 厚労省(毎日新聞・8月1日)

 厚生労働省は1日、2018年度に全国の児童相談所(児相)が対応した児童虐待の相談件数(速報値)が前年度比19.5%増の15万9850件で過去最多を更新したと公表した。心理的虐待で警察からの通告数が増えたことが要因とみられる。同省は「過去最多になったことは重く受け止め、6月の児童福祉法改正に伴う対策強化を着実に進めたい」としている。17年度に虐待死が判明した子どもの数は、前年度比12人減の65人(無理心中の13人含む)だった。

 虐待の内容別では、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」を含む心理的虐待が8万8389件(55.3%)と最も多く、17年度より1万6192件増えた。身体的虐待は4万256件(25.2%)、ネグレクト(育児放棄)は2万9474件(18.4%)、性的虐待は1731件(1.1%)だった。

 児相への通告元は警察などが7万9150件(前年度比19.8%増)で半数を占めた。警察からの通告が増えた背景には、面前DVを把握しやすい警察と児相との連携強化が進んだことがあると考えられる。

虐待相談・通告の内訳

 都道府県別では、大阪が2万694件(前年度比12.4%増)で最多。神奈川1万7272件(同24%増)、東京1万6967件(同23.8%増)が続いた。

 無理心中を除いた虐待死は52人で、過半数の28人が0歳児。身体的虐待で22人、ネグレクトで20人が亡くなっていた。

 東京都目黒区で昨年3月に船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待死した事件を受け、厚労省が昨年7月に徹底を打ち出した「虐待通告から48時間以内に安全を確認する」とのルールの点検結果も公表した。運用が始まった昨年7月からの11カ月で、全国の児相への虐待通告があったのは15万3571人で、確認まで48時間を超えたのは7.8%の1万1984人だった。このうち緊急性が高いと判断したケースが415人あったが、その後立ち入り調査などで安全を確認した。

https://mainichi.jp/articles/20190801/k00/00m/040/066000c

・児童虐待、最多を更新 48時間ルール、8%で守られず(朝日新聞・8月1日)

虐待の連鎖を防ぐ

 厚生労働省は1日、全国の児童相談所(児相)が2018年度に対応した児童虐待件数は、過去最多の15万9850件(速報値)だったと発表した。前年度から2万6072件増え、調査を始めた1990年度から28年連続で増えた。厚労省の担当者は「児相と関係機関との連携強化のほか、痛ましい事件が続き、国民の虐待への意識が高まったことが影響した」と分析している。

小さないのちを守る 「虐待の連鎖」を防ぐ取り組みを探る

 内容別では、「心理的虐待」が8万8389件(55・3%)で最も多く、「身体的虐待」が4万256件(25・2%)、「ネグレクト」(育児放棄)が2万9474件(18・4%)、「性的虐待」が1731件(1・1%)。心理的虐待には、子どもの前で配偶者に暴力をふるう面前DVが含まれる。情報や相談が寄せられた経路は、全体の約50%が「警察等」からで、「近隣知人」が約13%で続いた。

 また、17年度に虐待で亡くなった子どもは65人(前年度比12人減)で、うち13人が心中だったことも発表した。児相は虐待通告を受けてから原則48時間以内に安全確認を行うルールがあるが、昨年7月20日~今年6月7日に確認対象となった子ども延べ15万3571人のうち、約8%でルールが守られていなかった。

https://www.asahi.com/articles/ASM8133GMM81UTFK005.html?iref=comtop_list_edu_n02

・虐待死、0歳児が半数超=「予期せぬ妊娠」も背景-厚労省専門委(時事通信・8月1日)

 厚生労働省の専門委員会がまとめた2017年度の児童虐待死亡事例に関する検証結果が1日公表され、心中を除く52人のうち、53.8%に当たる28人が0歳児だったことが分かった。個別事例の検証では、16人(30.8%)について「予期しない妊娠」の存在が確認されており、これが問題の背景にあるとみられる。

 03年以降の調査結果の集計では、虐待死の加害者は実母が最も多く、死者779人中429人と全体の55.1%を占めていた。

 問題を抱える親子を支援する行政側にとって、出産前の妊婦健診の機会は支援開始のきっかけをつくる貴重な機会だが、17年度の死者のうち、妊婦健診を未受診だったのは16人と全体の30.8%に上った。予期せぬ妊娠により、社会的な孤立を深めるケースが多いことも要因の一つとみられる。

 このため専門委は、妊娠の届け出がされておらず、母子健康手帳が未発行であることなどをリスクとして留意するよう指摘。妊娠期から切れ目ない支援を行う体制の整備を国に提言した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019080100968&g=soc

・DV避難所支援に3億円 児童虐待根絶へ概算要求で(産経新聞デジタル・8月7日)

 内閣府が令和2年度概算要求でドメスティックバイオレンス(DV)の被害者が一時避難する民間シェルターへの支援として、新たに3億1500万円を盛り込む方向で調整に入ったことが6日、分かった。相次ぐ児童虐待事件の背景には配偶者への深刻なDVがあったため、児童虐待の根絶にはDVを減らすことが不可欠と判断した。

