079 微25.2 鈴木02 責 · 2015-06-24 · ─ 81 ─ Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2009 Vol. 25, No....

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─ 79 ─ Microbiol. Cult. Coll. 25 (2):79 88, 2009 はじめに カルチャーコレクションには潜在能力のある数多く の微生物が研究成果の証拠として寄託され,それらが 新しい研究の素材として活用されている.微生物株を その多様性と品質を考慮して適切に収集・保存し,利 用者に提供できるように有用情報とともに公開すると いうカルチャーコレクションの役割は,バイオテクノ ロジーと生命科学の効率的な発展にとって不可欠の機 能であるといっても過言ではない.そしてその学術的 基盤である分類学とカルチャーコレクションは,持ち つ持たれつの関係にある.細菌分類学は分類体系の構 築だけではなく,研究材料の選択や研究成果の評価に も重要な役割を果たし,カルチャーコレクションにお いて菌株の品質管理と収集戦略の策定においても重要 である.一方,カルチャーコレクションは,細菌分類 学において国際細菌命名規約 (Lapage et al., 1992) に 基づいた基準株の保存という役割を果たしているの で,分類学は生物学を総合する学問として形態学,生 理学,生態学などをその主要な基盤としていたが,最 近ではこれらに加えて生化学,分析化学,分子生物学 などの新しい技術や知見を積極的に取り入れ,従来の 指標に基づく体系の評価を繰り返しながら日々進歩し ている. 細菌分類学とカルチャーコレクションの役割 多くの生物情報や文献情報がインターネット上の データベースで検索できるようになったが,実際の生 物材料を扱っているのはカルチャーコレクションだけ であり,生物材料がなければ研究成果は活用できない. そして,細菌あるいはアーキアにおいて新種を提案す るときには,著者は論文の投稿とともに,基準株をカ ルチャーコレクションに寄託することが求められる (Lapage et al., 1992, 図 1). 図 2 に 示 す よ う に, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(IJSEM)誌に発表される細菌とアーキ アの新種の提案は加速度的に増加しており,最近では 毎年 600 種以上が発表されている.培養技術の高度化 により,最近発見されている新規微生物の多くは難培 養性であるため,基準株を受け入れるカルチャーコレ クションには多様でかつ高度な培養技術を持つことが 求められている.DNA を用いた分子生物学的手法の 多くは,いろいろな生物に対して共通の技術となって おり,幅広い微生物に適用できる.しかし,培養技術 の種類は,特に細菌とアーキアにおいては種の数と同 じくらいあり,多様な微生物を取り扱うカルチャーコ レクションにとっては大きな負担である. 細菌やアーキアの新種発表論文が受理されるには, 寄託菌株が公開されて提供される旨が記載された公的 なカルチャーコレクション発行の証明書が必要であ 細菌分類学とカルチャーコレクションの役割 ─特異な菌体脂肪酸を持つ細菌の発見とその分類学的意義─ (平成 21 年度日本微生物資源学会賞受賞) 鈴木健一朗 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足 2-5-8 Bacterial taxonomy and the roles of culture collections ─ Impact of cellular unusual fatty acids on bacterial taxonomy ─ Ken-ichiro Suzuki Department of Biotechnology, National Institute of Technology and Evaluation 2-5-8 Kazusakamatari, Kisarazu, Chiba 292-0818, Japan 受賞総説 E-mail: [email protected]

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Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2009Microbiol. Cult. Coll. 25(2):79─ 88, 2009

はじめに カルチャーコレクションには潜在能力のある数多くの微生物が研究成果の証拠として寄託され,それらが新しい研究の素材として活用されている.微生物株をその多様性と品質を考慮して適切に収集・保存し,利用者に提供できるように有用情報とともに公開するというカルチャーコレクションの役割は,バイオテクノロジーと生命科学の効率的な発展にとって不可欠の機能であるといっても過言ではない.そしてその学術的基盤である分類学とカルチャーコレクションは,持ちつ持たれつの関係にある.細菌分類学は分類体系の構築だけではなく,研究材料の選択や研究成果の評価にも重要な役割を果たし,カルチャーコレクションにおいて菌株の品質管理と収集戦略の策定においても重要である.一方,カルチャーコレクションは,細菌分類学において国際細菌命名規約 (Lapage et al., 1992) に基づいた基準株の保存という役割を果たしているので,分類学は生物学を総合する学問として形態学,生理学,生態学などをその主要な基盤としていたが,最近ではこれらに加えて生化学,分析化学,分子生物学などの新しい技術や知見を積極的に取り入れ,従来の指標に基づく体系の評価を繰り返しながら日々進歩している.

