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NEWS RELEASE 1 2016 年 3 月 1 日 報道関係各位 日本ケイデンス・デザイン・システムズ社 先進運転支援システムのための交通標識認識システムの開発期間を プロトタイピング・プラットフォームにより 70%削減 広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所小出准教授らの研究グループとケイデンス・デザ イン・システムズ社は、広島大学で開発された交通標識認識のためのハードウェア向けアルゴリズ ムをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(Protium TM )へ搭載して、アルゴリズムの 開発時間を 70%削減したことを発表しました。 またこの成果は,長崎で開催された電子情報通信学会主催のデザインガイア 2015(平成 27 年 12/1~12/3)において、「道路速度標識認識システムのRapid Prototyping Platform への実装」 という研究内容で発表すると共に、国際カーエレクトロニクス技術展 2016(平成 28 年 1/13~ 1/15、東京ビックサイト)において、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社のブースで展示を 行いました。 近年、自動車普及台数増加による交通事故の増加が深刻化していますが、交通事故の主な原因と して発見の遅れ、判断・操作ミスなど運転者によるものが挙げられます。これらの事故の要因を取 り除くため、運転手の操作をアシスト(支援)することで事故そのものを防ぐ先進運転支援システ ム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)が注目されています。また、ADAS は車載 向けアプリケーションの中でも最も急速な成長を遂げている分野の一つで、特に車載カメラを通し て道路標識を認識し、ドライバーに通知するシステムに関する研究が近年盛んです。 そこで,本研究では、ADAS システムの一つとして、車両前方に取り付けた単眼カメラからの画 像から速度標識を検出して、標識の速度を即時に読み取る組込みシステムの開発を目的としました。 広島大学が開発した交通標識認識アルゴリズムは、矩形パターンマッチング、円検出、数字認識 の 3 処理で構成され、夜間や雨天時、標識に傾きや歪みがある場合にも対応できるものです。また、 簡単な計算で抽出可能な特徴量を使い、瞬時に道路標識認識を行うことができるため、非常に小型 な集積回路に実装することが可能であるという利点があります。今回、広島大学は、3 つの処理の うち矩形パターンマッチングをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(Protium TM )へ 実装し、ハードウェアとソフトウェアの協調設計を行うことで、システムの最適化と開発期間の短 縮を行いました。

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    2016 年 3 月 1 日

    報道関係各位

    日本ケイデンス・デザイン・システムズ社

    先進運転支援システムのための交通標識認識システムの開発期間をプロトタイピング・プラットフォームにより70%削減

    広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所小出准教授らの研究グループとケイデンス・デザ

    イン・システムズ社は、広島大学で開発された交通標識認識のためのハードウェア向けアルゴリズ

    ムをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTM)へ搭載して、アルゴリズムの

    開発時間を 70%削減したことを発表しました。

    またこの成果は,長崎で開催された電子情報通信学会主催のデザインガイア 2015(平成 27 年

    12/1~12/3)において、「道路速度標識認識システムの Rapid Prototyping Platform への実装」

    という研究内容で発表すると共に、国際カーエレクトロニクス技術展 2016(平成 28 年 1/13~

    1/15、東京ビックサイト)において、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社のブースで展示を

    行いました。

    近年、自動車普及台数増加による交通事故の増加が深刻化していますが、交通事故の主な原因と

    して発見の遅れ、判断・操作ミスなど運転者によるものが挙げられます。これらの事故の要因を取

    り除くため、運転手の操作をアシスト(支援)することで事故そのものを防ぐ先進運転支援システ

    ム(ADAS: Advanced Driver Assistance System)が注目されています。また、ADAS は車載

    向けアプリケーションの中でも最も急速な成長を遂げている分野の一つで、特に車載カメラを通し

    て道路標識を認識し、ドライバーに通知するシステムに関する研究が近年盛んです。

    そこで,本研究では、ADAS システムの一つとして、車両前方に取り付けた単眼カメラからの画

    像から速度標識を検出して、標識の速度を即時に読み取る組込みシステムの開発を目的としました。

    広島大学が開発した交通標識認識アルゴリズムは、矩形パターンマッチング、円検出、数字認識

    の 3 処理で構成され、夜間や雨天時、標識に傾きや歪みがある場合にも対応できるものです。また、

    簡単な計算で抽出可能な特徴量を使い、瞬時に道路標識認識を行うことができるため、非常に小型

    な集積回路に実装することが可能であるという利点があります。今回、広島大学は、3 つの処理の

    うち矩形パターンマッチングをラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTM)へ

    実装し、ハードウェアとソフトウェアの協調設計を行うことで、システムの最適化と開発期間の短

    縮を行いました。

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    ラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム(ProtiumTM)は、ケイデンス・デザイン・シ

