ALAサイエンスフォーラム - Seminar...

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1 Seminar Report 第4回マスコミセミナー 「最新臨床試験報告 機能性素材ALAの 代謝亢進作用が、糖尿病リスクを軽減する」 ALA(5-アミノレブリン酸)は、36億年前の原始の地球に生命と共に誕生した物質であること から“生命の根源物質”とも呼ばれる天然アミノ酸です。血液中のヘモグロビンや葉緑素の 基となる生命体の維持に必須の物質です。近年、バイオテクノロジーによる微生物発酵法が 開発されたことで、量産が可能となり、ALAが秘める応用技術に多方面から注目が寄せられ るようになりました。 「ALAサイエンスフォーラム」は、植物の活性化を通じて農業・緑化などへの貢献を目指す環 境・植物領域、生体機能を維持する作用を通じて高齢化社会や美容・健康への貢献を目指 すヘルスケア領域において、幅広い研究者、有識者の方々に参画いただき、「①ALAを 使った研究の促進」「②地域や研究機関、各種団体との共同事例の開発」「③これら研究や 取り組みに関する情報発信および共有」などを行っていくことを目的に発足致しました。 2016年2月25日(木)ベルサール八重洲にて開催致しました、第4回セミナー「最新臨床試験 報告 機能性素材ALAの代謝亢進作用が、糖尿病リスクを軽減する」では、東京大学医科 学研究所教授の山下直秀先生、東京工業大学准教授の小倉俊一郎先生、ヘルスサポート 研究会カナン代表の新出真理先生をお招きし、ALAが糖尿病リスクを軽減する、どのような 可能性があるのか、最新の研究データをまじえてお話しいただきました。 本セミナーレポートは当日の講演をまとめたものです。

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Seminar Report

第4回マスコミセミナー

「最新臨床試験報告 機能性素材ALAの

代謝亢進作用が、糖尿病リスクを軽減する」

ALA(5-アミノレブリン酸)は、36億年前の原始の地球に生命と共に誕生した物質であること

から“生命の根源物質”とも呼ばれる天然アミノ酸です。血液中のヘモグロビンや葉緑素の

基となる生命体の維持に必須の物質です。近年、バイオテクノロジーによる微生物発酵法が

開発されたことで、量産が可能となり、ALAが秘める応用技術に多方面から注目が寄せられ

るようになりました。

「ALAサイエンスフォーラム」は、植物の活性化を通じて農業・緑化などへの貢献を目指す環

境・植物領域、生体機能を維持する作用を通じて高齢化社会や美容・健康への貢献を目指

すヘルスケア領域において、幅広い研究者、有識者の方々に参画いただき、「①ALAを

使った研究の促進」「②地域や研究機関、各種団体との共同事例の開発」「③これら研究や

取り組みに関する情報発信および共有」などを行っていくことを目的に発足致しました。

2016年2月25日(木)ベルサール八重洲にて開催致しました、第4回セミナー「最新臨床試験

報告 機能性素材ALAの代謝亢進作用が、糖尿病リスクを軽減する」では、東京大学医科

学研究所教授の山下直秀先生、東京工業大学准教授の小倉俊一郎先生、ヘルスサポート

研究会カナン代表の新出真理先生をお招きし、ALAが糖尿病リスクを軽減する、どのような

可能性があるのか、最新の研究データをまじえてお話しいただきました。

本セミナーレポートは当日の講演をまとめたものです。

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機能性素材ALAとは?

小倉俊一郎│東京工業大学 准教授

博士(工学)。2001年9月東京工業大学大学院生命理工学研究科バイオテクノロジー専攻 博士課程

修了。2001年東京工業大学生命理工学研究科助手、2005年静岡県立静岡がんセンター研究所研究

員就任。2007年主任研究員に昇格。2009年東京工業大学フロンティア研究機構特任准教授を経て、

2013年より現職。

▼ALAは体内に存在する天然のアミノ酸で安全性が高い

ALAは私たちの体内に存在する天然のアミノ酸です。そのことからも類推できる通り、とても

安全性が高いものです。特に体内では細胞内のミトコンドリアに数多く存在し、糖や脂質の

エネルギー代謝に深く関わっています。本フォーラムのメインテーマである糖尿病は、糖の

代謝システムがうまくいかなくなって起こる疾患であるということを踏まえ、私からは、ミトコンド

リアにおける糖代謝と、ALAの働きについてお話しいたします。

▼ミトコンドリア内で糖代謝に中心的な役割を果たすALA+鉄

ALAは8分子集まるとポルフィリンという化合物になり、そこに鉄が配位することで「ヘム」にな

ります〔図1〕。体内におけるヘムの働きは多岐にわたり、生命活動に必要不可欠なことから、

ALAの持つ可能性も非常に広いものといえるでしょう。

ALAはミトコンドリアに多く存在すると述べましたが、ミトコンドリアは細胞小器官と呼ばれ、い

わば細胞内にある「エネルギー生産工場」です。私たち人間が活動する際のエネルギーは、

すべてミトコンドリアで生産されています。

このミトコンドリアには膜が2つあり、その内膜にさまざまな種類のタンパク質複合体が埋め込

まれることで酸素から水とATP(エネルギー)が生成されます。エネルギーが豊富な状態とは、

すなわちATPが豊富な状態ということになりますが、ALAが8分子集まってできるヘムが、図

で示す複合体Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの中で中心的な役割を果たすことでATPが産生されます〔図2〕。し

たがって、ALAの働きによってエネルギーができるといっても過言ではありません。

まとめると、ALAは代謝を亢進することでエネルギーと水を作り出すという、体内でも非常に

重要な働きをしているということになります〔図3〕。

▼ALAは日常的に不足しがちな成分

ALAは様々な食品中にも含まれる化合物です。私たちの体内では、1日におよそ700mgの

ALAが消費されていると類推されていますが、食品に含まれるALAの単位はµg(マイクログラ

ム)1と微量なため食品からの効果的な摂取は難しいでしょう。

さらに留意しなければならないのは、体内のALA量は、17歳ごろをピークに、加齢とともに減

少していく点です〔図4〕。加齢によって代謝が悪くなるといいますが、ALAの減少もその要因

のひとつといえます。

▼ALA不足による糖代謝の悪循環

それではここで、ALAの不足による影響を考えてみます。加齢によって体内のALAが減少し

てくると糖代謝が停滞(血糖値が上昇)します。糖代謝が停滞すると(糖をうまく燃焼できない

ため)エネルギー代謝が低下します。エネルギー代謝が低下するということは、つまりは体の

元気がなくなるということですから、加齢・疾病の進行が加速することになります。このように、

ALAの不足が糖代謝の悪循環を招くリスクがあるといえます〔次ページ図5〕。

1 µg(マイクログラム):1ugは 1000万分の 1g(10-6g)

▲図 1 ALA+鉄でヘムになる

O2 H2

O

コハク酸 フマル酸

糖脂肪

ミトコンドリア外膜

ミトコンドリアがエネルギーを作り出す工程

H+ H+

H+ H+H+ 2H+

H+

ADP

NADH

CoQ10

H+

ATP

NAD+

4H+

ミトコンドリア内膜

複合体I

複合体II

ヘム

e-

e-

4H+

H+

複合体III

ヘム

ヘム

ヘム

複合体IV

ヘム

ヘム

3H+

ALAから合成される物質 (ヘム)ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

複合体V

ALAが代謝を亢進し、エネルギーと水を生成する

ALA のはたらき(体内)

ALAが代謝作用の歯車を回し、代謝を亢進する

糖や脂肪の燃焼

カラダの保水糖

酵素

ALA

ALA とは?