 児童虐待とDVをめぐっては、今年1月に千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が両親から虐待を受けて死亡した事件で、逮捕された母親自身も夫からDVを受けていたとされる。

 シェルターはDV被害の女性の避難先としての役割を担う一方、自治体間の格差もあり、全国的には公的支援が行き届いていないとされる。内閣府が2月に全国95施設から回答を得た調査では、8割以上が運営資金の不足などの問題を抱えていることも判明した。

 具体的には「DV被害者等セーフティーネット強化支援パイロット事業(仮称)」として、母子一体でシェルターに受け入れるための改修費用や退所後の交流会の運営など、シェルターの入所から退所後のケアまで切れ目のないよう支援する。母親と子供の同時支援とSNS(会員制交流サイト)を活用した相談体制の拡充も急ぐ。

 このほか、性犯罪・性暴力被害者支援交付金に令和元年度当初比9200万円増の3億200万円、女性に対する暴力被害者対策に同比2500万円増の4500万円をそれぞれ要求する。

https://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/190807/plt19080701000001-n1.html

・検証委、父に強制力ある指導必要(共同通信・8月6日)

千葉の小4女児虐待死

 千葉県野田市立小4年の栗原心愛さん=当時(10)=が1月に死亡した虐待事件を巡る県検証委員会の第5回会合が6日、千葉市で開かれた。委員からは、県柏児童相談所が心愛さんの一時保護を解除した際の対応について、父勇一郎被告(41)=傷害致死罪などで起訴=に対し、一定の強制力がある指導をするべきだったとの意見が出た。

 会合は非公開。県によると、児童福祉法に基づく「児童福祉司指導」をするべきだったと指摘があった。指導内容を文書で通知し、家庭訪問や面談を実施するほか「解除条件が守られない場合に再び保護する」などの取り決めもできるという。

https://this.kiji.is/531413638318146657

・DV相談、兵庫で過去最多 虐待通報から発覚急増(神戸新聞・8月7日)

 兵庫県内で2018年度に寄せられたドメスティックバイオレンス(DV)に関する相談件数が1万9143件と過去最多になったことが、県のまとめで分かった。県こども家庭センター(児童相談所)を通した相談が前年度から4割近く増えており、児童虐待の通報から配偶者への暴力が発覚するケースが急増しているという。

 児相のほか県警と各市町に寄せられた相談件数を集計した。総数は前年度から333件(1・8%)増だった。

 このうち児相を通した相談は1644件(前年度1184件)で、5年前に比べて約17倍に急増した。背景には、子どもの目の前で配偶者に暴力を振るう「面前DV」が児童虐待に当たるとの認識が広まっていることがある。通報を受けて駆けつけた警察官がDV被害を確認し児相に通告。その後、被害者から児相への相談につながるケースが多いという。

 県はDV被害の防止や被害者支援に向けて4月、「DV防止・被害者保護計画」を改訂した。23年度までの5カ年計画で、被害者が別の市町に転居した場合、自治体間の連携を強化する。メールや会員制交流サイト(SNS)による相談を検討するほか、一時保護後の被害者の状況などについて調査を進める。県児童課は「支援対象となるDV被害者のニーズは多様化してきている。相談に対応する職員らのスキルを高めるとともに、支援体制を強化していきたい」としている。

 相談は県女性家庭センターTEL078・732・7700(午前9時~午後9時)。土日祝日も受け付けている。(前川茂之)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190807-00000002-kobenext-l28

・宿直非常勤のみ…虐待被害の子らの一時保護所、課題多く(京都新聞・8月12日)

 虐待などの被害を受けた子どもの緊急保護先となる一時保護所だが、その実態はあまり知られていない。現場を知る複数の関係者によると、心に傷を負った子どもを受け入れる施設としては課題も多いといい、「子どもファーストの視点での環境改善が必要」と指摘する。

 一時保護所の出入り口は施錠され、外部と遮断されている。子どもを取り返そうとする人もいるからだ。子どもたちは学校に行けないことが多く、日中は「学習サポーター」たちから教わりながら学習プリントなどをこなす。体育祭や修学旅行といった主要行事に参加できなかったり、進路について学校から適切な指導が受けられず、子どもが不利益を被ったりすることもあるという。

 一時保護所内の規則は自治体によってさまざまだが、現場を知る男性は「監視的な規則が多いところもある。子どもによっては『自分は悪くないのに、なぜ息苦しい思いをしないといけないのか』と不信感を抱くこともある」と打ち明ける。一時保護所が併設されている宇治児童相談所は築32年がたつなど、全国的に老朽化した施設も多い。

 京都府が運営する一時保護所は正職員が少なく、夜間の宿直や土日曜は非常勤の職員だけで子どもの世話に当たる環境が続いている。民間のサイトにも求人を出しており、必要な免許や資格、経験は「不問」となっている。「保育士・社会福祉士などの資格があれば望ましい」とのただし書きはあるが、適性をどう判断しているかにも疑問符が付く。

 現場を知る男性によると、入所する子どもたちは、親元に戻るのか、施設に入るのか、自らの先行きに不安を感じているケースが多い。就寝時に「寝つくまでそばにいといて」などと求めてくることもあるというが、「個々の子どもに細やかに寄り添える態勢ではない」と指摘する。

