セブって

こんなところ

　セブと聞くと、お

そらくほとんどの人

が、真っ白いビーチ

とエメラルドグリー

ンの海を思い浮かべ

るのではないだろう

か。たしかに世界的

なビーチリゾートは

セブの代表的な顔。

五つ星のホテルが連

なり、日本を含め多

くの国からの観光客

を魅了している。

　しかしセブにはもう一つの顔がある。そ

れは隣接するマクタン島（空港やリゾート

のある島）の経済特区とセブ本島のＩＴ産

業である。経済特区には三十年以上前から

日本企業を中心にさまざま

な製造業が進出し、ＩＴ産

業はここ数年でインドと並

ぶ世界的なＢＰＯセンター

として成長している。また

日系の、オンラインで学ぶ

英会話スクールや留学して

学ぶ英会話スクールが急増

して注目を浴びている。在

留邦人数は五〇〇〇人とも

いわれている。

　今年は国際空港の新ターミナルが完成、

ますますセブへのアクセスが便利になり、

観光と産業を通して日本との絆

きずなが強まって

いる。日本人会主催の「ＢＯＮ　ＯＤＯＲＩ」

は日本の伝統とセブの文化が融合したイベ

ントとしてセブにしっかり根づいている。

セブの教育事情

　セブの教育環境で最も特徴的なことは、

私立学校はすべて英語で授業をしている点

にある。フィリピンには七〇〇〇余の島が

あって非常に多くの言語が話されている事

情から、国語のフィリピノ語（タガログ語）

と共に英語が共通語として定着している。

セブでは多くの人々が自分たちの母語であ

るビサヤ語を好み、タガログ語よりも英語

に愛着を持っている。したがって生活にゆ

とりのある家庭では子どもを幼稚園から私

立学校に通わせて英語を習得させている。

大学でも英語による授業が主なので、おの

ずと英語に磨きがかかり、海外またはセブ

の外資系企業での就職につながっていく。

　二〇一六年から学校制度が変わり、大学

入学まで十年だった就学期間が十二年に延

長された。公立学校では教師や施設の整備

が不十分なために午前と午後の二部制にな

っているようだが、これも私立学校志向に

拍車をかけているようである。インターナ

ショナルスクールはＩＢを採用している学

校が一校あるほか、数校ある。教育に対す

38月刊 海外子女教育 2018.10

セブ日本人補習授業校Cebu Japanese SchoolURL http://www.ja-cebu.com/school/index児童生徒数　小＝24人　中＝11人　日本語学級＝23人

校舎のあるビル

サント・ニーニョ教会

ひな祭りの行事で

0º

15º

180º 165º 150º 135º 120º 105º 90º 75º 60º 45º15º 0º 15º 30º 45º 60º 75º 90º 105º 120º 135º 150º 165º

15º

30º

30º

45º

45º

60º

75º

60º

75º

MAPIO / Copyright©NijiX

1:100,000,000 赤道縮尺

Worldミラー図法

0 1 2 3 4cm

0 1000 2000 3000 4000km

フィリピン

セブ★

海外校シリーズ●フィリピン●

セブ補習授業校

る関心は高く、日本の学習塾チェーンをは

じめ、町のいたるところに塾の看板が見ら

れる。音楽などの情操教育も人気がある。

セブの補習校はこんな学校

　セブには戦前、数百人規模の日本人コミ

ュニティーがあり、全日制の日本人学校が

あった。学校は日本人社会の中心であり、

毎年在留邦人が参加する運動会が盛大に行

われていたと外務省の記録に残っているそ

うだ。しかし戦争によりすべてが失われて

しまった。そして一九八三年、我が子のた

めに学校を創ろうという親たちの熱意が実

り補習授業校が誕生した。幼稚部七人、小

学部六人、講師二人が個人宅を借用しての

授業だったとのことである。二〇〇二年、

日本人会と商工会の事務所の移転に伴い、

現在のビルに引っ越した。

　駐在員家庭の増減、東日本大震災による

原発避難、英語教育への関心等、日本社会

の変化に伴い子どもたちのバックグラウン

ドや人数も大きく変わってきた。現在は親

といっしょにセブに根を下ろした子どもた

ちが増えていて、日本語の習得が大きな課

題になっている。

　本校では日本の教科書に沿った授業をす

る教科書クラスと日本語の習熟に重きを置

く日本語クラスがある。複式学級や日本語

習熟度によるクラス編成のため多年齢の学

級が少なくないが、年齢の壁を超えた交流

や刺激がある。また、ＪＬＰＴ（日本語能

力試験）を目指す子どもたちのための特別

授業も実施し、目標に向かってがんばる姿

が見られる。海外で生活する子どもたちに

日本人としてのアイデンティティを持って

もらうため、正月の餠つきや書き初め、節

分、ひな祭り、端午の節句等の季節感あふ

れる行事にも力を入れている。特に十月の

大運動会は家族総出、お弁当持参で和気あ

いあいの輪が広がる。

　本校の子どもたちの多くは

日本語、英語、ビサヤ語、タ

ガログ語に堪能で、卒業生は

日本、フィリピン、そのほか

の国での進学と、さまざまな

進路を歩んでいる。一人ひと

りが日本人として、国際人と

して大きく成長していくこと

が関係者一同の願いである。

（二〇一八年六月現在）

39 月刊 海外子女教育 2018.10

中学生が鬼になって節分の豆まき！

日本から先生を招いて飾り寿司講習

中学部　社会

新年会の餠つき

日本語クラス　マニラ日本人学校による巡回指導授業

小学部４年　漢字カルタ

飾り寿司がきれいにできました

子 ど も た ち か ら