    ステムズ社が開発している、早期の設計段階からハードウェアとソフトウェア開発が可能なプロト

    タイピング・プラットフォームです。これを用いることにより、プロトタイプの立ち上げ時間を従

    来と比較して最大 70%削減し、何ヶ月もかかっていた工程を数週間に短縮することによって生産性

    を向上することができます。今回の広島大学の報告は、複雑な画像処理システムのプロトタイプの

    早期立ち上げに効果的な実証事例の一つとなりました。

    小出准教授らの研究グループでは、標識認識アルゴリズムおよびシステム開発を加速するため、

    ケイデンスと緊密に協議を行いラピッド・プロトタイピング・プラットフォームの適用をすすめて

    きました。これによりプロトタイプシステムの立ち上げにかかる期間を短くすることができ、アル

    ゴリズム開発に集中することができると考えています。今後は、ProtiumTM を活用したソフトウェ

    ア/ハードウェアの協調設計による更なる改良をおこない、アルゴリズムとハードウェア開発の生産

    性向上を目指していきます。

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    図1:プロトタイプシステムにおける動労速度標識の認識例

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    写真1:国際カーエレクトロニクス技術展 2016(平成 28 年 1/13~1/15、東京ビックサイト)

    での展示の様子。

    電 子 情 報 通 信 学会 デ ザ イ ン ガイ ア 2015のホ ーム ペ ー ジ は 下 記の URL を ご 参 照く だ さ い。http://www.ieice.org/~vld/

    国 際 カ ー エ レ クト ロ ニ ク ス 技術 展 2016のホ ーム ペ ー ジ は 下 記の URL を ご 参 照く だ さ い。http://www.car-ele.jp/

    Protium の詳細な情報は、http://www.cadence.com/products/sd/protium_rapid_prototyping/pages/default.aspxをご覧ください。

    Cadence および Cadence ロゴは Cadence Design Systems, Inc.の登録商標です。

    その他記載されている製品名および会社名は各社の商標または登録商標です。

    この件に関する問い合わせ先

    コーポレート・マーケティング部

    TEL: 045-475-2311 FAX: 045-471-7772

    E-mail: [email protected]

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    【用語説明】

    アルゴリズム:問題を解くための手順を定式化した形で表現したものを言う。「 算法」と訳される

    こともある。 「問題」はその「解」を持っているが、アルゴリズムは正しくその解を得るための具

    体的手順および根拠を与える。

    集積回路:特定の複雑な機能を果たすために、多数の素子を一つにまとめた電子部品である。 主に

    半導体で構成された電子回路が、複数の端子を持つ小型パッケージに封入されている。

    先進運転支援システム(ADAS):車載向けアプリケーションの中で、最も急速な成長を遂げている

    分野の一つです。 数々の機能が、運転者への警告、車外へのより良好な 視認性のほか、パーキン

    グ・アシストや適応 クルーズ・コントロールなどもサポートします。

    ハードウェア・ソフトウェア協調設計:ハードウェア部とソフトウェア部からなるシステムの設計

    手法である。両部の設計を連携させながら,かつ同時並行的に進める。従来は,ハードウェア部と

    ソフトウェア部は別々に設計し,最後に統合するのが一般的だった。ハード・ソフト協調設するこ

    とで,従来手法に比べて,性能やコストの最適化が図りやすくなる。

    ラピッド・プロトタイピング・プラットフォーム:製品開発において、試作品(prototype)を高

    速(rapid)に製造する技術をラピットプロトタイピングと呼ぶ。集積回路設計の場合には、ハード

    ウェアとソフトウェアの開発を同時並行的に行うことができる開発環境のことを示す。