CodeV を活かした 設計技法のいろいろ - CYBERNET...sca dim i !...

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Jul. 2004 ORA/CodeV セミナ 2004 : CodeV を活かした設計技法のいろいろ 株式会社ジェネシア -1- CodeV を活かした 設計技法のいろいろ ORA / CodeVセミナー 2004 ユーザ事例発表 株式会社ジェネシア 池田優二 http://www.genesia.co.jp

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Jul. 2004ORA/CodeV セミナ 2004 : CodeV を活かした設計技法のいろいろ

株式会社ジェネシア

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CodeV を活かした設計技法のいろいろ

ORA / CodeVセミナー 2004

ユーザ事例発表

株式会社ジェネシア

池田優二

http://www.genesia.co.jp

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CodeV は特徴ある自動設計機能・設計支援機能を持っている。この事例紹介では、それらを活かす設計技法の

“いろいろ” を、レンズ設計の段階に沿って紹介する。

1:そもそも設計とは・・光学設計の考え方

2:設計の出発点に、どうやってたどり着くか

3:解の改良時の注意 (WTC と 統合・不等号制約条件)

4:レンズタイプの発展のさせ方

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そもそも設計とは・・・

機械類の製作や建築・土木工事に際して、

仕上がりの形や構造を図面などによって表すこと

目的(仕様)に対してシステムが確実に機能するように、個々の要素の形状や材質等を決定すること

システム

目的

要素1

要素2要素3 要素4

要素5

レンズ系 ex. ある空間分解能で、照度分布を測定精度~でする。

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レンズ設計 (すなわち収差補正)

機械設計、電気回路設計、その他の場合

要素毎の役割がはっきりしている(各要素が独立である)システム性能改善には、各要素の性能のみに着目すればよいことが多く、見通しが立てやすい

要素(各レンズ)毎の役割はあいまい(各要素が互いに従属関係にある)各要素のみに着目しても、レンズ系の性能はなかなか改善しない。(設計の見通しが立てにくい)

→ 収差論の発達… 式が難解(非線形)

しだいに、学問的興味へ

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光線追跡による収差補正作業は逆問題

収差 F: F = F(x1, x2, x3, ….) 例えば、 x1 = 第一レンズ第一面の曲率半径

x2 = 第一レンズの厚さx3 = 第一レンズの屈折率…..

x1,x2,x3, … からF を(光線追跡によって)求めることはできるが、Fからx1, x2, x3を直接求めることができない

(i) 初期値(x1,x2,x3…)から微小量、(x1+Δx1, x2+Δx2, x3+Δx3… )だけ変えた量についてFを求める。

(ii) その結果からFがより小さくなる(収差が補正される)と予想されるパラメータセットを決める

(iii) 初期値を得られたパラメータセットに置き換える。(iv) (i)~(iii)を繰り返す

そこで…

→ “iteration”による方法

光線追跡による収差補正

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初期座標

適値(山頂)

F空間

収差補正作業は、闇夜の中、地図も持たずに山の頂を目指すようなもの

ライトによって照らされた範囲のみから手がかりを得なければならない

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設計の出発点に、どうやってたどり着くか

トリプレットレンズを起点とすれば、どんなレンズ系にでも発展できる。しかし仕様に近い解から出発すれば、大幅な設計時間の短縮が可能

2400種のレンズデータが収められている。焦点距離等によるフィルタリングが可能。

CodeVに内蔵されたライブラリを引用する

特許電子図書館 http://www.ipdl.jpo.go.jp/homepg.ipdl米国特許検索 http://www.uspto.gov/patft/

日米の特許を検索する

海外の出版物

W.J.Smith, Modern Lens Design A source Manual, McGraw-Hill Milton Laikin, Lens Desing, Marcel Dekker など

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設計の出発点に、どうやってたどり着くか (続き...)

