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H26 JCM FS/最終報告書 II - 1 二国間クレジット制度(JCM)実現可能性調査 最終報告書 1, 調査の背景 1.1 コスタリカ政府の環境政策の変遷と現状 コスタリカ共和国(通称コスタリカ)は、中央アメリカ南部に位置する共和制国家である。北にニカ ラグア、南東にパナマと国境を接しており、西は太平洋、東はカリブ海に面している。首都はサン ホセ。中米で最も安定した民主主義国であり、教育水準も高い(識字率 96%〈2010 年〉)。軍隊は 常備せず、比較的整った福祉制度が特徴である。 <表:コスタリカの基礎データ> 2010 年に発足したチンチージャ政権は「国家開発計画(2011-2014)」の中で、「環境保全と持続 可能な開発」、「競争力強化とイノベーション」、「社会福祉」及び「治安対策」の 4 分野を重点課題 として掲げた。このうち、日本は気候変動対策を含む環境問題への支援を中核とした支援を行う こととしている。そのほか、産業振興への支援、貧困地域住民や障害者といった社会的弱者への 支援の実施にも努めるものとしている。 コスタリカ共和国 面積 51,100km2 (九州と四国を合わせた面積とほぼ同等) 人口 480万人(2012年) 首都 サンホセ 元首 ルイス・ギジェルモ・ソリス・リベラ大統領 政体 共和制 民族 スペイン系及び先住民との混血:95%、アフリカ系:3%、先住民ほか:2% 言語 スペイン語 宗教 カトリック教 通貨 コロン(₡) 為替レート 499.8/US$(2013年平均) 主要産業 農業(コーヒー、バナナ、パイナップル等)、製造業(集積回路、医療品)、観光業 GDP(名目) 49,621百万US$、10,433US/ 人(2013年) 経済成長率 3.5%2013年)

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二国間クレジット制度(JCM)実現可能性調査 最終報告書

1, 調査の背景

1.1 コスタリカ政府の環境政策の変遷と現状

コスタリカ共和国(通称コスタリカ)は、中央アメリカ南部に位置する共和制国家である。北にニカ

ラグア、南東にパナマと国境を接しており、西は太平洋、東はカリブ海に面している。首都はサン

ホセ。中米で最も安定した民主主義国であり、教育水準も高い(識字率 96%〈2010 年〉)。軍隊は

常備せず、比較的整った福祉制度が特徴である。

<表:コスタリカの基礎データ>

2010 年に発足したチンチージャ政権は「国家開発計画(2011-2014)」の中で、「環境保全と持続

可能な開発」、「競争力強化とイノベーション」、「社会福祉」及び「治安対策」の 4 分野を重点課題

として掲げた。このうち、日本は気候変動対策を含む環境問題への支援を中核とした支援を行う

こととしている。そのほか、産業振興への支援、貧困地域住民や障害者といった社会的弱者への

支援の実施にも努めるものとしている。

コスタリカ共和国

面積 51,100km2 (九州と四国を合わせた面積とほぼ同等)

人口 約480万人(2012年)

首都 サンホセ元首 ルイス・ギジェルモ・ソリス・リベラ大統領

政体 共和制

民族 スペイン系及び先住民との混血:95%、アフリカ系:3%、先住民ほか:2%

言語 スペイン語

宗教 カトリック教

通貨 コロン(₡)為替レート ₡499.8/US$(2013年平均)

主要産業 農業(コーヒー、バナナ、パイナップル等)、製造業(集積回路、医療品)、観光業

GDP(名目) 49,621百万US$、10,433US$/人(2013年)

経済成長率 3.5%(2013年)

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コスタリカ政府が「環境保全と持続可能な開発」に取り組む背景としては、同国が生物多様性の

保全上、重要な国と位置付けられていることが挙げられる。1940 年にコスタリカの国土の 75%を

占めていた森林被覆率は、人口の増加と経済発展にともなう開発等により、1987 年に 21%まで

減少した。1980 年代後半からは森林保全、生物多様性保全のための先駆的な政策、活動を実

施した結果、森林面積は 2010 年に 52%程度まで回復するに至っている。

上記の経緯により、コスタリカは環境保全に積極的な政策を打ち出しており、現在国土の

26.21%が国立公園・自然保護区となっている。また、自然を利用したエコツーリズム発祥の国で

もある。

エコツーリズムは、1)自然環境への負荷を最小限にすること、2)環境保全にかかわる体験や学

習要素があること、3)当該社会に対して経済的な便益があり、それによって保全活動の持続が

期待されること、といった要素が含まれる観光形態と定義されている。コスタリカは豊富な自然を

活用したエコツーリズムによって、欧米を中心に観光客数も年々増加しており(北米:47%、欧州:

14%)、近年は年間 200 万人を超える外国人観光客数を迎えるまでに成長した。

<図:外国人観光客の入国者数推移>(出典:日本国際観光学会論文)

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コスタリカは、観光収益の一部を同国の自然保護や森林の再生に充てるなど、環境に対してハ

ード/ソフトの両面からの包括的な取り組みが盛んであり、世界環境パフォーマンス指数ランキ

ングで第 3 位となるなど、国際的に高い評価を得ている。

<表:環境パフォーマンス指数ランキング(2010 年)> (出典:米エール大学ウエブサイト)

環境への取り組みとしてもう一つの重要な課題 <図2:コスタリカ国内電力の内訳>

は、電力分野への対応である。コスタリカは再生

可能エネルギー推進国でもあり、国内電力の 93%

を再生可能エネルギー(水力、地熱、風力他)で

賄っている。中でも水力発電が全体の 4 分の 3 を

占めており、豊富な水資源を活用したクリーンエ

ネルギー発電を推進している。

コスタリカ政府は国家開発計画で、「電源の 95%を

再生可能エネルギーとする」という目標を掲げて

いる。経済成長に伴い電力需要は年々拡大してい

るが、発電容量の拡大に際しては、国の定める目

標に従って行われなければならない。すなわち、

再生可能エネルギーによる発電量の拡大が大前提となる。

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<図:コスタリカの発電 Mix と EV による Well-to-Wheel での CO2 削減率検討>

(出典:IEA Energy Outlook 等を基に日産自動車作成)

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1.2. ホスト国の JCM に対する考え方

コスタリカ政府は国家開発計画の「環境保全と持続可能な開発」への取り組みにおいて、クリー

ンエネルギーの開発や EV の普及などを通じた「カーボン・ニュートラル」を 2021 年までに達成す

ることを目指している。同分野において先進的な技術・知見を有する日本はこの取り組みを積極

的に支援しており、2013 年 12 月 9 日、「二国間クレジット制度(JCM)に係る日・コスタリカ二国間

文書」が両政府間で取り交わされた。

日・コスタリカ両国の JCM に関する考え方は、平成 25 年 12 月 9 日環境省発表「二国間クレジッ

ト制度に係る日・コスタリカ二国間文書の署名について」によると、以下の3点に集約できる。

① 日・コスタリカ間の低炭素成長への取組の推進のため、両国は JCM を創設し、JCM を運

用するため、合同委員会を設置する。

② 双方は JCM の下での排出削減及び吸収量を、国際的に表明したそれぞれの温室効果

ガス緩和努力の一部として使用できることを相互に認める。

③ JCM の透明性及び環境十全性を確保し、これを他の国際的な緩和メカニズムには使用

しない。

JCM は、途上国への温室効果ガス削減技術、製品、システム、サービス、インフラ等の普及や

対策を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価し、日本の

削減目標の達成に活用するもので、日本は現在までに 12 ヵ国と署名を交わしている。コスタリカ

はこのうち 9 ヵ国目で、中南米では初めて JCM に署名した国となる。

コスタリカ政府は、運輸セクターを重点領域とし、2021 年時点での世界初のカーボンニュートラ

ル化達成を国家目標に掲げている。日本はコスタリカとの JCM によって、EV をはじめとする次世

代自動車など、日本が有する先進技術の活用を積極的に支援することによって、コスタリカの国

家目標に貢献できる領域は非常に大きいと考える。

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コスタリカ政府は自然資源からのエネルギー生成推進、化石燃料輸入依存からの脱却を図るべ

く、今後エネルギー需要の急激の増加を予測している。

運輸セクターを重点領域とし 2021 年時点での世界初のカーボンニュートラル化達成を国家目標

に掲げており、次世代自動車をはじめとする日本の先進技術が貢献できる領域は非常に大きい

と考える。

コスタリカ政府は電気自動車(EV)にも高い関心を示している。2011 年 3 月には、EV 購入に際し

て優遇税制を適用するための法律「電気自動車及びゼロ・エミッション自動車の使用・輸入に係

る優遇措置法」を、同時期に行われていた特別国会会期中に審議することを定めた政令を官報

公示し、EV に対する自動車輸入時に課税される高率な税負担の軽減措置を打ち出した。上記再

生可能エネルギーと EV と始めとした次世代自動車のマッチングは、エネルギー生成工程を含め

た高いレベルの CO2 削減が可能となることから、コスタリカはゼロ・エミッション・モビリティモデル

市場として最も適した国と言える。

<図:コスタリカのエネルギー消費比率>

(出典:ジェトロ2010 年報告書)

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1.3, 企画立案の経緯・背景

前述の通り、自動車セクターについて、運輸部門のカーボンニュートラル化に向けコスタリカ政

府は次世代自動車普及促進を狙った優遇策を打ち出している。また、政府は政府公用車への次

世代自動車導入促進を図ると共に、フリート部門を中心とした取り組みの一環で国内約 13700 台

のタクシーを順次次世代自動車へ置換する方針を打ち出している。

今後の日本の次世代自動車ビジネス機会に直結する環境が整っている市場であり、実現性が

高いと考える。

一方、コスタリカの新車市場全需は約 28,000 台(2011 年実績)であり、うち日本の自動車メーカ

ーは全体の 4 割超と高いシェアを占めるものの、近年韓国車メーカーがシェアを急速に伸ばして

きている。また、最量販車種は SUV であるが、近年乗用車セグメントの販売が急速に伸びてい

る。

乗用車セグメントにはハイブリッドや EV 等、競争力を有する日本メーカーの次世代自動車がそ

ろっており、政府の意向を合わせて、今後の日本の次世代自動車ビジネスの機会があると思わ

れる。

<図:コスタリカ自動車メーカーシェア推移>

(出典:コスタリカ自動車輸入協会)

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<図、コスタリカセグメント別販売比率>

(出典:コスタリカ自動車輸入協会)

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2. 調査対象プロジェクト

2, 1 プロジェクトの概要

調査対象プロジェクトの概要

プロジェクトの概要

本調査事業では各国に先立って国家カーボン・ニュートラル達成を目指す一環で

コスタリカ政府が、その重点取組分野として掲げる運輸セクターでの低炭素化に

向け、国内約 13,000台を有するタクシー分野への電気自動車(以下EV)導入促進

により GHG 削減を図る。

本調査では現地タクシービジネスの現状把握を行い、充電インフラ整備案策定や

EV 普及に向けた必要な政策提案を行なう。

予定代表事業者 日産自動車/メキシコ日産株式会社

プロジェクト実施主体 日産自動車/メキシコ日産株式会社

初期投資額 550,000(千円) 着工開始予定 補助事業交付決定から 6 か

月後

年間維持管理費 20,000(千円)

