「中小BtoC企業のための 正しいマスコミ活用法」

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「中小BtoC企業のための

正しいマスコミ活用法」

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たった10円の費用でマスコミに掲載され、自社のブランドを構築

する方法があるのをあなたはご存知だろうか?

テレビをつければ、いろんな会社、いろんな商品が目に飛び込んでくる。そ

れは資金力のある大手の会社が、何千万円、何億円もかけてコマーシャルを

作り放送しているが、中小企業が同じことをするのはほぼ不可能だろう。

かといって、お客を集客するためにはまず認知してもらわなければならない

わけで(どんなに良い商品を扱っていようとも「知ってもらえなければ存在

しないのと同じ」である。口コミしてもらうにも初回のお客さんが来てくれ

てはじめて発生するものだ。)、広告費に売上げの数十パーセントをつぎ込

んでいる会社も少なくは無いだろう。

しかし、たった 1 枚の FAX をマスコミに送ることで、記事としてテレビやラ

ジオ、新聞等のマスメディアに取り上げられ、どのような媒体に出した広告

よりも反響を得ることができる方法があるのをあなたはご存知だっただろう

か?前号でも触れたが、マスコミに対する PR 活動がそれである。

数年前であれば誰も知らなかった手法だが、今では賢い会社は案外誰でも使

っているものである。あなたは「あの会社だけ何度もマスコミに取り上げら

れてうらやましいなぁ・・・」「なんであの会社だけマスコミに取り上げられ

るんだ?」と思ったことはないだろうか?そういう会社はマスコミが情報を

かぎつけて取材をしているのではなく、企業側から情報発信をしてマスコミ

に取り上げてもらえるようお願いをしている場合が多いのだ。

あなたは今までこのような方法を知らずにいたとしたら、広告費に無駄なお

金を使ってきたことがバカらしく思えてくるかもしれない。しかし、安心し

て欲しい。今度はあなたがその恩恵を得る番なのだから。

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マスコミにでるためのプレスリリース方法

プレスリリース方法を具体的にお話ししていこう。

A4用紙に「報道用資料」と掲載して、必要事項を書き、ファックスでマス

コミ各社へ送付する。ファックスする前に、告知する上でのポイントが3つ

ある。

① プレスリリースの形式を守ること

ニュースとして取り上げられるにはそれだけの魅力のある内容で無けれ

ばならないが、客観的な言葉でなるべく広告色の強い表現・誇張表現は

避けること。あれもこれもと情報をだらだらと書くのではなく、A4 1 ペ

ージに収まるよう 5W1H に気をつけ簡潔明瞭に書くことを心がけること。

具体的なプレスリリース様式は次ページに記載する通りである。

※日経プレスリリース(http://release.nikkei.co.jp/)に様々な業界

のプレスリリースが毎日配信されている。こちらをご覧頂きプレスリリ

ースの様式の全体の雰囲気を読み取るのも良いだろう。

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報道関係者各位

NO-○○○○ ○○年○月○日

○○株式会社

本社所在地

タイトル(一目で惹きつける言葉を練る)

リード文 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

(※「です・ます」調にする。リリースのエッセンスを4・5行でこのリー

ド文に盛り込む。客観的な言葉で書き、宣伝色の強い表現は一切廃すこ

と!)

本文 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

(※5W1H を落とさず、重要な順に説明する!客観的な事実だけを書こう。

新商品などであれば、強みや差別化されたポイントを納得できる形で示そ

う)

■このプレスリリースに関するお問い合わせは下記まで

○○株式会社 広報担当 ○○○○

TEL:

FAX:

E メールアドレス:

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② 全部を見せない。言わない。

記者の元には毎日大量のリリースが FAX・メール・封書で送られてくる。そ

の中で自社のリリースに目を留めてもらうためには、記者が興味を持ってく

れるような何らかの工夫が必要になる。

それには、

①キャッチコピーの部分で目を引く表現にしなくてはならない。

そして、

②リリースの段階ではその全貌を明かさないこと。

(雑誌の見出しのように情報を「出し惜しみ」することで記者は、見えない

部分に興味を引かれてあなたの前にやってくる。どこまで伝えるかのバラン

スは大切だが、全てを伝えてしまったら取材する必要性は無くなってしまう

だろう。)

