HPE Gen10サーバーのIntelligent System Tuning...HPE Gen10 サーバーの Intelligent System...

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HPE Gen10 サーバーの Intelligent System Tuning はじめに このホワイトペーパーでは、サーバー管理者を対象として、 HPE Intelligent System Tuning ( ワークロード自動設定 ) 機能によって HPE サーバー環境のパフォーマンスを向上させる方法を説明しています。 部品番号 : 882269-002a 発行月 : 2017 12 エディション : 1

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HPE Gen10サーバーの Intelligent System Tuning

はじめに

このホワイトペーパーでは、サーバー管理者を対象として、HPEの Intelligent System Tuning (ワークロード自動設定 ) 機能によって HPEサーバー環境のパフォーマンスを向上させる方法を説明しています。

部品番号 : 882269-002a 発行月 : 2017年 12月 エディション : 1

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3目次

目次

Intelligent System Tuningの機能 ………………………………………………………… 4

Workload Matching ………………………………………………………………………… 5ワークロードプロファイルによるパフォーマンスの向上 ………………………………………………………… 5

Jitter Smoothing …………………………………………………………………………… 7プロセッサー内のジッターの原因 …………………………………………………………………………………… 7

P-stateおよび電力管理 ………………………………………………………………………………………… 7ターボ・ブースト ………………………………………………………………………………………………… 7C-state …………………………………………………………………………………………………………… 8電力および温度イベント ………………………………………………………………………………………… 8アドバンスト・ベクトル・エクステンション ………………………………………………………………… 8

ジッターおよびレイテンシ …………………………………………………………………………………………… 8プロセッサージッターコントロールの設定 ………………………………………………………………………… 9

自動チューニングモード ……………………………………………………………………………………… 10手動モード ……………………………………………………………………………………………………… 10UEFIシステムユーティリティによるプロセッサージッターコントロールの設定 …………………… 10iLO RESTful APIによるプロセッサージッターコントロールの設定 …………………………………… 11

プロセッサージッターコントロールによるパフォーマンスの向上 …………………………………………… 12

Core Boosting ………………………………………………………………………………… 15Processor Core Boostingアーキテクチャー …………………………………………………………………… 15Core Boostingのターボプロファイル …………………………………………………………………………… 16Core Boostingによるパフォーマンスの向上 …………………………………………………………………… 17Core Boostingコントロールの設定 ……………………………………………………………………………… 18Core Boostingのインテグレーテッドマネジメントログおよびエラーメッセージ ………………………… 19

Webサイト …………………………………………………………………………………… 20

サポートと他のリソース ……………………………………………………………………… 21ヒューレット・パッカード エンタープライズのサポートへのアクセス …………………………………… 21アップデートへのアクセス ………………………………………………………………………………………… 21カスタマーセルフリペア …………………………………………………………………………………………… 22リモートサポート …………………………………………………………………………………………………… 22保証に関して ………………………………………………………………………………………………………… 22規制情報 ……………………………………………………………………………………………………………… 23ご意見、ご感想 ……………………………………………………………………………………………………… 23

4 Intelligent System Tuningの機能

Intelligent System Tuningの機能

HPE ProLiant Gen10サーバー用の HPE Intelligent System Tuning (ワークロード自動設定 ) は、次の機能で構成されます。

• Workload Matching (ワークロード最適設定機能 )--事前に設定されたサーバープロファイルを使用してアプリケーションのパフォーマンスを最大化します。

• Jitter Smoothing (CPU安定化機能 )--プロセッサージッターコントロールの設定を使用して、周波数の変動 (ジッター ) を平準化してバランスをとり、レイテンシを抑えます。

• Core Boosting (CPUブースト機能 )--サポートされている場合、より多くのアクティブコアでパフォーマンスを向上させます。

注記 :

Core Boostingは、特定の HPE ProLiant Gen10 サーバー、インテルプロセッサー、およびハードウェア構成でのみ利用できます。

表 1: Intelligent System Tuningの前提条件

要件 WorkloadMatching

Jitter Smoothing Core Boosting

HPE Gen10サーバー ○ ○ ○1

インテルプロセッサー ○ ○ ○2

iLO 5 ○ ○ ○

iLO AdvancedライセンスまたはiLO Advanced Premium Security Edition ライセンス

○ ○

最小システムROM 1.00 staticの場合1.00

dynamicの場合1.20

1.20

iLOファームウェア 1.15 1.15

HPE Innovation Engineファームウェア 1.2.4 1.2.4

1 特定のサーバーのみ。ハイパフォーマンスヒートシンクおよびファンが必要。2 特定のインテルプロセッサーのみ。

Workload MatchingHPE製サーバーは、デフォルトの BIOS設定により、パフォーマンスと電力効率のバランスがとれた状態になっています。これらの設定は、特定のアプリケーションワークロードに合わせて調整できます。

HPE Gen10サーバーは、既知のワークロードベースのチューニングプロファイルを使用して BIOS設定をチューニングするために役立つ UEFI設定オプションを提供します。ワークロードプロファイルの設定を実際に展開されているワークロードに適合させると、購入時のままの BIOSのデフォルト設定を使用するよりもパフォーマンスを向上させることができます。

ワークロードプロファイルによる HPE Gen10サーバーのチューニングの方法について詳しくは、『HPE ProLiant Gen10サーバーおよび HPE Synergy用 UEFIワークロードベースパフォーマンスチューニングガイド』(http:// www.hpe.com/support/Workload-UG-en) を参照してください。

図 1: UEFIシステムユーティリティのワークロードプロファイルオプション

ワークロードプロファイルによるパフォーマンスの向上

サーバーのパフォーマンスを向上させるには、システムによって生成される以下のワークロードプロファイルを使用します。

[General Power E�icient Compute]

最も一般的なパフォーマンスおよび電力管理設定が適用されます。ワークロードに合わせて BIOS設定をチューニングしない場合に推奨される設定です。

5Workload Matching

6 Workload Matching

[General Peak Frequency Compute]