工期(リードタイム) 着工開始後半年間

投資意志

下述の通り EV タクシー

の事業性を見極めて判

断する

稼働開始予定 補助事業交付決定後 2 年目

から

資金調達方法

車輛取得については、維持費メリット分(8.6K USD /年程度 x 保有期間)を差し引

いた残高分をコスタリカ銀行(Banco de Costa Rica)、CREDINISSAN 等金融機関

からのローンでの調達を検討する。

充電網については、すでに自力での整備/運営の検討を行っている電力会社

(CNFL)やその管轄官庁であるコスタリカ環境エネルギー省等と今後の資金調達

方法について調整を進める。

GHG削減量

1,214 tCO2/年 EV100 台規模を想定

レファレンス値として燃料消費について、燃費実測値満タン法、公表されている実

燃費、カタログ燃費の3種類の数値で試算をして、結果的に保守性を勘案して、カ

タログ燃費での計算結果を用いて、レファレンス排出量 1,283tCO2/年、プロジェク

ト排出量 69t, 結果として排出削減量 1,214t CO2/年と算出した。

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2, 2 ホスト国における状況

コスタリカへの世界的な気候変動の影響は毎年、直接的にも間接的にも様々に明らかになって

おり、経済、社会、環境に関係した指標に表れている。 気候変動に対する国家戦略の枠内にお

いて、コスタリカは 2021 年までにカーボン・ニュートラルを実現させる誓約を作成した。

コスタリカにおける温室効果ガス排出は主に運輸セクターによるものである。化石燃料の消費と

温室効果ガスの排出は密接な関係にある。運輸セクターが石油製品の 78%を消費していること

から、このエネルギー源にのみ依存していることが証明されており、この状態は近年変化してい

ない。

コスタリカ政府は、公共交通の分野において温室効果ガス排出の減少を目指し、技術の変化

(車両や燃料)を容易にするために優先分野(タクシー、バス、ガソリンスタンド等)において自発

的インセンティブシステムを検討している。

特にタクシーとバスの 2 つの業種は両者が環境エネルギー省の指導による環境規制の保護下

にあり、さらにそのライセンスが「公共交通協議会」により規制され「公共サービス規制機関」によ

り料金、サービスの質が統制されている。

今後のプロセスにおいて、いくらかのインセンティブにより、EV 車両の政府導入支援という決定

を受け入れてられることが期待されており、これらの決定は、タクシー、バス全般、公共機関全般、

大企業の出費全般、個人の交通手段に関係したものに大きな変化をもたらすと期待されている。

例えば、都市部への乗り入れ許可を低排出のタクシーやバスのみに限定するような地域準地

代モデルを用いることもできる。低排出またはゼロ エミッション車両のため、無料の公共駐車場、

またタクシーの準地代の高い都市の主要部に排他的タクシー乗り場を要請することもできる等も

サポートの一部として有効と考えられている。

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電気自動車の輸入及び使用に係る優遇措置

2011 年 3 月 17 日、コスタリカ政府は、電気自動車購入に際して優遇税制を適用するための

法律「電気自動車及びゼロ・エミッション自動車の使用・輸入に係る優遇措置法」を特別国会会

期中に審議することを定めた政令を官報公示した。

現状、自動車輸入時に課税される租税は高率である。関税は低いものの内国税で

ある奢侈税(ISC)、営業利益税が高率に設定されている。さらに販売税 13%が課税される。

法改正により電気自動車については以下のとおり税負担が軽減されることになる。さらに、

ナンバープレートの末尾の数字(0 から 9)を 5 組に分け、1 組ごとに週に 1 度、6~19 時

の 13 時間、サンホセ市街地への進入を禁止している現行の通行規制の対象外になる。

(情報出展 JETRO レポート)

タクシー事業政策について

(国営配電公社 CNFL 報告書より抜粋)

タクシーの事業規制は国の管轄であり、コスタリカにおいては公共事業省(MOPT」の指導の下

に本質的に「公共サービス調整院(ARESEP)」と「公共交通機関協議会(CTP)」の二つの機関に

よってなされている。

国における大量輸送手段の状況は「公共サービス調整院(ARESEP)2012」によれば、時代を通

じ一連の弱点を露呈しており、その中で適切な交通インフラ構築の不足が際立ち、公共・個人の

車両全般の増加、タクシーの場合に至っては不正輸送業者の急増が見られる。この状況は結果

として都市部において交通渋滞の増加をもたらし、この結果、さらなる燃料の消費、生活水準の

低下、人々の健康への影響、とりわけ公共・個人の交通手段と直接また間接的に結びつく外的

影響が表れてくる。

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「首都圏地域都市計画プログラム(PRUGAM)」のための LCR,Logistic(2007)によると公共交通

機関に関する需要と供給の研究によると、2001 年以前は国内のタクシー業務はライセンスや公

的認可による個人運営によるものだった。しかし、ライセンス数の増加や非公認タクシー(白タク)

対策のための業務認可の正常化を訴える同業組合による圧力のため1999年に「タクシー形態に

おける公共交通サービス人材車両報酬規制法」(法律 7969)が公布され、この法律(7969)は

2003年までに当初13,700 の営業認可ライセンスに移行する形で、入札プロセスを意図していた。

このライセンス数を制限してしまう入札プロセスは、さらに多くの同業組合を組織する非公認タク

シーのグループの増大を促進し、彼らは法的根拠に基づき、また実際に商法(Código de

comercio)に基づく根拠により経営権利に圧力をかけるようになった。コスタリカにおいて、非公

認タクシーは 80 年代の経済危機をきっかけに出現し、この時に労働の選択肢の一つとされたも

のである。そのため 1992 年に政府は非公認タクシーを正式なものにするため新たな営業認可を

考案した。一見すると問題は収束するかに思えたが一時的なものに過ぎなかった。

1995 年にはライセンス数の増加にも関わらず新たに非公認の運転手が現れるようになり、2000

年までには「PORTEO(輸送機関)」にいる著名人の下、同業組合のグループが現れ、同様の組

織である LCR,Logistic 2007 が司法関連の著名人のもとで組織された。経済的な観点から増加す

る収入や準地代に関わる全ての活動はブラックマーケット等の支配下にあり、そのような運転手

はライセンス侵害者であり、「違法タクシー運転手」とコスタリカでは呼ばれている。

現在まで、非公式のタクシーによる公共交通は、無線ベースの運用、個々の識別によって大部

分が組織され続けている。多くの場合、公認のタクシー運転手は経済的にもっと良い条件でサー

ビスを提供している。公認タクシーは統制されており、運用年数が管理され車両・乗客・第三者に

対する保険が義務付けられる他、日常車両技術点検、各通行許可、他の法により定められた要

素を順守する義務がある。

正式には、国内で 13,675 のタクシーナンバーのライセンスが認められており、運用名義に対して

一つのナンバーを所有することになっている。営業特約店に対するアンケート調査で二つの形態

があることがわかる。

・ライセンシー― ライセンス タクシーナンバーの所有者であるが、運転手として働くのではなく、

タクシー運用のために運転手と契約し、運転手は一日の売り上げのうち歩合で報酬を受け取る。

・ライセンシー運転手 タクシーナンバーの所有者であり運転手でもある。労働時間に応じ、次

のような形式を取る。

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共同してサービス提供するために、一人あるいはそれ以上の運転手と契約する。運転手に

対する支払形式は毎日の売り上げの 30%となる。

どの運転手とも契約せずに一人で働く。日々の収入はその日の売り上げに比例する。

タクシー業務のために用いる車両のタイプは、業務地域の状況や車両所有者の購買力に左右

される。コスタリカ国内において最も使用されている(市内タクシーについて)ブランドはヒュンダイ

であり、それは低コストであると考えられている。車両自体の価格と修理部品が低コストであるた

めである。

車両自体の価格と、修理部品などのランニングコストについて、日本車のような高付加価値型、

低環境負荷型の商品がどう対応していくかが、重要課題の一つである。

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空港タクシーへの着眼

コスタリカ政府の意図である EV の幅広い普及に向けた第1歩として、下記の理由により空港タク

シーに着眼した。

① 車輛運用パターンがある程度決まっており、インフラ整備検討が比較的容易

首都サンホセと空港間のタクシー運用であれば、走行距離の制約というバッテリーEV特有の使

用状況の管理も定型的なパターンが想定できるため管理がしやすいと考えられた。

<空港タクシー、オレンジ色のカラーリングを指定されている>

首都:サンホセ

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また、メキシコのアグアスカリエンテスで EV タクシーが営業運営されており、地理的環境は異な

るものの、共通の管理や運用手法があると考えられた。

メキシコ アグアスカリエンテス EV タクシープロジェクト

想定規模:LEAF 50 台

クライアント:アグアスカリエンテス政府 (Direct sale), タクシー会社でのオペレーション

Company (daily rental)

運用管理:市内キーポイントでの運用、市内での車両サービス運用、LEAF の走行距離制約に

より、1日2シフトの計画

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充電インフラ:普通充電器(Normal Charger、以下 NC) 50 基(タクシー拠点にて)、市内のキーポ

イントにて、2本コネクター形式の NC を4基

ディーラー協力: 高度補修整備が可能なサービス拠点1拠点(バッテリー補修可能)

運用:2012 年 6 月より稼働し現在運用中

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② タクシー事業者の中でも比較的購買力が高い (導入拡大の可能性)

同業の中でも、空港タクシーライセンスの保持業者は、運用の回転率も客層収入も高く、収入の

確実さもあり、比較的、車両の購買力が高いとされていて、相対的に街の一般タクシーよりは購

入の可能性が高いことを期待されている。(例:街のタクシー業者は中古車をローン購入 vs空港

タクシー業者は新車をキャッシュ or ローンで購入など)

③ コスタリカでの EV 普及啓蒙に向けた高い PR/露出効果

コスタリカのサンホセ空港は、一般的な公共交通機関が非常に不便であり(電車、モノレール等

が無く)、多くの顧客が空港タクシーを活用し、特に環境立国でありエコツーリズムに関心のある

旅行客、旅行関連業者にとっても、ゼロ・エミッション車両のタクシーは画期的で話題性に富むた

めに、政府の考えている低環境負荷車両の本格的な導入のためのコミュニケーション、PR, 露出

効果があると考えられている

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2,3 プロジェクトの普及

・他の自動車市場への普及

まずは空港タクシーという限定的であるが EV 普及のためにPR/露出効果の高い市場に導入

して、第2段階、第3段階として、公共交通セクターとして、サンホセ市内タクシー(走行距離の条

件にあてはまる商圏活動の車両が好ましい)への普及が想定できる。

<市内タクシー、1回あたりの走行距離にばらつきがある。赤色のカラーリングが指定され、

空港タクシーのオレンジ色と区別>

次に、政府関連車両について、過去の法規で「政府系フリート車両の 10%は EV. PHEV」というガ

イドがあり、事実上運用されていないが、今後、環境エネルギー省と電力会社 CNFL でのこの実

現サポートをしていく方向性を確認できている。

・国内他都市等

サンホセ同様の公共交通機関としてタクシーが活用されている都市でコスタリカの西部の観光

都市 Liberia などがあり、EV タクシー運用事例が共有され普及が広がる可能性が期待されてい

る。

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 19

・近隣諸国への展開の可能性

コスタリカでの EV プロジェクトが実現すれば、気候変動の国家枠組に関する取組みについて、

同等の強い活動をしている国々(地理的環境/自然環境/エネルギー環境/経済環境が近い)、中

南米のエクアドル・コロンビアなどが本取り組みの動きの情報を求めており、コスタリカでの日本

製 EV 車両導入は、より高品質の EV による安定・安全性の高い温暖化ガス削減の取組みとして、

波及性があると考えられる。

・より広い波及の支援実例

コスタリカ銀行(BCR)は、JBIC(国際協力銀行)、韓国輸出入銀行の融資を受けて、タクシー・バ

スの購入に向けた融資プログラムを導入している。

同融資では、融資提供各国の特定メーカーによる車輌を購入する際に有利な金利となるほか、

エコカーであればさらに低い金利で融資を受けられる。これにより、カーボン・ニュートラル達成に

重要な要素となるタクシー、バスのエコ化をより広く促進したいという考えである。

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II - 20

3. 調査の方法

3,1 調査実施体制

本調査の実施にあたり、以下のような調査の役割分担の体制を取った。

(日本側)

日産自動車 :

・調査統括、現地各社の業務まとめ、ホスト国との折衝、調査結果取りまとめ

(現地側)

メキシコ日産:

・コスタリカビジネスの地域マネージメントとして価格含むプロジェクト成立性スタディ準備

・コスタリカの日産販売会社 Agencia Datsun との商流管理・商品仕様管理

・コスタリカ国内の EV 車両メンテナンス体制構築の支援

・コスタリカ国内の充電インフラ計画立案の整備サポート、

ノウハウシェア(メキシコ好事例等)