細菌分類学とカルチャーコレクションの役割 多くの生物情報や文献情報がインターネット上のデータベースで検索できるようになったが,実際の生物材料を扱っているのはカルチャーコレクションだけであり,生物材料がなければ研究成果は活用できない.そして,細菌あるいはアーキアにおいて新種を提案するときには,著者は論文の投稿とともに,基準株をカルチャーコレクションに寄託することが求められる

(Lapage et al., 1992, 図 1). 図 2 に 示 す よ う に,International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(IJSEM)誌に発表される細菌とアーキアの新種の提案は加速度的に増加しており,最近では毎年 600 種以上が発表されている.培養技術の高度化により,最近発見されている新規微生物の多くは難培養性であるため,基準株を受け入れるカルチャーコレクションには多様でかつ高度な培養技術を持つことが求められている.DNA を用いた分子生物学的手法の多くは,いろいろな生物に対して共通の技術となっており,幅広い微生物に適用できる.しかし,培養技術の種類は,特に細菌とアーキアにおいては種の数と同じくらいあり,多様な微生物を取り扱うカルチャーコレクションにとっては大きな負担である. 細菌やアーキアの新種発表論文が受理されるには,寄託菌株が公開されて提供される旨が記載された公的なカルチャーコレクション発行の証明書が必要であ

細菌分類学とカルチャーコレクションの役割 ─特異な菌体脂肪酸を持つ細菌の発見とその分類学的意義─

(平成 21 年度日本微生物資源学会賞受賞)

鈴木健一朗

独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足 2-5-8

Bacterial taxonomy and the roles of culture collections ─ Impact of cellular unusual fatty acids on bacterial taxonomy ─

Ken-ichiro SuzukiDepartment of Biotechnology, National Institute of Technology and Evaluation

2-5-8 Kazusakamatari, Kisarazu, Chiba 292-0818, Japan

受 賞 総 説

E-mail: [email protected]

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鈴木健一朗細菌分類学とカルチャーコレクションの役割

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る.証明書を発行するために,カルチャーコレクションは寄託された菌株の生存と純粋性に加え,寄託者が提供する 16S rRNA 遺伝子の塩基配列情報と,受け入れた株を自ら解析して得られた配列を比較するなどによって同一性を確認しなければならない.もし,誤った株を受け入れたり,純粋培養でなかったりした場合,指定された基準株が論文に示された性状(塩基配列情報も含む)を示さないことになり,新種の提案が無効になるおそれがあるためである.また,分類体系の維持には基準株の永久保存が必須であり,そのために保存技術とともに,施設の存続・維持についても十分な配慮がなされなければならない.

分類学の進歩とカルチャーコレクション 菌類を含む植物や動物の分類学的基準が標本であるのに対し,細菌の分類学的基準株は生きた培養株を原則としている.これはカルチャーコレクションの最大の特徴である生きた微生物株を保存する機能に依存しており,培養株が保存されていることが,後から開発

された分析技術などを用いた新しい分類手法の適用を可能にしている.また,1976 年改正の細菌命名規約では,1980 年に学名承認リストを発表し,正式に発表された細菌及びアーキアの学名についてそれを再出発点とするという,いわば学名の大掃除を行った.そして,それ以降は International Journal of Systematic Bacteriology(IJSB,現在の IJSEM)に発表された学名のみが命名上の地位を得られることを定めた

(Skerman et al., 1980).そのため,1980 年の出発時で は 290 属 1792 種 で あ っ た も の が, 現 在 1571 属8049 種(ともに亜種を除く)(Euzeby, 2009)まで増加しているが,そのすべてを IJSB 誌及び IJSEM 誌で追跡することが可能であり,その基準株の保存番号も論文に明記されている.1990 年以降の数多くの 16S rRNA 遺伝子に基づく系統分類学的研究によって細菌とアーキアの分類体系の全体像を明らかにすることができたのは,命名規約,IJSEM 誌,そしてカルチャーコレクションの三者による基盤整備に依存するところが大きい.16S rRNA 遺伝子による系統分類,特に科