希望の仕様とぴったり一致した公知データを手に入れられるとは限らない。公知データをある程度修正して、初期データを作成する必要が生じる。

“SCA”コマンド

レンズデータのスケーリング

sca oal spc s3..6 100 ! 3面から6面までの距離が100mmになるように!スケーリングします

sca efl spc 50 ! 焦点距離が50mmになるようにスケーリングしますsca efl 50 ! 焦点距離が50mmになるようにスケーリングします

! ただし、システムデータの値はスケーリングしませんsca dim i ! インチ単位へスケーリングします

sca oal spc s3..6 100 ! 3面から6面までの距離が100mmになるように!スケーリングします

sca efl spc 50 ! 焦点距離が50mmになるようにスケーリングしますsca efl 50 ! 焦点距離が50mmになるようにスケーリングします

! ただし、システムデータの値はスケーリングしませんsca dim i ! インチ単位へスケーリングします

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解の改良時の注意・・・ 変数選択の定石

・まずは、曲率半径のみをフリー(変数)に

空気間隔や、レンズ厚を 初から変数化すると、レンズ間隔が広がりすぎて、光線が次段の面に入射しなくなる

・空気間隔をフリー(変数)にするのは、曲率半径の変化が小さくなってから

ただし、全てのパラメータを同時に変数化するのでなく、1~2箇所ずつ徐々に増やしていく。実用的でない解に向かわないように、“OAL” を使って

面間隔に制約を与えておくのがコツ

・ガラスの肉厚は変数化しない(自動設計の対象としない)

肉厚は光学的な性能ではなく、むしろ機械的機能から決まることがほとんど。肉厚が顕著に性能に効いているかどうかは、設計の中盤以降で確認するのがよい。

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解の改良時の注意・・・ 自動設計用のシーケンス(マクロ)

自動設計マクロ --- 設計仕様書を、CodeVマクロ形式(*.seq)に書き換えたものその内容に対応してレンズ系が 適化される

マクロに記述すべき情報

1. 光学性能評価関数の規定スポットダイアグラム(デフォルト)波面収差(OPD)結合効率(MPR)

2. 制約条件(=コンストレインツ)とその範囲設計にあたって維持すべき、光学的・機械的条件そのもの

aut

imp 0.001

opd y

red > 0.9 < 1.1

oal s1..i-1 < 60

ct s3 = 2

et s4 > 1

efl = 50; wtc 0.01

go

aut

imp 0.001

opd y

red > 0.9 < 1.1

oal s1..i-1 < 60

ct s3 = 2

et s4 > 1

efl = 50; wtc 0.01

go

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ユーザ定義コンストレインツ

コンストレインツの記述例

efl=50 ! 等号条件の例。焦点距離を50mmに設定。efl=50; wtc 0.01 !重みつき等号条件の例。ターゲット(50mm)に

! 対する不一致量が、収差の一部としてError function! に取り込まれる。

oal s1..i-1 < 60 !不等号制約の例。1面からi-1面までの軸上距離! (Optical axial length)を60mm未満に維持される。

red > 0.9 < 1.1 !”<”と“>”を一行にまとめて書くこともできます。! 横倍率が、0.9以上かつ1.1以下になるように、系が! 維持される。

標準では実装されていないコンストレインツを定義する方法

@diff == (y s8 r1 f1)-(y s8 r1 f2) ! 8面のf1およびf2からの主光線(r1)の! y座標の差を、コンストレインツ‘@diff’! と定義。

@diff = 0; wtc 0.01

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CodeVが持つ、2種類の境界条件処理手法

・ ひとつは、いわゆる 『重み付き制約条件』 であって、 等号(=)

および “wtc” と共に指定。

例) imd = 30.0 ; wtc 0.1

・ 他方は、いわゆる 『等号・不等号制約条件』 であって、等号(=)や

不等号(< や >) を用いて指定。 “wtc” の併用はしない。

例) imd = 30.0 例) imd < 30.3 > 29.7

CodeV において、これらの取り扱いが どのように異なっているのか実験。

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境界条件処理 の 特徴を確かめるための実験モデル

・ 両凸単レンズを仮定・ 材料は BK7・ 口径比(Fno) は 5.0・ デフォーカスはしない

-100 -50 -33 -25

R2 (mm)

25

33

R1(mm)

50

100

R1 R2

ここに Err.f および焦点距離(EFL) を記して

みると・・・

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実験モデルにおける Err.f と焦点距離

-100 -50 -33 -25R2 (mm)

R1(mm)

25

33

50

100

Err.f

-100 -50 -33 -25R2 (mm)

R1(mm)

25

33

50

100

焦点距離(mm)