 現場に詳しい別の関係者は「子どもの処遇に関わる大事な所見を非常勤職員が書くところもある。虐待で傷つき、配慮を要する子どもには継続的に対応できる経験豊富な正職員が必要」と訴える。

 ◆職員配置、明確な規定なく

 一時保護所に詳しい和田一郎・花園大教授の話 一時保護所の職員配置は児童養護施設の基準を参考にすることになっているが、義務付けられた明確な規定はない。そのため夜間の勤務手当が必要な正職員を置かない自治体が出てくるのが実態だ。専門知識のある正職員の下で働くのならまだしも、非常勤職員だけの時間ができるのは好ましくない。子どもが不安になりがちな夜こそ正職員を配置する自治体もあり、首長の方針一つで態勢は強化できる。京都府、京都市とも一時保護所の定員自体がニーズに対して不足しているのも大きな課題だ。

https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190811000101

・元当事者だからわかる…虐待前に「児相に行けない親」と子を救うもの(現代ビジネス・8月22日)

虐待報道が「我が身」と重なった

富井 真紀(一般社団法人日本プレミアム能力開発協会代表理事)

8月9日には、児童相談所に子供が保護されている親ら親族と児相との間でもめ、警察官の拳銃を奪ったと報じられた事件がありました。厚生労働省の調査によると、児童相談所での相談対応件数は、平成29年度が210か所の児童相談所で13万3778件。毎年増加の一途をたどっています。しかし、児童相談所にうまく相談ができないという親の実態も見えます。

それはなぜなのか。どうしたらそのような親子を救うことができるのか。

宮崎で支援活動をしている富井真紀さんは、自身もネグレクトの被害者でした。そして自身もシングルマザーとなり、養女をめぐって児童相談所に子供が保護された経験も持ちます。その彼女がどのように自分の足で進み、そして支援活動ができるようになったのか――中卒で父親からお金を巻き上げられる生活から、現在に至るまで赤裸々に綴ったのが『その子の「普通」は普通じゃないー貧困の連鎖を断ち切るために』(ポプラ社)です。

子どもの7人に1人が貧困という現在、本来ならば児童相談所と親との距離は近くある方がいいはずです。それでも児童相談所に対して反発してしまう心理はどのようなものなのか、富井さんは児相に行く前に助けられる施設をどんな視点からどのように作ったのか。本書より抜粋掲載します。

親はいるけれどいないのと同じ

宮崎市内のとある住宅街に借りた一軒家は、3DKのお風呂付き。

ここに2018年4月、私が代表理事を務める一般社団法人日本プレミアム能力開発協

会(JPCCA)は、読書・勉強Café「Very Slow」をオープンさせました。

週に4日通って来るのは、近隣の小学校に籍を置く何人かの子どもたち。

平日は学校帰りに、土日はお昼から、ちょっと寄って宿題をしたり本を読んだり、ボランティアのおばちゃん手作りのお菓子や軽食をとってゆっくりしてもらい、夕方5時には家に帰します。

Caféとは名のっていますが、利用できるのは特別な子どもたちです。親はたいていシングルマザーで、ダブルワーク、トリプルワークで家計を支えています。

それでなくても宮崎は賃金が低いので、シングルマザーの場合、早朝から深夜まで仕事を掛け持ちしているケースが多く、家事や育児に手が回らないのが実情です。シラミがわいたり、1日の食事は給食だけなんていう子も、中にはいます。

福祉の専門家に聞くと、親の面倒見が薄い子は給食の食べ方からして違うんだそうです。自分で食べられるはずなのに、先生が口に入れてくれるのを、口を開けて待っている。甘えるそぶりを見せるのだとか。

児童相談所の方が家庭訪問すると、室内はゴミ屋敷同然で、夏でも窓を締め切り、エアコンもつけずに子どもが留守番をしていることがあるとか。

「米が食べられない子はいないんです」2018年6月に二階俊博幹事長は言っていたが、本当にそうなのだろうか 

食事の用意をせずに親が仕事に出てしまうので、空腹のため、学校に行く気力も体力も失っている子がいるとか。

親の生活に振り回され、勉強どころではないのか、平仮名すら読めない、書けない子もいるそうです。

親はいるけれどいないのと同じ。

そういう家庭は概してひとり親家庭で、生活が困窮しています。親の多くが低学歴で、そのため収入のよい職に就くことができません。低賃金の仕事をいくつも掛け持ちしていて、家事や育児に時間を割けません。

結果、ネグレクトに近い光景が、ここ宮崎にも広がっています。

私自身がそうだった

ただ、お断りしておきたいのは、そういう親御さんを非難するためにこの原稿を書いたわけではない、ということです。

私自身がつい最近まで低学歴、はっきり言えば「中卒」でした。

そのためろくな仕事に就けず、最低な10代、20代を過ごしてきました。

では、私の親はどうだったかといえば、低学歴ではなかったもののネグレクトもいいところで、母は私が0歳の時に家を出て顔も知りませんでしたし、父親に至っては家にお金を入れないばかりか借金を繰り返し、娘に進学をあきらめさせる始末。その上、私が夜の街で働くようになるとその稼ぎをかすめ取り、19歳で出産した時の出産助成金まで使い込むような人でした。シングルマザーとなり、その後私自身が児童相談所にお世話になることにもなりました。