種の記載論文 (IJSEM)

16S rRNA 遺伝子 塩基配列データ

NCBI/EMBL/DDBJ

基準株カルチャーコレクション

菌株情報 情報

情報

情報

著者

情報情報

情報 情報

情報

図 1 原核生物の分類学における 3つの要素

図 2 IJSEM で正式に発表された新属と新種(亜種を含む)の数(Euzeby, 2009)

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(family)以上の高次分類群の体系化への貢献が大きく,それに合わせて属レベルの分類についても新組み合わせなどにより系統分類が反映されている.その結果,2001 年から逐次刊行されている Bergey’s manual of systematic bacteriology 第 2 版(Boone et al., 2001; Brenner et al., 2005)では,全体の構成が 16S rRNA遺伝子による系統分類に基づいており,同時に実用的な細菌同定にも貢献している.しかしその結果,各分類群を特徴づける表現性状については 16S rRNA 遺伝子による系統分類によって一方的に選別されるようにもなってしまっている. 16S rRNA 遺伝子の解析が登場する前の細菌の分類群は,古くは形態や生理・生化学試験に基づいて記載され,その後,化学分類法や DNA-DNA 交雑法が導入される中で再編成などが行われ,新種の追加なども行われてきた.化学分類学は細胞構成成分の分析による分類学であり,1970 年代から放線菌を中心に積極的に導入され,Bergey’s manual of systematic bacte-riology の初版(Sneath et al., 1984-1989)ではグラム陽性細菌の重要な表現性状になっている.そして1990 年代から 16S rRNA 遺伝子という原核生物全体にひとつの共通の物差しが与えられたことにより,表現性状に対して再評価が行われた.その結果,光合成能や窒素固定能のような機能が高次分類群に対応しないことが明らかにされたが,一方で化学分類学的性状はかなり保存性が高く,16S rRNA 遺伝子に基づく系統解析と相関性があるものが多かった.その理由として著者は,化学分類に用いられる指標が,光合成能や窒素固定能のように生存に直接関係する機能ではないため,選択圧の影響を受けにくいことにあると考えられる.これは,特に高 G+C 含量のグラム陽性細菌における細胞壁ペプチドグリカンのアミノ酸や呼吸鎖キノンなどに当てはまる.一方,培養条件などの影響を受ける化学分類学的性状もある.菌体脂肪酸は普遍的に存在し,原核生物の細胞では細胞膜に局在することから試料調製も分析も容易である.しかし,脂肪酸組成は細胞膜の流動性に影響を与えるので,ペプチドグリカンやキノンに比べると生理的な意義は高いと思われる(Suzuki et al., 1993).そこで,著者が以前菌体脂肪酸組成を中心に行った化学分類学的研究が,16S rRNA 遺伝子に基づく系統分類によって,現在ではどのように評価されているかについて考えてみたい.

化学分類学的指標としての菌体脂肪酸 細菌の化学分類学において,菌体脂肪酸はすべての

細菌に適用できる分類指標であり,分子種も多様であるので有用性も高い.細胞壁を持たない細菌は存在するが,脂肪酸の主たる局在部位である細胞膜を持たない細菌はいないし,細胞壁がすべてに共通する構造であるグラム陰性細菌においても,菌体脂肪酸組成にそれなりの多様性が存在する.したがって細菌の培養菌体があれば,原則として画一的な方法で菌体脂肪酸組成の分析が可能である.菌体脂肪酸組成の分類指標としての普及には MIDI という標準化された分析システムの貢献がある(Sasser, 1990).これによって多くの場合,種の記載に必要な菌体脂肪酸組成を得ることができる.菌体脂肪酸組成は,細胞の構成成分として,制御された生合成系の下で生産される安定した情報である.しかし,細胞膜の流動性を維持するために,生産物が培養温度で調節され,さらに基質(培地成分)や培養時間によって影響を受けて変動することもある

(Suzuki & Komagata, 1983).したがって,ある一点での組成をその細菌株の確定したプロファイルとして固定せず,必要に応じて動きを見るようにする注意が必要である.一方で,細菌は,特異な菌体脂肪酸を持っているものがいる.その事例を分類学的に考えてみる.

