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小・中・高等学校中堅教諭資質向上研修Ⅰ(第 3 期) 講義・研究協議 「生徒指導の現状と課題」 1 「よりよい生徒指導に向けて」(総論) 2 心の教育推進の手引き 20 3 心をつなぐ1・2・3運動 28 4 山口県いじめ防止基本方針 35 5 いじめの認知について 40 6 インターネットトラブルについて 45 7 子どもの自殺予防 56 学校安全・体育課

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小・中・高等学校中堅教諭資質向上研修Ⅰ(第 3期)

講義・研究協議 「生徒指導の現状と課題」

資 料

1 「よりよい生徒指導に向けて」(総論) 1

2 心の教育推進の手引き 20

3 心をつなぐ1・2・3運動 28

4 山口県いじめ防止基本方針 35

5 いじめの認知について 40

6 インターネットトラブルについて 45

7 子どもの自殺予防 56

学校安全・体育課

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生 徒 指 導 (総論)

近年、高度情報化や都市化の進展、少子化の進行など社会が急速に変化する中で、価

値観の多様化や規範意識の低下などが指摘され、学校における生徒指導上の課題は多岐

にわたるものとなっている。

また、子どもたちの安全が脅かされる事件も多発しており、子どもたちの発達段階や

様々な社会状況等を踏まえながら、校種間の連携を図った継続性のある生徒指導体制を

構築することが、今日求められている。

このような中で、学校においては、子どもたちの健全な成長と人格のよりよい発達に

向けて、開発的・予防的な生徒指導に取り組む中で、自己存在感を高め自己指導能力を

育むとともに、これまで以上に、基本的な生活習慣の確立や、社会的なルールやマナー

の指導を通した規範意識の醸成を図る必要がある。

教育基本法においては、第6条で「学校においては、教育の目標が達成されるよう、

教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならな

い。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずる

とともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければなら

ない。」と規定し、改めて生徒指導の充実が学校の重要な使命であることを示した。

以上のことから、生徒指導は、学校の教育目標を達成するうえで、重要な機能を果た

すとともに、学習指導と並んで重要な意義をもっており、学校教育活動全体を通じて、

一層の充実を図っていくことが求められている。

Ⅰ 生 徒 指 導 の 定 義

1 定義

学校における生徒指導といえば、ともすれば表面に現れた問題行動や不登校への

対応等、対症療法的な面のみが強調されがちである。

しかし、問題行動等は、児童生徒とその生活環境との間での様々な葛藤から生じ

る「心の問題」である。

したがって、生徒指導に当たる教職員は、表面的に現れた問題行動等にとらわれ

ることなく、児童生徒の内面や心にしっかり意識を向けるとともに、日ごろから、

一人ひとりの児童生徒のよさを評価、理解し、児童生徒自身がそのよさに気付き、

生徒指導とは、学習指導とともに、学校が教育目標を達成するための基本的

で重要な機能であり、すべての教職員が、すべての教育活動を通じて、すべて

の児童生徒一人ひとりの個性の伸長を図りながら、同時に自己存在感や社会性

を育み、将来において社会的に自己実現ができる資質・態度を高めていく指導

・支援である。

よりよい生徒指導に向けて

平成 23 年 3月改訂

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それを伸ばしていくことができるような開発的・予防的な指導・支援を重視するこ

とが大切である。

このような生徒指導を、学校生活のすべての場において十分機能させることが、

児童生徒の問題行動や不登校等の未然防止にも効果を上げることにつながる。

生徒指導の機能は、教育課程として編成された領域(各教科・科目、道徳、特別

活動、総合的な学習の時間)、部活動等の課外活動、休み時間や放課後の時間等、

必要に応じて校外の生活など、特定の領域や内容に偏ることなく、教育活動全体に

及ぶものである。つまり、学習指導はもとより、適応指導、進路指導、健康指導、

問題行動等への対応、教育相談等、児童生徒の置かれた状況に応じて展開されるす

べての教育活動に及ぶものである。

2 学習指導要領における配慮事項

生徒指導に関する学習指導要領における配慮事項は、次のとおりである。

(1)小学校

(2)中学校・高等学校

生徒指導とは、一人ひとりの児童生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社

会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現がで

きるような資質・態度を形成していくための指導・援助である。

<文部省「生徒指導資料第 20 集」(S63.3)>

【 総 則 】

日頃から学級経営の充実を図り、教師と児童の信頼関係及び児童相互の好まし

い人間関係を育てるとともに児童理解を深め、生徒指導の充実を図ること

【特別活動】

学級活動については、学校や児童の実態に応じて取り上げる指導内容の重点化

を図るようにすること。また、生徒指導との関連を図るようにすること

【 総 則 】

教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに生

徒理解を深め、生徒が自主的(主体的)に判断、行動し積極的に自己を生かして

いくことができるよう、生徒指導の充実を図ること

【特別活動】

生徒指導の機能を十分に生かすとともに、教育相談(進路相談を含む。)に つ

いても、生徒の家庭との連絡を密にし、適切に実施できるようにすること

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Ⅱ 生 徒 指 導 の 目 的

1 目的

2 自己指導能力

自己指導能力とは、自己をありのままに認めること(自己受容)、自己に対する

洞察を深めること(自己理解)、これらを基盤に目標を確立し明確化していくこと、

そして、この目標達成のため、他者とのかかわりの中で、自発的・自律的に自らの

行動を判断し実行することなどである。

また、自己指導能力の育成に当たっては、他人のためにも、自分のためにもなる

という行動を児童生徒自らが考え、それらの行動に対してきちんと責任をとるとい

う経験を積み重ねることが必要である。

つまり、自己指導能力とは、「児童生徒が、日常生活のそれぞれの場で、他者と

のかかわりの中で、どのような選択が適切であるか、自分で判断・実行し、その言

動に責任をもつことができる力」であり、「生きる力」の土台となる力ともいえる。

なお、自己指導能力を育成するために、学習指導を含む、学校生活のあらゆる場

や機会において、下記事項に留意し、児童生徒それぞれの健全な成長と人格のより

よい発達に向けて、開発的な生徒指導を推進することが求められている。

3 自己指導能力の育成を図るために留意すべき事項

(1)自己存在感を与えること

児童生徒一人ひとりの存在を大切にすることが、指導の基本となる。

また、人間は、他者とのかかわりの中で自己の存在感を見出せるとき、生き生

きと活動できるのであり、児童生徒が自己存在感を得ることにより自己実現を図

ることができる。

教職員は、児童生徒一人ひとりがあらゆる学校生活の場などにおいて自己存在

感をもつことができるように配慮することが重要であり、そのためには、児童生

徒の独自性・個別性を大切にしながら、指導を進めることが必要である。

(2)共感的人間関係を育成すること

共感的人間関係とは、相互に無条件に尊重し合う態度であり、このような人間

関係の中にあってこそ、児童生徒自身の自己受容、自己理解は一層促進される。

教育相談などの個別の指導に当たっては、教職員と児童生徒の間に、このよう

な共感的人間関係が存在することが必要不可欠であり、生徒指導を進める上での

基盤となるものである。

生徒指導の目的は、児童生徒一人ひとりの夢の実現に向け、児童生徒一人ひ

とりが自分自身をありのままに認め、自己理解を深めることを基盤とし、他者

とのかかわりの中で、自ら選択・判断・実行し、その言動に責任をもつことが

できる力(自己指導能力)を育成することである。

3

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(3)自己決定の場を与え、自己の可能性の開発を支援すること

児童生徒が自らの行動を決断し、実行し、責任をもつという経験を通して、自

己指導能力の育成が図られる。

学校は、児童生徒自身が自らの可能性を発見し、伸長できるように、適切な経

験の場や活動の機会を設け、自己決定の場をできるだけ多く用意し、他者とのか

かわりの中で児童生徒が判断力を高め、責任のある行動をとれるように支援する

ことが重要である。

また、教育課程を編成、実施する際も、豊富でかつ多様な学習の場を設定する

とともに、効果的な指導の方法を工夫するなど、生徒指導の機能が有効に働くよ

う配慮したい。

目 標

任行 判 断

責 任

他者とのかかわりの中で

実 行

断 自己受容・自己理解

す べ て の 児 童 生 徒

□ 自 己 存 在 感 を高める

□ 共感的人間関係 を育む

□ 自己決定の場 を設ける

す べ て の 教 職 員

生 徒 指 導

自己指導能力の育成

支援

指導

自己実現の基礎にあるのは、日常の学校生活の場面における様々な自己選択や自己決定で

す。そうした自己選択や自己決定の場や機会を与え、その過程において、教職員が適切に指

導や援助を行うことによって、児童生徒を育てて行くことにつながります。

ただし、自己決定や自己選択がそのまま自己実現を意味するわけではありません。選択や

決定の際によく考えることや、その結果が不本意なものになっても真摯に受け止めること、

自らの選択や決定に従って努力することなどを通して、将来における自己実現を可能にする

力がはぐくまれていきます。

また、そうした選択や決定の結果が周りの人や物に及ぼす影響や、周りの人や物からの反

応などを考慮しようとする姿勢も大切です。

自己実現とは単に自分の欲求や要求を実現することにとどまらず、集団や社会の一員とし

て認められていくことを前提とした概念だからです。(文部科学省「生徒指導提要」から)