つまり、私自身が生活困窮世帯育ちであり、親になってからも日銭を稼ぐことに追われて、家事や育児に十分な時間を割けなかったひとりです。それが私の「普通」でした。

子どもたちの「居場所」を作りたい

私の法人に市内の方から、「服は薄汚れ、お風呂に入っていないのか、臭う小学生がいる。痩せこけているし、食べさせてもらっていないのかもしれない。どうにかしてあげられないか」というメールをいただいたことがありました。ただ、「その子のふだんの様子を見ると、ゲームをしている」と。

「ゲーム機を持っているくらいだから、生活に困っているわけではないのかと思うと、児童相談所に通報するべきか、わからないんです」

実はその一報の前に同じような案件について、スクールソーシャルワーカーの方から相談を受けていました。「児童養護施設に一時保護する手前で、この親子を支援することはできないか」というものでした。

たとえば、週に1回でも、子どもをお風呂に入れてあげることはできないか。食事の支援をするだけでも親の負担が軽減され、養育態度に改善が見られるかもしれない。でも、そういうことができる施設が見当たらないんです……。そういう話から相談に見えたのでした。

私がこういう施設が欲しかった

私は小学校の算数でつまずくほど勉強ができなかったけれど、本だけは好きで、学校の図書室にはもちろん、近所に市立図書館ができてからは頻繁に通い、校区外にあって出かけることが禁止されていた県立図書館にも足を延ばしては、読みふけっていました。

そういう経験から、家や学校にいるのがつらい子どもたちの逃げ込み先として、図書館ほどいい場所はないと、ずっと思っていたのです。

自宅にスペース的に居場所がない子、精神的に居場所がない子、色々いる。図書館はそういう子どもたちにとって休息所になりうると富井さんは思った 

「週に数日開いている、居場所がない子どもたちのための図書館」。そういう位置づけにしよう。本棚を作って、子どもの本を並べよう。家庭で不要になった児童書や学習漫画を寄付してもらってもいい。

そこにちょっとした飲みものや食べものがあれば、空腹も満たされるでしょう。お風呂が付いていれば、相談にあったようなケースにも対応できます。

そうやって立ち上げた読書・勉強Café「Very Slow」は、スクールソーシャルワーカーやスクールサポーター(学校と地域、警察をつなぐ警察署管轄の専門職)の方々と連携しながら、次のようなシステムで運営することにしました。

対象は、生活困窮世帯の小学生〜中学生です。

ひとりで来てひとりで帰ってもらうため、小学生以上でないと難しいという観点から、このような年齢制限を設けました。15歳以上の子どもには、青少年一時避難ルーム「ひなた〜HINATA〜」という施設を作ったので、そちらで対応します。

親のプライドを傷つけないですむ

「図書館」と言いながら実際には食事をさせたり、時にはお風呂を使わせたり、シラミ駆除もするわけですが、それを前面に押し出さないのは、親御さんのプライドを傷つけない配慮からです。あからさまに「食事させているんですか?」「お風呂に入れていませんよね?」「洗濯もしていないでしょう?」と責めれば、そこで扉が閉ざされてしまう。そうすると子どもを囲い込み、家から出さなくなるんです。

児童虐待には大きく分けて4種類、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト(育児放棄・放任)があると言われており、親の多くが閉鎖的で、自分が否定されると感じた瞬間から第三者の介入を拒むようになります。私たちに子どもを接触させない。すると、子どもからのSOSも受け止められなくなる。それが一番怖いんです。

そこで、「親の養育態度を疑っているわけではなく、学習サポートのための施設ですよ」といった説明をするわけです。

関係者からはこんな声を聞きました。

行政の方たちによると、学校や家庭で子どもと面談しても、まわりの大人の顔色を気にして、なかなか本当の気持ちを明かさないのだそうです。そのため、「学校や家とは違う子どもたちがリラックスできる場所で本音を聞き出せれば」とも思っているのだと。

その点、読書・勉強Café「Very Slow」なら、和室があるので畳の上でゴロゴロしながら雑談してもらってもいいし、おやつを食べながらその日の出来事を話してもらってもいい。親も先生もいないから、思っていることを口にできるのです。

生活困窮者から支援者に

生活困窮世帯育ちで低学歴。どちらかというと支援が必要な側だった私が、よもや支援する側に回るとは。人生何が起こるかわからないものです。

現在、展開している主な支援事業は6つ。

読書・勉強Café「Very Slow」

プレミアム親子食堂

宮崎こども商店

青少年一時避難ルーム「ひなた〜HINATA〜」

高卒認定取得学習支援「ワンズ・オウン・セルフ」

貸衣装支援「リトルセレブ」

これらに加え、日本財団 子どもサポートプロジェクトにも、宮崎第1号拠点運営団体

として参加しています。

支援事業を始めたきっかけは、私には3人の子どもがおり(養女もいますが成人しています)、この子たちの将来を考えた時に、かつての私が味わった経済的困難のために進学をあきらめるような悲しい思いはさせたくない、それには少しでも収入を得たい、あわよくば儲けたいと思ったからでした。