181 160 160 160

301 285 288 285

676 685 663 613

2832 2521 1996 1580

39 32 28 25

48 39 32 28

65 49 39 32

97 65 48 39

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重み付き制約条件の場合 (WTC付制約条件)

AUT

RDY S1 = 33 ; wtc 0.5

EFY = 32 ; wtc 0.5

GO

Err.f

-100 -50 -33 -25R2 (mm)

R1(mm)

25

33

50

100

212 183 187 203

329 293 288 289

766 342 331 639

3045 2521 2127 1691

エラー関数の地形そのものが オリジナルの状態から変化している。これは、重み付きの制約条件が、収差と同様に扱われていることを示している。

“制約” は単に収差のひとつに

すぎないので、その条件が厳密に解かれる訳ではない

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等号・不等号制約条件の場合

Err.f

-100 -50 -33 -25R2 (mm)

R1(mm)

25

33

50

100

181 160 160 160

301 285 288 285

676 685 663 613

2832 2521 1996 1580

AUT

RDY S1 > 33

EFY > 32

GO

Constraints added: RDY S1 Constraints added: EFY (>)Constraints released: EFY (>)

Active Constraints - 2: RDY S1 > EFY >

Inactive Constraints: RDY S1 > EFY >

中略Constraints added: EFY (>) Constraints added: RDY S1 (>)

地形は維持され、変形は生じない。本当に必要な制約のみが自動的に選択され、かつ厳格に考慮される。

1回のiterationの

内部で処理される

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同じ “コンストレイント” といってもその意味は大違い

• 重み付き制約条件は、あくまでも設計目標となる値(または関数)

そのもの。

• 等号および不等号制約条件は、設計目標として扱われるのではなく、

設計解の存在範囲を制約する限定条件を示しているだけで、それ単体

で意味をなすものでない。 地形を変える事がないので解空間の線形性

を劣化させない利点がある。 制約は厳格に考慮される。

• これらの違いを明確に意識して、使い分けることが重要。

これに失敗して CodeVの収束性が悪いと勘違いをしている例がある

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基本的には、スケーリングで近軸量だけは合わせておく

初期データにおいて、特性値が仕様からかけ離れている場合は、それをダイレクトに等号・不等号条件で設定してはいけない。

CodeVは強制的に制約を満たそうとする結果、以下のような結果を

招くことがある・収差が期待したほど小さくならず、むしろ大きくなり、そのまま回復しない・製造不能な、レンズ形状しか得られない・エラー終了をする

Abnormal AUTO Completion - Irrecoverable Conditionと表示されるのは、ほとんどがこのケース

初は容易に満たせるターゲットを設定して、レンズ形状を変化させ、徐々に仕様値に近づけていくのがコツ。その際には、レンズの枚数は多くてもかまわない。とにかく仕様を満たす解をまず1個見つけることがコツ。 細部は、それから改良するのが手順。

等号・不等号制約条件を設定する場合の注意

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CYCLE NUMBER 5:

ABERR F. = 101.88823902

CONST F. = 0.28933086

ERR. F. = 102.17756988 (change = -0.00077906)

X 30.86911413 27.85538360 21.79003779 17.55181627 32.79287166

Y 30.86911413 38.50824675 41.63309819 58.56101441 86.01415521

RDY THI RMD GLA

> OBJ: INFINITY INFINITY

1: INFINITY 4.000000 BK7_SCHOTT

2: INFINITY 1.500000

……

……

CYCLE NUMBER 5:

ABERR F. = 101.88823902

CONST F. = 0.28933086

ERR. F. = 102.17756988 (change = -0.00077906)

X 30.86911413 27.85538360 21.79003779 17.55181627 32.79287166

Y 30.86911413 38.50824675 41.63309819 58.56101441 86.01415521

RDY THI RMD GLA

> OBJ: INFINITY INFINITY

1: INFINITY 4.000000 BK7_SCHOTT

2: INFINITY 1.500000

……

……

出力の例:

← イテレーションのサイクル数

←収差の合計(単一評価関数値)(前回のサイクルからの改善量)

AUTの出力には意味がある・・これを読み解く事が重要

現行レンズデータ

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Active Constraints - 3: target value diff cost

