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の時代二度の交代劇はその象徴的な出来事と捉える こともできそうだ。 株式の時価総額は、その企業に対する株式市場の評価を 示す尺度としてシンプルで分かりやすい。そして、横比較 が容易だ。前述のアップルもこの後株式の分割を予定し ているが、株価は発行株数の増減によって容易に絶対額が 変動する。また、PER などの株価指標は業種や国・地域に 7月31日、米アップルの株価が急伸。過去最高を更新し て時価総額が1.8兆米ドルを超え、世界最大の上場企業の 座に返り咲いた。それまで世界最大だったのはサウジア ラビアの国営石油会社サウジアラムコ。国家事業として 昨年12月に上場、それとともに世界一の上場企業となっ た「超大型新人」は、8カ月でその座を譲り渡したことにな る。ちなみにアップルが初めて時価総額世界1位の企業と なったのは、2011年8月。この時も世界一だった企業は石 油会社、エクソンモービル。原油は現代史の主役として位 置付けられる重要資源、しかし、これからはハイテク機器 時代を映す鏡? MONTHLY NEWS LETTER ビジネスと投資に役立つマンスリーニューズレター 写真:ロイター / アフロ BIBLE OF INVESTMENT 投資のバイブル NEO ECONOMY 世界の知性が挑む経済の謎 MONEY FOR PRESIDENT 高橋FPの社長が知りたいお金の話 金と上手に付き合う方法 MONEY CLIP マネークリップ 続く低金利、「第三の道」探す必要も September | 2020 Ձ૯Ͱ ݟΔ ג デジタルシフトが加速する世界経済。それを象徴する出来事が株式市場で起こっている。 時価総額首位の交代だ。今月は時価総額ランキングの移り変わりを見てみよう。 横比較が容易な株式時価総額、 過去のランキングを見ると…

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Page 1: MONTHLY NEWS LETTER...なったのは、2011年8月。この時も世界一だった企業は石 油会社、エクソンモービル。原油は現代史の主役として位 置付けられる重要資源、しかし、これからはハイテク機器

の時代―二度の交代劇はその象徴的な出来事と捉えることもできそうだ。

 株式の時価総額は、その企業に対する株式市場の評価を示す尺度としてシンプルで分かりやすい。そして、横比較が容易だ。前述のアップルもこの後株式の分割を予定しているが、株価は発行株数の増減によって容易に絶対額が変動する。また、PERなどの株価指標は業種や国・地域に

 7月31日、米アップルの株価が急伸。過去最高を更新して時価総額が1.8兆米ドルを超え、世界最大の上場企業の座に返り咲いた。それまで世界最大だったのはサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ。国家事業として昨年12月に上場、それとともに世界一の上場企業となった「超大型新人」は、8カ月でその座を譲り渡したことになる。ちなみにアップルが初めて時価総額世界1位の企業となったのは、2011年8月。この時も世界一だった企業は石油会社、エクソンモービル。原油は現代史の主役として位置付けられる重要資源、しかし、これからはハイテク機器

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時価総額で見る株式市場デジタルシフトが加速する世界経済。それを象徴する出来事が株式市場で起こっている。時価総額首位の交代だ。今月は時価総額ランキングの移り変わりを見てみよう。

横比較が容易な株式時価総額、過去のランキングを見ると…

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よって水準の乖離が大きい。もちろん、単純に規模が大きければ良いということではないし、発行株数に対して実際に取引される株式の数が少なければ、そこに歪みが生じるので注意が必要だろう。 この株式時価総額の過去のランキングを見てみるのも面白い。為替の流れが大きく反転したプラザ合意の1985年。当時は日本経済にかなりの勢いがある時代であり、世界の株式時価総額ランキングには日本企業が3社も入っている。その後しばらくの期間、上位の常連となる NTTはまだ上場していない。 現在もIT企業に勢いがあるが、元祖ITバブルともいえる1999年はどうだっただろうか。確かにマイクロソフトや NTT ドコモ、インテルなどが上位に並び、情報通信産業の勢いが感じられるが、顔ぶれから、当時はまだハードが中心だったと見ることができそうだ。 北京五輪を控え、10% を超える経済成長を続けていた中国が注目された2007年は、やはり中国企業が数多くランクインしている。また当時は、コモディティブームとも呼ばれ、原油や鉄鉱石などさまざまな資源の価格が高騰していた時代。ランキングには資源関連の企業の名前も目立っている。

 時代の流れを映すともいえる株式時価総額のランキング。改めてアップルが1位となった7月末のトップ10の顔ぶれを見てみよう。10社のうち7社までがテクノロジー企業、そして同じく7社が米国の企業となっている。 今回の主役交代の背景には、感染症の拡大で人の移動や接触が制限されたことにより、デジタル空間への依存が深まるという、いわゆるデジタルシフトの影響がある。そのデジタル世界で影響力を発揮しているのが米国企業、続いて独自の勢力圏を確保している中国企業であるということをこのランキングからも読み取ることができるだろう。 また、この4つの年度のランキングを見た時に浮かび上がるのが米国の強さ。下の二つの表では日本企業の名前は消えているが、米国企業はどのランキングにも入っており、かつその顔ぶれが変わっている。これは新しい企業が大きく成長できる米国経済の強さを象徴しているといえそうだ。

* 昔に比べると身近になった外国株の取引。それでも、株といえば国内株が中心と考える方が多いのではないだろうか。もちろん、日本にもいい企業や応援すべき企業はたくさんある。しかし、「次のアップル」を探すのであれば、海外、とりわけ米国の企業を視野に入れる必要があるのではないだろうか。

加速するデジタルシフト、目立つ米国企業の強さ

■ 世界株式・時価総額上位10銘柄の変遷

(注)2020年は7月末時点 (出所)報道資料・Bloomberg等をもとに当社作成

1985年順位 銘柄名

1 IBM2 エクソン3 AT&T4 ゼネラル・エレクトリック

10 デュポン

1999年順位 銘柄名

2007年順位 銘柄名

2020年順位 銘柄名

時価総額(億米ドル)

1 マイクロソフト 6,010

2 ゼネラル・エレクトリック 5,072

3 NTTドコモ 3,681

4 シスコシステムズ 3,551

5 ウォルマート・ストアーズ 3,079

6 インテル 2,750

7 NTT 2,715

8 アルカテル・ルーセント 2,357

9 ノキア 2,197

10 ファイザー 2,045

時価総額(億米ドル)

1 中国石油天然気(ペトロ・チャイナ) 7,243

2 エクソンモービル 5,119

3 ゼネラル・エレクトリック 3,746

4 中国移動(チャイナ・モバイル) 3,540

5 中国工商銀行(インダストリアル・コマーシャル・バンク) 3,3836 マイクロソフト 3,331

7 ガズプロム 3,304

8 ロイヤル・ダッチ・シェル 2,649

9 AT&T 2,521

10 中国石油化工(チャイナ・ペトロケミカル) 2,498

時価総額(億米ドル)

1 アップル 18,173

2 サウジアラムコ 17,595

3 アマゾン・ドット・コム 15,851

4 マイクロソフト 15,514

5 アルファベット 10,102

6 フェイスブック 7,226

7 アリババ 6,734

8 テンセント 6,602

9 バークシャー・ハザウェイ 4,757

3,83710 ジョンソン・エンド・ジョンソン

6 住友銀行7 東京電力

9 三菱銀行

5 ブリティッシュ・テレコム

8 ドイツ銀行写真:Science & Society Picture Library/アフロ

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