コスタリカ日産販売会社 Agencia Datsun

・ホスト国ステイクホルダー(政府、電力会社、空港タクシー会社)との調整窓口

・プロジェクト車輛の販売、ローン/ファイナンス商品の検討/提供

・調査モニタリング結果の集約、状況フォロー

現地タクシー業者(タクシー協会など)

・調査モニタリングの実施、及び結果の提出

・EV タクシー事業収益性の検証

現地電力会社 CNFL

・充電インフラ整備計画の策定

・環境エネルギー省との連携

・充電インフラの実際の整備推進(充電器取得/設置)、保守メンテ

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II - 21

調査体制図

3, 2 調査課題・内容

課題と内容は以下のように定義して、取り組むこととした。

<主題>

持続可能な EV 公共交通モデルの構築

EV 導入実現に向けた日本政府支援による事業スキームの検討

JCM 事業体制の確立

<調査課題①:現状のタクシー営業実態を考慮した EV タクシービジネスモデル案の検討>

(調査内容)

・ 現状 ICE(内燃機関車両:Internal Combustion Engine)タクシー営業実態把握

・ EV タクシー試験走行を通したオペレーション実態の予測

・ TCO(Total Cost of Ownership)観点でのメリット創出検討

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II - 22

<調査課題②:充電網整備計画の立案>

(調査内容)

・ EV タクシー事業をサポートする整備計画立案及び充電器の具体的な設置場所提案

・ 充電網整備に向けたコスタリカ政府及び電力会社(CNFL)との協業体制検討

<調査課題③:EV 普及に向けた政策の提案>

(調査内容)

・ 上記課題①及び②の促進に向けた課題の定義とその解決に向けた支援策の検討

・ 有識者の意見を反映させた政策案の確立&提案

<調査課題④:本事業を通じた GHG 排出量の削減ポテンシャル評価>

(調査内容)

・ デフォルト値の定義(公知情報の調査、燃費実測等)

・ リファレンス排出量/プロジェクト排出量の算出

・ MRV 方法論の検討

・ モニタリング体制の構築

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II - 23

調査の方法と工程計画

具体的には、以下のように全行程を計画し取り組んだ。

<課題取り組み計画工程> FY14 業務内容 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

課題①

現 状 のタク

シー営業実

態を考慮し

た EVタクシ

ー ビ ジ ネ ス

モデル案の

検討

現状ICE(内燃機関車両:Inte

rnal Combustion Engine)タ

クシー営業実態把握

EVタクシー試験走行を通した

オペレーション実態の予測

TCO(Total Cost of Owners

hip)観点でのメリット創出検

課題②

充電網整備

計画の立案

EVタクシー事業をサポートす

る整備計画立案及び充電器

の具体的な設置場所提案

充電網整備に向けたコスタリ

カ政府及び電力会社(CNFL)

との協業体制検討

課題③

EV普及に向

けた政策の

提案

上記課題①及び②の促進に

向けた課題の定義とその解

決に向けた支援策の検討

政策案立案&提案

課題④

本事業を通

じたGHG排

出量の削減

ポ テ ン シ ャ

ル評価

デフォルト値の定義

リファレンス/プロジェクト

排出量算出

MRV方法論の検討

モニタリング体制の構築

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II - 24

<コスタリカ現地調査>

上述の全体工程計画を基に以下の通り現地にて各詳細課題に関する調査を実施した。

業務内容 現地調査#1

9月

現地調査#2

10月

現地調査#3

11月

現地調査#4

12月

現地調査#5

1月

課題①

現 状 の タ

ク シ ー 営

業 実 態 を

考 慮 し た

EV タ ク シ

ー ビ ジ ネ

ス モ デ ル

案の検討

現状ICE(内燃機関車両:Int

ernal Combustion Engine)

タクシー営業実態把握

調査会議対象:

Nissan Mexico,

Agencia Datsun,

Taxi会社団体(Ne

w Cooperative o

f Airport Taxis,

コスタリカ全体を

統括しているFEN

ACOTAXI), 在コ

スタリカ日本大使

EVタクシー試験走行を通し

たオペレーション実態の予

調査会議対象:

Nissan Mexico,

Agencia Datsu

n,

在日コスタリカ

前大使,

コスタリカ環境

エ ネ ル ギ ー 省

大臣,

電力会社CNFL

ダイレクター

調査会議対象:

. Nissan Mexic

o,

Agencia Datsu

n,

AIRPORT TAXI

UNIDOS,

在日コスタリカ

前大使,

電力会社CNFL

ダイレクター

TCO(Total Cost of Owner

ship)観点でのメリット創出

検討

調 査 会 議 対

象:

. Nissan Mexi

co,

Agencia Dats

un (CEO),

予定のみ

電 力 会 社

CNFL、

AIRPORT

TAXI UNIDOS

調査会議対

象:

. Nissan M

exico,

Agencia Da

tsun,

電力会社C

NFL、

AIRPORT

TAXI UNID

OS

コスタリカ環

境エネルギ

ー省大臣

,

課題②

充電網整

備計画の

立案

EVタクシー事業をサポート

する整備計画立案及び充

電器の具体的な設置場所

提案

充電網整備に向けたコスタ

リカ政府及び電力会社(CN

FL)との協業体制検討

課題③

EV普及に

向 け た 政

策の提案

上記課題①及び②の促進

に向けた課題の定義とその

解決に向けた支援策の検

政策案立案&提案

課題④

本 事 業 を

通じたGH

G 排 出 量

の 削 減 ポ

テ ン シ ャ

ル評価

デフォルト値の定義

リファレンス/プロジェクト

排出量算出

MRV方法論の検討

モニタリング体制の構築

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II - 25

4.プロジェクト実現に向けた調査

4. 1プロジェクト計画

<調査課題とその解決内容と方向性>

<課題①:現状のタクシー営業実態を考慮した EV タクシービジネスモデル案の検討>

(解決内容と方向性)

・第1回現地調査で協業候補(New Cooperative of Airport Taxis、FENACOTAXI)の2社へ本プ

ロジェクトの趣旨の説明を実施して、営業実態の調査の依頼をした。

ドライバーとの直接対話を通して、仮説の構築の基礎情報は把握でき、車両稼働の時間/曜

日のばらつきが活用計画の重要な要素になることも共有し、調査の協力に了解が得られた。

<過去特別出荷された LEAF(Global Shapers Meeting 公的会議展示)を関係者に説明>

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II - 26

調査票の構成

・帰国後、タクシー営業業務と JCM 基礎数値に関しての仮説を作り、調査票(アンケート)を

企画した。

運行実態、燃費、タクシービジネスの収入支出の項目について、以下のような調査票イメー

ジを作成。Example 欄は、実際の第1回目現地調査での代表的な回答を仮でインプットしてい

る。

加えて、1週間の運行パターンを定量的にインプットしてもらい、曜日・時間によるばらつきを

把握できるように調査票を作成。

<Sample>

Request item Example

Drive operationTaxi operate shift (time) a day

1st shift 9AM- 9PM2nd shift 9PM- 9AM

average distance per trip

one trip: airport to SAN JOSE and return to50km per trip

airport

peak season (High months, Low months) High: Dry season (Dec - April), Low: Wet season (May-Nov)

average trip numbers per day High season: 10 to 12 trips per day

Low season: 7 to 10 trips per day

Fuel efficiency 1 week record requested

Fuel efficiecncy Odometer at the end time of businessFuel to add for 1week (Show Petrol or Diesel)Fuel payment

Odometer & fuel data MON 4005km MON Add Petrol 30L 50US$

TUE 4500km TUE No fueling No

WED 4800km WED Add Petrol 30 L 50US$

THU 5200km THU No fueling No

FRI 5800km FRI Add Petrol 45L 60US$

SAT 6400km SAT No fueling No

SUN 7000km SUN Add Petrol 30L 50US$

Taxi business Currency: US $

income & paymentGross revenue per 1 working day 35$ x 10 trips = 350$

Average Cost per one day (management fee & expense)150$

Net income per 1 working day 200$

One week operation record

MONDAY TUESDAY WEDNESDAY THURSDAY FRIDAY SATURDAY SUNDAY

Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time Pick up timeDrop time

sample 9:30 9:55 8:00 8:30 9:30 9:55 8:00 8:30 8:00 8:30 9:30 9:55 8:00 8:30

Customer NO.1

NO.2

NO.3

NO.4

NO.5

NO.6

NO.7

NO.8

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II - 27

・第3回現地調査(11月)の結果、11月前半には14枚のみ回収済み、後日、至急の追加回収

を依頼した。

<回収アンケート例>

直接、こちらからもAIRPORT TAXI UNIDOS(タクシー会社)社長へも、ドライバーのアンケート協

力を再依頼し、その後、追加で9枚を回収して、合計23サンプルでの分析を実施した。

<対象空港タクシー業者>

<リサーチ分析結果>

調査結果

営業日数 基本的に 365日

走行距離 255km/日

(93,075km/年に相当)

乗車回数 6.4回/日

乗車あたり走行距離 40km/乗車回

主な目的地 ESCAZホテル地区、

サンホセ市中心部

実走行燃費 19.0 km/L (ガソリン)

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II - 28

・リサーチにより ICE タクシーの営業は1日12時間の業務、約6.4回の空港―サンホゼ市

内の往復走行をしていると分かった。

的確な充電による ICE タクシー運用時間と同条件での走行については、試算結果、NC(普通充

電)に加え QC(急速充電)を組み合わせることで、勤務時間の中で現状同様の往復走行が可能

なことが確認できた。

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II - 29

インタビューを通じて、タクシードライバーは車両買い替えの際に維持費の安さと初期車両価格

の同等に重視することが分かった。

これを受けて、タクシードライバーの車両購入予算に応じて、高価格で高性能車両の案と、別案

で比較的低価格でのオファー可能な車両の適用を検討した。

総合比較 スペック1 比較的低価格でのオファー可能な案、 スペック2 高性能車両の案

どちらの車両でも、8.5 回―9回の目的地の往復が実現可能であると判明。

詳細版: スペック1 比較的低価格でのオファー可能な案 (Nominal case)

走行可能距離 130km(満充電)、

普通充電 3kW/hr, 急速充電 20kW/ 0.5 hr

12 hours work, 8.5 Round trip drive

Round trip 0.5

Round trip 1

Round trip 1.5

Need QC

Round trip 2.0

Round trip 2.5

Round trip 3.0

Round trip 3.5

Round trip 4.0

Need NC

Need NC

Need QC

Round trip 4.5

Round trip 5.0

Round trip 5.5

Round trip 6.0

Round trip 6.5

Round trip 7.0

Need QC

Round trip 8.5

Round trip 7.5

Round trip 8.0

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II - 30

詳細版: スペック2 高性能車両の案 (Nominal case)

走行可能距離 150km(満充電)、

普通充電 6kW/hr, 急速充電 20kW/ 0.5 hr

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

8.0

8.5

9.0

9.5

10

.0

10

.5

11

.0

11

.5

12

.0

SOC %

12 hours work, 9 Round trip drive Round trip 0.5

Round trip 1.0

Round trip 1.5

Round trip 2.0

Round trip 2.5

Need NC

Round trip 3.0

Round trip 3.5

Need QC

Round trip 4.0

Round trip 4.5

Round trip 5.0

Round trip 5.5

Need NC

Round trip 6.0

Round trip 6.5

Round trip 7.0

Need QC

Round trip 7.5

Round trip 8.0

Round trip 8.5

Round trip 9.0

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II - 31

TCO(Total Cost of Ownership)観点でのメリット創出検討

・ 把握できた EV 業務パターンから、TCO(Total Cost of Ownership, 車輛取得費+エネルギ

ー費+維持費の総計)を既存ガソリン車と EV に車輛置換した場合で比較を実施した。

考え方: 年間走行距離/ 燃費 x 燃料費 x 5年で燃料コストを計算

(燃料費出展:RECOPE 社情報、電気代の出典 CNFL 社情報)