ですから、人様に自慢できるような大義があって始めたわけではないんです。

また、支援活動はひとりよがりではできません。自分が属している団体では手が回らない地域や支援内容が、必ず出てきます。だからこそネットワークが大切で、活動を継続する中で出てくる悩みなどの相談に快くのってくださるみやざきママパパhappyの二見さんやNPO法人みやざき子ども文化センターの片野坂さんには、現在もお世話になっています。私も皆さんから要請があれば期待に添えるよう、頑張らなければと思うのです。

そして、こんなふうに偉そうに支援活動について語っている私ですが、お気づきのように事業を始めてまだ数年です。そんな初心者の私に強みがあるとしたら、自分自身が生活困窮者だったことかもしれません。

虐待報道が我が身に重なった

2010年7月、大阪市のマンションで死後1カ月経過した2児の遺体が発見されるという報道がありました。子どもは3歳と1歳で、死因は餓死。風俗店で働く母親のネグレクトが原因ということでした。当時、我が家は長女が8歳、次女が3歳になっていましたが、虐待に至った母親の姿がかつての自分に重なりました。

この母親はシングルマザーで、逮捕された時、子どもたちを自宅に何日も放置しておきながら、自分は交際相手と外泊していたといいます。私も、長女が生まれる前のこととはいえ、現実逃避していた時期があるので、「この人、男に逃げたんだ。わかる、その気持ち」と思ってしまった。

当然ですが、世間は「親のくせに」と大バッシングでした。でも、私は、「一歩ズレていたら自分もそうなっていたかも」と思うと、他人事ではなかった。

そこから事件の詳細を、母親の生い立ちから裁判記録に至るまで、ネットや『ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件』(杉山春著・ちくま新書)などの書籍で徹底的に調べるようになりました。ある意味、虐待報道オタクになったんです。「私も取材したい!」と思うくらい、のめり込んでいました。

支援者を育てる目的と営利目的を合わせて

虐待報道にのめり込むと、虐待する親たちはなぜそのような思考回路に陥るのか、どんな環境が影響を与えるのか、知りたくなりました。事件の裁判記録を読んだり、書籍やネット検索で虐待をしてしまった親の背景を探ってみると、親自身が過去に虐待を受けていたりすることもわかりました。どこか私自身が経験してきた苦い思い出と重なり、調べれば調べるほど、「児童虐待についての基本的な知識を日本中の人たちに伝え、虐待を少しでも減らしたい」という気持ちが強くなっていったんです。

子育て支援や児童虐待防止に関する資料を取り寄せ、勉強してみたりもしました。私自身が子ども時代に親に苦しめられ、親になると養女を苦しめたという経験から、自分の勉強を兼ねて始めた部分が多々あります。

その時思ったのが、いわゆる「お堅い本」ではなく、今まさに子育てに困っていて、虐待をしそうになっている保護者の気持ちや行動をリアルに伝え、理解の一助になるテキストを作れないか、ということでした。そこから、虐待してしまう前に周囲として何ができるか、多くの人に考えてもらいたい。これを通信講座にしようと思ったわけです。

「育児に悩む親」を「虐待する親」にしないために

児童虐待防止支援アドバイザー通信講座では、虐待の基礎知識や現状についてはもちろん、保護者の心理状況や気持ちへの理解・アドバイスをテキストに著しました。

「育児に悩む親」を「虐待する親」にしてしまっているのは、周辺にいる私たちかもしれません。しかも、虐待の芽は母親の妊娠中に芽吹いていることがあります。そして、当事者はそういう自分に苦しんでもいます。

私たち一人ひとりが「聞き役」になることで虐待を防止できるのではないか。そんな思いから開設した講座です。

子どもの貧困専門支援員養成通信講座では、「心の貧困」問題に焦点をあてました。

昨今の報道では、経済的余裕があり、恵まれた家庭に見えながらも、「どうしてあの子が?」「なぜあの親が?」と思うような事件を耳にすることがあります。そこには経済的な貧困とは別の、「心の貧困」が多く存在しているように思います。

たとえば、周囲に育児放棄していることがバレないように、子どもにブランドものの服を着せたり、仲良く買いものに行く姿を見せつけたりする親がいます。金銭的な余裕はあるのに、適切な養育をしていない。結果、子どもの心に深い傷を残します。

そこで、児童虐待防止支援アドバイザーが「親の聞き役」を目指すとしたら、子どもの貧困専門支援員は「子どもの聞き役」を増やす、つまり、「子どもがSOSを出せる、信頼できる大人」を増やしたいという思いから、講座開設に至りました。

子どもの立場で考えてみると、私自身が幼い頃より、「心の貧困」を感じていたのは事実です。日々、祖母が注いでくれる愛情を実感してはいましたが、やはり何か埋めることのできない穴が胸の内にあることを、小学生の頃には気づいていました。

同級生たちが雑談で、お母さんに何々を相談したとか、お母さんに何々を作ってもらったなど話すたび、さりげなく話の輪から抜けたものです。その寂しさは、祖母を傷つけたくないがために口にせずにいると、次第につらさや悔しさに変わりました。