コラム:自己実現について

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Ⅲ 生 徒 指 導 上 の 留 意 点

1 児童生徒理解の深化

児童生徒一人ひとりを受容的な態度で、共感的に理解するとともに、生活環境等

も含め、正しい理解の上に立って適切に指導・助言することが重要である。

2 児童生徒・保護者等との信頼関係の構築

教育活動全体を通じて、児童生徒と保護者等との信頼関係を大切にし、人間味の

ある温かい指導・援助に努めることが重要である。

また、児童生徒・保護者等に対して、生徒指導の方針や具体的な指導方法等につ

いて明確に示すとともに、保護者等に対しては、PTA総会・保護者会等様々な機

会をとらえ、周知に努めるなど、日ごろから緊密な連携を図ることが必要である。

3 全教職員による共通理解・共通実践

校長のリーダーシップのもと、生徒指導目標・方針を適切に決定するとともに、

全教職員への周知徹底を図ることが重要である。

また、具体的な指導方法や指導上の留意点、問題行動等発生時における対応等に

ついては、職員会議や校内研修等において、「よりよい生徒指導に向けて」や「問

題行動等対応マニュアル」等を活用した共通理解及び意見交換に努め、教職員間の

協働体制を築くことが重要である。

4 児童生徒一人ひとりに応じた適切な指導

教職員は、児童生徒の自己指導能力の育成を念頭におき、日々の生徒指導におい

て、児童生徒一人ひとりが直面する諸課題を見極め、状況に応じた的確な方法によ

り、粘り強くかかわり続ける必要がある。

(1)「開発的な指導(成長を促す指導)」

児童生徒一人ひとりの人格のよりよき発達を実現するためには、一人ひとりが

自己肯定感や自己有用感、社会性を獲得することができる指導・支援が必要とな

る。児童生徒にとって学校生活が有意義かつ充実したものであれば、そのことが

問題行動を未然に防止することにもつながる。

具体的な取組として、各教科による学習指導、道徳及び特別活動、総合的な学

習の時間や、自然・社会体験活動、キャリア教育、人権教育等の充実を図る中で、

道徳教育・心の教育を推進し、すべての児童生徒の成長を支援していく。

(2)「予防的な指導」

予防的な指導とは、児童生徒の問題行動等を未然に防止するために、発生が予

想される生徒指導上の課題を分析し、教育相談を重ねるなど事前に指導するとと

もに、保護者と連携し、問題行動等の芽を早期に発見し、改善を図る取組である。

具体的には、人間関係づくり、学級活動等における校則指導や児童生徒会活動

等でのキャンペーン、非行防止・交通安全・薬物乱用防止教室、家庭訪問による

指導等である。

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(3)「事後指導(課題解決的な指導)」

児童生徒が直面する問題行動や学校不適応等、生活・発達上の諸課題を迅速に

解決するためには、教職員や専門家等による的確な助言及び適切な指導・支援等

が必要である。

具体的には、個別指導、集団指導、専門家によるカウンセリング、保護者や警

察等関係機関との継続的な連携等の指導・支援である。

特に、課題解決に向けて、学級担任が一人で抱え込まず、必ず管理職等と相談

し、養護教諭やスクールカウンセラー等の専門家の意見も踏まえて、チームとし

て組織的に対応することが重要である。

周囲から大事に守られ、愛され、可愛がられて育てば、児童生徒は人間や自分を取り巻く

環境を「よいもの」と知覚し、他者の自分への働きかけや言葉を信じ、喜び、自分からもほ

ほ笑みや笑顔、言葉で相手に返すようになるだろう。こうした「人間のよさ」体験の積み重

ねが他者に対する信頼感の基本となる。

家庭や学校で安心して過ごせる、自分の気持ちをよく分かってもらえる、充実感を体験す

る、認められるといった体験が心のエネルギーの源となる。

愛される、愛する、大事にする、大事にされる、認める、認められるといった精神的充足

が得られることで意欲や成長へのエネルギーが湧いてくる。子どもは家庭でどれだけ心のエ

ネルギーを満たされて学校にやって来るだろうか。学校でどれだけ心のエネルギーを補充さ

れているだろうか。

様々な問題行動はこうした心のエネルギーの枯渇が原因になっていることが少なくない。

(文部科学省「生徒指導提要」から)

コラム:問題行動の背景にあるもの

人間の学習には、読んだり聞いたりして知的に身に付けていくのに適する内容と、体験を

通してしか身に付けることができない内容とがある。人間関係を円滑にしていくには、人と

のふれあいの体験を通してしか身に付かないところがある。しかし、今日、家庭生活におい

ても地域社会においても、生徒が十分な体験を得ているとは言い難い場合が多い。また、自

然とのかかわりにしても、自然の中で生活する体験を通して自然との根源的なつながりを実

感したり勤労の尊さを実感したりすることができるものであるし、自然の美に感動すること

も、体験を通してこそ実感することができる。生活上必要な技能も、体験を通してしか身に

付かない。

また、実生活において様々な困難に遭遇し、それらに対し自らの力で問題解決を図る経験

を繰り返すことにより、人は社会的な適応能力を身に付けていく。

(「文部省「生徒指導資料第20集」(S63.3)」から)

コラム:体験の重要性

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Ⅳ 生 徒 指 導 の 実 践

1 発達段階に応じた生徒指導のポイント

(1)児童生徒の心の発達

児童生徒の心の発達を示すと、下図のようになり、児童生徒の発達心理の上か

らは、以下のような対応が望ましい。

小1年 2年 3年 4年 5年 6年 中1年 2年 3年 高校

(2)小学校低学年・中学年

道徳性や規範意識の育成に向けて、小学校低学年では、行動の内容や意義を教

え、しっかり考える態度を育て、誉め励ましながら自ら行動できるように育む指

導、つまり、教え伸ばす指導が大切である。

中学年は、自分の行動については振り返りながら把握できるようになるため、

次第に、自主性を尊重しつつ、内省する力を育むことが必要である。

(3)小学校高学年以降

小学校高学年以降は、自我が発達し、責任感や批判力も育ってくるため、主体

的な自己決定や集団による選択決定の場をもち、自己肯定感と道徳性などを培い、

自己指導能力を高める取組が重要となる。

2 児童生徒理解

(1)児童生徒理解の重要性

学習指導も生徒指導も、教育実践が成果を上げるための前提は児童生徒理解で

ある。

特に、生徒指導においては、児童生徒理解そのものが教育的関係の成立を左右

している。人は理解してくれる人には安心して心を開く。共感的理解が生徒指導

を推進する上では大変重要である。

(2)児童生徒理解の対象

児童生徒を理解するために、重要と思われる事柄は、健康状況や学力、性格的

な特徴、興味・関心、要求、悩み、交友関係、生育歴、家庭環境などの環境条件

等である。

児童生徒を理解することによって、本人の長所などもはっきり把握でき、効果

的な指導方法も明らかになる。

他律領域

(教え伸ばす指導を重視)

自律領域

(自己指導能力の育成を重視)

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3 開発的・予防的な生徒指導の推進

(1)生活規律・学習規律の重視

学校生活における規則やルールは、児童生徒の規範意識を高める重要な役割を

担っている。

このため、学校生活全体を見渡して、どういうルールが必要かを見直し、それ

を、児童生徒・保護者・教職員が共有し、校種間の連携を図り、協働して継続的

に指導していくことが大切である。

例えば、中学校区の小・中学校で、小学校1年から中学校3年までの9年間を

見通して、生活規律・学習規律の重点取組項目を数項目程度決めて、すべての教

職員が一貫して指導するなどの方法で徹底を図るとよい。

(2)教科指導の重視

学習規律の徹底を図り、わかる授業を実施することにより学力の定着を図ると

ともに、児童生徒一人ひとりが生き生きと主体的に学習する態度を養う。このこ

とにより、児童生徒が、自ら考え、判断し、行動しながら問題を解決していく能

力や態度を育む。

(3)開発的・予防的な取組の重視

ア 道徳教育・心の教育の充実

道徳の時間やホームルーム活動を要とする道徳教育・心の教育が充実してく

ると、児童生徒は、生命尊重、規範意識などの道徳的価値について意識するよ

うになる。

このため、学校や児童生徒の実態に応じて、重点取組項目を設定して、学校

教育活動全体を通じて繰り返し指導したり、チャレンジ目標等として示し、児

童生徒の主体的な行動を促したりするとよい。

小・中学校での例

①登下校の場面……………登下校の時間、ルール

②学習指導の場面…………学習ルール、教師・児童生徒の関係

③休み時間の場面…………時間の使い方、遊びのルール、チャイム厳守

④給食指導の場面…………時間の使い方、給食の手順、食事のマナー

⑤清掃指導の場面…………時間の使い方、清掃の手順、無言清掃

⑥部活動の場面……………集団のルール

⑦学級会の場面……………学級集団のルール

⑧学校行事の場面…………児童生徒集団、同一目標集団のルール

⑨教育相談の場面…………個々の児童生徒と教師の関係、問題解決へのルール <平成22年3月1日付け平21教安体3320号通知

「継続性のある生徒指導推進のための小・中連携の充実について」参照>

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イ 特別活動の充実(学級活動、児童生徒会活動の活性化)

学級活動においては、「学級目標」づくりなどを通して、きまりの意義や必

要性について、児童生徒の気付きを促し、規範意識を育てる指導を重視するこ

とが大切である。

また、学校行事や体験活動等に、縦割り班活動な

ど異学年集団での活動を取り入れることなどによ

り、思いやりやルールを守る心、コミュニケーショ

ン能力など豊かな人間性を培うことができる。

児童生徒会活動においては、あいさつ運動や服

装、交通安全など、決まりを守るキャンペーン活

動を推進するとよい。

ウ キャリア教育の充実

生徒指導とキャリア教育は、ともに人格のよりよい発達を支援するという目

的をもち、具体的なキャリア教育の取組は、生徒指導としても大きな役割を果

たすなど、密接な関係にある。

児童生徒は、目標を見失ったときに無力感や孤独感から、反社会的行動など

をとってしまうこともある。様々な場面で自己肯定感や自己有用感を高め、小学

校段階から夢や目標に向かって努力する意欲や態度を育てることが重要である。

エ 教育相談の充実

悩み相談や発達段階に応じた進路相談(キャリアカウンセリング)を丁寧に

実施し、児童生徒が、明るい学校生活を送ることができるよう支援する。

(4)保護者・地域との連携の重視

生徒指導を推進する上で、保護者・地域との連携が大変重要である。

日頃から、保護者会や地区懇談会等で、生徒指導上の課題を取り上げたり、学

校を開放して、児童生徒の様子を見てもらい、課題を共有し、一緒に考えていく

ことが大切である。

また、地域の青少年健全育成協議会等のネットワークを生かし、地域や関係機

関としっかり連携し、地域ぐるみで児童生徒を見守り育てる体制を構築すること

が求められている。

朝のあいさつ運動

保護者・地域と連携した全校クリーン作戦

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※周南市立太華中学校の実践(平成 18~20 年度)から