・ 走行距離が多い事から、車輛ライフ期間中でバッテリーを交換するパターンも想定した

両形式での結果として、補助金が無い前提では、既存ガソリン車に対し、5 年間トータルで

+$14.6k~$23.6k の TCO アップとなる事が判明した。

高性能車両

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<課題②:充電網整備計画の立案>

EV の充電の種類

自宅等での長時間の普通充電を第一として、日中の追加充電を、普通充電と急速充電を組み

合わせるコンセプトで、想定する車両の使い方に合わせて充電インフラ整備案を検討する。

<但し、詳細は日本市場のインフラと EV 車両を前提>

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II - 33

(解決内容と方向性)

・首都サンホセ周辺のお客様のクルマ使用予測と充電インフラ考察

タクシードライバー: サンホセと空港の間は、主要幹線道路の2種類のどちらかを利用。

片道約20キロの比較的直線の多い道路で 80-90km/h 前後で巡航できるが、1車線の部分や朝

夕の渋滞時間帯には遅い車速になる。

充電は、利便性の観点では、空港のタクシー待機エリアが最も理想的で、それ以外に空港

タクシーwarehouse での充電、市内または空港-市内での便利な場所の公共充電が希望されると

思われる。

一般ドライバー(将来の広い一般普及のケース):

鉄道などの一般交通機関が無いため、世帯当たりのクルマの保有数は日本よりも多いと

考えられる。EV 保有もその複数保有の一つになるのであれば、遠距離運転は ICE(内燃機関)車

両を使い、EV は日常的なサンホセ市周辺での活用(例:週末の近場の買い物施設との往復)がメ

インユースになると考察する。

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II - 34

・課題①のアウトプットの中の EV タクシーの想定オペレーションパターンや EV 車両の普及の

予測から推奨する充電器設置案(構想)は、

普通充電器(NC): 公共エリア 約 15 – 20 の NC (EV taxi 台数規模による)

Taxi unidos warehouse 内 (詳細別途相談、EV taxi 台数規模による)

急速充電器(QC): 空港タクシー待機エリア 2 QC

(規模によって、Taxi unidos warehouse 内 1 ~ 2 QC)

普通充電器は、比較的低コストで、ドライバーの利便性の高いエリアに設置できるよう、数を多

めに設定し、一方で急速充電器は設置候補エリアも数も限られるため、まず空港タクシーエリア

が望ましいと考えられる。

・現地電力会社(CNFL)は将来的な EV 普及を見越し、サンホセ市内には既に充電網整備計画

を立案しており、弊社からは10月、11月、1月現地会議にて空港周辺までも含めたプランへの

変更と意見交換をしており、FY15 施工にあたり設置場所の検討や課金運営詳細の予定など、

これから持続性のある充電インフラ整備促進に向けて論議をして連携を図る。

1月時点の最新計画では、市内への NC/QC 設置計画は予定通り約 20 の NC。市内2つの

QC, それに加え空港周辺の公共エリアの NC 設置を EV の台数見込みに合わせて実現させる予

算目途が付いている。ただし、空港周辺の QC 設置については、高コストのため更に論議が必

要。

総じて、公共の一般のユーザー向けのチャージャーは、CNFL 予算で設置、予算も環境エネ

ルギー省と確保したという政府見解で、一方でユーザーが限定される民間敷地内(例:Taxi

Unidos warehouse)はCNFLでは設置しない。空港前のTaxi待合エリアにQCを設置できるかは、

設置場所が民間のエリア or 公共のエリアにより、コスタリカ政府内で管轄省庁が異なるケース

が想定されるため、今後計画案具体化と並行して、対応策を検討していく。

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II - 35

<課題③:EV 普及に向けた政策の提案>

グローバル市場での EV 普及策のベンチマーク、及び現状のコスタリカの環境車政策との対比

から、以下の通り政府に要望する具体的な EV 普及政策案政策を検討した。

(解決内容と方向性)

・他国の優遇政策を参考に、下記をコスタリカ政府への EV タクシー導入促進策として提案

① 販売業者みなし利益率(*1)の見直し

② タクシーライセンス(*2)の低炭素車への優先的な追加発行

③ 税制優遇(免減税及び HEV との差別化)拡大

④ 低炭素車に向けた自動車利用規制の免除

<主な環境車税制(現行)>

EV HEV

特定物品税 0% 10%

消費税 13% 13%

販売業者みなし利益率 25% 25%

法定費用 1% 1%

・コスタリカ環境エネルギー大臣と 2 回(10 月&2 月)に亘り会談し以下内容を確認した。

1、国家カーボン・ニュートラル化、交通分野の低炭素化を最重要課題と位置付ける。

2、本事業での EV タクシー導入を最大限支援する。これをきっかけにプライベートセクター

を含むより広範囲への EV 導入を図りたい。

3、政府支援の第一弾として 3 月に EV 購入者向けクレジットを発表予定(長期低金利+頭

金ゼロ)、且つインフラ整備予算を政府内確保済みで 3 月から具体的検討を開始予定(電力公

社とも連携)

*1) コスタリカでは現状、課税対象額算出上 25%

(一般的には十数パーセント)の販売みなし利益が加算されており、

消費者への最終価格を押し上げている一因となっている。

*2) コスタリカでは環境負荷低減を目途に政府がタクシー業者に

対する新規営業ライセンス発行を停止中。一方、事業拡大及び

新規参入の為のライセンス追加発行の要望は高い。

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II - 36

4、EV 向け税免減税措置や乗り入れ規制免除を検討する事を表明

5、短期的には上記1、2、中期的には上記3、4、5、を政府内で検討する

以上の調査内容と解決方向性から以下のような計画等を想定している。

<プロジェクト実施体制>

・メキシコ日産(現地側調査統括)に加え、金融会社(CREDINISSAN or Bank of Costa Rica)、

現地販売会社(Agencia Datsun)が車両契約の個別管理と定期的な MRV 進捗モニターを管

理フォローを行なう。

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II - 37

<プロジェクト工事/運用計画>

・充電インフラ

工事を要する公共充電インフラ拡充について、電力会社(CNFL)が中心になり、電力会社の

所有地(既に確保済み、または取得予算確定)や他の公用地等を活用した公共性の高い充

電網の迅速な整備を図る。

コスタリカ環境エネルギー省との面談の結果、充電インフラの公共エリアについては、導入コス

ト(初期ハードウエア購入・設置)はコスタリカ政府が全て負担するため、15年度の政府内

予算は確定済みであることが判明した。(予算額等は未確認)。

業務内容 1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

計画 CNFL充電網整備計

画(概案から詳細計

画)

NISSAN/Agencia D

atsun/コスタリカ政

府/CNFLとの協業

検討

実現 タクシー用の空港周

辺NC QC設置計画

運用の支援と設営

空港エリア内の設置は、敷地の保有官庁により環境エネルギー省または別官庁との調整が発生

すると、CNFL/政府に認識されている。

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II - 38

・車両の調達や手配

全体計画

業務内容 1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

計画

環境エネルギー省E

Vタクシー普及に向

けての政府政策支

援策検討

Agencia Datsun/ NI

SSAN MEXICO/ Ta

xi Unidosとの車両

購入交渉

実現 車両購入スキーム

とMRV スキームの

明確化と運用

車両導入コストと維持費のメリット

コスタリカでは、タクシー用途では、トヨタ・カローラ、現代・エラントラが活用されており、トヨタ・カ

ローラのタクシー用車両の価格は$22K (ただし、北米生産車への切り替え中で、よく活用されて

いたディーゼルモデルが供給停止、現在はタイ製トヨタ・ヤリスのガソリンモデルが代替候補)。

プロジェクトで想定している EV 価格は、$45K-50K。 現在は経済性の観点では EV 導入は非

常に困難である。

しかし、JCM 設備補助等の補助金で導入コストを抑えることができると、EV の維持費メリットが

より享受しやすくなり、温暖化ガス削減にも貢献が容易になる。

○第4回 明確化

運用

パイロット

実現

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II - 39

投資期間を5年とすると、維持費のベネフィットは$8.6K が期待できる。

(考え方: 5年間での燃料費メリット、EV 特有ユニット部品のメンテナンスコストで計$8.6K)

仮に車両(CIF)50%の JCM 設備補助を受けられると ICE 車両同等の導入価格におさえられる。

(CIF 価格 = FOB 価格(貿易出荷 Board までの価格) +保険・輸送費)

EV 標準価格では割高感があるが、JCM 等補助金があれば TCO メリットが明確になる。

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II - 40

<プロジェクト実施主体の経営体制・実績>

NISSAN MEXICO (NISMEX): メキシコ国内、中南米&カリブ諸国ビジネスを統括する会社。

稼働開始 1961 年、日産100%出資、従業員数 530 名、メキシコ国内での市場シェアが

20-25%とシェア1-2位のトップクラス、2013年のメキシコ国内向け販売台数26万5千台、中南

米自動車ビジネス界で実績はトップクラス。

コスタリカの EV プロジェクトは、NISSAN MEXICO 内の地域オフィス Nissan Latin America and

the Caribbean(NLAC, 販売台数 2013 年 11万2千台)が、EV ビジネスの推進主体として企画管

理実施する。

EV 業務実績としては、2014年にメキシコとプエルトリコへ導入しており、今後の Latin

America and the Caribbean への導入戦略を立案している。

CREDI NISSAN は、日産資本の金融会社であり、NISSAN MEXICO/ NLAC と共に今回の EV

プロジェクトの商流(クレジット・リース・一括購入等)と MRV 運用に関与する予定。

<NISSAN MEXICO>

体制図

日産 NISSAN MEXICO

Agencia Datsun CNFL

Taxi Unidos

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II - 41

Agencia Datsun は、コスタリカ国内の日産モデルの販売マーケティングとサービス事業会社で

あり、稼働開始は1970年代と日産ビジネスを40年近く継続している。市場シェアは 15%-20%を

占めており(年間販売台数 4.5K-5K)、常にシェア上位1-3位。コスタリカはクルマ社会であり、

「市民は生涯一度は Nissan 車に乗ったことがある(認知や信頼度が高い)」という説明を受けた。

<本社の店舗ショールーム>

(Taxi 会社キーパーソンを招いた際の LEAF 展示)

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 42

TAXI Association “Aerppuertos Taxis Unidos” は、首都サンホセの空港タクシーのビジネス管

理会社で、乗用車 55 台/バン 20 台規模の運用と、本社社屋に専用 warehouse を整備基地として

持つ。

一方で New Corporative などの他社と比較すると、現在のビジネス権限や整備基地等のファシリ

ティを持っており、ビジネス・カウンターパートとして本命と考えられている。

Taxi Unidos のタクシー車両

Taxi Unidos warehouse

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 43

<事業収益性評価 ・プロジェクト資金計画>

・プロジェクト車輛(EV)取得について、現地のタクシー事業のビジネス成立性を配慮し、金融

会社を含めた適正な車輛オファーを実施する。

タクシー購入側視点の車両投資収益性については、

JCM 設備補助が無い場合は

維持費メリット5年合計 8.6K /46K$ (新車 CIF 価格概算)

= 18.7%

(考え方:ガソリン車オーナーが EV 新車に乗り換え、5年間で燃料費等のメリットを享受)

JCM 設備補助がある場合は、

維持費メリット5年合計 8.6K /23K$ (新車 CIF 46K$の 50%と仮定)

= 37.4%

補助があることで、投資収益性は格段に向上する。

具体的には NISMEX/NLAC/Agencia Datsun/金融会社が、Taxi 登録権保持者のドライバー

に対して、お客様に合ったメリットを訴求し、的確な価格及びリース/ローンプランをオファーする。

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II - 44

・必要な充電インフラ整備に向けては、国営配電会社 CNFL(株主:環境エネルギー省)が公共の

充電インフラについては出資する計画である。

タクシー会社の Taxi warehouse への NC の設置、更に QC 設置を来年度以降の事業内で追加設

置希望される場合にはリーズナブルな取得計画の立案も含め、環境エネルギー省への補助ロビ

ーングを含め今後の会議で最適な整備案を検討していく。

充電器価格は、コスタリカには現在に充電器メーカーが存在せず、EV 普及前のため欧米から輸

入される標準予定価格が未発表で日本より高価格で概算。

公共のエリア

充電器とコスト概

イメージ サンホセ市内

公共エリア

空港周辺

公共エリア

費用負担

NC(1基当たり本

体・設置工事 80 万

+維持費20万/

年 x 8年)

