Talitha, koumTalitha, koum. ジェンダープロジェクト...

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ジェンダープロジェクト ニュースレター『タリタ・クム』号外 <テリー・ロビンソン司祭のメッセージ> 英国聖公会のテリー・ロビンソン司祭(全聖公会中央協議会事務局「教会と 社会における女性部門」ディレクター)は、「恐れるな」という言葉が印象 的な力強いメッセージで信徒と教役者の心を動かし、私たちが先へ進むた めの励ましを与えてくださいました。 「女性たちは追放の地(a place of exile)からやって来たのです。私たちは、 証人としても、世界に対するキリストの器としても、十全に神に仕えるこ とを許されない場所からやって来ました。しかし追放された者、よそ者で あったことを覚え続けなければなりません。その記憶はよそ者として疎外 されている人たちの個々の経験を理解し、世界の片隅に押しやられている共同体と連帯する助けになるの ですから」。 ※説教全文訳は管区ホームページで。英語版、韓国語版もあります。 「女性の司祭按手 20 年感謝の祈り」 プログラムを終えて <喜びと痛みの 20 年から、新しい歴史をつくる一日へ> 「女性の司祭按手 20 年感謝プログラム」実行委員会 女性デスク(司祭大岡左代子、吉谷かおる)、正義と平和委員会ジェンダープロジェクト(篠田茜、司祭金善姫、 聖職候補生下条知加子、松山マリ)、司祭上田亜樹子、司祭笹森田鶴、司祭大町信也、北川規美子、木川田道子 特集 ~新しい歌を主に向かってうたおう~ 2018 11 30 日~12 1 日、「女性の司祭按手 20 年感謝プログラム」がナザレ修女会と日本聖公会 東京教区聖アンデレ主教座聖堂を会場に行われました。これは、1998 12 12 日に日本聖公会で最初 の女性の司祭按手(渋川良子司祭/中部教区)が行われてから 20 年となること を記念して企画されたものです。感謝とともに速報をお伝えします。 11 30 日 リトリート> プログラムは、ナザレ修女会での女性教役者リトリート(黙想指導・上田亜樹 子司祭)から始まりました。翌日の聖餐式を控え、 22 名の女性教役者がともに 黙想の時を過ごしました。午後 3 時の開始を目指して各地から集まった女性 の教役者は、日常から少し離れて自分自身や普段の思いに向き合う貴重な時 間を過ごしました。ゆったりと流れる時間の中で呼吸を整えること は、いつも忙しい生活に慣れている者には意外と難しいことです。 ゆっくりと息を吐き、ゆっくりと吸う…この非常に単純な動作の中 で、参加者には様々な思いが去来したことと思います。実質的には 半日もないとても短い時間でしたが、特に「Angel Card」(one word の書いてあるカードを黙想してからひく)の時間は、それぞれが一 言の Word に意味を見出し、また沈黙の中にあって、少しだけ近況 を分かち合う大切な時間でした。閉会時には、順霊母様から力強い 励ましの言葉をいただきました。<これまでも、これからも祈られ ている>ということに深く感謝し押し出されるような思いで 8 30 分、聖アンデレ主教座聖堂へ出発しました。 12 1 日 聖餐式> リトリートに参加した女性の教役者と当日合流した女性の教役 者に、主教団はじめ多くの教役者の方も加わり、全国から参列し た約 200 名の会衆と、聖アンデレ主教座聖堂で感謝の礼拝がささ げられました。司式は、按手順で一番新しい司祭である麓敦子司 (京都教区)。赤いストールを身に着けた数多くの女性の教役者 が男性の教役者とともに聖餐式を執り行う姿は、颯爽として威厳 に満ち、聖霊の風が吹き渡るのを感じさせるものでした。 “Talitha, koum” 「少女よ、私はあなたに言う。起きなさい」 (マルコ 541) 日本聖公会 正義と平和委員会・ジェンダープロジェクト 号外 2019 1 25 162-0805 東京都新宿区矢来町 65 日本聖公会管区事務所気付 正義と平和委員会 ・ジェンダープロジェクト 03-5228-3171 発行責任者:篠田 茜 ご支援くださった日本聖公会婦人会はじめ全国の婦人会、教会、団体、個人のみなさまのお力 でこのプログラムが実施できたことに、心よりお礼を申し上げます。また会場を提供し惜しみな くご協力くださったナザレ修女会と東京教区、企画段階から全面的なご協力をいただいた主教会 と心強いサポートをいただいた管区事務所に、深く感謝申し上げます。素晴しい奏楽をはじめ、 聖歌隊、受付やアッシャー、オルタ―などさまざまなことを担ってくださったみなさま、本当に ありがとうございました。 私たちの信仰共同体がさらに豊かなパートナーシップを築き、ジェンダーにかかわらず一人ひ とりがその賜物を生かした多様な働きをしていくことができますように。恐れずに「新しい歌」 を歌いましょう。 すべてのいのちの造り主である神さま、あなたは、あなたの平和をこの世に実現するために、わたし たち一人ひとりをその担い手として招いてくださいます。20 年前、日本聖公会に女性の司祭按手の道 を拓き、また、性を越えて、一人ひとりがありのままで、神さまから与えられた賜物を輝かせて生きるよ うにと、わたしたちを祝福してくださっていることに感謝いたします。 わたしたちは、あなたを信じ、あなたの力にすべてを委ねます。あなたのあたたかい翼をわたしたち の上に広げ、聖霊の息吹きによってわたしたちを満たし、あなたと共に働き、この世界と教会を新たに する者とならせてください。そして、慈しみと愛に満ちた世界を造りだすことができますように。 主イエス・キリストのみ名によってお祈りいたします。アーメン