1) Curtobacterium pusillum の w -シクロヘキシル脂肪酸 C. pusillum は,いわゆるコリネフォルム細菌と呼ばれる一群のグラム陽性細菌に含まれる細菌として,Iizuka & Komagata(1965)によって秋田の油田から分離され,Brevibacterium pusillum と命名されたが,特に石油成分に対する分解などの性質は報告されていない.その後,Yamada & Komagata(1972)により細胞壁ペプチドグリカンの主要ジアミノ酸と生理,生化学性状から新属 Curtobacterium の 1 種として提案され,さらに詳細なペプチドグリカン構造,メナキノン,細胞壁アシルタイプなどの性状からもその分類は支持されてきた.この科の細菌の菌体脂肪酸は,(さらにその上の分類階級である Micrococcineae 亜綱の特徴である)イソ,アンテイソ分枝脂肪酸を主体とした組成である.Curtobacterium 属を含むコリネフォルム細菌の菌体脂肪酸組成を著者らが調べたところ,その中で唯一種,C. pusillum だけが著量の w -シクロヘキシル脂肪酸を含有しており,その組成は通常の培養で 70% にもなった(表 1, 図3, Suzuki et al., 1981).それまで,この脂肪酸は好熱好酸性の bacillus の特徴とされ,細胞の耐酸,耐熱機構に関与する脂肪酸ではないかといわれていた.この一群の bacillus は,現在

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は Alicyclobacillus 属として独立している.著者らはC. pusillum を Curtobacterium 属から独立させるべきかを検討した.しかし,この C. pusillum は中性を至適とする中温菌であり,この特異的な脂肪酸の存在と耐酸・耐熱性との関連は説明できない.そこで,この脂肪酸の分子としての特徴からいくつかの検討を行った.グラム陽性細菌で一般的なイソ,アンテイソ分枝脂肪酸の生合成は,それぞれに対応する分枝アミノ酸から脱アミノされたカルボン酸がプライマーとなってC2 単位で鎖長延長される.このタイプの脂肪酸合成酵素では,プライマーの特異性が直鎖脂肪酸を主要成分とする脂肪酸のそれより低い.したがってイソ,アンテイソ分枝脂肪酸タイプの細菌で w -シクロヘキシ

ル脂肪酸のプライマーであるシクロヘキサンカルボン酸がプライマーとして供給される生物においては,w -シクロヘキシル脂肪酸が合成されると考えられる

(図4).シクロヘキサンカルボン酸はグルコースからシキミ酸を経由して合成されると推定されていることから,培地のグルコース濃度を上げて培養すると,w -シクロヘキシル脂肪酸を持つ C. pusillum の w -シクロヘキシル脂肪酸の組成は上昇したが,もともとw -シクロヘキシル脂肪酸を持たない Curtobacterium 属の株ではわずかに存在が確認される程度でしかなかった.その後の 16S rRNA 遺伝子による系統分類によって Curtobacterium 属は B 型のペプチドグリカン構造で特徴づけられる Microbacteriaceae 科に含ま

ω-Cyclohexyl undecanoic acid

0 20 40 60 (min)

CH-19

CH-17

a-17

a-15

i-15i-17i-16n-16

図 3 Curtobacterium pusillum JCM 1350菌体に見出された特異な脂肪酸

表 1 Curtobacterium pusillum JCM 1350菌体に見出されたω-シクロヘキシル脂肪酸GrothTemp.(℃ )

Fatty acid content (%)

i-15:0 a-15:0 i-16:0 n-16:0 i-17:0 a-17:0 CH-17:0 CH-19:0

20 2.8 48.1 2.6 20.6 25.530 0.6 10.2 1.6 0.5 0.7 16.6 66.9 2.937 6.0 1.0 1.8 8.4 76.6 5.842 5.4 0.7 3.3 8.9 79.0 2.7

GlucoseConc.(%)

Fatty acid content (%)

i-15:0 a-15:0 i-16:0 n-16:0 i-17:0 a-17:0 CH-17:0 CH-19:0

0 1.3 24.1 3.1 1.3 33.1 37.10.5 0.6 15.0 1.7 0.9 0.6 13.6 62.7 4.91.0 0.7 18.3 2.1 0.7 0.5 18.2 58.5 1.25.0 0.3 7.9 0.8 1.9 8.1 78.5 2.5

10.0 4.1 0.4 4.8 88.1 2.220.0 2.0 1.6 96.0

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れ, 収 ま っ て い る. 当 時,C. pusillum をCurtobacterium 属から独立させなかったことは間違っていなかった.鉄過剰土壌や酸性土壌で分離された 菌 に w -シ ク ロ ヘ キ シ ル 脂 肪 酸 を 持 つCurtobacterium 属細菌が分離されていることからも,Curtobacterium 属においては w -シクロヘキシル脂肪酸を持つことは属内のバラエティとするのが妥当と考えられる(Aizawa et al., 2007).