個々のコアの周波数を可能な最大値にするパフォーマンスおよび電力管理設定が適用されます。コンピュート時間を改善する

とワークロードにメリットがある場合に推奨される設定です。

[General Throughput Compute]

持続的なスループットが全体として最大になるパフォーマンスおよび電力管理設定が適用されます。NUMA (Non-uniformed Memory Access) 対応をサポートするために最適化されています。

[Virtualization - Power E�icient]

すべての仮想化オプションを有効にするパフォーマンス設定が適用されます。仮想化を妨げないように電力設定が管理され

ます。仮想環境に推奨される設定です。

[Virtualization - Max Performance]

すべての仮想化オプションを有効にするパフォーマンス設定が適用されます。パフォーマンスを最大化するために電力設定

が無効になります。仮想環境に推奨される設定です。

[Low Latency]

速度とスループットが抑制され、全体的なコンピューティングレイテンシを削減するために電力管理が無効になります。

RTOS (リアルタイムオペレーティングシステム ) ワークロードや、レイテンシが重視されるその他のワークロードに推奨される設定です。

[Mission Critical]

高度なメモリ RAS (信頼性、可用性、および保守性 ) 機能が管理されます。このプロファイルは、パフォーマンスを犠牲にしても基本的なサーバーのデフォルト設定を超えるサーバーの信頼性を実現したい場合に使用することが意図されていま

す。

[Transactional Application Processing]

ピーク周波数およびスループットが管理されます。バックエンドデータベースを必要とする OLTP (オンライントランザクション処理 ) アプリケーションを使用する環境などの処理環境に推奨される設定です。

[High Performance Compute (HPC)]

電力管理の無効化により、持続可能な利用可能帯域幅およびプロセッサーコンピューティングが最適化されます。従来の

HPC環境を実行する場合に推奨される設定です。

[Decision Support]

このプロファイルは、データマイニングや OLAP (オンライン分析処理 ) などのデータウェアハウスの操作やアクセスに焦点を合わせたエンタープライズビジネスデータベース (ビジネスインテリジェンス ) ワークロードに使用することが想定されています。

[Graphic Processing]

電力管理および仮想化が無効になり、I/Oとメモリの間の帯域幅が最適化されます。GPU (グラフィックスプロセッシングユニット ) を使用するサーバー上で実行されるワークロードに推奨される設定です。

[I/O Throughput]

I/Oとメモリの間のリンクに影響を与える電力管理機能が無効になります。I/Oとメモリの間の最大スループットに依存する構成に推奨される設定です。

[Custom]

ワークロードプロファイルが無効になります。特定の BIOSオプションを設定する場合に推奨される設定です。

7Jitter Smoothing

Jitter Smoothing

この数年間、サーバー製品では、世代ごとにプロセッサーベースでのパフォーマンスが向上しています。その大きな要因となっ

ているのは、コア数の増加と命令セットアーキテクチャーの効率化です。それ以前の数十年間とは異なり、CPUの基本周波数にはむしろ大きな変化はなく、コア数の増加やアーキテクチャーの機能強化によってパフォーマンスが向上しています。ただ

し、プロセッサーベンダーは、すべてのワークロードがコア数の増加の恩恵を受けるわけではないことを認識しはじめており、

そのために、電力ヘッドルームを活用できる場合や他のコアの使用率が低い場合に一部のコアの動作周波数を必要に応じて一

時的に引き上げる機能を導入しました。

これらの一時的な周波数の引き上げによりパフォーマンスを向上させることはできますが、望ましくない副作用も発生します。

まず、周波数の変化自体が、計算のジッター (すなわち非決定性 ) と望ましくないレイテンシを発生させます。これらのジッターとそれにともなうレイテンシが、一部の業界で問題を発生させます。たとえば、時間的条件の厳しいトランザクションに依存

する高頻度トレーダーは、周波数の変化によって非決定的に発生する可能性のある取引の数マイクロ秒の遅延を許容できませ

ん。これらの遅延は、長期的には、トレーダーにとって数百万ドル以上ものコストとなる場合があります。また、別の環境では、

RTOS (リアルタイムオペレーティングシステム ) を実行してクリティカルな機能を制御しているサーバーも、周波数を一時的に引き上げる機能が有効になっているときに発生するランダムなレイテンシを許容できません。

レイテンシを重視する環境における現在の傾向としては、通常はアプリケーションのパフォーマンスを向上させる機能が、関

連するジッターのために無効にされています。プロセッサーの動作速度が向上すれば取引速度も向上しますが、ランダムな遅

延によってコストが発生することになれば、パフォーマンス向上のメリットは失われます。

HPEでは、Gen10サーバーにプロセッサージッターコントロールを導入して、周波数の引き上げとジッターの抑制の両立を可能にしました。この機能により、周波数を一時的に変化させる管理機能によって発生するジッターを排除または抑制するこ

とができ、レイテンシ応答が改善され、スループットパフォーマンスが向上します。

注記 :

• この機能を使用するには、iLO Advancedまたは iLO Advanced Premium Security Editionライセンスが必要です。

• プロセッサージッターコントロールは、インテルⓇXeonⓇスケーラブル・プロセッサーを搭載した Gen10サーバーで利用できます。AMDプロセッサーを搭載したサーバーでは、この機能はサポートされません。

プロセッサー内のジッターの原因

インテルプロセッサーでは、動作周波数が変更されるたびにコアでジッターが発生します。プロセッサーの動作時に周波数が

動的に変化することについては、いくつかの考えられる原因があります。周波数の変更を要求する原因には、ソフトウェアが

引き起こすものと、プロセッサー自体が引き起こすものがあります。

P-stateおよび電力管理P-stateは、プロセッサーがソフトウェアに対して使用可能にする事前定義されたパフォーマンス状態です。これにより、ソフトウェアは、プロセッサーが提供できるパフォーマンスを制御できるようになり、ソフトウェアによるプラットフォームの