ヒトの体内では17歳をピークに減少

年齢(才)

ALA体内量(

g)

(SBIファーマ調べ)

0 20 40 60 80 100

Copyright(C) NEC Corporation 2005 NEC.

17才

ALA体内量の加齢変化

0

4

6

8

10

12

▲図 2 ミトコンドリアがエネルギーを作り出す工程

▲図 3 ALA のはたらき

▲図 4 ALA 体内量の加齢変化

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▼ALAの摂取により糖代謝を正常化し、好循環サイクルへ

糖代謝の悪循環を好循環に転ずる方法のひとつとして挙げられるのが、外部からのALAの

摂取です。体内のALAを外から補うことによって、糖代謝の停滞が改善され、さらにエネル

ギー代謝の低下にもアプローチできるのではないかと考えています。

実際にヘムの原料となるALA、および鉄の投与によりATP産生が増強されるという結果が得

られています〔図6〕。つまり、ALAと鉄を摂取することで、糖代謝が改善し、エネルギーがうま

く使えるようになり、さらに加齢・疾病の改善につながる好循環が期待できるということです

〔図7〕。

今後、さらなる研究により、ALA摂取による作用は、血糖値の正常化だけでなく、各種合併

症の改善までつなげられるのではないかと期待しています。

▲図 5 ALA の不足による糖代謝の悪循環

▲図 6 ALA+鉄による ATP産生

▲図 7 ALA 投与による糖代謝の好循環サイクル

糖尿病の悪循環

エネルギー代謝の低下

加齢・疾病の進行

血糖値の上昇(糖代謝の停滞)

体内のALAが不足する

ALAの不足による糖代謝の悪循環

ALA+鉄によるATP産生

コスモALA調べ

ATP(

nM

/10

4cells)

2.8 10.0

0.5 0.2 1.0 2.0 0.4 0.0

14.4

149.0

64.4

36.6

0

50

100

150

200

0時間 12時間 24時間 48時間

control ALA ALA+鉄

ALA+鉄投与によってATP産生が増強される(ALAのみではATP産生は増強されない)

BioVision ATP assay kit

ATP:生体でのエネルギー物質

ALAによる好循環へ

エネルギー代謝の低下

加齢・疾病の進行

ALAの不足による糖代謝の悪循環

ALA投与

体内のALA不足改善

血糖値の正常化(糖代謝の改善)

エネルギー代謝が高まる

加齢・疾病の改善

ALA投与による糖代謝の

好循環サイクル

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再掲:資料

▲図 1 ALA+鉄でヘムになる

O2 H2

O

コハク酸 フマル酸

糖脂肪

ミトコンドリア外膜

ミトコンドリアがエネルギーを作り出す工程

H+ H+

H+ H+H+ 2H+

H+

ADP

NADH

CoQ10

H+

ATP

NAD+

4H+

ミトコンドリア内膜

複合体I

複合体II

ヘム

e-

e-

4H+

H+

複合体III

ヘム

ヘム

ヘム

複合体IV

ヘム

ヘム

3H+

ALAから合成される物質 (ヘム)ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

ヘム

複合体V

ALAが代謝を亢進し、エネルギーと水を生成する

ALA のはたらき(体内)

ALAが代謝作用の歯車を回し、代謝を亢進する

糖や脂肪の燃焼

カラダの保水糖

酵素

ALA

ALA とは?

ヒトの体内では17歳をピークに減少

年齢(才)

ALA体内量(

g)

(SBIファーマ調べ)

0 20 40 60 80 100

Copyright(C) NEC Corporation 2005 NEC.

17才

ALA体内量の加齢変化

0

4

6

8

10

12

▲図 2 ミトコンドリアがエネルギーを作り出す工程

▲図 3 ALAのはたらき

▲図 4 ALA体内量の加齢変化

▲図 5 ALAの不足による糖代謝の悪循環

▲図 6 ALA+鉄による ATP産生

糖尿病の悪循環

エネルギー代謝の低下

加齢・疾病の進行

血糖値の上昇(糖代謝の停滞)

体内のALAが不足する

ALAの不足による糖代謝の悪循環

ALA+鉄によるATP産生

コスモALA調べ

ATP(

nM

/10

4cells)

2.8 10.0

0.5 0.2 1.0 2.0 0.4 0.0

14.4

149.0

64.4

36.6

0

50

100

150

200

0時間 12時間 24時間 48時間

control ALA ALA+鉄

ALA+鉄投与によってATP産生が増強される(ALAのみではATP産生は増強されない)

BioVision ATP assay kit

ATP:生体でのエネルギー物質

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▲図 7 ALA投与による糖代謝の好循環サイクル

ALAによる好循環へ

エネルギー代謝の低下

加齢・疾病の進行

ALAの不足による糖代謝の悪循環

ALA投与

体内のALA不足改善

血糖値の正常化(糖代謝の改善)

エネルギー代謝が高まる

加齢・疾病の改善

ALA投与による糖代謝の

好循環サイクル

再掲:資料

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食生活の重要性と ALAの代謝亢進作用による血糖改善エビデンス