この 2 点が重要になる。

③ 視聴者にとってどんなメリットがあるかを明記する

記者が興味を引くような見出しを書き、「もっと中身を知りたい」と思わせ

るようなリリース内容を書く、この 2 点がクリアできたとしても、あなたの

記事を取り上げることで、それを読む(見る)消費者に果たしてどのような

メリットがあるのか?が伝わっていなければどんなに記者本人が興味を持と

うと記事として取り上げられる可能性を少ないだろう。

マスコミは、企業の利益目的の広告宣伝や消費者にメリットのないことは取

り上げてはくれない。リリースにおいては、必ずその記事が消費者にどのよ

うなメリットがあるかを明確にしておく必要がある。(企画の段階で練に練

った切り口を考えなくては、記事として取り上げられることはない。)

記者から貴方に連絡があるかどうかは、この一点にかかっているといっても

過言ではない。

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【プレスリリースで最も肝心なこと】

マスコミに対するプレスリリースは近年多くの会社が行っており、掲載率は

年々低下していると言われている。そんな中でマスコミに取り上げられる可

能性を少しでも高めるために最も重要なことは、前述した通り「プレスリリ

ースの切り口を工夫すること」である。

例えば、リリースする内容が「かわいい子猫が六匹生まれました。かわいが

ってくれるかた募集中」「脅威のダイエット食品日本上陸。今、お買い求め

の方に無料でもう一箱プレゼント中!」。これでは取り上げてくれません。

マスコミに取り上げられるにはいくつかの抑えるべきポイントがある。

① その時々のトレンドにあった時事性の高い内容であること

社会にはその時々のトレンドがあります。それは何かの商品であったり、

イベントであったり、事件であったりします。少し前だと、IT、産業廃

棄問題、ワールドカップなど。大衆を一気にひきつけるもの、それがトレ

ンド。

大衆が注目してるトレンドと、自分の題材とを掛け合わせて最先端の話題

をつくってしまうやり方。すると極めて高い確率で取材でうけることがで

きる。例えば、現在はやっている言葉を、タイトルにそのまま流用するだ

けでも反応は変わるだろう。

② 社会に貢献できる活動であること

社内の CSR 活動やコンプライアンス遵守、ボランティア活動等、社会貢献

性の高い内容を PR し、消費者に良いイメージを持ってもらえば効果的で

ある。マスコミは読者が興味をもつ話題を提供し、視聴率や販売部数を伸

ばすことで利益を出す。それが彼らのビジネスである。一方で、社会に対

して問題提起したり、立場の弱いものを助けるための言論活動を行うこと

も彼らの役目。マスコミは当然のごとく社会貢献性の高い企業の活動(ボ

ランティア活動など)に関心が高く、この手の内容を売り込むと記事にな

りやすい。

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(もちろん、マスコミに取り上げられたいがためではなく、あくまでお客

様の利益になるために催すのが筋であることを忘れてはならない。本当に

お客様ためになる良い商品を扱っていることが前提で、より多くの方に喜

んでいただく為にメディアの力を借りるという感覚でなければならない。

虚偽や誇張など事実に反した内容を PR することは、逆に消費者とマスコ

ミからの信頼を損ねる危険があることを理解しておかなくてはならにな

い。)

お客に持たれたいイメージと自身のありのままになるべくブレが生じない

ように気をつけることが大切である。

※他にもマスコミに取り上げられる要素は、「新規性」(業界で新しい情報

であること)、「独自性」(他の会社には無い自社独自の試みであること)、

「プレゼント企画」(マスコミは自分達の媒体の視聴者・読者に対し商品を

提供してくれる企業を探している。視聴者・読者にメリットがあるというこ

とは、自社媒体の視聴率や購読者数にも良い影響を及ぼすということになる

ので、御社とマスコミの間では WIN-WIN の関係ができるということだ。)