4 学級づくり

学級は、児童生徒の学校生活を支える基本単位であり、担任の確かな児童生徒理

解に基づく適切な指導・支援により、児童生徒一人ひとりの豊かな人間性や社会性

の育成など、望ましい人間形成を図る中核的な場である。

(1)担任の役割

児童生徒は、学校生活の多くを学級集団で

過ごすことから、担任の果たす役割は大きい。

このため、担任として、児童生徒が互いに

協力し、高め合う、自主的な活動を実践し、

「心の居場所」としての学級集団への帰属意

識や連帯感を育むことが大切である。

また、担任の受容的・共感的な人間関係を

基盤とした温かく粘り強い指導は、児童生徒

のよりよい人格形成の礎となるものである。

一方、学級経営に対する責任感から、担任だけで抱え込み、学級内の諸問題への対応

の遅れが見られる場合もある。管理職や他の教職員への報告・連絡・相談を密にし、

全校体制のもと、児童生徒の発達段階に応じた的確な学級経営が求められる。

地域学習ボランティアによる学習会

トイレ磨きの取組 参観週間

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(2)よりよい人間関係づくり

一人ひとりを大切にし、互いに支え合う学級

風土を背景に、児童生徒は、豊かな集団生活を

営むことができる。

朝の会や終わりの会での話し合い活動や、A

FPYの手法を生かした計画的な人間関係づく

りの実践等により、児童生徒相互のコミュニケ

ーション能力を高め、学級の絆を一層深めていくことができる。

(3)日常の取組

係活動や当番活動、日々の清掃活動等は、集団の一員とし

ての自覚や責任感を高め、進んで貢献しようとする態度を育

む重要な取組である。活動の後には、反省会の実施や、チェ

ック票等を活用して振り返る時間を設けるとよい。

また、これらの活動により、机・いす・ロッカー等の整理

整頓、教室掲示の工夫等による環境が整備された空間は、児

童生徒の情緒を安定させ、積極性を高める効果もある。

(4)保護者との協働関係の構築

児童生徒が充実した学校生活を送るために、担任と保護者は、日ごろから、家

庭訪問や電話連絡、連絡帳の活用や学級通信の発行等の様々な機会を通して、相

互に連絡を取り合うことにより、子どものよさを共有し、ともに成長を見守り、

育んでいこうとする関係を築くことが大切である。

また、児童生徒の気になる行動については、保護者と連携し、温かく粘り強く指導す

ることが重要である。家庭への連絡については、事実関係、経過、背景、指導内容等

を説明するとともに、保護者の思いを受け止め、課題の解決に向けて、十分に話し合

うことが大切である。

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5 問題行動への対応

(1)問題行動の早期発見・対応

問題行動を早期に発見するためには、児童生徒の言動の変化に気付き、保護者

と連携し、早期に支援することが必要である。この際、学級だけで抱え込むこと

なく、同学年や生徒指導部と連携を図り、組織的に対応することが重要である。

また、問題行動や学校不適応等がある児童生徒に対しては、市町福祉部局や児

童相談所、民生児童委員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー

等と早期に連携し、支援する必要がある。

(2)問題行動発生時の対応

児童生徒が問題行動を起こした際、保護者と一体となって支援する必要がある。

また、児童相談所等関係機関と連携し、本人の教育相談を繰り返すなど、信頼関

係に基づいた継続的な支援を行う。

問題行動が深刻化するにつれて、児童生徒のストレスの高まりや意欲・自尊感

情の低下などが見られることから、重大事案発生の前兆行動が現れた段階から、

警察・少年サポートセンター・少年安全サポーター等との連携を図り、重篤化を

防止する。

このような児童生徒に対し、注意や叱責だけを繰り返す指導は、児童生徒の心

を傷つけ、さらに深刻な問題行動につながることもあるため厳に慎む。

(3)重大事案発生時の対応

「学校から警察への連絡に関するガイドライン※」に基づき、警察に連絡する

とともに、保護者と連携し、問題行動の再発防止と自立への支援に取り組む。

※ 平成 22年 11月 12日付け平 22教安体 782号通知「学校と警察との一層の連携強化について」参照

基本的な生活習慣は、人間の態度や行動の基礎となるもので、児童生徒にとって、社会的

な自立や自己実現のために、大変重要であり、様々な要素からなっています。

基本的な生活習慣の各要素は、食事習慣、睡眠習慣、運動習慣、排泄習慣など、幼少期か

らの家庭生活とかかわりが深く、人間の心身の発達や成長にかかわる生活習慣の基礎となる

ものと、以下に示した学校における基本的な生活習慣とに整理でき、児童生徒の成長過程の

中で密接に関連しています。

(文部科学省「生徒指導提要」から)

コラム:基本的な生活習慣の確立

・時間を守る、物を大切にする、服装を整えるなどの学校生活を営む上で必要なきまりに

関する生活習慣

・あいさつや礼儀、他者とのかかわりや自らの役割を果たすなどの集団生活にかかわる生

活習慣

・授業規律や態度、忘れ物をしないなどの学校における様々な活動を行う上での生活習慣

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Ⅴ 教 育 相 談 の 在 り 方 と 実 施 上 の 留 意 点

1 教育相談の定義

教育相談は、児童生徒一人ひとりの個性を大切にしながら、学校生活をより充実

することをねらいとし、教育活動全体を通して適切に実施することが重要である。

また、教職員と児童生徒との日ごろからの人間関係がすべての教育活動に影響を

及ぼすことから、教育相談のねらいを達成するためには、教職員が、児童生徒との

信頼関係を構築することが何よりも重要である。

2 実施上の留意点

(1)日ごろからの人間関係づくり

教育相談を充実するためには、信頼関係に基づく人間関係が欠かせない。特に、

教職員と児童生徒の間における人間関係づくりのポイントは、次のとおりである。

○ まず、教職員自らが心を開き、真摯な態度で児童生徒に接する。

○ 児童生徒を肯定的にみる。

○ 児童生徒一人ひとりに積極的な関心を持ち、積極的にかかわる。

(2)教職員の基本的態度

教育相談を実施する上での教職員の基本的態度として、次のことが望まれる。

○ 傾聴

説得するという姿勢ではなく、児童生徒の思いを引き出し、共感的な態度

で聴くことに努める。

○ 共感的理解

児童生徒の立場に立って、悩みや苦しみなどの心情、発する言葉の意味を

理解しようと努める。

○ 受容

児童生徒の考え・行動を直ちに評価・批判せず、まず、児童生徒の心情を

受け入れ、情緒の安定を図る。

教育相談は、児童生徒一人ひとりの教育上の諸問題について、本人又は保護

者等にその望ましい在り方について助言・指導し、児童生徒の悩みや困難の解

決を援助することによって、学校生活等に適応させ、人格の成長を図ろうとす

るものである。

主として教職員と児童生徒とが話し合いを通して、広く児童生徒の適応上の

問題の解消を図るほか、児童生徒の自立や自己の可能性を発揮する過程を重視

しながら、自立や自己実現を促す指導・援助。

<文部省「学校における教育相談の考え方・進め方」(H2.3)>

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○ 自己の可能性発揮への支援

児童生徒の自己決定、自己選択を促す。

(3)学級担任が行う教育相談の進め方

教育相談は、重要な教育方法の一つであり、担任として以下の取組が必要である。

また、相談活動を有効に展開するためには、児童生徒との信頼関係、保護者と

の協力関係、校内の教職員との連携が大切である。

○ 問題を未然に防ぐ教育相談

定期面談や呼出し面談等の教育相談を実施することにより、信頼関係を深

め、児童生徒の心の危機のサインに早期に気付き、適切に支援する。

その際、いじめの早期発見や進路支援に取り組むとともに、本人の成長が

見られた点、頑張っている点などをしっかり伝え、生活や学業等への意欲を

高めるよう努める。

○ 問題を解決する教育相談

教員として、児童期から青年期に至る発達段階における心理的特質につい

て理解しておくことが必要である。

また、児童生徒の不適応や非行問題については、学業成績の低下、言動の

変化、身体症状の悪化などに前兆が見られる場合があるので、日ごろから児

童生徒をよく観察し、かかわりをもっておくことが大切である。

相談の際は、他の児童生徒の目に触れない場所で、面接時間を明確に伝え、

児童生徒の心をほぐすような言葉かけを行い、よくうなずき、受け止めの言

葉を発し、時に質問し、本人の自己指導力を引き出すよう取り組む。

○ 心の発達を促す教育相談

他人への思いやりや共感、感謝する心、決まり・ルールを守る心など、児

童生徒の豊かな心の発達を促し、社会生活に必要な人間関係形成能力などを

養うために、構成的グループエンカウンター(他者・自分に出会うグループ

体験活動)、ピア・サポート(児童生徒同士の支え合い)、ソーシャルスキ

ルトレーニング(社会的技能をトレーニングにより育てる活動)、アサーシ

ョントレーニング(対人場面で自分の伝えたいことを円滑に伝える活動)、

ストレスマネジメント教育(様々なストレスへの対処法を学ぶ活動)などに、

授業や特別活動等を活用して取り組むとよい。

AFPYなども、同様な効果をもたらす活動である。

これらは、生徒指導の手法の一つでもある。

<参考資料・文献等> 「生徒指導資料第20集」文部省(S63.3) 「学校における教育相談の考え方・進め方」文部省(H2.3) 「生徒指導資料第1集」国立教育政策研究所生徒指導研究センター(H15.7) 「生徒指導提要」文部科学省(H22.3) など

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Ⅵ 特 別 支 援 教 育 と の 関 連

1 特別支援教育の必要性

特別支援教育は、発達障害等も含め、特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する

すべての学校において行われるものである。

発達障害等の児童生徒の多くは、通常の学級に在籍しているが、周囲から受け入れ

られ、適切な支援が行われることにより、よりよく成長していくことができる。

しかし、学習面でのつまずきや対人関係がうまくとれない等、自分に自信がもてな

い、周囲から受け入れられない等により、いじめの対象となったり、不適応を起こし

たりする場合があり、それらが、不登校につながることもあると指摘されている。

このため、発達障害等の児童生徒には、障害により引き起こされる様々な問題が起

きないよう、周囲の者が適切な支援方法を十分に理解して対応していくことが重要で

ある。

2 特別支援教育と生徒指導

学校全体で特別支援教育を推進することにより、常に児童生徒一人ひとりの教育的

ニーズを把握し、それに適切に対応した指導・支援を行う必要があるという考え方が

浸透し、すべての児童生徒の豊かな心の育成やいじめ、不登校の未然防止につながる

と考えられる。

意欲的・主体的な学習互いの違いの理解豊かな心の育成

いじめ・不登校の未然防止

基礎基本の定着確かな学力向上

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3 発達障害の特徴と対応

LD・ADHD・高機能自閉症等の発達障害の特徴を以下に示すが、児童生徒の状

態像は様々であり、周囲の環境によって変化することも多いため、一人ひとりの教育

的ニーズを的確に把握し、適切な指導及び必要な支援を行うことが重要である。

これらの障害の原因としては、いずれも中枢神経系の機能障害があると推定されて

おり、環境的な要因が直接的な原因ではない。

ア LD(学習障害)

○ 全般的な知的発達の遅れはない。

○ 聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものの習得と使

用に著しい困難を示す。

<支援の一例>

◇ 日常生活で、本人が対処に困りそうな場面を想定し、ロールプレイ等により、事

前にソーシャルスキル(対人関係を形成し円満に人とかかわっていくための方法)