電力 /パフォーマンス効率の管理が可能になります。パフォーマンス状態は、プロセッサーが動作可能な特定の周波数にマッピングされています。電力管理ソフトウェアは、プロセッサーの使用率 (需要 ) が低いときに、電力を節約するためにP-state (周波数 ) を変更するようにプロセッサーに指示します。多くの場合、プロセッサーは、さまざまな動作周波数に対応するいくつかの異なる P-stateを提供します。

ターボ・ブーストインテルのターボ・ブーストは、プロセッサーが特定の条件を満たす場合に、仕様で規定されている基本周波数よりも高い周

波数で動作することを可能にします。この条件には、放熱量、部品温度、およびアクティブコア数 (有効になっているアイドル状態ではないコアの数 ) が含まれます。ターボ・ブーストが有効になっているときにこれらのプロセッサー上でワークロードが実行されると、プロセッサーは、必要に応じて一時的に周波数を切り替え、可能なかぎり高いパフォーマンスを実現しよ

うとします。ただし、ワークロードの要求は変化するため、それに応じて周波数も変化する可能性があります。周波数が変化

すると、周波数ジッターが発生するだけでなく、周波数の電気的な変更に必要なわずかなレイテンシが発生します。

つまり、ターボ・ブーストを有効にした場合の最終的な影響は、プロセッサーが制限内で最大限のパフォーマンスを実現しよ

うと試みるなかで、一般に、それが周波数を頻繁に変更することによって行われるというものです。

8 C-state

C-stateC-stateは、オペレーティングシステムがプロセッサーコアをアイドル状態にするときに使用するためにプロセッサーが電源管理ソフトウェアに提供する事前定義された省電力状態です。オペレーティングシステムは、プロセッサーを、使用可能になっ

ているいくつかの C-stateのいずれかに移行させます。C-stateの程度が深いほど、より多くの電力を節約できますが、その代償として、C-stateを終了して動作状態に戻るためのレイテンシが長くなります。インテルプロセッサーでは、電力の節約を試みる際、C-stateによってプロセッサーの周波数も低下します。C-stateが終了すると、C-stateで利用可能な最低周波数で動作しているプロセッサーは、それ以前に電力管理ソフトウェアによって要求されていた P-stateに戻るために追加の周波数変更を実行する必要があります。

C-stateは、プロセッサーが使用されていないときに電力を節約するために役立ちます。ただし、その状態への移行や終了のために大きなジッターが発生します。

電力および温度イベントプロセッサーは、設計の制約内で動作するように、周波数制限機能を使用することで、高温または過電流状態からそのプロセッ

サー自体を保護します。

周波数制限機能は、ワークロードによってホストにかかるストレスの量を制御します。ストレスレベルが高くなると、温度が

高くなり電流量も大きくなります。いくつかの要因により、高い動作温度や過電流状態が発生する可能性があります。サーバー

の周辺温度やエアフローなど要因のすべてが、プロセッサーの温度に重要な影響を及ぼします。

過電流状態は、プロセッサー内部で大量のリソースが消費されるような、要求レベルが非常に高く、消費電力の大きいワーク

ロードをプロセッサーが実行する場合に発生することがあります。また、ターボ・ブーストが有効になっている場合は、要求

レベルの非常に高いワークロードが実行されると、プロセッサーがパフォーマンス量を最大化しようとして消費電力が非常に

大きくなることで、過電流状態が発生することもあります。

アドバンスト・ベクトル・エクステンションサーバープロセッサーは、ロジックを利用することで複雑な演算を実行するアドバンスト・ベクトル・エクステンション (AVX) を提供しますが、これによりプロセッサー自体の内部での消費電力が非常に大きくなる場合があります。

チェック機能を有効にしない場合は、それらの命令によってプロセッサーの消費電力が最終的にさらに大きくなると、過電流

制御が必要になります。プロセッサーは、リアクティブに制御する代わりに、通常、それらの命令が実行されるときはつねに、

プロアクティブにコアをより低い周波数で動作させ、消費電力が極度に変動する可能性を制限します。

インテルプロセッサーでは、AVX命令の使用により、プロセッサー周波数が自動的に制限されます。これらの命令により、プロセッサーが周波数を自動的に制限し、場合によっては低下させることで、頻繁にジッターが発生します。

ジッターおよびレイテンシ

ジッターとレイテンシは直接的に関係しています。プロセッサーの周波数の変化によって発生するジッターは、ワークロード

ごとのレイテンシの変動となって現れます。プロセッサーが周波数を変化させる場合、新しく選択された周波数でプロセッサー

が動作可能になる前に、スレッドの実行を完全に停止させるプロセスが実行されます。このプロセスは、プロセッサーの周波

数が高くなるか低くなるかにかかわらず発生します。プロセッサーが停止する時間は一定ではありませんが、通常、10~ 15マイクロ秒です。プロセッサーの実行に依存するワークロードの場合、周波数の変更により、つねに 10~ 15マイクロ秒のレイテンシが追加されます。

9プロセッサージッターコントロールの設定

周波数変更は、多くの場合、サーバー上で実行されているアプリケーションタスクに対して非同期的であるため、アプリケー

ションの観点からは、これらのレイテンシがランダムで非決定的なものとなります。また、重要な点として、周波数を変化さ

せるプロセッサーが、実行中のアプリケーションに関して発揮するパフォーマンスのレベルも非決定的になることに注意して

ください。ソフトウェアは、周波数が低くなるにつれて動作が遅くなり、周波数が高くなるにつれて動作が速くなります。周

波数自体の相違は、アプリケーションが一定の実行時間に依存する場合に関係するレイテンシが一定にならないことも意味し

ます。

周波数の変化によって発生するレイテンシは、周波数の変更を許可するようにプロセッサーが設定されている (たとえば、ターボ・ブーストが有効になっている ) 場合にレイテンシを測定することで示されます。次の図は、プロセッサーが周波数を変更できる場合に 10~ 15マイクロ秒の範囲でレイテンシが急増する様子が示されています。