山下直秀│東京大学医科学研究所教授

医学博士。1977年3月東京大学医学部医学科卒業。1983年東京大学助手(医学部第4内科)、1990年

東京大学講師(保健センター)1995年東京大学助教授(医学部第4内科)、2000年より現職(医科学研

究所付属病院先端診療部教授)。2006年8月から2010年4月まで東京大学医科学研究所付属病院長。

専門は内分泌代謝学、先端医療。

▼脂肪の役割と過剰蓄積によるリスク

糖尿病の改善を考える際には、食生活は非常に重要な要素となります。本日は、ALAの代謝

亢進作用の検証実験について報告しますが、あわせて食生活の重要性についてもお話した

いと思います。

糖尿病をはじめさまざまな疾患の引き金になるとされる肥満ですが、そもそも脂肪組織は体内

において大切な役割があります。エネルギーの貯蔵をするほか、体温の維持、そして臓器や

組織を保護するクッションの役割を果たしています〔図8〕。体にとって、脂肪はある程度は必

要なものですが、過度の脂肪の蓄積は、健康を障害するリスクを伴います。なお、日本人では、

BMI25以上が肥満と定義されています。

▼遺伝子的に過食に弱く糖尿病になりやすい日本人

日本人の体質と肥満、糖尿病の関係について考察してみましょう。近年では遺伝子解析が進

み、遺伝子レベルで日本人のルーツをたどる研究が進んでいます。我々日本人は、バイカル

湖畔から縄文人が、中国・東南アジアから弥生人が渡来したのがルーツであるという説が有力

です。祖先は氷河期のシベリアから渡来するなど、食料が豊富な環境ではなく、摂取エネル

ギー量は少なかったようです。過去には何度も飢饉に見舞われ、日本人はさまざまな食の試

練を乗り越えてきました。こういった歴史的な経緯から、日本人は飢餓に強い代わりに、エネ

ルギー過多には弱い体質をそなえていると考えられます。

1人1日あたりの供給カロリーの推移を見ると〔図9〕、日本人の摂取カロリーは、1960年代には

2500kcal程度だったのが、年を追うごとに増加していきました。最近では健康意識の高まりか

ら、日本や米国、イタリアなどの先進国では、摂取カロリーは抑え気味になりつつあります。ま

た、米国と日本の摂取エネルギー量を比較すると、米国は日本に比べて1000kcal以上多く摂

取していることが分かります。日本人が米国人並のエネルギー摂取量になれば糖尿病になっ

てしまいますが、米国人は大丈夫です。この違いは、日本人と欧米人とでは糖代謝に関する

体質が異なることから生じています。

HbA1c(ヘモグロビンA1c)2が6.7~7.1%の糖尿病予備群の方を対象に調査を行ったところ、

日本人では平均BMIは約23であったのに対し、ハワイの方では平均BMI27~28でした〔図10〕。

日本人は比較的BMIは低くても、血糖値が高くなってしまうのです。これには、インスリン分泌

能が関係しています。糖はインスリンが分泌されることで代謝され、血糖値が下がります。日本

人はインスリンの分泌能が比較的低く、血糖値が下がりにくいため、糖尿病になりやすいので

す。白人は肉食文化だったため、高エネルギー量に対応するためにインスリン分泌能が高く

なったのだと考えられます〔図11〕。日本人は過食に弱い体質だったところに、現代になって

食の欧米化が進み、カロリー過多になっているため、インスリン分泌能が追いつかずに糖尿

病になる人が増えているのです。

2 HbA1c:血糖値の検査値のひとつ。採血の 2 ヶ月前から採血までの、長期的な平均血糖値がわかる。

脂肪組織の役割エネルギーの貯蔵体温の維持臓器や組織の保護

しかし!

過度の脂肪の蓄積:BMI≧25

健康に障害

1500

2000

4000

3000

2500

3500

Kcal/cap

ital/day

1人1日あたり供給カロリーの推移(資料)FAOSTAT("Food Supply", 2014.8.10),

農水省食糧需給表

1960 1970 1980 1990 2000 2010

Placebo

(n = 52)

5 mg ALA-P

plus 0.6 mg Fe

(n = 52)

5 mg ALA-P

plus 1.8 mg Fe

(n = 55)

15 mg ALA-P

plus 1.8 mg

Fe (n = 53)

年齢 59.5 ± 7.7 59.3 ± 7.7 58.7 ± 7.2 59.1 ± 8.3

男 16 (30.8%) 16 (30.8%) 19 (34.5%) 19 (35.8%)

女 36 (69.2%) 36 (69.2%) 36 (65.5%) 34 (64.2%)

HbA1c 6.7-7.1% 6.7-7.1% 6.7-7.1% 6.7-7.1%

体重 (kg) 58.6 ± 9.3 59.7 ± 11.0 58.1 ± 10.9 58.4 ± 10.3

BMI (kg/m2) 23.3 ± 2.7 23.5 ± 3.1 23.1 ± 2.7 22.9 ± 2.7

収縮期血圧(mmHg)

133.0 ± 17.6 134.1 ± 17.8 129.1 ± 14.5 131.8 ± 15.6

拡張期血圧(mmHg)

80.3 ± 9.7 81.2 ± 10.8 78.1 ± 8.2 80.1 ± 9.7

ハワイでの同様研究で、ほぼ同じHbA1cのBMIは 27-28

ALA臨床研究での日米比較

▲図 8 脂肪組織の役割

▲図 9 1人 1日あたり供給カロリーの推移

▲図 10 ALA 臨床研究での日米比較

▲図 11 日本人と欧米人のインスリン分泌能の違い

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▼加齢による肥満の進行

日本人はもともと糖尿病になりやすいことに加え、肥満の進行も糖尿病発症に悪影響を及ぼ

します。若いころには痩せていても、加齢に伴って太りやすくなってきますが、これは1日あた

りの基礎代謝量が加齢により減少するためで、男性は20代以降、女性は10代後半から基礎

代謝量は落ちていきます〔図12〕。若いころと同じ食生活では、おのずと体重は増え、さらに運

動不足が加わって肥満が進行していくことになります。

一方で、近年では20代、30代女性の痩せすぎも問題になっています。実は、妊娠時に適切な

エネルギー量を摂取しないことで低体重出産を招きますが、低体重で生まれた子どもは、将

来の糖尿病罹患リスクが高まるという報告もあり、将来の日本人の糖尿病リスク増加の一因と

なると考えられます。

▼糖尿病予防、改善策の基本は食生活による肥満の是正

糖尿病予防、改善にあたって、最も大切なのは肥満の是正です。まだ糖尿病になっていない

人はBMI25の肥満のラインを下回るようにすること、すでに糖尿病になっている人はBMI22が

目標となります。食生活の改善が基本となりますが、摂食行動は個体の維持のための本能で

あり、本能に逆らって食事制限をするというのは、なかなか実践できないものです。そこで大切

なのは本人の自覚です。自分の健康を守ること、つまり個体の維持のためには、「本能のまま

に食べること」ではなく、「適正体重を維持すること」であると認識する必要があります。

▼ALA摂取による血糖降下作用の検証

糖尿病の予防、改善策としては、食生活を整えることがベースとなりますが、それを補助する

サプリメントとして期待されているのが、ALAです。ALAは糖代謝に関与することが基礎研究

で確認され、ハワイ、広島、東京、バーレーンの国内外4地域で、ALAの糖代謝改善作用に

ついて臨床研究が行われています。これらの研究では、長期的な血糖値の指標となるHbA1c

(ヘモグロビンA1c)、糖代謝異常を調べるための精度の高い検査であるOGTT(糖負荷試験)3など、複数の指標からALAの糖尿病リスク軽減の可能性が検証されています。