を身に付けさせる。

◇ 自分が困ったときに、何を、どのように支援してほしいのかを、周囲の人に具体

的に伝えられるように、日頃から練習しておくことも一つの方法である。

イ ADHD(注意欠陥多動性障害) ○ 注意が集中できない(不注意)。

○ じっとしていない(多動性)。

○ 出し抜けに答える、順番が待てない(衝動性)。

<支援の一例>

◇ 目標をスモールステップに区分し、一歩一歩確実に達成できるように指導する。

◇ 友だちや大人等、本人の理解者がいることを知ることが大切である。

ウ 高機能自閉症<知的発達の遅れを伴わない自閉症> ○ 人との関係がとりにくい。

○ コミュニケーションにおいて言葉の使い方が独特である。

○ 興味や関心が特定のものに限定されている。反復的常同的行動の特徴がある。

<支援の一例>

◇ 実際の場面で、相手の言動と気持ちを関連付けて、具体的に理解するように支援

することが大切である。

◇ 不適切な言動に対して、感情的に叱ると、「拒否された」という気持ちだけが強

く残るので、冷静に、分かりやすく丁寧な説明と指導を行う。

エ アスペルガー症候群

○ 自閉症の特徴と同じであるが、言語の発達に障害がないので、周囲からその障害

に気付かれにくい。

<支援の一例>

◇ 曖昧な表現や指示語を避け、具体物を示すなど、明確な指示に努める。

◇ フラッシュバック(強い心的外傷を受けた場合に、後になってその出来事が、突

然鮮明に思い出されたり、夢に見たりする現象)が起こったときは、まず、場所を

移して落ち着くまで待つ。

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4 校内・地域における相談支援体制の整備

(1)「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の作成と活用

学校は、指導の目標や内容、配慮事項等を記載した計画(「個別の指導計画」)

又は家庭や医療、福祉等の関係機関と連携した支援のための計画(「個別の教育支

援計画」)を作成することにより、一人ひとりの児童生徒の障害の状態等に応じた

指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うことが重要である。

これらの計画により、教職員間はもとより、保護者や関係機関との間で、指導や

支援に関する情報を共有するとともに、その成果を蓄積し、次の学年や学校等に引

き継ぐことで、一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細かな支援を継続して行う

ことができる。

(2)校内体制の整備

本県では、全ての公立小・中・高等学校等において、校内委員会、校内コーディ

ネーター等の校内支援体制が整備されている。

特別な教育的支援が必要な児童生徒への、全校体制での支援が必要な場合、校内

委員会を開催し、支援についても協議する。

<校内委員会> 全校支援体制を確立し、発達障害を含む障害のある児童生徒の実態把握や支援

方策の検討等を行うため、各学校内に設置されている。

<校内コーディネーター> 各学校における特別支援教育推進のため、校内委員会・校内研修会の企画・運

営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担う。

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(3)地域における相談支援体制の整備

特別な支援が必要な児童生徒、保護者及び学校への、地域における相談支援体制

は、下図のように、「ふれあい教育センター」「特別支援教育センター」「サブセ

ンター」が一体となり、きめ細かな相談支援体制を構築している。

具体的には、必要に応じて、小・中学校のサブセンターや総合支援学校の特別支

援教育センターに依頼し、地域コーディネーターの協力を求めることができる。

また、心理学の専門家、理学療法士等で構成される専門家チームに相談すること

もできる。

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■「よりよい生徒指導に向けて」P3

平成29年3月告示:小学校学習指導要領・中学校学習指導要領

平成30年3月告示:高等学校学習指導要領

2 学習指導要領における配慮事項

生徒指導に関する学習指導要領における配慮事項は、次のとおりである。

【 総 則 】

児童生徒※1が、自己の存在感を実感しながら、よりよい人間関係を形成

し、有意義で充実した学校生活を送る中で、現在及び将来における自己実

現を図っていくことができるよう、児童生徒理解を深め、学習指導と関連

付けながら、生徒指導の充実を図ること

【特別活動】

学級活動※2における児童生徒の自発的、自治的な活動を中心として、各

活動と学校行事を相互に関連付けながら、個々の児童生徒についての理解

を深め、教師と児童生徒、児童生徒相互の信頼関係を育み、学級経営の充

実を図ること。その際、特に、いじめの未然防止等を含めた生徒指導との

関連を図るようにすること

※1・・・ 児童: 小学校表記 ※2・・・学級活動: 小・中学校表記

生徒: 中高等学校学表記 ホームルーム: 高等学校表記

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不登校の未然防止のために(参考資料-H30.4月)

学校安全・体育課

「不登校は、『どの子どもにも起こりうる』ものであり、『心の問題』としてのみとらえるので

はなく、広く『進路の問題』、すなわち、『社会的自立に向けて自らの進路を主体的に形成していく

ための生き方の問題である』という点において、児童生徒にとり大きな課題である。」という認識を、

全教職員でもつことが大切です。

各市町教委においては、地域の実態を踏まえて「学校における生徒指導の水準」を作成し、各学

校への確かな浸透に向けて取組が進められていますが、その水準をさらに発展した取組に高めてい

きましょう。

不登校の未然防止のための早期対応システム

不登校の未然防止のためには、特に、登校をしぶり始めた初期の対応が大切です。担任をはじめ

全ての教職員が児童生徒の状況に敏感になり、いち早く小さなサインに気づき、早期対応をするこ

とで不登校の未然防止を図っていくことが重要です。

また、これまでの取組の中で、3日連続欠席者への家庭訪問等、一定の定着が図られてきていま

すが、断続欠席者についても、不登校の予防・早期対応を進めるなど、さらなる未然防止の強化に

努めていく必要があります。

「不登校の未然防止のための早期対応システム」の概要

1 不登校の予兆(「気になる児童生徒」のチェック)

2 欠席者等の状況把握・情報共有

3 欠席1日目の電話連絡

4 連続欠席2日目の家庭訪問、断続欠席2~6日目の電話連絡と家庭訪問

5 連続欠席3日目、断続欠席7日目のチーム対応、市町教委への連携(SSWの活用) 1 不登校の予兆(「気になる児童生徒」のチェック) ■ 日常の行動観察のポイント(全教職員での取組)

登校 あいさつ時の反応、表情、顔色、遅刻

朝の会(SHR) 出席確認、健康観察(表情、顔色、体調)

授業 入室遅れ、保健室利用、授業態度、表情、顔色、早退

移動 一人で移動していないか

休憩時間 孤立していないか

昼休み 昼食中や休み時間の様子

放課後(部活動・下校) あいさつ時の反応、表情、顔色、一人での下校、部活の様子

~ 「学校における生徒指導の水準」の2「的確な児童生徒理解」の項目

欠席した児童生徒には、積極的に家庭訪問を行う」を発展させよう ~

-「心をつなぐ1・2・3運動」を実行しよう-

「心をつなぐ1・2・3運動」

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■ 不登校の予兆チェックリスト(担任が中心となり、「気になる児童生徒」の実態把握)

2 欠席者等の状況把握・情報共有

【実践例】

・ 学年別ホワイトボードに、欠席1日目は黒、連続2日目は青、連続3日目は赤で記入する、電

話連絡をしたら○、家庭訪問をしたら◎を付けるなど、一目で状況が把握できる工夫をする。

・ 教育相談担当または出席統計係等は、全校児童生徒の欠席、遅刻、早退、欠課(保健室利用)を

把握し、全校児童生徒の「出欠状況等データ表」を作成する。

出欠状況等データ表(例)

・ 「出欠状況等データ表」は、1週間ごとに学年会や不登校部会等で情報共有する(部会が開催

されないときは部会員(管理職を含む)で供覧)などの組織的対応に活用する。

4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5

9 10 11 12 13 16 17 18 19 20 23 24 25 26 27 1 2 7

A B C D E 月 火 水 木 金 月 火 水 木 金 月 火 水 木 金 火 水 月

1 ○○ ○○

2 □□ □□ 6 A A A A A A

3 △△ △△

4 ▽▽ ▽▽ 1 2 1 C A B B

5 ○○ ○○ 4 5 2 A B D D A B A A B B B

6 □□ □□

第3週第2週第1週 第4週

氏名出席番号

学級

2組

その他

退

□ 表情がさえない(笑顔が消える) □ 顔色が悪い

□ 遅刻・早退が増えた □ 保健室の利用が増えた

□ 一人でいることが多くなった(休み時間や教室移動時、孤立している)

□ 授業中、ぼんやりしている □ 授業中、つらそうにしている

□ 体調を崩しやすい □ 教室に入りたがらない

□ 家庭環境に変化があった □ 兄弟姉妹の欠席が増えている

□ (校外を含め)友人関係でトラブルがあった □ 生活態度が乱れ始めた

この時点で「学年会」や「不登校部会」等で指導方針(対応策)を決

定する。決定した指導方針(対応策)を全教職員で情報共有・共通認識

を図る。必要に応じ、スクールカウンセラー(以下、「SC」という。)

やスクールソーシャルワーカー(以下、「SSW」という。)とも連携

を図る。

該当する項目があった場合 まず、継続観察でよいか、具体的対応が必要かの判断から

「過去3年間の欠席状況」も重要な資料となります。詳しくは「不登校・長期欠席を減らそう

としている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」(国立教育政策研究所HP)P10を参照。

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3 欠席1日目の電話連絡

目的は、欠席理由の確認や状況把握、及び、ねぎらいの言葉や安心して登校できる声かけなど

の丁寧な対応による保護者との信頼関係づくりである。病欠の場合は、病状の確認だけでなく、

医療機関の診察も確認する。

■ 電話連絡での「聞く」「伝える」ポイント

◎ 聞くポイント ・ 体調 (例)「○○さんの具合はいかがですか?」

「病院での診察はいかがでしたか?」

「食欲はどうですか?」

・ 家庭での過ごし方: 一日何をして過ごしていたか。

・ 気になること: 生活のリズムや本人の様子を見ていて、体調面・

生活面以外にも気になることはないか。

◎ 伝えるポイント ・ 明日の予定の連絡:時間割、持ち物 ・ 学校からの配付物、伝達事項等の説明 ・ ねぎらいの言葉や安心して登校できる声かけ ← 保護者は待っています。 (例)「お疲れ様です。」