ですから、保育園や学校の先生、学童保育指導員のような、日常的に子どもと接する機会が多い方はもとより、同じ子どもを持つお母さん方にも、ぜひ「子どもの聞き役」になっていただきたい、子どものSOSを察知した時に、より現実的に、一方的に親を責めたりプライドを傷つけたりせずに、支援機関につなげていただきたい、そう思うのです。

母親は生まれた時に出て行った。働かない父親の代わりに必死の祖母に育てられた日々。父親からは高校進学も許されず、部活すら邪魔されて、自暴自棄になった時代。そしてシングルマザーになり……。現在宮崎にて児童虐待を防ぎ、貧困の連鎖を断ち切るために活動を続ける著者が、自らの壮絶な反省を綴り、自身の体験から「欲しい支援」をどう生み出したか伝えるリアルな提言。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66663

・法律で体罰禁止「しつけの逃げ道ふさいだ」 児童虐待の研究者印刷用画面を開く(京都新聞・8月24日)

 虐待による子どもの悲惨な死が相次ぐ状況を受け、親から子への体罰禁止と、児童相談所(児相)の体制強化を盛り込んだ改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が先月、国会で成立した。法改正の意義と虐待をなくすための課題について、厚生労働省の専門委員会で児童虐待の死亡事例を検証している花園大の橋本和明教授(臨床心理学)に聞いた。

 親による体罰禁止が法律に明文化されたことは評価できる。殴ったなどと客観的な事実があっても、親が「しつけの一環」と主張して虐待を否定することが多かった。法改正で「手を挙げること自体がだめ」とされ、「しつけ」とする逃げ道をふさいだ。一時保護をはじめとする児童相談所の介入がこれまでよりしやすくなるだろう。

 罰則規定がないことから実効性を不安視する見方があるかもしれないが、暴行罪など刑法の運用で対応は可能だ。国は(親権者に必要な範囲で子どもを戒めることを認めている)民法の懲戒権を見直す検討も始めた。今回の法改正と合わせ、社会全体の認識を変える点でも意義がある。

■悲惨な死を教訓に

 児童虐待で子どもが亡くなった事件の教訓が改正法に反映された。児相の体制強化として、医師と保健師の配置を義務化、常に弁護士の助言と指導を受けて業務を進めることになった。

 昨年3月に東京都目黒区で船戸結愛ちゃん=当時(5)=が亡くなった事件は、外部の医師があざから虐待が疑われると伝えたが、児相の職員が重大性を認識できなかった。虐待について正しく判断できる医療の専門職は常時必要だ。弁護士については、例えば一時保護後に親元へ帰さず施設入所措置を進めるケースで、家庭裁判所への法的手続きを行うための助言などが期待されている。

 学校や教育委員会の守秘義務も明記。今年1月に千葉県野田市で栗原心愛さん=当時(10)=が亡くなった事件で、女児が学校のいじめアンケートで「父からの暴力」を訴えたにもかかわらず、教育委員会が親に写しを渡し、虐待がエスカレートした。教員は医師と同様に早期発見と通告の義務が定められていたが、守秘義務という当たり前のことを明文化したのは、教員としての責任の自覚を促すメッセージとも言える。

■虐待の危険性高い家族「国が介入情報の一括管理を」

 ただ、人材確保に不安が残る。児相は、都道府県や政令指定都市、一部の中核市が運営しているが、規模の差が大きい。今回の改正で、一時保護などの「介入」の担当と、保護者への「支援」の担当が分かれることになった。一時保護を担当した児童福祉司が親とも関わることで、親は「勝手に連れ去った」と敵対心を持ち、改善プログラムを進めにくかったからだ。しかし、人員確保が難しいところもあるだろう。

 児童虐待問題を解決するには、自治体に任せっきりでなく、国が積極的に関与する新しい仕組みが必要だ。国は、児童福祉司2千人増を目標に掲げるが、新人や経験の浅い人ばかりでは十分に機能しない。職員の資質向上のための研修などについて、国が主体的に関わってほしい。

 検討すべき課題は、まだ残されている。

 虐待の危険性の高い家族について、国が介入情報を一括管理し、家族の転居先の児相に伝えて対応を指示する仕組みを提案したい。目黒区、野田市の事件ともに家族が都道府県をまたいで転居し、転居先の児相が転居前の情報を深刻に受け止められず、状況把握に時間がかかった。刑法犯罪で国が情報管理している例はある。

 ネグレクト(育児放棄)でほったらかしにされて亡くなる虐待は、改正法の施行後も介入は難しい。「愛情をかけなさい」と言っても、もともと子への愛情が親にないのだから心に響かない。

 一例だが、厚生労働省は「乳児揺さぶり症候群」防止に向けて、同省ホームページに動画「赤ちゃんが泣きやまない」を掲載している。親がさまざまに試しても子どもが泣きやまなければ、安全なところに置き、その場を離れるよう助言している。泣くだけならば親がいらいらして揺さぶってしまうよりはいい、という次善の策だ。