などがある。

マスコミは、企業の売りこみは絶対取り上げてくれないが、消費者や社会の

ためになる情報ならば積極的に掲載してくれる。従って、今までの「自社の

利益ばかりを追求してきた」方針から、「いかにして社会貢献企業になる

か?」という、一見売上げから遠ざかるように思える経営方針に勇気を持っ

て変えることで、逆にマスコミの力を借りて格段に事業ステージを飛躍させ

ることができた企業も少なくはない。

事業運営の本来のあるべき形はマスコミと協力関係を持つことによって実現

することが可能になるのである。

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【マスコミから連絡があった場合の対応】

さて、今度は実際にマスコミ各社から連絡あった場合、取材当日には、なに

を用意し、どのような対応をすれば良いのかをお伝えしていこう。

まず「プロフィール」と「質問案」を用意しておく。あなたのプロフィール

を用意しておくことは説明するまでもない。自分を詳しく知ってもらい、自

社のことを詳しく明かさなくてはならない。

質問案とはなにか?なぜ用意するのか?

質問を用意することの目的は、こちら側に都合の良い質問をしてもらうため

だ。せっかく取材にきてもらっても、こちらの意図する記事をかいてもらわ

なければ意味がない。

そこで、質問してもらいたいことを事前に用紙に書き出して、記者に渡すよ

うにする。すると記者も何を質問しようか考える予定が省け、書かれた質問

事項をそのまま質問してくる。こちらの意図する内容をそのまま記事にして

もらうことも可能になる。

もう一点大切なことは、記事をこちらの電話番号、もしくはホームページア

ドレスを必ず掲載してもらうように頼むことである。読者に対するオファー

(プレゼント)を必ず用意し、以下のようにお願いすると良い。

「記事を見た読者が、さらに詳しく理解できるように、今回○○を○個用意

しました。希望者へ無料進呈したいと思っているのですが、つきましては、

私共の電話番号を紙面に掲載して頂くことはできませんでしょうか?」

読者にメリットがあるオファーであれば、記者はきっと喜んで掲載してくれ

るだろう。連絡先を掲載してもらわなければ、記事掲載してもらうことの意

義(広告出稿した場合よりも高い反応を得ること)が半減するので、必ずお

願いすることだ。

もちろん、仮に電話番号が不可能であったとしても、ある一つのマスコミ媒

体に出ることで、それを見た他媒体の記者が興味を持ち新たに取材を申し込

んでくる場合もあるし、記事掲載された内容を持って営業に回れば初期段階

での信頼獲得も比較的容易になるだろう。

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また、今日では記事を見た消費者が直接電話で問い合わせをしてくるのでは

なく、「インターネットでどのような企業なのかを確認する」というワンク

ッションが入る傾向が強いが、マスコミも同様の傾向にあるようだ。リリー

スの内容や記事掲載された内容はなるべく自社の HP の目に触れやすい場所

に掲載しておくことも、マスコミ掲載の可能性を高めるためには不可欠なこ

とであると言えるだろう。

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【そうは言っても、絶対にマスコミから連絡があるとはかぎらない。】

こちらがどんなに万全な準備をしたと思っていてもマスコミから全く取材を

されない時もある。しかしそのような場合でも決してあきらめてはいけない。

こちらのリリースに問題がある場合もあるが、「たまたま、そういう企画が

なかった」「たまたま、旬の話題ではなかったから」「たまたま、他にニュ

ースバリューのある記事があった」ということが案外多い。

たまたま今回は見送られたが、タイミングさえ合えば、取材にやってくる可

能性は極めて高いのである。一回リリースしてダメだったからといって、

「どうせ自社には記事として取り上げられるだけの価値は無いんだ…」と悲観

的になり、あたかもこれからずっと報道されることは無いかのようにあきら

めてしまうことはどんなに勿体の無いことかを理解しておいて頂きたい。

(マスコミ掲載をあきらめる方の中には、「公に出るのは恥ずかしい」とい

う方がたまにいるが、自社は本当にお客様のためになる事業を運営している

のだと自信を持って言えるのであれば、それを態度に示して頂きたい。マス

コミ掲載への熱意=商売への熱意と言えるのだから。)