「今日はゆっくり休んで、明日は待っています。(体

調にもよる)」

「今日は、お忙しいところありがとうございました。」

「気になることがあれば、いつでも御連絡ください。」

◎ 聞くポイント ・ 家庭での過ごし方: 一日何をして過ごしていたか。

(例)「今日は一日家にいたの?」

・ 体調:不調はないか。

(例)「具合はどう?」「病院は行った?」

「食事はとれている?」

・ 生活リズム:不眠や昼夜逆転はないか。

(例)「何時に起きた?」

「昨日はよく眠れた?」

◎ 伝えるポイント ・ 明日の予定の連絡:時間割や持ち物

・ 学校からの配付物や伝達事項等について説明 ・ 気持ちに寄り添う声かけ (例)「熱が出て、つらかったね。」

・ 安心して登校できるような声かけ (例)「今日はゆっくり休んでね。」

「先生も学級のみんなも待っているからね。」

・ 気になること:体調面・生活面以外に気になることはないか。 (例)「何か気になることはない?」「心配なことや不安なことはない?」

「何かつらいと思うことはない?」「話したいことがあったら、いつでも先生に話してね。」

1回目の電話連絡では、「後ほどお電話します」と残しましょう。 ◎ 留守番電話に残す内容 ・ 体調 (例)「具合はどうですか?」

・ 明日の予定の連絡 (例)「明日の時間割は~で、持ち物は~です。」

・ 安心して登校できるような声かけ (例)「待っています。」

・ 気になること (例)「気になることがあれば、いつでも御連絡ください。」

「心をつなぐ1・2・3運動」の「1」

【保護者が電話に出た場合】

【本人が電話に出た場合】

【留守番電話での対応】

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「心をつなぐ1・2・3運動」の「2」

4 連続欠席2日目の家庭訪問、断続欠席2~6日目の電話連絡と家庭訪問

欠席理由の確認や状況把握もさることながら、「子ど

もの顔を見に行く」「できれば子どもと話す」「保護者

と話す」ことによる家庭との温かい信頼関係づくりも目的のひとつである。

■ 家庭訪問での「見る」「聞く」「伝える」ポイント

◎ 見るポイント ・ 家庭の環境:玄関の整頓状況等

・ 保護者の身なり、顔色や表情:服、化粧、疲れや拒否はないか 等

← 顔色や表情は、保護者の心理状態や体調を知るバロメーターになります。 ◎ 聞くポイント ・ 体調: 不調はないか (例)「○○さんの具合はいかがですか?」 ・ 家庭での過ごし方: 一日何をして過ごしていたか。

・ 気になること: 生活のリズムや本人の様子を見ていて、体調

面・生活面以外にも気になることはないか。

体調不良のその背景に友人関係や学業面の不安

等は感じられないか。

保護者が心配に思うことはないか。

◎ 伝えるポイント ・ 明日の予定の連絡:時間割、持ち物 ・ 学校からの配付物、伝達事項等の説明 ・ ねぎらいの言葉や安心して登校できる声かけ ← 保護者は待っています。 (例)「お疲れ様です。」

「お忙しいところありがとうございました。」

「気になることがあれば、いつでもご連絡ください。」

◎ 見るポイント ・ 身なり:衣服や身体の汚れはないか、寝起きか 等 ← 家庭の養育環境を知る手掛かりになります。 ・ 顔色や表情:疲れや拒否、すくみ反応はないか 等 ← 顔色や表情は、子どもの心理状態、体調を知るバロメーターになります。 ◎ 聞くポイント ・ 家庭での過ごし方: 一日何をして過ごしていたか。 (例)「今日は一日家にいたの?」 ・ 体調:不調はないか。 (例)「具合はどう?」「病院は行った?」 「食事はとれている?」

◎ 伝えるポイント ・ 明日の予定の連絡:時間割、持ち物 ・ 学校からの配付物、伝達事項等について説明 ・ 気持ちに寄り添う声かけ (例)「熱が出て、つらかったね。」 「先生も学級のみんなも待っているからね。」

・ 生活リズム:不眠や昼夜逆転はないか。 (例)「何時に起きた?」「昨日はよく眠れた?」 ・ 気になること:体調面・生活面以外に気になることはないか。 ← 体調不良など表面的な症状の背景に、友達関係や学業面の不安は感じられないかを探る。 (例)「何か気になることはない?」「心配なことや不安なことはない?」 「何かつらいと思うことはない?」「話したいことがあったら、いつでも先生に話してね。」

【保護者が対応する場合】

【本人が対応する場合】

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・ 体調 (例)「具合はどうですか?」

・ 安心して登校できるような声かけ (例)「待っています。」

・ 明日の連絡 (例)「明日の時間割は~で、持ち物は~です」 ・ 気になること (例)「気になることがあれば、いつでもご連絡ください。」

■ 家庭訪問の様子の記録

・ 訪問日時 ・ 訪問者及び対応者

・ 子どもの様子(体調、家庭での状況) ・ 対応者(保護者)の様子

・ 学校から伝えた内容及び持参物

・ 気になった点

5 連続欠席3日目、断続欠席7日目のチーム対応、市町教委への連絡(SSWの活用)

■ 個別の不登校対応チームの設置

連続欠席3日目や断続欠席7日目に、担任・学年主任・教育相談担当・生徒指導主任・養護教

諭・管理職等による「校内ケース会議」等を開催し、本人の状況や今後の取組について、以下の

取組を行う。

・ 欠席理由の判断

児童生徒の欠席が「病気」「経済的理由」「不登校(いじめを含む)」「その他」のどれにあた

るかの判断を行う。

・ 児童生徒理解・情報共有

「本人と保護者の登校意識」「家庭の様子」「欠席時の家庭での様子」「本人の特性、興味関

心」「学校での様子」「気になること」等について情報を共有する。

・ 今後の方針の決定

対応体制(チーム)づくり … 教育委員会へ連絡するとともに、スモールステップ、校内連携、

関係教職員の役割分担、SC(本人要因に係るもの)やSSW(家庭要因に係るもの)、少年

安全サポーター(非行に係るもの)等専門家との連携などの対応体制を構築する。必要に応じ、

関係機関等とも連携した「連携ケース会議」の開催について検討する。

※ 「いじめ」が疑われる場合 → 教育委員会と連携し、学校「いじめ対策委員会」によ

る全校体制での組織的対応(事実関係調査、保護者連携、指導、心のケア等)を行う。

・ さらなる家庭との信頼関係づくり

複数の教職員による家庭訪問等を継続的に実施し、本人や保護者の話をじっくり聞き、気持

ちに寄り添った対応を行う。

・ 学級の受け入れ体制づくり

児童生徒への配慮(教室・机周りの整頓、提出物や準備物等の連絡、学力保障の配慮、友人

の声かけ、登校時や下校時の教職員の声かけ等)を十分に行う。

・ 記録の作成

「個人記録票」(「不登校に係るQ&A集」資料3)を

活用した個人記録の作成

※ 「ケース会議」は、形式が大事なのではありません。

柔軟にできるところから取り組み、継続しましょう。

「心をつなぐ1・2・3運動」の「3」

【会えない場合(手紙に残す内容)】

聞き取った症状等を記録する。 特に、明らかな病欠以外では詳細に記録する。

32

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平素からの不登校の未然防止に向けた取り組み

○ 児童生徒一人ひとりにとって、わかる・魅力ある授業づくりの実践

・ 「わかる喜び できる楽しさ 学び続けるやまぐちっ子 ~高めよう授業力 育てよう学習力~」

・ 個別指導の充実(児童生徒一人ひとりの理解を深める授業)

・ 一斉授業で困難を生じている児童生徒へ組織としての個別対応

○ 存在感・所属感を高める学級づくり~自己有用感~

・ AFPYを活用し共同の活動を通した達成感や人間関係づくり

・ 役割を通した自己有用感と感謝の体験

・ 「生活アンケートFit(小・中・高)」「Q-U」等による学級集団の状況把握

○ 児童生徒の自主的活動・体験的活動の計画的実践~「絆づくり」~

・ 幼児・高齢者等様々な人とのふれあいやボランティア活動等の体験活動の工夫

○ 学級の支持的ムードづくり~「居場所づくり」~

・ 自他を大切にし、互いに認め合う学級づくり

・ 欠席や早退の児童生徒へ、翌日の時間割や持ち物のメモ、「授業ノート」等を届ける等の

児童生徒相互のつながり意識の醸成

○ 副担任制や教科担任制の導入による気づきの共有と抱え込みの回避(小学校)

○ 気になる児童生徒の定期的な情報交換

・ 日々の連続欠席者・断続欠席者に係る情報の共有

○ 相談窓口の周知等による、児童生徒・保護者が相談しやすい雰囲気づくり

○ 保護者の養育等、家庭環境に課題を抱える児童生徒へのSSWやSCの活用

○ 「継続性のある生徒指導推進のための小中連携の推進について(H22.3.1付平21教安体第3320

号)」「子どもたちの規範意識を育むために(H24.12月配付)」等を参考にした具体的な連携

各市町教委における目標設定とPDCA

■ 目標設定とPDCA

県政運営の新たな指針である「元気創出やまぐち! 未来開拓チャレンジプラン」及び「山口

県教育振興基本計画」における「推進指標」の一つに、「小・中・高等学校の1,000人当たり

の不登校児童生徒の減少(平成26年度基準:小中10.1人・高4.4人)」があります。

不登校出現率(1,000人当たり)の推移

年度 小学校 中学校 小中計 高等学校

山口県 全国 山口県 全国 山口県 全国 山口県 全国

H24 2.8人 3.2人 22.6人 26.9人 9.5人 11.0人 5.1人 19.3人

H25 2.9人 3.7人 24.2人 28.1人 10.1人 11.8人 4.8人 18.8人

H26 3.4人 4.0人 23.1人 28.8人 10.1 人 12.2人 4.4 人 18.1人

H27 3.7人 4.3人 25.1人 29.5人 11.0人 12.7人 3.9人 16.6人

H28 3.9 人 4.7 人 26.0 人 31.4 人 11.4 人 13.6 人 4.1 人 16.4 人

【取り組みのポイント】

33

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長期欠席 不登校

(出現率) (出現率)

612人 267人

(8.9人) (3.9人)

1,328人 913人

(37.8人) (26.0人)

1,940人 1,180人

(18.7人) 11.4人

H28 山口県の長期欠席・不登校の現状

区分

公立小学校

公立中学校

※ 出現率は児童生徒1,000人当たり

公立小中計

【資料1】 年度当初 【資料2】 前年度末 (イメージ) 年度末

事後の対応・ケアはもちろんですが、資料1から「不登校の未然防止のための早期対応システム(心をつなぐ1・2・3運動)」の確実な実践や「魅力ある学校づくり(中学校区で連携したいじめ・不登校の未然防止)」等の「新たな不登校を生まない取組」が大変重要であることが分かります。

また、資料2の数値及び各市町の現状値を参考に、各市町教委において「目標値」を設定し、目標達成の方法を考え、具体的な計画(P)に落とし込み、各学校の実践(D)に結びつけ、成果を検証(C)しながら当初の計画を修正(A)し、最終的に目標を達成する「PDCAサイクル」を実行することが重要になります。