2) Rubrobacter radiotolerans の特異な脂肪酸組成 Arthrobacter radiotolerans は,Yoshinaka et al.

(1973)が強度の放射線耐性細菌として鳥取県の三朝温泉から分離したグラム陽性細菌で,細胞壁にリジンを含んでいたことから Arthrobacter の新種として発表された.コリネフォルム細菌の一連の菌体脂肪酸組成の分析で,Arthrobacter 属はグラム陽性細菌の典型的なイソ・アンテイソ分枝脂肪酸の組成であるのに対し,この菌株は極めて特異なパターンを有し,その主成分が既知の脂肪酸種に該当するものがなかった.そこで菌体脂肪酸メチルエステルからピロリダイド誘導体を調製し,その分子構造を検討したところ,12 の位置がメチル化された分枝飽和脂肪酸であることがわ

かった(図5, Suzuki et al., 1988).また,メナキノンも Arthrobacter 属のそれとは一致しなかったので新属 Rubrobacter を提案した. その後,Stackebrandt et al.(1997)がグラム陽性高 G+C 含量細菌に対して Actinobacteria 綱を提案した論文において,Rubrobacter 属は 16S rRNA 遺伝子に基づく系統樹上で Actinobacteria 綱においてもっとも外側に位置し,他の Actinobacteria とは亜綱(sub-class)レベルで区別されることが明らかとなった.その後 Rubrobacter 属には R. xylanophilus(Carreto et al., 1996)と R. taiwanensis(Chen et al., 2004)の2 種が発表されたが,ともに強い放射線耐性を持つとともに w 末端から 5 番目にメチル分枝を持つ脂肪酸を共通の特徴としており,Rubrobacter 属を独立させたことは,性状だけでなく 16S rRNA 塩基配列解析結果からも支持される.他の放線菌群から亜綱レベルという大きく離れたものであったということは 16S rRNA 遺伝子に基づく系統解析で初めて明らかになったものである.その後,Rubrobacteriaceae 科には他に Conex ibac t er(Monc iard in i e t a l . , 2003),Solirubrobacter(Singleton et al., 2003)の 2 属が含められている.

Cyclohexane carboxylic acid ω-Cyclohexyl undecanoic acid

図 4 イソ,アンテイソ分枝脂肪酸の生合成プライマー

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3) Cryobacterium psychrophilum のアンテイソ分枝不飽和脂肪酸 Inoue & Komagata(1976)は,南極の試料から分離したグラム陽性細菌 Curtobacterium psychrophi-lum を発表した.この細菌は 20℃以上では生育できないことから絶対好低温性(obligate psychrophile)であることが特徴である.菌体脂肪酸もその特徴を反映しており,アンテイソ分枝の不飽和酸 a-15:1 の組成比が高かった(図6).元来アンテイソ分枝の飽和奇数脂肪酸は融点が低く,イソ,アンテイソ分枝型の菌体脂肪酸を持つ細菌では,不飽和脂肪酸がなくても膜の流動性が維持できる.しかし,この細菌では a-15:1の組成は 20%(10℃)に達し,低温で培養するとさらに増加した(表2).また,中温性の C. album では低温で培養してもそれほど多くはならなかった.この組成は Curtobacterium pusillum の例と同様,菌体脂肪酸組成はイソ,アンテイソ分枝型のバラエティと