なお、ハワイおよび広島での研究は糖尿病予備群の方、東京及びバーレーンの研究は2型

糖尿病患者の方を対象としています。

・ハワイでの研究(糖尿病予備群)

ALA(15mg)+鉄摂取群、ALA(50mg)+鉄摂取群、対照群で検証を行ったところ、空腹時血

糖、糖負荷試験2時間値において、ALA(15mg)+鉄摂取群で有意に低下しました。また、糖

負荷試験2時間値が140mg/dL以上の人、これは糖尿病患者にきわめて近い状態であるとい

えますが、ALA(15mg)+鉄摂取群、ALA(50mg)+鉄摂取群では、対照群よりも有意に血糖

値が下がっていることが分かりました〔図13〕。

・広島での研究(糖尿病予備群)

ALAと鉄の組み合わせによって糖代謝が亢進されることに着目し、ALA(5mg)+鉄(0.6mg)摂

取群、ALA(5mg)+鉄(1.8mg)摂取群、ALA(15mg)+鉄(1.8mg)摂取群と対照群で、糖負荷

試験2時間値について検証を行いました。すると、ALA(15mg)+鉄(1.8mg)摂取群において、

有意に値が低下しました。この傾向は、糖負荷試験2時間値が140mg/dL未満、140mg/dL以

上、200mg/dL以上に分けた場合、値が高い、つまり血糖の状態が悪化している人ほど大きく

現れていました〔図14〕。

3 短時間に 75mgのブドウ糖を飲んでもらい、2 時間経過後の血糖値を測定して、糖尿病の程度を判断

する。糖尿病診断基準は 2時間後の血糖値で 200mg/dl以上。

年齢と基礎代謝年齢階層別基礎代謝基準値と基礎代謝量

年齢(歳)

基礎代謝基準値(kcal/kg/日)

基礎代謝量(kcal/日)

男性 女性 男性 女性

1~2 61.0 59.7 700 700

3~5 54.8 52.2 900 860

6~8 44.3 41.9 1090 1000

9~11 37.4 34.8 1290 1180

12~14 31.0 29.6 1480 1340

15~17 27.0 25.3 1610 1300

18~29 24.0 23.6 1550 1210

30~49 22.3 21.7 1500 1170

50~69 21.5 20.7 1350 1110

70以上 21.5 20.7 1220 1010

年齢とともに基礎代謝は低下食生活を変えないと体重増加運動不足がさらに拍車

厚労省:国民健康・栄養調査2013

ハワイでの研究(糖尿病予備群)

-2.5

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

control M-M H-H

-0.02

-0.01

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

control M-M H-H

Δ 空腹時血糖 Δ HbA1c

対照 15mg 50mg ALA 対照 15mg 50mg ALA

mg

/dl

%*

Δ 糖負荷試験2時間値

対照 15mg 50mg ALA対照 15mg 50mg ALA

Δ 糖負荷試験2時間値140以上

-30

-20

-10

0

10

20

30

control M-M H-H

-30

-20

-10

0

10

20

30

control M-M H-H

* **

mg

/dl

mg

/dl

( Clinical & Translational Science 2012, 5:314-320)

* P < 0.05 versus placebo

広島での研究(糖尿病予備群)

対照 5mg ALA 5mg ALA 15mg ALA+0.6mg Fe +1.8mg Fe +1.8mg Fe

基礎値 16.6±1.6 16.8±1.8 17.0±1.7 16.4±1.3介入後 16.4±1.7 16.5±1.7 16.6±1.8 16.0±1.3*

グリコアルブミン値

(Nutrition 2013 29:1030-1036)

▲図 12 年齢と基礎代謝

▲図 13 ハワイでの研究(糖尿病予備群)

▲図 14 広島での研究(糖尿病予備群)

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・東京での研究(2型糖尿病患者)

ALA(15mg)+鉄(17.2mg)摂取群、ALA(50mg)+鉄(57.4mg)摂取群、対照群に分け、

HbA1cの変化を検証しました。ALA(15mg)+鉄(17.2mg)摂取群で4週間後、8週間後に、

HbA1cが有意に低下しました。ALA(50mg)+鉄(57.4mg)摂取群でも低下傾向が認められま

した。ALAの摂取を止めると元のレベルに戻ったことからも、ALA投与によりある程度の血糖コ

ントロールができているといえます。もちろん安全性に関して、糖尿病患者の方にも問題ありま

せんでした〔図15〕。

以上の検証結果をまとめると、ALAの摂取により、糖尿病予備群の方に対しては、空腹時血

糖と糖負荷試験の2時間後の血糖値が有意に低下し、その作用はインスリンに依存するもの

ではないことが確認されました。2型糖尿病の方に対しては、HbA1cが有意に低下しました。

双方の検証において、ALAの摂取による副作用はなく、安全性が確認されました〔図16〕。

糖尿病対策は国を挙げて取り組む問題です。ALAの摂取により、血糖値降下作用が認めら

れましたが、その血糖値コントロール作用に加えて、糖尿病予備群の方、2型糖尿病の方が摂

取しても安全であることが確認されたことはとても重要です。安全性の高いALAは、糖尿病予

備群の方にとって価値のあるサプリメントであるといえるでしょう。

Changes of HbA1c

HbA

1c %

6.6

6.8

7.0

7.2

7.4

Placebo

ALA 50mg

ALA 15mg

0 4 8 12 after 4

weeks

**

HbA1cの変化

東京での研究(2型糖尿病)(Functional Foods in Health and Disease 2014 4:415-428)

ALA摂取期間

糖尿病予備軍での結果

(1) 5-ALA は空腹時血糖と糖負荷試験の2時間後の血糖値を有意に低下させた。

(2) この作用は血糖降下作用を有するインスリンに依存しないものであった。

(3) 有害事象(副作用)は認められなかった。

2型糖尿病での結果

(1) 5-ALAはHbA1cを有意に低下させた。(2) 有害事象(副作用)は認められなかった。(3) 5-ALAは経口剤で治療中の2型糖尿病患者が服用しても安全である。

▲図 15 東京での研究(2型糖尿病)

▲図 16 ALA 摂取による血糖値降下作用 まとめ

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9

再掲:資料

脂肪組織の役割エネルギーの貯蔵体温の維持臓器や組織の保護

しかし!