プロセッサーの周波数の変更で発生した

レイテンシイベント

図 2: 周波数の変化によるレイテンシ

プロセッサージッターコントロールの設定

プロセッサージッターコントロール機能は、インテル Xeonスケーラブル・プロセッサーを搭載する HPE ProLiant Gen10サーバー内のプラットフォームファームウェアを使用して、プロセッサージッターを抑制または排除します (Jitter Smoothing)。自動チューニングモードまたは手動モードに設定したり、この機能を無効にしたりするには、UEFIシステムユーティリティまたは iLO RESTful APIインターフェイスを使用します。

注記 :

ジッターコントロールでは、HPEパワーレギュレーターを OSコントロール以外のモードに設定する必要があります。ジッターコントロールを有効にしても、BIOSはパワーレギュレーターの設定を自動的に変更しません。これは、動作時にジッターコントロールが無効になると、システムがパワーレギュレーター設定の動作に戻るためです。

10 自動チューニングモード

自動チューニングモードプロセッサージッターコントロールを自動チューニングモードで動作するように設定する場合、HPEサーバーのファームウェアは、電力管理機能の影響を無効にして、動作時にプロセッサーに動的に調整を加え、周波数の変化によるジッターの発生を

排除します。自動チューニングモードで動作すると、プロセッサーは、最終的に、実現可能な最高の周波数で動作して、周波

数の変更を停止し、温度、電力、およびコア使用率の制限内で維持されるようになります。自動チューニングモードでは、以

下を原因とする周波数の変化が検出されると、周波数が低下します。

• C-stateへの移行

• AVXによる移行

• ターボモードへの移行 (電力、温度、およびコア使用率による )

• 温度制御

注記 :

• UEFIシステムユーティリティを使用して自動チューニングモードを選択すると、C-state設定も無効に設定されます。大半のオペレーティングシステムは、ACPI (Advanced Configuration and Power Interface) を介してサポートされるC-stateの BIOSレポートに依存しています。ただし、intel_idleドライバーをロードする一部の Linuxディストリビューションでは、C-stateサポートのACPIレポートが無視されます。自動チューニングを正常に機能させるには、カーネルブートコマンドのパラメーターに「intel_idle.max_cstate=0」を追加して、intel_idleドライバーを無効にする必要があります。

• ジッターコントロールは、すべてのプロセッサー上のすべてのコアに等しく影響します。

手動モードプロセッサージッターコントロールを手動モードで動作するように設定する場合、プロセッサーは、ユーザーが選択する周波

数よりも速く動作しないように設定されます。このモードでは、プロセッサーの周波数の変化が検出されても、ファームウェ

アは、ユーザーが選択した周波数の上限を動的に低下させません。手動モードは、最大動作周波数を設定することによって手

動のチューニングでジッター抑制したい場合に役立ちます。自動チューニングモードとは異なり、周波数が設定された値より

低くなっても、サーバーが動作周波数を永続的に低下させないため、制限条件がなくなるとプロセッサーはユーザーが選択し

た最大周波数に戻ることができます。

UEFIシステムユーティリティによるプロセッサージッターコントロールの設定

注記 :

プロセッサージッターコントロールを使用するには、iLO Advancedライセンス以上のライセンスが必要です。

UEFIシステムユーティリティにはプロセッサージッターコントロール設定オプションがあります。このユーティリティにはPOSTの実行中にF9キーを押すことでアクセスできます。[System Utilities]画面を開き、[System Configuration] > [BIOS/ Platform Configuration (RBSU)] > [Power and Performance Options] > [Advanced Performance Tuning Options] をクリックします。サーバーがジッターコントロールをサポートしており、iLO advancedライセンス以上のライセンスがインストールされている場合は、[Processor Jitter Control]と [Processor Jitter Control Frequency]の 2つのオプションを使用できます。

11iLO RESTful APIによるプロセッサージッターコントロールの設定

図 3: UEFIシステムユーティリティ (v1.10) の [Processor Jitter Control]オプション

[Processor Jitter Control]オプションには、[Disabled]、[Auto-tuned]、[Manual-mode]の 3つのモードがあります。[Auto-tuned]または [Manual-mode]を選択する場合は、[Processor Jitter Control Frequency]入力オプションも編集できます。この入力オプションにより、手動チューニングモードのターゲット周波数または自動チューニングモードの開始最大

周波数を選択できます。入力する周波数の単位はMHzです。入力した値は、システムファームウェアによって、プロセッサーが許容する最も近い周波数間隔に切り上げられます。たとえば、インテル Xeonスケーラブル・プロセッサーは、100MHz間隔での周波数の設定をサポートしています。そのため、2,050MHzを入力すると、搭載されているプロセッサーでサポートされていれば、結果的に周波数は 2,100MHzになります。

iLO RESTful APIによるプロセッサージッターコントロールの設定

注記 :

• プロセッサージッターコントロールを使用するには、iLO Advancedライセンス以上のライセンスが必要です。

• サーバー稼働時の RESTful APIサポートのために、以下の最小ファームウェアバージョンが必要です。

◦ iLOファームウェアバージョン 1.15

◦システム ROM (UEFI BIOS) バージョン 1.20

◦HPE Innovation Engineファームウェア 1.2.4

iLO 5サーバー管理は、サーバー管理コンポーネントとコンピュート機能全体を統合する RESTful APIを使用して、インテリジェントなリモートコントロールの自動化を実現します。RESTful APIを使用すると、Redfish APIへの準拠により HPE Gen10サーバーのライフサイクル全体を管理できます。

iLO 5 RESTful APIを使用すると、サーバー稼働中でも、プロセッサージッターコントロールを設定できます。ilorestなどのRESTfulインタフェースツールを使用すると、サーバーを再起動せずに、プロセッサージッターコントロールを [Disabled]、[Auto-tuned]、または [Manual-tuned]に切り替えることができます。RESTful APIにより、この設定変更を、サーバー上で実行しているツールからローカルまたはリモートで適用できます。さらに、自動チューニングモードでは、RESTful APIを使用して、ジッターの発生しない動作のためにサーバーがどの周波数で維持されているのかを確認できます。