 虐待防止のためには、児童福祉司をはじめ保健師や行政の教室など、社会全体がさまざまな立場や機会で親に関わる必要があるが、その際は愛情だけに焦点を当てるのではなく、子育ての幅広いあり方を認めるという意識が広がっていくことも必要だ。

https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190824000115

・児童虐待「介入大国」から予防へ 米国の転換に何を学ぶ(朝日新聞・8月25日)

 米国の児童虐待対策は、どのようにして「予防重視」に行き着いたのか。日本が参考にできることは。40年以上にわたって虐待対策の評価・研究や政策立案に関わってきた、シカゴ大のデボラ・デーロ教授に聞いた。

児童虐待、米国はどう防ぐ 親子を「包み込む」支援とは

 虐待対策には、魔法のような一つの特効薬など存在しません。それなのに、虐待死が報じられるたびに世間は胸を痛め、「リスクがあるなら子どもを保護しないと」と、親子を分離する「介入」に解決策を見いだしがちです。

 日本より約30年早く児童虐待防止法が成立した米国も、同様の空気が社会を支配し、「介入大国」の道を突き進んできました。でも米国は今、予防と早期の家族支援こそ重要で効果的、という教訓を得ています。

 具体的には、米国では1980年代までに、通報・調査・保護の態勢が整いました。でも、親元に帰れない子の中には、里親家庭を何十カ所も転々とする子もいることが問題になった。分離後も子どもの人生は続くという、当たり前で重い事実に気づいたのです。

 ログイン前の続きそこで90年代になると、予防や、親子の再統合のための「親支援」の重要性が見直され始めました。なかでも、特に低所得・初産の家庭を看護師が妊娠期~2歳に定期訪問するNFPというプログラムは、虐待が半減するなどの効果が実証された。私も開発に参加した、5歳まで通うHFAという家庭訪問プログラムと合わせて全米で支持され、爆発的に広がりました。

 妊娠期は、女性にとって大きな変化の時です。助けを必要としやすく、信頼感の中でケアを提供できれば、人生を変える機会になり得る。育児だけでなくパートナーとの関わり方、メンタル、雇用や金銭管理など、幅広い問題に関われます。パートナーとも接触しやすく、支援も円滑に進めやすい。

 こうした問題が悪化してから親子を分離したり、家族を丸ごと支援したりするのは、コストもかさむ上に効果が得にくく、当事者の親子も支援者もしんどい。予防を重視した、多様な支援が大切です。

 ただ米国でも、2010年にオバマ政権が予防の柱である家庭訪問に連邦予算をつけるまでの道のりは、長いものでした。子どもの命を救うことに異論を唱える人はいなくても、「ダメ親」に税金を使うのはおかしい、という意見が根強くあるからです。多くの人にとって、虐待する親は別世界の人間で、虐待するような親は子どもを持たない方がいいと思っている。この壁を乗り越えるためには、社会を説得するための効果の検証が不可欠です。

 そして虐待の原因は必ずしも親だけではなく、環境にある場合もあります。単純に親を再教育すればよいというものではなく、頼れる人やサービスなど家庭支援の多様な「資源」を地域に作ることも大切です。

 残念ながら、どんなに支援しても育てられない親もおり、介入も必要。その場合は、的確にリスク判断をして分離した後、子どものために永続的な家族を見つけてあげる態勢を整えることも不可欠です。

 経済の成長期に虐待という問題を「発見」した米国と異なり、日本は低成長の時代に入ってから虐待対策を手厚くしなければならない難しい状況です。予防や介入、家族の再統合。どこにどれだけ予算をつけるのか、効果的な手法は何か。よく考えて進むべき局面だと思います。その意味で米国の曲折は、日本にとって参考になるでしょう。

家庭訪問にアプリ…日本でも予防目指す動き

 日本でも、米国の取り組みなどにならい、より効果的な虐待予防を目指す動きが広がっている。

 「泣きやんでくれないのは気になる?」。東京都足立区の一軒家の居間で、生後6カ月の女児を抱く母親(41)に、保健師歴10年の森川千代子さん(48)が問いかけた。赤ちゃんが泣きやまないと悩んだ親が、子どもを強く揺さぶり、重い障害や死に至らせてしまうこともある。森川さんは、同区が東京医科歯科大と連携して開発・導入したタブレット型端末のアプリを母親に操作してもらい、泣きやまない時の対処法を動画も交えて伝えた。

 乳児のいる世帯への家庭訪問は、かつて国内では自治体レベルの取り組みだったが、虐待の早期発見のため、09年度施行の児童福祉法で生後4カ月までに全戸を対象に行われることになった。ただ、足立区では対象世帯5182(18年度)に対し、訪問の主力を担う保健師は約70人。限られた時間で、親たちの状態や悩みと向き合わざるを得なくなっている。

 そこで昨年度から試験的に導入したのが、このアプリだ。親に質問に順に答えてもらうだけで心身の状態がわかり、虐待リスクを把握する助けになる。育児方法やDVの相談先など、様々な動画や情報も見ることができ、より細やかな支援が可能になっている。

 森川さんは、子どものころ虐待された人が大人になった時に精神障害が現れ、生活保護を受けながら見守り対象になる例も見てきた。「負の連鎖を断ち切るには、予防的な早期支援が重要。支援を届きやすくするためなら、経験で培った直感の上に、こういうツールも必要」と話す。