スタンドタイプケーブル

付、課金ネットワーク対応

NC 約20基 NC 約15基―

20基(概算)

CNFL

QC(1基あたり本

体・設置工事 500

万+維持費80万

/年 x 8年)

同上

QC 2基 空港 Taxi 待合

エリア

QC TBD

(敷地保有省

庁確認)

CNFL

環境エネ

ルギー省

関 連 省

庁 、 JCM

補助

要論議

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II - 45

民間敷地内の今後の可能性

充電器とコスト概

イメージ Taxi company

warehouse

本体・設置工

事試算

費用負担

自 宅 ・ 事 業 所 用

NC(1基当たり本

体・設置工事30

万+維持費10万

/年 x 8年)

壁設置、ケーブル付き

EV 台数規模によ

り要論議だが、理

想は EV1台あた

り1基

本体・設置工

事30万 x EV

台数

導入 EV100 台

として3千万

Taxi

Unidos,

希望とし

てコスタリ

カ政府補

助、JCM

補助 QC(1基あたり本

体・設置工事 500

万+維持費80万

/年 x 8年)

(ニーズによって

1-2台設置)

本体設置工事

500万 X 基

プロジェクト初期投資に対する資金計画

EV をはじめとする日本製の先進環境技術製品はその高い環境性能が故に初期価格が通常高

くなることが多く、結果として、他国の圧倒的な低価格製品に対し、価格競争力を失う事が少なく

ない。

本プロジェクトでは必要な EV や充電器の導入に際し、JCM 設備補助等の下記公的資金の獲得

を図る。これにより日本の先進環境技術製品の導入が更に加速していくと考えられる。

JCM 設備補助事業 環境省一足飛び事業

概要 二国間クレジット制度の活用を前提とし

て、途上国において日本企業が有する技

術等を活用する CO2 排出削減事業へ補

助。

日本の優れた低炭素技術を活かして、

途上国が一足飛びに最先端の低炭素社

会へ移行できるように支援。排出削減効

果の高い事業を支援するための資金を

拠出

事業期間 3 年間 1~3 年間

補助率 初期投資費用の1/2を上限として設備補

補助率は、事業の内部収益率(IRR)を

見て判断

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 46

・省エネルギー性

<リスク分析>

・ 公的資金が無い際に従来技術車輛(内燃機関車)に対するタクシー事業性が低下する事

による EV タクシー車輛導入の遅れ、又は導入規模の縮小

⇒ 対応策) 低価格の EV導入による事業性維持確保を検討する

・ 充電インフラ整備遅れによるタクシー事業性の低下

⇒ 対応策)充電インフラ整備に関する知見知識の提供による整備計画遅れの防止

・ EV タクシー導入を促進する政策の検討・施行遅れによる EV タクシー導入の遅れ、

又は導入規模の縮小

⇒ 対応策)コスタリカ政府との緊密な連携による政策検討・施行フォローアップ

他国の導入促進策のベンチマークによる検討政策の最適化

・ タクシー車輛の走行距離の長さに起因するバッテリー劣化によるタクシー事業性の

低下

⇒ 対応策)バッテリークーポンを組み合わせた車輛オファー案の提供

4,2 プロジェクト許認可取得

・他国の優遇政策を参考に、下記をコスタリカ政府への EV タクシー導入促進策として提案し

許認可の拡大を求めている。

タクシーライセンスの低炭素車への優先的な追加発行

低炭素車に向けた自動車利用規制の免除

長期的には EV 向け税免減税措置や乗り入れ規制免除を検討する事も政府は表明して

いる。更に、充電器設置に関する許認可も必要と考えられる。

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II - 47

4, 3 日本技術の優位性

・自動車全体市場規模は約 28 千台(2011年)、2011 年から 2014 年の累計で電動車(EV, HV)

がそのうち 0.3%で日本製車両が 86%を占めており、これはコスタリカにおいての日本技術の優

位性の結果。

・市場での HV. EV 販売状況(2011年~14年10月時点)と主なスペックは以下の通り

HV(ハイブリッド車)

・トヨタ プリウス 販売台数累計 97 台 価格$41,800

1.8L エンジン、燃費 30.4km/L, CO2 排出量 76g/km

・トヨタ プリウス C (日本名 アクア) 累計 50 台

1.5L エンジン、燃費 33.8km/L, CO2 排出量 69kg/km

・アメリカ製 GM シボレーVOLT 累計4台

米国 EPA(環境保護局)燃費 98Mlie/ガロン(約 41.66km/リットル)

(プリウスやプリウス Cと異なるレンジエクステンダーPHV。最初の約 61kmをモーター駆動だけ

で EV 走行、二次電池残量が少なくなると発電専用のガソリンエンジンが始動するため、直接の

燃費比較は困難)

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II - 48

EV 販売台数・情報

日産 LEAF

・コスタリカ未発表、一充電走行距離 228km、リチウムイオンバッテリー24kwH

・三菱 i MiEV 累計25台 販売価格約 65 千米ドル

リチウムイオンバッテリー搭載 一充電走行距離 120km, (16kwH)

・インド製 REVA 累計12台

REVA i, 累計10台、鉛バッテリー搭載、一充電走行距離 80 km(9.6kwH)

REVA L-ion, 累計2台、リチウムイオンバッテリー搭載 一充電走行距離 120 km

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 49

<参考:2011-14 年度 コスタリカ EV, HEV モデル別販売台数>

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II - 50

・EV バッテリー技術

LEAF はラミネート型の高密度の大容量リチウムイオンバッテリーで、安定した結晶構造を持

つマンガン系正極材量を採用し、信頼性を確実にしている。他国の EV は従来型のリチウムイオ

ンバッテリーで、過去中国製BYDのEVはバッテリー火災による死亡事故につながったことがあり、

アメリカ製のシボレーVOLT PHV も破損したリチウムイオン電池が原因で炎上したことがあるが、

LEAF は 15 万台の販売実績の中で過去火災等を起こしたことが無く信頼性が高い。

・日本の CHAdeMo 充電規格

CHAdeMO 急速充電器は 14 年 12 月末でグローバルで 5,800 基の設置実績があり、一方でド

イツメーカーのコンボ(Combo Charging system, CCS)方式は 600 基未満であり、世界でのデファク

トスタンダードを CHAdeMO は保持している。

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II - 51

CHAdeMO 方式の技術的な特徴として、EV 充電をできる限り安全に行い充電中に起こりうる危

険からユーザーを守るため 2 重 3 重の対策を講じている。

主に安全面の特徴として、

•専用線によるパイロット信号と CAN 通信を介したデータ信号で通信を二重化し、2 つの通信手

段の AND 条件で充電を開始,OR 条件で停止とすることで誤動作を防止。

•チャデモ特有の回路設計と絶縁確認方法により,万が一漏電が起こった場合でも人体に影響が

ないように即時に電流を遮断する機構を採用。

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II - 52

・自動車低炭素技術の将来見取り図と日本企業の戦略、

日本企業は、低炭素技術について、世界でも最も幅広い領域の開発を進めて商品化しており、

他国企業より優位性がある。

自動車低炭素技術

の方向性

日本企業 ドイツ企業 アメリカ企業

ハイブリッド HV, PHV

(内燃機関と電気モ

ーターの併用、低炭

素技術の過渡期に有

効)

トヨタ・ホンダ・日産 VW, BMW GM, Ford

EV

(再生可能エネルギ

ーとの組み合わせで

温暖化ガス削減に非

常に効果的)

日産・三菱 BMW,

VW/Audi

Mercedes

Tesla, Chrysler Fiat,

燃料電池

(水素の調達や配給

の課題が大きく、この

課題や車両高コスト

が解決できれば温暖

化ガス削減に効果的)

トヨタ・ホンダ・(日産) Mercedes (GM)

どの技術領域や商品を選ぶかは、各国の方針にもよるが、コスタリカは低炭素技術として EV に

賛同している。

・ コスタリカ政府の方針

再生可能エネルギーの活用と EV の導入による、温暖化ガス削減目標達成に最も効果的な戦略

方針を政策として選択しており、本事業での EV タクシー導入の後に、政府系フリートやプライベ

ートセクターを含む、より広範囲への EV 導入を計画している。

政府支援の第一弾として 3 月に EV 購入者向けクレジットを発表予定(長期低金利+頭金ゼロ)、

且つインフラ整備予算を政府内確保済みで 3 月から具体的検討を開始予定(電力公社とも連携)

であり、EV を中心とした環境車の普及に向け積極的な姿勢を表している。

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II - 53

4, 4 MRV 体制

現時点で事業化はされていないため、事業運営を行う場合、上記の MRV 想定ラインと運営組織

での役割の分担で実施する。

タクシー協会(リファレンス車輛使用状況モニター)、現地販売会社(モニター進捗フォロー)、及び

NISSAN MEXICO, Agencia Datsun, 日産自動車(JCM 方法論検討&策定、及び GHG 排出削減

量算定)の体制で実施する予定。

モニタリング会社(TAXI Association Unidos)を通じて得る対象 ICE 車、対象 EV 車の走行情報を

基に、GHG 削減量検証を行なう。

モニタリング: タクシー会社は、ドライバー各位(EV 全保有者)とドライバー運行 LOG を管理でき

るメンバーのチーム体制とで実施。Agencia Datsun 社は約2名。

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 54

4, 5 ホスト国の環境十全性の確保と持続可能な開発への寄与

<環境十全性の確保>

(電力利用増に対する考察)

現状、コスタリカの発電は水力、地熱、風力等の自然エネルギー由来が全体の 93%を占め

ている。且つ電力自給率も高く(電力輸入量の総発電量に占める割合は*0.002% )、

EV 導入によるコスタリカへの環境面の悪影響は無いものと考える。

(*出典:CIA The World Factbook 国別データ 2010 年推定値

https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/cs.html )

一方 化石燃料由来の発電は全体の 6%程度を占めるが、これは主に乾季(2 月~4 月頃)に

降雨量減少により低下する水力発電量を補完する為に限定的に活用されているものであ

る。

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II - 55

また、経済成長(年率 3.5% in 2013)に伴ない、コスタリカの総消費電力量は 1980 年~2010

年までの 30 年間平均で年率 5.3%ずつ増加している。 化石燃料資源を持たないコスタリカとして

は、今後の電力需要増に対応すべく、現状以上の化石燃料依存は避ける方向でエネルギー戦

略が議論されている。

コスタリカ 国内総電力消費量の推移 (出典:Enerdata 2013)

現状コスタリカの電力事業は公的事業者が運用主体となっている(総発電量の約84%を占

める)事を鑑み、電力事業効率化やコスト競争力向上などを目指し、電力事業自由化も政府内

で合わせて議論されている。

このように、今後のコスタリカの電力エネルギーミックスを含めた電力事情の推移を引き続きモ

ニターしていく事とする。

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II - 56

(EV 車両部品回収/リサイクルに関する考察)

コスタリカには確立された新車/中古車市場が存在しており、必要な自動車用金属類の処理

インフラ及びスキームは整備されていると考えられる。EV 固有部品のうち、モーター/インバータ

ーについては、既存の処理スキームの活用で対応する事で問題ないと考えられる。

また、EV の動力源である電池については鉛電池、リチウムイオン電池等の種類により処理方

法が異なると考えられる。

<鉛畜電池の場合>

日本に於いては、自動車用鉛電池について近年の輸入電池の増加等を背景として、国内電池

メーカー

・輸入事業者が共同で、使用済バッテリーの回収・再資源化を行うためのセーフティネットとし

てシステムが構築され、自動車(二輪車、農業機械、建設機械等を含む)のエンジン始動用鉛蓄

電池が使用済となったもの(以下、使用済みバッテリーという)が、排出事業者から廃棄物として処

理委託を受け、鉛蓄電池再資源化協会(以下、SBRA※1 という)が専門回収/解体業者を通じて

処理を行なっている。

(参考) 日本の自動車用鉛蓄電池処理スキーム (出典:一般社団法人鉛蓄電池再資源化協会)