過度の脂肪の蓄積:BMI≧25

健康に障害

1500

2000

4000

3000

2500

3500

Kcal/cap

ital/day

1人1日あたり供給カロリーの推移(資料)FAOSTAT("Food Supply", 2014.8.10),

農水省食糧需給表

1960 1970 1980 1990 2000 2010

Placebo

(n = 52)

5 mg ALA-P

plus 0.6 mg Fe

(n = 52)

5 mg ALA-P

plus 1.8 mg Fe

(n = 55)

15 mg ALA-P

plus 1.8 mg

Fe (n = 53)

年齢 59.5 ± 7.7 59.3 ± 7.7 58.7 ± 7.2 59.1 ± 8.3

男 16 (30.8%) 16 (30.8%) 19 (34.5%) 19 (35.8%)

女 36 (69.2%) 36 (69.2%) 36 (65.5%) 34 (64.2%)

HbA1c 6.7-7.1% 6.7-7.1% 6.7-7.1% 6.7-7.1%

体重 (kg) 58.6 ± 9.3 59.7 ± 11.0 58.1 ± 10.9 58.4 ± 10.3

BMI (kg/m2) 23.3 ± 2.7 23.5 ± 3.1 23.1 ± 2.7 22.9 ± 2.7

収縮期血圧(mmHg)

133.0 ± 17.6 134.1 ± 17.8 129.1 ± 14.5 131.8 ± 15.6

拡張期血圧(mmHg)

80.3 ± 9.7 81.2 ± 10.8 78.1 ± 8.2 80.1 ± 9.7

ハワイでの同様研究で、ほぼ同じHbA1cのBMIは 27-28

ALA臨床研究での日米比較

年齢と基礎代謝年齢階層別基礎代謝基準値と基礎代謝量

年齢(歳)

基礎代謝基準値(kcal/kg/日)

基礎代謝量(kcal/日)

男性 女性 男性 女性

1~2 61.0 59.7 700 700

3~5 54.8 52.2 900 860

6~8 44.3 41.9 1090 1000

9~11 37.4 34.8 1290 1180

12~14 31.0 29.6 1480 1340

15~17 27.0 25.3 1610 1300

18~29 24.0 23.6 1550 1210

30~49 22.3 21.7 1500 1170

50~69 21.5 20.7 1350 1110

70以上 21.5 20.7 1220 1010

年齢とともに基礎代謝は低下食生活を変えないと体重増加運動不足がさらに拍車

厚労省:国民健康・栄養調査2013

ハワイでの研究(糖尿病予備群)

-2.5

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

control M-M H-H

-0.02

-0.01

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0.05

0.06

0.07

0.08

control M-M H-H

Δ 空腹時血糖 Δ HbA1c

対照 15mg 50mg ALA 対照 15mg 50mg ALA

mg

/dl

%*

Δ 糖負荷試験2時間値

対照 15mg 50mg ALA対照 15mg 50mg ALA

Δ 糖負荷試験2時間値140以上

-30

-20

-10

0

10

20

30

control M-M H-H

-30

-20

-10

0

10

20

30

control M-M H-H

* **

mg

/dl

mg

/dl

( Clinical & Translational Science 2012, 5:314-320)

▲図 8 脂肪組織の役割

▲図 9 1人 1日あたり供給カロリーの推移

▲図 10 ALA臨床研究での日米比較

▲図 11 日本人と欧米人のインスリン分泌能の違い

▲図 12 年齢と基礎代謝

▲図 13 ハワイでの研究(糖尿病予備群)

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10

再掲:資料

* P < 0.05 versus placebo

広島での研究(糖尿病予備群)

対照 5mg ALA 5mg ALA 15mg ALA+0.6mg Fe +1.8mg Fe +1.8mg Fe

基礎値 16.6±1.6 16.8±1.8 17.0±1.7 16.4±1.3介入後 16.4±1.7 16.5±1.7 16.6±1.8 16.0±1.3*

グリコアルブミン値

(Nutrition 2013 29:1030-1036)

Changes of HbA1c

HbA

1c %

6.6

6.8

7.0

7.2

7.4

Placebo

ALA 50mg

ALA 15mg

0 4 8 12 after 4

weeks

**

HbA1cの変化

東京での研究(2型糖尿病)(Functional Foods in Health and Disease 2014 4:415-428)

ALA摂取期間

糖尿病予備軍での結果

(1) 5-ALA は空腹時血糖と糖負荷試験の2時間後の血糖値を有意に低下させた。

(2) この作用は血糖降下作用を有するインスリンに依存しないものであった。

(3) 有害事象(副作用)は認められなかった。

2型糖尿病での結果

(1) 5-ALAはHbA1cを有意に低下させた。(2) 有害事象(副作用)は認められなかった。(3) 5-ALAは経口剤で治療中の2型糖尿病患者が服用しても安全である。

▲図 14 広島での研究(糖尿病予備群)

▲図 15 東京での研究(2型糖尿病)

▲図 16 ALA摂取による血糖値降下作用 まとめ

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11

トークセッション 糖尿病予防の大切さと難しさ、この分野で期待されるALA トークセッションでは、生活者視点から糖尿病リスクとALAによるリスク軽減の可能性が語られました。ご

講演いただいた小倉俊一郎先生、山下直秀先生に、ヘルスサポート研究会カナン代表で管理栄養士で

もある新出真理先生、ALAの製造開発に長年携わり研究サポートを行うコスモALA(株)の渡辺圭太郎氏

も加わり、3つのトークテーマで、それぞれの専門領域からの視点でお話しいただきました。

新出真理│ヘルスサポート研究会カナン代表 健康教育コンサルタント

1987年女子栄養大学栄養学部実践栄養学専攻卒業。(財)日本健康文化振興会等を経て1998年筑波大

学大学院修士課程体育研究科健康教育学専攻を修了と同時に開業。企業の健康管理室、診療所等で

の健康教育やメディアでの活動に携わりながら、保健医療福祉専門職の養成・リカレント教育に携わる。

現在、女子栄養大学栄養クリニック外部講師、東京基督教大学等非常勤講師。 管理栄養士、衛生検査

技師、 産業カウンセラー。

渡辺圭太郎│コスモALA(株)取締役 製品開発本部長

1989年明治大学農学部農芸化学科卒業。同年コスモ石油(株)入社。以来、研究所でALA生産技術開発

およびALAの植物への影響に関する研究に取り組む。2012年コスモALA(株)取締役就任。現在に至る。

2007年東京農工大学でALA研究により博士(農学)取得。

トークテーマ① 現代日本における糖尿病の実態について

司会 : はじめに近年の糖尿病患者の傾向、患者数の推移についてお聞かせください。

山下 : 近年の摂取カロリー増加に伴い、糖尿病患者は増加しています。最近は摂取カロ

リーが抑えられる傾向にあり、急激な増加は見られませんが、糖尿病のリスクファク

ターとして加齢が挙げられることから、平均寿命が伸びている分、患者数は増えて

います。

私はふだんから糖尿病患者さんを診ていますが、最も重要なエネルギー摂取制限

がなかなかできていないのが現状です。私が子どものころは、お腹が空いても朝ま

で我慢せざるを得ませんでしたが、現代はコンビニエンスストアや飲食店など、い

つでも食べ物が便利に調達できる時代です。そういうところで少しずつエネルギー

摂取が蓄積されてしまうのではないでしょうか。

司会 : 糖尿病になってしまうと、どのような不都合が起こるのでしょうか。

山下 : 糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、血糖値の高さが問題というよりは、さまざ

まな合併症のほうが問題となります〔図17〕。糖尿病の合併症には大血管の合併症

と、細小血管の合併症があります。糖尿病の合併症としてよく挙げられるのが、後

者の細小血管の合併症で、非常に細い血管で生じる障害であり、糖尿病の三大

合併症(網膜症、腎症、神経障害)を含みます。これらの合併症は、自覚症状のな

いままどんどん進行してしまい、症状が出るころには相当ひどい状況になってしま

います。糖尿病による腎症は、透析が必要になる原因の第1位です。また、網膜症

が進むと失明に至ります。失明の原因の第1位は緑内障で、糖尿病はそれに次ぐ

糖尿病の慢性合併症-糖尿病は血管を侵す病気であるー

•大血管症(動脈硬化症)