動作時のプロセッサージッターコントロールに関連する、iLO RESTful APIによって提供されるプロパティにアクセスするための URIは「/redfish/v1/systems/1」です。プロセッサージッターコントロールのプロパティは、「{"Oem": {"Hpe":{"ProcessorJitterControl"}}}」にあり、FrequencyLimitMHzとModeの 2つの設定可能なプロパティが含まれています。以下に、RESTful APIによるプロセッサージッターコントロールの設定方法の例を示します。

• プロセッサージッターコントロールを、デフォルトの周波数を使用する自動チューニングモードに設定するには、次のプロパティを変更します。

{"Oem":{"Hpe":{"ProcessorJitterControl":{"FrequencyLimitMHz": 0,"Mode": "Auto"}}}}

• プロセッサージッターコントロールを、手動モード (2.6GHz) に設定するには、次のプロパティを変更します。

{"Oem":{"Hpe":{"ProcessorJitterControl":{"FrequencyLimitMHz": 2600,"Mode": "Manual"}}}}

• プロセッサージッターコントロールを無効にするには、次のプロパティを変更します。

{"Oem":{"Hpe":{"ProcessorJitterControl":{"Mode": "Disabled"}}}}

HPE Gen10サーバーでの iLO RESTful APIの使用について詳しくは、https:// www.hpe.com/us/en/servers/restful-api.htmlを参照してください。

NOTE:

CONREPは、動作時の動的更新用のユーティリティとしてサポートされていません。

プロセッサージッターコントロールによるパフォーマンスの向上

ジッターコントロールを使用してチューニングすることにより、従来からレイテンシの変化によって問題の発生しやすいワー

クロードや、過剰な周波数の変化によって影響を受けるワークロードにおいて最大限のパフォーマンスを実現できます。

これまでも、HPEテクニカルホワイトペーパーの『低レイテンシアプリケーション向けの HPE ProLiantサーバーの設定およびチューニング』に記載された方法で、レイテンシを抑制するためにサーバーをチューニングしている場合、P-state電力管理、C-state、およびターボモードを無効にすることにより、プロセッサーの周波数変更によって発生するジッターを排除することは容易に実行できます。ただし、ターボ・ブーストを有効にしたまま、プロセッサージッターコントロールも有効にすること

により、パフォーマンスを大幅に向上させることができます。

注記 :

テクニカルホワイトペーパーの『低レイテンシアプリケーション向けのHPE ProLiantサーバーの設定およびチューニング』は、次のWebサイトから入手できます。

http://h20564.www2.hpe.com/hpsc/doc/public/display?docId=emr_na-c01804533

プロセッサーの基本周波数を超え、ターボ・ブーストモードの最大周波数にいたる範囲の周波数の実現が保証されるわけでは

ありませんが、プロセッサーがターボ・ブーストの周波数範囲に含まれる特定の周波数に制限されている場合、ワークロード

が制限条件に達する可能性は高くありません。プロセッサージッターコントロールを自動チューニングモードで使用している

場合は、展開されているサーバーのワークロードおよび環境に適した周波数が動的に選択されます。その結果、自動チュー

ニングされた周波数が基本周波数よりも高い場合は、ターボ・ブーストを無効にするという控えめな方法よりもパフォーマン

スが向上します。次の図は、インテル Xeon Platinum 8180スケーラブル・プロセッサーを搭載した HPE ProLiant DL360 Gen10でプロセッサージッターコントロールを使用して実現できるパフォーマンスの向上を示しています。

12 プロセッサージッターコントロールによるパフォーマンスの向上

最大の 5.7%の範囲内

ベースラインから12%の

パフォーマンス向上

ベース周波数

ターボブースト +ジッターコントロール

ターボブースト

CPU周波数

(MH

z)

プロセッサーコントロールモード

図 4: プロセッサージッターコントロールの使用結果

プロセッサージッターコントロールを使用する場合、ターボ・ブーストを単独で有効にすることによって得られるパフォーマン

スをさらに上回る可能性もあります。ワークロードのためにプロセッサーがパフォーマンスを最大化しようとしてターボ・ブー

ストで頻繁に周波数を変更する状態になっているものの、十分な期間にわたって比較的高い周波数を維持できない場合は、よ

り高い周波数で動作しよとする試みによって得られるパフォーマンス向上の効果がなくなり、場合によっては、パフォーマン

スが低下することもあります。インテル Xeon Platinum 8180スケーラブル・プロセッサーを搭載した HP ProLiant DL360 Gen10を使用してサーバーサイド Javaワークロードを実行する場合は、ターボ・ブーストを単独で使用するよりもパフォーマンスが向上する可能性があります。

ベースライン

から 5.2%のパフォーマンス向上

ターボから 1.2%のパフォーマンス向上

ベース周波数

ターボブースト +ジッターコントロール

ターボブースト

パフォーマンス

サーバーサイド Javaワークロード

図 5: プロセッサージッターコントロールとターボ・ブースト結果の比較

ジッターコントロールは、周波数を変化させる原因を制限することによってレイテンシを抑制するように設計されています。

ジッターコントロールを有効にするとスループットパフォーマンスメトリックが影響を受けますが、ワークロードがレイテン

シの変動を許容できないか、コンピューティングレイテンシの変化によってコストが発生する場合は、レイテンシの急増を排

除することが重要になります。自動チューニングモードを使用すると、周波数の変化によって発生する 10~ 15マイクロ秒の範囲内のジッターを排除できます。

13Jitter Smoothing

次の図は、HPE Timetestツールで測定されたレイテンシを示しています。ジッターコントロールを使用せず、ターボモードを有効にする場合、Timetestの画面には、プロセッサーの周波数の変化によって発生する 10~ 15マイクロ秒のレイテンシの帯が示されます。自動チューニングモードで同じワークロードを実行する場合は、それらのレイテンシが示されません。

ジッターコントロールは自動調整モードジッターコントロールは無効

図 6: プロセッサージッターコントロールを使用する場合のレイテンシの比較

14 Jitter Smoothing

Core Boostingテクノロジーでは、プロセッサーを特定のユースケース、構成、および環境に適合させる、抑制され、最適化されたターボプロファイルが使用されます。Core Boostingプロセッサーは、HPEの電圧レギュレーターの革新的な設計と冷却テクノロジーによって追加されるサーバー電力および温度ヘッドルームを活用します。その結果、Core Boostingプロセッサーを搭載するシステムは、一般的な動作の抑制を軽減し、プロセッサーのコンピューティング性能を最大化することができ