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 57

使用済バッテリーのより確実な回収/処理を図るべく、インターネットホームページやパンフレッ

トを通じて排出事業者や自治体へ SBRA への処理委託の周知徹底を行なっている。

コスタリカに於いては自国内に電池メーカーが存在しない為、EV 普及による蓄電池処理量増

大を鑑み、電池処理に係る費用負担を含む回収処理スキームを別途確立する必要があるが、リ

サイクル費用負担回避の為の不法投棄の防止やバッテリーリサイクル業者育成を図るべく、新

車販売時のリサイクル料金前納、使用済みバッテリーの個体識別によるリサイクル料金の確実

な徴収、自動車販売店等での使用済みバッテリーの確実な回収&処理依頼の実施、及び関連

する法制度整備等を検討する必要がある。

<リチウムイオン電池の場合>

リチウムイオン電池の回収/リサイクルに関しては、コスタリカを含む多くの国で自国内での処理

体制は構築されておらず、欧米の大手回収専門業者を含めた体制構築が検討されており、コス

タリカについても近隣国の取り組み事例を参考に今後関係者と協力し体制を検討していく事とす

る。

近隣国での検討事例としてメキシコを挙げると、メキシコでは 2014 年 6 月に中南米で初めて量

販ベースで EV が導入されており、リチウムイオン電池回収/リサイクル体制については、EV 市場

として先行する米国で確立された体制を活用する形で検討されている。(米国では既に 100 以上

のリチウムイオン電池廃棄処理実績がある)

【検討中の使用済み電池の回収/処理プロセス】

① メキシコ:自動車販売会社にて回収した使用済みリチウムイオン電池を米国の*4R

Company に輸送

② 米国:定置用蓄電池として 2 次利用可能な回収品については 4R にて再製品化

③ 米国:2 次利用できない回収品については 4R から専門処理業者に処理を依頼

ステップ1) 1 次処理事業者が電池パックをモジュール/セルへ解体処理し最終処理業者

に輸送

ステップ2) 最終処理業者が電池セルを最終処理

*4R エナジー社:。EV 用電池の再製品化、再利用、リサイクル事業化を目指し、日産自動車と

住友商事が共同出資し設立した株式会社。日本以外に欧米でも事業展開を図る。 http://www.4r-energy.com/company/

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II - 58

(EV 充電器部品回収/リサイクルに関する考察)

充電器については、汎用性の高い部品のみで構成される為、コスタリカ国内既存のエアコン等

の電化製品の回収/リサイクル/廃棄スキームをそのまま流用できる見込みである。

<持続可能な開発への寄与>

前述の通り、コスタリカは近年高い経済成長を遂げており、今後もその傾向が続くものと考え

られる。それに伴い、国内のエネルギー需要やそれに伴う地球温暖化ガス排出量がさらに

増加する事は必至である。 それはエネルギー消費の 51%、及びコスタリカの地球温暖化

ガス総排出量の約 45%を占める運輸セクターでも同傾向であると考えられる。したがって、

EV をはじめとする日本の優れた技術をコスタリカ国内に導入・普及させる事で、

① 運輸セクターでの化石燃料消費量低減によるエネルギーセキュリティーの強化

② CO2 削減によるカーボン・ニュートラル化の促進

③ 国内電力関連産業活性化に起因する GDP 増大による持続的経済成長の実現

④ 化石燃料輸入削減による外貨流出抑制

等、コスタリカの環境面経済面での持続的な開発に寄与する事が出来ると考える。

(参考) メキシコでのリチウムイオン電池処理スキーム案

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 59

4, 6 今後の予定及び課題

<課題①:現状のタクシー営業実態を考慮した EV タクシービジネスモデル案の検討>

(内容)

・ 現状 ICE(内燃機関車両:Internal Combustion Engine)タクシー営業実態把握

・ EV タクシー試験走行を通したオペレーション実態の予測

・ TCO(Total Cost of Ownership)観点でのメリット創出検討

<課題②:充電網整備計画の立案>

(内容)

・ EV タクシー事業をサポートする整備計画立案及び充電器の具体的な設置場所提案

・ 充電網整備に向けたコスタリカ政府及び電力会社(CNFL)との協業体制検討

<課題③:EV 普及に向けた政策の提案>

(内容)

・ 上記課題①及び②の促進に向けた課題の定義とその解決に向けた支援策の検討

・ 有識者の意見を反映させた政策案の確立&提案

<課題④:本事業を通じた GHG 排出量の削減ポテンシャル評価>

(内容)

・ デフォルト値の定義(公知情報の調査、燃費実測等)

・ リファレンス排出量/プロジェクト排出量の算出

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II - 60

2015 年 -16 年スケジュール概要

3月までは、現在の課題の延長に主に取り組み、徐々に FY15 から方策検討段階に移行する。

業務内容 1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3

課題① EVタクシービジネス

モデル提案

課題② 充電網整備概要の

立案

コスタリカ政府/電

力会社との協業体

制検討

課題③

EVタクシー普及に

向けた課題定義と

支援策検討

政策案立案&提案

課題④ デフォルト値の定義

リファレンス/プロジ

ェクト排出量算出

投資対効果の検証

方 策 検

討 ( ①

③ ④ の

実現)

車両購入スキーム

とMRV スキームの

明確化と運用

方 策 検

討 ( ②

の 実

現)

タクシー用の空港周

辺NC QC設置計画

立案の支援と設営

○第4回 明確化

運用

パイロット

実現

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II - 61

5.JCM 方法論作成に関する調査

5, 1 JCM 方法論の概要

JCM 方法論「タクシー用途での電気自動車利用促進」の概要を以下に記す。

項目 要約

GHG排出削減手

本方法論は電気自動車の新車を導入し、旅客・貨物運送における化

石燃料自動車を代替するプロジェクト活動を対象とする。

リファレンス排出

量の計算

F.1. リファレンス排出の設定

リファレンスシナリオは同様の運送サービス用に供用されたであろう比

較可能な自動車の運行である。リファレンス車両およびプロジェクト車

両の同等性は、乗車定員等の指標により確認できる。

F.2. リファレンス排出量の計算

リファレンス排出量は、下式の通り計算する。:

REy =Σi (SFCi x NCVRF,i x EFRF,i x DDi,y x NRF,i,y)

Where:

REy Total reference emissions in year y (tCO2)

SFC i Specific fuel consumption of reference vehicle category i

(l/km)

NCVRF,i Net calorific value of fossil fuel consumed by reference

vehicle (MJ/l)

EFRF,i Emission factor of fossil fuel consumed by reference vehicle

(tCO2/MJ)

DDi,y Annual average distance travelled by project vehicle in the year

y (km)

NRF,i,y Number of operational project vehicles in category i in year y

プロジェクト排出

量の計算

プロジェクト排出量はプロジェクト運行に係る電力及び化石燃料消費を

包含し、次式の通り計算する。:

PEy =Σi (SECPJ,i,y x EFelect,y /(1- TDLy ) x DDi,y x NPJ,i,y)

Where:

PEy Total project emissions in year y (tCO2)

SECPJ,i,y Specific electricity consumption by project vehicle category

i per km in year y in urban conditions (kWh/km)

EFelect,y CO2 emission factor of electricity consumed by project

vehicle category i in year y (tCO2/kWh)

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TDLy Average technical transmission and distribution losses for

providing electricity in the year

DDi,y Annual average distance travelled by the project vehicle

category i in the year y (km)

NPJ,i,y Number of operational project vehicles in category i in year y

モニタリングする

パラメータ

DDi,y:車種iのプロジェクト車両のy年目の平均走行距離 (km/年)

SECPJ,I,y,:y年目の車種iのプロジェクト車両の電費 (kWh/km)

Ni,y:y年目の車種iのプロジェクト車両運行台数

② 用語と定義

また、JCM 方法論中で設定する用語及び定義を以下に記す。

用語 定義

電気自動車

(EV)

外部からのエネルギー供給を受けず、または電力発生器を車載しない

で、車載電池からのみ電力を供給する自動車をいう。送電網を経由して

電力を受け取り、二次電池(蓄電池)に蓄えて走行時に電動機に電力を

供給する二次電池車が一般的である。二次電池でも車載状態で充電す

るのではなく、充電済みの電池と交換する自動車も含む。

内燃機関自動

(ICE自動車)

内燃機関(ICE)自動車とは、内燃機関を利用して人力交通を代替できる

モーターサイクル、自動車、貨物車、バスを指す。

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II - 63

5, 2 適格性要件

適格性要件は、当該プロジェクトがJCMプロジェクトとして登録されるための要求事項と、方法

論をプロジェクトに適用するための要求事項による事とし、プロジェクト登録時の妥当性確認

の時点で客観的に評価可能な適格性要件の内容とその設定根拠を以下に示す。

① 適格性要件の定義

適格性要件 1

本方法論は EV を導入し、化石燃料自動車(以下 ICE 自動車:Internal Combustion Engine)

置換する事でGHG削減を図るプロジェクト活動に適用できる。

(設定根拠)

EVへの代替とは、1) ICE自動車からEVの更新、2) EVの新規導入、3) EVの車両更新と

する。車輛の更新であっても新規導入であっても、ICE自動車とEVの選択肢が存在し、EV

を選択する事がGHG排出を削減する事になる。 また、バイオ燃料利用のICE自動車から

の代替も考慮しない。

適格性要件 2

本方法論は以下諸元・性能を有する4輪 EV に適用できる。

1) 乗車定員が 4 名以上である。

2) 航続距離が100km 以上である。(コスタリカ、若しくは近隣国仕様車輛でのカタ

ログ値)

3) *急速充電が可能である。

尚、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)には出来ない。プロジ

ェクト車輛とリファレンス車輛は以下の方法をもって同等である事を証明し、GHG 削減量算

出を行なう事とする。

4) 同一カテゴリーの車種である。(乗用車/商用車など)

5)同等の乗車定員又は積載量を有する。

(設定根拠)

本事業で前提としているタクシー用途でのICE車からの代替えの妥当性を鑑み、少人数定

員及びタクシー営業に不適切と思われる航続距離の短かいEVは含めない事とする。

また、タクシーの1日当たり走行距離が長い事、及び充電による営業(乗車)機会損失回避

を考慮し、短時間で充電可能な*急速充電に対応可能なEVである事とした。

*急速充電のスペックに関してはグローバルで確立された定義はないが、一般的には出力

10kw未満を普通充電、40kw未満を中速充電、40kw以上を急速充電と分類する場合が多

い。上記適格性要件に於いては、これを踏襲し、40kw以上の出力を有する急速充電に対

応可能なEVと定義する事とする。

また、同等性についてはEVへの代替えによるGHG削減量をより客観性に定義する為上記

とした。

またHEV、PHEV は簡素化の為含めない事とする。

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適格性要件 3

対象に含まれるEVは、a) コスタリカの関連基準に適合し、b) 車輛登録する車輛で、c) バ

ッテリーを含む車輛アフターサービス/メンテナンス体制が整備され(又はその為の明確な

計画があり)、d)適正に廃車手続きを実施する事が見込める車輛とする。

(設定根拠)