比較的太い動脈に動脈硬化を生じ、内腔の閉塞に至って発症するもの。

•細小血管症

小動脈から毛細血管レベルの血管の障害により生ずるもの。「糖尿病三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)」を含む。

▲図 17 糖尿病の慢性合併症

Page 12: ALAサイエンスフォーラム - Seminar Reportala-sf.net/wp-content/uploads/2016/04/160225.pdfALA(5-アミノレブリン酸)は、36億年前の原始の地球に生命と共に誕生した物質であること

12

第2位となっています。大血管の合併症により生じるものが、動脈硬化です。太い

血管に起こる合併症で、脳梗塞や心筋梗塞につながります。これも知らない間に

進行して、突然症状としてあらわれます。

司会 : 働き盛りのビジネスマンの日常生活や食事のどこに糖尿病のリスクが隠れている

のでしょうか。

新出 : 個人差はありますが、働き盛りの世代は残業が多く、通勤時間も長い方もあり、夕

食の時間が遅くなりがちです。すると就寝時間も遅くなり、朝目が覚めてもお腹が

空いておらず朝食の欠食につながることも多いです。また、3食ちゃんと食べてい

るつもりでも、外食が多くなるとカロリー過多で栄養バランスも悪くなる傾向がありま

す。さらに、長時間労働に伴う運動不足もリスクといえます〔図18〕。

このような状況を踏まえ、糖尿病学会は初診時の食事指導のポイントとして、あまり

細かいことから言わず、養生訓にある「腹八分目」のように、明らかな問題点を是正

し、いわば当たり前の生活に近づけましょうとしています。それができるようになった

ら、よりバランスの良い食事と合併症予防を意識した食生活を進めていくことになり

ます。ただ、実際には食事のコントロールはなかなか難しいというのが実状といえま

す。

トークテーマ② 糖尿病改善の難しさ

司会 : 現在糖尿病改善に向け、医療機関ではどのような治療、指導を行っていますか。

山下 : 糖尿病になった方には、食事療法、運動療法、薬物療法を行っていきますが、最

も重要なのは食事で、動機付けをしっかり行って根気よく続けていくしかありません。

患者との信頼関係をきっちりつくっていくことが重要になります。

食事のほかは、少し運動負荷をかけるような生活習慣に変えていただくようお話し

しています。エレベーター、エスカレーターを使わず階段を使う、少しの距離であ

ればバスなどに乗らず歩くなど、生活習慣の中に運動を取り入れることを勧めます。

大事なのは有酸素運動で、全力疾走で走るような激しい運動をしなくても良いの

です。それでもなかなか動機付けができない方には、万歩計を差しあげることもあ

ります。基本は根気よくやっていくしかありません〔図19〕。

新出 : 通常、食事指導の2ヶ月後に採血をして経過を見ていますが、5~6割の方は改善

の方向に向かっていきます。その一方で、分かってはいてもなかなかできない方も

いらっしゃいます。また、いったんは食事改善の成果が出て血糖値やヘモグロビン

A1cが下がるものの、半年後、1年後には元に戻ってしまうという方も多く、継続が

難しいのも課題です。さらに、バランスの良い食事についてお話をしても、「子ども

が肉好きだからメニューがそちらに偏ってしまいます」など、家庭で調整することが

難しかったり、野菜を多く取ってくださるようお話をしても、調理に手間がかかる、家

族があまり好まないなどの理由で野菜が不足したりと、ご本人にやる気があっても

環境的に実践が難しい場合もあります。特に糖尿病改善のための食事を考える際

には、食べ物の量について、見た目で判断するだけでなく、重さも量ってもらった

ほうが本当はいいのですが、そうなるとさらにハードルが上がってしまうところも、難

しいところだと感じています〔図20~21〕。

トークテーマ③ 糖尿病対策としての機能性素材ALAの可能性

司会 : 本日は機能性素材ALAの血糖降下作用についてお話をしていただきました。

ALAはどのようなカテゴリーに分類される成分なのでしょうか。

渡辺 : すべての飲食物は行政的な分類により、「医薬品および医薬部外品」あるいは「食

品」のどちらかに入ります〔図22〕。そのうち「食品」については、2001年に健康食品

等に使っても良い原材料のリスト(「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品

糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

糖尿病予備軍の生活の特徴 食事療法の進め方(再掲)

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

5 運動不足

食事療法の進め方

1 適正エネルギーの食事(標準体重×身体活動量)

2 健康を保つために必要な栄養素(PFCバランス)

3 血糖コントロールを良くする食事(食物繊維、食べ順等)

4 食塩を減らすこと(高血圧の予防)

5コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品をひかえめにする(脂質異常症の予防)

6 食物繊維を増加させる(1日20~25g)→食後高血糖と動脈硬化予防、便通改善

すべての飲食物の行政的な分類ー原材料(成分本質)でリスト化されているー

◎医薬品および医薬部外品「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示

◎食品「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例示

どちらのリストにも掲載されていない成分本質(原材料)は、都度問い合わせが必要!