ます。

たとえば、プロセッサーには、コアの数と、コアが動作する基本周波数があります。プロセッサーは、基本周波数よりも高い

周波数でプロセッサーコアを動作させるターボモードを備えている場合もあります。ターボモードでは、温度および電力容量

ヘッドルームを必要に応じて一時的に使用し、プロセッサーコアの動作周波数を向上させることができます。ターボモードは、

同じ TDP (熱設定電力 ) レベルを維持しながらプロセッサーのパフォーマンスを向上させることができます。

一部のプロセッサーでは、TDPおよび最大電力レベルが事前設定されています。これらのパラメーターを安全に維持するために、事前定義された設定は、通常、プロセッサーに融合され、ロックされます。これらの設定により、プロセッサーは、確実

に、標準の電気、温度、および電力設計仕様の範囲内で動作します。プロセッサーのターボプロファイルは、固定周波数レジ

スタとコア /周波数比レジスタを使用して、これらの制限条件に結合されています。電力制限は、TDPレベルに融合させることができます。規定されたTDPレベルを維持するために、CPUターボ周波数は、コア /周波数比レジスタで融合されたアクティブコアの数によって決定されます。ターボ周波数プロファイルでは、すべてのコアがアクティブである場合から単一のコアが

アクティブである場合まで調整が可能です。そのため、ターボ周波数は、ワークロード要求が低下することで、またはコアパー

キングやテクノロジーの無効化によって、使用されるアクティブコアの数が減少すると高くなります。

これらの融合された周波数レジスタおよびコア /周波数比レジスタにより、プロセッサーのコンピューティング容量が特定のレベルに制限されます。ただし、汎用コンピューティングプロセッサーでは、さまざまなワークロードや最悪温度条件に対応

するために、ターボプロファイルをより控えめに設定することができます。言い換えれると、ターボモードで、プロセッサー

が動作する特定の構成または環境が考慮されていない画一的なプロファイルが使用される場合があります。したがって、プロ

セッサーがその潜在的な最大性能を発揮できるようにチューニングされていない可能性があります。

Processor Core BoostingアーキテクチャーProcessor Core Boosting機能は、プラットフォームファームウェアを使用して、一部の HPE ProLiant Gen10サーバーのターボモードパフォーマンスを向上させます。プラットフォームファームウェアは、サポートされているプロセッサの存在を自

動的に検出し、デフォルトで Core Boostingを有効にします。Core Boost機能は、UEFIシステムユーティリティまたは iLO RESTful APIを使用して設定することもできます。

注記 :

Core Boostingを使用するには、iLO 5 Advancedライセンス以上のライセンスが必要です。

Core Boostingは、ハイパフォーマンスコンピューティング、仮想化、ビッグデータなどの主要なエンタープライズユースケースに対応するために最適化されたターボプロファイルを備えた一部のインテル Xeonスケーラブル・プロセッサーを使用します。Core Boostingプロセッサーはコンピューティング消費電力が高いため、ハイパフォーマンスのヒートシンクおよびファンが必要です。Core Boostingテクノロジーをサポートするプロセッサーを搭載したサーバーを注文する場合は、CTOプロセス中に必要なハードウェアが含まれます。現時点では、Core Boosting に対応したプロセッサーモデルは、以下のGen10サーバーで使用できます。

15Core Boosting

Core Boosting

表 2: Core Boosting SKU

○○

○○

○○

○○

○○

○○

サーバーIntel Xeon スケーラブル 6143

Gold (16C)Intel Xeon スケーラブル 8165

Platinum (24C)

HPE ProLiant DL380 Gen10

HPE ProLiant DL360 Gen10

HPE ProLiant DL580 Gen10

HPE ProLiant DL560 Gen10

HPE Apollo XL230k Gen10

HPE Synergy SY660 Gen10

HPE Synergy SY480 Gen10

Core BoostingのターボプロファイルCore Boostingプロセッサーでは、周波数およびコア /周波数比レジスタが抑制され、整数および SSE/AVX-1動作用にプロセッサーパフォーマンスが最適化されています。Core Boosting設定を使用すると、システムは、必要に応じて一時的に高いクロック周波数でワークロードを実行できます。次の図は、一般的なインテル Xeon 16コアプロセッサーと比較した場合の、MIPS (百万命令毎秒 ) 単位での Core Boostingのメリットを示しています。

この図は、ワークロードがより多くのアクティブコアで実行される場合に、Core Boostingではターボよりも高い周波数で実行されるため、オーバークロックなしで (インテルの保証範囲を逸脱することなく ) システムパフォーマンスが向上することを示しています。信頼性仕様も、Core Boosting機能を有効にしない場合と同様に維持されます。また、Core Boostingでは、この図のように、単一コアのアクティブクロック周波数が、Core Boostingを使用しない場合よりも高くなるため、シングルスレッドアプリケーションでもメリットがあります。

Core Boostingのターボプロファイル16

図 7: Core Boostingを使用する場合のアクティブコア

インテル Xeon v4以降のプロセッサーでは、AVX-2および AVX-3テクノロジーが、整数または AVX-1/SSE命令用のターボプロファイルとは異なるターボプロファイルを使用して実装されていました。AVX-2命令は 256ビットであり、AVX-3命令は 512ビット (AVX-2の拡張 ) です。AVX-2および AVX-3命令は、パフォーマンスを向上させるために役立ちますが、非AVXワークロードよりも多くの電力を消費します。ただし、プロセッサーのTDPを維持するために、基本周波数とターボクロック周波数が著しく低くなります。詳しくは、IntelのWebサイトで仕様を参照してください。Core Boostingプロセッサーの場合、AVX-2および AVX-3ターボプロファイルは、同等の一般的なインテル Xeon製品と同様の方法で維持されます。ただし、TDPが高い場合、Core Boostingプロセッサーモデルは、やはり、同等の一般的なインテル Xeonプロセッサーよりも高いパフォーマンスを発揮します。