見なすことができたが,細胞壁ペプチドグリカンは2,4-ジアミノ酪酸を持ち,他のアミノ酸組成から B 型構造であること,メナキノンは MK-10 であることなど,いずれも Curtobacterium 属とは異なることから新属 Cryobacterium を提案した(Suzuki et al., 1997).この属を発表したのは 1996 年であり,16S rRNA 遺伝子の塩基配列も決定して,属としての独立性と,高次分類として Microbacteriaceae 科に含まれることも確認した.イソ,アンテイソ分枝酸はメチルエステルの通常の質量分析では直鎖との識別ができない.そこで水素添加を行い,すべて飽和脂肪酸としたときにi-15:1,a-15:1 に相当するピークが消滅し,それぞれの量がちょうど i-15:0,a-15:0 の組成が増加したことでピークを同定した.属名の Cryobacterium は低温菌という意味で命名したが,その後に提案された 2 種については,C. psychrotolerans(Zhang et al., 2007)は生育至適が 20-22℃にあるものの,生育レンジは

12Me-17:0

a-19:0

0 20 40 60 (min)

20H-17:0

図 5 Rubrobacter radiotolerans JCM 2153Tの特異な脂肪酸

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20-28℃ で 通 性 好 低 温 性 で あ り,C. mesophilum(Dastager et al., 2008)は生育レンジが 4-27℃,至適が 25-28℃と中温菌であった.最初に属を提案したときの特徴がその後の属の中で共通の性状になるのは難しいことを実感した.

これからのカルチャーコレクションに求められるもの1) 難培養細菌の分類学とカルチャーコレクション 細菌分類学もカルチャーコレクションも,純粋分離された培養可能な株が基盤となっている.一方,純粋培養株が取得されていなくても,環境クローンとして多くの 16S rRNA 遺伝子が検出,解析され,未だ分類群として確立していない未分離株の存在が知られるようになった(Hugenholtz, 1998).しかし,これらの細菌全体の体系の中での位置づけは培養株の体系を基準に議論されている.また,メタゲノム解析のように,最初から遺伝子の解析で始まる研究も増えている.したがって,カルチャーコレクションが広く遺伝子資

源の利用の基盤となるためには,未培養微生物は無視できない存在になっている.遺伝子としての保存と提供,塩基配列情報による類縁菌株の検索,そして培養可能な微生物株の拡大などが将来の課題であろう.先にクローンの存在が知られていたものが培養株として得られた例として Gemmatimonas がある(Zhang et al., 2003).また,古くからウシルーメン中に多く存在することが確認されているが未だ培養することができない細菌 Oscillospira guilliermondii Chatton and Pérard 1913 について,Yanagita et al.(2003)は未培養のまま 16S rRNA 遺伝子の塩基配列の決定に成功した.一方,Iino et al.(2007)は海産の貝の腸管から分離したグラム陽性低 G+C 含量の菌群に入る細菌が 16S rRNA 遺伝子の系統分類では Oscillospira 属に近縁であることを見出したが,その類似度は同属というほど高くはなく,細胞形態と運動性から新属新種とした.Hugenholtz et al.(1998)は,環境クローンには培養株の得られていない高次分類群が多数存在す

図 6 絶対好低温細菌“Cutrobacterium psychrophilum” JCM 1463の菌体脂肪酸

表 2 Cryobacterium psychrophilum JCM 1363T の異なる培養温度に対する菌体脂肪酸組成の変化

細菌株 培養温度(℃)

Fatty acid content (%)モノ不飽和酸 飽和酸a-15:1 i-15:1 a-15:0 a-17:0 i-15:0 i-16:0

好低温細菌Cryobacterium psychrophilum JCM 1363T

17 4 1 51 15 17 910 20 2 34 13 18 108 22 2 34 15 17 84 26 2 31 11 19 8

中温性細菌Curtobacterium album JCM 1344T

30 33 46 2 1017 2 67 21 2 810 6 67 14 2

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ることを示し,米国イエローストーン国立公園のObsidian Pool から得られた環境クローンの中で,細菌全体の系統樹において既存の phylum に入らなかった 12 群を candidate phylum として OP1 から OP12と名づけた.Mori et al.(2008)は日本の温泉からの分離株の中に,これらのひとつ OP5 に位置づけられる細菌を見出し,それを新属新種 Caldisericum exileとして発表するとともに,その高次分類群の帰属について新しい門(phylum)Caldiserica を提案した(Mori et al., 2009).このようにして得られた菌群は系統的にも既知のものとはかなり離れているものが多い.今後のカルチャーコレクションには,未培養生物のゲノム情報の提供や,可培養化して遺伝子資源として利用できるようにする体制の整備が期待される.