 アプリを監修した東京医科歯科大の藤原武男教授(公衆衛生)は「介入も大事だが、もっと国は予防に注力すべきだ。家庭訪問の充実に加え、人も増やす必要がある」と訴える。(山内深紗子)

https://digital.asahi.com/articles/ASM8476Y5M84UTFL004.html?rm=420

・児童虐待の検挙人員・被害児童数が過去最多…警察庁(リセマム・8月30日)

 警察庁は2019年8月29日、「平成30年(2018年)中における少年の補導および保護の概況」を公表した。2018年における児童虐待事件の被害児童は1,394人。2018年の児童虐待事件における検挙件数、検挙人員、被害児童数は、いずれも過去最多となっている。

 警察庁は2019年8月29日、「平成30年(2018年)中における少年の補導および保護の概況」を公表した。2018年における児童虐待事件の被害児童は1,394人。2018年の児童虐待事件における検挙件数、検挙人員、被害児童数は、いずれも過去最多となっている。

 2018年中の刑法犯少年の検挙人員は2万3,489人。2004年以降15年連続で減少しており、2009年の3分の1以下にまで減少している。触法少年(刑法)は6,969人で、9年連続で減少。2011年まで増加傾向にあった特別法犯少年は、2018年中は4,354人と7年続けて減少している。また、触法少年(特別法)も633人と6年連続の減少となった。

 特別法犯少年のうち、覚せい剤取締法で検挙されたのは2017年より5人多い96人。大麻取締法で検挙されたのは429人で、2017年より132人多く5年連続で増加している。

 校内暴力事件は668件で、検挙・補導されたのは724人。事件数、検挙・補導人員、被害者数は2014年以降5年続けて減少している。教師に対する校内暴力事件は260件。このうち、小学生34件、中学生217件、高校生9件と、中学生が突出して多い。

 児童虐待事件の検挙件数は2017年より242件多い1,380件で、検挙人員1,419人、被害児童は2017年より226人多い1,394人だった。児童虐待事件における2018年中の検挙件数、検挙人員、被害児童数は、いずれも過去最多。罪種別では、傷害がもっとも多い。被害児童を年齢別にみると、1歳未満、11歳~17歳の構成比が高かった。

 児童虐待による死亡事件は35件で、被害児童は36人にのぼる。被害児童の年齢は「1歳未満」15人がもっとも多く、「1歳」5人、「2歳」4人、「3歳」2人、「4歳」2人などが続いた。死亡事件のうち身体的虐待が31件、怠慢または拒否が4件。過去10年間の構成比をみると、身体的虐待の検挙件数、検挙人員、被害児童数が総数の7割以上を占めている。

 「平成30年(2018年)中における少年の補導および保護の概況」の詳細は、警察庁のWebサイトに公開されている。

https://resemom.jp/article/2019/08/30/52205.html

*体罰

・新生保育園の体罰問題 園長らが謝罪 保護者からは支持する声も 下関(毎日新聞・8月9日)

 複数の保育士による園児への体罰が判明した山口県下関市の新生保育園で7日、保護者ら向けの説明会が開かれた。古田和子園長らが一連の問題を謝罪し、市の調査経過や今後の対応を話した。

 約210人の保護者らを前に古田園長らは、市による全職員の聞き取り調査があったことや、3歳児クラスの職員2人が退職を希望し、今月5日から休職していることを説明した。虐待の専門機関による職員研修やマニュアル作りなどに取り組む考えを示した。

 その後の質疑応答では、虐待が起きた状況について具体的な説明を求める意見が挙がる一方で、園の指導を支持する声も聞かれたという。保護者の一人は説明会後、「圧倒的に、今まで通りのしつけで保育園の方には頑張ってほしいという意見が多かった」と話した。古田園長は「今日の言葉を振り返り、園ができること、やっていかないといけないことを考えていきたい」と話した。

 同園を巡っては7月、園児に登園時にはなかったあざができていたなどとして保護者が市に相談。保護者が園児のかばんに入れたICレコーダーには、保育士同士が「たたいたことある」などと話す様子が録音されていた。市の臨時監査に対し、園はしつけと称してたたく行為があったことなどを認めたため、市は運営法人「新生園」に対し、実態調査と改善を文書で指導。8月30日までに報告するよう求めている。

https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/045000c

・体罰なくても強くなれる 部活動での暴力根絶するには(神戸新聞・8月25日)

 兵庫県尼崎市立尼崎高校のバレーボール部と硬式野球部で体罰が表面化するなど、学校部活動の指導者による暴力が後を絶たない。生徒に手を上げ、厳しい言葉を浴びせて支配する手法を根絶するにはどうすればいいのだろう。多くの中学、高校で3年生が引退し、下級生による新チームの活動がスタートする中、「生徒が自分たちで強くなる部活動指導」の著書がある関西大学人間健康学部の神谷拓教授に話を聞いた。(小川康介)

 -市立尼崎高校の体罰をどう捉えていますか。

 「28歳や25歳の若い臨時講師が体罰を加えた点に特徴があります。大阪市立桜宮高校バスケットボール部の事件が起きたのが7年前で、あのとき亡くなった生徒とほ