Core Boostingによるパフォーマンスの向上全体として、Core Boostingでは、より多くのプロセッサーコアでより高いパフォーマンスを実現します。より多くのアクティブコアにおいて、同等の一般的なインテル Xeonプロセッサーよりも高いクロック周波数でワークロードを実行することにより、システムパフォーマンスを向上させることができます。さらに、Core Boostingは、コアおよびプロセッサーベースのライセンスモデルのライセンスコストを効果的に削減できます。このため、よりコア数の多い一般的な Xeonプロセッサーよりも優れた総所有コストが実現されます。

次の表は、さまざまな構成に関する SPEC CPU2006ベンチマークを 一般的なインテルプロセッサーの 6142 (16 コア ) および 6148 (20コア ) と Core Boosting 6143 (16コア ) の 3種類のプロセッサーに対して実行した結果を示しています。SPECint_base2006と SPECfp_base2006の結果は、シングルスレッドアプリケーションに関して一般的なインテルⓇ XeonⓇプロセッサーよりも Core Boostingの方が優れていることを明確に示しています。システムスループットの測定については、SPECint_rate_base2006と SPECfp_base2006の数値によって、Core Boostingのパフォーマンスが同等のインテルⓇ XeonⓇプロセッサーよりも優れていることが分かります。よりコア数の多いプロセッサーと比較した場合の Core Boostingのパフォーマンスの優位性も、同じベンチマーク結果によって明らかになっています。

Core Boostingによるパフォーマンスの向上 17

表 3: SPEC CPU2006ベンチマークの結果

DL380 Gen106143と6142の比較HT無効 + SSE4.2

6143と6148の比較HT無効 + SSE4.2

SPECint_base2006 (シングルスレッド) 6.91% 5.69%

SPECfp_base2006 (シングルスレッド) 5.97% 6.77%

SPECint_rate_base2006 (マルチスレッド) 13.97% -2.58%

SPECfp_rate_base2006 (マルチスレッド) 9.48% -1.57%

Core Boostingコントロールの設定

注記 :

Processor Core Boostingを使用するには、iLO 5 Advancedライセンス以上のライセンスが必要です。

Processor Core Boostingテクノロジー設定オプションには、UEFIシステムユーティリティで、[System Configuration] > [BIOS/Platform Configuration (RBSU)] > [Power and Performance Options] > [Advanced Performance Tuning Options] をクリックするとアクセスできます。サーバーが Core Boosting対応プロセッサーで構成されており、iLO advancedライセンス以上のライセンスがインストールされている場合は、[Core Boosting]オプションを使用できます。

[Core Boosting]オプションには、[Disabled]と [Enabled]の 2つのモードがあります。[Enabled]を選択すると、サーバーは、Core Boosting対応プロセッサーの拡張パフォーマンス機能を使用できるようになります。[Enabled]は、これらのプロセッサーがサーバーに搭載されていることをシステムが検出した場合のデフォルトオプションです。[Disabled]を選択すると、拡張パフォーマンス機能が無効になります。この場合、プロセッサーは、制限されたターボ周波数プロファイルを使用し、最大

消費電力機能が低下します。

図 8: UEFI システムユーティリティの Core Boosting オプション

Core Boostingコントロールの設定18

注記 :

[Core Boosting]オプションは、Core Boosting に対応したプロセッサーがシステムに搭載されている場合にのみ表示されます。

Core BoostingのインテグレーテッドマネジメントログおよびエラーメッセージCore Boostingをサポートするプロセッサーモデルを搭載した HP ProLiant Gen10サーバーでは、ライセンス要件が満たされていないことをプラットフォームファームウェアが検出した場合または Core Boosting機能が無効になっている場合に、IML (インテグレーテッドマネジメントログ ) にメッセージが生成されます。iLO Advancedライセンス以上のライセンスがインストールされていない場合、プラットフォームファームウェアはエラーメッセージを生成します。この場合は、iLO Advancedライセンス以上のライセンスをサーバーにインストールして、この状態を解消してください。

Core Boosting対応プロセッサーで構成されているシステムで Core Boostingオプションが無効になっている場合、プラットフォームファームウェアは情報エラーメッセージを生成します。このメッセージは、最適なプロセッサーパフォーマンスが制限されていることを示す警告です。

UEFIシステムユーティリティで、または iLO RESTful APIにより、Core Boostingオプションを再度有効にして、この状態を解消してください。

Core Boostingのインテグレーテッドマネジメントログおよびエラーメッセージ 19

Intelligent System Tuning

https://www.hpe.com/jp/ja/servers/management/tuning.html

iLOのWebサイト

iLO 5

http://www.hpe.com/support/ilo-docs

iLOライセンス

http://www.hpe.com/jp/servers/ilo

iLOモバイルアプリ

http://www.hpe.com/info/ilo/mobileapp

HPE iLO RESTful API (GitHub)

https://hewlettpackard.github.io/ilo-rest-api-docs/ilo5/

HPE ProLiant Gen8サーバー

http://www.hpe.com/info/proliantgen8/docs

HPE ProLiant Gen9サーバー

http://www.hpe.com/support/proliantgen9/docs

HPE ProLiant Gen10サーバー

http://www.hpe.com/support/proliantgen10/docs

一般的なWebサイト

ヒューレット・パッカード エンタープライズ情報ライブラリ

www.hpe.com/info/EIL

RESTfulインタフェースツール (GitHub)

https://hewlettpackard.github.io/python-redfish-utility

Single Point of Connectivity Knowledge (SPOCK) ストレージ互換性マトリックス

www.hpe.com/storage/spock

ストレージホワイトペーパーおよび分析レポート

www.hpe.com/storage/whitepapers

Webサイト20

Webサイト

ヒューレット・パッカード エンタープライズのサポートへのアクセス• ライブアシスタンスについては、次のヒューレット・パッカード エンタープライズの世界各地の連絡先に関するWebサイトを参照してください。

http://www.hpe.com/assistance

• ドキュメントおよびサポートサービスにアクセスするには、次のヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンターのWebサイトを参照してください。