OAL S1..12 < 3.00000E+01 3.00000E+01 0.000E+00 5.705E-06

ET S6 > 5.00000E-01 5.00000E-01 2.102E-08 -6.224E-05

BLO S4 < 9.00000E-01 9.00000E-01 -1.398E-08 7.042E-04

Inactive Constraints: target value diff

ET S4 > 3.00000E-01 7.09634E-01 4.096E-01

CT S6 > 2.00000E-01 9.56438E-01 7.564E-01

ET S9 > 5.00000E-01 4.10899E+00 3.609E+00

CT S9 > 2.00000E-01 7.08469E-01 5.085E-01

CT S11 > 6.00000E+00 7.58296E+00 1.583E+00

Weighted Constraints: target value WTC contrib

@Y_F5 = 4.24264E+00 4.23726E+00 1.000E-01 2.893E-01

…..

…..

Normal AUTO Completion - System improvement less than IMP

AUT> go

Active Constraints - 3: target value diff cost

OAL S1..12 < 3.00000E+01 3.00000E+01 0.000E+00 5.705E-06

ET S6 > 5.00000E-01 5.00000E-01 2.102E-08 -6.224E-05

BLO S4 < 9.00000E-01 9.00000E-01 -1.398E-08 7.042E-04

Inactive Constraints: target value diff

ET S4 > 3.00000E-01 7.09634E-01 4.096E-01

CT S6 > 2.00000E-01 9.56438E-01 7.564E-01

ET S9 > 5.00000E-01 4.10899E+00 3.609E+00

CT S9 > 2.00000E-01 7.08469E-01 5.085E-01

CT S11 > 6.00000E+00 7.58296E+00 1.583E+00

Weighted Constraints: target value WTC contrib

@Y_F5 = 4.24264E+00 4.23726E+00 1.000E-01 2.893E-01

…..

…..

Normal AUTO Completion - System improvement less than IMP

AUT> go

有効制約のリスト

無効制約のリスト

← 重み付け制約の収差状況

← 終了メッセージ

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設計に行き詰まった場合 → レンズタイプの変更

特定の仕様を満たす設計解はただ一つではなく、無数にある。それら、おのおのの類似解を“レンズタイプ”と呼ぶ。一般に、レンズタイプが異なれば、レンズの枚数、パワー配置、使用ガラスの種類等が異なる。

レンズタイプの移行 (いつレンズタイプの移行を考えるのか?)

レンズ性能が目標の光学性能を達成できないまま性能向上が頭打ちになってしまう場合がある。

こんなとき、レンズのタイプの移行を検討する。

しかし、むやみやたらにレンズを増やしたり、形状をいじったりしても、一般にはかえって性能を劣化させることになり、効率的ではない。性能を劣化させることなく“安全に”レンズタイプを移行する技法がある。

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レンズタイプの移行法 その1

レンズ面の分割 I

“tho”によって、各面の3次収差が多量に発生している面を探査し

それを分割して、収差補正の負荷の軽減を図る方法。

Step1 レンズの前面と後面に新たな面を挿入するins s7

Step2 新たに挿入した面の厚さをガラスを入力する。このとき、ガラスは

同じ材料にするthi s7; gl1 s7 glass_name

Step3 “bre”コマンドをつかって面を分割するbre s7

Step4 空気間隔を手動で設定するStep5 分割によって、新たにできた面の曲率半径をフリーパラメータにして

再度 適化を行う

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レンズ面の分割 II (別法)

Step1 当該レンズの曲率半径を2倍にするrdy s6 (rdy s6)*2rdy s7 (rdy s7)*2;

Step2 おなじ形状のレンズを、直前に挿入するcop s6..7 s6

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レンズタイプの移行法 その2

面の順序の入れ替え

“fly”を使って、レンズ系全体もしくは一部のレンズ前後を入れる方法。

これによりパワー配置が変化するので、性能向上が期待できます。

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レンズタイプの移行法 その3

レンズの統合

レンズの面間隔と向かい合った面同士の曲率半径が設計の進行とともに徐々に近づいていく場合に有効。材料を変数化している場合にはそれらも近づいていくことがある。このような場合、レンズは1枚に置き換えられることが多い。