本方法論を適用可能な EV は、当該 JCM プロジェクトが環境十全的であり、コスタリカの持

続可能な開発に寄与する為に、走行安全性確保、交通事故時の保証および車輛廃棄時

の環境負荷の回避が可能な車輛を対象とする。

a) コスタリカ関連基準への適合:輸入手続きの中でコスタリカ政府が輸出国における

型式認証を確認する等して輸入許可を得た事をもってコスタリカの関連基準に適合

するものとみなす。

b) 車輛登録する車輛:車輛ナンバープレートと強制保険の加入証を確認する

c) EV 固有の整備項目に関し、自動車整備拠点において必要な検査機器が配備さ

れ、且つ自動車メーカーから必要な教育を受けた整備士を有する事、又はその為

の明確な機器整備/人材教育計画が存在する事を確認する。

適正な廃車手続き:鉛酸バッテリーについては、購入時のバッテリーリサイクル料払込み

領収書等により確認する。 EVに車載されるリチウムイオンバッテリーについては、定置型

バッテリーとしての2次利用及び、適正なリサイクルを実施する事を前提に、専門業者によ

る回収等スキームが確立されている(又は検討されている)事を確認する。

② 対象 GHG 及びその排出源

本方法論で考慮すべき GHG タイプ及び排出源を示す。

リファレンスシナリオにおける石油掘削輸送に係る排出は、リファレンス排出量の保守性の観

点から考慮しない事とする。給油所のポンプ排出量に相当する CO2 排出量をリファレンス排

出量とする。

プロジェクト排出は発電時の CO2 排出である。コスタリカでは水力発電を中心に総発電量の

90%が再生可能エネルギー由来の電力であり、化石燃料由来の電力は乾季(2 月~4 月頃)

の少雨期などの特定時期に限定的に活用されているに留まる。

リファレンス排出量 GHG種類

電気自動車等に置き換えられる ICE(内燃機関)自動車の排出 CO2

プロジェクト排出量 GHG種類

電気自動車等に充電する為の電力の発電時の排出 CO2

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II - 65

5, 3 リファレンス排出量の設定と算定、およびプロジェクト排出量の算定

① リファレンス排出量の設定根拠

プロジェクト車輛である電気自動車によって置換されるリファレンス車輛の燃費は以下 3 種類

のオプションからその適用可能性、妥当性、及び保守性を検討して決定する。

Option 1

現地での車輛実測に基づくデフォルト値

本調査におけるコスタリカでの実測に基づく車

種別実走行燃費

Option 2

既存データに基づくデフォルト値

ガソリン車/ディーゼル車で各々代表的な車種

の実走行燃費データからの算出値

Option 3

カタログ燃費 当該用途(空港タクシー)での代表的な車輛の

カタログ燃費

上記の各オプションについては、本調査において以下のように設定した。

Option 1)現地での車輛実測に基づくデフォルト値

本調査では、置換されると想定されるリファレンス車輛の実燃費を以下概要に示す通り測定し

対象車輛 ガソリン車3台(1500cc)、ディーゼル車2台(2000cc~3000cc)

測定期間 ガソリン車/ディーゼル車で各々代表的な車種の実走行燃費データからの算

出値

測定都市 サンホセ

測定方法 満タン法(給油量及び走行距離(オドメーター読み値)により算出)

本調査における実燃費測定結果を以下に記す。

燃料種別 台数 測定サンプル数 最大値 最小値 平均値

ガソリン車 3台 16 24km/L 14.3km/L 19km/L

ディーゼル車 2 台 9 16.7km/L 8.3km/L 12.7km/L

Option 2) 既存データに基づくデフォルト値

世界各市場での実燃費情報を扱うサイト(http://www.fuelly.com/)での投稿情報よりデフォル

ト値を設定する。

デフォルト値設定にあたっては、当該空港タクシー車輛で代表的な下述車種の実燃費公表値

をベースに算出した

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(実燃費測定法は満タン法)

燃料種別 車種 測定サンプル数 累積走行距

平均値

ガソリン車 Toyota Yaris 1.5L MT 334 159,997km 16.6km/L

ディーゼル車 Toyota Corolla 2.0D MT 600 371,547km 16.7km/L

Option 3) カタログ燃費

燃料種別毎に当該車輛として代表的な車種のカタログ燃費を用いる事とする。

尚、コスタリカでは現地道路事情に沿った独自の燃費測定法が議論されているが、現時点確

立されておらず、従ってカタログ燃費値も存在しない。よって、ここでは他国の数値を参照する

事とする。

燃料種別 車種 カタログ燃費値 参照元

ガソリン車 Toyota Yaris 1.5L 17.4 km/L ( コ ン ビ 燃

費)

英国エコカー情報“ネクスト

グリーンカー”より

http://www.nextgreencar.c

om/used-car-search/

ディーゼル車 Toyota Corolla 2.0D 17.5 km/L(コンビ燃費)

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<リファレンス排出量に関する考察 A) タクシー車輛の使用年数と燃費の関係>

一般的にコスタリカのタクシー車輛は 5~6 年毎に代替えされるのが通常であり、リファレンス

排出量算定にあたってはその前提とする車輛の使用年数(=年式)をどう定義するかが変動要

因の一つと考えられる。

コスタリカ国立大学が実施したアンケートによるとタクシー車輛の使用年数と 1 日当たりの燃

料費の間には明確な相関関係は見られない(下図参照)。従って同じ車輛運用パターンを前提

とするのであれば、ベースとするリファレンス車輛の年式によるリファレンス排出量算出結果へ

与える影響は非常に小さいものと考えられる。よって、今回のリファレンス排出量算出にあたっ

ては前提とするリファレンス車輛の年式は問題視しない事とする。

<リファレンス排出量に関する考察 B) カタログ燃費と実走行燃費の関係>

今回の実走行燃費はドライバーによるモニターシート記入内容に基づき算出しているが、

その妥当性を検証するにあたり、一般的に公表されている実走行燃費とカタログ燃費との関

係性についての検証結果との整合性を確認した。

日本ではカタログ燃費に対し、実走行燃費は 20%~30%低下するとされている。

比較対象とするカタログ燃

費測定モード

カタログ燃費に対する実走行燃費の低下

JC08モード 約20%程度

10-15モード 約 30%程度

図 コスタリカ タクシー車輛使用年数と燃料費の関係

1日当たり燃料費

(単位:コスタリカ

コロン)

車輛使用年数(年)

出典:2012年コスタリカ国立大学“持続可能な発展の為の経済政策センター”アンケート

カタログ燃費と実走行燃費の関係性について(出典:日本自動車工業会)

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今回の実走行燃費測定結果(Option 1)と引用したカタログ燃費(Option 3)を対比させると

以下表となる。前述の通りコスタリカには正式な燃費測定法は確立されておらず、他国(今回

は英国)のカタログ値を引用している為厳密な比較は出来ないが、今回のガソリン車の実走

行燃費はカタログ値を上回っている。今回はガソリン車ディーゼル車含めサンプル数が少ない

事(計5台で25サンプル)から、リファレンス排出量算定にあたってはその保守性を充分に鑑

みる必要がある。

燃料種別 実走行燃費

(Option 1)

*カタログ燃費

(Option 3)

カタログ燃費に対する

実走行燃費の変化代

ガソリン 19 km/L 17.4 km/L 約9%向上

ディーゼ

ル 12.7 km/L 17.5 km/L 約 27%低下

カタログ燃費と実走行燃費の整合性検証結果

*カタログ燃費は英国の値を引用

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<リファレンス排出量に関する考察 C) 前提とするリファレンス車輛の燃料種別>

コスタリカ電力公社の調査結果によると、今回対象とするコスタリカ首都サンホセエリアには国

内の約51%のタクシー車輛が集中している。 燃料種別で見ると、については特に今回対象

としているサンホセ空港タクシー車輛にはディーゼル車が多く使用されているが、サンホセ全

体で見ると、タクシー車輛数の約85%がガソリン車である。

コスタリカ国内タ

クシー車輛数

サンホセエリア

タクシー車輛数

地方主要都市

タクシー車輛数

その他地方自治区

のタクシー車輛数

13,675台 6,944台(約51%) 1,812台(約13%) 4,919台(約36%)

サンホセエリア

タクシー車輛数

ガソリン車輛数 ディーゼル車輛数

6,944台 5,871台(約85%) 1073台(約15%)

但し、自動車会社側のタクシー用途車輛の供給工順の一部見直しに伴い、当該空港タクシー

車輛で多く使われているディーゼル車(代表車種:トヨタカローラ)の供給が今後停止される予

定である(現地販社“Agencia Datsun”情報)為、今後の空港タクシー車輛の代替えはガソリン

車を中心に行なわれると見込まれる。

これを踏まえ、リファレンス排出量算定にあたっては代表的なガソリン車輛を前提とし算定す

る事とする。

コスタリカの地域別のタクシー車輛数 (出典:コスタリカ電力公社調査結果)

サンホセエリアの燃料種別タクシー車輛数 (出典:コスタリカ電力公社調査結果)

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II - 70

② リファレンス排出量の算定

(1)算定式

リファレンス排出量の算定式及び式中パラメーター内容は、以下の通りとする。

REy =Σi (SFCi x NCVRF,i x EFRF,i x DDi,y x NRF,i,y)

REy Total reference emissions in year y (tCO2/year)

SFCi Specific fuel consumption of reference vehicle category i (l/km)

NCVRF,i Net calorific value of fossil fuel consumed by reference vehicle category i (MJ/l)

EFRF,i Emission factor of fossil fuel consumed by reference vehicle category i (tCO2/MJ)

DDi,y Annual average distance travelled by project vehicle category i in the year y (km/year)

NRF,i,y Number of reference vehicles in category i in year y

(2)事前算定

算定の前提とするリファレンス車輛の台数(NRF,i,y)、及び年間走行距離(DDi,y)等を以下に示

す。

リファレンス車輛

燃料種別

代表車種 算出前提台数 年間走行距離

(km/年)

ガソリン Toyota Yaris 1.5L 100台 93,075

ガソリンの正味発熱量(NCVRF,i)はコスタリカ固有の値が得られない為、資源エネルギー庁に

よる公表値 34.6MJ/L(2005 年度以降適用する標準発熱量の検討結果より)を用いる。

また、ガソリンの CO2 排出係数(EFRF,i)は IPCC デフォルト値(0.0000693 tCO2/MJ)を用いる。

リファレンス車輛の燃費として設定した 3 つの Option 毎のリファレンス排出量(REy)を下表に

表す。

リファレンス車輛

燃料種別

リファレンス排出量 (tCO2/year)

Option 1 Option 2 Option 3

ガソリン 1175 1344 1283

Option 1: 本調査における実燃費測定値

Option 2: 実燃費情報サイト公表値ベースの算出値

Option 3: カタログ燃費

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5-(2)章のリファレンス排出量に関する考察 ②でも述べた通り、Option1 については測定の精

度について再精査が必要であると考えられる為、リファレンス排出量の事前算定に際しては

Option 3(カタログ燃費)を用いる事とする。

③ プロジェクト排出量の設定根拠

プロジェクト排出量の算定の根拠として、コスタリカにおけるグリッド電力 CO2 排出係数

(EFelect,y)を 0.000062.86 tCO2/kWh(出典 2013 年 11 月コスタリカ小規模 CDM プロジェクトよ

り)と設定する。

前述の通り、コスタリカのグリッド電力 CO2 排出係数は極めて低く、且つ電力は緊急時を除き

国内で賄われている為、この設定値の正当性は高いと考える。但し、今後の電力の発電源構

成比率の変動や、電力の輸入等の有無について継続的にモニターを行なう事とする。

また、電力の送配電ロス(TDLy)は 11%(出典:The World Bank 国別データより)と設定する。

④ プロジェクト排出量の算定

(1)算定式

プロジェクト排出量の算定式及び式中パラメーター内容は、以下の通りとする。

PEy =Σi (SECPJ,i,y x EFelect,y /(1- TDLy ) x DDi,y x NPJ,i,y)

PE y Total project emissions in year y (tCO2/year)

SECPJ,i,y Specific electricity consumption by project vehicle category i per km in year y in

urban conditions (kWh/km)

EFelect,y CO2 emission factor of electricity consumed by project vehicle category i in year

y (tCO2/kWh)

TDLy Average technical transmission and distribution losses for providing electricity in

the year

DDi,y Annual average distance travelled by the project vehicle category i in the year y (km/year)

NPJ,i,y Number of operational project vehicles in category i in year y

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(2)事前算定

算定の前提とするプロジェクト車輛の台数(NPJ,i,y)、及び年間走行距離(DDi,y)等を以下に示

す。

プロジェクト車輛 代表車種 算出前提台数 年間走行距離

(km/年)