* 次の資料も参考にしてください。 ・ 家庭訪問リーフレット(山口県教育庁学校安全・体育課HP) ・ 不登校対策にかかるQ&A集(山口県教育庁学校安全・体育課HP) ・ スクールソーシャルワーカー実践事例集(山口県教育庁学校安全・体育課HP) ・ スクールソーシャルワーカー活用マニュアル(やまぐち総合教育支援センターHP) ・ 効果的な不登校対策にかかる「実践事例集」(やまぐち総合教育支援サイト:先生のページ) ・ 心の教育推進の手引き(山口県教育委員会 平成24年1月) ・ 子どもたちの規範意識を育むために(山口県教育委員会 平成24年12月) ・ 心の教育実践事例集(山口県教育委員会 平成27年3月)

* 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関するⅠ期調査・

Ⅱ期調査」に合わせてPDCAサイクルを回すことが考えられます。

○ 長期欠席の現状分析

・ 長期欠席者4分類の数

→ 昨年同期との比較

・ 新規長期欠席者の状況

・ 不登校の継続理由

○ 平素の取組状況の点検

○ 未然防止のための早期対応状況の点検

○ 取組効果の分析 ○ ・・・

○ 平素の取組の見直し

○ 未然防止のための早期対応の見直し

○ 目標の修正

○ ・・・

○ 目標の設定

○ 平素の取組強化のポイント設定

○ 未然防止のための早期対応ポイントの

設定 ○ ・・・

○ 平素の取組について周知・指導

○ 未然防止のための早期対応について

周知・指導

○ 実施状況等の情報収集

○ ・・・

前年度不

登校児童

生徒数 前年度 からの 継続分

学校復帰 減少分

※「不登校・長期欠席を減らそうとしている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」(国立教育政策研究所HP)から

前年度中3 卒業減少分

前年度 からの 継続分

今年度 新規の 増加分

年度

当初

減少

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○ 「いじめ防止対策推進法」が平成 25年 9月に施行され、同年 10月

に国の「いじめ防止等のための基本的な方針」が示されました。

○ これらを受け、県・市町・学校・家庭・地域・関係機関が一体となり、

社会総がかりでいじめの根絶をめざすために、平成 26年 2月に「山口

県いじめ防止基本方針」を策定しました。

◆いじめは人権問題であり、「山口県人権推進指針」が示す、「じゆう(自由)」「びょうどう(平

等)」「いのち(生命)」をキーワードとする人権に関する取組の意識を高め、一人ひとりを大

切にする教育を展開することが重要です。

◆子どもたちが発するサインを見逃さないようにし、可能な限り早期にいじめを認知するとと

もに、いじめを認知した場合は、一刻も早く安心・安全な学校生活が送られるよう、迅速か

つ適切、丁寧な指導・支援をすることが大切です。

◆子どもたちに家庭や地域でしっかり声をかけてください。また、学校や教育委員会だけでな

く、警察や児童相談所、人権擁護委員などと日頃から情報を共有しておくことが大切です。

山口県いじめ防止基本方針

いじめは人間として、絶対に許されません!

いじめの定義 いじめとは、児童等に対して、当

該児童等が在籍する学校に在籍して

いる等当該児童等と一定の人的関係

にある他の児童等が行う心理的又は

物理的な影響を与える行為(インタ

ーネットを通じて行われるものを含

む。)であって、当該行為の対象と

なった児童等が

心身の苦痛を感じ

ているものをいう。

(法第2条)

いじめは早期発見・早期対応が大切です!

家庭や地域、関係機関との連携が必要です!

【具体的には】

◇冷やかしやからかい、悪口や脅し文句

◇仲間はずれ、集団による無視

◇ぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれ

たり、蹴られたりする

◇金品を隠されたり、たかられたり、壊さ

れたり、捨てられたりする

◇嫌なことや恥ずかしいこと、危険なこと

をされたり、させられたりする

◇パソコンや携帯電話等

で誹謗中傷や嫌なこと

をされる 等

35

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山口県のいじめ防止についての取組

各学校のいじめ防止についての取組

学校、県教委、市町教委、児童相談所、地方法務局、弁護士会、医師会、臨床心理士会、社会福祉士会等、いじめ問題に関係する機関・団体の連携を強化します。

山口県いじめ問題対策協議会

地域におけるいじめ防止等のための対策を実効的に行うようにするため、専門的な知識や経験を有する第三者等で構成します。また、県立学校でいじめに係る重大事態が発生した場合、事実関係について調査します。

山口県いじめ問題調査委員会

○ いじめに関する相談体制の整備及び相談窓口の周知 ○ 教職員の資質能力向上に向けた研修等の充実 ○ インターネットやスマホ等を使ったいじめの防止等への支援 ○ いじめ防止・根絶強調月間の取組 ○ 道徳教育、体験活動等の推進 等

いじめ防止等に係る施策の推進

いじめの防止等の取組が体系的・計画的かつ具体的に行われるよう、各学校において策定しています。

学校いじめ防止基本方針

管理職、複数の教職員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、必要に応じて地域や学校等の関係者、外部専門家等により構成し、学校の組織的ないじめ対策の中核として、「学校基本方針」に基づくいじめの防止等に係る「未然防止」「早期発見」「早期対応」の各取組をより実効的に行います。また、いじめに係る情報があった時には、緊急会議を開いて組織的に対応します。

学校いじめ対策委員会

○ 人権が尊重された学校づくり ○ 豊かな心を育む教育の推進(道徳教育の充実、規範意識の醸成) ○ 早期発見・早期対応の体制づくり(教育相談体制、組織的対応体制の充実・強化)

いじめ防止等に係る取組の推進

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山口県いじめ防止基本方針(概要) はじめに 「山口県いじめ防止基本方針策定の経緯」「全校体制での組織的な取組」「社会総がかりの取組」 Ⅰ いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項 ■1 いじめとは ○ 定義 「法による定義」「いじめられた児童生徒の立場に立った判断」「組織による認知」 ○ 特徴及び構造 「どの子どもにも、どの学校にも起こりうる」「いじめの四層構造」 ■2 いじめの防止等に関する基本的考え方 ○ いじめの防止

「児童等は、いじめを行ってはならない(法第 4条)」「山口県人権推進指針に 基づく、一人ひとりを大切にする教育の推進」「県民全体へ向けた普及啓発」「取組の実施状況を学校評価の評価項目に位置付け」

○ いじめの早期発見・早期対応 「見えにくいいじめへの危機意識」「組織体制の整備」「けんかについて、児童生徒の感じる被害性に

着目し、いじめに該当するかどうか判断」「組織的対応を推進」 ○ 家庭・地域との連携

「より多くの大人が子どもの悩みや相談を受け止める体制の構築」 ○ 関係機関等との連携

「学校・関係機関・教育機関等との情報共有体制の構築」 ○ いじめの解消の定義を明確化 「いじめに係る行為の解消」「被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと」 Ⅱ いじめの防止等のための対策の内容に関する事項 ■1 いじめの防止等のために県が実施する施策 ○ 「山口県いじめ問題対策協議会」の設置 「有識者、専門家、学校、教育委員会、知事部局、関係機関・団体等の連携強化」 ○ 「いじめ問題調査委員会」の設置 「県教委による第三者委員会の設置」「私立学校・市町への支援」 ○ いじめの防止等に係る施策の推進(県立学校を所管する県教委として実施する施策・市町教委へ指

導助言又は支援を行う県教委としての実施する施策・私立学校を所轄する知事として実施する施策) 「人材確保・教職員研修の充実等の基盤整備」「相談窓口の周知・徹底」等 ○ いじめの防止等のための財政上の措置 「必要な財政上の措置、人的体制の整備」 ○ SC、SSW、外部専門家との連携を推進し、周知の取組を推進 ○ 心の教育の推進を図り、児童生徒がいじめ問題に自主的に向き合う取組を推進 ■2 いじめの防止等のために学校が実施する事項 ○ 「学校いじめ防止基本方針」の策定 「家庭や地域と連携した具体的ないじめ対策全体に関わる取組」 ○ 「いじめ対策組織(いじめ対策委員会)」の設置 「外部専門家を含む構成」「学校基本方針の評価・検証・改善」「学校いじめ対策の中核」 ○ 人権が尊重された学校づくり 「いじめは人間として、絶対に許されない」「互いの人格の尊重」「人権教育への取組」 ○ 豊かな心を育む教育の推進 「教育活動全体を通じた道徳教育」「規範意識の醸成」「他者への思いやりや社会性を育む取組」 ○ いじめの防止等に関する措置 「アンケートや教育相談等による早期発見」「特定の教職員で抱え込まず組織による早期対応」 ○ 学校いじめ対策組織の存在及び活動が、児童生徒及び保護者へ容易に認識される取組を推進 ○ 事案を認知した場合の、他の業務に優先した迅速な取組。学校いじめ対策委員会に報告を行わない

ことは法の規定に違反しうる ○ 指導上、配慮が必要な生徒を具体的に例示 ○ 情報モラル教育の充実が図られるよう示され、具体的な犯罪名も例示 ○ 被害・加害双方の児童生徒・保護者への対応について具体的に例示

第1部 いじめの防止等のための基本的な事項

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■3 重大事態への対応 ○ 重大事態の判断及び報告 「重大事態とは」「知事への発生報告(県立学校・私立学校)」「児童生徒・保護者による申し立て」 「判断と対応について、ガイドラインで具体的対応の例示」 ○ 重大事態の調査 ① 調査の主体の決定 「県教委又は学校法人による判断(学校主体,県教委又は学校法人主体)」 ② 調査の趣旨 「客観的な事実関係を明確にするための調査」 ③ 調査の組織 「学校主体:いじめ対策委員会」「県教委主体:いじめ問題調査委員会」 ④ 調査結果の報告及び提供 「いじめを受けた児童生徒・保護者への適切な情報提供」「いじめを 受けた児童生徒・保護者の所見」「知事への結果報告(県立学校・私立学校」」「自殺の背景調査」 ○ 再調査及び措置等 「知事による調査結果の再調査」「知事から県議会への結果報告(県立学校)」 ○ 留意事項 「事実に真摯に向き合う姿勢」「質問紙調査」「心のケア・学校機能の回復」 Ⅲ その他の重要事項 ○ 山口県いじめ防止基本方針の評価・検証・改善及び改訂