もちろん、常識的なルールを逸脱した形式や内容でアプローチを続ければブ

ラックリストに載ることは間違いないが、ルールをしっかり守った上であれ

ば根気良く定期的にプレリリースを送るべきである。広告を出して集客を試

みることを考えれば、FAX1 枚でマスコミ掲載を狙うこの方法を続ける方が、

長期的に見ても数倍効率が良いはずだ。

マスコミは記事を探している。それが本当にお客や社会の為になる企画だと

自負するならば、何度でもチャレンジすべき。記事として取り上げられなけ

ればその理由を担当記者へ電話でヒヤリングし、それを次回のリリースに活

かすようにすれば必ず取り上げられるようになる。

変な下心は持たずに、地道な努力と商売に対する誠実さがあってこそマスコ

ミ PR は成功するものなのである。

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☆ マスコミ戦略の注意点(1)

これまで述べてきたとおり、マスコミ戦略は経営において非常に有効なもの

であることを私は否定はしない。しかし、有効だとされ重宝され続けるマス

コミ戦略には大きな落とし穴が存在することを同時に認識しておかなくては

ならない。

2008 年からPR・広報の認定試験もスタートするということで、ますますそ

の手法は企業の間で認知度が深まり一般化していくことだろうが、PR 戦略の

ノウハウが広まることはその情報価値が小手先のテクニックにまで下がり、

「本当に価値のあるものだからマスコミに取り上げられる」そういう時代で

は本当に無くなってしまう危険性をはらんでいる。

そして生活者もマスコミが現実をあるがままの姿で伝えないことに気づくの

に拍車をかけてしまうことを私は危惧している。(企業側の「自薦」である

“広告”が、だんだんと消費者に受け入れられなくなってきたのと同じよう

に。)

PR 活動が企業のマーケティング戦略として一般化することにより、テレビや

新聞などメディアの信頼性や権威性は確実に薄れていく可能性があると私は

思う。

マスコミに反応する人たちは流行廃りに敏感に反応する人たちで、もともと

そのカテゴリーの商品に深いこだわりを持っている層(オピニオンリーダ

ー)ではないことが多い。

市場拡大のために新規客の裾野を広げるにはPR戦略は有効かもしれないが、

そうやって集まる“ミーハー”なお客が彼らが自分達が本当に付き合いたい

客なのかというと、決してそうではない場合があるであろうことを、前もっ

て覚悟しておかなくてはならないだろう。

また、マスコミに取り上げられ一時的に売り上げが上がったからと浮かれて、

既存の優良顧客に対するコミュニケーションがおろそかになってしまうよう

では、彼らのロイヤリティを下げてしまうことにもなりかねず、それが結果

として自社の寿命を逆に短くしてしまうことだってある。

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☆ マスコミ戦略の注意点(2)

実際、それほど社会性の高い商品ではなく本来ならば記事として取り上げら

れるようなことは無いものであっても、“ペイドパブリシティ”という手法

により「お金を払って記事にしてもらう」ことが可能である。

大した商品を扱っていないのにマスコミに取り上げられることだってできる

わけだが、本当に扱っている商品の質が良くなければ「テレビでは良いって

言ってたけど…全然だったね」と悪い口コミを一気に広めてしまう可能性も

秘めている。

ブランド構築にはあなたが本当に世のため人のためになる商品を扱い、それ

に見合ったマインドを持っていることが大前提。そして自分の商品の良さを

本当にわかってくれるファンからの評判が広まっていった結果その評判が広

がりメディアに取り上げられるという形が自然な形なのだ。

テクニックに走ると必ず足元をすくわれる。PR 戦略を単なる「お金をかけず

にできる広告戦略」に終わらせるのか、(それだけならまだしも自社の寿命

を短くするために使うのか)はたまた、自社のブランド価値を高める戦略と

して活用できるのか、は、その本質を理解しているかどうかが大きな鍵とな

る。

PR は単にお金をかけずに広告ができるだけではなく、自らいくら「これは良

いですよ」と叫んでもだれも信じてくれないこの世の中で「全くの他人から

のお墨付き」を得られることで信頼性・信憑性・相対評価を一気に高めるこ

とができることが何よりの利点と言える。ブランドを一気に高めるためには

PR 活動が欠かせない。しかし、もちろん中身が伴っていなければそれは逆効

果となることだけは忘れてはならない。

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☆ マスコミ戦略の注意点(3)