リストに例示される=安全性の確証あり

新物質、もしくは食品や添加物として利用されたことがない

食品としての食経験はあるが、これまで食経験のない程度まで濃縮して飲食する

例えば・・・

▲図 19 簡単にできる日頃の努力

▲図 20 糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

▲図 21 図 20の対応図

▲図 22 すべての飲食物の行政的な分類

簡単にできる日頃の努力

詳しいカロリー計算や栄養素のバランスは栄養士さんに相談

1. 標準体重から1日の摂取カロリーを計算する。例) 標準体重60kg x 25Kcal = 1500Kcal/日

2. よく食べる食事のおおよそのカロリーをインターネットなどで調べておく。

3. 外食はカロリー表示がある店や弁当などを利用。

4. ベルトは穴あきを用いる(簡単な腹囲のチェック)。

5. こまめに体重を測定する。

6. 食事はゆっくり摂り、間にカロリーのないお茶や水を飲む。

7. 間食はしない。空腹を感じたら水分を摂取する。

8. これらを生活習慣の中に取り入れる。

▲図 18 糖尿病予備群の生活の特徴と背景・原因

糖尿病予備群の生活の特徴と背景・原因

糖尿病予備軍の生活の特徴 背景・原因

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

残業→就寝が遅い→食べられない→代謝低下

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

外食・自宅食の問題、残業、ストレス

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

外食、自宅食の問題

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

外食、自宅食の問題

5 運動不足長時間残業の疲れ、ストレス→代謝低下

糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

糖尿病予備軍の生活の特徴 食事療法の進め方

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

図20「食事療法の進め方」内

1、3に関連

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

図20「食事療法の進め方」内

1、3、5に関連

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

図20「食事療法の進め方」内

2、3、4、6に関連

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

図20「食事療法の進め方」内

2、5に関連

5 運動不足図20「食事療法の進め方」内

1に関連

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13

と判断しない成分本質(原材料)リスト」)が定められており、リストに掲載されている

原材料は基本的に使用することが認められています。このリストに掲載されていな

い食品素材を使用した場合には、食品衛生法上、販売を禁止されることもありま

す。

ALAは2013年に「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分

本質(原材料)リスト」に追加されました。食品はさらに細かく「食品」と「食品添加

物」に分けられますが、ALAは「食品」として判断されています〔図23〕。

「医薬品および医薬部外品」については、認可を得て販売されるため、漏れなくリ

スト化されますが、食品の場合は、昔から食べられてきたものから新しいものまで

膨大にあり、すべてがリスト化されているわけではありません。行政上、安全性が判

断されていないものも数多く残されています。その中で、ALAは健康食品等につ

かっていい食品であると国から位置づけられ、安全性は高いといえます。

司会 : 糖代謝を改善する食品成分はALA以外にも流通しています。それらとALAの機能

性の違いはどこにあるのでしょうか。

小倉 : 現在、世に出回っている食品成分では、糖の吸収を妨げる効果をうたっているも

のがメインになっています。ALAは、糖代謝を改善するという点で、根本的にアプ

ローチが異なるのではないかと考えています。

山下 : 糖尿病予防のためには安全に代謝を高める(改善する)ことが重要です。安全性

が担保されていて、かつ糖代謝を改善する作用を持つALAは、糖尿病を防ぐサプ

リメントとして非常に良いものといえるでしょう。

司会 : 日常生活においてALAを有効に取り入れる方法についてご提案ください。

新出 : ALAはいろいろな食品に含まれています〔図24〕。ふだんの食事の中で、含有量

の多いものを心がけてはいかがでしょうか。魚介類や豆類、納豆などの発酵食品

や嗜好品のお酒類にも多く含まれます。緑黄色野菜であるピーマンやほうれん草

にも含まれています。この中で言うと、納豆や野菜はおすすめできますが、お酒な

どは糖尿病患者、予備群の方におすすめはできません。

山下先生がおっしゃるように、糖尿病改善の基本は食事です。食生活に気をつけ

たうえで、さらに糖代謝改善を意識したときに、サプリメントなどでALAを補うのもひ

とつの方法です。これまでの栄養学の歴史では、食品の機能は「栄養素」を中心

に語られてきました。食品の中で体に有用な成分を「栄養成分」といいますが、そ

の中でも欠乏症を起こすものを「栄養素」、起こさないものを「その他の栄養成分」

と呼びます。栄養学の中では、欠乏症を起こす「栄養素」の研究がまず発展してき

ました。疾病の治療ガイドラインでも、まず栄養素の摂取について述べられていま

す。しかし、この20~30年のあいだに、「栄養素」ではない「栄養成分」の健康機能

が明らかになってきて、ずいぶんそのエビデンスが積み重なってきました。そういっ

た意味で、2015年の4月から、国の制度として機能性表示食品という制度が始まり

ました。これまでにもあった「栄養機能食品」は栄養素に関する表示ですが、機能

性表示食品は、その他の栄養成分にも着目し、エビデンスのあるものは国の認可

を受けて表示できるというものです〔図25〕。こういった「栄養成分」の見地からも、

ALAは新しいアプローチだと感じます。

渡辺 : 現在、「高めの血糖値が気になる方に」として、ALAを含有した機能性表示食品が

販売されています。

司会 : ALAの機能性として、糖代謝以外に期待されている作用にはどんなものがあるで

しょうか。

小倉 : ミトコンドリアでの代謝を上げることから、脂質代謝の改善も期待できるのではない

かと考えています。

渡辺 : ミトコンドリアではALAによって、エネルギーとともに代謝水が作られています。体

内のALA量は17歳ごろをピークに作られていますが、子どもの肌が、何もしなくて

もみずみずしく潤っているのは、ALAによる代謝亢進からくるのではないかと考え

食品中に含まれるALAの量

料理群食品名

ALA量[μg]食品群

副菜

緑黄色野菜

ピーマン 18.1

ほうれん草 13.8

トマト 9.8

春菊 5.2

にんじん 0.8

淡色野菜

きゅうり 2.0

キャベツ 1.3

たまねぎ 1.1

白菜 0.7

いも じゃがいも 7.0~9.0

海草 昆布 0.7

きのこ しいたけ 5~45

果物

バナナ 31.6

巨峰 13.6

りんご 0.8

「5-アミノレブリン酸の科学と医学応用」(東京化学同人)より

(食品100g当たり)

料理群食品名

ALA量[μg]食品群

主菜

魚介類

たこ 78.4

いか 38.4

まぐろ(赤身) 0.8

さけ・ます 0.2

肉類

牛挽肉 9.8

豚挽肉 5.6

鶏挽肉 4.3

牛ばら肉 0.8

大豆類

納豆 25.0

大豆 5~7

豆腐 1.0

嗜好品日本酒 70~353

ワイン 110~173

調味料

黒酢 150

醤油 22.0

ソース 21.2

機能性表示食品

栄養機能食品

特定保健用食品

保健機能食品

一般食品

医薬品

医薬部外品

※機能性の表示ができる

※機能性の表示ができない

食品

「食品」の分類

栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品といった表示で販売されている食品は一般食品です。

消費者庁「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」より

▲図 25 「食品」の分類

▲図 24 食品中に含まれる ALA の量

▲図 23 ALA は「食品」として認められている

2013年7月、5-アミノレブリン酸リン酸塩(光合成細

菌(ロドバクター・セファロイデス)の生成したもの)