Step1 空気間隔をゼロにするthi s7 0

Step2 材料を固定するglc s6 100; glc s6 100

Step3 向かい合う面の曲率半径を手動で徐々に、近づけるStep4 同一値になったら境界面を削除する

del s7Step5 統合されたレンズの厚さを手動で調整する

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レンズタイプの移行法 その4

レンズの削除 I

非常にパワーの小さいレンズは、収差補正に対して寄与をなしていない場合がある。そうしたレンズを削除し、再び 適化を実行すると、解の線形性が向上したり、制約が軽減されるためにかえって性能が向上することが多い。

Step1 自動設計マクロに当該レンズのパワーが、徐々に小さくなる

ようなコンストレインツをかける例 efy s6..7 = (efy s6..7)*1.05

Step2 手動により、徐々に肉厚を薄くしていく

Step3 系に対してパワーが十分小さくなり、かつ肉厚が薄くなったら、

レンズを削除する

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レンズの削除 II

前後の曲率がそろったメニスカスレンズは、その役割を他のレンズに押し付けられる場合がある。メニスカスレンズはエレメント製作においても偏芯を抑制しづらい等の問題を内在するので、下記手順で削除の検討を実施。

Step1 前後面をカップリングさせ、同量ずつ変化するように指定ccy s3 99; ccy s4 99

Step2 一方の曲率半径を他方にやや近づけて、自動設計をかける

Step3 肉厚を薄くする

Step4 step2-3を繰り返して、前後の曲率半径が一致し、かつ肉厚が

ほぼゼロになったところで、レンズを削除する

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通常の 適化

一番近い極小値を見つける

GS極小値が存在するくぼみを全て探索

変数変数

Φ Φ

CodeVに実装されている大域的 適化アルゴリズムで、解空間の極小

値帯(くぼみ)を探索する方法。複数の極小値帯の存在は、異なるレンズタイプの存在を示唆している。GSの探索した多くのレンズタイプから、より仕様に一致するレンズタイプを

選択すると効率良く、解の更新が実効可能。

レンズタイプの移行法 その5

大域的 適化(GS : Global Synthesis)を使う

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バックフォーカスが長い解。

像面の手前に機構ユニットが

挿入されるシステムに最適

aut

広角化

autGS

最もコンパクト。

光線傾角が大きいため像面

照度の一様性は低い

GSを使った設計例:ワイドレンズ (出典:サイバネットさんのCodeV紹介セミナ資料)

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GSを使った設計例:明るいレンズ (出典:サイバネットさんのCodeV紹介セミナ資料)

aut

大口径化(Fno→明)

autGS

第2レンズ厚肉化 の後 aut

第2レンズ削除 の後 aut

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GSの使い方 : 自動設計マクロに一行 “GS ” と加えるだけ。

GSによって新たなレンズタイプが得られたら、その解に対して面の分割、入れ替え、統合、削除を通常の AUTにより実施し、より好ましい解に導く。そして、再び、GSというサイクルを繰り返す。 その際、制約条件の与え方にも留意する (wtc あるいは 不等式制約条件?)

GSは等号・不等号条件を満たした解でスタートするのが鉄則等号・不等号条件を強制的に適用するような環境下では大域的探査は効果的には機能しない。

GSは寝て待てGSはその探査を完了するまでに非常に多くの時間を要する。帰宅の直前にGSを開始し、自宅で休んでいる間に探索を実行すれば、翌朝には別の

レンズタイプが見いだされており、ロスタイムゼロで次の設計作業に移行できる。

ファイル名は短めにあまり長いファイル名をつけると、ファイル名の 後を表示できずに、探索したモデルの区別がくかなくなる。GSをかけるファイルは、可能な範囲で

簡素な名前とするのがコツ。

GSに関する一言

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CodeVによる設計手順のまとめ

1) 特許あるいは簡単なトリプレットをスタート地点として、スケーリングにより重要な近軸量を満たした解を作成する。

2) WTCか、または等号・不等号制約条件を緩やかに適用しながら、すべての近軸量を満たした解を得る。この時、レンズの枚数や形状はこだわらない。近軸量に関する制約を満たすことだけ考えれば良い。

3) 面の挿入・入れ替え・統合・削除を手動走査あるいはマクロにより実施しながら、より好ましい解に近づける。

4) GSを適用して、別解を探査する。それらのうち、 も良好な解を使って、前項3から繰り返す。 この段階ではすべての制約条件を満足させることを意識する。

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実習セミナーを開講します

本日 紹介した情報や技法は、皆様に公開したいノウハウの

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