次の情報を収集してください。• テクニカル サポート登録番号 (該当する場合 )

• 製品の名前、モデル、またはバージョンと、シリアル番号

• オペレーティングシステムの名前およびバージョン

• ファームウェアバージョン

• エラーメッセージ

• 製品固有のレポートおよびログ

• アドオン製品またはコンポーネント

• サードパーティ製品またはコンポーネント

アップデートへのアクセス

• 一部のソフトウェア製品では、製品のインターフェイスを通じてソフトウェアアップデートにアクセスするためのメカニズムが提供されています。製品のドキュメントを参照して、推奨されるソフトウェア更新方法を確認してください。

• 製品アップデートをダウンロードする場合 :

ヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンター

www.hpe.com/support/hpesc

ヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンター : ソフトウェアのダウンロード

www.hpe.com/support/downloads

ソフトウェアデポ

www.hpe.com/support/softwaredepot

• eNewsletterおよびアラートを申し込む場合 :

www.hpe.com/support/e-updates

• エンタイトルメントを確認および更新する場合や、契約および保証をプロファイルにリンクさせる場合は、次のヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンターのサポート資料へのアクセスに関する詳細情報のページを参照してください。

www.hpe.com/support/AccessToSupportMaterials

http://www.hpe.com/support/hpesc

サポートと他のリソース 21

サポートと他のリソース

重要 :

一部のアップデートにアクセスするには、ヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンターからアクセスする際に、製品エンタイトルメントが必要になる場合があります。関連するエンタイトルメントによってセットアップされた

HPEパスポートを用意してください。

カスタマーセルフリペア

ヒューレット・パッカード エンタープライズのカスタマーセルフリペア (CSR) プログラムにより、製品を修理することができます。CSR部品の交換が必要な場合、その部品をお客様に直接配送しますので、ご都合に合わせて取り付けてください。一部の部品は、CSRとして認められていません。CSRによる修理が可能かどうかについては、ヒューレット・パッカード エンタープライズのサポート窓口が判断します。

CSRについて詳しくは、HPEのサポート窓口にお問い合わせいただくか、次の CSRのWebサイトを参照してください。

http://www.hpe.com/support/selfrepair

リモートサポート

リモートサポートは、保証またはサポート契約の一環として、サポートされているデバイスで利用できます。これにより、イン

テリジェントなイベント診断が実行されます。また、ハードウェアイベント通知が安全な方法でヒューレット・パッカード エンタープライズに自動送信され、製品のサービスレベルに基づいて迅速かつ正確な問題解決が開始されます。デバイスのリモー

トサポートの登録を強くお勧めします。

製品に追加のリモートサポート詳細情報が含まれている場合は、検索によってその情報を特定してください。

リモートサポートおよびプロアクティブケアの情報 HPEGet Connected

www.hpe.com/services/getconnected

HPEプロアクティブケアサービスwww.hpe.com/services/proactivecare

HPEプロアクティブケアサービス : サポート対象製品のリストwww.hpe.com/services/proactivecaresupportedproducts

HPE Proactive Care Advancedサービス : サポート対象製品のリスト www.hpe.com/services/proactivecareadvancedsupportedproducts

プロアクティブケアのカスタマー情報ケアセントラル

www.hpe.com/services/proactivecarecentral

クティブケアサービスのアクティブ化 www.hpe.com/services/proactivecarecentralgetstarted

保証に関して

ご使用の製品の保証を確認する場合、またはサーバー、ストレージ、電源、ネットワーク、およびラック製品の安全性とコン

プライアンスに関する情報の関連資料を参照する場合は、次の企業の安全性およびコンプライアンスのWebサイトを参照してください。

www.hpe.com/support/Safety-Compliance-EnterpriseProducts

追加の保証情報HPE ProLiantおよび x86サーバーとオプション

www.hpe.com/support/ProLiantServers-Warranties

カスタマーセルフリペア22

HPEエンタープライズサーバーwww.hpe.com/support/EnterpriseServers-Warranties

HPEストレージ製品www.hpe.com/support/Storage-Warranties

HPE Networking製品www.hpe.com/support/Networking-Warranties

規制情報

ご使用の製品に適用される規制については、下記のヒューレット・パッカード エンタープライズサポートセンターで提供される、サーバー、ストレージ、電源、ネットワーク、およびラック製品の安全性とコンプライアンスに関する情報をご覧ください。

www.hpe.com/support/Safety-Compliance-EnterpriseProducts

追加の規制情報ヒューレット・パッカード エンタープライズは、REACH (Regulation EC No 1907/2006 of the European Parliament and the Council) などの法的要件に従って、自社製品に含まれる化学物質に関する情報をお客様に提供しています。本製品に含まれる化学物質の情報については、次のサイトをご覧ください。

www.hpe.com/info/reach

ヒューレット・パッカード エンタープライズ製品の環境および安全に関する情報や、RoHSや REACHなどの規制に対する準拠状況については、次のサイトをご覧ください。

www.hpe.com/info/ecodata

社内プログラム、製品リサイクル、エネルギー効率など、ヒューレット・パッカード エンタープライズの環境に対する取り組みについては、次のサイトをご覧ください。

www.hpe.com/info/environment

ご意見、ご感想

ヒューレット・パッカード エンタープライズは、お客様のニーズに合ったドキュメントを提供することを重視しています。ドキュメントの誤り、改善に向けた提案、その他お気づきの点がございましたら、[email protected]までメールにてお知らせいただければ幸いです。ご意見・ご感想をお送りいただく際は、ドキュメントの表紙に記載されているタイトル、部品

番号、エディション、および発行日を明記いただきますようお願い申し上げます。またオンラインヘルプの内容に関するご意見・

ご感想につきましては、法的通知ページに記載の製品名、製品バージョン、ヘルプエディション、および公開日を必ず明記し

てください。

規制情報 23