は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品

と判断しない成分本質(原材料)リスト」に追加

ALAは国から「食品」と位置づけられた成分

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14

られます。ヒトでの実験で、ALA入り化粧品の使用により、肌の水分含量が高まると

の実験結果もあります。

司会 : 今後のALA研究の展望についてお聞かせください。

山下 : 今回実施した臨床研究では、糖尿病予備群の方に非常に良い効果があることが

分かりました。糖尿病の合併症である腎症や網膜症などの細小血管障害は、血糖

コントロールが良好であれば改善します。ところが、動脈硬化などの大血管障害に

ついては、糖尿病になる前の状態に大きな関連があるとされています。発症前の

状態をよくしておくことが、発症後の合併症の予防にもつながります。今後は医療

費抑制の観点からも、予防がますます重要になり、意識や行動を変えていく必要

があります。糖尿病予防に対しては、これまでなかなか良いものがありませんでし

たが、ALAが先鞭をつけるようなものになるのではないかと期待しています。ALA

は安全性が確認された食品ですので、気軽に摂っていただければ良いと思いま

す。

渡辺 : ALAの研究開発は、世界的に並行して進められています。特に中東では現在、人

口の半数以上が糖尿病あるいは予備群ではないかといわれ、非常に深刻な問題

となっております。日本でも糖尿病の合併症として最も多い糖尿病性腎症に対し、

ALAがどのように貢献できるかについて中東で検討が進んでいると聞いていま

す。

司会 : 小倉先生、山下先生、新出先生、渡辺さん、本日は興味深いお話をありがとうご

ざいました。

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15

再掲:資料

糖尿病の慢性合併症-糖尿病は血管を侵す病気であるー

•大血管症(動脈硬化症)

比較的太い動脈に動脈硬化を生じ、内腔の閉塞に至って発症するもの。

•細小血管症

小動脈から毛細血管レベルの血管の障害により生ずるもの。「糖尿病三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)」を含む。

糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

糖尿病予備軍の生活の特徴 食事療法の進め方(再掲)

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

5 運動不足

食事療法の進め方

1 適正エネルギーの食事(標準体重×身体活動量)

2 健康を保つために必要な栄養素(PFCバランス)

3 血糖コントロールを良くする食事(食物繊維、食べ順等)

4 食塩を減らすこと(高血圧の予防)

5コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品をひかえめにする(脂質異常症の予防)

6 食物繊維を増加させる(1日20~25g)→食後高血糖と動脈硬化予防、便通改善

すべての飲食物の行政的な分類ー原材料(成分本質)でリスト化されているー

◎医薬品および医薬部外品「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に例示

◎食品「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例示

どちらのリストにも掲載されていない成分本質(原材料)は、都度問い合わせが必要!

リストに例示される=安全性の確証あり

新物質、もしくは食品や添加物として利用されたことがない

食品としての食経験はあるが、これまで食経験のない程度まで濃縮して飲食する

例えば・・・

糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

糖尿病予備軍の生活の特徴 食事療法の進め方

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

緑1、3で対応

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

緑1、3、5で対応

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

緑2、3、4、6で対応

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

緑2、5で対応

5 運動不足 緑1、3で対応

糖尿病予備群の生活の特徴と背景・原因

糖尿病予備軍の生活の特徴 背景・原因

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

残業→就寝が遅い→食べられない→代謝低下

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

外食・自宅食の問題、残業、ストレス

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

外食、自宅食の問題

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

外食、自宅食の問題

5 運動不足長時間残業の疲れ、ストレス→代謝低下

簡単にできる日頃の努力

詳しいカロリー計算や栄養素のバランスは栄養士さんに相談

1. 標準体重から1日の摂取カロリーを計算する。例) 標準体重60kg x 25Kcal = 1500Kcal/日

2. よく食べる食事のおおよそのカロリーをインターネットなどで調べておく。

3. 外食はカロリー表示がある店や弁当などを利用。

4. ベルトは穴あきを用いる(簡単な腹囲のチェック)。

5. こまめに体重を測定する。

6. 食事はゆっくり摂り、間にカロリーのないお茶や水を飲む。

7. 間食はしない。空腹を感じたら水分を摂取する。

8. これらを生活習慣の中に取り入れる。

▲図 17 糖尿病の慢性合併症

▲図 18 糖尿病予備群の生活の特徴と背景・原因

▲図 19 簡単にできる日頃の努力

▲図 20 糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

▲図 21 図 20の対応図

▲図 22 すべての飲食物の行政的な分類

糖尿病予備群の特徴と食事療法の関係

糖尿病予備軍の生活の特徴 食事療法の進め方

1 朝食の欠食・夜遅くの食事、早食い

図20「食事療法の進め方」内

1、3に関連

2 エネルギー量の過剰摂取脂肪、主菜、菓子類・アルコール類の過剰

図20「食事療法の進め方」内

1、3、5に関連

3 野菜不足によるカリウム・食物繊維不足

図20「食事療法の進め方」内

2、3、4、6に関連

4 獣肉・卵による飽和脂肪酸の過剰、n-3系脂肪酸の不足

図20「食事療法の進め方」内

2、5に関連

5 運動不足図20「食事療法の進め方」内

1に関連

Page 16: ALAサイエンスフォーラム - Seminar Reportala-sf.net/wp-content/uploads/2016/04/160225.pdfALA(5-アミノレブリン酸)は、36億年前の原始の地球に生命と共に誕生した物質であること

16

再掲:資料

2013年7月、5-アミノレブリン酸リン酸塩(光合成細

菌(ロドバクター・セファロイデス)の生成したもの)

は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品

と判断しない成分本質(原材料)リスト」に追加

ALAは国から「食品」と位置づけられた成分

食品中に含まれるALAの量

料理群食品名

ALA量[μg]食品群

副菜

緑黄色野菜

ピーマン 18.1

ほうれん草 13.8

トマト 9.8

春菊 5.2

にんじん 0.8

淡色野菜

きゅうり 2.0

キャベツ 1.3

たまねぎ 1.1

白菜 0.7

いも じゃがいも 7.0~9.0

海草 昆布 0.7

きのこ しいたけ 5~45

果物

バナナ 31.6

巨峰 13.6

りんご 0.8

「5-アミノレブリン酸の科学と医学応用」(東京化学同人)より

(食品100g当たり)

料理群食品名

ALA量[μg]食品群

主菜

魚介類

たこ 78.4

いか 38.4

まぐろ(赤身) 0.8

さけ・ます 0.2

肉類

牛挽肉 9.8

豚挽肉 5.6

鶏挽肉 4.3

牛ばら肉 0.8

大豆類

納豆 25.0

大豆 5~7

豆腐 1.0

嗜好品日本酒 70~353

ワイン 110~173

調味料

黒酢 150

醤油 22.0

ソース 21.2

機能性表示食品

栄養機能食品

特定保健用食品

保健機能食品

一般食品

医薬品

医薬部外品

※機能性の表示ができる

※機能性の表示ができない

食品

「食品」の分類

栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品といった表示で販売されている食品は一般食品です。

消費者庁「消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?」より

▲図 23 ALAは「食品」として認められている

▲図 24 食品中に含まれる ALAの量

▲図 25 「食品」の分類