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Ⅰ 学校が行う具体的な取組

Ⅱ その他

○ 学校いじめ防止基本方針の評価・検証・改善及びいじめ対策に資する積極的な取組

■1 未然防止(いじめの予防) ○ 生徒指導・教育相談の充実・強化 「教職員の資質能力の向上」「児童生徒の行動観察」「児童生徒理解」「校種間連携の促進」 ○ 学校の教育活動を通した取組 「各教科・総合的な学習の時間」「道徳教育」「特別活動等における児童生徒の主体的な活動」 ○ 「いじめ対策委員会」による評価・検証・改善 「学校基本方針の評価・検証・改善」「いじめ対策委員会による情報集約と情報共有」 ○ 家庭・地域との連携 「大人の意識の向上」「日頃からの信頼関係づくり」「地域の情報ネットワーク」「情報発信」 ■2 早期発見(把握しにくいいじめの発見) ○ 校内指導体制の確立 「複数の教職員による指導体制づくり」「教育相談担当・養護教諭の役割」 ○ 具体的な取組 「日常の観察」「生活アンケート」「教育相談」「ふれあいの時間」「研修の充実」「相談窓口の周知」 ○ 家庭・地域との連携 「学校運営協議会や地域協育ネット等の取組による開かれた学校づくり」「保護者懇談会の開催」 ○ いじめを3つのレベルに分類して認知 ○ いわゆる、「いじり」と言われる行為への対応について例示 ■3 早期対応(現に起こっているいじめへの対応) ○ 学校の体制づくり 「いじめを認知した場合(疑われる場合も含む)の役割分担と対応例」 ○ 対応する上での留意点 「児童生徒・保護者への対応」「臨時保護者会の開催」「いじめのアフターケア」 ○ 教育相談の在り方 「いじめられている児童生徒・いじめている児童生徒への教育相談」 ○ インターネットや携帯電話等を利用したいじめへの対応 「初期対応」「関係機関との連携」「被害拡大の防止」 ○ 保護者との連携 「いじめられている児童生徒・いじめている児童生徒の保護者への対応」「臨時保護者会の留意点」 ○ 地域・関係機関との連携 「学校と地域との連携」「学校と関係機関との連携」「やまぐち児童生徒サポートライン」 ■4 重大事態への対応(生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあるいじめ等への対応) ○ 重大事態の判断 「いじめ対策委員会の判断」「県教委・学校法人からの指導助言」 ○ 重大事態への対応 「全容解明と早期対応」「いじめられている児童生徒・いじめている児童生徒への対応」 ○ 学校による調査 「全容解明に向け、外部専門家と連携した調査」「調査の進捗状況及び結果等についての説明」 ○ 調査に当たっての留意事項 「中立性・公平性の確保」「いじめられた児童生徒からの聴き取りが不可能な場合の対応」

いじめ対策委員会

第2部 学校におけるいじめの防止等のための具体的な事項

学 校

4点の視点からの取組

構 成

複数の教職員(管理職・生徒指導主任・学年

主任・養護教諭・教育相談担当教員・生徒指導

部員等)、SC・SSW、その他関係者

役 割

「未然防止」「早期発見」「早期対応」「重大

事態の対応」の実効的な取組及び取組の評

価・検証・改善を行ういじめ対策の中核

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- 1 -

いじめの認知について~先生方一人一人がもう一度確認してください。~

● いじめの認知をめぐる現状

先生方も既に報道等で御承知のことと思いますが、児童生徒千人当たりのいじめ認知件数は、

最多の都道府県と最少の都道府県とで30倍以上の開きが生じています(平成26年度問題行

動等調査)。この差は他の調査項目(暴力行為や不登校など)における差と比べて極端に大き

く、実態を正確に反映しているとは考え難い状況です。

● 調査結果を見た保護者や地域の心配

・【不信】ちゃんとした調査だろうか?なんで○○県と隣の○○県でこんなに違うんだ?

・【誤解】こんなに認知件数が多い○○県は、子供たちが荒れているのではないか?しっかり

といじめ防止対策を取っているのか?

・【疑念】○○県はいじめの認知件数が少ないが隠しているのではないか?

◆ 先生方それぞれでいじめの捉え方の差があるようです。

先生方は、いじめの事案に一生懸命に対応する中でいじめの問題に的確に対処する力を身に付ける

のと同時に、先生方それぞれのいじめの概念が作られている可能性があります。

いじめ問題への思いが強ければ強いほど、それぞれのいじめの概念への思いも強いかもしれませ

ん。しかしこのことは、基準のばらつきにもなってしまいます。

◆ いじめの認知を正確に行うことは極めて重要です。

・「こんな事案までいじめと数えたら一体何件までふくれあがるのか」

・「一回きりだからいじめとして認知するのはいかがなものか」

といった声を聞くことがよくあります。

確かに、初期段階のいじめは子供たちだけで解決できることも多々あり、大人が適切に関わ

りながら自分たちで解決する力を身に付けさせることも大切です。しかし過去のいじめ事案を

見ると、いじめはほんの些細なこと(こんな事案まで・・、一回きりだから・・)から予期せ

ぬ方向に推移し、自殺等の重大な事態に至ることもあるのが現実です。そのため、初期段階の

いじめであっても、あるいは一回限りのいじめであっても、学校が組織として把握し(いじめ

の認知)、見守り、必要に応じて指導し、解決につなげることが重要です。

いじめ防止対策推進法では、このような過去の教訓を重く受け止め、いじめという行為が定

義付けられました。そして、いじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせる

などの措置を講じなければならないとされています。

◆ いじめの定義を再確認しましょう。

いじめ防止対策推進法第2条第1項

この法律において「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在

籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な

影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の

対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。

このように、いじめの定義には、

①行為をした者(A)も行為の対象となった者(B)も児童生徒であること

②AとBの間に一定の人的関係が存在すること

③AがBに対して心理的又は物理的な影響を与える行為をしたこと

④当該行為の対象となったBが心身の苦痛を感じていること

という4つの要素しか含まれていません。かつてのいじめの定義には「自分よりも弱い者に対して

一方的に」、「継続的に」、「深刻な苦痛」との要素が含まれていましたが、法律上の定義にそれら

の要素は含まれていないことに留意してください。

別添

40

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- 2 -

なお、物を隠されたり、上履きに画鋲を入れられたり、悪口を書いたメモを机の上に置かれたり

したが誰がやったか分からない場合、行為者が不明であれば①②の要件が満たされるとは言えませ

んが、実際に学校ではいじめとして対応していることは言うまでもなく、問題行動等調査において

もいじめがあったものとして取り扱ってください。

◆ 具体的な事例で確認してみましょう。

事例

(定期的に実施しているアンケート調査で、Bが「いじめを受けた」と回答した。そこで、

Bと面談で確認するなどした結果、以下の事実があったことを確認できた。)

体育の時間にバスケットボールの試合をした際、球技が苦手なBはミスをし、Aからミ

スを責められたり他の同級生の前でばかにされたりし、それによりBはとても嫌な気持ち

になった。見かねたCが「それ以上言ったらかわいそうだよ」と言ったところ、Aはそれ

以上言うのをやめ、それ以来、BはAから嫌なことをされたり言われたりしていない。そ

の後、Bもだんだんとバスケットボールがうまくなっていき、今では、Aに昼休みにバス

ケットボールをしようと誘われ、それが楽しみになっている。

【この事例のA君の行為は、定義に照らしていじめに該当するものと考えられます。】

文部科学省は、この事例を題材に、10都道府県(域内の市町村を含む。)の教育関係者を対象とす

る抽出調査を実施しました。その結果、ある都道府県は18名中17名(約94%)がいじめとして

認知すると回答しました。また、別の都道府県は、18名中2名(約11%)がいじめとして認知す

ると回答しました。抽出調査の結果ではありますが、この差が冒頭で述べた「30倍以上の開き」に

つながっているのではないかと考えます。

◆ 「いじめの芽」や「いじめの兆候」それも「いじめ」です。

学校現場において、「いじめの芽」や「いじめの兆候」といった言葉が用いられています。例え

ば「いじめやその兆候を早期の段階で把握するよう努めた。」といった具合にです。しかし、こう

した言葉を用いる中で、いじめそのものであるはずの「芽」や「兆候」を、まだ「芽」や「兆候」

だからいじめではないと反対に捉えてしまい、いじめを見落としてしまうことがあるのではないか

と心配しています。いじめを見落とさないためにも、「芽」や「兆候」についても定義に従い、い

じめとして認知してください。

◆ いじめの認知に関する文部科学省の考え方

1 いじめの認知件数が多いことは教職員の目が行き届いていることのあかし

法律上のいじめに該当する事象は、成長過程にある児童生徒が集団で学校生活を送る上でどう

しても発生するものであると考えています。ですから、文部科学省は、いじめの認知件数が多い学

校について、教職員の目が行き届いていることのあかしであると考えています。正確に認知し、し

っかりと対応していくことが大切だと考えています。

反対に、いじめの認知がなかったり、いじめの認知件数が極めて少なかったりする学校は、い

じめを見逃していないかと心配しています。

いじめの認知件数が増えても保護者や地域の方々が不安に思わないよう、普段から「積極的に

認知し(件数は増える)、早期対応を行っている」ことを丁寧に伝えてください。

2 組織で認知し対応することが重要~ひとりで抱え込まない~

いじめではないかと疑われる事案に接したときは、学校に設置されている「いじめの防止等の

対策のための組織」に必ず報告してください。とは言っても、日々発生する事案全てについて、組

織の全メンバーが逐一集合することは難しいと思います。そこで、組織のメンバーの中から情報集

約担当を決めたり、パソコンで共用のデータベースを作成したりするなど、全メンバーが集合しな

くても機動的な対応が取れるよう各学校で工夫をしてください。重要なのは、ひとりで抱え込まな

いということです。周囲に報告・連絡・相談し、組織として判断してください。

また、学校の組織がしっかりと機能するためには、誰もが自由に発言できることが大切です。

事案に対応する中では、迷うこともたくさんあります。そんなときは「これでいじめを受けている

子供を本当に守ることができるか」とシンプルに考えてください。そして疑問が心をよぎったとき

は、いじめが重大な結果に至ることのないよう「この対応でいいんですか?」とためらわずに発言

してください。

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山口県教育委員会作成資料

平成28年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に

関する調査におけるいじめの状況に係る留意事項について

調査Ⅱいじめの状況等については、平成29年3月14日に改定された国の「いじめ防止等のための基本的な方針」に基づき、調査方法等が変更しています。大きな変更点は以

下のとおりです。

いじめの定義について ○ けんかやふざけ合い、暴力行為等についても、背景にある事情の調査を行い、児童

生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する。

→ これまでは、けんかを除くとされていた。本調査は改訂された方針に基づき、いじめの認知を行ってください。

いじめの現在の状況について

○ 「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要がある。ただし、これらの要件が満たされる場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘

案して判断するものとする。 ① いじめに係る行為の解消

被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期

間とは、少なくとも3か月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、学校の設置

者又は学校いじめ対策組織の判断により、より長期の期間を設定するものとする。 ② 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと

いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害児童生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害児童生徒本人