EV Nissan LEAF 100台 93,075

また、プロジェクト車輛の電費(SECPJ,i,y)は日本のカタログ値から以下の通り設定した。

航続距離(km) 電池容量

(kwh)

カタログ電費(kwh/km)

228 24 0.105

これらから算定したプロジェクト排出量(PEy)は次の通りとなる。

PEy = 0.105 (kwh/km) x 0.00006286 69 tCO2/year ÷(1-0.11)x 100 x 93075 (km/年)

= 69 tCO2/year

この値は前項で算定したリファレンス排出量の約 5.4%と極めて少ない事が分かる。

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II - 73

⑤ モニタリング手法

上述リファレンス排出量の算定、及びプロジェクト排出量の算定にあたっては、以下の手法で

モニタリングを行なった。

モニタリング項目 パラメーター

モニタリング手法 備考

走行距離 DDi,y ・リファレンス車輛の各日営業終

了時に1日当たりの走行距離を

各ドライバーが記録用紙に記入

し (オドメーター読み)し集約

・プロジェクト車輛については、想

定する電費(SECPJ,i,y)を前提と

し上記結果をベースに検討した

結果、適切な充電網整備を伴う

事でリファレンス車輛と同等の営

業走行が可能であると推測し、プ

ロジェクト排出量算定にあたって

は、プロジェクト車輛の走行距離

も同一値とした。

当該タクシー車輛営業実

態から、車輛の走行距離

は車種別に差異はないと

判断し、車種別に走行距

離を分別していない

走行燃費 SFCi ・各リファレンス車輛の給油時の

給油量をドライバーが記録用紙

に記入し集約

・プロジェクト車輛についてはコス

タリカのグリッド電力CO2排出係

数が極めて低い事より、プロジェ

クト排出量は極めて小さいと推測

される。よって電費のモニタリン

グは基本行わない事とする。

・当該タクシー車輛には4

~5人乗りのセダン・ハッ

チバックタイプの他、最大

15~16人乗車可能なミニ

バンタイプも存在する。車

種により、車輛サイズに

起因する燃費差異が発生

する為、ここではプロジェ

クト車輛として想定する、

セダン・ハッチバック車種

に絞って算出する事とし

た。

プロジェクト

車輛台数

NPJ,i,y ・リファレンス車輛の走行距離に

ついては計10台、走行燃費算定

には計5台(ガソリン車3台、ディ

ーゼル車2台)でモニターを実施

した。

・一方プロジェクト車輛台数につ

いては* 100台を想定している。

*100台は当該タクシー営

業車輛(全155台)の約

2/3に該当する

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H26 JCM FS/最終報告書

II - 74

リファレンス車輛の走行距離及び走行燃費に係るモニタリング結果を下表で表す。

1日あたり ドライバーあたり

ドライバーA 月曜日 330km 7 47km 25 13.2火曜日 250km 5 50km 15 16.7水曜日 350km × × 35 10.0木曜日 385km × × 30 12.8金曜日 430km × × 35 12.3土曜日 215km × × 25 8.6日曜日 250km × × 30 8.3

ドライバーB 月曜日 300km 12 25km火曜日 350km × ×水曜日 500km × ×木曜日 600km × ×金曜日 350km × ×土曜日 400km × ×日曜日 × ×

ドライバーC 月曜日 280km 6 47km火曜日 180km 6 30km水曜日 180km 5 30km木曜日 × ×金曜日 100km 3 17km土曜日 210km 5 35km日曜日 250km 7 42km

ドライバーD 月曜日 280km 9 31km火曜日 × ×水曜日 × ×木曜日 × ×金曜日 × ×土曜日 × ×日曜日 × ×

ドライバーE 月曜日 440km 9 49km火曜日 × ×水曜日 × ×木曜日 × ×金曜日 × ×土曜日 × ×日曜日 × ×

ドライバーF 月曜日 300km 5 60km 18 16.7火曜日 240km × × 15 16.0水曜日 × ×木曜日 × ×金曜日 × ×土曜日 × ×日曜日 × ×

ドライバーG 月曜日 × ×火曜日 228km 7 33km 13 17.5水曜日 × ×木曜日 198km 7 28km 11 18.0金曜日 286km 4 72km 16 17.9土曜日 300km 7 43km 21 14.3日曜日 274km 7 39km 19 14.4

ドライバーH 月曜日 325km 5 65km火曜日 175km 7 25km水曜日 209km 4 52km木曜日 250km × ×金曜日 500km × ×土曜日 250km × ×日曜日 250km × ×

ドライバーI 月曜日火曜日 321km 15 21.4水曜日 302km 13 23.2木曜日 288km 12 24.0金曜日 381km 17 22.4土曜日 412km 19 21.7日曜日

ドライバーJ 月曜日 × ×火曜日 232km × × 12 19.3水曜日 205km × × 11 18.6木曜日 219km × × 12 18.3金曜日 278km × × 17 16.4土曜日 298km × × 17 17.5日曜日 350km × × 18 19.4

平均実燃費(km/L)ドライバー 曜日 ①距離 ②乗車回数 ③1トリップの距離 燃料種別 給油量

ディーゼル

ディーゼル

11.3km/Lディーゼル

ガソリン

ディーゼル

ガソリン 22.4km/L

ガソリン 18.2km/L

ディーゼル 16.4km/L

ガソリン 16.1km/L

ディーゼル

リファレンス車輛の走行距離・走行燃費モニタリング結果 (2014 年 9 月末~11 月末実施)

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II - 75

以下にリファレンス排出量算定で想定した車種を含む主な空港タクシー車輛の概要を示す。

メーカー 車種名 画像 主な諸元

Toyota Corolla

(排気量) 1800~2000 cc

(燃料種別) *ガソリン

* ディーゼルは供給停止

(乗車定員) 5名

(車輛重量) 1,685 kg

Yaris

(リファレンス車輛

代表車種)

(排気量) 1500 cc

(燃料種別) ガソリン

(乗車定員) 5名

(車輛重量) 1,500 kg

Hi Ace

(排気量) 3000 cc

(燃料種別) ディーゼル

(乗車定員) 15~16名

(車輛重量) 3,050~3,300 kg

Hyundai Elantra

(排気量) 1600~1800 cc

(燃料種別) ガソリン

(乗車定員) 5名

(空車重量) 1,085 kg

Accent

(排気量) 1400~1600 cc

(燃料種別) ガソリン

(乗車定員) 5名

(空車重量) 1,175 kg

主な空港タクシー車輛の概要

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II - 76

<プロジェクト開始後のモニタリング手法に係る考察>

上記モニタリング手法及びモニタリング結果を鑑みると、

モニタリングデータの収集確率を向上させる事

モニタリング精度を向上させる事

が優先課題であると考えられる。

今回の調査ではタクシードライバーに多忙な営業時間内でのモニタリングシートへの必要な情報

の記載を依頼したが、情報収集結果はドライバー毎にかなりばらつきがある。

また実走行燃費モニタリングについては給油時の満タン法を前提に算定したが、コスタリカの

ガ ソ リ ン 価 格 は 約 $1.57/L ( 国 別 統 計 サ イ ト ” グ ロ ー バ ル ノ ー ト ”2012 年 デ ー タ よ り

http://www.globalnote.jp/post-2453.html?cat_no=301&page=2#posi )と比較的高く、満タン給油

ではなく一定量/一定金額を給油するケースも想定される。

以上からプロジェクト開始後のモニタリングに際しては

走行距離及び給油量を月単位等で集計しモニタリングを簡素化する

ドライバーに対するモニタリング謝金等によりデータ収集確率を向上させる

等の改善が必要であると考える。 今後プロジェクト開始に向け必要な対応策を検討する事とす

る。

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II - 77

⑥ GHG 排出削減量

前述の検討結果より、参考値として以下の通り GHG 排出削減量の事前算定を行なう。

(1)算定式

次式により算定する(標準算定式)。

ERy = REy – PEy

ERy Emission reductions in year y (tCO2/year)

REy Reference emissions in year y (tCO2/year)

PEy Project emissions in year y (tCO2/year)

前述のリファレンス排出量及びプロジェクト排出量から GHG 排出削減量(ERy)算定量は次

の通りとなる。

ERy = 1283 – 69 = 1214 tCO2/year

また、これは前述の通りリファレンス排出量の約 5.4%と極めて小さい。

このようなケースでは、保守性を鑑みてプロジェクト排出量をリファレンス排出量の10%と仮

定し、排出削減量を簡易に算定できるようにする場合がある。

この場合、GHG 排出削減量(ERy)算定量は次の通りとなる。

ERy = REy – PEy

= REy – 0.10×REy = 0.90×REy = 1155 tCO2/year

この場合、プロジェクト車両のモニタリングは簡素化のため不要とする。

但し、本プロジェクトでは前提とする年間走行距離が多い事、及び渋滞やエアコン使用状

況によってプロジェクト車輛の電費が影響を受ける場合があるので、実際のプロジェクトに

おいて一部のプロジェクト車輛で電費をモニターする事も今後想定する事とする。

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II - 78

5, 4 プロジェクト実施前の設定値

事前に設定する各データとパラメーターの出典は以下の通りである。

尚、リファレンス車輛の燃料消費量(SFCi)の設定に関する保守性については 5-2)章①にそ

の検討内容を記載する事とする。

また、その他の事前設定値に関する保守性については今後検討を行なう。

パラメーター データの記述 出典

NCVRF,i

車種iが消費する燃料

の正味発熱量

(MJ/l)

・ガソリンについては資源エネルギー庁2005年度以

降適用する標準発熱量の検討結果より34.6MJ/Lと

する。

今後コスタリカ及び近隣国での公表値を調査する。

・軽油についてはコスタリカでの小規模 CDM プロジェ

クトより 39.0MJ/L とする。

(UNFCCC/CCNUCC 報告書 “PROJECT DESIGN

DOCUMENT FORM FOR SMALL-SCALE CDM

PROJECT ACTIVITIES (F-CDM-SSC-PDD) Version

04.1(2013 年 11 月))

EFRF,i

車種iが消費する燃料

のCO2排出係数

(tCO2/MJ)

IPCCのデフォルト値より燃料種別CO2排出量は

ガソリン:0.0000693 tCO2/MJ)

軽油:0.0000742 tCO2/MJ

を用いる。

SFCi

リファレンス車種iの

燃料消費量

(l/km)

車種iの燃料消費量 ( SFCi ) は、以下の3つのオプ

ションから順に適用可能性を検討して決定する

① 本調査での燃費実測値(満タン法で算出)

ガソリン車:19 km/L

ディーゼル車:12.7 km/L

② 既存データに基づく保守的デフォルト値

(世界市場での車種別実燃費公表サイトの数値)

(http://www.fuelly.com/)

ガソリン車:16.6 km/L

ディーゼル車:16.7 km/L

③ 車種i及び同等車輛のカタログ燃費

(英国エコカー情報“ネクストグリーンカー”より)

(http://www.nextgreencar.com/used-car-search/)

ガソリン車:17.4 km/L

ディーゼル車:17.5 km/L

EFelect,y プロジェクト車輛が使

用する電力のCO2排

2013年11月コスタリカ小規模CDMプロジェクトより

0.000062.86tCO2/kWhとする。

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II - 79

出係数(tCO2/kWh)

電力は緊急時を除き国内で賄われている。今後予想

される国内電力需要増加に伴い、電力の発電源構

成比率の変動や、電力の輸入等の有無について継

続的にモニターした上で、必要に応じてプロジェクト

排出量を再度算出しなおす。

SECPJ,i,y プロジェクト車輛の

電費(kwh/km)

当該車輛の電池容量(24kwh)と日本仕様でのカタロ

グ航続距離(228km)より0.105 kwh/kmとする。

TDLy 電力供給における平

均送配電損失

The World Bank の国別データから 11%とする。

( http://data.worldbank.org/indicator/EG.ELC.LOSS.

ZS)