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Page 1: Talitha, koumTalitha, koum. ジェンダープロジェクト ニュースレター『タリタ・クム』号外. <テリー・ロビンソン司祭のメッセージ> 英国聖公会のテリー・ロビンソン司祭(全聖公会中央協議会事務局「教会と

ジェンダープロジェクト ニュースレター『タリタ・クム』号外

<テリー・ロビンソン司祭のメッセージ>

英国聖公会のテリー・ロビンソン司祭(全聖公会中央協議会事務局「教会と

社会における女性部門」ディレクター)は、「恐れるな」という言葉が印象

的な力強いメッセージで信徒と教役者の心を動かし、私たちが先へ進むた

めの励ましを与えてくださいました。

「女性たちは追放の地(a place of exile)からやって来たのです。私たちは、

証人としても、世界に対するキリストの器としても、十全に神に仕えるこ

とを許されない場所からやって来ました。しかし追放された者、よそ者で

あったことを覚え続けなければなりません。その記憶はよそ者として疎外

されている人たちの個々の経験を理解し、世界の片隅に押しやられている共同体と連帯する助けになるの

ですから」。 ※説教全文訳は管区ホームページで。英語版、韓国語版もあります。

「女性の司祭按手 20 年感謝の祈り」

プログラムを終えて

<喜びと痛みの 20 年から、新しい歴史をつくる一日へ>

「女性の司祭按手 20 年感謝プログラム」実行委員会

女性デスク(司祭大岡左代子、吉谷かおる)、正義と平和委員会ジェンダープロジェクト(篠田茜、司祭金善姫、

聖職候補生下条知加子、松山マリ)、司祭上田亜樹子、司祭笹森田鶴、司祭大町信也、北川規美子、木川田道子

特集

~新しい歌を主に向かってうたおう~ 2018 年 11 月 30 日~12 月 1 日、「女性の司祭按手 20 年感謝プログラム」がナザレ修女会と日本聖公会

東京教区聖アンデレ主教座聖堂を会場に行われました。これは、1998 年 12 月 12 日に日本聖公会で最初

の女性の司祭按手(渋川良子司祭/中部教区)が行われてから 20 年となること

を記念して企画されたものです。感謝とともに速報をお伝えします。

<11 月 30 日 リトリート>

プログラムは、ナザレ修女会での女性教役者リトリート(黙想指導・上田亜樹

子司祭)から始まりました。翌日の聖餐式を控え、22 名の女性教役者がともに

黙想の時を過ごしました。午後 3 時の開始を目指して各地から集まった女性

の教役者は、日常から少し離れて自分自身や普段の思いに向き合う貴重な時

間を過ごしました。ゆったりと流れる時間の中で呼吸を整えること

は、いつも忙しい生活に慣れている者には意外と難しいことです。

ゆっくりと息を吐き、ゆっくりと吸う…この非常に単純な動作の中

で、参加者には様々な思いが去来したことと思います。実質的には

半日もないとても短い時間でしたが、特に「Angel Card」(one word

の書いてあるカードを黙想してからひく)の時間は、それぞれが一

言の Word に意味を見出し、また沈黙の中にあって、少しだけ近況

を分かち合う大切な時間でした。閉会時には、順霊母様から力強い

励ましの言葉をいただきました。<これまでも、これからも祈られ

ている>ということに深く感謝し押し出されるような思いで 8 時

30 分、聖アンデレ主教座聖堂へ出発しました。

<12 月 1 日 聖餐式>

リトリートに参加した女性の教役者と当日合流した女性の教役

者に、主教団はじめ多くの教役者の方も加わり、全国から参列し

た約 200 名の会衆と、聖アンデレ主教座聖堂で感謝の礼拝がささ

げられました。司式は、按手順で一番新しい司祭である麓敦子司

祭(京都教区)。赤いストールを身に着けた数多くの女性の教役者

が男性の教役者とともに聖餐式を執り行う姿は、颯爽として威厳

に満ち、聖霊の風が吹き渡るのを感じさせるものでした。

タ リ タ ・ ク ム

“Talitha, koum”

「少女よ、私はあなたに言う。起きなさい」 (マルコ 5:41)