ブランド構築を前提として商売を考えた場合、オピニオンリーダーを売り手

の仲間に加えることができるかどうか?が市場で成功する鍵となる。

いくらPRでマスコミや権威の力を多用しても、もしその商品がオピニオン

リーダーの趣向を無視した、中身はないが単に「新しい」程度のコンセプト

のものだったとしたら、瞬間的には報道に踊らされたイノベーター・マジョ

リティ層によりブーム・トップセラーを生み出すかもしれないが、トレン

ド・ロングセラーになることは難しいことを理解しておくこと。

通常の大衆性の高い媒体(地方新聞紙や民放テレビ)でのPRは主にイノベ

ーターとマジョリティに対する訴求効果はある。しかし、それが特に中身が

無く、例えば「新しさ」だけを売りにしただけの薄っぺらなPRであれば、

ブランドイメージを逆に下げることにつながりかねない。

以前のレポートでも述べたが、マジョリティは明確な価値判断基準を持つ人

は少なく、彼らに受け入れられたからと言って、彼らがその商品の良さを本

当に理解して選んだわけではないことを理解しておく必要がある。

マジョリティには「みんなが選んでいるものを選んでおけばひとまず安心」

という傾向があるが、日々常に様々な新しいものが取りざたされている時代

では、また新しいものが話題になれば一気にそちらに移ってしまい昨日まで

もてはやされていたものが明日には捨てられてしまうかもしれないというこ

とを意味する。

また、オピニオンリーダーはあまりにも一般大衆に広まりすぎた物はいくら

良いものであったとしてもそれを所有したいとは思わなくなる。希少性があ

るからこそそれを所持する自分の自己顕示欲が満たされるのだ。大衆化し陳

腐化したものにブランド価値はない。

このことから、マスコミ PR においてもいかに消費者に価値判断基準を理解

させるか?また、もともとその良さをわかってくれるオピニオンリーダーが

興味を持つようナメッセージを伝えられるか?が大切であることがわかるだ

ろう。

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PRの正しいやり方は、オピニオンリーダーが情報源としているような権威

性や専門性の高い媒体を狙うこと。マジョリティより先にオピニオンリーダ

ーに情報を与え彼らの好反応を得てから、彼らの力も借りながらその他の 8

割の一般消費者に徐々に良さを啓蒙していく。本当はオピニオンリーダーだ

けを相手にして商売をするぐらいの気持ち(ビジネスモデル)の方がブラン

ド価値は長続きする。

マジョリティの中でも本当に良さを理解できるお客のみを少しずつ啓蒙して

オピニオンリーダーに育てていく姿勢が必要。誰にでも、何でもかんでも売

るような節操のない態度は誰からも支持されなくなることを肝に銘じて「ブ

ランディング」も「PR 戦略」も行わなくてはならない。

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※ ブランディングレポートはできればプリントアウトして読み返してみてく

ださい。日にちを置いていただいても結構です。その時その時の自分が置

かれている状況や問題意識の違いによってきっと読むたびに新しい気づき

が得られることと思います。ぜひ、次の章を読み進める前にこの章で気づ

いたこと、ひらめいたことなど、何でも書き留めておいてください。今は

大したことではないように思えても、将来あなたにブレイクスルーをもた

らす宝になるかもしれません。

(この章を読んで学んだこと・気づいたこと)

(今までの自分から一歩抜け出す為に、“今”できること(すべきこと)は何か?この章を読んで思いつい

たことは何か無いか?)

(それをやり遂げたあかつきには、将来どのような良いことが待っているのか?)

(自分はそれをいつまでにやり遂げるのか?)←必ず守れる期限を決めてください。