及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

→ ①②の二つの要件が満たされない場合は、解消とはならない。

→ 解消の判断には、少なくとも3か月が必要な為、平成29年 1 月2日以降に認知し

たいじめについては、3月31日時点の本調査において解消と判断できない。この場合は、(2)解消に向けて取り組み中と回答すること。(①)

→ いじめを認知し、解決に向けた指導後、3か月を経過せずして卒業した児童生徒に

ついては、解消とできない。この場合は、(2)解消に向けて取り組み中と回答すること。(①)

→ いじめ行為が3か月止んでいた場合でも、被害児童生徒本人及びその保護者の双方

に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等(本人への声掛けや保護者へは電話連絡等での確認でもよい)により確認しなければ解消とできない。(②)

※ 在校生については、本調査のため、これから確認してもよい。

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インターネット-1

□ インターネット上の誹謗ひ ぼ う

中傷・個人情報流出等

対応のポイント ❶ 被害児童生徒から詳細を聞き取るとともに、被害の実態を確認する。 ❷ 児童生徒のプライバシーや人権に十分配慮して対応する。 ❸ 掲示板等管理者(プロバイダ等)へ、書き込みの削除を依頼する。

❹ 誹謗ひ ぼ う

中傷、個人情報(画像等)流出など、絶対に行わないよう指導する。

❺ 被害児童生徒は、いじめを受けている可能性があるという視点をもつ。

❻ 警察・少年安全サポーター・ネットアドバイザー等外部専門家等と連携して対応 する。

初 期 対 応

① 初 動 対 応

② 対 応 方 針 協 議

状況確認 □ 被害児童生徒から、詳細を聴き取る(担任、生徒指導主任等 ※ 女性教員が行うなどの配慮)。 ・掲示板、アプリ等の名称、被害を知ったきっかけ、被害内容、いつから何回、心当たり、

保護者へは相談したか、周りの児童生徒は知っているか 等 ・嫌な思いや不安を感じたことなどへの共感的理解を基本とする。 ・他の児童生徒への聞き取りや調査等を拒否した場合は、児童生徒のプライバシーに十分配

慮し、受け入れる。 □ 被害の実態を確認する。 ・プロバイダや管理者等への連絡や被害届を提出する際に必要となるので、必ずプリントア

ウト又は写真撮影し、当該サイトのアドレス・書き込み者・書き込み日時を記録する。 ・画面上でログ(いつ、どこから書き込んだのかを示すインターネット上の記録)が分かれ

ば、プリントアウト又は写真撮影しておく。

※ 画像等の記録された携帯電話・スマートフォン等は、警察の捜査の重要な証拠となるので、保護者の了承を得た上で、できる限り、そのままの状態で預かる。

連絡・速報及び情報管理 □ 管理職(校長・教頭)への連絡 ・5W1Hについて、分かっている範囲で、事実のみを正確に伝える(メモを添えて)。 ・危機対応はトップダウンが基本である。正確な情報の集約が適切な判断の拠り所となる。 (緊急時は、生徒指導主任→教頭→校長にこだわらず、できるだけ早く校長へ。) ・様々な情報を一元的に集約(情報管理の徹底)し、時系列で、詳細かつ正確に記録する。

(生徒指導主任又は教頭等) □ 保護者への連絡 □ 教育委員会への速報【「資料6」参照】 ・校長の判断で、必要に応じて報告する(TEL・FAX等)。

・警察・報道機関が関係する(可能性がある)場合は、できるだけ早く報告する。 ・やまぐち総合教育支援センター配置のネットアドバイザーとも連携する。 □ 少年安全サポーターや警察への通報 ・学校だけで対応することが困難と校長が判断した場合は、速やかに各地区配置の少年安全

サポーターと連携する 【関係機関との連携「学校と警察のネット問題連携対応システム」参照】

・生命の危険や爆発物の予告等、緊急の場合は、躊躇ちゅうちょ

なく 110番通報し、協力を依頼する。

関係者による緊急対策会議の開催 □ 具体的な対応策の検討 ・被害児童生徒・保護者の意向を踏まえた上で、今後の対応策を検討する。

緊急職員会議の開催 □ 全教職員への周知と共通理解 ・概要をまとめた資料を用意する。

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インターネット-2

初 期 ・ 中 期 対 応

③ 具 体 的 な 対 応

被害児童生徒・加害児童生徒への対応 □ 被害児童生徒の心のケア、加害児童生徒に対する再発防止に向けた指導・支援を行う。 ・下記の削除依頼等の対応が長期化する恐れがあるため、被害児童生徒への対応を最優先する。

・対応に当たっては、SC・SSW・少年安全サポーター等外部専門家と連携する。 警察への相談 □ 山口県警察本部サイバー犯罪対策室へ相談する(電話相談窓口は各所轄警察署)。 掲示板等管理者(プロバイダ等)への対応 □ 管理者に申し入れて、不適切な書き込みを削除してもらう ・インターネット上の情報流通によって権利侵害が発生した場合、管理者に申し入れれば、

管理者の判断で削除することができる(プロバイダ責任制限法:H14.5.27施行)。

・掲示板等には、管理者へメールできるようにリンクが設定されているので、被害児童生徒、保護者又は校長名で削除を依頼する。

<「管理者宛削除メール」文例> ○○○○掲示板管理者 様 あなた様が管理・運営されております「○○○掲示板」におきまして、本校生徒個人

が特定できる誹謗中傷が書き込まれており、該当生徒は、精神的に大変不安定な状況になっています。自由な発言の場とはいえ、モラルを欠いたその内容は、目に余るものがあると考えております。 この掲示板の現状は、本校生徒への不安を募らせるばかりであり、本校が教育活動を

進めていく上で大きな支障になると判断いたします。このことについて、山口県警察本部サイバー犯罪対策室に相談しましたところ、学校から管理者様宛に、削除依頼などを行うように指示を受けました。 つきましては、本校生徒の置かれている状況を御賢察の上、「○○○掲示板」におけ

る本校関係の書き込みの削除をお願いいたします。 山口県○○立△△学校長 □□□□

□ 民事訴訟を起こし、裁判に勝訴した上で削除する。 ・管理者に対して民事訴訟を起こす。ただし、民事訴訟を起こすためには、掲示板等の書き

込みをそのままにしておく必要があるため、被害児童生徒の精神的苦痛や書き込みが続くことにもなる。また、弁護士に依頼しなければならない、判決がでるまで時間がかかる等の制約があるため、現実的ではない。

□ 注意点 ・掲示板等を作ることに関しては法的な制限はない。

・誹謗ひ ぼ う

中傷するような書き込みをする方が悪い、学校が情報モラル教育を十分行えば防げる

はずだなどの管理者側の言い分もあるので、お願いをするという姿勢に徹する。

・削除依頼が必ずしも実現できるわけではないことを認識する。期待をもちすぎるあまり被害児童生徒への対応が滞り、真に必要な措置が遅れ、被害児童生徒・保護者との関係悪化等につながりかねない。

全校児童生徒への指導 □ 指導日時・場所・対象児童生徒・指導内容等を事前に十分協議する。 ・学級ごとに行うのか、学年で行うのか、全校児童生徒を集めて行うのか。 ・被害児童生徒のプライバシーや人権に配慮しながら実施することを確認する。 □ 具体的な指導

・誹謗ひ ぼ う

中傷、無責任な他人批判(自分が言われて嫌なこと)、卑猥ひ わ い

な書き込み等絶対に行わ

ない。名誉毀損や侮辱罪に問われることがある。

・掲示板等への電話番号等の個人情報の書き込みやアンケートへの回答は行わない。 ・被害にあった場合は、該当掲示板等の URL や内容を書き留めて(できれば印刷して保管)、

一人で悩まずに、できるだけ早く学校・保護者に相談する。

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インターネット-3

中 期 ・ 長 期 対 応

・仕返しや返信をしない。ちょっとした誤解や行き違いが、トラブルをエスカレートさせてしまうことがある。

・憶測やうわさを自重する。 ・必要に応じて、その他の被害の有無について、アンケート調査等を実施する。 □ 学校は警察ではなく、教育の場であることを忘れない。

未然防止・再発防止に向けた取組 □ 情報モラル及び危機回避教育の充実 ・「山口県ケータイ安全教室」等の活用

メール・ネット掲示板・ブログ等に書き込む時の約束 ○ 人を傷つけるようなことを書かない。 ○ 相手の人が見ていることを考えて、マナーを守る。 ○ 名前・住所・電話番号などの個人情報が推測されるようなことを書かない。

(インターネットに書き込んだ情報をもとに、住所や通っている学校などの個人情報を探し当てられてしまうことがある。)

○ 困った時は、家族・先生に相談する。 (株式会社NTTドコモ 「ケータイ安全教室」2006年)

□ 体験的な活動を通した人間関係づくりの実践 ・AFPYなどの人間関係づくりプログラムの活用 等

□ 児童生徒主体の啓発活動の推進

・児童生徒会による「ケータイ・スマホのルールづくり」の取組 等 □ 保護者への啓発と連携 ・啓発資料「ネット・ケータイ問題への対応について」(山口県教育委員会 2011年 10月改

訂)等の活用

各家庭における取組 ~子どもたちの安全なネット・ケータイ利用に向けて~ ① パソコンは、できるだけ家族の目の届く場所に置き、子どもと一緒にインターネット利用の時間をつくり、正しい利用の仕方について一緒に考えたり、話し合いをする。

② 携帯電話は持つ必要があるか、十分検討する(不必要な携帯電話は、持たせない)。 ③ フィルタリングを必ず利用する。【「女子性逸脱-6」参照】 ④ 子どものネット・ケータイ利用について常に関心をもち、利用の実態を把握する。 ⑤ 子どもと話し合いながら、利用内容や時間等について一定のルールをつくる。 《携帯電話のルールの例》 ○ 自宅内では居間で使う。 ○ 食事中は使わない。 ○ 学習中は使わない。 ○ 深夜は使わない。 ○ 使用料金の上限は、○○○○円まで。 ○ フィルタリングサービスは絶対つける。 ○ 他人を傷つけるような使い方をしない。 ○ マナーやモラルを守って利用する。 ○ ルールを破ったら、携帯電話の利用を停止する。

□ いわゆる「リベンジポルノ防止法」(H26.11.27施行)への対応【「女子性逸脱-1」参照】 ・プライベートな性的画像を、その撮影対象者の同意なく公表する行為を禁止する法律。

・自分の下着姿や裸の写真を「撮らない。」「撮らせない。」「撮られない。」「自ら撮って送らない。」こと、「インターネットに公表されると短期間のうちに拡散し、取り返しのつかない事態に陥る。」ことなどについて指導する。

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