日本聖公会 正義と平和委員会・ジェンダープロジェクト

号外 2019年 1月 25日

〒162-0805

東京都新宿区矢来町 65

日本聖公会管区事務所気付

正義と平和委員会

・ジェンダープロジェクト

℡ 03-5228-3171

発行責任者:篠田 茜

ご支援くださった日本聖公会婦人会はじめ全国の婦人会、教会、団体、個人のみなさまのお力

でこのプログラムが実施できたことに、心よりお礼を申し上げます。また会場を提供し惜しみな

くご協力くださったナザレ修女会と東京教区、企画段階から全面的なご協力をいただいた主教会

と心強いサポートをいただいた管区事務所に、深く感謝申し上げます。素晴しい奏楽をはじめ、

聖歌隊、受付やアッシャー、オルタ―などさまざまなことを担ってくださったみなさま、本当に

ありがとうございました。

私たちの信仰共同体がさらに豊かなパートナーシップを築き、ジェンダーにかかわらず一人ひ

とりがその賜物を生かした多様な働きをしていくことができますように。恐れずに「新しい歌」

を歌いましょう。

すべてのいのちの造り主である神さま、あなたは、あなたの平和をこの世に実現するために、わたし

たち一人ひとりをその担い手として招いてくださいます。20 年前、日本聖公会に女性の司祭按手の道

を拓き、また、性を越えて、一人ひとりがありのままで、神さまから与えられた賜物を輝かせて生きるよ

うにと、わたしたちを祝福してくださっていることに感謝いたします。

わたしたちは、あなたを信じ、あなたの力にすべてを委ねます。あなたのあたたかい翼をわたしたち

の上に広げ、聖霊の息吹きによってわたしたちを満たし、あなたと共に働き、この世界と教会を新たに

する者とならせてください。そして、慈しみと愛に満ちた世界を造りだすことができますように。

主イエス・キリストのみ名によってお祈りいたします。アーメン

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渋川良子司祭「神さまのみ心で女性の聖職の門を開けるお役を…」

ジェンダープロジェクト ニュースレター『タリタ・クム』号外

さぁコントが始まるよ!「Back to the Future 2028→2018」

コントby「なんちゃって聖公会劇団」

プログラムの中盤、この日のために結成された即席「なんちゃって聖公会劇団」がコント「Back to the Future 2028→2018」を披露し、女性の働き人100年の歴史を交流会参加者と振り返りました。設定は今から10年後祝会2028年の「女性の司祭按手“30”年感謝プログラム」会場。登場したのは、最近になって神学校に行くことを考え始めた年若

い「アジュコさん」、中堅?女性の司祭「サヨコさん」、しっかりものの信徒「ミチコさん」。3人は、女性の教役者がなかなか増えてこなかったここ数十年の教会の現状を振り返る一方で、実は意外にも100年ほど前には多くの女性たちが教会を通して多様な働きをしていたことを、“聖公会の生き字引”元シスターのアグネスさんから教えてもらいます。・・・男性の教役者が少なかった時代、女性たちは災害により生活の基盤を失った子どものため、結核療養所やハンセン病療養所、女性たちの職業訓練、ある時は、身に付けた裁縫や教会刺繍の技術を生かし仕事を請け負ったりしながら、教会ワーカーとして働いていました。・・・100年前の女性たちの生き方は、今を生きる私たちや教会のこれからのありようを考えるのに何かヒントになりそうです。コントの最後には、少し先の時代を生きる3人からこんなメッセージが会場の参加者に贈られました。「育て!教会ワーカー」「つながっていこう」「性別に関わらずすべての人がそれぞれに持っている豊かな賜物を発揮して教会の多様な働きに参与して

いこう!」・・・さて、あなたの描く未来は・・・?

景山恭子さん(ニューヨーク在住メトロポリタン・ジャパニーズ・ミニストリー)司祭按手を20年前に受けられた姉妹たちの「待つ霊性」を想います。これからの20年、今待っている人たち、これから待つ人たちにも

同じ様々な力があたえられますように。

バーバラ・ハリス主教(米国聖公会の最初の女性の主教)

私は皆さんが掲げたテーマ「新しい歌を主に向かってうたおう」を心に留めています。

そしてまさに新しい歌を歌う時が来ていると思います。皆さんの「新しい歌」に、多くの希望が託されますように。

大韓聖公会からのゲスト閔淑姫(ミンスッキ)司祭、金姫英(キムヒヨン)司祭、趙明淑(チョウミョンスック)執事

女性の教役者たちより一言のメッセージ

セウォル号の犠牲者、日本軍「慰安婦」、

4.3済州事件の市民運動バッチ

会場には応援団のブースがありました。「バン・サーイ・ターン共の会」と「リグリマ・ジャパン」

<交流会>

「弱者への連帯」に向けて、パートナーシップをより強く!

植松誠首座主教、女性の司祭が多く働いている京都教区の高地敬主教、退職された山野繁子司祭、小貫ツマ司祭、吉岡容子司祭からもスピーチ

退職された山野繁子司祭2014年東京で行われた女性フォーラムの写真を

お借りしました。

説教者のテリー・ロビンソ司祭を囲んで退職された吉岡容子司祭と共に