2) カルチャーコレクションの国際連携 微生物株を輸送するためには,生きた微生物を郵送することができる機関として登録しなければならず,さらに国際移転するためには,IATA,万国郵便条約など国際的な法令や規制に従って行わなければならない.また,植物検疫など発送先の国の国内法を考慮しなければならない.最近では生物多様性条約に関連した規制もある.新種発表においては,基準株は複数の国のコレクションに寄託しなければならないため,微生物株の国際移転は必須である.カルチャーコレクションは研究者の活動を支援するために積極的に国際ネットワークを構築し,微生物の国際移動を容易にするとともに,各国の拠点となるコレクションとの情報共有を進めて,国際法令の遵守や保存法の高度化などを推進する必要がある.われわれ NBRC は,アジアの拠点となるコレクションと「微生物の保全と持続可能な利用のためのアジアコンソーシアム(Asian con-sortium for conservation and sustainable use of microbial resources)」を作り,各国の持つ問題点や動向についての情報共有と解決のための意見交換を行っている(鈴木,安藤,2009).最近は中国,韓国を中心としてアジアからの分類学的研究の発表が増加している.新種の提案者は海外のコレクションへの寄託が義務づけられたが,微生物の国際移転については原産国のカルチャーコレクションが研究者を支援しつつ,自国の微生物資源の管理を実施していくことが望ましい.コレクション間の連携が微生物の円滑な流通による研究の支援と,国際共同研究の機会の増加に繋がることが期待されている.

3) カルチャーコレクションの社会的責任 カルチャーコレクションの役割と研究成果について,本論文では科学的な側面を中心に紹介してきた.しかし,微生物に対する法規制は,輸送の問題だけではなく,感染症法,カルタヘナ法など,実験室での取り扱いにも及ぶ.バイオセーフティレベル(BSL)は国際的にも共通の基準であるが,それを種ごと,あるいは株ごとに決定することがカルチャーコレクションに求められているといえる.利用者にとって菌株に付されている名前が間違っていないことを前提に実験を行うことができるのがカルチャーコレクションの菌株の最大のメリットである.それにはカルチャーコレクションで保存,提供している微生物株が正確に同定されていることが大前提である.現在 NBRC では,保存微生物株を rRNA 遺伝子の配列決定によって再同定し,品質管理の基礎情報とするための作業が進行中である.カルチャーコレクションは微生物株ごとに取り扱いに必要な情報を利用者に提供し,法規制を遵守して優れた研究開発を支援していかなければならない

(鈴木,2009).

謝 辞 私は,東京大学農学部の学生として微生物を材料として研究する機会をいただき,大学院では東京大学応用微生物研究所で細菌分類学のテーマで学位を取得することができました.その後引き続いて理化学研究所で新しく微生物系統保存施設の設立に最初から参加することになり,カルチャーコレクションの業務と考え方を勉強しながらコレクションを育ててくる喜びを味わうことができました.私の研究,業務を通じ,終始ご指導,激励をいただいた東京大学名誉教授,駒形和男先生に厚く御礼申し上げます.また,大学院時代に理化学研究所でご指導いただいた金子太吉先生に深く感謝申し上げます.東大,理研での経験が少しでも役に立てればと思い,2001 年から製品評価技術基盤機構における生物遺伝資源センター(NBRC)の立ち上げに参加させていただきました.このころになると,自分の研究や業務の分担より,コレクションのマネジメント,国内外の機関との連携などの重要性と責任の重さを感じるようになりましたが,すべての組織において,たくさんの諸先輩,同僚,若手のスタッフのご指導,ご支援,ご協力があってこのたび JSCC の学会賞をいただけることになったことに感謝しております.ひとつのテーマに打ち込む研究と異なり,多くの人たちと知り合うことができました.これからも微力

Page 9: 079 微25.2 鈴木02 責 · 2015-06-24 · ─ 81 ─ Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2009 Vol. 25, No. 2 (family)以上の高次分類群の体系化への貢献が大き く,それに合わせて属レベルの分類についても新組み

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Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2009 Vol. 25, No. 2

ですが,この分野の役に立てるよう努めていきたいと考えております.

文 献Aizawa, T., Ve, N.B., Kimoto, K., Iwabuchi, N.,

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